まどか「ですのーと?」 (924)

帰り道

まどか「それじゃあ、また明日ね」
さやか「そんじゃーねー、まどかー」
仁美「では、また」

 さやかちゃんと仁美ちゃんに別れを告げて家に帰る途中で私は黒いノートを見つけた。

まどか「? なんだろうこれ?」
まどか「DEATH… NOTE… ですのーと?」
まどか「誰かがノートを落としちゃったのかな? わっ、中に書いてあるのも全部英語だ!」
まどか「………なんだか気になるなぁ」

 そして私はそのノートを持ち帰ってしまった。
 ちょっとした好奇心だった、しかし私の運命の歯車はこのノートを持ち帰ってしまったことにより大きく動き始めた。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437981816

まどかの部屋

まどか「翻訳サイトで翻訳してみたけど… なにこれ…」

 『このノートに名前を書かれた人間は死ぬ』
 『書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない。故に同姓同名の人物に一遍に効果は得られない』
 『名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くとそのとおりになる』
『死因を書かなければ死因は全て心臓麻痺になる』
 『死因を書くとさらに6分40秒、詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』

まどか「デスノート。死のノート。…悪趣味だよ、こんなの」
まどか「うぅ~~~、なんだかいやな気分になっちゃった。こんな手の込んだいたずらノート… あ! もしかしてさやかちゃんの仕業かな?」
まどか「明日さやかちゃんに聞いてみよう、もしさやかちゃんの仕業だったらひどいんだから!」

朝 通学路

さやか「おっはよー! まどか! おそいぞー!」
仁美「おはようございます」
まどか「おはよう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
まどか「遅くなったのはさやかちゃんのせいだよ! 昨日あんないたずらするからあんまり眠れなかったんだよ!」
さやか「へ? なんのこと?」
まどか「これのことだよ! このノートさやかちゃんの仕業でしょ? 私の帰り道に先回りして道に置いたんでしょ」
さやか「いやいやいや、知らないよあたし? ってなにこれ黒いノート? うぇ、英語で書いてあるじゃんこれ」

 さやかちゃんは本当に知らないようだ。ノートを開いて中を見せたら「うげ~」って唸りながら「あたしこの前の英語のテストでひどい点とったの覚えてるでしょ? そんなあたしに英語のテキストを見せるなんてイヤミなのかまどかぁぁ!」って言いながら私の身体を揉みくちゃにしてきた。どうやら本当にさやかちゃんじゃないようだ。

仁美「デスノート、死のノートですか? まどかさん、これを昨日拾ったんですか?」
まどか「うん、帰り道でね。興味引かれて持ち帰ってみてみたらこんなことが書いてあって昨日は気分が悪くなってあんまり眠れなかったんだ」
さやか「で、誰かの名前書いちゃったの?」
まどか「もー! 書くわけないでしょ!!」

 茶化すさやかちゃんは「ごめんごめん」と言いながら学校に向かって走っていった。
 私はノートを鞄の中に入れてさやかちゃんを追いかける。そして取り留めのない話をしながら学校に到着し、授業が終わるころにはノートのことは頭の中から消えていた。

夕方 まどかの部屋

まどか「ノート… 置いてくるの忘れてた…」
まどか「うぅ、もしかして捨てても戻ってくる呪いのノートって事はないよね…」
まどか「だめだめ! 忘れよっと! テレビでも見て気分を変えよう!」

TV「昨日三滝原の繁華街で無差別に六人もの人を殺傷した通り魔は現在○○会社にたてこもり、社員5名を人質としております」

まどか「えっ?」
まどか「今、ママの会社が言われたような…?」

 もう一度見たTVのニュースのテロップには間違いなくママの会社が載っていた。

TV「犯人は身代金10億を要求し、要求を呑めないようなら1時間ごとに人質を一人ずつ殺していくと…」

まどか(えっ? えっ? どういうことなの? ママ、大丈夫だよね?)

 頭がぐちゃぐちゃになっているところで私の携帯が鳴り響いた。パパだった。

まどか「もしもし、パパ? どうしたの?」
まどか父「まどか! 落ち着いて聞いてくれ!」

 パパからの電話を途中まで聞いた私は電話を落としていた。
 ママが人質になっている…

TV「現場に動きがあったようです! あれは人質でしょうか? あ、危ない! あああ!」

 TVでは人質が一人窓から落とされた。そしてTV画面に一瞬ママの姿が人質の中に映った。

まどか(嘘…だよね? こんなの夢だよ、悪い夢だよ)
まどか(こうやってほほを抓っても痛くな…痛い… 夢じゃないの?)

TV「警視庁は犯人を音原田九郎 無職42歳と断定 音原田は一昨日…」

 犯人の名前と顔を見た私は机の上に置いてあった黒いノートに名前を書き込んだ。
 私は祈るようにノートを抱きしめTVを見続けた。

TV「あっ、人質が出てきました」
まどか「ママ!!」
TV「4人出てきました、犯人はいない模様です。入れ替わるように警官が突入!」
まどか「ママ、無事だったんだ… よかった… よかったよぉ………」
TV「あっ、もう出てきました!? 犯人らしい者はでてきませんね、一体どうなっているのでしょうか」
まどか「………?」
TV「今情報が入りました!! 犯人は立てこもった会社内で死亡!! 犯人は死亡した模様です!!」
まどか「………えっ?」
TV「人質の証言では「犯人は突然倒れた」と…」
まどか「………………えっ?」

 その後、帰ってきたパパと一緒にママの元に向かった。
 病院で眠っているママを見たときに私は泣き出してしまった、そんな私をパパは優しく抱きしめてくれた。「大丈夫、ママは無事だったんだ、大丈夫だよ」と言ってくれるパパ。
 私は一つの可能性を考えないようにしながら、パパにしがみつきながら泣いた。

夜 まどかの部屋

 一旦家に帰ってきた私は、パパに言われタツヤの面倒を見ることになった。
 パパはママの病院に今日は泊まるらしい。私とタツヤは家で留守番だ。私もママのそばにいたいと言ったけど駄目と言われた。
 仕方なく家でタツヤを寝かしつけ私は自分の部屋に戻ってきた。

