一夏「楯無さんとデート?!」 (33)

立て直し


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更識楯無

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ーーIS学園ーー


楯無「――というわけで《一夏君と遊園地でラブラブッ!デート券》の当選者は簪ちゃんに決定しましたー!」ドンドン パフパフ


簪「や、やった……」


箒・セシリア・鈴・ラウラ・シャル「ぐぬぬ…….」


一夏「ちょ、ちょっと?!そんな話聞いてませんよ!」


楯無「うん言ってないからねっ!」


一夏「いや、そんな自信満々に言われても…」


楯無「いやー、いろいろ(襲撃事件、ワールドパージその他もろもろ)あって、おねーさんこの企画の事すっかり忘れてたよ。許してニャン」ニャーン


一夏「……もう全く、俺にも予定が」


簪「一夏……私と行きたくないの?」ウルウル


一夏「お、おい簪泣くなって…わ、分かりました。分かりましたよ!でも、楯無さん。今度からはちゃんと前もって伝えてくださいよ!」

楯無「うんうん、善処するよ。ほらほら五人とも。そんな怖い顔してないで。今回は平等に抽選で決めたんだから!」


五人「むぅ………一夏(さん)の馬鹿」


一夏「何でだよっ!」


簪「一夏と……デート…」タラー


一夏「お、おい。鼻血が。ちょっと動くなよ簪…」フキフキ


五人「?!」


箒「い、一夏….私も鼻血が…」


セシリア「わ、わたくしも鼻血が…」


鈴「い、一夏ぁ!鼻血が出たから拭きなさいよ!」


シャル「ぼ、僕も出ちゃったから拭いてほしいな…」


ラウラ「よ、嫁。私の鼻血を拭くのだ!」


一夏「ええ……?!」


ギャーギャー


楯無「ふふっ………青春ね…」


楯無「………」


楯無(私も一夏くんと……いや、行くべきではないよね。……うん、行くべきではないよ…)


楯無「…………はぁ」


簪「…………?」


簪(お姉ちゃん……?)

ーー遊園地デート前日ーー


楯無「――打鉄二式が故障?」


簪「うん……前の戦闘でのダメージが思ったよりも深かったみたい。ここじゃ直せないから明日、倉持技研まで行ってくる…」


楯無「ありゃ……じゃあ明日のデートは」


簪「凄く…残念だけど、行けない」ガックシ


楯無「そっか……うーん、じゃあチケットはどうしよかっな。使えるのは明日までだし、せっかくだからあの子達の誰かにあげようか――」


簪「………はい」スッ


楯無「え?」


簪「チケット、お姉ちゃんにあげる。お姉ちゃんが、代わりに行ってきて」


楯無「え……え、ええええ?!わたしが?!」

簪「….…お姉ちゃん、行きたくないの?」


楯無「え!?い、いや……………………その……」ゴニョゴニョ


簪「じゃあ、シャルロットさん達に渡してくる」


楯無「だ、駄目!!」ガシッ


簪「……分かった。じゃあ、はいこれチケット」


楯無「あ……」


簪「一夏には、私から伝えておくね」


楯無「……も、もう。分かったわよ。行ってくるわよぅ……。簪ちゃんの意地悪……」


簪「……」


簪(……お姉ちゃんも一夏の事が好きになっちゃったんだね)


簪(じゃあ、お姉ちゃんはライバルだけど……。でも…お姉ちゃんはいつも頑張ってるから…たまには楽しんできて……ほしい)


楯無「一夏くんと……デートかぁ…」ツー


簪「あ。お、お姉ちゃん…鼻血でてる」


楯無「へ?ほ、本当だ。や、やだなぁもう……!」アセアセ

ーーデート当日・待ち合わせ場所ーー

一夏「……………」


一夏(まさか楯無さんと行くことになるとは……。学園では色々お世話になってるけど、2人で出掛けるのは初めてだなぁ)


