少年「おはよう、アラクネの姉ちゃん」アラクネ「また来てあげたわよ」 (26)



少年「今日は勇者様の所でお手伝いはしないのか?」

アラクネ「マスターは忙しそうだけど、私は『糸』を貸してあげてるから良いのよ」

少年「アラクネの姉ちゃんってグータラだよな」

アラクネ「そうかしら、人間の女を働かせるのは抵抗あるのに蜘蛛の女は働かせていいの?」

少年「いや、そうじゃないけどー」

アラクネ「フフ」




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少年「なぁアラクネの姉ちゃん」

アラクネ「なぁに」

少年「戦ってる所に見た蜘蛛の姿じゃなくて、なんでいつも俺に会いに来る時は人の姿なんだ?」

アラクネ「あら、だめ?」

少年「綺麗だから好きだよ」

アラクネ「フフ、ありがとう」

少年「ただ、窮屈じゃねえのかなって思ったんだ」

アラクネ「窮屈?」


少年「本当はあんなに大きくて、あんなに速くて強いのに」

少年「今は人間の体だろ? そしたら狭くて苦しくないのかなって思うんだよ」

アラクネ「心配しなくてもいいわ」

少年「大丈夫なのかな」

アラクネ「殆ど自分の体みたいなモノだからね」

少年「へぇ……」

アラクネ「なぁに?」

少年「いや、うん、なんでもないっ」

(∵)


    ザァァァ・・・





アラクネ「今日は深夜から雨、か……」

アラクネ(いつもの子供もいないみたいね)

アラクネ(まぁ、別に私は雨くらい何ともないのだけど)



< ガシャンッ……



アラクネ「あら、お客様かしら」

アラクネ「お生憎様だけど私には先約があるのよね」


< 『PPP……blade4、engage……』

< ガシィンッ


アラクネ「マスターの命によりお前はここで止める」



少年「おはよう、アラクネの姉ちゃん」

アラクネ「また来てあげたわよ」

少年「昨日、村の人がここの辺りで爆発したのを見たらしいんだ」

アラクネ「そうなの」

少年「姉ちゃん、もしかして何か知ってるのか?」

アラクネ「さぁ、知ってると言えば知ってるわね」

少年「……怪我はしてないの?」

アラクネ「機械型の『敵』と戦っただけよ、私の相手をするには力不足だったみたいだけれどね」

少年「そっかぁ、良かったぁ」

アラクネ「今夜はマスターが帰ってくるから、夕方までしかここに居られないわ」

少年「そうなの?」

アラクネ「残念だったわね」

少年「また会いたいな」

アラクネ「フフ、ならまた明日ね」


少年「アラクネの姉ちゃん、髪の毛一本くれないか?」

アラクネ「……?」

少年「母ちゃんに昨日教わったんだ! アラクネの姉ちゃんにぴったりな魔法!」

アラクネ「へぇ、どんな魔法?」

少年「まずは姉ちゃんの髪の毛ないと出来ないんだってば」

アラクネ「ふぅ……ん、これで良いかしら」ぷつっ

少年「ん、これでいーよ!」

少年「次は姉ちゃんの手を貸してくれる?」

アラクネ「切り落として欲しいの?」

少年「そうじゃないよ! いいから出してって!」

アラクネ「フフ、女を急かす男は嫌われるわよ?」

< スッ

期待

>>4
そのアラクネとちゃうwwww

人外ssは好き。期待


少年「まずは髪の毛の片側を俺の小指に巻き付けて……」

アラクネ(……)

少年「それから、姉ちゃんの手の小指に巻き付けるんだ!」

少年「それで、それから……」

アラクネ「小指同士を絡めてから、離すのかしら」

少年「へ? なんでわかるの」

アラクネ「何でかしらねぇ」

アラクネ(これ、どこの世界にもあるものだしね……でもこれは基本的に)

少年「それじゃ……絡めて……そっと……」

アラクネ(……へぇ)

少年「ほら、アラクネの姉ちゃんにぴったりでしょ?」

< ピンッ

アラクネ「糸で結ばれてるって事かしら、これは何の魔法なの?」

少年「大切なモノを守ってくれる魔法!」


アラクネ「まだ出会ってから半月しか経ってないのに、私が大切なモノ?」

少年「姉ちゃんは俺や俺の母ちゃんを助けてくれたろ、俺はアラクネの姉ちゃんに感謝してるんだよ」

少年「でも、村の大人は分かってない」

アラクネ「貴方が気にする事ではないんじゃない?」

少年「そんなことない! 姉ちゃんは村を守ってるんだ、なのに村の大人は姉ちゃんを化け物扱いして……」

少年「……」

アラクネ(人間らしい子供ね)


アラクネ(思春期って事なのかしら、心拍と匂いから察するに私に好意的なのは分かるけど)

アラクネ(マスターのいる『こちら側』に来る前では考えられなかった、この私が人間に求愛されるとはね)


アラクネ「心配は要らないわ」

少年「なんで…?」

アラクネ「少しだけ見せてあげましょうか」


────────── シュルッ


少年「糸、だよね」

アラクネ「ただの糸ではないわ、この糸は以前に見せた様に網や巣を作るのに使う訳ではないの」

少年「じゃあ、なに?」

アラクネ「私は人の姿を保ちながら戦う時だけ、この糸を使って戦ってるのよ」

アラクネ「この世界ではまだ無いけれどね、『ワイヤー』と呼ばれていたわ」

少年「そんな糸で戦えるの…?」

アラクネ「その気になれば鋼を切る事が出来るわね、まぁこのワイヤーは私が生み出したモノだからそもそも特性が違うのだけど」

少年「?」


アラクネ「このワイヤーは切断に使えるけど、私達ナクアはあくまで捕らえる事にしか使わない」

少年「捕まえる、ってこと?」

アラクネ「そう、私達はその姿が後の世で人間達が名付けた蜘蛛と酷似していた事からも分かるでしょう」

アラクネ「戦い方は自身の安全を確保、そして確実に獲物を捕らえ仕留める事を前提とした狩り、だから私が負ける事は有り得ないのよ」

少年「うーん……そうじゃないんだけどなぁ」

アラクネ「あら、私を心配してたんじゃなくて?」

少年「心配、だけど……勝ち負けは心配してないよ」

アラクネ「ならなぁに」

少年「姉ちゃんが遠くへ行っても、この指みたいに糸が繋がってるから、また会えるって事かな」

少年「また俺が危ない目にあっても助けてくれるように」

少年「姉ちゃんが困ってる時に、助けに行けるように」

乙乙

まだかな

続きが気になるな


【深夜】


アラクネ(……あんな事を言っていたけれど)

アラクネ(私を助ける、ねぇ)

アラクネ「そんなレベルになるとしたら、こちらの世界は終わりなんじゃないかしら」

< 「何がですか」

アラクネ「……別にぃ?」

アラクネ「マスターはどうしたのかしら、『Eibon』」


Eibon「件の勇者という者と行動しています、彼優秀ですよ」


アラクネ「私達とも違う、他の世界から現れたのだから得体が知れないけれど……ね」

Eibon「それを言ってはキリがありませんよ、ナクア」

アラクネ「分かってるわ、愉快なパーティーよねぇ? 『本』に『糸』に『王女』に『異世界の勇者』なんて」

Eibon「……」

Eibon「貴女は蜘蛛でしょう?」

アラクネ「糸で充分でしょうに」

ぉっ

乙!
待ってましたっ!

『Eibon』って何者です?エイボンの書と関係ありますか?

まだかな

保守

保守

保守

面白いもの見付けた

保守

保守

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