短いです。
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久・まこ
久「ねぇねぇ、まこ」
まこ「嫌じゃ」
久「あら、そう。悪かったわね」
久「って……まだ何も言ってないでしょ!?」
まこ「あんたがそういう表情しとるときは、大抵ろくなこと考えてないんじゃ。知っとる」
久「えぇ~? ……ちなみに、どんな顔? 可愛い?」
まこ「底意地の悪そうな顔じゃ。……可愛くないことはないがの」
久「ふふっ。可愛いって言われちゃった」
まこ「言っとらん言っとらん。んで、何を思い付いたんじゃ?」
久「あら、聞いてくれるの?」
まこ「実行するかどうかはまた別問題じゃがの」
久「今年の学園祭は、『Roof-top』清澄支部を出店しない? 麻雀部で」
まこ「……麻雀が打てるメイド喫茶ってことか?」
久「そういうことね。最悪、喫茶店の部分はなくてもいいわ」
まこ「そこがないとRoof-topとは言えんじゃろ」
久「う~ん…それもそっか。部員が6人だから…雀卓をなんとかしてもう一つ用意して、二人が対局、二人がサービス、二人が休憩って感じかしら」
まこ「まぁ、そうなるかの。優希がコーヒーを淹れられるか、京太郎が勝てるか、咲にサービスが出来るかが気掛かりじゃが」
久「サービスの際は優希を運び専門、咲を淹れる専門にすればなんとかならないかしら。須賀くんは最近頑張ってるし、大丈夫でしょ」
まこ「ほうかの。となると、あとはもう一台の雀卓じゃな。アテはあるんか?」
久「咲の家に一台あるらしいから、それを借りられないかと考えてるわ」
まこ「なるほど。……ま、一応メイド服はそれぞれのサイズを用意しとくわ」
久「お願いねん♪ …なんだかんだで乗り気じゃない」
まこ「最後の年くらい先輩の好きにやらせちゃろうっちゅう、後輩なりの気遣いじゃ。…去年まではなんもしとらんかったしの」
久「…ふふっ。優しい後輩を持てて幸せよ? 私」
まこ「はいはい」
優希・和
優希「のどちゃんってさぁ」
和「なんですか?」
優希「好きなものは最後に残すタイプ?」
和「……いきなりなんの話題ですか?」
優希「いや、のどちゃんって勉強できるじゃん?」
和「まぁ…。成績は…その、良い方だと自覚していますが」
優希「勉強とか宿題とか、嫌なことを先に終わらせるタイプなのかなと思ったわけだじぇ」
和「あぁ…なるほど。優希は好きなことから終わらせちゃうタイプですよね」
優希「当然! 麻雀もご飯も生活も、スタートダッシュが肝心だじぇ!」
和「その勢いで夏休みの宿題も早めに終わらせてしまえばいいものを…」
優希「うっ……い、今はのどちゃんの話しだじぇ! のどちゃんは先に嫌いなものを食べるのか?」
和「バランス良く、均等に食べますよ。勉強も同じで、一日3時間勉強するなら、1時間ずつ三回に分けるタイプです」
優希「むむ…まさかあれか!? のどちゃんはあの伝説の、夏休みの宿題を毎日少しずつやって、夏休み最終日にきっちり全部終わらせるタイプか!?」
和「最終日というか、27日くらいに終わらせるようにはしてますね。最後の4日は羽を伸ばせるように。…万一やり残しがあっても、4日あれば終わりますから」
優希「ふむ…近年稀に見る、本物の真面目さんタイプだじぇ」
和「部長なんかは最初の一週間で全部終わらせてそうですよね」
優希「あ、それは私も思った。そんで一つくらい忘れて最終日にすっごく慌ててそう」
和「というわけで、優希も部長を見習って宿題は早めに済ませてしまいましょうね。麻雀もごはんも生活も、もちろん勉強だってスタートダッシュが肝心ですよ?」
優希「うぐっ! そ、それはそうだけど…」
和「どうせ夏休み終盤になると失速しちゃうんですから。それに、インターハイが始まると宿題する時間も減っちゃいますしね」
優希「うぅ…正論だから何も言い返せないじぇ」
和「…それとも、優希は得意のスタートダッシュで私に負けちゃっていいんですか?」
優希「…ぐぬぬ……しょうがない。ここはのどちゃんの口車に乗せられてやるじぇ!!」
