二宮飛鳥『今暇かい?』森久保乃々「……」(29)




飛鳥『あれ?もしもし?聞こえてる?』

乃々「……はい…聞こえてますけど…」

飛鳥『よかった、間違い電話をかけてしまったかと思ったよ』

乃々「あの……間違い電話よりタチ悪いです……」

飛鳥『え?』

乃々「……今、何時か知ってますか…」

飛鳥『何時?』

乃々「……夜中の2時です…」

飛鳥『へー』

乃々「…………」

乃々「…あの……」

飛鳥『うん?どうしたんだい?』

乃々「…用件は何ですか……?」

飛鳥『用件?』

乃々「こんな時間に電話かけてくるなんて……急用があるんじゃないんですか…?」

飛鳥『えーと、』




飛鳥『別にないけど?』

乃々「…………」

乃々「すみません、切っていいですか…」

飛鳥『え、どうして?』

乃々「逆に、この状況で切らない方がおかしいと思います……」

飛鳥『そんな……乃々はボクを見捨てるんだね…』

乃々「見捨てるも何も無いと思うんですけど……」



乃々「…さっき、用件は無いって言ってましたけど……」

飛鳥『うん、確かに言ったね』

乃々「じゃあ、なんで電話してきたんですか…」

飛鳥『乃々は、用事がないとボクとは話したくないって言うのかい!?』

乃々「そうじゃありませんけど…」

飛鳥『そんな……ボクがそこまで嫌われていたなんて……』

乃々「…あの…聞いてください…」

飛鳥『わかった…お詫びとして、金輪際 乃々には近づかないと約束するよ……』

乃々「あうぅ……話が凄い方向に進んでるんですけど……」

飛鳥『ボクのメールアドレスも全て削除しておいてくれ…』

乃々「いや、しませんけど……」

飛鳥『許してくれるのかい!?』

乃々「始めからそう言ってますけど…」

飛鳥『ありがとう!ありがとう乃々!!』

飛鳥『お礼に、今度手羽先もっていくよ!』

乃々「…………」

飛鳥『あれ?ドングリの方が良かったかな?』

乃々「いりません……」

飛鳥『まあ、そう遠慮しないで』

乃々「遠慮なんてしてないんですけど…」

飛鳥『…と言いつつ?』

乃々「……何ですか……深夜テンションですか…」

飛鳥『ブラックコーヒーを飲みすぎてね……』

乃々「………」


飛鳥『眠れないんだ』

乃々「……知りませんよ…」


飛鳥『ボクがどうなってもいいっていうのかい!?』

乃々「飛鳥さんこそ、もりくぼはどうなってもいいと思ってますよね……」

飛鳥『ボクの大切な友達に、そんなこと思うはずないじゃないか』

乃々「……大切な友達を深夜2時に起こすんですね」


飛鳥『……君の声が…聞きたかったんだ…』

乃々「どんなセリフでも深夜2時に起こされて聞けば、ゴミみたいです」



飛鳥『そういえばね、ボクはさっき一つ嘘をついたんだ』

乃々「…いきなりなんですか……」


飛鳥『…ボクが飲んでいたのは、実はブラックコーヒーじゃないんだ!』

乃々「……そうなんですか…」


飛鳥『実はコーヒー牛乳だったのさ!』

乃々「……はい…」

飛鳥『あれ?驚かないね?』

乃々「…正直どうでもいいです……」

飛鳥『そっか…ボクのことなんかどうでもいいのか…』

乃々「もう何なんですか……」

飛鳥『そうだよね…ボクみたいな中二には近づきたくないよね…』

乃々「さっきもこんなやり取りした気がします……」

飛鳥『でも、ボクだって誰かと話したくなるときがあるんだ……!』

乃々「時間帯考えてください」



飛鳥『もう外は真っ暗だね』

乃々「…2時ですからね……」

飛鳥『そう…これこそ漆黒の闇……ってやつなのかな』

乃々「……そうなんじゃないんですか…わかりませんけど……」

飛鳥『この漆黒をテーマに、ポエムをつくってみてもいいんだよ?』

乃々「…全力でお断りしますけど……」

飛鳥『諦めるな!』

乃々「えぇ……」

飛鳥『やればできる!!』

乃々「まず、やりたくないんですけど……」

飛鳥『やる前から諦めるな!絶対できる!』

乃々「もう…何なんですか……ほんと何なんですか…………」

飛鳥『頑張れ頑張れ諦めるな頑張れ!!』

乃々「…………」

飛鳥『頑張れ頑張れ絶対できる頑張れ!!』

乃々「……………………」


飛鳥『応援を聞いてやる気はでたかな?』

乃々「申し訳ないですけど、後半はトイレに行ってて聞いてませんでした」

飛鳥『それは残念だね』

乃々「そうですね」




乃々「あの」

飛鳥『うん?やっぱりポエム作る気になったのかい?』

乃々「違いますけど」

飛鳥『そうか…残念だよ』

乃々「今日、寝たの12時過ぎなんです」

飛鳥『となると……14時間も寝てたってことかい!?』

乃々「夜中の12時です」

飛鳥『ああ…そっちか。驚いたよ』

乃々「普通わかると思います」

飛鳥『それじゃあ、2時間しか寝てないのかい!?』

乃々「はい。そうなりますね」

飛鳥『アイドルなのに…夜更かしはいけないよ?』

乃々「………………………………」

飛鳥『あれ?乃々ー、どうしたんだい?』

乃々「…………いえ、何でもないです…」