??「………」ソロ〜


??「だーれだ!」ガシッ


一夏「うわっ!ちょ、ちょっと?!」


楯無「えへへっ、お待たせっ。一夏くん!」


一夏「も、もう…楯無さんっ。驚かせないでくだ…………」


一夏「…………」


楯無「え。ど、どうしたの一夏くん。何か私についてる?」


一夏「あ……す、すいません。な、何でもないです」


楯無「んー、何か気になるなぁ。おねーさんに隠し事は良くないぞ?ほら、キリキリ白状したまえ!」


一夏「い、いや……楯無さんの私服姿…初めてで……その、何というか…可愛いなって……」


楯無「へ?………………….か、可愛い?かかか、可愛い?!え、えっと……あ、あ、ああありがとうございました?!」ワタワタ


一夏「ち、ちょっと。落ち着いてください。言葉使いがおかしくなってますよ?」

一夏「ほ、ほら。深呼吸しましょう。吸ってー吐いて…」


楯無「そ、そうだね。すぅー、はぁー。すぅー、はぁー………ふぅ」


楯無「……………一夏くん」


一夏「はい?」


楯無「…デコピン」ビシッ


一夏「痛っ!ち、ちょっと.。痛いですよ、楯無さん…」


楯無「おねーさんをからかった罰だよっ」ニシシ


一夏「別にからかった訳じゃ……」


楯無「ま、いいさ。じゃあ、そろそろ行こうか。今日は学校外だからね。一夏くんがおねーさんをエスコートしておくれよ?」


一夏「…頑張ります」


楯無「うんうん。よろしいっ。じゃあレッツゴー!」

とりあえず前の分。少し休憩する。
10巻出たんだからISSS増えてくれよなー頼むよー

ーー遊園地ーー


一夏「ふー、到着っと。うーんやっぱり休日だから混んでますね」


楯無「………」キラキラ


一夏「…?おーい、楯無さん?」


一夏(何か物凄くキラキラした目で遊園地を見ているな…)


楯無「……はっ!ご、ごめん。つい」


一夏「どうかしたんですか?」


楯無「いや……….実は遊園地来るのおねーさん初めてなんだよね。いやー、実物はなんか凄いね…」キラキラ


一夏(ああ、楯無さんは更識家の令嬢だもんな。こういう場所には縁が無かったのかも…)


楯無「一夏くんは、こういう所に良く行くの?」


一夏「中学生の時に何度か行きましたけど…IS学園に入学してからはないですね」

楯無「…ちなみに中学生の時とは誰と行ってたの?」


一夏「えっと弾とか………男友達とですけど」


楯無「ふ、ふーん。そ、そうなんだ」


楯無(これって、もしかして私が一夏くんとの初遊園地デート相手///)


一夏「?」


楯無(……まあ一夏くんは微塵も意識してなさそうだけどね。あの娘達苦労するのも分かるわ…)ハァ


楯無「………一夏くんのバカ」


一夏「えぇ?!何ですかいきなり…」


楯無「何でもないわよ……。さあ行きましょう」


一夏「…?そうですね。……あ、そうだ。楯無さん。」


楯無「うん?どうかし…」


一夏「良かったら手を繋ぎますよ」スッ


楯無「へ?……え、ええええ?!」

楯無(な、何。て、手を繋ぐ?!これはまさか……)


一夏「初めての時ははぐれやすいですからね。俺も初めての時は千冬姉と繋いで歩いたんですよ」


楯無(ですよねー…)ガックシ


楯無「…………はぁ」


一夏「楯無さん?」


楯無「…まぁ今はそれで良いわ。ほい、はぐれないようにおねーさんのエスコートをお願いします」


一夏「は、はい」ギュ


楯無「あ……….」


楯無(一夏くんの手……あったかくて大きい///)


楯無(これは、破壊力抜群だわ///)


一夏「じゃあ行きましょうか」


楯無「う、うん…///」

楯無「ねぇねぇ!あれは何!」


一夏「ちょ、ちょっと落ち着いてください」


一夏(凄いはしゃぎようだなぁ)


