朝潮「…司令官」 (17)
提督「忙しいから後にしてほしい。私は一刻も、早くFS作戦を成功させなければ」
朝潮「その、FS作戦についてです」
提督「…君を含め、作戦に参加しない者には待機命令を出している」
朝潮「誰かからの口出しをなるべくなくしたい、ということでしょうか」
提督「分かっているなら、速やかに自室へ戻りなさい」
朝潮「… …」
提督「…どうした?即答しないだなんて君らしくもない」
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朝潮「…恐れながら申し上げます。そのご命令、聞き入れる訳にはいきません」
提督「…」
提督「…今、何と?」
朝潮「ご命令には従えないと申し上げました」
提督「…どういうことだね?」
朝潮「どうもこうもありません。申し上げたとおりです」
提督「…繰り返しになるが、私は今忙しいのだ」
朝潮「承知しております」
提督「ならば聞き分けてくれたまえ」
朝潮「…承服しかねます」
提督「何故だね」
朝潮「作戦が失敗するのを看過するなど、私には出来ませんから」
提督「失敗する?私…いや、私達がか?」
朝潮「はい」
提督「何故そう断言出来る」
朝潮「今の連合艦隊は、作戦達成を急ぎ過ぎています」
提督「だからどうしたのだね。後一度攻勢をかければ、勝利は目前なのだ」
朝潮「… …」
朝潮「――もののふの、矢橋の船は速けれど」
提督「…急がば回れ、瀬田の長橋」
朝潮「…矢橋の船で、京の都に辿り着けますか?」
提督「…辿り着けるとも」
朝潮「そう思われるのでしたら、私の目を確り見つめていただきたい!」
提督「…」
朝潮「作戦に不安があるのでしょう?でしたら一旦、艦隊全員の意向を打診なされては…」
提督「… …」
朝潮「司令官っ!」
提督「…すまないが、それは出来ない」
朝潮「何故です!?」
提督「艦隊の誰もが皆、疲れている。その上、高速修復剤や給糧艦も底をつきかけていてはな」
朝潮「休む間も無く作戦を遂行していれば、そうもなります!ですから!」
提督「…だからこれで終わりにしたい」
朝潮「司令官!お待ちください、司令官!」
提督「皆の士気が尽きる前に、早く作戦を達成させなくては…」
朝潮「一番士気が尽きそうなのは司令官、貴方です!」
提督「…だからどうした」
朝潮「ここはどうか堪えてください。せめて資源を一定量確保してからでも…」
提督「くどいっ!」
バシッ!
朝潮「っ!」
提督「… …」
提督「…すまない」
バタンッ
朝潮「…」
朝潮「…どうしてなのですか、司令官……」
…結論から言えば、連合艦隊はFS作戦を完了出来なかった。
蓄積された隊員達の疲労、最短ルートでは安全な航行を確保出来ず迂回…そして、相次ぐ棲姫達との会合。
その悉くをかろうじて轟沈させはしたものの、作戦の最終目標である防空棲姫にはまるで太刀打ち出来なかった。
先の戦いで燃料、弾薬共に著しく不足していた為、この結果は当然のものと言えるだろう。
そして…
提督「…」
提督(…作戦失敗、か)
提督(あの時…朝潮の言葉に耳を傾けてさえいれば、こうはならなかったろうか)
提督(いや…今更悔やんだ所で詮無きことだ。誰も沈まなかったのは幸いだが、当分は作戦を遂行出来まい)
ガチャッ
提督「…」
朝潮「…」
提督「…朝潮」
朝潮「艦隊が無事帰還出来てよかった。今はそれでいいのではないでしょうか?」
提督「…そうだな」
□
提督「…何故止めようとしたのかね?」
朝潮「司令官のお姿に、ある大佐…少将の面影を見ました」
提督「…八十一号作戦の発案者か」
朝潮「はい。元の駆逐艦である朝潮は、あの無謀な作戦を強行して水面に沈みました」
提督「… …」
朝潮「そう気落ちなさらないでください。司令官は、決して全滅覚悟でご命令を下した訳ではないのですから」
提督「朝潮…」
朝潮「…それに司令官。気落ちなどなさっている場合ではないのです」
提督「?」
朝潮「今回の出撃で、燃料が底を突いてしまいました」
提督「なっ!?」
朝潮「ですから今は補給や入渠もかなわない状況です。連合艦隊の皆さんに、早く謝らないといけませんね」
提督「…ああ…うむ…まいったな、これは……」
無理な進撃、ダメ、ゼッタイ。
艦
HTML依頼出してきました
たとえ焦っても、>>8みたいに全棲姫と戦うなんて真似はしちゃいけません
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