P「ジュピターのサイン会に行くことにした」 (53)

春香「サイン会ですか?」

P「ああ、実はこの前ジュピターのCDを買ったついでにCDについていたサイン会の応募用紙を送ったんだ」

P「そしたらなんと運良くサイン会に当たってしまったんだ!」

春香「すごいじゃないですか!たしか倍率はとても高かったはずでしたよね!」

P「ああ、倍率10倍という狭き門だったが当たって本当によかったよ」

P「だからせっかくだからサインでも貰おうかと思ったんだ」

春香「そうなんですか。プロデューサーさんが行ったら冬馬君たちきっと喜びますね!」

P「かもな」



P(フフフ・・・楽しみだな、サイン会・・・)

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数日後

翔太「お兄さんお姉さんたち!今日は僕達のためにありがとう!」

北斗「お世話になってもらっているエンジェルちゃんとエンジェル君にはお礼に俺たちの心をこもったサインをプレゼントするよ☆」

冬馬「俺たちの気持ち、受け取ってくれよな!」

「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」

P「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

翔太「みんな!慌てないで!急ぐ必要はないよ!」

北斗「そんなにあせらなくても会場の皆さん全員にサインをお渡ししますよ☆」

冬馬「みんな!ちゃんと一列に並んでくれよな!」

「キャアアアアアアアアアアア!!!」ザザッ

P(3人のうち誰かのサインをもらうのか)

P(俺は…、冬馬にしようかな。他の二つとは比較的空いている)

翔太「はい、どうぞ♪」カキカキ

「ありがとうございます!」

北斗「これはサービスですよ☆」カキカキ

「ありがとうございます!」

冬馬「ほら、大事にしてくれよな!」

「ありがとーおにいちゃん!」

P(おーおーすごい勢いだな!あんなに並んでいた行列がだんだん減ってきてやがる)

P(と言っている間に俺の番か)

冬馬「よし、次の人」

P「よお」

冬馬「あんた!?来てくれたのか!」

P「ああ」

冬馬「ここにいるということは、俺のCDを買ってくれたんだな」

P「もちろんだ、これだろ?」

P「とてもいい曲だったぞ。カラオケで何度でも歌いたくなる歌だ」

冬馬「そうか!へへっ!そんなに気に入ってくれたのか」

冬馬「嬉しいぜ!そこまで言ってくれたらサービスしねぇとな!」

冬馬「そのCDのケースを貸してくれ」

P「ああ、ほら」

冬馬「俺からのあんたのために特別なサインを書いてやるよ…」カキカキ

冬馬「ほら、俺のサイン付きCDだ。この世界で一つしかないぞ」

P「ありがとな、大切にするよ」

冬馬「ああ、そして俺のサイン入り色紙だ。忘れるなよ?」

P「サンキュウ」

「ねえ、まだなの?早くしてよ」

P「おっと、時間を取らせちまったか。それじゃあまたな」

冬馬「ああ、またな」

P「さて、冬馬からのサインも手に入ったことだし。早速これを…」




P「専門店に売るとするか!」

専門店

P「どうですかこれ?取れたてホヤホヤの天ヶ瀬冬馬のサインです!」

店長「色紙だけでなくCDケースにも書かれているんですね~」

店長「片方だけなら対した値段ではありませんが…」

店長「この二つのセットなら値段は一気に上がりますね~」

店長「CDが中古だということを差し引いてもそれでもこれくらいはします」

P「こんなものですか?」

店長「はい、今のジュピターの人気度や需要などを分析、計算した結果これほどの値段になります」

P「う~ん」

P(まあこれだけあったら充分だな。小遣い稼ぎにしては高いほうだ)

P「それではこれでお願いします」

店長「わかりました~」

店長(本当はこれの2倍近くするけどね~ちょろいちょろい♪)

店長「ありがとうございました~」

P「さようなら~」



P「いやー、儲かった儲かった♪」

P「これくらいあったら好きなものいくつか買えるな!」

P「あいつは俺が来ることで喜び、俺は金に変えることで喜ぶ。両者ともに損はない!」

P「ホント、ジュピターさまさまだな!礼を言うぞ、冬馬!」

P「さて、そろそろ帰るか。本当に今日は良い日だな」

数日後

冬馬「ふぅ・・・。まあ、こんなもんかな」

冬馬「明日の準備はできたことだし、それまで何しようか…」

冬馬「そうだ、さっき出したツイートの返信とか来てねぇかな?」ポチッ

天ヶ瀬冬馬 @amagase_touma 6時間前

この前のサイン会に来てくれたみんな!とっても楽しかったぜ!
他の二人からサイン貰ったファンは今度は俺のところから貰ってくれよな!

冬馬「どれどれ?」

鬼ヶ島羅刹2世 @onigashima_2 4時間前
今度こそ冬馬君のサインを頂きに行きます!