楯無「あ!あんなところに馬がいる!」


一夏「あれはメリーゴーランドですね。馬に乗ってあの中を回るんですよ」


楯無「ほほう。遊園地では乗馬もできるんだねぇ」キラキラ


一夏(凄く乗りたそうだ…)


一夏「じゃあ、先ずはあれに乗りますか?」


楯無「うんうん!乗ろう!今すぐ乗ろう!」グイグイ


一夏「わ、分かりましたから。そんなにひっぱんないで下さい…」

楯無「へー、これは作り物の馬なんだね。凄くキラキラしてるねぇ」


一夏「俺も乗るのは久し振りですよ」


楯無「乗馬は何度かした事あるけど、こんなキラキラした馬に乗るのはおねーさんも初めてだよ。一夏くんは乗馬した事はあるかい?」


一夏「うーんないですね…。でも中々楽しそうですよね」


楯無「うん。馬の力強さを感じながら草原を駆けるのは、ISとは違った味があるんだよねぇ。……も、もし良かったら今度教えてあげても……」


一夏「あ、いいですね。みんなで牧場に乗りに……」


楯無「………」ドスッ


一夏「痛いっ!いきなり何ですか……」


楯無「何でもないですよーだ」ムスー

一夏「あ、俺たちの番が来たみたいですよ。どれに乗りますか?」


楯無「んー、そうだね…。あ……….…こ、これ。これがいい!」


一夏「えーと、二人乗り用…….ええっ!二人乗りですか?!」


楯無「….……ダメ?」


一夏「い、いやまあ。楯無さんが良いなら…」


楯無「じ、じゃあ乗ろうか。私が前に乗るね」ヨイショ


一夏「う、後ろ失礼します」


楯無「うん………///」


一夏「……….…」


楯無・一夏(….ち、近い///)


ジリリリリリッ デハウゴキマース!カドウチュウハアトラクションカラオリナイヨウニオネガイシマース!


一夏「お、始まりましたね」


楯無「あ…….け、結構速いのね」

一夏「確かにここの遊園地のはちょっと速めですね。落ちないようにちゃんと捕まってて下さいよ」


楯無「う、うん」


楯無(ち、近過ぎでしょ…。せ、背中から一夏くんの鼓動が聞こえるわ)ドキドキ


楯無(や、やばい。これはヤバすぎるわ…)


楯無「あ………」ズルッ


楯無(やば…落ち――)


一夏「楯無さん?!」ガシッ


楯無「あ…ご、ごめん一夏くん」


一夏「もうっ、危ないですよ!ちゃんと捕まってて下さい!」ギュッ


楯無「は、はい///」

ーーーー
ーー


一夏「メリーゴーランドも久々に乗ったら、中々面白かったなぁ」


一夏(事故だけど…楯無さん柔らかかったな….…)


楯無「そ、そうね…///」


楯無(私とした事が…頭が真っ白だったわ)


楯無(落ち着け…落ち着くのよ私///)


一夏「……楯無さん大丈夫ですか?顔が真っ赤ですよ?もしかして体調が悪いんですか?」


楯無「え?!あは、あはは大丈夫大丈夫!万時オールオッケー問題無しよ!」


楯無(そろそろお姉さんとしてのイニシアチブを取り戻さないと…)


一夏「ならいいですけど。えーと、次は何に….」


楯無「ん?ねぇねぇ一夏くん。あの高い場所にレールが張ってあるのは…もしかしてジェットコースターかしら」


一夏「そうですよ。えーと何でもあれは日本最恐ジェットコースターらしいです」


楯無「へー。これはIS学園最強として乗るしかないわね….」


一夏「乗るん…ですか?」


楯無「ん?あーもしかして…一夏くんジェットコースター苦手なのかしら」ニヤニヤ


一夏「実はあんまり得意じゃないんですよ…」


楯無(ジェットコースターが怖いなんて一夏くんもかわいい所があるじゃない…)

