ぼんば「たいへい!金貸してくれ!」 たいへい「ええっ!?」 (232)

・干物妹うまるちゃん

・闇金ウシジマくん

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タイヘイ「何でだよ」

ボンバ「今月本当にピンチなんだよ!頼むよタイヘイ~」

タイヘイ「お前…この間、tmetterで"確変なうっ!!”とか、つぶやいてたような…?」

ボンバ「うっ…」ギク

タイヘイ「金が無いのはギャンブルしてるからだろ?まずは、余計な出費を減らしてからだな…」

ボンバ「た、確かにその通りだが…でも、急遽、金が必要になったんだよ~!頼む!この通りだ!」

タイヘイ「う~ん…」

ボンバ「金が必要なのは…きりえの為でもあるんだ…」

タイヘイ「えっ、きりえちゃん?」

ボンバ「うち、貧乏でさ…キリエが大学に通える程の経済的余裕は、ねえのよ…」

タイヘイ「えっそうだったのか…」

ボンバ「それにあいつ、学校じゃ友達いねぇし…だから、せめて、大学だけは良いところに通わせてやりたいんだよ…」

タイヘイ(う~ん、妹がいる身として、これは…)

ボンバ「頼む…タイヘイ…必ず返すから!」

タイヘイ「はぁ…分かったよ」

ボンバ「マジか!!」

タイヘイ「あぁ、で…いくら貸してほしいんだ?」

ボンバ「ちょっと、このくらい…な」ス...

タイヘイ「10万?」

ボンバ「うんうん」

タイヘイ「分かった。会社終わったら金下ろしてくるから、渡すのはその時でいいか?」

ボンバ「おう…恩に着るぜ」

タイヘイ「いいさ、困ったときはお互い様だろ?」

ボンバ「流石タイヘイ! わが親友! 仏のタイヘー!大好き!」

タイヘイ「はいはい。でも、ちゃんと返せよ?」

ボンバ「もちろんだ! 神に誓って! 何ならここで十字架を切るぜ!」バッバッ!

タイヘイ「そんな大袈裟な…」








ボンバ(うっし!これで番町の軍資金が出来たぜ…)ニヤ

―3日後



ボンバ「タイヘイ…悪い…また貸してくれないか?」

タイヘイ「は?」

ボンバ「悪いとは思ってる…だけど金が必要なんだ…」

タイヘイ「おいおい…この間、貸したばっかじゃねーか…あの10万はどうしたんだ」

ボンバ(たった5時間で全部使っちまった…)


ボンバ「あの10万だけじゃ…実のところ、全然お金が足りねえんだ…今日までに振り込まないと、キリエが…」

タイヘイ「ちょっと待て、消費者金融に借りるって手があるじゃないか?」

ボンバ「そ、それが…親が昔、借金をしていてな…一度自己破産してんだよ」

タイヘイ「…おう」

ボンバ「その時、連帯保証人だった俺まで金融機関のブラックリストに載っちまって…」

タイヘイ「審査に通らずお金を借りられない…と?」

ボンバ「そうだ…」

タイヘイ「うーむ…」

ボンバ「親友であるお前に、こんな事を頼み込むのは本当に申し訳ないと思う…だが、頼れるのはお前しかいないんだ!」

タイヘイ「うーん、一応聞くが…いくら必要なんだ?」

ボンバ「30万」

タイヘイ(30万…)

ボンバ「タイヘイ・・・」オドオド

タイヘイ「はぁ…分かったよ…」

ボンバ「タイヘイっ!」ウルウル

タイヘイ「ただし!給料日来たら絶対返せよ?」

ボンバ「も、もちろんだぜ!」

タイヘイ「額が額だ。一度に全額返せとは言わん、分割してもいいから」

タイヘイ(貯金を崩すか…)


ボンバ「ありがとう…お前が親友で本当に良かったよ…」ギュウウ

タイヘイ「わっ、くっつくな!気持ち悪い!」








ボンバ(本当に、良かったよ)ニヤリ

―次の日


パチンコ店前


ニギニギ...

ガヤガヤ...

スタッフ「え~、整理券を配布しますんでぇ並んでくださいー」




ボンバ(今日の俺は、最強だ…)

ボンバ(軍資金が30万…フフフ)

ボンバ(今日こそGODでフリーズを引いて万枚を叩きだしてやるぜ)

スタッフ「え~順番に並んで、番号順から店内へご入場ください~」

ボンバ「うっしゃっ!!行くぜ!!」

―6時間後


ボンバ(くそ・・・8万やられた!!)

ボンバ(結構熱い演出が来たんだけどなぁ…全部飲まれちまった)

ボンバ(………)

ボンバ(でも、まだ大丈夫…まだ22万もあるぜ…俺の戦闘力は22万!…なんつって)

ボンバ(さて…どうしようかな)

ボンバ(よし!今日の大健闘のご褒美に、これからホテヘルだいっ!)

―2日後


ゾロゾロ...

ワイワイ....

ガヤガヤ....

スタッフ「順番に並んでくださーい!!整理券はこちらでーす!!」


ばばあA「今日は勝てるわねぇ!」

ばばあB「私、血液型占いで1位だったのよー!今日は絶対魚群来るわよー!!」

ばばあC「魚群は期待出来ないわよぉ!やっぱウリンちゃんじゃないと!!」


ボンバ(ふふふ…今日は、リニューアルオープンで新台入れ替え…)

ボンバ(間違えなく、島全体に高設定が掛かってるはずだ…)

ボンバ(逃げなきゃ負け…勝たねばゴミ!今日が絶好の好機!)

ボンバ(今日こそは絶対に勝てる!!)


スタッフ「えー時間ですので店内へどうぞ~!順番に!押さないでくださーい!!」


ボンバ「行くぜえええ!!!」

ボンバ「ふざけんじゃねえよ!」ドカッ!!!!

ヤーネェ...ブッソウネェ...

キット...ギョグンハズシンダンデショ...


ボンバ(15万やられた!!!糞が!糞が!!糞が!!!)ダンッ!ダンッ!

ボンバ(この店絶対におかしい!)

ボンバ(全回転フリーズ上乗せ無しとかマジありえねぇ!)

ボンバ(そういえば、フリーズ引いた時、店員がこっち向いてインカムで何か喋ってた…)

ボンバ(絶対に遠隔だ…!!顔認証システムも導入してるに違いねえ!)

ボンボ(こんな糞店二度と来ねぇ!!!)

ボンバ(はぁ…残り5万か…)トボトボ

ボンバ(今となっては、ギニュー特戦隊並の戦闘力だな…)

ボンバ(……)

ボンバ(そういえば…前行ったホテヘルのモコって嬢…イイ女だったなぁ)

ボンバ(……)ムラムラ

ボンバ(よしっ! 今日も反省会を兼ねてホテヘル行くか!)

ボンバ(人間誰しも、息抜きは必要だしな!)

―また次の日


ニギ...ニギ...

ワイ...ワイ...


ボンバ(30万あったお金も残り3万…)

ボンバ(しかし、これまでは店のチョイスが悪かったんだ)

ボンバ(やっぱ時代はマ○ハンより、ダ○ナムだよな!)

ボンバ(………)

ボンバ(大丈夫...大丈夫...俺はイケる)

ボンバ(自分を信じろ…!自分を信じない奴に、勝利する価値なんて無い!)

ボンバ(俺は行けるぜ!)


スタッフ「開店でーす、店内へどうぞー」


ボンバ(魅せてやるぜ…俺の本気を!)

