エレン「告白しようと思う。」 (31)

ミカサ「今・・・何と・・・?」

エレン「だからさ、告白しようと思うんだ。二度も言わせんな。でさ・・・。」

ミカサ(ああ、ついに、エレンが私に告白・・・。)

ミカサ(わかっていた、わかっていたけど、改めて言われるとなると、ああ・・・。)

ミカサ(宣言してから告白するなんて・・・、なんだか可愛い・・・。)

ミカサ(大丈夫、私はエレンを受け入れる。そもそも私はエレンのもの!)

エレン「・・・なんだけど・・・、おいミカサ、聞いてるか?」

ミカサ「はっ、ごめんなさい、何だっけ?」

エレン「だからさ、どう告白していいかがわからないんだ。」

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ミカサ「そういうのは、男らしくストレートに好きだと言うといい。」

エレン「そういうものなのか?」

ミカサ「そういうもの。」

エレン「じゃあ、次に、どういうシチュエーションで言えばいいんだ?」

ミカサ「シチュエーション?」

エレン「ああ、雰囲気って大事だろ?だからムードあるところで言いたいな。」

ミカサ(エレン・・・、そこまで考えてくれるなんて・・・。優しい・・・。)

ミカサ「それは・・・、ドキドキするようなところで言えばいいのでは・・・、吊り橋効果で・・・。」

エレン「吊り橋効果って、緊張のドキドキを恋のドキドキと勘違いしちまうってやつか?」

ミカサ「そう、例えば、シャワー室とか・・・。」

エレン「ええ!俺が女子のシャワー室に入るのか!?」

ミカサ「絶対驚くし、その状況では胸が高鳴ってしまう。」

エレン「そ、そうか・・・。」

エレン「ちょっと待て!シャワー室って、普通裸でいるだろ!」

ミカサ「そうだけど・・・。」

エレン「そんなところで告白したら・・・、いや告白以前に嫌われるに違いねえよ!」

ミカサ「そんなことはない。」

エレン「そんなことあるって!」

ミカサ「もし叫んでしまうことがあれば、その唇をふさげばいい。」

エレン「ふさぐって・・・、まさか・・・。」

ミカサ「そう、キスをする。」

エレン「シャワー浴びてるところに侵入して、しかもキスまでするって、変態じゃねえか!」

ミカサ「相手が了承していれば問題無い。」

エレン「そんな確証無いだろ!」

ミカサ「大丈夫、エレンが告白してきて、拒むことはしない。」

エレン「なんでそんなことがわかるんだよ!」

ミカサ「・・・それは・・・、両想いだから・・・。」

エレン「・・・え?」

ミカサ「両想い・・・だから・・・。」

エレン「そうだったのか・・・。」

ミカサ「そう、だから何も恐れることはない。」

エレン「そうか・・・、じゃあもっと先のこともしていいのかな?」

ミカサ「先のこと?」

エレン「ああ、ほら、お互いシャワー室で裸でいるんだから・・・、な?」

ミカサ「あっ・・・、いいと思う・・・。」

エレン「本当にいいのかな・・・?」

ミカサ「大丈夫・・・。」

エレン「わかった。じゃあ明日告白するよ。」

ミカサ「うん。」

エレン「じゃあ、おやすみ。」

ミカサ「おやすみ。」

ミカサ(ああ・・・、明日ついにエレンと・・・。)

エレン(まさか両想いだったなんて・・・、でもなんでミカサが知ってたんだろう?)

~翌日~

エレン「・・・・・・。」

ミカサ「・・・・・・。」

アルミン「どうしたの二人とも、今日はやけに静かだね。」

エレン「そ、そんなことねえよ!」

ミカサ「そんなことない!」

アルミン「わっ!ちょっと、急に大声出さないでよ。」

エレン「ああ、すまない・・・。」

ミカサ「・・・・・・。」

アニ「私、シャワー浴びてくるよ。」

ミーナ「いってらっしゃい。」

ミカサ「私も!シャワーを浴びる!」

アルミン「ちょっとミカサ。そんなこと大声で言わなくてもいいよ。」

ミカサ「ご、ごめん。」

エレン(サンキュー、ミカサ!これで俺も自然にシャワーを浴びにいける!)