まどか(ママが無事で本当によかった。でも…)
まどか(このノート… ううん、考えすぎ。偶然だよ、きっと…)
まどか(明日はママのお見舞いをして、それで…)

 そう考えながら私の意識は闇に落ちていった。
 次の日、学校は休んでママのお見舞いをした。ママは思いのほか元気で、私が泣きながら飛びつくと「心配かけたね」と言って抱きしめてくれた。
 それから数日は事件の関係であわただしかったが、ようやくママも退院し私も通常の生活に戻っていった。

失礼しました。

帰り道

さやか「いやぁ~、この数日間大変だったね、まどか」

仁美「私もTVで事件のことを知って本当に驚きましたわ、あんな凶悪犯罪が起きるなんて思ってもいませんでしたし、まどかさんのお母様が事件に巻き込まれるなんて…」

まどか「ママが人質でTVに映ったときはもう気を失いそうになっちゃったよ…」

さやか「そりゃそうだよね、でもまどかのママはもう退院できたんだよね?」

まどか「うん、一昨日退院してやっと家に戻ってきてくれたよ、もう病院は退屈で退屈で仕方ないって言ってた」

さやか「めっちゃ元気そうじゃん! ホントによかった!」

仁美「安心しましたわ、ではさやかさん。あの件は明日の土曜日にしますか?」

さやか「そうだね、まどかも落ち着いたことだし明日にしよっか!」

まどか「え~? なになに? 何の話?」

さやか「ほら、あの事件があってからまどか元気なかったじゃん、それもかなーり。だから、元気付けるために三人で一日遊びつくそうって計画を立ててたんだよ」

仁美「私も一日お稽古を休んで付き合いますので覚悟してもらいますわよ!」

まどか「さやかちゃん… 仁美ちゃん… ありがとう!」

まどか(元気のなかった理由は事件のほかにももう一つあるんだよね…)

まどか(でも、こんなこと二人に相談も出来ないし…)

まどか(駄目駄目! またあのノートのことを考えている。二人がこんなに心配してくれてるのに私がこんなんじゃだめだよね)

まどか(よし! 明日は楽しむぞ~~!)

土曜日 夜

さやか「か~~~、遊びつくした~~~!」

仁美「こんなにも遊んだのは私初めてですわ」

まどか「もう8時になりそうだね、これはさすがに怒られちゃうな~」

さやか「カラオケで2時間も延長しちゃったもんね、こりゃみんな家で土下座だね!」

まどか「…そんなに楽しそうにいわないでよ」

仁美「うふふ、なんだか不良になったみたいですわね」

 そうやって駅に向かって歩いていると、私達の前にバイクに乗った男達が止まった。

男1「おじょーちゃーん」

仁美「キャッ!」

男1「今から俺らと遊ばなーい?」

男2「さすがタクさん、かわい子ちゃんたちゲーット」

拓男「俺、渋井丸 拓男。略してシブタク。へへ…遊ぼーぜおじょーちゃん達」

さやか「何よあんたたち! あたしたちはもう帰るの、そこどいてよ!」

男2「そっちの子怯えちゃってるよ! 俺達怖くないよー」

拓男「キャワイーーーッ!」

まどか「さ、さやかちゃん…」

男3「じゃあ、俺こっちのお嬢様と遊ぼーっと!」

男2「じゃあ、俺はこのピンクの髪の子!」

男の人たちに囲まれた私と仁美ちゃんは怯えていた。だけどさやかちゃんは渋井丸拓男と名乗った男に飛び掛り男のバイクをひっくり返した。

拓男「テメェ! 何しやがる!」

さやか「キャアッ!」

 男はさやかちゃんを殴り、さやかちゃんはもんどりうって倒れた。

拓男「おい、こいつら連れ帰ってお仕置きだ。誰に手を出したかその身体に思い知らせてやる」

男2「ヒュー、タクさん渋いっすね!」

男3「かわいこちゃん達との熱い夜、燃えてきたぜーー!」

 男達の言葉に、私と仁美ちゃんはさらに怯える、しかしさやかちゃんはバックから出したスタンガンを男に押し付けた。

拓男「うぎゃああああ!」

男2「た、タクさん!?」

さやか「まどか、仁美、逃げるよ!!」

 そう言い、さやかちゃんは私達の手をひき走り出すが、私は男3に掴まれて転んでしまった。

男3「テメェら、ふざけんなよ」

さやか「このおお!」

 さやかちゃんは男3にスタンガンを食らわすために押し付けようとしたがその手を掴まれてしまった。

さやか「あっ」
拓男「よくもやってくれたなぁ…」

 そのままさやかちゃんは男に殴られ始めた。

まどか「やめてぇぇぇ!!」

仁美「いやぁぁぁぁぁ!!」

 何度も男に殴られてさやかちゃんは気を失ってしまったようだ、それでも男はさやかちゃんを殴り続けている。

 さやかちゃんの虚ろな目を見たときに私はバックの中に入っているノートを取り出しさやかちゃんを殴っている男、渋井丸拓男の名前をノートに書き込んだ。

 「渋井丸 拓男」

 「渋伊丸 拓男」

 「渋井丸 拓夫」

 「しぶいま…

 何度も男の名前を書いているうちに、男は急に動きを止めて苦しみ始めた。

拓男「うぐっ!?」

男2「タクさんどうしたんすか?」

男3「タクさん?」

拓男「うぐぐぐううう…うぅぅ…」

 そして男はそのまま倒れた。

男2「う、うわああああああ!」

男3「し、死んでるうう!?」

 そのまま男達は逃げ出した。この場所には男の死体と、気を失ったさやかちゃん、目を瞑って震えている仁美ちゃんと私だけが残された。

まどか「さやかちゃん! しっかりして、さやかちゃん!」

さやか「うぅ………」

まどか「さやかちゃん!!」

 しばらくして通りかかった人が救急車を呼び私達は病院に運び込まれた。

 あの後さやかちゃんは全治2ヶ月のけがを負ったが命には別状はなかった。

 仁美ちゃんは気を失って2日間目を覚まさなかったが、目を覚ました後はショックであのときのことを忘れてしまったようだ。

 そして私はパパとママにこっぴどく怒られた、だけど二人とも私が無事でよかったと涙ながらに抱きしめてくれた。

 しかし二人に抱きしめられている間もずっと私は別のことを考えていた。

 私が、人を殺したんだ…と。

デスノートとまどマギを見直していたらふと思いついたので書いてみました。
突っ込みどころ満載かと思いますが生暖かい目で見てやってください。
また来ます。

再投下

まどかの部屋

 あれから退院したり警察の人の事情聴取があったりして一週間がたった。

 どうやらあの男達はなんども同じような事件を繰り返していたようで、死亡した男は変死として片付けられ、他の二人も逮捕されたらしい。

 私達は今後は遅い時間に出歩かないように注意はされたがそれだけだった。

 誰もあの男の死因を調査するものはいなかったようだ。

まどか(あれから一週間、学校を休んでずっと寝ている)