―パチンコ店内


ガー!ガー!リーチ!!

ガロウケンヲオシコメ!!

チャララララ...!


ボンバ(また追い銭……やばいどんどん飲まれていく)

ボンバ(これが最後の千円札…)

ボンバ(お、おれに―――未来をください)


ガー...

ジャラジャラジャラ...

ボンバ(…だめだ)

ボンバ(残り…3ゲーム…)

ボンバ(…終わった…すべてが終わった…)

チャラララン♪

ボンバ(!?)ビクッ!

ボンバ(キ、キスショット予告!?)ガタッ!!

ボンバ(も、もうすぐ大きな当たりが来る?!)

ボンバ(くそ!!こういう時に限って金が無くなるなんて!!)ポチ!


ピンポーン


店員「は~い」タッタッタ

ボンバ「飯休憩!」

店員「わかりました、40分過ぎるとこの席は無効させて頂き、空席扱いになりますので、ご了承くださいませ」

ボンバ(急げっ!)ガタッ!

タッタッタッ!!

ボンバ(あと千円!せめて千円あれば…!)

ボンバ(誰に借りる…!?家族は無理だ…! 金融機関も無理…!)

ボンバ(タイヘイは…流石にこれ以上は借りらr――いやっ…待てよ?)スッ

ピッピッピ!

トュルルルル!トュルルルル!

タイヘイ『はい』

ボンバ「たいへいか!?た、大変なんだっ!」

タイヘイ『ちょっ、声でかい』

ボンバ「本当に大変なんだよ!」

タイヘイ『どうしたんだよ…そんなに慌てて?』

ボンバ「キリエが…! キリエが…! 交通事故に合っちまったんだ!!」

タイヘイ『ええっ!??』

ボンバ「今、救急車で病院に運ばれてるらしい!!!」

ボンバ「俺も一刻に早く病院へ駆けつけてやりてえんだが…!」

ボンバ「その場所へ行くまでの運賃が無いんだ!!」

タイヘイ『ど、どこの病院なんだ?!』

ボンバ「○×病院だ!!」

タイヘイ『また随分と遠くだなっ!』

ボンバ「遊びに行った矢先に、事故ったんだよ!」

タイヘイ『そんな…きりえちゃんが…!』

ボンバ「と、とにかく後で絶対に返す!運賃代をカンパしてくんえねぇか!? 一刻も争うんだ!」

タイヘイ『わっ分かった!今どこに居るんだ!?』

ボンバ「えっとっ…だな」キョロキョロ

ボンバ(―っ!!)

ボンバ(この場所は、不味い…!こんなパチンコ屋のすぐ横じゃ怪しまれるぞ…!)

ボンバ(ちっ!めんどくせぇっ!!)ダッダッダ!!!

ボンバ「今、○×公園にいる!」ダッダッダ!!!

タイヘイ『そ、そうか! 分かった!』

ボンバ「とにかく早く来てくれ!」







タイヘイ『うまるにも、きりえちゃんの事伝えておく!!』

ボンバ「なっ!?」ギクッ!

タイヘイ『どうした?!』

ボンバ「そ、それはまずい!!」

タイヘイ『な、なんでだ?!』



ボンバ(もし、たぬきちが今日、きりえと会っていたらアウトだぞ…!)サー



ボンバ「……」

タイヘイ『ボンバ?!』

ボンバ(考えろ…考えろ!)



ボンバ「き、きりえが――!」

ボンバ「きりえが!きりえがっ!自分が、じっ、事故った時に――!」

ボンバ「”うまるちゃんには、私の事は伝えないで…余計な心配を掛けたくないし、大したことは無いから”」

ボンバ「―――って言ってたらしいんだよ!」

タイヘイ『なっ…?!そんな事言ってる場合か!??大怪我してるんだろ!!』

ボンバ「い、いや…それが…」

ボンバ「か、軽い接触事故だったらしいんだ…」

タイヘイ『え?そうなの? …っと、安心するのは不謹慎か』

ボンバ「ま、まぁとにかくそうらしいから、たぬきちには、この事は内緒にしておいてくれよ!」

ボンバ「明日あたりにはきりえの奴も、ピンピンして学校に来ると思うから!」

タイヘイ「わ、分かった。うまるには黙っておくよ…」

タイヘイ『気に障ったら謝るが…きりえちゃん、大きな怪我じゃなさそうなのに――』

タイヘイ『お前…えらく慌てすぎじゃないか?』

ボンバ「」ギク

ボンバ「あ、兄として心配なんだよ! 大切な妹が怪我したとなると、ジッとして居られねんだ!」

タイヘイ『そ、そうなのか…。 いや、そうだよな…。すまん、無神経な事言った』

ボンバ「いや、いい。 と、とにかく早く来てくれ!」

タイヘイ『分かった! 運賃は幾らあればいいのか!?』

ボンバ「1000えn…いや、1万必要だ!」

タイヘイ『用意しておく!30分ほど待ってくれ!!』

ボンバ「ッ!!急いでくれ」

―○×公園

―30分後

ボンバ(……)イライラ

ボンバ(まだかっ?! 30分過ぎたぞ)イライラ

ボンバ(クソ!早くしねぇと席が…!)ギリ...

タイヘイ「はぁはぁ…悪い!ボンバ!待ったか?!」ゼェゼェ


ボンバ(遅せぇんだよ!ボケが!!)イライラ


ボンバ「来たか!!お金は?!」

タイヘイ「はぁはぁ…ほらっ!」スッ

ボンバ「サンキュー!」バッ!!

ボンバ「うおおおおおおおおおおおお!!!」ダッタッタッタッタ!!

タイヘイ「ボンバ?! …って、もういねぇ…」







タイヘイ(俺も…うまるに危険が迫れば、あんな風に取り乱すのかな…)

―パチンコ店内


ボンバ「はぁっはぁ…はぁっはぁ…」ゼエゼエ


プッシュ!!ピロリロリーン!!

プッシュ!!プロリロリーン!!

ジャラジャラジャラジャラ!!!!

[ピザ]客「~♪」






ボンバ「」


ボルバ「おい!!コ"ルァ"!!!てめぇっ!!!」ガッ!!!

客「ひっひいぃ!?」

ボルバ「この席は俺が座ってたんだよ!! 誰の許しを得て座ってんだ?! ええっ?! オォコラァァ!!」

ボルバ「てめぇの目は飾りか?!このブタ野郎がぁ!! 俺のケータイ置いてあるのが見えねぇのか?! ボケけぇっ!!!!」

客「ひぃぃ助けてぇー!」



ナンダナンダ?

ケンカ?コワイワー

スタッフ「おっお客様?! 他のお客様のご迷惑となりますので…どうかご静粛に!」

ボルボ「オォ?! 何や?! 正しいのは俺や! 勝負するか!? 弁護士呼べやコラァァ!!!」

スタッフ「お、お客様は席を離れて40分経過しましたのでっ!席は空席扱いとさせて頂き、こちらのお客様に優先権が移りますゆえっ…!!」

ボルボ「てめぇ馬鹿かっ?!40分指定でも、常識的に45分までは待つだろ?!!? 5分の超過くらい融通聞かせてくれてもいいじゃねぇか! 寧ろ、5分間の猶予は店側の当然の義務だろうがぁ!!!」

スタッフ「しかし、40分と店の規定でも決まってますので…! 今回は、申し訳ありませんが、どうかなにとぞ…!」

ボンバ「っ~~~!! 糞がァ!!!」ガン!!

