【モバマス】ちひろ「イメージビデオ、ですか?」 (29)

【モバマスSS】です


18禁ではありませんが、ちょっとそんな感じのネタ入ります

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 某月某日、それぞれに夕食を終えたモバPとちひろは、事務所で残業に勤しんでいた。

「ところで、イメージビデオ、なんてどうですかね」

 妙に浮ついた口調のモバPの突然の提案に、ちひろはキーボードに触れていた手を止める。

「プロデューサー、今、なんと?」

「イメージビデオ、略してIVです」

「IV、ですか?」

「そうそう。次の仕事、IVはどうでしょうかね」

「……たしかに、そういう仕事は今のところやってませんね」

「そうでしょう?」

「どんな感じの内容で考えているんですか? やっぱり、海外ロケとか?」

「それもいいですが、今回は少し過激な方向性を考えてますよ」

「過激って……あの、もしかして……?」

「あ、いやいや、露出を増やすとか、そういう方向性では考えてませんよ」

「安心しました。早苗さんを呼ぼうか、巴ちゃんを呼ぼうが迷いましたよ」

「巴に何を頼む気だったんですかねぇ?」

「聞かない方がいいと思います」

「え……」

「何か?」

「あ、いえ、なんでもないです」

「それで、過激というのは?」

「あ、さっきも言ったように露出過多という方向性は考えてませんが、やはり男性向けアピールは欲しいと」

「んー、そうですね。全てというわけではありませんが、男性人気はアイドルの基本ですね」

「そうなんですよ、そこで、フェチズムをくすぐる方向で考えてみようかなと」

「フェチズム?」

「フェチズムというのは……」

「言葉の意味はわかりますよ。具体的にはどんな物を? やっぱり、コスプレとかですか?」

「コスプレ……悪くは無いですが、元々コスプレな連中もいますし」

「鈴帆ちゃんとか?」

「確かにコスプレの一種です」

「仁奈ちゃんとか」

「コスプレ、というか、その二人はどちらかというと着ぐるみですよね」

「じゃあ……」

「菜々さんとか。芳乃や歌鈴、美玲もですね」

「なるほど」

「ですから、コスプレというのは、ウチの子たちは元々やってるようなものですよ」
「今更、早苗さんに婦警コス、清良さんにナースコスなんて」

「それじゃあ、どういった形のものを?」

「まず、蘭子を例に考えてみましょうか」

「はい」

「まず、蘭子にはいつもの衣装でいてもらいます」

「いつもの衣装と言うと」

「無論、ゴシックロリータです」

「ゴスロリ、ですか」

「ゴスロリです。初めて出会った頃の衣装で」

 拳を握るモバP。

「ただし! ノースリーブに改造してもらいます!」

「はい?」

「ノースリーブ! いや、むしろ、二の腕中途より先の袖は残してもいい、いや、残した方がいい!」

「は、はい?」

「腋だけが見えているゴスロリ衣装です。胸元は鎖骨の部分だけが見えている状態です」

「見たいんですか、腋と鎖骨」

「とっても!」

「あ、はい」

「首には幅広のチョーカーリボン! 手首にはブレスレットリボン!」
「そして足にはタイツで一切の肌見せ無し!」

「なんで下半身は重武装なんですか」

「そこは大切ですよ」

「大切なんですか」

「そして、ここからが肝です!」

「え? キモい?」

「きしゃぁあああああああっ!!!」

「ごめんなさい! ごめんなさい!!!」

「衣装はこれで完璧! しかし、それだけじゃ足りないんです」

「もうお腹いっぱいです」

「その姿の蘭子を!」

「蘭子ちゃんを?」

「目隠し後手緊縛します」

「もしもし警察ですか?」

「ちょっと待ってください、今は仕事の話を」

「……歪んだ情熱が迸りすぎていて危険なものを感じたんですが」

「それはアレです、プロデューサーとしての情熱です」

「はぁ」

「決してエロい気持ちでは無いのです」

「はぁ」

「因みに蘭子には天蓋付きベッド、白いシーツの上に転がってもらいます」
「ギャグ・さるぐつわの類いは噛ませません、あれなんか、痛そうに見えるし」

「せめてもの良心ですか」

「舌見えなくなるし」

「そっちが本音かコノヤロー」

「舌は重要でしょう! 舌ですよ、舌!」
「開いた唇から見える赤い舌!」
「それも、なんかでろりんと出てきたようなアヘ舌じゃ無くて!」
「ちろりとかすかに見える、ピンクと赤の混ざった小さな舌! 舌のちらりズム! タンチラ!」
「タンチラ!」

