雪乃「ここは奉仕部といって…」

八幡「なるほど！女神であらせられる雪ノ下様への御奉仕を奨励する部活ですね！」

雪乃「違うわよ！」

八幡「え？他にどんな活動が…」ｵﾛｵﾛ

雪乃「私に奉仕するのではなくて、私が持たざる者に奉仕するための部活よ」

八幡「なんと慈しみ深い…」ﾌﾞﾜｯ

雪乃「正確には依頼者本人が物事を解決出来るように導くのだけれど」

八幡「私もその御活躍の助力をさせてください！」ﾄﾞｹﾞｻﾞ

雪乃「もうなんなのこの人…」ﾋｸｯ

八幡「私ですか？私は比企谷八幡と申…」

雪乃「そういう意味じゃないわよ！」

八幡「失礼しました！」ﾋﾞｼｨｨｯ！

雪乃「とにかく、依頼者が来るまでは基本的に自由よ」

八幡「はっ！」ﾋﾞｼｯ

雪乃「…」ﾍﾟﾗｯ

八幡「…」ｶﾁｺﾁ

雪乃「…」ﾍﾟﾗｯ

八幡「…」ｶﾁｺﾁ

雪乃「…」ﾁﾗｯ

八幡「…」ｶﾁｺﾁ

雪乃「座らないのかしら？」

八幡「かしこまりました」ｾｲｻﾞ

雪乃「椅子に座ればいいじゃない…」ﾋｸｯ

八幡「女神様であらせられる雪ノ下と同じ目線に座するなどなりません」ｶﾁｺﾁ

雪乃「…好きにしなさい」ﾍﾟﾗｯ

結衣「あのー、奉仕部ってここですか？」

八幡「何だお前は、無礼な奴め」

雪乃「普通はこんなものよ…」

結衣「っていうか、ヒッキーじゃん！何してんの？」

雪乃「あら、あなたの知り合い？」

八幡「いいえ知りません」ﾋﾞｼｯ

結衣「同じクラスだよね！？」

八幡「え、そうなの？」
結衣「うわあヒッキーサイテー…」

八幡「いやいや、お前みたいなビッチそうな奴一番関わらないし」

雪乃「普通に話せたのね…」

結衣「ビッチってなんだし！あたしはまだ処…」ﾎﾞﾝｯ！

八幡「知るか」ｹｯ

雪乃「私との態度の温度差がすごいわね…」

結衣「むー！」ﾌﾟﾘﾌﾟﾘ

八幡「クッキー？」

結衣「そうなんだよ、どうしてもお礼がしたい人がいてさ」

雪乃「料理の経験はあるのかしら？」

結衣「…ない」

八幡「普通に市販のちょっと高めの奴でいいんじゃね？」

結衣「やー、そこはほら、真心とかがさ…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

八幡「そういうもんかね」ﾎｹﾞｰ

雪乃「家庭科室へ行きましょう」

八幡「はっ！雪ノ下様！」ﾋﾞｼｨｯ

結衣「なにヒッキーのこの態度…」ﾑｶｯ

八幡「んで、由比ヶ浜はどんなクッキーを作って渡したいんだよ」

結衣「普通に美味しいクッキーを渡したいかな」
雪乃「ならお手本を見せるからそれに付いて来る形で作ってみて」ｶｼｭｶｼｭ
結衣「分かった！」ｶｼｭｶｼｭ

八幡「さすがは雪ノ下様、製菓もなされるとはやはり女神様です」ｷﾗｷﾗ

結衣「うわあ…」

雪乃「お菓子づくりは計量が肝心よ」

結衣「う、うん！分かった！」

八幡「由比ヶ浜もがんばれー」

結衣「あ、ありがと…」ﾃﾚﾃﾚ

雪乃「…」

八幡「由比ヶ浜」

結衣「なにヒッキー？」

八幡「お前、雪ノ下様と同じ手順でクッキー作ったよな？」ﾋﾟｷﾋﾟｷ