スタッフ「お客様!! 台に衝撃を与えると正常に機能しなくなりますので、暴行を加えるのは控えてください!」

ボンバ「ちぃっ!!」スタスタ

スタッフ(はぁっ…やっとどっか行ったよ…居るんだよなぁ、こういう客)

ボンバ「…」スチャ...

スタッフ(って、まだ居座る気かよ…しかも1円パチンコ)

ボンバ「」つ千円

ガー...

ジャラジャラジャラ...

ジャラジャラジャラ...

ボンバ「………」




ボンバ「………」ポチ

ピンポーン!

スタッフ(うわっこいつか…)

ボンバ「箱、いっぱいになったから下ろして」

スタッフ「……」ガコ...スチャ...

ボンバ「………」

ボンバ「」つ千円

ガー...

ジャラジャラジャラ...

ジャラジャラジャラ...


再び、千円札をサンドに入れて貸し玉を出すボンバ

ボンバ「………」



ボンバ「」ポチ

ピンポーン

スタッフ(こいつ…打ちもしないで、何やってんだ)ガコ...スチャ

ボンバ「………」

ジャラジャラ...

ピンポーン

ガコ...スチャ...


ジャラジャラ...

ピンポーン

ガコ...スチャ...

スタッフ(もうこれで5回目だぞ…こいつ基地外か?)

ピンポーン


スタッフ(またか…)スタスタ

ボンバ「」ニヤ



ボンバ「オラァ!!」ドカァァ!!!

ボンバは、スタッフが来るや否や、今まで積んできたドル箱を思い切り蹴飛ばした


ジャラジャラジャラジャラ!!!
ジャラジャラジャラジャラ!!!
ジャラジャラジャラジャラ!!!


無数の玉があちこちにホールの床に飛散する


スタッフ「」ピクピク

客(うわぁ...)

ボンバ「ぶわっはっはっは!! いい気味だぜ!!おいっ! ひゃっはああ!!!」ゲラゲラ

スタッフ「ほ、他のお客様の迷惑となりますので、申し訳ありませんがお客様は、今後当店の出入りを禁止させていただくことにします」ピクピク

ボルボ「心配しなくても、二度とこねぇから! ブゥワァァァカ!」

ボルボ「はっはっはっ!!!」スタスタスタ...


スタッフ(二度とくんな)











「……」ジッ-...

「……」スッ...


ピッピッピッピ!

トュルルル...トュルルル...



「高田です。社長、本場 猛なんですけど…」

ボンバ「玉が転がってるときの、あの店員の顔! 傑作だったぜぇっ! はっははは!」ゲラゲラ

ボンバ「"お客様は今後出入り禁止にしますぅ"」

ボンバ「ぶぅわあああか! こっちから願い下げだよ! ボーーーケ!!!」

ボンバ「ははははっ!」

ボンバ「ははっ――はぁっ…」





ボンバ(どうしよう…)

ボンバ(タイヘイに借りた、約40万…一週間もしない内に、使い果たしてしまった…)

ボンバ(くそ…一発逆転なんて無謀な博打しないで、少しでも借金の返済に当てるべきだった!!)

ボンバ(まずい…本当にまずい…どうしようっ…)









「あっいた。 本場さん」

ボンバ「?」クル



高田「こんにちは、本場さん」ニコ

ボンバ「…ぁ」サー



ボンバ「こ、こんにちは…高"木"さん」

高田「"偶然"だね、こんな場所で会うなんて」

ボンバ「そ、そうですな…ははは」

高田「ところで…パチンコ屋から出てきたよね?」

ボンバ「い、いやぁ…ははは・・・」

高田「勝ったの?」

ボンバ「い、いえ…」

高田「負けたんだ?」

ボンバ「は…はい」

高田「そうなんだ。まー、いいケド」

ボンバ「……」ドキドキ









高田「そういえば―――もうすぐだけど入金なんだけど」

ぼんば「」ドキッ

高田「忘れてないよね?」

ぼんば「お金はっ!お金は、絶対に支払いますんで!!」アセアセ

高田「ならいいケド…てか、今日事務所来れる?」

ボンバ「で、電車賃が無くて…む、無理です…」

高田「徒歩で来れるでしょ? とにかく来てね、待ってるから」

ボンバ「えっ!? 歩きだと三時間は掛かりますよ!?」

高田「走ったら一時間で来れるでしょ?」

ボンバ「っ!!」

高田「とにかく来てね。それじゃぁっ」スタスタ











ボンバ(…やばい! やばい! やばい!!!)プルプル

―某アパート


ボンバ(結局、徒歩で来ちまった…)

ボンバ(足が痛い…)ジンジン

ボンバ(今日は走ってばかりじゃねーか…)

ボンバ(うぅ…入りたくない…)ス...



ポチッ

ピンポーン!



『はい』

ぼんば「あ…本場です」

『本場さんですね?少々お待ちください』パタパタ...










小百合「社長、本場さんが来られました」

丑嶋「おう、通せ」

ボンバ「……」スタスタ...

ガチャッ


柄崎「…」ジロ

ボンバ(うっ…)

加納「…」ジロ...

ボンバ(うぅ~!!)オドオド






丑嶋「やぁ、本場さん 」

ボンバ「ひゃ…ひゃい!」ドキ

丑嶋「遥々遠くからごくろーサン」

ボンバ「ど、ども…田"嶋"さん…」アセアセ

丑嶋「凄い汗だね。 コーヒー、飲む?」スッ

ぼんば「い、いぇ結構です…」

丑嶋「そう?」

ぼんば「……」アセアセ



丑嶋「ところで――今日さ」

丑嶋「パチンコ行ったそうじゃない?」

ボンバ「…は、はい」ドキ

丑嶋「それも大負けしたとか、何とか」

ボンバ「……」アセアセ

丑嶋「入金日憶えてるよね?」

ボンバ「もちろんです…」オドオド

丑島「ふーん、ならいいけど…でもさっ――」

ボンバ「?」

丑嶋「今日の事を省みると、返済できるかどうか…とても心配なんだケド」

丑嶋「だから、こうして返済日じゃないのに、ここへ呼んだワケ。 分かる?」

ボンバ「だ、大丈夫です」オドオド

丑島「…」ジロリ

ボンバ「っっ~!!いっ、いざとなれば!」

丑嶋「なに?」





ボンバ「いざとなれば、友人にお金を借ります!」

丑嶋「へぇ、随分と羽振り良い友人がいんだね」

ボンバ「ま、まぁ…」

丑嶋「今までにも、その友人からお金借りてたりして?」

ボンバ「はい…一応…」

丑嶋「ふぅん…」








丑嶋「その友人…名前何て言うの?」

ボンバ「…土間タイヘイ…って奴なんですけど…」



丑嶋「へぇ、その人何してる人?」

ボンバ「俺と同じエンジニアで…同僚です…」

丑嶋「ほう、家族構成は?」

ボンバ「アパートで妹と二人で暮らしてます…」

丑嶋「え?妹さんいるの?何歳?」

ボンバ「16、17歳…だったと思います」

丑嶋「ふ~ん…その人……どこ住んでる?」

ボンバ「○○のコーポ吉田の201号室です…」

丑嶋「ふーん、あっそ。分かった」

ボンバ「あの…俺の友人が、何か?」

丑嶋(……)

丑嶋「 あ、本場さん。 今日はもう帰っていいよ」

ぼんば「は、はい…」ホッ

丑嶋「それじゃ、入金忘れないでね。サイナラ」

ボンバ(た、助かったぁ~!!)スタスタ






マサル「社長…いいんすか?あんなにすんなり帰らせて…」

丑嶋「ふんっ、あのくらい揺さぶりを掛けとけば上等だろう」

丑嶋「――それよりも…」

丑嶋(土間タイヘイ…か)

丑嶋(年頃の妹と二人暮らしで、会社は本場と同じ、大手システム会社ダイヤモン・サービス…)

丑嶋(……)ニヤリ





丑嶋「――マサル!」

マサル「はい」

丑嶋「お前は、土間の財政状況と家族構成を探っておけ」

マサル「分かりました」

丑嶋「高田!お前は引き続き、本場の野郎を張り付いとけ、絶対目を離すなよ」

高田「はい」




丑嶋「……」ス...