和「その意気ですよ、優希」
咲・京太郎
咲「暑い…太陽が暑い…。…そうだ、京ちゃんの影に隠れよう……」
京太郎「やめろー…近づくと余計暑いだろー……。っていうか、こんな影じゃ大して変わんないから」
咲「分かってないなぁ、京ちゃんは。女の子は紫外線とかそういうの気にするんだよ? 多分」
京太郎「多分って……紫外線って、何がどうダメなんだ?」
咲「……多分、シミとか増えるんじゃない? …ごめん、ホントはよく知らない…」
京太郎「お前……それでよく女の子を名乗れたもんだ……」
咲「む…そんなこと言っていいのかな? レディースランチは女の子の特権なんだよ?」
京太郎「うぐっ………俺の昼の楽しみを人質に取るとは…」
咲「ま、実際は男の人でも頼めるらしいけどねー。周囲の目を気にせず頼み込めるなら」
京太郎「遠慮しとくよ。現状維持が許されるなら、現状維持で十分」
咲「つまり、これからも私に注文しろと?」
京太郎「お願いしまーす」
咲「ふ~ん? ……あー、暑いなー。風がないから暑いなー」
京太郎「下敷き下敷き……ほれ、涼しいか~?」
咲「ふぅ~…涼しい、涼しい…」
京太郎「…というわけで、レディースランチについては前向きに検討する方向でお願いします」
咲「まったく……しょうがないなぁ、京ちゃんは」
京太郎「…あ。もう少し歩いたらコンビニあるし、アイスでも買うか?」
咲「奢ってくれるの!?」
京太郎「半分に分けられるやつ買うだけだけどな」
咲「え…それは奢りとはいわなくない?」
京太郎「いらないなら俺が二つとも食う」
咲「うそうそ、うそです!! いやぁ、京ちゃんは太っ腹だなぁ~。レディースランチもつい買ってあげたくなっちゃうよ!」
京太郎「調子のいいやつ…」
久・優希
優希「あ~……なんで高校生にもなって読書感想文なんて書かないとダメなんだじぇ~……」
久「原稿用紙4枚でしょ? 書き始めてみれば意外とすぐ終わるわよ?」
優希「このペースじゃ、本一冊読み切るだけで夏休みが終わってしまうわけですよ…」
久「それは流石にヤバくないかしら………我が部には本の虫が一匹住んでるわけだし、あらすじだけ聞いて書けば?」
優希「うぅむ…なんか、友達を利用してるみたいで申し訳ないんだじぇ…。ミステリーは難しそうだし」
久「ふ~ん? …ちなみに、どんな本がいいの? 私も結構本読んでる方だと思うけど…」
優希「う~ん……薄くて、読みやすくて、でも他の人は読んでなくて、かつ読んだら褒められるような本がいいじぇ」
久「ん~………ちょっと思い付かないわ」
優希「…知ってたじぇ。人生はそんなに甘くないこと…」
久「……しょうがないわね。本の虫繋がりで、私のとっておきの本を教えてあげましょう」
優希「何々!? なんですか!?」
久「ふふん。優希の要望には応えられないけど、代わりに私がいままでの読書感想文を乗り越えてきた、究極の奥義を伝授してあげるわ」
優希「おぉ!?」
優希「……分厚くない?」
久「いいでしょ? 『ファーブル昆虫記』。昆虫の説明を書くだけで文字数稼げて便利よ?」
優希「う~ん……本の虫っていうか、虫の本……。というか、図鑑とかはダメなはずだじぇ?」
久「あら、知らないの? ファーブル昆虫記って、昆虫の説明としてだけでなく、普通の読み物としてもすっごく高く評価されてるのよ?」
優希「そうなのか?」
久「そうよ? なんてったって、ノーベル文学賞の候補に上がったくらいだし」
優希「おぉ! だったらいけるじぇ!!」
久「ちなみに私は、中学一年のときからずっとファーブル昆虫記で読書感想文を出し続けてるわ。今年は何の虫で書こうかしら」
優希「え…何それズルイ……」
久「ちなみに、ファーブル昆虫記にはもう一つ利点があるの」
優希「ほう…! なんですか!?」
久「例えば、ファーブル昆虫記の中の、ハチについて書くとするでしょ?」
優希「うんうん!」
久「実際にハチの観察をして、自分が気付いたことを書いて文字数を稼ぐ!!」
優希「ずるい!!」
