凛「土用」李衣菜「丑の日」 (28)



―――


李衣菜「というわけで、うな重作ってみました!」

凛「おいしい」モグモグ

李衣菜「たまたまスーパー寄ったらさ、やっぱり時期的にうなぎの開きが売っててね」

凛「おいしい」モグモグ

李衣菜「蒲焼き作るのって結構手間だったけど、成功して良かったよ~」

凛「おいしい」モグモグ

李衣菜「たまには凝った料理もいいね、ロックだよ!」

凛「おいしい」モグモグ

李衣菜「……聞いてる?」

凛「うん。おいしいよ」モグモグ

李衣菜「の、喉に詰まらせないでよ?」

凛「ん」モグモグ

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李衣菜「これで夏バテもしないで済むね」モグモグ

凛「今年も暑いもんね」

李衣菜「暑いねー、うんざりするくらい」

凛「ハナコがぐったりしててさ――」

李衣菜「あー、動物には堪えるよねきっと。かわいそう……」

凛「かわいいんだよね」

李衣菜「あぁかわいいんだ」

凛「冷たいフローリングの上でぺたーってしててね、しかも舌を出してるの」

李衣菜「……それはかわいいかも」

凛「よし、じゃあ李衣菜もハナコ信者になろう」

李衣菜「遠慮しとく」

凛「(´・ω・)」

李衣菜「そんな顔されても」

凛「今入信すると特典も付けるよ」

李衣菜「へぇ、どんなの?」

凛「…………」

李衣菜「…………」

凛「…………」


凛「あ、蒼いドレスを着たアイドルが付いてくる……?」

李衣菜「絶対なにも考えてなかったしどう聞いても凛のことだよね?」

凛「ち、違うよ。私に似た赤の他人だよ――あっ。……蒼の他人だよ」

李衣菜「…………」

凛「蒼の、他人」

李衣菜「…………」

凛「蒼n」

李衣菜「あ、そうだ! うな重とっといて、プロデューサーにも後で食べてもらおーっと♪」

凛「ごめんなさい無視しないで」

李衣菜「なに、暑さにやられちゃったの? 熱ある?」ペタッ

凛「な、ないよ。大丈夫」

李衣菜「正直楓さんのほうがセンスあると思った」

凛「そんな、あの楓さんより……!?」ガーン

李衣菜「うん、あの楓さんより」

凛「…………」

李衣菜「…………」


李衣菜「さすがに失礼だね」

凛「楓さんのいそうな方角に謝っておこう」

「「ごめんなさい」」ペコッ

凛「話が逸れたね」

李衣菜「そもそもなんの話だったっけ」

凛「ハナコはかわいいって話」

李衣菜「あぁ、惚気け話ね」

凛「惚気けだなんて、そんな……」テレ

李衣菜「褒めてないよ? いっつも聞かされる身にもなってよね」

凛「でもなんだかんだ聞いてくれるから、私は李衣菜のこと好きだよ」

李衣菜「……そりゃ、どーも」

凛「顔赤いね。熱ある?」ペタッ

李衣菜「な、ないってば! 暑さにやられたの!」

凛「そう」クスクス

李衣菜「……あっ! か、からかったな!?」

凛「からかってないよ……ふふっ」

李衣菜「じゃ、じゃあなんで笑うんだよー! もう!」

凛「ふふふ……♪」

李衣菜「わ、私は凛のこときらいだからねっ」

凛「うん、そっか」

李衣菜「ほ、ほんとだよ?」

凛「うん……しょうがないよ、私なんてハナコの話しかできない女だから……」ズーン…

李衣菜「……い、いやー……そ、そこまできらいじゃないかなぁ……?」

凛「じゃあ好きなんだね。嬉しいよ李衣菜」ニコー

李衣菜「いくらなんでも切り返しが早いよ! もっと溜めるとこでしょここは!」

凛「飽きた」

李衣菜「えぇ~……」

凛「暑いから仕方ないよ」

李衣菜「……そーだね仕方ないね……はぁ」

凛「ため息なんて吐いて、夏バテ?」