ピッピッピ!!

トゥルルル...トゥルルル...


丑嶋「丑嶋です。石原社長、最近景気どースカ?」

丑嶋「そうですか。これから飯でもどうです?」

丑嶋「えぇ…そうです、はい」





















丑嶋「―――飛び切りの上玉の娘を、近い内に紹介するかもしれません」

丑嶋「ええ…分かりました、それでは後ほど…」プツッ

丑嶋「……ククク」










丑嶋(――たっぷりと搾り取ってやるぜ)

寝ます

うまる「お兄ちゃんだけ休みだなんてずるい! ずるい!」ジタバタ!

タイヘイ「駄々こねてないで早く行け!! 海老名ちゃん、下で待ってるぞ!」クワッ

うまる「うまるだってお兄ちゃんみたいに、有給取って平日ゴロゴロして至福の一時を味わいたい!」

うまる「何で学生にも有給休暇ってないの?! 不公平だよお兄ちゃん!」

タイヘイ「んなもんあってたまるか!しかも、有給ではなく代休な! あたかも俺が有給を乱用してサボってるみたいに言うな!」

うまる「何言ってんの? 有給ってサボる為にあるんでしょ?」キョトン

タイヘイ「ねーよっ…とは一概に言えない部分もあるな」

うまる「だしょ?うまるだったら、毎週月・水・金は必ず腹痛で有給使っちゃうもんね!」

タイヘイ「いや…日数限られてるから…」

うまる「え~」

タイヘイ「日数が限られてるからこぞ、慎重に使うべきなんだぞ」

タイヘイ「お前みたいに仮病を使って遊び倒す為にあるものじゃなくだな…」

タイヘイ「例えば、急に大切な用事が出来たとか…身内に不幸が起きたとか…」

タイヘイ「そういうときの為に使うのはOKであると、お兄ちゃんは思うぞ」

うまる「じゃあ、お兄ちゃん。今日有給使わないとだね」

タイヘイ「え?何でだよ」

うまる「突然の仮病で倒れた妹を一日中看病するから、身内の不幸だし有給取らなきゃダネ!!」

タイヘイ「嘘を嘘で塗り固めた悪質な口実で、特に大した用事でもないし却下。それに妹が風邪で寝込んだからと言って、会社を休むなんてありえません」

うまる「ブー! ブー!」

タイヘイ「はいはい・・・いいからっさっさと行って来い…」

うまる「う~っ…」

タイヘイ「今日の夕飯、お前が食べたがってたジャンボハンバーグ作ってやるから…」

うまる「行ってきます!お兄ちゃん!」ウマルーン

タイヘイ「あぁっ、行ってらっしゃい」


ガチャ...バタン

オハヨウ!エビナチャン!

オハヨ-




タイヘイ「ははっ…現金なやつ」

タイヘイ「……」

タイヘイ「…さて、掃除でもするか」

ゴォォォォ!


タイヘイ「~♪」

タイヘイ(う~ん…?)

タイヘイ(何か最近、やけにうまるの私物が増えたような…)

タイヘイ(こんなにゲームソフトやぬいぐるみなんてあったか?)

タイヘイ(買った記憶が…無い…。 問い詰めてみるか?)



ポワーン...

うまる『えーっ?この前一緒に買い物行ったとき買ってくれたじゃん!忘れたの? お兄ちゃん、もしかして若年性認知症? そんなことじゃこの先うまるを養っていけないよ!』




タイヘイ(・・・っ、うーむ)

タイヘイ(うーん、俺が忘れてるだけかもしれないしなぁ…)

タイヘイ(――まさか、うまるの奴…また黙ってカードを…)

タイヘイ(そんな事は無いはずだ…あれ以来、カードは俺の財布の中に入れて置くようにしたし…)

タイヘイ(帰ってきたら、さりげなく聞いてみるか…)



ゴォォォォ!

ズボ!

ボボボボ...



タイヘイ「?」

ポテイト「ヤァ」

タイヘイ「あっ! うまるの奴…また夜にお菓子食べてたな!」

タイヘイ「――さて、そろそろ夕飯の買い物に行くか」

ガチャリ...バタン

コツ...コツ...コツ...

タイヘイ(ん?)






マサル「………」

タイヘイ(柄悪いのが門の前に居るなぁ…目を合わせないようにしとこ…)


コツ...コツ...コツ...


タイヘイ「…」

マサル「」ジロ...


スッ


タイヘイ「…」

マサル「」ジー...


コツ...コツ...コツ...





タイヘイ(ふ~っ…すれ違うだけでも緊張した…)

タイヘイ(何か睨まれてた様な気がした…)

タイヘイ(…人を外見で判断してはいけないが…やはり怖いものは怖い!)

タイヘイ(さ~て、夕飯夕飯…。 ジャンボハンバーグだったな)

マサル「……」

マサル(――201号室…)

マサル「あいつが、土間タイヘイだな」ボソ


マサル「……」ス...

ピッ

トゥルルル...


マサル「俺です…。 社長、本場の言ってたことは間違えなさそうです」

マサル「はい…。では、引き続き…分かりました」

アリガトウゴザイマシタ-


スタスタ...

タイヘイ(さーて、ちゃちゃっと帰ってうまるの大好物を作ってやるか!)

タイヘイ(あいつ、楽しみにしてたからなぁ…こっちも作り甲斐があるってもんだ)


タイヘイ(…そういえば、きりえちゃん大丈夫なのかな…?)

タイヘイ(ボンバからは、あれから何も聞いてないが…)

タイヘイ(うまる帰ってきたら、それとなく様子を聞いてみるか…)


タイヘイ(…)

タイヘイ(…あの柄悪いの、まだ居たら嫌だなぁ…)

コーポ吉田周辺



タイヘイ「…」ソー

タイヘイ(いない…?)ホッ

タイヘイ(…人を外見で判断してはいけないと言っておきながら…)

タイヘイ(もしかしたら、うまるの身に危険が降り懸かるのでは、と思ってしまう自分が情けないな…)



カタ...カタ...

カタ...カタ...

ガチャ...バタン



タイヘイ「ん?ポストに何か入ってるな」

タイヘイ「どれどれ…」ガサゴソ

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タイヘイ「何だコレ」

タイヘイ「…カウカウファイナンス…?金融屋か?」

タイヘイ「別にお金に困ってるわけ…でもないか」

タイヘイ(まぁ、それでも。 うちが金融屋の世話になる事なんて、無いだろうけどな)

タイヘイ「ん…奥に封筒が入ってるな」ゴソゴソ

タイヘイ「…JBCクレジット?明細書かな…)


バリバリ...

ペラ...







タイヘイ「―――っ?! なっ…何だよこれ…!!」



―夕方


うまる「うまるっ!とおちゃーくっ!」ズザザザザザー!

うまる「マイボディパーツ装着!」スチャ!