「いや、そんなに推さなくてもいいですから」

「ああ、これは失礼」

「わかってもらえれば……」

「いまは舌の話じゃなくて、腋の話でしたね」

「わかってない!?!?」

「しかし、腋と舌の話が繋がるのはある意味道理なんですよ!」
「因みに、山形県米沢市には脇下という地名がありまして。もしかしたら脇下通りというのも……」

「そんな雑学いらないんで」

「わかりました。ならば直接的ダイレクト具体的情熱的悪魔的にお伝えしましょう」

「何をですか」

「腋の魅力です」

「お断りします」

「照れなくてもいいですよ」

「照れてねえよ」

「まあ聞いてくれよチッヒー」

「なんでいきなりフレンドリィなんですか」

「いいか、考えてみるんだ。両腋を露出して隠すことも出来ずに横たわっている蘭子を」

「……」

「目隠しされ、自分がこれから何をされるかもわからない不安と恐怖、そしてちょっぴりの期待と背徳、まさに俺得」

「そういう……韻とか? いらないんで」

「まずは右腋に当たる吐息」
「そしてすかさず左腋にも!」

「素早い動きですね」

「いえ、俺が右でチッヒーには左を」

「私も協力するんですか!?」

「大丈夫です。舐めてもいいですよ」

「舐めたくありませんから!」

「は? 腋ですよ? 美少女の。ゴスロリの。目隠し緊縛の。神崎蘭子の」

「おかしいですね。どうしてプロデューサーが可哀想な子を見る目で私を見ているんでしょうね」

「腋の魅力のわからない可哀想な子だからです」

「ストレート来ましたね。そんなのわかりたくないです」

「おいおいチッヒー、我慢はいけねえな」

「もしもし輝子ちゃん? 即効性の毒キノコない?」

「ちょ、輝子を巻き込まないでやってください」

「へえ、輝子ちゃんには優しいんですね」

「なんたって、輝子は大事な第五位ですからね」

「何が」

「2015年度第一四半期腋責めしたいアイドル部門、堂々の第五位ですよ。流石ですよね」

「いつ調べたんですか、そんなの」

「ちなみに二番が莉嘉で三番が876の秋月涼、四番が凛です」

「三番!! おいっ三番っっっっ!!!! 誰が投票したぁっ!!」

「765さんところにぶっちぎりで勝利ですよ」

「お願いです、他のところで勝ってください……」

「本当に魅力がわからないんですね……」

「わかりたくないです」

「そうですか」

「あと……」

「はい?」

「一応真面目な視点で話をしますけれど、蘭子ちゃんのIVに私やプロデューサーが映るのはおかしくありません?」

「!!」
「た、確かに……盲点でした」
「己の欲望に溺れ、大事なことを忘れていたようです」

「よかった……わかってくれればいいんですよ」

「アーニャが右で美波が左ですね」

「……」

「……」

「……」
「……あ、いや、何言ってるんですか、どっちにしろ駄目でしょう」

「妙に間があったのはどうしてですかねぇ?」

「いかがわしすぎます。サービス過剰すぎです。そんなお仕事は認められません」

「認めるとか認めないとか、そういう次元の問題では無いんだ。俺が腋を見たいんだ」

「すでに仕事ですら無くなってる!?」

「腋は神なんです。どうしてわかってくれないんですか!!」

「ちょ、叫びながら近づいてこない……ん?」

「ん?」

「……プロデューサー、酒臭いですよ」

「あ」

「もしかして、酔ってます?」

「夕食先で、偶然旧友と出会って……」

「どうりでえらく時間かけた夕食だと思ったら……」

 
 
 
 
 

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「ちひろさん」

「……」

「ちひろさん」

「……」

「昨夜は本当に申し訳ありませんでした」

「……」

「酒に酔ったとはいえバカなことを……自分が恥ずかしいです、どうしてあんなこと……」

「ふぅ……」

「ちひろさん……」

「十分反省してるようですし、ちょっと歪んでましたけど、アイドルの魅力を探ろうとしていたことは確かですし」

「いや、お恥ずかしい……」

「次からは気をつけてくださいね」

「いや、俺が本当にバカでした」

「ええ」

「いや、ほんと、すいません。馬鹿なこと言ってましたね、俺」

「ええ」

「反省どころじゃないですね、ホントバカだ」

「まあ、わかってもらえれば……」

「目隠し後手緊縛じゃ、腋が隠れるから、目隠し後頭両手縛りじゃないと!!」

「もしもし警察ですか、すぐに来てください」



                            おわれ

以上お粗末様でした


蘭子はとっても扇情的だと思うんだ

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