久「さらにそれを自由研究にもする!!」
優希「ずるい!! でも使わせてもらうじぇ!!」
和・京太郎
和「…おや? ネト麻ですか?」
京太郎「ん? おう。みんなが来るまでやっとこうと思ってさ」
和「ふむ……あ、そこは…」
京太郎「へ? ……あ~、また振り込んだ」
和「う~ん…須賀君は手作りが良くなってきている反面、不用意な振り込みが多くなってきてますね」
京太郎「ん~…一応言われたことを実践してるつもりなんだけどなぁ。ドラあればカンチャンでも即リーとか」
和「基本的には相手より先に和了るゲームですからね。防御より攻撃を優先するのは全然問題ないんですが…最低限の防御くらいは知っておいた方がいいですよ」
京太郎「ふむふむ…。でも、防御ってあれだろ? 裏スジがどうとか壁がどうとか。あれで振り込み回避できたことってあんまない気がするんだよね」
和「それらは基本的に両面待ちを躱すためのものですからね。両面じゃなかったらほとんど意味ないですし、もし両面待ちなら、躱せても先にツモられることがほとんどだと思います」
京太郎「だよなぁ」
和「ただ、須賀君は少し勘違いしていますね。『読み』と『防御』は別のものですよ」
京太郎「へ? そうなの?」
和「結論を言うと、相手の手配なんて読めなくても防御はできるんですよ。三人リーチに対して全員の現物を切るだけでも防御なんですから……これは極端な例ですけどね」
京太郎「まぁ、それはそうか」
和「今の須賀君に必要なのは、手作りを優先するタイミングと、防御を優先するタイミングの見極めです」
京太郎「へぇ~。でも、その見極めをするにはやっぱり読みが必要なんじゃないのか?」
和「そうでもないですよ。リーチ相手に三向聴から手作りを目指すのか、逆にハネ満が確定している一向聴でオリるのか、くらいの判断でいいんです」
京太郎「ほうほう。それくらいなら俺にも分かるかな。……でも、ダマだったり鳴かれてたりして、張ってるか分からない状態の時は?」
和「どうせ安手です。立直で蹴散らしてしまいましょう。喰いタンか役牌で流しちゃってもいいです」
京太郎「適当だな!?」
和「今はまだ、その打ち方で十分ですよ。見てわかる危険以外は無視しちゃって構いません」
京太郎「……なるほど。大物手っぽくても逃げる必要はないと」
和「よっぽどの根拠があれば別ですけどね。ダマで高い手なんてそうそう出来ないんです。幽霊の正体見たり枯れ尾花、ですよ」
京太郎「なるほどね……分かった、とりあえず防御を意識して打ってみるよ」
和「まぁ、現段階では迷ったら聴牌即リーでも全然いいです。攻撃は最大の防御、先に和了ってしまえばいいだけですので」
京太郎「…和って、たまにすっごく攻撃的だよな。もっと手堅いイメージあったけど…」
和「相手が満貫をツモる前に和了るだけで、その和了には10000点の価値があると言えるんですよ」
まこ・咲
まこ「咲は、視力はええんか?」
咲「え? …まぁ、はい。一応ずっとAですけど…」
まこ「ふむ」
咲「どうしたんですか? いきなり」
まこ「いや、本を読むやつは目が悪い、みたいなイメージあるじゃろ? わしもよく言われたんじゃが」
咲「あ~、分かります。暗い所で読んでたら悪くなるって言いますよね」
まこ「咲なんて気付けばずっと本読んどるからの。ふと思ったんわけじゃ」
咲「そういうことですか。…私の場合、外で本を読むことが多いので」
まこ「そういえば和がそんなこと言っとったのう。川んとこに座って読んどったとか」
咲「はい。だからあまり視力が落ちてないのかもしれないですね」
まこ「なるほど……ちなみに、ゲームとかはせんのか? あれも視力が落ちる典型みたいなもんじゃが」
咲「私はあまりしないですね。弱いですし…こう、最近のゲームはグルグルしすぎて酔いそうになるというか……」
まこ「3Dっちゅうやつじゃの。確かにあれは酔う」
咲「京ちゃん家でやらせてもらったこともあるんですけど…負けすぎて、逆に気を遣う京ちゃんが可哀想になるレベルでした」