うまる「からの~!タブレット起動!アプリ起動!」スッ!スッ!

うまる「そしてロード時間でコーラとポテイトを確保!」シュッシュ!



タイヘイ「―うまる」




うまる「ぬわーー!! 提督! 非常事態です!コーラの残量が一本しかない! 至急補給を要請する!」

うまる「この繊細かつ無駄のない動きで繰り出される絶妙なフォーメーションは」

うまる「今日のイベントをなくして成しえないものであろう!」シュビーン




タイヘイ「――うまる、ちょっとこっち来なさい」




うまる「うまるはこれから、進コレの胸熱イベを全力でやるから手が離せないんだよ!」スッ!スッ!




タイヘイ「――いいから来なさい」

うまる「耳だけはちゃんと聞くから、安心してそこから話してもいいよ!」スッスッス



タイヘイ「うまる――こっちに来いと言っているんだ」



うまる「…?」キョトン

タイヘイ「……………」

うまる「もうっ!10秒だけだかんね!」トテトテ




タイヘイ「……」

タイヘイ「うまる」

タイヘイ「これを見ろ」


パサッ

JBCクレジット

【請求書】

〔ご利用先〕

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____________________________________________
   計 \ 508,432








タイヘイ「何だ、これは?」トントン

うまる「あっ…」サー








タイヘイ「……」

うまる「……………」プルプル




タイヘイ「――うまる。 黙っていても、何も分からないだろう」


うまる「っ!」ビクッ






うまる「…シラ…ナイ」ポツリ





タイヘイ「…」

うまる「う、うまる…な、何も知らない…よ…」

タイヘイ「――本当に何も知らないのか?」


うまる「な、何かの…間違え…だ…よっ。 うまる…し…知ら…ない、もん」

タイヘイ「…」ジッ

うまる「…っ!」







タイヘイ「……」

タイヘイ「うまるが、本当に"何も知らない"のなら、お兄ちゃんはこれ以上、何も言うつもりは無い」

タイヘイ「だが…もし、何かやましいことがあって、隠し通す為にその場凌ぎの嘘を付いてるのなら――」









タイヘイ「お兄ちゃん――"そういう嘘は、大嫌い"だ」


うまる「――っ!!!!」ビクッ



タイヘイ「―――うまる、もう一度だけ聞く。 "本当に"、"何も"、知らないんだな?」






うまる「…ナサイ」ジワ...

タイヘイ「…何?」



うまる「ヒック...ゴ、ゴメンナサイ…」ポロポロ

タイヘイ「―――聞こえないな」

うまる「ごッ…!!"ッえっぐ"ご、ご、めん、なざぁ"ぁぃぃい"!」

うまる「う"ま、るがぁッ…勝"手、にッ…!ヒック!が、買いまじぃだぁぁぁ…ッ!」




タイヘイ「―――そうか…」

うまる「うぅぅっ、ッフ…グス!…ぅぇえ…ヒッ…ぐすっ」

タイヘイ「…前にも」

タイヘイ「勝手に俺のカード使って、物を買ってきたことがあるよな」

タイヘイ「あれ以来、カードは常に俺の財布の中に入れて、管理していたハズなんだが…?」


うまる「ぅぅ…ッ!お"、おにぃッちゃんが…ッ!、寝て、る…ッ時にッッグス」

タイヘイ「取ったのか…」

うまる「ッ…ウ"ンッ」コク

タイヘイ「そうか」

うまる「う"ッっぇ"ぇぇっッグジュッッ!スンッ、ぅぅ"っびぇぇえ」

タイヘイ「…とりあえず、顔拭け。 凄いことになってるぞ」スッ

うまる「ゥ…ンッ」ズビビーッ!

うまる「………」グスッ

タイヘイ「………」



うまる「………」チラッ

タイヘイ「………」



うまる「………っ」オドオド

タイヘイ「………」








うまる「お兄、ちゃん…お、怒ってる?」

タイヘイ「当たり前だ」


うまる「~~ッ!」ジワ...

タイヘイ「………」


うまる「……うぅっ…」ポタッ

タイヘイ「………はぁっ」



タイヘイ「うまる、何故俺が怒ってるか、分かるか?」

うまる「お兄ちゃんの…カードを勝手に使って…買い物した…から?」



タイヘイ「違う」

うまる「…?」

タイヘイ「約束を破ったからだよ」

うまる「約…束」

タイヘイ「そう、約束だ」

―回想


タイヘイ『その道具はどうやって買ったんだ!?』

うまる『ホ、ホームセンターで…お兄ちゃんのカードで…』

タイヘイ『何でお前が相性番号知ってんだ!?』

うまる『う、うまるの誕生日入れたら…』

タイヘイ『な…』




うまる『…お、怒ってる?』

タイヘイ『…いや、怒ってないよ』

うまる『』ホッ

タイヘイ『だが、うまる。 今回、カードを使って気づいたかもしれないが』

うまる『うん』



タイヘイ『クレジットカードは、お金が無くても買い物が出来る便利なカードだが…使い方によっては、悪魔のカードにもなる」

タイヘイ『手軽さ故に、金銭感覚が鈍くなってしまうからだ…分かるか?』

タイヘイ『今回は…俺のカードの管理が杜撰で、うまるの手の届く場所へ置いてた俺にも非がある』

タイヘイ『今度からは何か物が必要なら、お兄ちゃんに一言相談してから、な』

うまる「うまる…どうしても…レアキャラとか欲しくて…。 ちょっとくらいなら、いいかなって思って…」

タイヘイ「…そのまま、ずるずると使っちゃったのか」


うまる「……うん」

タイヘイ「…それがクレジットカードの落とし穴だ。 現金で買い物するわけじゃないから、自分どれ程お金を使ったのか実感し辛いんだ」


タイヘイ「その危険性を前に忠告したんだがな…」

うまる「うっ…」


タイヘイ「忘れてたのか…?」

うまる「………」

タイヘイ「…はぁ――」スッ





うまる(た、叩かれる?!)ビク

ポンッ




うまる「…?」パチクリ




タイヘイ「…忘れんな、馬鹿」

タイヘイ「でもな、うまる――よく嘘を付かずに、本当の事をお兄ちゃんに話してくれたな…偉いぞ」



ナデナデ


うまる「――!!」




タイヘイ「今回で恐ろしさが分かったろ? こうして泣きべそかいて反省してるわけだ。 だから…」




タイヘイ「お兄ちゃんは、うまるを許す」

うまる「…ぁ」

うまる「うっ…ぁぁぁ、」ジワ...

うまる「お"兄ちゃぁぁん本当にごべんなざぁぁぃい~!」ダラダラ



タイヘイ「分かったから、もう泣くなって」

うまる「びえッッェェェ~!」ギュウウウウ

タイヘイ「よしよし…」ナデナデ



うまる「ジュル"ル"ル!ズビビビビビッーー!」

タイヘイ「うわっ!バッチィ!」

うまる「お"お兄ちゃんに、ぎ、嫌われだ"かと、おも"った"ぁぁ~~っ!!」

タイヘイ「ははは…大袈裟なやつだなぁ」


ぐうぅ~!



うまる「!」

タイヘイ「ははっ…。 腹も減ったし、ジャンボハンバーグ、作るか!!」

うまる「ぐすっ――っうん!!」














この時、既に

兄妹二人を地獄の底へと突き落とす、骨の髄まで貪る飢えたハイエナが

涎を啜らせ二人の陰へと群がっているとは――当然、知る由もない






―翌日

うまる「行ってきます、お兄ちゃん!」

タイヘイ「おう、いってらっしゃい」


オハヨーエビナチャン!!