エレン「じゃあ、俺もシャワー浴びようかな。」

アルミン「あっ、じゃあ僕も・・・。」

ミカサ(そうだ!アルミンにも協力してもらおう!)

ミカサ「ねえ、アルミン。」

アルミン「なんだい、ミカサ。」

ミカサ「ちょっとお願いがある。」

アルミン「なに?」

ミカサ「エレンは大事な用事でシャワー室に行かない。でもいることにしたいから、アルミンはその証人になって。」

アルミン「えっ、シャワー浴びにいくのに、シャワー室にいないの?」

ミカサ「・・・これは親友だから話すのだけど・・・、今日は私とエレンが結ばれる大事な日・・・。」

アルミン「結ばれる・・・シャワー室・・・ミカサとエレン・・・、はっ!」

ミカサ「流石はアルミン、察しがいい。」

アルミン「わかったよ、ミカサ。任せておいて。」

ミカサ「頼もしい。」

アルミン(そうか・・・、ミカサとエレンがついに・・・。)

アルミン(僕もようやく胃痛から解放されるんだ・・・。)

アルミン(僕も自分のことに集中しないとな・・・。)

アルミン(いつか君を振り向かせてみせるよ・・・、アニ。)

~シャワー室~

ミカサ(ついに、この後、エレンと・・・!)

ミカサ(エレンは今外で待っている・・・。タイミングよく中に入れないと・・・。)

アニ「どうしたのミカサ、外に何かいるの?」

ミカサ「いや、何でもない。」

アニ「ふうん。」

ミカサ(アニがシャワーを浴びている。エレン、今がチャンス!)

ミカサ「ごほん!ごほん!」

エレン(このわざとらしい咳・・・、そうか、ミカサ!)

ミカサ(これで伝わったはず。後はシャワーを浴びながらエレンが来るのを待っていよう・・・。)

エレン(さて、ゆっくり入ってっと・・・。しまった!湯気で何にも見えない!)

ミカサ(はっ、この湯気では間違ってアニのところに行ってしまう可能性がある!)

ミカサ「アニ、今日の訓練で、またエレンを痛めつけた。」

アニ「・・・それが何、訓練だから当たり前でしょ。」

ミカサ「私のエレンに何かあったらどうするつもり?」

アニ「何かあったときのための訓練でしょ?」

ミカサ「ぐっ。」

エレン(サンキュー、ミカサ。これで位置は把握した。)

ミカサ(さあ、エレン早く私のところに・・・。)

エレン(ここだな。よし、やるぞ!)

エレン「・・・・・・。」

アニ「・・・誰?」

エレン(しまった、ばれたか!?)

ミカサ(まずい、気づかれた!?)

アニ「なんのつもり?」

エレン(しかたない、ここまできたらやるしかない!)

エレン「アニ・・・。」

アニ「エレン?」

ミカサ(何?シャワーの音でよく聞こえない。)

アニ「あんた、こんなところで・・・。」

エレン「アニ、好きだ!」

アニ「んっ!」

アニ(ちょっと、何するの!?)

エレン(両想いなはずだから、落ち着かせれば後は大丈夫、のはずだ。)