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その他


櫻井螢 @kei_sakurai 4時間前
また会いにいきたいです

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その他

DJ.TAKAYOSHI @taka_yoshi 2時間前
サイン会お疲れ様でした。次も頑張ってください

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その他


冬馬「お、応援メッセージがたくさん届いてるな」

冬馬「こりゃもっとみんなの期待に答えねえとな」

冬馬「さて、後は…ん?」


シークレット★ハート@secret_heart  2時間前
冬馬さん、先ほど冬馬さんのサインが販売されている店を見つけたのですが。


冬馬「何?」

冬馬「この下にあるURLを辿って行って…」カチカチ…

冬馬「これか…」

有名グッズ取扱専門店トゥリア☆ビータ @turiavita

新商品入荷しました!
人気アイドルジュピターのリーダー、天ヶ瀬冬馬のサイン!
CDと色紙のセットで販売しています!

冬馬「マジだ、これは確かに俺のサインだ」

冬馬「CD?しかもこのサインって確か…」

冬馬「間違いない、だとしたらまさか…あいつが…」

冬馬「・・・まさか」

数日後

春香「そしたらその子もまたハルカという名前だったんですよ!」

P「まるでハルカのバーゲンセールだな。この際ハルカパーティーでも開いたらどうだ?」

春香「実はそれ考えていて、そのための計画を…」

小鳥「プロデューサーさん、お客さんです」

P「はい、わかりました」

P「すまん春香、続きはまた後でな」

春香「わかりました」

P「はい、お待たせしました。Pですが…」

冬馬「よお」

P「冬馬…!冬馬じゃないか!」

P「わざわざ事務所までどうしたんだ?遊びに来たのか?」

冬馬「白々しいな、まだトボケルつもりかよ」

P「え?と、とぼけるって何がだ?」

冬馬「これだよ」つCD,色紙

P「!?」

P「冬馬、これをどこで手に入れたんだ?」

冬馬「芸能人に関する記念品を取り扱っている店で買った」

P「そ、そうか。何でわざわざ自分のサインを買ったんだ?」

冬馬「これ、俺がアンタに送ったサインとまったく同じなんだが」

P「っ・・・!」

春香「プロデューサーさん、どうかしたんですか…って冬馬君?」

冬馬「なあ、なんでこれが店で売られてあったんだ?」

P「・・・」

冬馬「俺は初めはあんたから誰かが盗んで売ったのかと思った」

冬馬「あんたがそんなことをするはずないと信じたんだが、店長に聞いて見たら…」

冬馬「これを売ったのは紛れもなくアンタだって教えてくれたんだ。ちゃんと売るときに書く書類にも名前が書いてあったぜ」

冬馬「どう説明してくれるんだ?」

P「っ…」

冬馬「何か言えよオイ!!!」ドン!

春香「!?」

P「…すまない」

冬馬「何でそんなことをしたんだよ?」

P「いい小遣いになるかと思ったんだ…」

P「ジュピターのサイン会が偶然当選したから、サイン会やサインについていろいろ調べたんだ」

P「プロデューサーとしてなら何度も経験したんだが客としては素人だからな」

P「そしたら芸能人のサインの値段について書かれているページがあって興味持って…。ちょうど俺も金が欲しかったから…それで…」

冬馬「アンタって人は…アンタって人はァ!」

P「!?」

春香「え?」

冬馬「サインはな、日頃応援してくれているファンのみんなのために感謝の印として送っているものだと俺は思っているんだ!」

冬馬「そしてファンのみんなが俺と会うことができた証でもある!俺はそう考えている!」

冬馬「そしてそんなサインをもらえなかった人だっているんだ!!!」

冬馬「俺たちに会いたくても当たらなくてサインがもらえず悔しがっている。サインを欲しがっている人だっているというのに…」

冬馬「行ったアンタは貰った瞬間売っただと!?俺が感謝を込めて書いたサインを金に変えたのか!」

P「っ…」

冬馬「サインは普通大切に取っておく物だろ!俺だって苦労して手に入れたビ◯◯シュ◯◯ーの二人のサインを大切に飾っているというのによ!」

冬馬「アンタは俺を金儲けの道具としてみていなかったのか!?あぁ!?」

P「・・・」

冬馬「っざけんじゃねえよ!俺はあんたの財布を厚くするためにサインを書いているわけじゃねえんだ!」

冬馬「こんなことをしないと思ったのに…あんたのこと信じた俺がバカだったよ!」ダッ!