ーーーー
ーー

楯無「おー近くで見ると中々高いわね。この上まであの滑車が昇るわけか」


一夏「はい。あの上から下まで落ちる角度が物凄いんですよ」


楯無「まあでもIS乗りだと急降下は慣れてるからねえ。そんなに怖くはなさそうだけど…」


一夏「うーん…ISに乗っている時とはまた違うと言うか…」


楯無「もうっ!何をそんなにびびっているのよ…よーし、じゃあより怖がっていた方が一つ言うことを聞くって事で!」


一夏「ええっ!そんなぁ…」


楯無「もうおねーさん決めちゃったからね!勝負だよ、一夏くん!」


ーーーー
ーー


楯無「先ずはこの安全バーを下げるのね」ワクワク


ガチャッ


一夏「うう……」


楯無「ふふ、残念だけどもうロックしてしまった以上逃げれないわよ。観念するのねっ」


ジリリリッ ガタン


楯無「あ、動き出した」


一夏「またこのゆっくり上がって行くのが怖いんですよ…」


一夏「ああ….高いなぁ」


楯無「け、結構揺れるのね…」


楯無(あ、あれ。なんだろう…上がるにつれて体が震えてきた)


楯無(い、いやいや。こんな高さISで何度も経験してるじゃない。怖いはずが…)


楯無(か、風が…。絶対防御がないから凄く直に感じるわ)


楯無(……絶対防御がない?絶対防御がないのに……この高さから急降下するの――――)


楯無「あ、ああああ……」ガタガタ


一夏「た、楯無さん。そろそろですよ」


楯無「い、一夏くんたすけ――――」

ーーーー
ーー


楯無「ひぐっ………ひぐっ………ううっ」グスッ


一夏「だ、大丈夫ですか?み、水です」


楯無「あ、ありがどう……うぐっ…ううっ」ゴクゴク


一夏「すいません。俺が止めとくべきでした」


楯無「いいのよぅ……わだしが乗りたいっていったんだからぁ…」


楯無(あ、あんなに怖いなんて思わなかったわ……。ジェットコースター…今後の課題ね)


楯無「そうだ。や、約束通り何でも言うこと聞くわよ。何でも言いなさい…」


一夏「そんな、いいですよ」


楯無「だめよ。ここで断られたらおねーさんの沽券に関わるわ!さあ、一夏くんの欲望のままに命令を!」ヤケクソ


一夏「えぇ……。うーん….…あ。じゃあ、次はアトラクションじゃなくてあの水上ショーって言うの見に行きたいです」


楯無「へ、そんなので良いの?」


一夏「はい」


楯無「えー、なんか納得いかないな。おねーさんはもっとパッション溢れる命令を…」


一夏「じゃあもう一度ジェットコースターに」


楯無「よしっ!水上ショーへGO!」ダッ

楯無って誰だっけ?
もう前すぎてどんなやつだから覚えてねーや


楯無「ふんふん、何々。水上のイリュージョンショー?」ワクワク


一夏「結構有名みたいですよ。ここ」


楯無「《霧纏の淑女》として、このショーは見逃せないわね…」


一夏「あんまり関係ないような…。あ、そうだ。水が飛んでくるみたいですから、この河童とビニールを渡されましたよ」


楯無「要するにこれは水に対する絶対防御ってやつね!」フンスッ


一夏「まあそうなの……かな?」


一夏(楽しそうだなぁ。楯無さん)

ーーーー
ーー

楯無「うわー!凄い凄いっ!」


楯無「ねぇねぇ!あれ、どうやってんだろうね!」


一夏「さ、さぁ。どうなんでしょう?あ、水が来ますよ!」


楯無「きゃあっ!」


ビシャー!


一夏「うわっ。結構くるなぁ…」


楯無(……….!いい事思いついちゃった。《ミステリアスレイディ》を使って水の量と方向を…)


ザバーン!


