加賀「なんですか?」瑞鶴「勝負よ!」 (38)
なんでこうなった。
また思いついたら娯楽物に戻ります。
↓続編では無いですがこちらを読んでいると、あーってなるかもです。
蒼龍「なにこれ?」飛龍「ボードゲームだよ」
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加賀「…はぁ。またですか」
瑞鶴「今度こそは勝つ!」
加賀「五航戦の貴女とは散々勝負したつもりなのだけれど?」
瑞鶴「それよそれ!私が勝ってその五航戦だとか貴女って言い方やめさせてやる!」
瑞鶴「私には瑞鶴って名前があるの!」
加賀「そんな事を気にしていたの…」
瑞鶴「そうよ!」
加賀「何故?」
瑞鶴「ちゃんと名前で呼んでよ!翔鶴姉の事は普通に呼んでるじゃない!なんで私だけ!」
加賀「呆れました…」
瑞鶴「なっ…!とにかく!弓も大食いも負けたけど、コレならわからないでしょう?」バンッ
加賀「…2月のカレンダーね。これが何か?」
瑞鶴「ここ!14日!明日はバレンタイン!」
加賀「バレンタインでどうしようと?」
瑞鶴「簡単よ!提督にチョコを渡してどっちが美味しいかを決めてもらいましょう!」
加賀「…はぁ」
瑞鶴「な、なによその溜息は」
加賀「いえ、貴女らしい考えだと思って。もう何でも有りなのね」
瑞鶴「う、うるさいわね!とにかくバレンタインで勝負よ!」
加賀「もうこれっきりにしてくれないかしら…」
瑞鶴「いいわよ!加賀さんが勝てたらね!」
加賀「…わかりました。ではまた明日」
---- 一航戦の部屋 ----
加賀「───という事がありました」
赤城「いいじゃないですか。楽しそうです」
加賀「当事者の私は疲れます…」
赤城「でも、明日はバレンタインなんですね。連日の戦いですっかり忘れていました」
加賀「そうですね。でも作るにしても材料がありません」
加賀「赤城さん一緒に買いに行きませんか?貴女も提督に渡すのでしょう?」
赤城「やだ、私まだ何も言ってないのに」
加賀「バレンタインと言った時の赤城さん、楽しそうな顔をしていましたから」
赤城「見ていたの…恥ずかしいわね」
加賀「そうは見えませんが…。では、行きますか?」
赤城「ええ、もちろん」
---- 五航戦の部屋 ----
瑞鶴「───という勝負をすることになったのよ、翔鶴姉」
翔鶴「そうなの…。でも瑞鶴、貴女チョコ作れるの?」
瑞鶴「や、作れない」
翔鶴「じゃあ何でそれで勝負しようと思ったの?」
瑞鶴「加賀さんも作ったことなさそうだから」
翔鶴「浅はかすぎないかしら…」
瑞鶴「えっ!そうかな…?」
瑞鶴「お互いに作った事無いなら平行線で勝負できると思ったんだけど…」
翔鶴「先輩が作った事無ければの話でしょう」
瑞鶴「とにかくよ!翔鶴姉は作れるんでしょ、教えて!」
翔鶴「結局そうなるのね…」
---- 一航戦の部屋 ----
赤城「ちょっと買い過ぎちゃいましたかね?」
加賀「そうでしたか。初めて作るので量を間違えてしまったのかも」
赤城「なるほど、珍しいですね」
加賀「たまたまです。早速作りましょう」
赤城「はーい」
加賀「余分なのは駆逐艦の子達にでも明日渡しておきます」
赤城「わかりました。優しいですね加賀さん」
加賀「余り物の有効活用です」
赤城「ふふ…」
----鎮守府・調理室----
瑞鶴「なんで買ってきたチョコを溶かさなきゃいけないのかな」ゴリゴリ
翔鶴「瑞鶴が手作りでって言ったんでしょう」
瑞鶴「買ってきたチョコ渡したら良い気がしてきた…」ゴリゴリ
翔鶴「さすがにそれは…」
翔鶴「でも手作りの方が気持ちが入ってて、貰う方も嬉しいはずよ」
瑞鶴「き、気持ち…!」
瑞鶴「べ、別に。私は提督さんの事どうとも思ってないし、加賀さんに勝ちたいだけだし…」ゴリゴリゴリゴリ
翔鶴「落ち着いて、瑞鶴。チョコが飛び散る…」フキフキ
瑞鶴「あ、ごめん翔鶴姉…」
翔鶴「いいのよ。瑞鶴のチョコはどういう形にするの?」
瑞鶴「う~ん…翔鶴姉は?」
翔鶴「私は、この形にするけど」
