高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」 (90)

――事務所――

加蓮「ただいまああぁぁぁ……」

藍子「お帰りなさ……って、また今日もフラフラですね加蓮ちゃん」

加蓮「ごめんソファあけてぇ」

藍子「はい、どうぞ」

加蓮「さんきゅばたん」


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以下の作品と同じ設定の物語です。
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」

待ってたぜ

藍子「……もう。今日はどうしたんですか? 確か、いつものレッスンだけでしたよね?」

加蓮「茜ちゃんがいた」

藍子「……まさか」

加蓮「はりあった」

藍子「……。めっ」

加蓮「あたっ」

藍子「加蓮ちゃん? ……いえ、いいです。Pさんにご報告しておきますね」

加蓮「待って待ってストップ藍子それストッげほっ!」

藍子「……」ジトー

加蓮「Pさん説教長いしっ。ヘンな心配とかかけたくないから!」

藍子「……。どうしよっかなー」

加蓮「何? 何が目当て? 分かった、次のカフェの時にどっちが先とか関係なくおごるから。ね?」

藍子「そうですか。加蓮ちゃんは私のことを金にがめつい女の子だと思っているんですか」

加蓮「え、いや違、誰も藍子のことをちひろさんみたいだなて言ってな」

藍子「けーたいとりだしぽぱぴぽぺー」

加蓮「Pさんとデートするのは私だ!」バッ

藍子「わっ。びっくりした……って、加蓮ちゃん、意外とお元気ですね」

加蓮「ぜーぜーはーはー、げ、限界こえた、今ちょっと川の向こうでおばあちゃんが手を振ってた」

藍子「はぁ……。はい、からかったことは謝りますから。ほら、横になって、ゆっくり休んでいてください」

加蓮「はーい……ばたん」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……でも、私が連絡しなくても、トレーナーさんの方からPさんに報告が行くんじゃ……」

加蓮「その時は素直に諦められるけど、藍子にやられるのはまだ阻止できたじゃん」

藍子「そういう問題ですか……」

加蓮「そーいう問題」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……茜ちゃんがさ、すごく楽しそうにダンスレッスンしてた」

藍子「はい」

加蓮「同じレッスンスタジオだった」

藍子「はい」

加蓮「花嫁撮影の時、一緒だったこと思い出して」

藍子「はい」

加蓮「……見てたら、火がついちゃってさ」

藍子「はい」

加蓮「一緒に踊りませんか!!! ……なんて、すっごいいい笑顔で言うからさ」

藍子「はい」

加蓮「3分ももたなかった」

藍子「はい」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「藍子」

藍子「なんですか? 加蓮ちゃん」

加蓮「ゴメン。心配かけた」

藍子「はい」

加蓮「ありがと。心配してくれて」

藍子「はい。もう、こんな無茶はしないでくださいね」

加蓮「うん」

藍子「Pさんも、いつも心配しているんですから」

加蓮「うん」

藍子「分かってあげてください」

加蓮「……うん。あ、そうだ、茜ちゃんにも謝っとかなきゃ」

藍子「そうですね」

加蓮「藍子、かわりに謝っといてよ。こっぱずかしいし」

藍子「はいはい、そんなこと言わないで、自分で行って来てくださいね」

加蓮「ちぇ。お母さんかアンタは」

藍子「加蓮ちゃんのお母さんですか……。なんだかすごく苦労してしまいそ――」

加蓮「……………………だろーね」

>>6
「ぽぱぴぽぺ」じゃなく「ぽぱぴぷぺ」ね

藍子「…………あ……ご、ごめんなさい……」

加蓮「なーんて。それくらいで凹んでられるかっての」

藍子「でも――」

加蓮「藍子。そういう面倒なのはなしで。ね?」

藍子「……はい。あ、そうだ、なにかお飲み物を持ってきますね。私、気がきかなくて……」

>>13 orz アリガトウゴザイマス...