李衣菜「いろんな意味でバテそうだよ……」

凛「そんなときこそ、うな重だよ」モグモグ

李衣菜「我ながらいい出来だと思う」モグモグ

凛「…………」モグモグ

李衣菜「…………」モグモグ

凛「ねぇ、李衣菜」

李衣菜「なに、凛?」

凛「来年も、うな重食べさせてね」

李衣菜「じゃあ凛も、練習して私に食べさせてよ」

凛「……頑張る」モグモグ

李衣菜「へへ。うん、頑張って」モグモグ

凛「いつかプロデューサーにも食べてもらいたいな」

李衣菜「その点は私がずっとリードしてるね。ふふん」

凛「わ、私だってやればできるよ」

李衣菜「青い着色料は入れちゃダメだよ?」

凛「……志希が作ったのもダメ?」

李衣菜「余計にまずいよ!? 絶対謎の物質入ってそうだし!」

凛「あと、『蒼』だよ」

李衣菜「あぁそう……」

凛「李衣菜も、なんでもかんでも『ロック』だって言って変なの入れちゃダメだよ?」

李衣菜「入れたことないから、大丈夫だから」

凛「もっと攻めないと。ググッと」

李衣菜「あ、焦ってもしょうがないしさ?」

凛「……楓さんや志希は、だいぶプロデューサーに攻めてるみたいだけど」

李衣菜「うっ……」

凛「私たちにしかできないやり方で、プロデューサーと、いつか……」

李衣菜「うん、いつか……でも、負けないから」


凛「だから蒼い着色りょ」

李衣菜「それはまた別の話になってくるよね」

凛「なに、李衣菜は私の邪魔をするの? いいよ、邪魔するなら消えてもらうだけ……」ユラリ

李衣菜「ちょ、いきなり怖いんですけど!?」

凛「大丈夫、ちょっとだけ……ちょっとだけだから……。ふふ、ふふふ」

李衣菜「ひ、ひぃっ!?」


凛「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

李衣菜「ああああああ食べたあああああ!!??」

凛「ちょっとだけ太るけど、これでプロデューサーに上げる分はなくなったね」モグモグモグモグ

李衣菜「あああ……プロデューサーにも食べてほしかったのにぃ」ガクー

凛「残念。うな重はもう私のお腹の中」ポンポン

李衣菜「マスタートレーナーさんに言いつけて地獄の特訓メニュー受けさせてやる!」

凛「ねぇ吐き出すから、吐き出すにはどうすればいい? ねぇ口の中に指突っ込めばいいのかな李衣菜、ねぇねぇ、ねぇったらねぇ!!」

李衣菜「だーもーうるさいなぁ!」

凛「わたしまだしにたくないよりーな」ガクガクブルブル

李衣菜「死なないでしょ……多分。ていうか言わないから安心しなよ」

凛「李衣菜って女神さまだったんだね……!」

李衣菜「はいはい……その代わり食べた分は運動しないと。だから自主トレ!」

凛「え……」

李衣菜「ほら行くよ、凛。まだまだトップアイドルには遠いんだから!」

凛「う、うんっ」

李衣菜「暑いけど、うなぎ食べたからね! 熱くならなきゃロックじゃないぜっ」

凛「私は……食べ過ぎたからクールに行こうかな」

李衣菜「あ、もしもしマストレさん?」

凛「あああああああああ」

李衣菜「あはは、嘘だよー」

凛「ワタシ、UNAGI、ショウカスル……!」メラメラ

李衣菜「おっ、凛も燃えてきたね!」

凛「さぁ行こう、ぐずぐずしてると置いてくよ、李衣菜!」ダッ!

李衣菜「えへへっ。待ってよ、凛ー!」タタッ



おわり

というお話だったのさ
暑さで頭やられてるのは俺だと思う


土用丑の日、うなぎなんてどうよー……ふふっ

俺もそう思う

俺はただ凛と李衣菜で書きたかっただけなんや……

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