まこ「ははっ、わしは逆じゃったな。久と一時期やっとったが、ああ見えて久はゲーム下手でな。よう気ぃ遣ったわ」
咲「そうなんですか!? 意外ですね…部長はゲーム強いイメージありました」
まこ「うむ。実際パズル系やダンジョン系はかなり強い……んじゃがな。格闘とかのアクション系はダメダメなんじゃ」
咲「なるほど。確かにパズル系はすっごく強そうです」
まこ「なのに本人は格ゲーで勝負を挑んでくるんじゃな。それで負けて涙目になって…かといって手を抜いても怒るしの」
咲「…なんか、ちょっとかわいいですね」
まこ「なんだかんだで負けず嫌いじゃからな」
久・和
久「和って、エトペン何匹くらい持ってるの?」
和「……エトペンは鳥なので、何羽が正解ですよ?」
久「ぬいぐるみだから何個でもいい気もするけどね。で、どれくらい持ってるの?」
和「あのサイズは4つですね。どうしてそんなことを?」
久「いや、和って登下校中にはエトペン持ってないなぁと思って。つまり、最低でも学校用と家用に二匹はいるわけじゃない?」
和「…咲さんの±0といい、そういう細かいところに気が付くのはすごいですね。素直に尊敬します」
久「簡単な推理なのだよ、ノドソン君」
和「誰がノドソンですか」
久「推理といえば…漫画とかの探偵って警察と仲良かったりするけど、実際はそんなことないわよね」
和「時には犯罪スレスレのことまでしてたりしますからね。依頼者に騙されて犯罪の片棒を担がされるといったこともあるそうですよ」
久「なるほど…つまり、依頼者の嘘を見抜く技術が必要ってわけね。探偵っぽく」
和「そうですね。住所などの個人情報も扱う業種なだけに、慎重になってほしいものです」
久「じゃあ、和に探偵の才能があるかどうかチェックしてみましょうか」
和「……はい?」
久「嘘が見破れるかどうかク~イズっ!」
和「…最初からこの流れにしたかったんですね……」
久「部室にあったはずのエトペンがなくなりました。麻雀部員にはアリバイがなく、みんなは次のように証言をしています」
和「ふむふむ」
久「まこは『まぁ、もうボロボロじゃったし、この機会に新しいのを買えばいいじゃろ』と。 優希は『のどちゃんの大事なエトペンを盗むなんて、許せないじぇ』と。 咲は『和ちゃんはたまに抜けてるところあるからね。家に忘れてきたんじゃないの?』と。 須賀君は『おっきいし、普通はすぐ見つかるはずだよな。誰かに盗まれたのか?』と…」
和「優希は人の物を盗むような子じゃありませんよ?」
久「せめて最後まで言わせてよ……というか、やるわね……」
和「来ると分かってる嘘だから気付けただけですけどね。さすがに日常会話の中だと無理だと思いますよ?」
優希・咲
咲「あー、牛乳おいし。牛乳おいし。おいしいからいっぱい飲んじゃうよ!」
優希「……咲ちゃん……」
咲「べ、別に深い意味なんてないもん! 本当に牛乳おいしいだけだもん!」
優希「…牛乳で胸が大きくなるなんて嘘。それは私がこの身をもって証明してるじぇ……」
咲「……残念ながら、その証明が出来るのは優希ちゃんだけじゃないんだ…」
優希「咲ちゃん……」
咲「優希ちゃん……」
優希「まぁそれはそれとして、確かに牛乳っておいしいよな」
咲「そうだよね。バナナと一緒に飲むとなんとかって部長が言ってたよ」
優希「コーヒーにも合うし!」
咲「私も、コーヒーは砂糖と牛乳が無いと飲めないや」
優希「私の見つけた黄金比は、牛乳5、砂糖3、コーヒー2だじぇ」
咲「……コーヒーに砂糖と牛乳を入れてるんじゃなくて、牛乳と砂糖にコーヒーを入れてる…」
優希「苦いのは苦手なんだじぇ」
咲「今ので思ったんだけどさ。優希ちゃんって好き嫌い多そうなのに、なんでも食べそうだよね」
優希「おっとぉ! 私をその辺の好き嫌いが多い人と一緒にしてもらっては困るじぇ!!」
咲「困るんだ…」
優希「タコスに限らず、私は好きな食べ物はどこまでも好きだし、理由もなく食べ物を嫌いになったりはしないじぇ!」
咲「あ、うん。確かにそんなイメージはあるかな」
