男「大罪大戦」 (6)
Class3
展開された七つの扉。
扉にはそれぞれ七つの紋様が描かれている。
獅子。
龍。
犬。
熊。
狐。
蝿。
山羊。
その扉の先には禍々しい殺意や悪意、言葉に表せない異様な空間が纏っている。
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「何処だ?ここは…………」
『―――もしもし、聞こえますか?』
幼い声が聞こえる、幼い声、だと思ったのは、少しばかりの舌足らずな口調と、随分と高い声だったからだ。
「………はい、なんとか」
『良かったです、では、今から言う事は一度しか言いません』
前提としてそう言われた、何か忙しいのか、それともただ面倒だから一回しか言わないのか。
『扉が七つありますね?貴方はその空間から出ることが出来るのは、たった一つの扉です』
『といってもその七つの扉の中の一つ、では無く、扉は全て外へと繋がっています。ですが貴方は扉を選ぶと同時に、その扉の中に潜む"魔物"と共に出て来なければなりません」
『魔物、の説明は省きます、実際見てくだされば嫌でも分かりますので、えっと、ここまでは分かりますか?』
「………まあ」
『では、扉を選んでください、私達は扉を選ぶ権利はありません、ですので、貴方が一番マシだと思う魔物を開放し、出口へ到着して下さい』
それっきり、言葉は途絶えてしまう。
はて、扉の先の、"魔物"と一緒に出て来い、ねぇ。
「………ん?」
考えていた矢先、小さく、何かがつぶやく声が聞こえて。
耳を澄ませば、それが扉の中にいる、誰かの声だと気が付く。
「我は獅子、我より誇り高きモノは無し、汝、騎士を学ぶのであれば我を選択せよ」
獅子の扉からは、そう声の低い老人の様な声が響き出す。
「■■■■■■■ッ―――■龍■■■■!!」
龍の扉からは、発狂し、言語を発することも出来ない、甲高い声が聞こえる。
「僕は犬、僕より純情で忠誠を持っている人なんていない位の下僕で、誰よりも嫉妬深い、選んでくれたら、絶対に損はさせないよ」
犬の部屋からは、そう声の高い、少年くらいの男の子の声が耳に残る。
「私は……あー、なんでもいいや……私を選んだら取り合えず殺すよ」
熊の部屋からは、気だるそうに言葉を発している。
「キヒヒ、俺は盗賊、この世に盗めない物は無いぜ、選んでくれりゃあ、女、金、命、欲しい物全て奪ってやるよ」
狐の部屋からは、渋い声をした軟派そうな言葉を羅列に述べている。
「おいしいもの、食べさせてくれたら頑張るよ」
蝿の部屋からは、滴るものを食べているような音をさせながら、少女らしき声が言った。
「ねぇ、開けてくれない?開けてくれたら、イイコトしてあげる」
山羊の部屋からは、そういった妖艶な美声を口にした色っぽい女性の声がする。
「ふむ………」
取り合えず、扉を開けてくれと言っている輩は少数派ではある、が、開けるなといえば開けたくなるのが信条。
あまり時間は無い云々を先程の舌足らずな女性が申していたような気がするので、僕は手早く、適当に決める。
「じゃあ、君かな?」
そうして僕は、一人の扉の中の人間を決めた。
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