>>6 訂正
誤:藍子「けーたいとりだしぽぱぴぽぺー」
正:藍子「けーたいとりだしぽぱぴぷぺー」



加蓮「とかいって1人になってまた凹むんでしょ。こーいう時」

藍子「そ、そんなことはないと思いますよ?」

加蓮「目が魚になってるし」

藍子「うぅ」

加蓮「ふふっ。ねえ、飲み物、持ってきてよ、藍子」

藍子「え、あれ?」

加蓮「15秒以内で。さもなくば……いーち、にー」

藍子「さ、さもなくば何ですか?」

加蓮「さーん、しー」

藍子「も、もうっ!」




藍子「はぁはぁ……と、とってきましたよ。はい、これ、オレンジジュース」

加蓮「じゅーし……ん、ありがと。早かったね」

藍子「たまたまジュースの缶があって、助かりました……。もう、加蓮ちゃん、いきなりなんだから」

加蓮「うん、知ってた」

藍子「へ?」

加蓮「かちっ。ごくごくごく……はーっ。生き返った。にしてもホントに15秒以内で帰ってくるとは」

藍子「こなかったら、何をするつもりだったんですか……。それがすごく、気になっちゃって」

加蓮「テキトーにくすぐり倒してお嫁に行けない顔にでもしてやろうかなーってくらい」

藍子「……そんな体力ないくせに」ボソッ

加蓮「んー? 藍子ー? なんか言ったかなー? 誰がもやしだって? ん?」

藍子「栄養があっておいしいですよね、もやし。あ、加蓮ちゃん、ジュース、よければ一口くださいっ」

加蓮「ん」

藍子「ありがとうございます。……んぐんぐ。うん、とってもおいしいですね。はいっ、加蓮ちゃん。お返しします」

加蓮「ども。ごくごく……っと。私だってさ、好きでもやしやってる訳じゃないんだって」

藍子「はい、知っています」

加蓮「みんながうらやましいな……ごくごく。うわ、もうなくなった」

藍子「おかわり、持ってきましょうか?」

加蓮「ううん、いい」

藍子「また飲みたい時には言ってくださいね」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……今さ、一瞬、藍子がメイドみたいに見えた」