優希「どんなものでも一度は食べる!! その上で、嫌いな理由を考える!! そして好きになる努力をする!! 味や食感ならいくらでも誤魔化しがきくんだじぇ!!」
咲「優希ちゃんが食べるの大好きなのはよく分かったよ。…私も見習わないと」
優希「食べ物に対しては真摯に。それが優希ちゃんのポリスなんだじぇ!!」
咲「……ポリシーかな? 多分警察は関係ないよね」
優希「?」
咲「あ、えっと……ポリスとポリシーは違うというか……ま、別にいっか」
優希「というわけで、今からタコスを食べにいくじぇ!!」
咲「学食? じゃあ私も行こっかな」
優希「うむ。着いてこい、咲ちゃん!」
咲「あ、ちょっと待ってよ~。優希ちゃ~ん」
まこ・京太郎
まこ「秋の学生では喫茶店をやるらしいんじゃが…」
京太郎「あ、聞きましたよ。部長が言ってましたね。先輩の店の出張版でしたっけ?」
まこ「名前貸すだけじゃがの。あとは衣装もか」
京太郎「衣装…メイド服でしたっけ? ……和のメイド服…うへへ……」
まこ「そう、問題はそこじゃ」
京太郎「え?」
まこ「京太郎サイズのメイド服が用意出来んかもしれん」
京太郎「何を言っているんですか?」
まこ「いや、うちってメイド喫茶じゃろ?」
京太郎「ですね」
まこ「店員はみんなメイド服じゃろ?」
京太郎「そうみたいですね。行ったことはないので知らないですけど」
まこ「なんじゃが…京太郎サイズにもなると数が少なくて…」
京太郎「ちょちょちょちょっと待ってください」
まこ「なんじゃ?」
京太郎「サイズ以前の問題として………もっと…こう、あるでしょ? 燕尾服とか」
まこ「燕尾服はレンタルでも高いんじゃ。メイド服ならお得意さんから安く手に入るんじゃが…さすがにミニスカは嫌じゃろ? ロングスカートで高身長用となるとあまりなくて……」
京太郎「……あ、それなら。一つだけ手に入るアテがあるかもしれないです」
まこ「ん? 本当か!?」
京太郎「えぇ。龍門渕さんっていたじゃないですか、決勝で当たった。あそこの執事さんとこの前、友人になったんですよ」
まこ「ほう!」
京太郎「あの人に頼めば、なんとかなるかもしれません」
まこ「なるほど! ……確かに、龍門渕の先鋒は京太郎と同じくらいの身長じゃったの! その執事さんに頼んで、あのノッポの…」
京太郎「もっとシンプルに生きましょうよ……」
久・咲
久「……ふ~ん……なるほどねぇ…」
咲「パソコン……ネット麻雀ですか?」
久「ねぇ、咲」
咲「はい?」
久「コーヒー豆を齧ると、ギョウザを食べた後の匂いがなくなるらいいわよ」
咲「雑学収集中でしたか……」
久「よかったわね、咲。これで今度から遠慮なくギョウザが食べれるようになるわよ?」
咲「あ…でも私、苦いの苦手なので…」
久「あら…じゃあダメじゃない……。あ、こんな方法もあるみたい。リンゴを皮ごと食べる!」
咲「あ、それなら私でもできますね!」
久「中華料理屋には、デザートとして皮つきリンゴを用意することを推奨したいわね」
咲「……部長はいつもこういうこと調べてるんですか?」
久「暇つぶしだけどねん♪」
咲「なるほど…部長の頭の良さの秘密ですね」
久「? 別に私は頭よくないわよ?」
咲「え? でも、知識とかすっごく豊富じゃないですか」
久「知識は誰でも持てるもの。本当に頭がいいのは、和みたいな子よ? 知識じゃなくて、知能が高いの」
咲「まぁ、和ちゃんも頭すごくいいですけど…私の±0とか気付いたのも部長ですし」
久「それが頭のいい証明にはならないでしょ? それに、あの時は第三者だったからね。将棋とかでも、打ってる人が気付かない王手とかあるでしょ?」
咲「あぁ…ありますね。子供同士だと特に」
久「そういうことよ。計算なんかはあんま早くないしね?」
咲「…う~ん? ……なんか納得いかない……」
優希・京太郎
優希「京太郎は、何を食ってそんな大きくなったんだじぇ?」
京太郎「何をって……まぁ、少なくともタコスじゃないことは確かだよ」