アニ「っぷは、苦しいからやめて!」

エレン「ご、ごめん!」

アニ「あんた、こんなことしてただですむと思ってんの?」

エレン「・・・・・・。」

エレン「・・・俺はアニが好きだ・・・。」

アニ「っな!?」

エレン「アニは、俺のことどう思ってる?」

アニ「変態だね。」

エレン「・・・やっぱりな。」

アニ「・・・早く出てって。」

~その後~

ミカサ「エレン、臆病になってしまうのは仕方がない。またチャレンジしてほしい。」

エレン「いや、今回のことで俺はすっげえクズな人間なんだな、って思い知った。だから諦める。」

ミカサ「そんなことはない。諦めないで。」

エレン「いいんだ。もうふっ切れたから。」

アルミン「何言ってんだよ、エレン!」

エレン「アルミン・・・。」

アルミン「一度失敗したからってなんだよ!諦めんなよ!」

エレン「いや、でも・・・。」

アルミン「どうしてそこでやめるんだそこで!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメダメ諦めたら。周りの事思えよ、応援してくれる人達の事思ってみろって。あともうちょっとのところなんだから。僕だって一人の女の子を振り向かせようと必死なんだよ。ずっとやってみろ!必ず目標を達成できる!だからこそNever give up!!」

エレン「アルミン、わかったよ、俺頑張るよ!」

ミカサ「そう、頑張って!」

エレン「頑張ってアニの心を射止めてみせるよ!」

ミカサ「えっ?」

アルミン「えっ?」

エレン「そうと決まったら早速アプローチだ!」

アルミン「・・・知ってた?」

ミカサ「いや・・・、てっきり私のことが好きなんだと思ってた。」

アルミン「アニが好きって、それじゃあ恋敵じゃないか!」

ミカサ「アルミン!あの女のことが好きなの!」

アルミン「そうだよ!悪いか!」

ミカサ「あの女はダメ!エレンの恋も、アルミンの恋も、止めてみせる!」

アルミン「なんでわかってくれないんだよ!ちくしょー!」

ミカサ「アルミン、どこ行くの、アルミンー!」

アルミン「くそ!なんでわかってくれないんだ!」

エレン「お、アルミン。」

アルミン「エレン!なんでなんだよ!なんでよりにもよって!」

エレン「どうしたんだ?」

エレン「・・・そうか、お前もアニのことを・・・。」

アルミン「うん、でもミカサは反対なんだって。」

エレン「俺さ、あんなことしたやつを、恋愛対象としては見れない、って言われちまった。」

アルミン「そう。」

エレン「たぶん、お前にも迷惑かけちまうと思う。」

アルミン「いいよ、別に。」

エレン「俺、どうしたらいいんだろう。」

アルミン「世間はさぁ…冷てぇよな…みんな君の想いが…感じてくれねぇんだよ!どんぐり頑張ってもさ!なんでわかってくんねーんだ!って思うときあるのよね…僕だってそうさ!熱く気持ちを伝えようって思ったってさ…おめぇ熱すぎる!って言われんだよ…でも大丈夫!わかってくれる人はいる!」

エレン「アルミン、熱いな。」

アルミン「エレン、頑張ろう、今はダメでも、最後は誰にもわからない。100回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中であきらめてしまう。」

エレン「?」

アルミン「つまりさ、アニの心もいつかは受け入れてくれるようになるんじゃないか、ってことだよ。」

エレン「・・・・・・そうだな、いずれ今日のことも時間が解決してくれるよな。」

アルミン「それは違うよ。」

エレン「え?」

アルミン「よく、時間が解決してくれると言うけれど、そうは思わない。でも、行動した時間なら解決してくれるはずだ。」

エレン「アルミン、今日はお前どうしたんだ?」

ミカサ「あ、いた!」

エレン「ミカサ!」

ミカサ「ごめん、私は親友の恋を応援することもできない、最低な女だ。」

アルミン「そんなことないよ。」

ミカサ「エレン、アルミン、アニへ恋、応援してるから!」

エレン「ありがとう!」

アルミン「ありがとう!」

エレン「よーし、俺たちの恋は、まだまだ始まったばかりだ!」



こうして、エレンたちはまた成長したのであった。

しかし、シャワー室の一件ですっかり嫌われたエレンは、アニに好かれることは無かった。

アルミンもそのとばっちりを受けた。

それを見たミカサは、上手くいかない二人に安心する自分と、素直に応援できない自分との間で、葛藤し続けるのであった。



おしまい

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