藍子「メイドさん……ですか?」

加蓮「うん。やったことあったっけ、メイド」

藍子「ううん、私はないです。加蓮ちゃんもですよね?」

加蓮「ないね。あ、でもPさんがぼやいてたっけ」

藍子「じゃあ、そのうち」

加蓮「いや、あれは私じゃなくて……そうそう奈緒だ。いつか奈緒にメイドの仕事を持ってくるってPさんが張り切ってて」

加蓮「で、奈緒がCDデビューした時にメイドをやったんだった」

藍子「あ、それ、私も見ました。すっごく可愛いメイドさんでしたねっ!」

加蓮「いじると可愛くなりそうだね」

藍子「そうじゃなくてー」

加蓮「ふふっ」

藍子「メイドさんですか……」

加蓮「藍子がやると、奈緒とは全然違う感じになりそうだね」

藍子「似合う、かな……」

加蓮「似合うと思うけど?」

藍子「うーん」

加蓮「あ、メイドって言ってもアキバのカフェにいるみたいなんじゃなくて、ちょっと昔のね」

加蓮「ほら、ヨーロッパとかそんな感じの。なんかお屋敷にいるやつ」

藍子「うちの事務所にも、メイドさんがいそうな方が何人か……」

加蓮「いるね」

藍子「お屋敷やお城のメイドさんは……私、あんまりてきぱきできないから、足を引っ張っちゃいますね」

加蓮「そう? ゆっくりやってる方が主人も落ち着くと思うけど」

藍子「そうなんでしょうか」

加蓮「うん。萌える萌える」

藍子「そういうメイドではなかったんじゃ……?」

加蓮「そうだ、ちょっと昔話をしてあげる。病院にさ、おばあちゃんみたいな看護婦がいたんだ。あ、今は看護師って言うんだっけ」

藍子「おばあちゃん」

加蓮「やることなすこと、すごいトロトロしてるんだよね。最初の頃はちょっとイラッとしちゃって」

藍子「やっぱり……」

加蓮「いいから続きを聞いて。次に新人っぽい人が来て」

藍子「ふむふむ」

加蓮「私は地獄を見た」

藍子「へ?」

加蓮「死ってる? 違った、知ってる? 口から飲むものってさ、直接、血管に入れられたらあの世行きなんだって」

藍子「……ってことは」

加蓮「そのことを知らなかったら、あとその時の私に疑心暗鬼が入ってなかったら、今頃、私は河原で石でも積んでたか、小梅ちゃん担当にでもなっていただろうね」

藍子「……(ぶるぶる)」

加蓮「ちなみにその新人を二度と見ることはなかった。おばあちゃんのありがたみがよーく分かったよ」

加蓮「……ま、そういう訳で、焦って殺しかけるくらいなら、のんびりしてしっかりやってくれる方が……って、藍子? おーい、顔が真っ白だよー?」

藍子「……~~~~っ!」

加蓮「え、ちょ、なんで泣いて!?」

藍子「だ、だって……っ!」

藍子「加蓮ちゃんが死んじゃうとこ、えぐっ、想像しちゃって……っ!」

加蓮「……うん、なんかゴメン。ネタ振り間違えたね。はいハンカチ」

藍子「あびがどうございばず……、……~~~っ!」

加蓮「え、今度は何?」

藍子「その布をどかしても、加蓮ちゃんは、ひくっ、もう声も聞けなくて……うわあああああ~~~~ん!!!!」

加蓮「妄想で人を殺すなーっ!」




加蓮「……落ち着いた?」

藍子「ぐす……はい、もう大丈夫です」

加蓮「よかった。うわ、ハンカチがぐしゃぐしゃ」

藍子「ごめんなさい……あの、いろいろとごめんなさい」

加蓮「あーあー、まだ鼻水出てる。はい」

藍子「ちーん。……うう、お恥ずかしいところを、それにご迷惑まで」

加蓮「いいって。こっちこそゴメンね。ちょっと刺激が強い話だったか」

藍子「うぅ……」

加蓮「泣き虫」

藍子「悲しいお話は、あんまり好きじゃないです」

加蓮「そりゃ私だってハッピーエンドの方が好きだけどさ。ほら、また鼻が出てる」

藍子「ちーーーん。……はい、これで大丈夫です」

加蓮「ぷっ。目が真っ赤」

藍子「そ、それはしょうがないです」

加蓮「それにしても……まあ大泣きしたのはいいとしても、私のことはそんなに気にしなくていい、って言っても難しいよね」

藍子「……はい」

加蓮「じゃあ、少し言い方を変えてみよっか」

藍子「言い方?」

加蓮「うん。ええとね、気遣われると逆にムカつくから、そういうのやめて」

藍子「そうなんですか」

加蓮「いい意味の特別もあるけど、悪い意味の特別だってあるでしょ」

藍子「え、ええっと」

加蓮「藍子だって……ほら、スタイルがあんまりよくないからって衣装とか気遣われたら腹立つでしょ」

藍子「私は別に……。それに、仕方のないことで、私が悪いんですから」

加蓮「……あっそ」

藍子「……え? あの、なにか私、悪いこと、言っちゃいました?」

加蓮「ううん。別に。アンタは悪くないと思うけど」

藍子「加蓮ちゃん……」

加蓮「……はぁー。どうしようもないことって、やっぱりあるんだよね。悔しいなぁ、ってだけ」

藍子「そうなんですか……」

加蓮「ほら、また泣きそうな顔してる……やめてよ。その方が、見てて堪えるよ」

お前が想ってる分想われてるんやで…って、
本当の意味で加蓮が気付けるのはいつになるかな…

藍子「はい……」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……いいや、うん! 難しい話は終わり! 暗い話をすると余計に滅入るよ。ね?」

