男「二次元みたいな恋愛も悪くはない……かもな」 (5)

男(俺には、美人の幼馴染がいる)


男(とは言っても実際に幼馴染と言っていいのかでさえ定かではない)


男(一般的に幼馴染と呼ぶのはまあ、大体の人はギャルゲーみたいなものを思い浮かべるだろう。が実際には昔からの顔馴染みの場合も幼馴染と呼ぶらしい。俺が適当に調べただけで合っているとは限らないが)


男(俺が言う『幼馴染と言っていいのか定かではない』というのは、ギャルゲー的発想に近い『幼稚園~小学校低学年頃に遊んでいた』という俺的持論での言葉だ)


男(なお定かではないという理由は二回だけしか個人的に遊ばなかった、ということだ)


男(もちろん彼女と俺のスペックにはとても大きな差がある)


男(彼女は文武両道の美少女。それに対して俺は成績はかなり悪く、かつ居眠りばかりする問題児。顔もよくない部類……のはずだ。何故か母親の友人には好評だが。つまり時代遅れの顔ってことですね分かります)


男(だが、そんな彼女と俺には一つだけ接点がある)


男(彼女と俺はいわゆるオタク系の趣味がある。さらに趣味も合う。さらにさらに彼女と俺がオタク系にハマった作品、時期まで一致している)


男(ここまできたら『運命じゃね?』と勘違いするバカがいるだろうが、生憎俺はそこまでバカではない)


男(俺は現実を知っている。彼女と俺では成り立たないということを。彼女に好意を持つこと自体が罪だということを)


男(もう高校生になって学校が別れてから完全に関係はなくなっていたと思っていたのだが――――)

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男「ったく……何で傘を持ってない日に限って大雨なんだよ!」


幼「…………」




男(……ん?何だあいつ。何もないところにしゃがみ込んで……って幼じゃねーかあいつ)


男(まあ何があったかは知らないが、風邪引く前にさっさと帰らねーと)




ニャァ…




男「なるほど……な」




男(幼がしゃがみ込んでいたのは、どうやら雨から衰弱している猫を傘で守っていたかららしい)


男(だが、傘で守っているだけ、ということは恐らく飼う気はないということだな。いや、もし飼いたかったとしても家の事情で飼えないって感じか)


男(だがまあ俺には母親からこういうときの対応教えて貰っているし、飼う余裕もある。なら――)




男「おい」


幼「えっ、あ、はい……って男か。高校の制服だから一瞬誰だか分からなかったよ」


男「卒業式以来会ってないし分からないのは分かるさ。あと通行人の邪魔だ。そこからどけ」


幼「いや、でも弱った猫がいるから……」


男「たいして意味のないことをしてるならそこからどけ。そんなことをしてもその猫は救われない。それとも何だ?そのまま看取ろうとしてるのか?」


幼「そうだけど……でも、このままだと可哀想でしょ?」


男「それはお前のエゴだろ。いいからどけよ」


幼「嫌」


男「……ったく……その猫をとりあえず動物病院に連れて行くからどけ。これでいいか?」


幼「そうなら最初からそう言いなさいよ……」


男「生憎、人との会話は苦手なものでね」


幼「オタクトークはあんなに元気に話すのに?」


男「……うっせ。とりあえずこいつは病院に連れて行く。お前はどうする?」


幼「私も行く。このままじゃ後味が悪いからね」


男「そうか。じゃ、行くぞ」


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