瑞鶴「うわ…ハートだ…」
翔鶴「うわって…良いでしょ」
瑞鶴「翔鶴姉提督さんの事好きだったんだ?」
翔鶴「むしろ鎮守府では好いてない娘のが少ないと思うけど…、私は提督をそういう目では見てないのよ」
瑞鶴「違うの?」
翔鶴「そう。そういうのじゃないのよ」
翔鶴「ただ男性はこういう形で渡される方が、嬉しいでしょ?」
瑞鶴「経験もないのに」
翔鶴「黙りなさい瑞鶴、貴女もでしょ」
瑞鶴「ごめんなさい」
翔鶴「全くもう…。あ、そろそろいいんじゃないかしら。後は仕上げね」
瑞鶴「おっ!いい感じじゃない♪」
---- 一航戦の部屋 ----
加賀「やりました」
赤城「いい感じですね」
加賀「赤城さんはハートの形ですか」
赤城「はい、提督はこういうのが好きみたいですよ?」
加賀「そうですか。私のは板チョコですが、気に入ってくれるでしょうか」
赤城「大丈夫です、加賀さんが作ってくれた物なら提督は喜ぶし、気に入りますよ」
加賀「それは…少しだけ高揚します」ポッ
赤城「加賀さんすぐ顔に出ますね」ツンツン
加賀「や、やめて…」
赤城「可愛いですね、加賀さん」ツンツクツン
加賀「もう…。からかうのはやめて、赤城さん…」
赤城「ほんとの事ですから…」フフフ
赤城「瑞鶴さんも、加賀さんが可愛いから構ってしまうんですよきっと」
加賀「面白い冗談ですね…」
赤城「そうですかね?」
加賀「そうです。それに私は五航戦のあの子の事は好きではありません」
赤城「でも加賀さん、瑞鶴さんと勝負している時。怒ったような顔はしているけど、楽しんでたじゃないですか」
赤城「食堂の時も射手場の時も──」
加賀「もういいでしょう。寝ますよ、赤城さん」
赤城「ふふ、わかりました。加賀さん──」
赤城「もっと素直になれればいいんですけどねぇ…」ボソ
加賀「? 何か言いましたか?」
赤城「いいえ、おやすみなさい。加賀さん」
----深夜----
赤城「──……」スヤスヤ
加賀「……んん…」パチッ
加賀「はぁ…寝つきが悪い…」ムクッ
加賀(らしくない、ですね…さっき赤城さんに言われた事が気になって寝つきが悪いなんて…)
加賀(起きたらちょっと……お手洗い…)ガチャ
加賀(たしか…お手洗いはこっちね)スタスタ
加賀(ん…あれは……調理室の明かりがまだ点いていますね…消し忘れでしょうか)スタスタ
加賀(あ…)ピタッ
加賀(あれは五航戦の…)ジー
瑞鶴「あれ~?翔鶴姉に教えてもらった時は出来たんだけどなぁ…」
瑞鶴「やっぱ下手にアレンジ加えるのマズかったかな…うーん…」
加賀(まだチョコを作っていたのね…)
瑞鶴「せっかく作れるようになったんだもん。加賀さんにも食べてもらわなきゃ」
加賀(私に?)
瑞鶴「よーし、もうひと頑張り!」ゴリゴリ
加賀(……意味がわからない)スタスタ
加賀(……)スタスタ
加賀(……何であの子は…)スタスタ
『楽しんでたじゃないですか』
加賀(馬鹿らしい…)スタスタスタ
『大食い勝負よ!加賀さん!』
加賀(……くだらない…)スタスタスタ
『見てよ加賀さん!ど真ん中よ!』
加賀(………私は…)スタタタタタ
加賀(……あ、通り過ぎてしまいました…)トボトボ
----当日----
赤城「ん~~…ふあぁ…、おはようございます~加賀さん~」ムクリ
加賀「おはようございます。赤城さん」
赤城「早起きですねぇ…加賀さんは」
加賀「何を言ってるの。もうお昼前ですよ赤城さん。寝すぎです」
赤城「あら…寝すぎちゃいましたか」ファァ…
加賀「ですね。お昼を済ませたら早速渡しに行きましょうか」
赤城「は~い」
加賀「赤城さんも可愛いですね、寝起き」ツン
赤城「くすぐったいですよ~、昨日の仕返しです?」
加賀「どうでしょう。さ、行きましょう赤城さん」ガチャ
赤城「はい、今行きます……あら?」
赤城(昨日の余ったチョコどこいったのかしら)
----執務室----
提督「おー、今年もいっぱいもらえたな」
提督「ヤバそうなのもいくつかあるけど…どれを食べようかな」