乃々「…それで、明日は4時起きなんです」

飛鳥『おや、それはやけに早いね?』

乃々「地方ロケです」

飛鳥『ああ、納得したよ。移動時間がかかるからね』


乃々「ただでさえ4時間だったんです」

飛鳥『うん、短いね……ボクなら耐えられないよ』

乃々「まさか2時間で起こされるとは、思ってもいませんでした」

飛鳥『人生はアドリブだらけだからね』

乃々「頭がガンガンしてます」

飛鳥『それは仕事に支障が出てしまうよ。大丈夫かい?』

乃々「今から寝れば大丈夫だと思います」

飛鳥『……やっぱり、ボクを見捨てるんだね…』

乃々「はい、おやすみなさい」

飛鳥『え、ま、まって!待ってよ乃々!待ってください!!』

乃々「なんですか……もう待ちたくないんですけど…」

飛鳥『最後に!最後にひとつ伝えたいことがあるんだ!』

乃々「…………」


飛鳥『乃々ともっと仲良くなりたいって、前から思ってたんだ』

飛鳥『…空回りしちゃったけどね』

乃々「……」

飛鳥『そして、ボクは思い付いた』

飛鳥『…あだ名で呼び会えば、さらに仲を深められる!』

乃々「あだ名……」

飛鳥『乃々のあだ名……聞いてもらえるかな…?』

乃々「……聞くだけなら…」

飛鳥『ありがとう。それじゃあ、もっと仲良くなりたいっていう気持ちもこめて、呼ばせてもらうね』

乃々「…………」



飛鳥『これからも宜しく』







飛鳥『引きこもり久保』

乃々「」ブツッ




飛鳥「……」ツー…ツー…


飛鳥「…………」






飛鳥「『手羽先』の方が良かったのかな?」







プルルルルッ


プルルルルッ


プルルルルッ




ガチャ





飛鳥『もしもし、今暇かい?』

愛海「…………」

飛鳥『…あれ?回線が悪いのかな……もしもし?』

愛海「……聞こえてるよ…」

飛鳥『ああ、よかった。山登りにでもいっていて、電波が届かないのかと思ったよ』

愛海「…………」

飛鳥『……?本当にちゃんと繋がってる?さっきからそっちの声が聞こえないけど…』

愛海「……うん…大丈夫だよ…」

飛鳥『それはよかった』

愛海「……で、どうしたのさ…?こんな時間に…」

飛鳥『ああ、実はね…』



飛鳥『寝れなくてね』

愛海「…………」




愛海「……え?」

飛鳥『全然…寝付けないんだ……』

愛海「……うーんと…」


愛海「…この時間までずっと起きてたの?」

飛鳥『この時間?今何時だっけ?』

愛海「3時だよ……」

飛鳥『時の流れは早いね』

愛海「……」

愛海「…ごめん、あたし明日朝早いからさ……」

飛鳥『…うん?今がちょうど朝じゃないか。早朝だよ』

愛海「…いや…深夜じゃないかな……」

飛鳥『深夜ととるか、早朝ととるか……これは面白い議題になるね』

愛海「……うん……そうかな…?」

飛鳥『今度事務所の全員に、3時は早朝か深夜か聞いてみよう』

愛海「…………」

飛鳥『ボクの予想では、大人組は早朝、子供組は深夜と答えると思うね』

愛海「……うん……あのさ…」

飛鳥『いやまて…、あえて大人組は、夜まで酒だ!とか言って深夜と言うかも……』

愛海「……聞いてる…?」

飛鳥『それに最近の子供はませてるから、早朝というかもしれな……うん?なんだい?』

愛海「……もう寝ていい…?」

飛鳥『えっ』

愛海「…いや、ごめんあたしホント夜弱くてさ……」

飛鳥『夜中は寝ずに指の運動をしているんじゃないのかい?』

愛海「……してないよ……たまにしてれけど今日はしてないよ……」

飛鳥『たまにしてるんだ』

愛海「うん……」

飛鳥『誰をイメージしてるのかな』

愛海「飛鳥ちゃん」

飛鳥『…………』

愛海「…………」


飛鳥『まだ手を繋いだこともないっていうのに……』

愛海「…あれ?冗談なんだけど……」

飛鳥『でも、そんな乱暴な愛海のことも…嫌いじゃないよ…』

愛海「……なにこれ…」

飛鳥『…初めては愛海にあげようと思ってたんだ……』

愛海「……」

飛鳥『やさしくしてね…?』

愛海「…………」




愛海「おやすみ」

飛鳥『まって!まってよ!』

愛海「…なに……」

飛鳥『いつものあつみんなら、よいではないかよいではないか!ウッヒョー!とか言って胸まさぐってくるじゃないか!』

愛海「…まさぐれないよ……電話越しだし………」

愛海「…というか、飛鳥ちゃんから見たあたし、そんななの……?」

飛鳥『…ごめん、確かに言い過ぎたね……』

飛鳥『ウッヒョー!は、だりーなさんだね……ごめん』

愛海「いや……そういうことじゃなくて……」

飛鳥『そういえば、だりーなさんって、本当にロックなこと知っているのかな?』

愛海「……分かんないけど…踏みこまないほうがいいとおもうよ……」

飛鳥『やるな……と言われることほどやりたくなるね』

愛海「……うーん…あんまりわかんないけど…」

飛鳥『例えば胸揉みとか』

愛海「確かに」

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