結衣「うん、計量もバッチリだったよ？」


八幡「焼き時間は？」ﾋﾟｷﾋﾟｷ


結衣「全く同じだね」


八幡「テメエ雪ノ下様と同じ手順でクッキー作って何なんだよこの差は！？」ｸﾜｯ

結衣「う…確かに」

雪乃「有り得ないわ…全て問題はなかったのに…」

八幡「見た目だけイカレてんのかと食ってみたら死ぬかと思ったわ！雪ノ下様のクッキーから食ったから天国から地獄に叩き落とされた気分だわ！」ｶﾞｱｱｱｱｱ！

雪乃「…やはりもう一度食べても酷いわね…」ｺﾞﾘｭｯｶﾞｼﾞｭｯ

八幡「ゆ、雪ノ下様！いけません！御自愛下さい！私が処理しますから！」ｶﾞﾊﾞｯ！

結衣「ヒッキー…」ｳﾙｳﾙ

八幡「…ぐむぅ…ぐぅ…」ｺﾞﾘｭｯｶﾞｼﾞｭｯ！ｷﾞｬﾘﾘﾘ！


雪乃「咀嚼の音なのに金属音が…」

結衣「いいよ！無理しないで！捨てるから！」ﾜﾀﾜﾀ

八幡「はあはあ…由比ヶ浜、味は死人が出る可能性もあるが、真心は伝わるぞ…」ｾﾞｴｾﾞｴ

結衣「ヒッキー…！」ﾊﾟｱｯ

雪乃「計量よりも肝心なことなのかも知れないわね」

八幡「雪ノ下様のような女神様に生まれる方もいれば、お前のようにビッチに生まれる奴もいる…俺みたいなクソムシもな」

結衣「クソムシ…」ﾋｸｯ

八幡「雪ノ下様に味見は絶対にさせん、だから練習してたまに持って来い、俺なら問題ないから」

雪乃「私も味見の義務があるのだけれど…」

八幡「絶対にさせません！」ﾋﾞｼｨｨｯ！

結衣「分かった！ありがとうヒッキー！ゆきのん！家で練習してくるよ！」ﾀﾀﾀﾀ


八幡「テメエ雪ノ下様になんつうあだな付けやがんだ！」ｸﾜｯ！

雪乃「構わないわ」

八幡「そうでしたか、出過ぎたまねをしてしまい申し訳御座いません」ﾋﾞｼｯ

雪乃「とまあ、今日のような事が奉仕部の活動よ」

八幡「なるほど、確かにこれは雪ノ下様でないと難しいですね」


雪乃「あなたの活躍も良かったわよ、ご苦労様」

八幡「ゆ、雪ノ下様…」ﾌﾞﾜｯ

雪乃「片付けて帰りましょう」ﾆｺｯ

八幡「はい！」ﾋﾞｼｨｨｯ！

次の日

結衣「おーいヒッキー」ﾎﾟｲ

八幡「？」ﾊﾟｼｯ

結衣「練習してきたから味見よろしく」

八幡「…」ｶﾞﾘｺﾞﾘ

結衣「ど、どうかな？」ｿﾜｿﾜ

八幡「マズ…」ｺﾞﾘｺﾞﾘ

結衣「そっか…」ｼｭﾝ

八幡「昨日よりはマシだけどな」

結衣「…ありがと」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

八幡「気にすんな」

ごめんちゃい、眠すぎてもう書けない

別の日

八幡「…」ｾｲｻﾞ

雪乃「…」ﾍﾟﾗｯ

結衣「…」ﾑﾑﾑ

八幡「…」ｾｲｻﾞ

雪乃「…」ﾍﾟﾗｯ

結衣「…」ｸﾞﾑﾑ

八幡「…」ｾｲｻﾞ

結衣「な、なんでヒッキーは正座してんの？」ｺﾞﾛｺﾞﾛｰﾝ！

八幡「俺が雪ノ下様の忠実なる下僕だからだ」ﾋﾟｼｬｰﾝ！

雪乃「下僕…」ﾋｸｯ

結衣「そ、それって…」ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ…