優希「何だとぉ!? いくら京太郎といえど、タコスをバカにすることは許さないじぇ!」
京太郎「バカにはしてないけど…バランス悪い食事じゃ伸びるものも伸びないって。……でかくなった頃は何食ってたかなぁ……やっぱ米? あとは肉?」
優希「牛乳は?」
京太郎「まぁ、ほぼ毎朝飲んでたかな」
優希「ふむふむ…」
京太郎「…何? 身長伸ばしたいの?」
優希「身長というか…こう、全体的にナイスバデーに…」
京太郎「なるほど……俺の場合、スポーツやってたってのもあるかも? 成長期に筋肉使うと、成長ホルモンが分泌されるとかなんとか…」
優希「ほうほう………ただ、その理屈だとのどちゃんが運動神経抜群じゃないとおかしいじぇ」
京太郎「あくまで身長が伸びた理由についてだからな。それにほら、和は運動には不適切かつすばらな部位が……」
優希「……………………」
京太郎「いだだだだだっだだだ!!! 抓るな抓るな!!」
優希「ふん! ……まぁ、成長ホルモンについては一考の余地ありだじぇ」
京太郎「痛ててて……例えば、大豆とかだと女性ホルモンが多いとかって聞くけどなぁ」
優希「ふむふむ…」
京太郎「あとは部長に聞いた話だけど、良質な油なんかは女性ホルモンを整えるのにいいらしい。勿論、取り過ぎたらアレだが…」
優希「なるほど…良質な油っと………いきなり協力的になって、どうしたんだじぇ?」
京太郎「そりゃ、おもち持ちが増えるのはいいことだからな! できれば他のみんなにも広めて…」
優希「………………………」
京太郎「いっだだだだだだだだだ!!!!!! 痛い痛い痛い痛い!!!」
まこ・和
和「う~ん……ダメですねぇ…」
まこ「どうしたんじゃ? 和……そんな気難しい顔して」
和「あ、先輩。ちょうどいいところに…」
まこ「ん? わしになんか用か?」
和「……この前食べた先輩の卵焼き。あれが中々再現できないんです」
まこ「…あぁ、そんなことあったのう」
和「何が違うんでしょう。レシピ通りに作ってはいるのですが……先輩は何か分かりますか?」
まこ「ん? …ん~…なんじゃろなぁ。わしゃレシピ見て作ったことは一度もないからのぅ」
和「そうなんですか!?」
まこ「ん。見よう見まねでやっとるだけじゃから…よう分からんわ」
和「そうですか……出来立てだと普通に美味しく作れるんですが、冷めると味や食感が落ちてしまって……」
まこ「わしゃ和の卵焼きも相当美味いと思うがのう…」
和「出来立てならいいんですが……私のと違って、先輩のは冷めててもおいしかったんです……。何か、卵焼きを作る上で意識していることとかありませんか?」
まこ「う~む。まず、卵を割って……混ぜて、塩と砂糖を入れて混ぜて、醤油を少し入れて混ぜて……」
和「塩と砂糖は何グラムずつですか?」
まこ「何グラムかて…一つまみと少々?」
和「ふむふむ…ということは、大体1.5gくらいですね。その次は?」
まこ「次と言っても……フライパンに油を引いて、卵入れて、火をつけるくらいじゃ」
和「…先にフライパンを温めておかないんですか?」
まこ「ん、そうじゃな。あとはよく火を通して、形を整えて……完成? 普通じゃろ?」
和「ふむ…。今の話を聞く限りだと、フライパンに火をつけるタイミングの問題なのかもしれませんね……」
まこ「かもしれんの。和は先にフライパンを温めとるみたいじゃが………なんなら、明日あたりウチ来るか? 目の前で作っちゃるが」
和「いいんですか!? ぜひお願いします!!」
まこ「…今でも十分上手なのに、なお上を目指す姿勢…わしも見習わんとな」
久・京太郎
京太郎「ただいま戻りました」
久「あ、おかえり~。買い出しご苦労さま~」
京太郎「はい。えっと…お茶パックが3袋にコピー用紙が一束。ホッチキスの替え芯に布巾…あと、赤ペンは5本セットが安かったのでまとめて買いました」
久「…いちにの……よし、全部そろってるわね。さんきゅー。……この大きな付箋は?」
京太郎「あ、それは自分用です。使っていいと言われたお釣りで買っちゃいました」
久「ふむ…何に使うの?」