藍子「……はいっ、そうですね!」

加蓮「ま、変に遠慮されると加蓮ちゃんは傷つくから、もっとグイグイやっていいよ、ってこと」

藍子「それでいいってことですか? でも、私、のどはかわいてないです」

加蓮「うっさい天然」

藍子「天然!?」

加蓮「ホケホケしてる藍子には分かんないだろーなー」

藍子「むぅ。つまり、加蓮ちゃんからの挑戦状ってことですね」

加蓮「お?」

度重なるミス大変申し訳ございません。>>35>>36 の間にこれを入れてください……。



藍子「ぐいぐい?」

加蓮「グイグイ」

藍子「どーん、って感じですか?」

加蓮「どーん、って感じ」

藍子「そういうのは、ちょっと苦手かも」

加蓮「頑張れパッショングループ。私もそうさせてもらうからって。ほら、さっきみたいに、喉がかわいたらなんかとってきてー、みたいな感じで」

藍子「私が加蓮ちゃんのことを、どれだけ分かってあげられるかっていう」

加蓮「うんうん。景品は何がいい?」

藍子「じゃあ、メイドさんの加蓮ちゃんで!」

加蓮「だめ。私はご主人様の方だもん」

藍子「ええっ。たまには交代しましょうよ。ほら、お仕事の練習だと思って」

加蓮「はいはい。オカエリナサイマセゴシュジンサマー」

藍子「気持ちがこもってないっ」

加蓮「お帰りなさいませご主人様(笑)」

藍子「鼻で笑ったら、ご主人様に怒られちゃいますっ」

加蓮「お帰りくださいませご主人様」

藍子「おいかえされたっ」

加蓮「……うん。わかった。似合わない。超似合わない」

藍子「そんなの、まじめにやってみなきゃ分からないですよ、もー」

加蓮「はいはい。Pさんが持ってきたらね」

藍子「だったら今度、私がPさんにお願いしちゃいますね」

加蓮「甘いね藍子。その前に私が、それとなく『Pさん。藍子ってメイドとか似合うと思わない?』って言っとくから」

藍子「むー」

加蓮「……あ、駄目だこれ」

藍子「へ?」

加蓮「その後に藍子が同じこと言ったら、Pさんならまとめて同じ仕事を持ってきかねない」

藍子「………………」

加蓮「こら藍子、それはステキですねって顔しない。目ぇキラキラさせない。カメラのメンテとか今いらないでしょ。なんでアルバムの残り枚数を指折り数えてるのかな? ここ喫茶店じゃないからサイフとかいらないよね? ってちょっとくらい話を聞け!」