まどか(誰かが来たときは起き上がるけど、みんな私の顔を見たら無理に起き上がらないでって言ってくれる)

まどか(ひどい顔… 目の下にひどい隈ができてるし、頬もこけちゃっている)

 私はこの一週間碌に眠れず、ほとんど何も食べていない。

 最初はパパとママが一緒に寝てくれていたが私が夜中何度も起きてしまうせいで二人も眠れない状態だった。だから私は二人とは寝ないようにした。

 目を瞑るとあのときの光景が蘇る。あの男が目を見開いて苦しみながら泡を吹き倒れていく姿を、そして倒れた後に私と眼が合った、何も映していない眼、その眼は何かを訴えかけるような眼でいつもそこで私は目を覚ます。

まどか(怖い、怖いよ……… 人の眼が怖い、私が責められているようで怖い)

まどか(パパの眼も、ママの眼も私を責めているように見える)

まどか(お前は人殺しだ、二人も殺したんだって… そんなわけないのに!)

まどか(私、どうなっちゃうんだろう… どうすればいいんだろう…)

 私の思考に割り込むように部屋のドアがノックされる。

まどか母「まどか、入るよ」

まどか「ママ……… うん」

まどか母「ひどい顔… 可愛い顔が台無しじゃないか」

まどか「………」

まどか母「まどか、ショックだったのは分かる。だけどそろそろ本当のことを話してくれないか?」

まどか「………えっ?」

まどか母「あの男達にされたことだよ」

まどか(あの男にしたことじゃなくて…?)

まどか母「お前、乱暴されたんだろ? あのときに気づいてやれなくてごめんな…」

まどか(何を言ってるのママ? 殴られたのはさやかちゃんだよ)

まどか母「お前はあたし達に心配かけさせないように自分は何もされていないって言ったんだろう? 今のお前を見ているとそんな分けないってわかるのに直ぐに気づいてやれなくてごめんな…」

まどか(私は何もされていないよ…? 私が殺しちゃったんだよ…?)

まどか「………ママ、違うの。私のせいなの」

まどか母「どうしたんだ? お前のせいって?」

まどか(言おう、私が殺してしまったって。私はもう耐えられない…)

まどか「私があの男を殺しちゃったの……… あの時、さやかちゃんが殴られているのを見て、さやかちゃんが殺されちゃうって思って… それで私…」

まどか母「………まどか?」

まどか「ううん… それだけじゃないの、ママが人質にされた犯人も私が殺したの… あの時もママを助けなきゃって思って…」

まどか母(そうか、まどかは初めて人が死ぬところを見てショックを受けた)

まどか母(そんな中死んだ人間は自分が殺したいと思った人間だったから自分が殺してしまったって思い込んでしまっているのか…)

まどか母(クソッ! 何見当違いなことを考えていたんだあたしは… いいや、まずはまどかの心のケアだ、自分が殺人を犯したなんて思い込みを消してあげなきゃいけない)

まどか母「まどか、それは違う」

まどか「えっ?」

まどか母「お前が思っていることは違うんだ、あいつらは天罰を受けたんだよ」

まどか「…てん…ばつ?」

まどか母「そうだ、あいつらは神様が相応の罰を与えたんだよ、お前が殺したんじゃない。いや、殺したなんていうな! お前はこんなに苦しんでいるのに… あんな奴らの為に苦しんでいるのに…」

まどか(天罰? でも私が名前を書いて…)

まどか母「悪いことをした奴には相応の報いが起きるんだ、全部神様が見ていてくれたんだ。その証拠に悪いことをした奴が死んで、あたしやお前は助かった、これが天罰じゃなくて何て言うんだ!」

まどか「でも… 私がこの手で…」

まどか母「お前のこの小さな手で誰かを殺せるわけないだろ! お前のことはあたしが一番よく分かっているんだ! お前は誰も殺していない、だから苦しまないでくれ… 殺したなんて思い込まないでくれよ…」

まどか(殺していない…? 天罰…? 報い…?)

まどか(悪い人は裁かれてる…? あのノートは神様が使っていたもの…? でも、私が書いて殺した…)

まどか母(揺れている、もう一押しだ、もう少しでまどかは納得してくれる!)

まどか母「お前はいい子に育ってくれた、あたし達の宝物だ。もしお前が悪いことをしようってんならあたしはお前をひっぱたいて目を覚まさせてやる! だからあたしを信じろ! お前は誰も殺していない、悪いことなんて何もやっていないんだよ!」

まどか(………………………)

まどか(………………)

まどか(………)

まどか「私… ママを信じる」

まどか母(! こっちを向いて目を合わせてくれた、この一週間ずっと目をあわそうとしなかったまどかが、やっと…)

まどか母「まど………か………?」

まどか母(な、なんだってんだ? 一瞬まどかがあたしの知らない人間に見えたような気が… いや、そんなわけない。その証拠に久々に見るまどかの笑顔だあたしの愛するまどかの笑顔…)

 私は勘違いをしていたようだ。

 ママが教えてくれた、悪いことをしたら相応の報いが起きる。

 私がやったことは神様のお手伝いだったんだ。

 あの人たちは神様の裁きを受けるべき人たち、でも神様がノートをなくしちゃったせいで裁きを下せなかった。

 だけど私がノートを拾って神様の代わりに裁きを下しちゃったんだ。

 なんだかうれしいな、どんくさくて何のとりえもない私が神様のお手伝いをできるなんて。

 でも、神様もおっちょこちょいだよね、ノートを落としちゃうなんて。

 そうだ、神様がノートを取りに来てくれるまでお手伝いをしよう。

 ノートを落としちゃって困っているはずだからその間の裁きのお手伝いは私がしよう。

 ママも言ってくれた、私はいい子で悪いことなんて何もしていないって。

 だからこのノートで悪い人を裁いていくのもとてもいいことなんだ。

 私は一人じゃない。ママが応援してくれている。ママのためにもがんばるんだ!