一夏「え…….うわっ!何か凄い量の水がこっちに!た、楯無さん危ない!」ガシッ


楯無「へっ?」


ドビシャーン!


一夏「……い、今のは凄かったですね」ポタポタ


楯無「う、うん。あの……一夏くん。庇ってくれたのは嬉しいけど……そ、その。手が……胸に」ポタポタ


一夏「へ……」ムニュリ


一夏「あ。す、すいません!」バッ


楯無「あ、い、いいの。庇ってくれたのは…凄く……嬉しかったから…///」


楯無(ちょっと脅かすだけのつもりだったのにまさか庇ってくれるなんて///)

>>19アニメだと二期からしかでないから多少はね?

ーーーー
ーー


一夏「ビショビショになっちゃいましたね…」


楯無「うん…」


一夏「下はそんな濡れてないから……お土産屋さんで上着だけでも買いましょうか」


楯無「そ、そうだね」


ーーお土産屋さんーー


一夏「うーん、あるにはあるけど…なんか、個性的ですね」


楯無「一夏くん。そこは素直にダサいって言っても良いんだよ…」


一夏「うーんどうしましょうか?」


楯無「そうだねぇ…………は!」


楯無(も、もしかしてこのダサいTシャツを買えば一夏くんとペアルック?!)


一夏「やっぱりやめま….」


楯無「か、買おう!これっ!ほら、早く!」


一夏「えっ、でもダサいんじゃ」


楯無「何言ってるの?!一夏くんにはこの芸術的なデザインがわからないのかい?!」


一夏「ええ……ま、まぁ楯無さんが良いなら…」


一夏「よし、善は急げだ!」


ーーーー
ーー


一夏「地味に高かった……」


楯無「ふんふんふーん」ニコニコ


一夏「すいません楯無さん。こんなのを着る羽目になって…」


楯無「え?い、いやあ。まあ、仕方ない仕方ない!落ち込むな、少年!」ニコニコ


楯無(ペアルックで遊園地とか、これは完全に…….///)ドキドキ

楯無「ま、まあここだけの辛抱だよ。流石に戻って着るのは私でも恥ずかしいかな」


一夏「そうですね……帰ったら直ぐ着替えましょう」


楯無(帰ったら着替える……そうなんだよね。これを着ていられるのは、今だけなんだよね……)