藍子「うん、買いだめしてるアルバムを使えばなんとか……」

加蓮「買いだめ!? アルバムの買いだめって何!?」

藍子「……? 買いだめは買いだめですよ?」

加蓮「そうじゃなくて! しかもそれを持ってきてなんとかって言うくらいに撮る気!?」

藍子「だってメイドさんの加蓮ちゃんですよ? アルバム1冊分でも足りませんっ」

加蓮「1枚でいいでしょ! それにほら、あれだよ、Pさんの手にかかればわきだのへそだの見え放題な服を着さされるよ」

藍子「……………………加蓮ちゃんの可愛い姿を見るためには、必要な犠牲ですね」

加蓮「やめいっ。アンタそのうちダマされるよ。世の中にはね、平気な顔して詐欺る男とかいっぱいいるんだから」

藍子「はぁ、それは大変です」

加蓮「そそ。藍子みたいな天然なんてすぐに喰い散らかされてポイなんだから」

藍子「じゃあ、そうならないように、加蓮ちゃんが私のことを守ってください」

加蓮「……あー……そう来るか」

藍子「そうしたら私は、いつもおつかれの加蓮ちゃんを助けてあげます。あはっ。ホントに加蓮ちゃんのメイドさんになったみたい」

加蓮「お釣りが来るって。こんないいメイドじゃ」

藍子「あ、でも、ご主人様を守るのって、ちょっとメイドさんみたいじゃないですか?」

加蓮「ヤダ」

藍子「そうだ、ちょうど今日は愛梨さんがいますから、メイドさんの衣装を借りちゃいましょう」

加蓮「やめて」

藍子「カメラもばっちりですっ。ちょっと探してきますね!」

加蓮「こら! ……あー、もー、人が動けないからって、あの隠れパッションめ……」

藍子「愛梨さん、今日はメイドさんの服を持ってきてないって言ってました……」

加蓮「ふふっ、残念でしたー」

藍子「今は家の方にあるから、今度、持ってきてくれるって。お願いしておきました!」

加蓮「いや、だから持ってきたところで着ないし、私はメイドとか柄じゃないから」

藍子「あ! もしかしたら、事務所の方に予備があるかもしれませんっ」

加蓮「先に気づきなさいよ……でも今、着替えもできないほど疲れてるんだけど」

藍子「じゃあ私が着せてあげちゃいますっ」

加蓮「…………」グヌヌ

加蓮「…………あっ、そうだ。ほら、私って今ちょっと汗だくだから、メイド服に悪いよ」

藍子「それは……そうですね」

加蓮「ね? だからほら、メイドはまた今度で」

藍子「今度なら着てくれるんですか? 私、メモしておきますから忘れませんよ?」

加蓮「…………やっぱ今度でもヤダ」

藍子「そんなこと言って、ホントはちょっと興味があったり」

加蓮「ない」

藍子「Pさんが頼んでも?」

加蓮「……………………ま、まあ、私も一応、プロのアイドルだからね。仕事なら全力を尽くさないと」

藍子「くすっ。いじっぱり」

加蓮「知ってる癖に」

藍子「私だって、こう見えてパッショングループです」

加蓮「知ってる。っていうか、さっき思い出した」

藍子「趣味はカメラですから!」

加蓮「公式プロフじゃ近所の公園を散歩ってなってたでしょーが」




藍子「まだ、お疲れですか?」

加蓮「うん。主に誰かさんのせいでね」

藍子「……加蓮ちゃんはいつも大変ですねー」

加蓮「元凶が目を逸らすな。あとその姿勢も」

藍子「姿勢?」

加蓮「ソファの背もたれから乗り出して覗きこんで来られたら、なんか私が子供扱いされてるみたいなんだけど」

藍子「加蓮ちゃんが子供ですか。苦労しちゃいそうなお子さんですね」

加蓮「……今度は泣きそうな顔しないんだ」

藍子「だって、そうしろって言ったの、加蓮ちゃんですよ?」

加蓮「ん」

藍子「ふふっ」

加蓮「……ありがと」

藍子「次は、何を飲みますか?」

加蓮「今はいいってば。飲み過ぎてもよくない感じで体にたまるし」

藍子「レッスンの後に一気飲みしちゃうと、辛いですよね。私も、何回かやっちゃって」