まどか「ママ、ありがとう。そしてごめんなさい、私変なことを思い込んでいちゃった」

まどか母「あ、ああ」

まどか「私、これからがんばれそう、これもママのおかげだよ… なんだか安心したら眠たくなって…きちゃ……」

まどか母「まどか…? 寝ちゃったか、でもよかった。この一週間こんなに直ぐ眠るまどかを見たことがなかったからね…」

まどか母(さっきのまどかはどこかおかしかった… 何か大変な間違いをしてしまったような… いやこんなに安らかな顔をして眠っているんだ、気のせいだろう)


 ピキッ

 どこかで何かに皹が入る音が聞こえた。

投下終了。
また来ます。

再投下 母の名前は詢子でしたね。
次出てくるときは直します。

1週間後 病院

まどか「お見舞いに来たよ、さやかちゃん」

さやか「おーっす、あいたたた」

まどか「む、無理に動かないで! まだ全然直ってないんだから」

さやか「あはは、いやぁ~、さすがのあたしも今回は参ったわ~、もう死ぬかと思ったし!」

まどか「ほんとに怖かったよね…」

 あの日のことを思い出して暗い顔をした私を見てさやかちゃんは話題を変えてくる。

さやか「そ、そうだ! まどか、これ知ってる? 犯罪者の謎の心臓麻痺事件!」

まどか「うん、知ってるよ。悪い人たちがどんどん裁かれているんだよね」

さやか「裁かれる? 言われてみれば、これって神の裁きかもしれないなー、もしかしたらあたし達を助けてくれたのも神様かもしれないなーって、あはは!」

まどか「そうだよ、さやかちゃん。神様のおかげで私達助かったんだよ。ああ~、神様が早く見つけてくれたらいいなぁ…」

さやか「ま、まどか… あんたいつから電波キャラになっちゃったんだ!?」

まどか「ひ、ひどいよぉ~、私真面目に言ってるのに~」

さやか「はいはい、ってもうこんな時間! ごめんまどか!」

まどか「わかってるよ、上条君がもうすぐ来るんだよね」

さやか「いやぁ~、恭介と同じ病院だとは思ったけど、まさか毎日お見舞いに来てくれるとは思わなかったよ、恭介も動くのはつらいはずなのにあたしのところに毎日来てくれて心配してくれるんだよ、それで…」

まどか「あ~、うん。それじゃあまた来るね」

 のろけ続けているさやかちゃんを置いて私は帰路につく。

 あれからさやかちゃんは入院しているが上条君がお見舞いに来てくれるようになってからは毎日元気いっぱいだ。

 仁美ちゃんは事件のことはまったく覚えていない、起こったことは説明したが思い出そうとするとひどい頭痛に襲われるらしい。無理に思い出さなくてもいいだろうとお医者さんは言っているらしく、私も事件のことはもう話さないようにしている。

 そして私は…

某先進国 ICPO国際刑事警察機構会議

「ここ一週間で分かっているだけで52人です」

「その全てが心臓麻痺です」

「全て追い続けてきた、もしくは刑務所に留置されていた犯罪者」

「普通に考えて居場所の分からない指名手配犯の多くも死んでいますな」

「そう考えると軽く100人以上………」

「しかしいずれも何度死刑になってもあまるくらいの犯罪者だ、別にかまわないのでは?」

「どこの国の代表だ! そういう無責任なことを言うのは!?」




「こうなるとまたLに解決してもらうしかありませんな」

刑事「な、なんです…Lって局長」

局長「ああ、君はこの会議初めてだったな」

局長「Lというのは名前も居場所も顔すら誰も知らない… しかしどんな事件でも必ず解決してしまう一応探偵といえばいいのか…」

局長「とにかくその正体は分からないのだが、世界の迷宮入りの事件を解いてきたこの世界の影のトップ… 最後の切り札、そんなところだ」

男「Lはもう動いています」

 壇上に上がったコートの男が発言をした。

男「Lはとっくにこの事件の捜査を始めています。Lの声を今からお聞かせしますので、お静かに願います」

 男はPCをセットし、PC画面にはLの文字が浮かび上がり声が聞こえてきた。

L『ICPOの皆様、Lです』

L『この事件はかつてないほど大規模で難しい、そして………』

L『絶対に許してはならない凶悪な大量殺人事件です!!』

L『この事件を解決するために是非全世界、ICPOの皆さんが私に全面協力をしてくださることをこの会議で可決していただきたい』

 そして会議はLに全面協力をすることで可決された。

数日後 まどかの部屋

 私はあの日から神様のノートを使って犯罪者を裁き始めた。

 まずは凶悪犯の名前を書き続け、ひどい犯罪者の名前は粗方書き終えた。

 今日もこれからTVのニュースを見たり、インターネットを使って悪い人を裁かなければいけない。

知久「まどか、ご飯だよ」

まどか「はーい! 今いくねー!」

まどか「あれ? ママはまだ帰ってきてないの?」

知久「ああ、ママは今日仕事で遅くなるみたいだよ」

 パパと話をしながらタツヤがご飯を落とさないように見ていると、TVが緊急速報を始めた。

TV「番組の途中ですがICPOからの全世界同時特別生中継を行います」

まどか「?」

TV「私は全世界の警察を動かせる唯一の人間、リンド・L・テイラー、通称Lです」

TV「相次ぐ犯罪者を狙った連続殺人、これは絶対に許してはならない、史上最大の凶悪犯罪です」

まどか「えっ?」

TV「よって私はこの犯罪の首謀者、俗に言われているキラを必ず捕まえます」

まどか(えっ? 一体何を言っているの? 神様のお手伝いなんだよ? 犯罪って… 悪い人が裁かれているだけなのに何で犯罪になるの?)