京太郎「あ、それはですね。合同合宿の時に思い付いたことなんですが…」
久「なるほど。注意されたことをパソコンの近くに張り出しとくわけね」
京太郎「みんなの応援メッセージをみて閃いたんですけど…一度に2つ3つ覚えることがあると、どうしてもいくつか忘れちゃうので。…あ、貼ったら邪魔になります?」
久「後輩が麻雀頑張ろうって言ってんのに、邪魔になんてなるわけないでしょ? なんなら画面中に貼っちゃっていいわよ?」
京太郎「それじゃあ麻雀が打てないじゃないですか…」
久「ちなみに、どんなこと書くの?」
京太郎「とりあえずはオリ方をマスターするつもりなので……現物の確認は絶対する。あとは…追っかけるかどうかは手の高さと待ちの良さで判断して、割に合わなければオリる。河底で振り込むと役無しでも和了られるから、最後まで気を抜かない…とかですかね」
久「ふむ…基本的なことね。だからこそ、守らないと絶対に強くなれないわ」
京太郎「あとは、リーチをかける基準とかですか? 点数、待ちの良さ、他家の状態…意識してるつもりでも、どれかが抜け落ちてるので…」
久「あまり両面待ちに捕らわれたらダメよ? カンチャンドラ1で先行したなら、和でもリーチかけるだろうし」
京太郎「団体戦だと少し考えるらしいですけどね。個人戦なら即リーだそうです」
久「なるほどねぇ」
京太郎「まぁ、とりあえずはそんなところです。他に何かありますかね?」
久「あるわよ、すっごく大事なことが」
京太郎「え…なんですか?」
久「『トップとの点数差を意識すること』。…どうしてもネト麻してると、ラスを回避する方向に思考がいっちゃうでしょ?」
京太郎「………言われてみれば」
久「もちろんラス回避は重要なことだし、そういう技術を磨くのも強くなるのには必要よ。……でも、それだけじゃあインハイ制覇はできない」
京太郎「…インハイ…ですか……」
久「須賀君だって行きたいでしょ? そのためには、トップを取るための技術と、貪欲さを身に付けないとね」
まこ・優希
まこ「蝉がうるさい季節になったのう。…ま、これぞ日本の夏って感じじゃが…」
優希「う~ん……正直言うと、蝉はあんまり好きじゃないんだじぇ」
まこ「? なんでじゃ? 夏といえば蝉、蝉といえば夏じゃろ」
優希「…私はせっかちだから、よく走って移動するんだじぇ」
まこ「そうみたいじゃのう。…それがなんの関係が……」
優希「こう……たまに、死んだやつが転がってて……」
まこ「分かった。それ以上先は言わんでえぇ」
優希「もちろん、子どものころは意味もなく追いかけたりしたじぇ」
まこ「…なんで子供は蝉を捕まえたがるんじゃろうなぁ」
優希「多分、鳴き声を目の前で聞きたいとか、そんなんだじぇ」
まこ「……あ、なるほど。それはあるかもしれん」
優希「…だから、メスだとちょっとがっかりするんだじぇ」
まこ「確かに、それはあったわ」
優希「う~む……話してるうちに、蝉取りにいきたくなってきたじぇ」
まこ「苦手設定はどこいったんじゃ…」
優希「死んでるやつはともかく、生きてるやるは見てても面白いので」
まこ「…和や咲は蝉とか捕まえたことあるんかのう」
優希「う~ん……京太郎は男だからあると思うけど……咲ちゃんはちょっと想像できないじぇ」
まこ「じゃな。わしゃ和の方が想像できんがのう」
優希「のどちゃんは確か、奈良に住んでた時の友達がヤンチャだったらしいから、もしかしたら蝉取り経験者かもしれないじぇ」
まこ「ほう? 優希は和と一緒に行かんかったんか?」
優希「流石に中学生にもなると、蝉取り行こうとは言い出しにくいし……」
まこ「まぁ、そういうもんかの。わしは一度、久に誘われたことがあったが……」
優希「部長が? それまたどうしてだじぇ?」
まこ「確か…ファーブル昆虫記を読んでから、虫に少し興味が出たとかなんとか。…どうしてファーブル昆虫記なぞ読み始めたんかのう」
優希「多分……というか、絶対それ読書感想文だじぇ」
和・咲
咲「…インターハイは東京かぁ……なんか、怖いなぁ…」