八幡「ふん、女神様にかしづかぬ不届き者が」

結衣「ああ、ヒッキーただのバカなんだ」ﾎﾟﾝ

八幡「そこに直れ！叩っ斬る！」ｸﾜｯ！

結衣「斬るってなんだし！？」ﾋﾞｸｯ！

雪乃「そこまでにしなさい二人共」

八幡「はっ！」ﾋﾞｼｯ

結衣「はーい…」ｼﾌﾞｼﾌﾞ
雪乃「まったく…比企谷君、いい加減にしなさい」

八幡「すみません…」ｼｭﾝ

結衣「やーい、怒られてるー！」ｹﾞﾗｹﾞﾗ

雪乃「由比ヶ浜さんも一々乗らないの」

結衣「はーい…」ｼｭﾝ

八幡「やーい、怒られてやんのー！」ｹﾀｹﾀ

雪乃「比企谷君は更に怒られたいの？」ﾆｺﾆｺ

八幡「いえ！滅相もございません！」ﾋﾞｼｯ！

結衣「…」ﾆﾔﾆﾔ

八幡「ぐぬぬ…」ｷﾞﾘｯ

雪乃「それにしても依頼が来ないわね」ﾍﾟﾗｯ

八幡「聞いて回りましょうか？」ｽｸｯ

結衣「なにその行動力！？」

雪乃「いいわ、待ちましょう」

八幡「はっ！」

葉山「奉仕部はここかな？」

八幡「違う、一つ上の階だ」ｼｯｼｯ

雪乃「嘘を教えないの」ﾊﾞﾁｺｰﾝ！

八幡「ありがとうございます！」ﾍﾞｼｬｯ

結衣「隼人君じゃん」

葉山「結衣じゃないか」
八幡「あん？お前の彼氏か？」

結衣「違うし！」

葉山「君とも同じクラスのはずだよ比企谷君」

八幡「イケメンは帰れ！雪ノ下様の目の毒だ！」ｼｯｼｯ

結衣「ただの醜い嫉妬だ！？」

雪乃「用件を聞きましょう」

結衣「チェーンメールかあ」

八幡「それってあれか、何時間以内に何人にメールを回さないと呪われる的なやつか」

葉山「少し違うけど大体はそうだね」

雪乃「詳しく話して」

葉山「俺が普段一緒にいる奴らの悪口が出回っててね」

八幡「ならお前等で解決しろよ、はい解散」ｼｯｼｯ
雪乃「ここは奉仕部よ比企谷君」ﾊﾞﾁｺｰﾝ

八幡「ありがとうございます！」ﾄﾞﾁｬｯ

結衣「でも、どうやって犯人を見つけるの？」

葉山「犯人は見つけなくていいんだ、メールさえ来ないようになればいい」

もう無理、寝る

結衣「でも犯人がわからないと止めさせれないじゃん」

雪乃「犯人が外部ならこの学校全ての生徒が容疑者になるわね」

葉山「そこは恐らく友達の仕業だろう」

八幡「根拠は？」

葉山「俺とそいつらしか知らないはずの内容がメールに書いてあった」

雪乃「具体的な人数は？」

葉山「三人だね、大和、戸部、大岡がメールの内容の三人だよ」

八幡「知らん奴らだけど、その三人で誰が一番怪しいとか分からねえの？」

葉山「分からないよ、メールが三人の内の誰かに偏っても逆に怪しいし、均一ならそれも考え物だろ？」

雪乃「とりあえず同じクラスの比企谷君と由比ヶ浜さんで様子を見てみましょう」

八幡「かしこまりました雪ノ下様！」ﾋﾞｼｯ

結衣「任せてゆきのん」
葉山「よろしく頼む」

八幡(雪ノ下様の命令とは言え、興味ない連中にわざわざ集中して聞き耳を立てるのは少ししんどいな)

葉山「はははは！」

八幡(実に画になるイケメンスマイル、雪ノ下様を毒牙に掛ける前に叩っ斬ってやろう)