加蓮「でも誘惑に負けちゃうんだよね」

藍子「ですねー」

加蓮「一口だけ、一口だけ。そしてなくなるペットボトル」

藍子「お腹がたぷたぷして、動くのもツラくなっちゃう」

加蓮「アイドルって大変だね」

藍子「アイドルって大変ですね」

加蓮「ふふっ」

藍子「あはっ」

加蓮「誘惑って言えばさ」

藍子「はい」

加蓮「藍子、最近ちょっと太った?」

藍子「うぐぅ!? ……まま、前もそんなこと言われたような、あはははは……」

加蓮「あれ、言ったっけ? ……じゃあ何回も気になるほどってことでしょ」

藍子「いえいえ、えーと……」

加蓮「や、なんか丸っこくなってるような……ちょっとだけ」ジー

藍子「そそそ、そんなことないですよ? ないはずですよ? 最近はレッスンたくさんやっててお散歩でしっかり体も動かして」

加蓮「ふーん」

藍子「やだなぁー加蓮ちゃん。イタズラでも言っていいことと悪いことがありますよー?」

加蓮「でも私とカフェにいる時、いっつも1000円分とか1500円分とか食べたり飲んだりしてるじゃん」

藍子「う」

加蓮「私がおごる時とかさ、え、高くない? そんなに食べたっけ? ってレシート見てみたら、藍子の注文ばっかり並んでるもん」

藍子「うう」

加蓮「ね?」

藍子「……つい、おいしくて」

加蓮「いいじゃん。っていうかさ、少しくらい太れば?」

藍子「へっ?」

加蓮「肉、なさすぎだって」

藍子「そんなこと、ないと思いますよ」

加蓮「ある」

藍子「それに、アイドルだから、体型くらい維持しなきゃ」

加蓮「骨が踊ってても何も面白くないと思うけどな」

藍子「さすがにもうちょっと……た、確かにその、アイドルっていうにはいろいろと……いろいろと足りないかもしれませんけどっ」

加蓮「だから肉つければいいじゃん」

藍子「ちょっとはあります!」

加蓮「ちょっと?」

藍子「ちょっとは!」

加蓮「おし、分かった。そこまで言うなら私が試してあげよっか」

藍子「うう、おてやわらかに……」

加蓮「でもどうしようかな。抱き心地とかさすがに照れるし。あ、そうだ藍子。あれやってよ」

藍子「あれ?」


加蓮「膝枕」




藍子「……な、なんだか緊張しますね、これ」

加蓮「……うん。ぶっちゃけ抱き心地とそんなに変わらない気がしてきた」

藍子「あうぅ……」

加蓮「……よし。うん。女は度胸! そりゃっ!」

藍子「ひゃっ!」ヒュッ

加蓮「いたっ!」ベチョ

藍子「あ」

加蓮「いたた……ちょ、避けないでよ!?」

藍子「ごめんなさい、つい……大丈夫ですか?」

加蓮「まあソファだからね。実はそれほどでも。超びっくりしたけど」

藍子「でも、膝枕ってそんな勢いづけてやるものじゃ、あ、いえ、やられるものじゃないと思います」

加蓮「そんなもん?」

藍子「膝に頭を乗せようとしたらソファに顔をぶつけた、だなんて、ヘンすぎてラジオのネタにもできませんよ」

加蓮「そうかなぁ。ウケると思うんだけど」

藍子「そうかなぁ……」

加蓮「……いや、私がドジっ娘みたいに言われるのも嫌だしなぁ」

藍子「!」

加蓮「弱みを見つけたみたいな顔すなっ」ベチ

藍子「えへ」アウ

藍子「じゃあ、はい。加蓮ちゃん。どうぞ」ポンポン

加蓮「……罠?」

藍子「ちがいますっ。さっきのは、ちょっとびっくりしただけですから」

加蓮「あはは……じゃあ失礼してっと」スッ

藍子「ひゃっ」

加蓮「……」

藍子「ど、……どうですか?」

加蓮「……」

藍子「加蓮ちゃん?」

加蓮「……」

藍子「あのー……?」

加蓮「…………スヤァ」

藍子「もう寝てる!?」

加蓮「はっ。い、いやあついうっかり。私も疲れていスヤァ」

藍子「お話しながら眠っちゃうんですか!?」

加蓮「はっ。い、いったん退避!」バッ!