提督「多すぎてわからんな、適当につまんでみるか。金剛が来る前にしまっておけば没収されないだろう…」
金剛「ヘイ!テートクゥ!秘書官のワタシがキタヨー!」ガチャ
金剛「ってぇ!なんデスカー!このチョコのヤマはー!」
提督「げぇッ!金剛!」
金剛「何がゲェッ!デスカ!」
提督「違うんだ、これは皆が勝手に…!」
金剛「こんな甘いモノばっかり!NO!デスヨ!テートク!」ガバガバガバ
提督「どっから袋出したの!用意周到だね!というか全部食べる訳じゃないんだから没収しないで!」
金剛「テートクには後でもっとオイシイ物食べさせてあげマス!」ガバガバ
金剛「だから、これはワタシが預かりマース!」
提督「ぜ、全部持っていきやがった…!」
金剛「チョット待っていて下さいネー!これ置いてきマース!」ガチャ
提督「…くっそぉ……」
提督「──でも…本当に、こういう所はアイツと変わらないな」
─コンコン
提督「ん?誰だ?」
─ガチャ
提督「おぉ、お前らか」
赤城「どうも」
加賀「こんにちは」
翔鶴「こんにちは、提督」
瑞鶴「どうも!」
提督「どうした?大所帯で、珍しいな」
赤城「今日は何の日でしょう、か?」
提督「ああ、お前らもその件か。それはありがたい、今しがた金剛に没収されたところでな…」
翔鶴「提督いつも没収されてますね…色々と」
提督「金剛には敵わん…」
赤城「では、そんな提督に私達からのプレゼントです♪」スッ
翔瑞加「どうぞ あげる! どうぞ」スッ
提督「おぉ…ありがとう皆…!」
提督「まさか加賀もくれるなんてな…今まではくれなかったのに…」
提督「凄い嬉しいよ。ありがとうな」
加賀「い、いえ…」カァァ
翔鶴「先輩、リンゴみたいに」
加賀「黙りなさい」
翔鶴「はい」
赤城「提督」
提督「ん?」
赤城「私のそれ、本命ですよ?」フフ
提督「赤城はまたそうやってからかう…」
赤城「そんな、からかうだなんて…」
提督「以前の件、忘れたとは言わせんぞ…」
赤城「ああ!あの時はごめんなさいね、あまりに提督が楽しそうだったから…」オヨヨヨ
提督「楽しそうだったか!?」
提督「それに…赤城のアレは、迫真の演技だったぞ…本当にそう思い込んで返事してしまったからな」
赤城「ふふふ…でも今は、本気…ですよ?」
提督「もう騙されない」
赤城「残念。フラれちゃいました」
翔鶴「提督」
提督「ん、なんだ?翔鶴」
翔鶴「私のも本命のチョコですよ」ニコニコ
瑞鶴「え!?翔鶴姉違うって言ってたじゃん!」
提督「翔鶴お前もか」
翔鶴「ふふ…瑞鶴。嘘よ。うーそ」
瑞鶴「え…、そうなの…そうなんだ」
提督「勘弁してくれ…」
瑞鶴「ところで提督さん!私と加賀さんのチョコ食べ比べてみてよ!」
提督「ん?何でだ?」
翔鶴「瑞鶴が加賀先輩と、どっちが美味しいチョコ作れるかで勝負しているみたいなんです」
翔鶴「それで提督が審査役に選ばれたという事ですね」
提督「あー、そういう」
加賀「迷惑な話です」
提督「でも、ちゃんとやってるんだな。結構面倒見いいよな加賀って」
加賀「違います。仕方がなかっただけです」
赤城「照れてますね」
翔鶴「照れてます!」
加賀「怒りますよ」
提督「まぁなんだ…そういうことなら早速食べてみるよ」
提督「こっちは瑞鶴のだな」パクパク
提督「お、美味いじゃないか!」モグモグ
瑞鶴「ほんと!?やったー!!」
翔鶴「良かったわね瑞鶴」
瑞鶴「うん!ありがとう翔鶴姉!」
提督「お次は、加賀のだ」
加賀「どうぞ」
提督「どれどれ…」パク
提督「お、加賀のも美味いな。こっちはブラックか」モグモグ
瑞鶴「ど、どっちの方が美味しい!?」
提督「んー、どっちも美味しいからな。強いて言うなら…」
瑞鶴「強いて言うなら…?」
提督「加賀だな」
瑞鶴「なああああ!また負けたああぁぁぁ!!」ガクッ
加賀「やりました」
提督「大袈裟だなぁ…」
瑞鶴「…仕方ない…今回は大人しく退くわ…」
加賀「あら?私が勝ったらもうこれっきりのはずじゃ?」
瑞鶴「う…!そ、そうだけど…」
加賀「五航戦の子は嘘を付くのかしらね」
瑞鶴「むぅ……」
翔鶴「瑞鶴…」