オハヨー、キゲンイイネ?ウマルチャン

エヘヘー



タイヘイ「さて、俺も支度するか…」

タイヘイ「…」

タイヘイ「しかし、うまるがあんな事言い出すなんてな…」

―30分前


うまる「お兄ちゃん、おはよう!」ウマルーン

タイヘイ「んあっ…?おはよう」ボー

うまる「今日もいい天気だねっ」

タイヘイ「ん…そうだなぁ」ムニャムニャ



タイヘイ「…ってン"ン"!?!?」ガバッ!!

タイヘイ「あのうまるが、俺よりも早く起きてるだと!?」


うまる「お兄ちゃん、早く支度しないと会社遅れちゃうよ?」

タイヘイ「お、おぉ」


タイヘイ(ど、どうしたんだ? うまるの奴…さては、また何か企んで…)

カチャカチャ

タイヘイ「ほらっうまる、朝飯だぞ」

うまる「…」

うまる「お兄ちゃん、朝ごはんの前に…大切なお話があります」

タイヘイ「な、何だよ。 改まって…」



うまる「私、アルバイトを始めようかと思ってるの」

タイヘイ「――――は?」

うまる「だから…アルバイトを始めようかと」

タイヘイ「…今何て…?」



うまる「アルバイトを始めるの!」

タイヘイ「なっ…!」



『お兄ちゃーん!コーラ取ってー!』

『ゲームっ!ゲームっ!』

『学校休む!!』




タイヘイ(あ、あのウマルが…!)



『来年から本気だす』


『学校やめてニートになるもん!』


『生涯お兄ちゃんに養ってもらいまーす!』




タイヘイ(自ら進んで社会貢献をすると言っている!?)

タイヘイ「…エイプリルフールはとっくに過ぎてるぞ…?」

うまる「嘘じゃないもん!本当に始めようかと思ってるから!」



タイヘイ(…まぁ、突然そんな事言いだした理由は…なんとなくわかる)

タイヘイ(昨日の件で責任を感じているのだろう。 しかし…まさかアルバイトとは)

タイヘイ(幸か不幸か、こいつにも心境の変化があったて事か?)



タイヘイ(…だがな――)



うまる「お兄ちゃん…聞いてるの?」

タイヘイ「うまる」

うまる「?」


タイヘイ「もしかして昨日の事で、罪悪感を感じていて…」

タイヘイ「借金を返すためにアルバイトを始めようかと思っているんなら」

タイヘイ「…お兄ちゃんは、アルバイトを許可しません」

タイヘイ(―――なんて、カッコイイ事を言ったのはいいものを…50万か)

タイヘイ(流石に一括で返済は無理だ、手持ちが無い)




タイヘイ(…)ペラッ

【カウカウファイナンス】



ガチャッ…バタン

コツ コツ コツ




タイヘイ(だからと言って、借金を返済するのに、また借金を作るなんてのは本末転倒)

タイヘイ(ここは、クレカ会社に一度連絡を取って、月イチで分割払いにして貰えるか相談してみるか…)

投稿ミス
>>135の続き


うまる「えっ、どうして!!」


タイヘイ「一生モノの青春の時間を…借金を返すために費やすなんて、凄く勿体ないじゃないか」

タイヘイ「お兄ちゃんとしては…そんな事に時間を割くよりだな」

タイヘイ「うまるには、勉強や友達との時間を大切にしてほしいんだ」


うまる「お、お兄ちゃん…でも…」


タイヘイ「…お前は、いつも通りにしていればいい」

タイヘイ「お金の事なら、何も心配するな」


うまる「お、お兄ちゃんっ…!!」

タイヘイ(―――なんて、カッコイイ事を言ったのはいいものを…50万か)

タイヘイ(流石に一括で返済は無理だ、手持ちが無い)




タイヘイ(…)ペラッ

【カウカウファイナンス】



ガチャッ…バタン

コツ コツ コツ




タイヘイ(だからと言って、借金を返済するのに、また借金を作るなんてのは本末転倒)

タイヘイ(ここは、クレカ会社に一度連絡を取って、月イチで分割払いにして貰えるか相談してみるか…)








ガチャ...バタン








コツ コツ コツ...


タイヘイ(だからと言って、借金を返済するのに、また借金を作るなんてのは本末転倒)

タイヘイ(ここは、クレカ会社に一度連絡を取って、月で分割払いにして貰えるか相談してみるか…)

『え~○○線、3号に入ります~線の内側までお下がりください~』


プアァーーー!!!


タイヘイ(分割で返済するとなれば…)

タイヘイ(ダイヤモンド・サービスの現状の給料は、手取りで25万)

タイヘイ(給料の5万を返済に当てて、更にボンバに貸したお金が、月に5万ずつ返ってくると想定して…)

タイヘイ(ひと月に10万ずつ返済していけば、5か月で完済出来る)



ガタン ゴトン
ガタン ゴトン


タイヘイ(…生活費の一部を借金の返済に当てる事になって、うまるには多少の我慢を強いるようになるが…)

タイヘイ(まぁ、流石に文句は言わんだろう………たぶん)





タイヘイ(…うん、これが一番堅実的だな)

『え~○○駅~○○駅~ご乗車ありがとうございました~』


プシュー!!

コツ コツ コツ...


タイヘイ(親の力を借りることも出来るんだが…)

タイヘイ(今回の件に関しては、俺の監督不行届なところがあるからな…)

タイヘイ(それに…この程度の事、自分だけで切り抜けられなくてどうする)


ピンポーン!『3Fです』


ウィーン

コツ コツ コツ...


タイヘイ(…ボンバに、貸したお金の返済の目途を聞いてみるか)

タイヘイ「おはよう」

アレックス「おはようございます、タイヘイ先輩」

タイヘイ「あれ? ボンバは?」

アレックス「本場先輩、今日有給取ったらしいですよ」

タイヘイ「え、そうなんだ」

アレックス「急ぎの用事とか何やらで…」

タイヘイ「ふーん」




タイヘイ(休みか…仕事終わったら電話してみるか)

―カウカウファイナンス




「「おはようございます、社長!」」

丑嶋「おう」


マサル「社長」

丑嶋「おう、マサル」


マサル「社長、言われた通り―――土間の写真を撮ってきました」

丑嶋「そうか、パソコンに転送しとけ。――柄崎!」

柄崎「はい、社長」


丑嶋「若い男性で、多重債務者の顔写真データをピックアップしておけ――全員だ」

柄崎「分かりました」



丑嶋「」スッ...

ピッピッピ!

プルルル!


丑嶋「おう、高田。本場の様子はどうだ?」

丑嶋「何、家から出てこない?」

丑嶋「一時間待っても、家から出てこないようであれば、電話しろ。絶対目を離すなよ」



プツッ



丑嶋「………ここからだぜ」ニヤ

―夕方


うまる「うまるっきかーーーーん!!」

うまる「うまる!急げ!こうしている間にも、進コレイベ終了時間が刻一刻と迫ってきている!」

うまる「1分1秒無駄する事は出来なーーいっ!」




うまる「」ハッ!