TV「キラ、お前がどのような考えでこのようなことをしているのか大体想像はつく。しかしお前のしていることは…」

まどか(ううん、そんなことない。ママも言ってくれていた、私はいいことをしているんだって…)

TV「悪だ!!」

まどか「!?」

 TVではまだ何か言っているが私はTVを消して呆然としてしまった。

知久「まどか…? どうしたんだい? ぼーっとして」

まどか「………パパ。………私って悪い子?」

知久「? どうしたんだい急にそんなことを聞いて?」

まどか「………私、悪い子っていわれちゃった………」

知久「まどか……… まどかが悪い子だったらこの世界の子供達はみんな悪い子になっちゃうな」

まどか「パパ………?」

知久「誰にそんな酷いことを言われたかわからないが、まどかは優しいいい子だよ。それだけは自信を持って言える」

まどか「パパ、ありがとう…」

 夕飯を食べ終えた私は部屋に戻ってさっきのことを考えていた。

まどか(パパもママも私のことをいい子だって言ってくれる)

まどか(だけどTVでは悪い子だって言われちゃった)

まどか(悪い人を裁いているのは私、でも神様が裁いているわけじゃない)

まどか(もしかしたら裁いちゃいけない人もいたのかもしれない、だから悪い子って言われているのかもしれない…)

 考え込んでいる私の背後から急に声をかけられた。

???「よお、何を考え込んでいるんだ?」

まどか「!? きゃあああ!?」

???「何をそんなに驚く? そのノートの落とし主、死神のリュークだ」

まどか「しに………がみ…? かみさま?」

リューク「ああ、そうだが?」

まどか(神様! やっと来てくれたんだ! 神様に聞いてみよう、私が悪い子かどうかって。裁いちゃいけなかった人もいるのかって)

まどか「あのっ! 神様! 私、神様の代わりに悪い人たちを裁いていたんです! この中に裁いてはいけない人っていたんでしょうか…?」

 ノートを神様に見せながら言う。

リューク「くくっ… これは凄い! こっちが驚かされた!」

リューク「過去にデスノートが人間界に出回った話は何度か聞いたが、たった2週間でここまで殺ったのはお前が始めてだ」

まどか「あの…? 神様?」

リューク「ああ、悪い悪い。で、裁くって何のことだ?」

まどか「? 私、神様のお手伝いをするためにこのノートに悪い人の名前を書き続けたんです。神様はこのノートを使って悪い人に天罰を与えているんじゃないんですか?」

リューク「???」

 私は神様にこのノートを拾ってからのことを説明した、途中から神様はずっと笑い声を上げ始め私が説明を終わるまでずっと笑っていた。

リューク(この人間はデスノートが神の裁きの道具だと思っている、そしてデスノートに書き込まれるのは犯罪者のみと思い込んでいる。クククククッ… やっぱり人間って 面白!!)

リューク(この人間に本当のことを話してやるのは簡単だ、だがそれじゃあこの人間はデスノートを使わなくなりそうだ………)

リューク(………クククッ)

リューク「いいや、そのノートに書かれた人間は全て書かれて当然の人間達だ」

まどか「! それじゃあ!」

リューク「お前は悪い人間ではないし、デスノートを使うことは何も悪いことではないぞ」

まどか「!!」

 よかった… 本当によかったよ…

 やっぱり私はいいことをしていたんだ、馬鹿だなぁ私は。

 ママがあんなに教えてくれたのにまだ心のそこから信じれていなかったんだ。

 本当に駄目な子だな私って。

まどか「あっ、そうだ」

リューク「ん?」

まどか「神様、このノートお返しします。私神様の代わりに裁きをしてましたけど、やっぱり私なんかが神様の力を使うものじゃないと思いますし」

リューク「………いや、返さなくてもいい。そのデスノートはお前のものだ」

まどか「えっ…? 私のもの………?」

リューク「そうだ、そのデスノートをこれからも使うのもお前の自由だし、いらなければ他の人間に回せ。その時はお前のデスノートに関する記憶だけ消させてもらう」

まどか「………」

まどか「………私、神様のお手伝いを出来ていましたか?」

リューク「ん? …ああ、できているぞ」

リューク(俺を楽しませる意味でな)

まどか「………これからも神様のお手伝いをしてもいいんでしょうか?」

リューク「ククククッ… いいぞ、むしろ盛大にやってくれ」

リューク(俺をさらに楽しませてくれ)

まどか「………こんな私でも神様の役に立てていますか?」

リューク「クックックック… 十分役に立っているぞ」

 うれしい。こんな私でも誰かの、それも神様の役に立ててるなんて。

まどか「神様… 私このノートを使わせてもらいます」

リューク「!」

まどか「この一週間考えていたんです、こうやって悪い人たちの名前を書き続けているうちに悪い人たちも悪いことをすると裁きが下るって理解するんじゃないかって」

まどか「そうしたらみんな悪いことはしなくなってみんなが笑って生きていける世界が出来るんじゃないかって」

まどか「そんな世界が出来たら、私はとってもうれしいなって」

リューク(デスノートを使って、世界を変えるだって? ククククッ、やっぱりこの人間に本当のことを話してやらなくて正解だった!)

リューク(ようやく退屈な日々ともおさらばできる、やはり人間界に降りてきてよかったぜ)

リューク「クククッ、そうかい、なら頑張るんだな」

まどか「はいっ!!」

 私はノートを抱きしめながら神様に笑顔で返事をした。


 ピキキッ
 
 また何処かで何かに皹が入る音がした。

その後

リューク「おい、まどか。その神様ってのやめてくれよ。むずかゆくてしょーがねえ」

まどか「でも、神様は神様だし…」

リューク「俺のことはリュークでいい、後普通に喋れ、そんなに畏まれるのもなんかむずがゆい」

まどか「う、うん。神様がそういうなら…」

 その後私はがんばってリュークと普通に話せるようになりました。

投下終了。
また来ます。

再投下

Lの部屋


L(日本の三滝原で放送した生中継から1週間、リンド・L・テイラーは死なずに生存している)

L(その後も全国各地区に放送したが何のアクションもなかった)

L(テイラーはテレビやネットでは報道されていない犯罪者… つまりキラにはテイラーが犯罪者と認識できなかったということか)