加賀「もういいでしょう?私は戻るわね」スタスタ
瑞鶴「待って!」ガシッ
加賀「何?」
瑞鶴「あの…これ…」スッ
加賀「これは、チョコ…私に?」
瑞鶴「べ、別に加賀さんの為に作ったんじゃないのよ!」
瑞鶴「ちょ、ちょっと作りすぎちゃって…仕方がないから加賀さんにもあげようかなって…へへへ」
加賀「そう…。せっかく作って貰った物だから…頂くわ、ありがとう」
瑞鶴「だから作ってないって!余り物!そこんとこ勘違いしないでよね!」
加賀「ええ、わかっているわ。それでは、私は急ぐので…」ガチャ
----加賀退出後----
瑞鶴「………良かったぁ、渡せて…でもあんまり嬉しくなさそうだったな…」
赤城「瑞鶴さん、気を落とさないで。加賀さんあれでも嬉しいのよ」
瑞鶴「え、そ、そうなんですか!?」
赤城「長い付き合いだもの、それくらいはね」
瑞鶴「そっか…それなら、良かった…」
翔鶴「では、私達もそろそろ戻りましょうか、金剛さんもそろそろ戻ってくるでしょうし」
翔鶴「それでは提督、失礼しました」ペコ
赤城「失礼しました」ペコ
瑞鶴「失礼しました!」ペコ
─ガチャ パタン
提督「またな」
提督「さて、残りのチョコは隠しておくか…」
─ガチャ バーン!
提督「ヒッ!?」
金剛「戻ってきましたヨー!テートクゥ!!」
提督「あ、やべ…」
金剛「アレー?なんでまだチョコがあるんデスカー?」
金剛「ワタシはNOデスヨって言いましたヨネ?」ゴゴゴゴ
提督「こ、これも違うんだって…!だからその…それやめて…!アッ───」
----五航戦の部屋前・通路----
----夕刻----
瑞鶴「それにしても…加賀さん喜んでくれてたんだぁ…」ボソ
翔鶴「もう、瑞鶴は本当に先輩の事大好きね」
瑞鶴「べ、別にそんなんじゃないし…ってあれ?」
翔鶴「どうかしたの?」
瑞鶴「私達の部屋のドアノブに紙袋が掛けてある。なんだろ?」スッ
瑞鶴「あ、チョコだ…。あと、手紙?」
瑞鶴「なんだろ…」
翔鶴(あら、これは見ないでおいた方が良さそうな気がするわね)
瑞鶴「何々…」
面としてだと言えなかったので書面にて。
私は最初から貴女の事が鬱陶しかった、本当よ。
会ってから日も浅いのに執拗に突っかかって来るんだもの。
でも、今は違う。
貴女とやってきた事は、実は楽しかったの。
瑞鶴「加賀さん…」
楽しい時間をくれた事、こんな私を見てくれてた事。
随分と遅くなってしまったけれど、感謝の気持ちを伝えます。
ありがとう。
瑞鶴「照れちゃうなぁ…へへ」
でも、約束は約束。もう勝負はしないわよ。
今後は同じ仲間として…いえ、一人の友人として会いに来て。
瑞鶴「…!」
身勝手だけど、これが私なのよ。
あと、チョコありがとう。後で美味しく頂くわ。
瑞鶴「…味わって食べてよね~…」
最後に、もう五航戦とも貴女とも呼びません。
瑞鶴「ん…?」
これからはちゃんと、貴女の名前を呼ぶ事にしたの。
瑞鶴「ん…んん!?」
今更恥ずかしいけれど。
これからよろしくお願いね…
瑞鶴「瑞鶴…って流れじゃないのかしら…」
瑞鶴「もぉぉぉぉ!そこはちゃんと名前書いてよーー!!」ダッ
翔鶴「え!?ず、瑞鶴!?どこいくのー!?」
瑞鶴「ちょっと名前呼んでもらってくるーー!!」ダダダ
翔鶴「…?名前…?」
---- 一航戦の部屋 ----
加賀「…はぁ」
赤城「あらあら、溜息なんかついて。お疲れです?加賀さん」
赤城「少し休みますか?」
加賀「いいえ、大丈夫」
加賀「それに、これからは少し忙しくなるんだもの」
赤城「はて…?それは──」
──ドンドンドン!
瑞鶴「加賀さーん!!手紙ー!読んだよー!」アケテー
加賀「すぐにわかります」スタスタ
──ガチャ
瑞鶴「あ、加賀さん!やっと私の事…!!」
加賀「待っていたわ…────
終わりです。
読んでくれた方ありがとうございました。
金剛型とか妙高型書いてみたいですね。
他の作。上から順に新しい。
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