藍子「え、えっと」

加蓮「……藍子」

藍子「は、はい」

加蓮「ヤバイ」

藍子「え」

加蓮「これヤバイ」

藍子「やばいんですか」

加蓮「うん。ヤバイ。肉付けるとかスイーツとか吹っ飛んじゃうくらいヤバイ。あ、もっかい」

藍子「……はい、どうぞ」

加蓮「よいしょ。…………………………はふん」

藍子「加蓮ちゃんがこれまでにないくらいリラックスした顔に……!」

加蓮「あぁー……、あぁー……」

藍子「あはは……ちゃんとした言葉になっていませんよ?」

加蓮「……私、藍子の膝が枕なら、もう病院生活でいい」

藍子「あんなに嫌がってたのに!?」

加蓮「不味い病院食とかウザい医者とかいくらでも我慢できるぅ……」

藍子「えぇー……あ、アイドルやりましょう。加蓮ちゃんが夢見たアイドル! ねっ?」

加蓮「じゃあおひるはアイドルするから、よるは藍子のひざで。あ、駄目だそれ、私、しあわせすぎて死ぬ。毎日、さんずの川を泳ぐ」

藍子「そんなに!?」

加蓮「トドメにPさん呼ぼう。いっしょに生活しよう。Pさんと藍子が一緒……おはようからおやすみまで……うへへ……ぐへへへ……」

藍子「加蓮ちゃん加蓮ちゃん、女の子がやっちゃいけない顔になってますっ」

加蓮「んへへへ……すぅ」

藍子「あ、本格的に寝ちゃった、かな……? 気持ちよさそう。そんなに気に入ってくれたのかな? ……えへへっ」

加蓮「すぅ……」

藍子「……さっきの、冗談じゃないですけど、こうしていると、まるで……ううんっ。そんなんじゃないですよね」

加蓮「くぅ……えへ……」

藍子「……ふふっ。キレイなかお……」

加蓮「……」

藍子「……お、起きないよね?」キョロキョロ

加蓮「ううん……」

藍子「!? ……寝言……? ……あはっ、今の、起きるって言ったんですか、起きないって言ったのかな?」

加蓮「うん……」

藍子「……それじゃ、分かりませんよ、もー」

加蓮「……」

藍子「……」ナデナデ

加蓮「……」

藍子「ふふっ……」ナデナデ

加蓮「……えへぇ」

藍子「くすっ。いつもお疲れ様です、加蓮ちゃん。私でよろしければ、こうやって、いつだって……ふわぁ……なんだって…………」

加蓮「……すー」

藍子「……くぅ」




加蓮「んー……。んん……? ここ……事務し」パチッ

藍子「すぅ……えへへぇ……」(顔面ドアップ)

加蓮「ょうふぁるあるべしるぁっ!?」

(ごちーん☆)

加蓮「あばべっ!」

藍子「きゃう!?」

加蓮「いっ……たあああああああ!!」

藍子「わ、わ、なに、なにが起きたんですか!? いたい、なんだかすっごく頭が痛いです!」

加蓮「でこ、でこが割れる、割れるぅ……」ゴロゴロゴロゴロ

藍子「加蓮ちゃん!? なんで床の上で転がっているんですか!? え、えっと、ここは、事務所? ソファ? ええと……」

加蓮「脳が、脳みそがゆれた。今絶対に脳みそゆれた……」

藍子「ええと、ええと、そうだっ、私、加蓮ちゃんに膝枕を……なのに床に……加蓮ちゃんってそんなに寝相が悪いんですか!?」

加蓮「天然通り越して馬鹿か! ……うぷっ、吐き気が」

藍子「ええっ!? たた、大変です。えっと、えっと、とりあえずお水を持ってきひゃあっ!」ツルッ

藍子「わっ」

(ごちーん☆)