L(そしてあれだけ挑発したがテイラーは無事、そして私も無事… つまりは自分を追うものであっても犯罪者でない以上[ピーーー]ことはない…)

L(いや、まだ情報が少なすぎる。今回の一件で何かしらのアクションを起こすものだと考えていたが…)

L(キラは私の考えていた人物像とはかけ離れた人間かもしれないな… そうなると次の1手は…)

L(三滝原での通り魔事件、そして女子中学生暴行事件… この二つの事件、後者に至っては殺人も犯していない犯罪者が心臓麻痺で死亡している)

L(このどちらかがキラの最初の犯行と考え三滝原で最初に放映したが… ここ数日調べているうちにこの三滝原という都市、日本全国の平均より5倍以上の変死、行方不明が出ている都市だった… 1年以内での犯罪者の変死も5件と多い)

L(キラ事件とは関係ないのか? だが、どうも引っかかる)

L「ワタリ」

ワタリ「はい、L、何か?」

L「例の三滝原での事件、捜査本部で資料は集まったか?」

ワタリ「はい、さらに事件の前後1年以内の事件及び犯人の情報、被害者の情報と全て集まっております」

L「よし、私のほうで集めた情報と照らし合わせる。一度そちらの資料を私に送ってくれ」

ワタリ「わかりました」

L(恐らくはこの事件、何かがあるはずだ。キラに繋がる何かが…)

L(だが、まだ情報が少なすぎる、そしてキラの殺人方法… これが一番厄介なところだ)

L(信じたくはない…が、今までの情報で明らかになっていることを考えると…)

L(キラは人を直接手を下さずに[ピーーー]ことが出来る力を持っている…)

L(ふ… 馬鹿らしい、だが今回の事件奇妙なことが多い、普通の思考ではキラにたどり着くことすら困難か…?)

 Lは思考をめぐらせながら砂糖がふんだんに入ったコーヒーを飲む。

 そしてLのPCには「三滝原女子中学生暴行事件 被害者一覧」のファイルが開かれていた。

一週間後 まどかの部屋

まどか「ふぅ、今日も頑張った!」

リューク「まどかー、リンゴくれよリンゴ」

まどか「え~、さっきも食べたじゃない。そんなにリンゴばっかり食べてたら体壊しちゃうよ?」

リューク「俺は死神だから死なないし、身体も壊さない、だから大丈夫だ」

まどか「も~、今日は本当に最後だからね」

リューク「やった!!」

 私はリュークにリンゴをあげるために台所に向かう。

 リビングではママがテレビを見ているようだった。

まどか「ママ~、そんな格好でテレビ見てたら風邪ひいちゃうよ?」

詢子「ん~~、大丈夫大丈夫、あたしは丈夫だから風邪もひかないさ」

まどか「もぅ、リュークみたいなこと言っちゃって…」

詢子「ん? リュークって誰だ? まさかまどかお前に男が出来たのか!?」

まどか「ち、違うよ! 友達だよ、友達!」

 ママは私に怪しげな視線を送っていたが、私はテレビの画面に目が留まった。

まどか「あ、キラ特集やってるんだね」

詢子「あ~……… よし、寝るぞ!」

まどか「あれ? まだお酒のこってるけど、いいの?」

詢子「ああ、今日はもうたくさん飲んだしあんまり変な格好でいてまどかに心配されるのも嫌だしな」

まどか「わかったよ、それじゃあおやすみ」

詢子「ああ、おやすみ」

詢子(あれからまどかは元気になってくれたが、まだ一ヶ月くらいしかたっていない)

詢子(犯罪者が心臓麻痺で死んでいくなんて、あのときのまどかのトラウマそのものじゃないか…)

詢子(またいつまどかがあのときのことを思い出すかわからないしなるべくキラという話題は出さないと決めたが… なんだろうかこのモヤモヤは…)

詢子「ああ~~~~~! 寝よう寝よう!」

詢子(変な考えはやめろあたし。まどかは今笑っている、幸せそうだ、それでいいじゃないか)