一夏「…どうしました楯無さん?」


楯無「い、いや何でもないよ。ほら、時間が惜しいから早く行こう!今日は全部回るんだから!」


一夏「ぜ、全部ですか?それは無理なんじゃ…」


楯無「男の子なんだからつべこべ言わないの!さ、行くよ!」


ーーーーーーーー
ーーーー
ーー


楯無「ふぅー、遊んだ遊んだ」


一夏「まさか周り切れるとは思いませんでしたよ……」


楯無「来たからには完璧に堪能し尽くさないとね!」


一夏「あはは……。暗くなってきたし、時間も丁度良いですね。そろそろ帰りますか?」


楯無「んー、まだメインディッシュが残っているのよ。ほら、あれにのってないでしょ」


一夏「ああ、観覧車ですか。良いですね、乗りましょうか」


楯無「ええ!」

ーー観覧車ーー


楯無「うわー……夜景が綺麗……」


一夏「晴れていたから月も綺麗に出てますね」


楯無「うーん、これは簪ちゃんにも見せたかったな」


一夏「この個性的なシャツはみせられませんけどね…」


楯無「あはは。たしかに……」


楯無「…….今日は楽しかったな。一夏くんはどうだった?」


一夏「俺ですか?もちろん楽しかったですよ。楯無さんの色んな顔を知れたというか」


楯無「ジェットコースターの件は他言無用で。さもないと一夏くんの成績が何故か下がる事でしょう」


一夏「え、ええ?!い、言いませんよ」


楯無「あはっ。冗談、冗談よっ」ケラケラ


一夏「目が笑ってませんでしたよ…」


楯無「だけど今日は色々あったなぁ….。まさかあんなに大泣きするとは思わなかったし」


楯無「こんなダサいシャツを着る事になるとは夢にも考えなかったよ」


一夏「俺もですよ…」


楯無「あははっ。まあ良い思い出だよね」


楯無「………………そうだ。一夏くん、男女二人で観覧車といったら、アレをやらなきゃいけないと思わない?」


一夏「な、何をですか?」


楯無「それはもちろん….…キ・ス」


一夏「え?ええええ!?」

楯無「最後の観覧車でキスは、遊園地デートでの決まりなのよっ!さあ、観念して目を瞑ってっ」


一夏「ちょ……た、楯無さん……」


楯無「いくわよ――」









コツンッ







一夏「……へっ?」


楯無「……冗談よ。冗談。幾ら何でもそこまでおねーさんは獣じゃないわよ」


一夏「も、もう。からかわないで下さいよ」


楯無「ふふ。つい、ね。まあでも本気で抵抗しなかったって事は、おねーさんに気があるって事なのかな?」


一夏「……え?あれ……た、楯無…….さん?」


楯無「まあ、おねーさん的にはやぶさかではないけどさ。でも国とか色々と問題があるというかー」アハハ


一夏「楯無さん……」


楯無「でも本気なら愛は国を超えるっていうし、うーんどうしたもんかなー」


一夏「楯無さん!!」


楯無「…………」ビクッ


楯無「な、何かな……」

一夏「――何で………何で、笑いながら泣いているんですか」


楯無「あっ………」ツー

楯無「あは、あはは……ほんとだ。私泣いてるね……」ツー


楯無「ダメだな…….これじゃあ帰りたくなくて泣く駄々っ子みたいだよ…」


楯無「ごめんね一夏くん…すぐ泣き止むから…」グスッ


一夏「楯無さん………泣いた理由。聞かせて下さい。このままじゃ俺、楯無さんを帰せないです」


楯無「…………」


楯無「私……帰りたくないんだ。帰ったら更識楯無に戻らなくちゃいけないから…」


一夏「え……」


楯無「この前さ、一夏くんが私の事助けてくれたの覚えてる?」


一夏「えっと…はい、学園が攻撃された時の事ですよね」


楯無「そう。あの時、お腹に一発もらって攫われそうだった所を一夏が助けてくれた………。実はね、あれ一夏くんに助けてもらわなくても大丈夫だったんだ」


一夏「え!?で、でも楯無さんは血だらけで…」


楯無「これ、見て」ガバッ


一夏「うわっ。ちょ、ちょっといきなりなんでお腹を………あれ?」


楯無「綺麗まっさら。まるで銃に撃たれたなんて分からない、でしょ?」


一夏「は、はい」


楯無「私ね、普通の体じゃないんだ。ナノマシンその他諸々が詰まった丈夫な体。だからあの時も直ぐに自然治癒してIS再展開。それで終了よ」


一夏「ええ……….」


楯無「立場上、敵も多いからね。あれぐらいでくたばっちゃ楯無は務まらないって事なんだよ」


楯無「そりゃあ痛くなかったかと言われれば死ぬほど痛いさ。でも、何時もの事だから今更泣いたり、ましては誰かの名前なんで呼ぶ訳がない。その筈だったのに………あの時、君を呼んじゃったのさ」


一夏「あっ……」


楯無「無意識の内に呼んでたのよ。君と関わるうちに、心にずっと押さえ込んでいた《刀奈》が出ちゃってたんだろうなぁ……。おねーさん一生の不覚だよ…」


一夏(刀奈….楯無さんの本当の名前)


楯無「あの時からなんかおかしくなっちゃったんだ。今まで苦しくなかった更識楯無としての任務が辛くなってきたの。死ぬのが怖いし、痛いのも嫌になってきちゃった…」ツー


一夏「楯無さん…」


楯無「多分……君のせいなんだ。だから、離れようとしたのに…こんな遊園地デート…」


楯無「見せたこともない泣き顔をして、こんな着たこともないダサいシャツを着て笑って……。こんなの……こんなの耐えられるわけないじゃないっ!」


楯無「私、帰りたくないっ…….。更識楯無じゃなくて《刀奈》でいたいよっ……うっ…うっ…うわあああああ….…」


一夏(楯無さん…….)