葉山「どうかな？わかりそうか？」

八幡「まだ分からん」

葉山「そうか…」

大和「…」

戸部「…」

大岡「…」

八幡「あ」ﾃｨﾝ！

葉山「何か分かったか？」

八幡「まあな、お前の希望には沿うが雪ノ下様に納得して頂けるかが分からん、休み時間に部室に来い」

葉山「ああ、分かった」

雪乃「聞かせてもらえるかしら？」

八幡「はっ、葉山が私に絡んできたから分かったことなのですが」

結衣「ふんふん」

葉山「…」

八幡「簡単な話、葉山とあの三人は友達関係が成り立っておりますが、あの三人は友達関係が成り立っていないものと思われます」

雪乃「つまり」

八幡「友達の友達の関係だからあのようなメールが出回ることになったのかと」

葉山「なるほどな…」

結衣「なんか分かるかも」

雪乃「その話だと解決方法が見当たらないじゃない」

八幡「葉山の依頼はメールを速やかに止めることにありますので簡単かと」

雪乃「？」

葉山「どうやってだよ」
八幡「お前があいつらとしばらく連まなきゃいいんだよ、友達と友達の付き合いにしてやりゃ簡単にメールはなくなるだろ」

雪乃「葉山君を抜けさせて残りの関係を強化するのね」

結衣「おー…」

葉山「やってみるよ」

八幡「おう、二度と来んなよ」ｼｯｼｯ

結衣「最後テキトーだ！？」

葉山「ははは、来る必要がないようにするよ」ｽﾀｽﾀ

八幡「へいへい」ｹｯ

雪乃「あなた予想の斜め上を行くわね」

八幡「ありがとうございます！」ﾋﾞｼｯ

結衣「褒められてるのそれ？」

八幡「アホのお前は今回何をしたでもないからな、お前よりはマシだろ」
雪乃「由比ヶ浜さんは次は頑張ってちょうだい」
結衣「うう…はい」

雪乃「私なら犯人を徹底的に探し出してあげるのだけれど」

結衣「ゆきのんならやりそうだね」

八幡「それをすると時間が掛かりますし、何より雪ノ下様にわざわざお知恵を絞って頂くのは申し訳ないですよ。」

雪乃「ここはそういうところよ」

八幡「雪ノ下様は女神様ですから、もっと高尚な問題を御解決下さい、今日のような愚問には私と由比ヶ浜のような愚か者がおりますので」

結衣「あたし巻き込んだ！」ｶﾞｰﾝ

雪乃「…」

八幡「さて、時間まで待機ですね」ｾｲｻﾞ

結衣「また正座…」

雪乃「とにかくお疲れ様」

八幡「ありがとうございます！」ﾄﾞｹﾞｻﾞ

結衣「うわあ…」ｻﾞｻﾞｰ…

別の日　ベストプレイス

八幡（パンうめえ）ﾓｸﾞﾓｸﾞ

結衣「あれ、ヒッキーじゃん」

八幡「パンうめえ」ﾓｻﾓｻ
結衣「いや、シカトすんなし」

八幡「んだよ、今俺はドラゴン桜ごっこで忙しいから後にしろ」ｼｯｼｯ

結衣「何それ」ｽﾄﾝ

八幡「知らんでいい」ﾑｼｬﾑｼｬ

結衣「まあいいや、ゆきのんの罰ゲームで来ただけだし」

八幡「…」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ
結衣「ど、どうしたの？」

八幡「雪ノ下様が…俺に話し掛けさせる事を罰ゲームにするだと！？何かやからしたか！？あわわわわわ…」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ
結衣「罰ゲームってジュース買いに行くか行かないかだから！落ち着いてよ！」ﾄﾞｳﾄﾞｳ

八幡「そうか、それならいいんだ」ﾎｯ

結衣「ヒッキーはゆきのんが大好きだよね…」

八幡「大好きだとかそんな今時JｰPOPでも使わんような形容をするな、俺は雪ノ下様の為に生きて雪ノ下様の為に死ぬつもりだ」

結衣「重っ！？」

八幡「女神様だからな」
結衣「ふーん…」ｼﾞﾄｰ

八幡「んだよ、睨みやがって、怖いから泣くぞ？」

結衣「何でもなーい」ﾌﾟｲｯ

「由比ヶ浜さん？」

結衣「あ、さいちゃん！やっはろー！」

戸塚「やっはろー、何してるの？」

結衣「ジュース買いに来てさ」

戸塚「そうなんだ」

結衣「さいちゃんは？」
戸塚「僕は部活の自主練」

八幡「誰この人？お前の彼女？」

結衣「同じクラスだよ！しかもさいちゃん彼女じゃないし！そのケないし！と言うかさいちゃん男の子だし！」

八幡「ウソだろ！？」

戸塚「僕、男の子です」
八幡「…天使…」ﾎﾞｿｯ

結衣「…そのケあるのヒッキーじゃん…」ｻﾞｻﾞｱｰ…

眠い、寝る

戸塚「天使？」ｷｮﾄﾝ

八幡「ぐべばっ！」ﾄﾞﾊﾞｯ
戸塚「え！？比企谷君大丈夫！？」ﾜﾀﾜﾀ

八幡「め、女神様とは違う後光が…ぐぅむ…」ﾎﾞﾄﾞﾎﾞﾄﾞ


結衣「うわあ…」ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｰﾝ…

戸塚「いきなり鼻血出してどうしたの？」ﾊｲﾃｨｯｼｭ

八幡「あなたも私が中性…もとい、忠誠を誓う為に舞い降りた天使様ですね？」ﾎﾞﾀﾎﾞﾀｷﾘｯ

戸塚「？？？」

結衣「せいっ」ﾄﾞｺﾞｯ

八幡「おごっ…」ｶﾞｸﾘ

結衣「気にしないでさいちゃん、ヒッキーたまにおかしくなるから」

戸塚「う、うん」

八幡「ふう、天使様はお一人で何をされていたのですか？」

戸塚「天使？僕が？なんで？」

結衣「さいちゃんテニス部だもんね！」

八幡「ほうほう、テニスですか」ﾌﾑﾌﾑ

戸塚「そうそう、比企谷君と一回話してみたかったんだよ」

八幡「光栄です！」

結衣「…」ｼﾞﾄｰ

戸塚「比企谷君もテニスしてたの？フォームが綺麗だったからさ」

結衣「こんなのがフォーム綺麗なの？」ｳｴｰ

八幡「うるせえぞ由比ヶ浜。特に何かしていたわけではないですよ戸塚様」

戸塚「そうなんだ、僕練習相手を探しててさ」

八幡「！」ﾋﾟｷｭｰﾝ！

結衣「スゴくイヤな予感…」

八幡「不肖私めがお相手致しましょう！」

戸塚「本当に！？」ｷﾗｷﾗ
八幡「ただし、私の女神様の許可を頂いてきますので一度部室へご足労下さいね」

戸塚「うん！」ﾊﾟｱｯ！

結衣「ヒッキーが壊れて…あ、元々か…」ｼﾞﾄｰ

戸塚「…ん？女神様？どういう意味だろ…」ﾊﾃ