 私は部屋に戻ってきてリュークにリンゴをあげた。

まどか「そういえばさっきやってたキラ特集… ちょっと見てみよっと」

リューク「ん? 珍しいな? 今から裁きをはじめるのか?」

まどか「違うよ、さっきキラ特集がやってたからちょっと見てみようって思ったの」

リューク「ふーん、しっかしすげーなぁ、そんな板切れで何でも調べれちまうなんてな」

まどか「そうだよね、私も始めて使ったときはこんなにいろんなことが出来るんだって驚いたな」

 そういいながらタブレットを操作する私。

 そしてさっきママが見ていたキラ特集が映し出された。

タブ「ここ最近、世界的に強盗以上の凶悪犯罪は激減しています」

タブ「我々さくらTVの調査したグラフでは国民十万人にアンケートをとったところキラへの支持率は30%を超えたようです」

タブ「Lと呼ばれた探偵もキラの情報を何一つつかめず捜査は打ち切られる可能性もあるようです」

リューク「おほ! お前のことすげー言われてるな、おいおい! ある国ではキラを宗教にする計画もあるってよ!」

まどか「………」

リューク「おい、どうしたまどか?」

まどか「ううん、なんでもないよ」

 リュークがリンゴを食べ終わるころには私もキラ特集を閉じた。

 少しの違和感があったが気にせず眠ることにした。

朝 病院

まどか「さやかちゃん! 退院おめでとう!」

仁美「さやかさん、おめでとうございます」

さやか「いやぁ~、ありがとね二人とも!」

 今日はさやかちゃんの退院の日だ。

 事件から1ヶ月、多少の痛みはあるらしいがほぼ完治したさやかちゃんに会いに私と仁美ちゃんは病院に来ていた。

さやか「この一ヶ月入院していて、あたしは思った!」

まどか「どうしたの? さやかちゃん?」

さやか「あたしはこのまま病院に入院し続ける!」

まどか「意味が分からないよさやかちゃん…」

仁美「ふふふ、さやかさんは退院したくないんですか?」

さやか「退院はしたい! だけど… もう絶対に授業についていけないよ~」

まどか「大丈夫だよさやかちゃん、私と仁美ちゃんで授業の内容を教えてあげるから!」

仁美「そうですわ、この一ヶ月私達はさやかさんに教えれるように猛勉強したんですのよ」

さやか「あ~、嬉しいけど勉強はまた今度にしてほしいかなーっ…」

 話をしながら私達はさやかちゃんの両親の車で送っていってもらった、そして私は商店街で降ろしてもらった。

まどか「さてと、それじゃあノートにつけるブックカバー買いに行かないとね」

リューク「ブックカバー? そんなもんデスノートにつけるのか?」

まどか「うん、だってあのままじゃ可愛くないでしょ? リュークにもらったものだし大事にしたいしね」

 ノートの大きさのブックカバーを買い帰り道を歩いているとリュークが話しかけてきた。

リューク「まどか、ちょっといいか?」

まどか「どうしたのリューク? リンゴだったら家に帰ってからだよ」

リューク「ああ、すぐ食わせてくれよ! …そうじゃない」

まどか「?」

リューク「ああ~、こっちを振り向くな! 前を向け!」

まどか「? どうしたの?」

リューク「前を向いて歩きながら俺の話を聞けよ」

まどか「う、うん」

リューク「この二日間だが、ずっとまどかをつけている人間がいる」

まどか「えっ?」

リューク「俺はいつもまどかの後ろにいるからすぐ分かったんだが、間違いなくお前をつけているぞ」

まどか「い、一体誰なんだろう…?」

リューク「さあな? だがそいつに俺は見えていないがいつも見られている気分だ…」

まどか「うぅ… ストーカーかなぁ… 怖いよ…」

リューク(犯罪者を毎日殺しまくっている奴が言う言葉かよ)

リューク「ん?」

まどか「ど、どうしたの? 今度は何?」

リューク「いや、変な奴がいる」

まどか「?」

リューク「寿命がぼやけている奴がいる」


 リュークが言った何気ない言葉だったけど、その言葉から私の運命の歯車はまた違う方向に動き始めた。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

見滝原でしたね、失礼しました。
リュークは数万年間死神界でうまいリンゴ探しの旅をしていたので魔法少女関係の事は知らないって設定で

投下開始

 今私達はリュークが見つけた女の人を追いかけている。

 その人は足取りもおぼつかない様子で歩いている、目も虚ろで首筋には何かのマークみたいな痣がある。

まどか「ね、ねぇリューク。あの人が一体なんなの? 確かに変な感じがする人だけど…」

リューク「…あの人間は、俺の目でも寿命がぼやけて見える」

まどか「寿命? どういうことなの?」

リューク「そういえば言っていなかったな。死神の目には人間の顔を見るとそいつの名前と寿命が顔の上に見えるんだ」

まどか「………名前と寿命?」

リューク「ああ、そうだ。おっとあの廃ビルに入っていったみたいだな」

まどか「………なんでこんなところに?」

 私達はあの女の人を見つけるために廃ビルの中に入っていった。

 そして屋上に出たときに女の人を見つけた。

 女の人はフェンスによじ登ろうとしていた。

まどか「!?」

リューク「何だあの女? 自殺でもする気なのか?」

 私はその姿を見たときには駆け出していた。

 女の人の服を引っ張りながらフェンスを登ろうとするのを阻止した。

まどか「や、やめてください! 何を考えてるんですか!?」

女「じゃまをしないでぇ…」

まどか「邪魔って… きゃあ!?」

 女の人に突き飛ばされた私は倒れこむ。

女「わたしは~このまま~とんでいくの~」

まどか「っ!?」

 女の人はフェンスの横の隙間から飛び降りようとしていた、私は咄嗟に女の人の身体を掴んで叫んでいた。

まどか「だれかぁぁぁぁぁ! 助けてぇぇぇぇ!!」

 その時、私の後ろからアフロな髪型の男の人が飛び出してきて女の人を引っ張り投げ飛ばした。

 女の人は屋上に転がり気を失ったみたいだ。

 私は呆然と男の人を見ながら、安堵のため息をついた。

アフロ男「おい! 大丈夫か!?」

まどか「あ、はい。大丈夫です…」

まどか「あの、あの女の人は…?」

 男の人は女の人の様子を見るために近づいていき何かの処置をしている。

リューク「おい、まどか。気をつけろよ」

まどか「?」

リューク「あの男がこの二日間お前をつけまわしていた奴だ」

まどか「!?」

 リュークの言葉に驚き、男の人を見ると女の人の処置を終えたのかこっちに向かってきていた。

まどか「あ、あの…」

アフロ男「ああ、大丈夫だ。どうやら気を失っているだけのようだからな。君のほうは大丈夫か?」

まどか「はい…」

まどか(この人は一体誰なんだろう? ずっと私をつけまわしていたってどうして?)

アフロ男「こちら相原、見滝原○丁目の廃ビルにて女性が自殺未遂を図った、至急救急車を頼む」

まどか「あの… あなたは一体…?」

相原「………俺は刑事だ。ある事件を追っていてこの付近を捜査していた。そこで君の叫び声が聞こえたから来てみたらこの現状だ」

 そう言って相原と名乗った男は私に警察手帳を見せる。

 刑事さんが私を尾行していた? なぜ…?

相原「君こそ一体なんでこんな所にいたんだ? こんな所に用があるとは思えないが?」

まどか(………この人は私を尾行していた。嘘をついている)