うまる「……」

うまる「うまる…ゲーム…してもいいのかな?」


うまる「……でも、今日の朝――」

『お前は、いつも通り、ぐーたらしていればいい』



うまる「――ってお兄ちゃんが言ってたし…いいよねっ!」

うまる「…待てよ? あの発言は、考えようによっては―」

うまる「今後は合法的に、ぐーたらしてもOK、とも捉えられるんじゃないだろうか?」

うまる「もしそうなら、うまるの快適人生生活を確約されたも同然…」

うまる「…と言う訳で、お兄ちゃんのお許しも出てるわけだし……やろう!」





うまる(…課金は流石にしないけどね)

うまる「~♪」ピコピコ


ピンポーン


うまる「ん?」

うまる「…誰だろう? 海老名ちゃんかな?」




トテ トテ トテ

ピタ!

うまる「」ハッ!



タイヘイ《最近物騒なのが多いからな。 誰か来たらすぐに玄関開けるんじゃなくて、 ちゃんとインターホン使うんだぞ》



うまる(そうだった…)

カチャッ!

うまる「どちら様…?」














「たぬきち、俺だ俺」



うまる「…誰?」

ボンバ『俺だよ、本場だ」


うまる「……誰」

ボンバ『名前覚えられてねーのかよっ!ひでぇな!ボンバだよ』


うまる「!」ハッ

うまる(ああっ!あのお兄ちゃんの友達のアフロの奴か!)


うまる「…お兄ちゃんなら居ないよ?」

ボンバ『へ、へぇー、そうなんだ~』

ボンバ『うーん、こ、困ったなせっかくアイス持ってきたのに…溶けちゃうなぁ』


うまる「…アイス?」ピクッ


ぼんば『あー、困ったなぁーせっかく美味しいアイス買ってきたんだがなぁ…』

うまる「ア、アイスなんて…そ、その程度の供物で、うまるの堅固な城塞の門が開かれる事は…」


ボンバ「…ハーゲンダッチ、溶けちゃうなぁ…。プリンとかもあるのに…」

うまる「!!!」ガタッ!



ドタ ドタ ドダ!!

ガチャ!!



うまる「何してるの?!早くアイスを避難させないと!!」

ボンバ「……おう」ニヤ

―ダイヤモンド・サービス


タイヘイ「はぁ…これからチェック作業か、残業確定だな…」ドンヨリ

アレックス「タイヘイ先輩」

タイヘイ「ん、なに? アレックス君」

アレックス「チェック作業、僕がやっておきますから、先輩は先に帰ってもいいですよ」

タイヘイ「ええっ、悪いよ」

アレックス「いやいや、いいですよ。大した量も無いですから僕に任せてください」

タイヘイ「いや…でも」

アレックス「先輩にはいつも世話になっていますし…たまには後輩らしいことさせてください」

タイヘイ「アレックス君…!」ジーン

アレックス「いえいえ…先輩、お疲れ様です」ニコ

タイヘイ「ありがとう。 お言葉に甘えて、お先失礼するね」





タイヘイ(たまには早く帰って、うまるに構ってやるか…)

―コーポ吉田 


うまる「適当にくつろいでいいよ」

ボンバ「おう…」

ボンバ「タイヘイは…まだ帰って来てないのか?」

うまる「帰ってないよ、残業で遅くなるって言ってt――って、アレ?」




うまる「って言うか、何でボンバーがここに居るの? お兄ちゃんと同じ会社だよね?」

ボンバ「」ギクッ




ボンバ「か、家庭の事情で今日休んだんだよ」

うまる「ふーん」

うまる「…」ソワソワ

ボンバ「?」

うまる(アイスっ!!アイスっ!!アイスっ!!)ブンブン

ボンバ「あ、ほらよ。 いっぱい買ったから、たくさん食べていいぞ」ガサッ



うまる「え、これ全部いいの!?」

ボンバ「おう」

うまる「う、うまるを餌付けしようたって…ボンバーの思惑通りになるとは思わないことだね」パリッペロペロ

ボンバ「フタ舐めながらそのセリフは全く説得力がねえぞ…」




ボンバ「………」




ボンバ「…たぬきち、ちょっとトイレ借りるな」

うまる「いいよっー!!」バクバク





ボンバ「……」キョロキョロ


ガタッ

ゴソゴソ...

ゴソゴソ...


ボンバ「……」

ゴソゴソ...

ゴソゴソ...



ボンバ(何処にあるんだっ…)アセアセ

ゴソゴソ...

ゴソゴソ...


『え~次は○○駅~○○駅~』



ガタン ゴトン
ガタン ゴトン

ギシ...ギシ...
モン...モン...

タイヘイ(朝のラッシュとまでは言わないが…やっぱこの時間帯も混むよなぁ…)

タイヘイ(…いつか痴漢冤罪に巻き込まれるんじゃないかってヒヤヒヤする…)

タイヘイ(…夕飯、何にしようかな)



タイヘイ(あっ、そういえば、ボンバに電話するんだったな…忘れた)スッ

ヴヴー!ヴヴー!


ボンバ「ひゃっ…!!」

ボンバ「ちゃ、着信…? だ、誰…?」スッ・・・


着信:【土間タイヘイ】


ボンバ(何だ…タイヘイか)ホッ

ボンバ(無視だ、無視。 電源切っとこ)プツッ

ボンバ(今、お前に構ってる暇はねーんだよ!)



ゴソゴソ...

ゴソゴソ...









うまる「ボンバー、そこで何してんの?」





ボンバ「っ――!!?」ドキッ

ボンバ(み、見られた?!)


うまる「……?」キョトン


ボンバ(気づかれてない…?)



ボンバ「こ、これは…その、だなっ…!」アセアセ

うまる「…?」

ボンバ「ス、ストレッチだっ!最近、五十肩が酷くてだな…こうやってタンスを押してストレッチをしてたんだ」グッグッ!

うまる「そなの?」

ボンバ「あ、あぁ!」



ボンバ「そ、それよりも。 ア、アイスもう食べ終わったのか?」

うまる「うん」

ボンバ「……」

うまる「」ソワソワ




ボンバ「…プリンも食べていいんだぞ?たぬきち」

うまる「その言葉を待っていましたっ!!」ピュー!


ぼんば「ふぅ…」

ぼんば「…」



ゴソゴソ

ゴソゴソ





チャラララー!!




ボンバ「っ?!」ビクッ










うまる「もしもし。 あっ海老名ちゃん?どうしたの?」ウマルーン






ボンバ(たぬきちの携帯電話か…驚かせやがって…)ホッ

ボンバ(だが、好都合だ…たぬきちが電話で気を取られてる隙に…)


ゴソゴソ...

ゴソゴソ...


ボンバ(クソッ…しかし、タイヘイの野郎…何処に仕舞ってるんだ…?)

ボンバ(早くしねえとタイヘイが…!)

スタスタ

スタスタ

タイヘイ「…」

タイヘイ「…ん? あれは…」




海老名「――それでね、今日商店街の福引きで温泉旅行当たったんだよ~」

タイヘイ(海老名ちゃんか。 電話で誰かと話してるみたいだし…邪魔するのは悪いか)

海老名「そ、それでもしよかったら…――あっ」

タイヘイ「…」ニコ

海老名「~~っ」ペコ

タイヘイ「」フリフリ



スタスタ

スタスタ




海老名「……」プシューー

海老名「あっ!ごめんね、うまるちゃん!…それでね――」

ボンバ(―――あった…あった!!)

ボンバ(やっと…見つけたぜ…!!!)

ボンバ(ここにはもう用はねぇ、タイヘイが帰って来ない内に…)



ガチャッ



ボンバ「たぬきち、俺、もうそろそろ帰r――」



うまる「うん、えっ!?本当!?」


ボンバ(まだ電話してたのか…)

ボンバ「……!」ジ...