和「…多分、咲さんがイメージしているほど治安は悪くないですよ?」
咲「? 和ちゃんって東京にも住んでたんだっけ?」
和「えぇ。奈良に引っ越す前は東京に住んでました」
咲「なるほど…なんか、東京には縁があるのかな……私」
和「……あ! お姉さん……」
咲「うん。…東京が怖いイメージも、多分そこから来てるんだと思う」
和「…そうですか……」
咲「うん…ダメだよね。こんな弱気になってちゃ……麻雀してる時なんかは普通に楽しみに思えるんだけど……。どうしても、お姉ちゃんと仲直り出来なかったらって考えると………」
和「東京には、長野にはないお店がたくさんあります」
咲「え?」
和「自然はこっちより少ないですが、それでも大きい公園などでは緑も多くみられます」
咲「う…うん……いきなりどうしたの…?」
和「高層ビルや、東京ならではの建物というのもたくさんあります」
咲「そ、それはそうだけど…」
和「一緒に行きましょうね」
咲「え?」
和「インターハイとは行っても、一から百までずっと麻雀を打つわけじゃありません。気分転換に外を歩いたり、ご飯を食べにいったりもします。会場まで、寄り道することもあるでしょう」
咲「…うん。そうだね」
和「勿論、目標は優勝です。…でも、思い出だっていっぱい作ってもいいはずです」
咲「思い出……」
和「インターハイが終わっても東京に残りたいって思えるくらい、楽しい思い出をいっぱい作りましょう。…当然、お姉さんとの仲直りも含めて」
咲「……そうだね。…そうだよね!! うん!! 麻雀も、東京も、いっぱい楽しんじゃおう!」
和「その通りです!」
6×5×4×3×2×1÷6×5×4×3×2×1
優希「お~い、のどちゃーん。咲ちゃーん。そんなところで何やってるんだじぇ~?」
和「あ、優希! 須賀君も一緒ですね」
京太郎「やっほ。部長が探してたぞ? 作戦会議をするとかなんとかで」
咲「ん、ありがとっ。京ちゃん」
和「……っと。噂をすれば、先輩方も来ましたよ?」
まこ「部室に来んと思ったら、こんなところにおったんか」
久「ふ~ん…涼しいわね、ここ。ちょうど木陰になってて……作戦会議、ここでやっちゃう?」
咲「あ、わざわざすみません。私たちのせいで」
久「気にしないでいいのよ。気分転換にもなるし」
まこ「ここで会議するなら、筆記用具と資料がいるが…」
京太郎「あ、俺取ってきますよ。何高校の資料か言ってくれれば」
優希「私も部室に財布置きっぱだから、一緒にいくじぇ! ついでに学食にタコスも買いに行ってきます!」
和「あ、じゃあ私も優希と一緒に行きます。飲み物を買いたいので」
久「え~? みんな部室行っちゃうの~? ここで作戦会議しましょうよ~」
咲「あ、じゃあ私が場所取っとくので、また5分後くらいにここに集合でいいんじゃないですか?」
まこ「そうじゃな。わしもここで待っとくか」
久「どうせなら、飲み物や食べ物もいっぱい買って、みんなで分けましょうよ。パーティー気分で」
和「なるほど…では、買い出しは私が行きますね。手元に財布もありますし」
久「まぁまぁ、少し落ち着いて。お金は私が出すわ。ここはグループに分かれて行動しましょう」
咲「グループですか?」
久「買い出し班、資料持ってくる班、場所取り班に分かれましょ。もちろん、二人ずつでね」
優希「なるほど! どうやって分けるんだじぇ?」
まこ「グーチョキパーで別れればええじゃろ。一番楽じゃし」
京太郎「それもそうですね。…となると、組み合わせのパターンは……」
和「15通りの3グループが考えられますね」
オチてる…?
オチてるよね…?
というわけで、終わりです。
新刊でいろいろ設定が出てきてたので。
清澄面子が二人きりになったときって、どんな会話するんだろうという妄想。
京ちゃんもハブらないであげて。
HTML化依頼だしてきます。
あ、ホントだ。()が抜けてた。
脳内で足しといてください。
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