一夏(俺に……俺に出来る事…….は)

一夏「楯無さん……少し、昔の。俺と千冬姉の話をしますね」


楯無「………織斑….先生の?」


一夏「千冬姉….ブリュンヒルデなんて呼ばれて、今じゃ鬼教官だけど…昔は良く泣いていたんです」


楯無「織斑先生が…?」


一夏「はい。といっても人前はおろか、唯一の家族である俺の前でも泣いたことはありませんでした」


一夏「だけど…ある日たまたま見てしまったんです。深夜….一人で泣きじゃくる千冬姉を…」


一夏「今思えば酷い話だと思いますよ。両親は無く、たった一人で俺を養いながらブリュンヒルデの重圧と戦う。一人の少女に背負わせるもんじゃない…….」


一夏「でも、当時の俺が千冬姉の立場を変えられる訳がなかった。弱いただ一人のガキに何が出来るわけでもないですからね……」


楯無「一夏くん….」


一夏「だから….…俺は決めたんです。俺の前にいるとき、千冬姉はブリュンヒルデじゃなくて、ただの一人の姉で居れるようにしようって….」


楯無「ブリュンヒルデじゃなくて…….一人の姉」


一夏「家事を覚えたり……千冬姉が千冬姉で居られる場所を守ろうと俺はがむしゃらにやりました。実際に千冬姉にとってどうだったかはわかりませんが……」


楯無(ああ……一夏くんの優しいのルーツが分かった気がするわ….)


一夏「でも、その人の居場所。心の拠り所を守る大切さが分かった気がしたんです」


一夏「だから楯無さん…千冬姉の次は、楯無さん…《刀奈》の居場所を守らせてくれませんか?」


楯無「へ?」


一夏「俺じゃあ、楯無さんの立場や責任を変えることは出来ません。痛みや苦しみを肩代わりすることもできない。でも、でも……楯無さんが《刀奈》で居られる場所にはなれます」


楯無「ほ、本当に……。一夏くんの前では楯無じゃなくて良いの…?」


一夏「はい、それが俺に出来る事ですから…」

楯無「…….…….…….じゃあ泣くね」


一夏「はい、いいですよ《刀奈》」


楯無「うっ…………うわあああああああああああぁぁぁぁ――――」


ーーーー
ーー


ーー帰り道ーー


楯無「うわー、目がすっごい真っ赤だなぁ。明日なんて言い訳しよう……一夏くんにいじめられたっていいふらそうかな?」


一夏「ちょ、ちょっと勘弁してくださいよ」


楯無「あはは、冗談だよっ。そんな困った顔しないで。まあでも女泣かせなのは事実じゃない?」


一夏「す、すいません……」


楯無「謝るってことは自覚があるのかなぁ?」ウリウリ


一夏「もう、からかわないで下さいよ…刀奈さん」


楯無「か・た・な。さんはいらない!」


一夏「は、はい。えーと刀奈…」


楯無「はぁ….….さっきは自然に呼んでくれたのに」


一夏「すいません…」


楯無「ふふ……まあいいわ。ねぇ、また来年。同じ日に行きましょ!同じ服を着てね!」


一夏「え、いいですけど。何で来年なんですか?」


楯無「それは…今日が記念日だからよっ」


一夏「へ?」


楯無「あ、電車来ちゃう!ほら、急いで一夏くんっ」


一夏「あ、刀奈。待って下さいよ!」


楯無(ふふ…責任とってもらうんだからっ!)


ーー完ーー

ちょっとオチがこじ付けくさいけど、おしり。楯無さんはデレ前の方が好き。あと半デレ期間が欲しかった

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