加蓮「ばああああああああ~~~~~~っ!!!」

藍子「いったぁ……足がしびれ、って加蓮ちゃんっ大丈夫ですか!?」

加蓮「と、トドメ、さして、何を……がくっ」

藍子「加蓮ちゃああああああん!」




加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……何事かってすっ飛んできたね、ちひろさん」

藍子「見るなり、まあ、仲良しなんですね♪ って」

加蓮「私が死にかけてたことは見えなかったのかな……」

藍子「私たちを見て、すぐに出ていっちゃいましたから」

加蓮「やんちゃは仮眠室でお願いしますね、だって」

藍子「やんちゃ、ってなにでしょうか……?」

加蓮「それはもう、アレでしょアレ」

藍子「あれって?」

加蓮「なんでもない」

藍子「なんだか、小さな子供に戻ったみたいですね。おひるねしたり、どたばたしたり」

加蓮「……普通の女の子って、こういう感じなのかな」

藍子「あ……!」

加蓮「ん? あー、まぁ、できなかったから今を楽しむんだって。普通の女の子をね」

藍子「……そうですね……えと、はいっ! いっぱい楽しみましょう!」

加蓮「あははっ。足をもつれさせた時の藍子の顔、最高だったなぁ」

藍子「も、もう、やめてくださいよっ」

加蓮「まあ直後にトドメを刺されたけど」

藍子「うう、ゴメンナサイ」

加蓮「これぞ二度寝」

藍子「うぅぅ……」

加蓮「藍子の珍しい顔を見れたから、今回はチャラってことで。ね?」

藍子「……許してもらって喜ぶべきでしょうか。それとも怒るところなのでしょうか」

加蓮「両方やれば?」

藍子「それじゃ、よくばりさんです」

加蓮「そういえば、今って何時?」

藍子「ええと……わっ、もう7時!」

加蓮「まーた藍子は」

藍子「私のせいですか!?」

加蓮「……うわ、母さんからメールがたくさん来てる。怒られるなこりゃ」

藍子「私もです……あうぅ」

加蓮「よし、開き直ろう」

藍子「ええ?」

加蓮「今日はPさんと晩ご飯を食べてくるね、友達もいっしょ……っと」

藍子「またそんな勝手なことを……」

加蓮「え? 嘘にしなきゃいいんでしょ? さーて、Pさんの予定は……」

藍子「あはっ……もー」

加蓮「ホワイトボードには19時20分帰社、整理後に帰宅ってなってるね」

藍子「そうみたいですね」

加蓮「よし。じゃあ晩ご飯はPさんにオゴってもらおう。ほら、藍子も一緒に」

藍子「そんな。Pさんに悪いですよ」

加蓮「ふうん。じゃあ藍子はPさんとディナーに行きたくないんだ。へー」

藍子「……………………」

加蓮「ふ~~~~~ん?」

藍子「……………………いきたいです」

加蓮「ね? 自分に正直になっちゃえって♪」

藍子「はーい……」

(ガチャ)

加蓮「あ、Pさん。おかえりー」

藍子「おかえりなさい。お疲れ様です」

加蓮「ね、晩御飯もう食べた? まだ? じゃあどっか食べに行こうよ。Pさんのオゴりで」

加蓮「……ふふっ、ありがと。ほら、藍子も――え? うんそうだよ、藍子も一緒。今月ピンチ?」

加蓮「まーまー、その分、私たちが稼いであげるから。……調子のいいこと言うなって? いいじゃん♪ ね、藍子?」

藍子「え、あ、はいっ! あの、大丈夫ですか? その、お金とか……え? もっと甘えていい、ですか……」

藍子「……はい、分かりました! じゃあ、よろしくお願いしますっ」

>>80
加蓮→加蓮母は「お母さん」
…さすがに細かいかな?この加蓮なら母さんでも自然ではあるが


おしまい。
今日も今日とて面倒くさいふたりです(最大級の褒め言葉)。

……相変わらずミスしてばかりなのは大変申し訳ございません。

>>85 orz アリガトウゴザイマス、モウヤダ
>>80
誤:加蓮「……うわ、母さんからメールがたくさん来てる。怒られるなこりゃ」
正:加蓮「……うわ、お母さんからメールがたくさん来てる。怒られるなこりゃ」

ミスしてばかりだって今言ったばっかりなのに!

乙乙、呼称指摘厨で済まぬ
手がかかる子ほど可愛いっていうしね、何気ない風景だけどいつまでも見ていたくなる
シリーズ化するなら末長く続いてって欲しい!

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