P「あっ!」

春香「…行っちゃいましたね」

P「ああ・・・」

春香「…行っちゃいましたね」

P「ああ・・・」

春香「話を断片しか聞いてませんでしたが、冬馬君のサイン、売っちゃったみたいですね」

P「いい金になると…思って…その…」

春香「それで、お金に変えた結果、プロデューサーさんが得た物は何でしたか?」

P「・・・優越感と満足感、そして…さっきもらった罪悪感と虚無感…」

春香「そうですか、最低ですね」

P「ああ、最低だ…」

P「あそこまで傷ついている冬馬、初めて見た…」

P「もう…合わせる顔がない…」

春香「私だったら自分のサインを金儲けの道具に使われていると知ったら、とても悲しくなりますね」

P「・・・」

P「・・・なあ、春香」

P「俺はどうしたらいいんだろうな…」

春香「謝ったらどうですか?」

P「だよな…でも許してもらえるかな…」

春香「それだけ罪の意識があるなら、もしかしたら許してもらえるかもしれませんね」

P「・・・俺、謝りに行ってくるよ」

P「今謝らなかったら、一生後悔すると思うから」

春香「それがいいです、プロデューサーさん」

P「ああ。行ってくる」

春香「頑張ってきてください」

冬馬「ちくしょう……あいつ…信じてたのに…」

冬馬「・・・」グスン

P「冬馬!」

冬馬「・・・なんだよ、わざわざ追いかけてきたのか?」

P「すまなかった!」

冬馬「・・・ぁあ?」

P「確かに俺は冬馬を出汁にして金を得ろうと思った…最低なやつだ…」

P「許してくれとは言わない。だが、せめて謝らせてくれ…」

P「本当にすまなかった!もう二度とアイドルのサインを売るような真似はしない!」

冬馬「・・・」

冬馬「ほら」

P「え?」

冬馬「受け取れよ。このCDと色紙」

P「あ、ああ…」

冬馬「じゃあな…」

P「あ、おい!」

P「・・・」

冬馬「・・・」

冬馬「ぁあ…たっくよお!」

冬馬「~~~・・・」ポチポチ

冬馬「はぁ…」

春香「それで、この二つを渡してそのまま去って行ったということですね」

P「あいつ…、やっぱり俺のことを怒って…」

P「この二つを渡したとき、あいつ…とても悲しそうだった…。ああ、はっきりと伝わった…」

P「もう…合わせる顔がない…」

春香「・・・冬馬君は確かに怒っていましたけど」

春香「私が思うに、これは冬馬君の願いかもしれません」

P「願い?」

春香「本当に売らないと誓うなら、これをずっと持っていてくれ」

春香「そう願って返したのかもしれません」

P「何で…そう思うんだ?俺は、あいつに嫌われるようなことを…」

春香「信じているからですよ」

P「え?」

春香「確かにプロデューサーさんのやったことははっきりひどいです」

春香「普通の人なら口も聞きたがらないくらいですね。謝っても許してはもらえないでしょう」

春香「だけど冬馬君は謝ったプロデューサーさんを見て、もう一度信じてみようかなと思ったわけです」

P「この俺を…信じる?あんなことをしたのにか?」

春香「プロデューサーさんはもう一度冬馬くんのサインを売ると考えていますか?」

P「いや、もうあいつの悲しむ顔は見たくない…。それにあいつの言葉を聞いて、色々目が覚めたよ」

春香「それが冬馬君が信じた理由です。期待しているんですよ、プロデューサーさんが反省することを」

P「なんで春香がわかるんだ、そんなこと・・・」

春香「わかるからです、同じアイドルなので」

P「・・・」

春香「それで、プロデューサーさんはどうしたいんですか?」

P「・・・」

P「そこまで…あいつは…俺を信用して…」

P「俺はあいつに…ひどいことをしたというのに…うぅ…」

春香「プロデューサーさん、もう売りませんね?」

P「売らない…得るわけないさ、大切にする…家宝にするよ…」

P「サインとはそういうものだろ…」

春香「はい」

P「・・・もう一度会いに行ってくる」

P「さっきのじゃ全く謝り足りない…。俺の気が済むまで謝るよ」

春香「どこかご馳走にでも連れて行ったほうが喜ぶと思いますよ」

P「ああ、わかった。それじゃあ」

春香「気をつけてください」

冬馬「また会いにきたのか。まだ謝り足りねえのか?」

P「ああ…」

冬馬「ホント、図々しいな」

P「すまない…」

冬馬「・・・今俺はとても腹が減っているんだが、家には何もねえんだよな」

P「なら、どこかうまい飯でも食いにいくか!俺が全部だすから!」

冬馬「飯か…ならあそこにしようぜ」

P「えっ…、ここは…その…回らない100円じゃない寿司…」

冬馬「・・・」

P「・・・わかった、それでチャラになるなら安いもんだ」

冬馬「なら行こうぜ、腹が減りすぎてどうにかなりそうだ」

P「ああ」

冬馬(今度はこっちがとことんアンタを利用してやるよ、サイン代分腹に収めてやるぜ)ニヤッ

春香「・・・」パコッ

『マジで悪いけどあいつに俺がなんでそれらを渡したのかの理由を代わりに説明してやってくれ。礼はするから』

『俺じゃバツが悪い…。理由はまた別のメールに書いておく』

春香「はぁ…。裏切られたのにまだ信じるなんて甘いなぁ…冬馬君って」

春香「最後まで信じるその姿勢は悪くないけど、そのうちまた痛い目見ちゃうよ?」

春香「でもそれでプロデューサーさんも改心したからまあいいかな?」

春香「これで二人の仲も元に戻りますように」

サインを欲しくても手に入らなかった人やサインを書いた人が傷ついてしまうのでサインを売るような真似はやめて大切に飾っておきましょう

ルールを守って楽しくサイン会

終わり

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