うまる「へぇ!凄いね!海老名ちゃん!」






ボンバ(……生足)モンモン

うまる「温泉かぁ…いいなぁ。私最近行ってないな~」ゴロゴロ














ボンバ「―――…」ゴクリッ











うまる「うん。…えっ!いいの?!」

うまる「お兄ちゃん?どうかなぁ、でもお兄ちゃん爺臭い処あるからもしかしたら…」







ボンバ「はぁ…はぁっ…ッ…」ジリ..ジリ..

―コーポ吉田前


タイヘイ(ボンバの奴、電話繋がらないなぁ…)

タイヘイ(まぁ…明日また掛け直してみるか…)



コツ コツ コツ



タイヘイ(……)

タイヘイ(…しかし、本当にきっちり返してくれるんだろうな? あいつ…)

タイヘイ(もし―――…いや、親友を疑うなんて最低だ…。 ボンバを信じよう)


タイヘイ(はぁ…今日も疲れた)スッ...




ガチャッ!

ボンバ「ハァ、ハァッ…!」ジリジリ


うまる「シルフィンさんときりえちゃん、そしてお兄ちゃんも入れて5人か~」





ボンバ「フーッ!フーッ!」ムラムラ


うまる「え? お兄ちゃん? あはは、大丈夫だよっ。 だってうちのお兄ちゃん彼女いない歴=年齢だよ?」









ボンバ(…す、すっげぇいい匂いがする…)


ボンバ(ハァ…ハァッ…た、たぬき――う、うまるちゃん…)












ボンバ(―――ヤりたい)















うまる「まぁ、とりあえずお兄ちゃんにも伝えておくね」


ボンバ「ハァッ…ッハァ…!…フッー!」スッ...





――ガチャ!






ボンバ「っ――!!?」

ボンバ(タ…タイヘイが、帰って…きた?)サー


ボンバ(どっ、どうする!?不味いぞ…不味い…どうすればっ…!)

ボンバ(隠れてやり過ごすかっ!? いや、たぬきちが居るんだ…急に俺が居なくなれば怪しまれるっ…!)



うまる「え~? そんな事ないよ~♪海老名ちゃんだってスタイルいいよね~」



ボンバ(たぬきちを口封じに脅して、窓から逃げるか―――?!)

ボンバ(いや、待て待て待てっ! 何を考えているんだ…俺は?!)

ボンバ(タイヘイの帰りを待っていた…と、何食わぬ顔で言えばいいだけの話じゃないかっ…)

ボンバ(冷静になれ…冷静になれっ…俺!)






タイヘイ「ただい…――あっ」ピタッ

タイヘイ「夕飯買ってくるの忘れてた…」

タイヘイ「はぁ……戻るか」クル



バタン...

――バタン




ボンバ(―――来るっ!?)


ボンバ「はぁッ…はぁッ…!」ドキドキ




コツ…コツ…コツ…



ボンバ(階段の音…?)

ボンバ「」ソー...チラッ



タイヘイ「」スタスタ



ボンバ(・・・んんっ!?)

ボンバ(たいへいの奴…家に帰らずどこ行ってんだ…忘れ物でもしたのか…?)

ボンバ「………」

ボンバ「はぁ~…!」ドサッ



ボンバ(あ、危なかった!マジで危なかったッ…! マジで心臓にワリィっ…!))

ボンバ(もし…あのまま、事に及んでいたら…ッ…)

ボンバ(確実にバレてた!マジやべぇよ…!)




うまる「うん、分かった。楽しみにしとくね!海老名ちゃん!」




ボンバ「……」

ボンバ(…クソッ。 やばかったが…惜しかった、な)



ボンバ(クソ…気分が削がれた…)シナシナ

ボンバ(いつタイヘイが戻ってくるか分からねぇ…さっさと帰――)



ボンバ「!」ハッ



ボンバ(そういえば、探してるときに…)

ボンバ(―――よしっ)ニヤリ

ボンバ(このタンスの中に……)

ゴソゴソ...

ボンバ(あった…。 ぐふふ…お宝…お宝)ギュウギュウ


ボンバ(…もうここには用はねぇ。 タイヘイが戻ってくるうちに…)







ボンバ「たぬきち、電話中悪いな。俺、帰るわ」


うまる「あ、うん。バイバイ―――あっ、ううん、こっちの話。 それでね、海老名ちゃん――」



ガチャッ



ボンバ「……」キョロキョロ

ボンバ(タイヘイは…居ないな…)

ボンバ「」タッタッタ!

ガチャッ


タイヘイ「はぁ~…疲れた」


タイヘイ「ただいま、うまる」

うまる「おかえり、お兄ちゃん。あっ、レアキャラドロップktkr!!」ピコピコ


タイヘイ(……ふむ)


タイヘイ(うまる、昨日の事で落ち込んでるかと思ってたが…そうでも無さそうだな)

タイヘイ(うん、これでいいんだ…)

タイヘイ(…欲を言えば、これを機にゲームも卒業してくれたら万々歳だったんだがな)

タイヘイ「…ん?」ピク

タイヘイ「こらっうまる! 何だ、このアイスの空は!」

うまる「ハーゲンダッチだよ? 知らないの?」

タイヘイ「そんなものは見れば分かる!…ったく、夕飯前にまた買い食いしやがって…」

うまる「お兄ちゃん、スイーツは別腹なんだよ?つまり、いくら食べたって、夕飯に差し支える事は――」

タイヘイ「もし残したら一週間野菜料理フルコース」

うまる「多少、少なかれ影響が出ると懸念されます」

タイヘイ「オイ」

タイヘイ「…ったく、こんな"高いアイス"を買って…」

うまる「!!」ビクッ

うまる「ち、違うよ! ボンバーが買ってきたんだよ! うまるじゃないよっ!!」アセアセ

タイヘイ「は? ボンバ?」

うまる「そうだよっ!ちょっと前に、ボンバーがアイス持って家に来たんだよ!」

タイヘイ「ボンバが来たのか…? 」

うまる「そうそう! うまるが買ったワケじゃないからね!!」





タイヘイ(あいつ、今日休んでたよな…)

タイヘイ(もしかして、借りたお金の事で、何かしらの用があったのかな…)

タイヘイ(もう一度、電話してみるか…)スッ


ピッピッピ

《お掛けになった電話は~》


タイヘイ(…やっぱ出ないか)

タイヘイ(とりあえず、明日会社で直接聞いてみるか)

うまる「う…うまるじゃないよっ?アイス買ったの…お兄ちゃん…」オドオド

タイヘイ「あぁ、分かってるよ」

うまる「」ホッ

タイヘイ「…」ジッ


タイヘイ(うまるの奴…お金の事で少し敏感になっているな)

タイヘイ(これからの事(月イチ返済)を考えると、"気にするな、お菓子くらい買ってもいい"って、言う訳にはいかないしな…)

タイヘイ(…ここは何も言わないほうがいいのか)




タイヘイ(…とりあえず今日練ったことを、クレカ会社に電話して相談するか)






ボンバ「……」スタスタ...








ボンバ(やってしまった…もう後戻りは―――出来無い)

ボンバ(―――許せタイヘイ)



ブロロロロ...キキーッ!


ウィーン...


丑嶋「おう、本場さん」

ボンバ「…あっ…"田"嶋さん」

丑嶋「ちゃんと持ってきたんだろうな?」

ボンバ「はい…言われた通り、持ってきました。土間の―――」







ボンバ「―――――実印と、身分証明書を」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年06月15日 (金) 13:13:37   ID: epTYV35T

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