まどか「えっと… あの女の人を少しはなれたところで見て、様子がおかしいなって思ったんで声をかけようと追いかけたんです。そしたらこのビルに入っていって…それで…」

相原「………そうか、いや。ありがとう、君のおかげで一人の命が救われた。君の行動に一刑事として感謝する」

まどか「あ、はい、ええっと…」

 その後、女の人は救急車で病院に運ばれ、私と刑事さんは事情聴取のため警察に行き質問が終わった後は私の家まで刑事さんが送ってくれた。

相原「事情聴取で引き止めてすまなかったね、これも規則でね」

まどか「はい、大丈夫です。それより送っていただいてありがとうございます」

相原「…気にすることはないさ、そろそろ君の家だね」

 家に着いた私は、パパとママに迎えられ家にはいった。

 最近の私はなんだか警察や病院に縁があるみたいだ。

 今回は人を助けたということで警察から感謝の礼状も送られるかもしれないらしい。

 パパとママはあんまり心配をかけさせないでくれと苦笑いをしていた。

 どうやら警察から電話がいったときにはママが凄い取り乱していたという。

 そんな話をリビングでしながら一区切りが着いたところで私の部屋に戻った。

まどか「つ、疲れた…」

リューク「今日は一日大活躍だったな、俺も面白いものが見れたから満足だ」

まどか「面白いものって… 人が自[ピーーー]る寸前だったんだよ!?」

リューク「いや、違う。あの女の事は寿命がぼやけていたって事に驚いただけだ」

まどか「そういえばそんなこと言っていたよね? どういうことなの?」

リューク「死神の目には人間の名前と寿命が分かる、そこまでは話したよな」

まどか「うん」

リューク「だがあの女には最初寿命がぼやけて見えなかった、こんなことは一度もなかったのにだ」

まどか「あの人が自[ピーーー]る寸前だったから…?」

リューク「いいや、どんな時でも人間の寿命は見える。それが死神の目なんだが… その後しばらくしたら寿命がはっきり見えた」

まどか「? 自殺を止められたからじゃなくて?」

リューク「違う、急にはっきりと見えるようになったんだ。そしてここからだ面白いのは!」

まどか「!? か、顔が近いよリューク」

リューク「俺が見たこともない生き物がいた」

まどか「生き物?」

リューク「そうだ、なんていったら言いか… そうだ! お前らの言葉で言うと宇宙人って奴だ! それがあの場所にいた」

まどか「うちゅうじん~~?」

リューク「何だその顔は? 確かにいたぞ?」

まどか「う~~ん、神様もいるんだから宇宙人もいるのかなぁ…… でも宇宙人かぁ…」

リューク「信じる信じないはお前の勝手だ、そしてその宇宙人と一緒にまた変な人間がいた」

まどか「また~?」

リューク「ああ、完全に寿命がない人間だった。あんな人間を見るのも初めてだぜ」

リューク(ん? そういえば死神界の誰かが昔そういう人間のことを話していたような、そのときは気にもとめてなかったな…)

まどか「寿命がない人間って… どういうことなの…?」

リューク「そんなこと俺が知るか、だけど面白いことが立て続けにおきて俺は満足だ!」

まどか「もぅ… 勝手なんだから」

リューク「…そうだ、お前に目の取引の話もしていなかったな」

まどか「取引?」

リューク「ああ、俺はお前の目を死神の目にしてやることが出来る、まあその代わりにお前の寿命の半分を頂くがな」

まどか「ちょ、ちょっと、今凄いこと言ったよね!?」

リューク「ああ? それよりもまどか、リンゴをくれー、そろそろ禁断症状が出てきそうだ」

まどか「も~~、今日のリュークは勝手すぎるよ!」

 そういいながら私はリュークにあげるリンゴを取りに台所へ行く。

 もう頭がパンクしちゃいそうだよ、目の取引、寿命のない人間、宇宙人、刑事の尾行…

 あ! そうだった、私あの刑事さんに尾行されていたんだよね…

 何で刑事さんが私なんかを尾行していたんだろう? 悪い人じゃ無さそうだったけど…

 う~ん、考えてもわかんないや。

 って、いけない! 今日の裁きがまだだったよ。急いでやらないと!





 月明かりの下、まどかの部屋に視線を向ける生き物の両眼が煌いた。

投下終了。
また来ます。
見てる生き物にはリュークが見えません。

再投下

数日前 日本警察捜査本部

 報告会議終了間際

局長「今日の捜査報告はこんなところです、L」

L「お疲れ様です。そしてまた注文で申し訳ないのですが」

L「今から送るキラ容疑者候補の人間を調査及び尾行を依頼します」

刑事1「なんだと!?」

刑事2「キラ容疑者だって!?」

刑事3「もうそんなに調査が進んでいたのか!?」

局長「お前達、静かにしろ!! L、詳しく説明してくれないか?」

L「はい、私はこの一ヶ月大々的な報道や、各種方面に自分を印象付けさせるために手を打ってきました。それも全てキラを挑発する形でです、だがキラは動かなかった。犯罪者のみを淡々と殺害し今もその被害を止められていない」

L「私はこの事件の最初の被害者というものを推察しました。そして浮かび上がってきたのは「見滝原通り魔事件」と「見滝原女子中学生暴行事件」この二つです。この二つの事件はいずれも犯人が心臓麻痺という形で死亡、そしてこの事件の約1週間後からキラ事件が始まっています」

L「心臓麻痺という死に方は取り分け珍しいものではありません、ですが健常者が心臓麻痺で死ぬ可能性は低い、そしてそれが犯罪者となると不自然ではない心臓麻痺はキラ事件の前では5年で1回あるかどうかというものです」

L「しかし、今回の見滝原の事件では両名とも心臓麻痺。偶然としては片付けられないものがあります。私はこの事件に関係する情報を集め調べた結果、一つの家族が浮かび上がってきました」

L「それがこちらの「鹿目一家」です。見滝原通り魔事件では鹿目詢子が人質となった事件です。この事件では人質が一人窓から落とされ重症、その後犯人は心臓麻痺で死亡」

L「見滝原女子中学生暴行事件では娘の鹿目まどかが友人と帰宅中に男達に襲われ、鹿目まどかの友人である美樹さやかが暴行され全治2ヶ月の傷を追っています。犯人のリーダー格は美樹さやかに暴行中に心臓麻痺により死亡」

L「このことから推察するに、現時点での最有力容疑者は、「鹿目まどか」になります」

局長「ま、待ってくれL。貴方の推理は分かった。確かにその家族が怪しいとは理解できたがなぜその「鹿目まどか」が最有力候補になるんだ? まだその子は中学生じゃないか」

L「………ここからは確たる証拠はありませんが、今までの情報から推測した結果の推理となります。それを前提にお聞きください」

L「まずはキラの殺人方法、恐らくキラは直接手を下さずに人を殺せます、そうですね超能力とでも言えばいいのでしょうか」

刑事I「な、なんだと!?」

刑事M「そんな馬鹿な!?」

L「そして、キラの殺しには顔と名前が必要。………そしてキラは自分の認識した犯罪者にのみその力を使って殺しを行っています」

刑事達「か、顔と名前だって!?」

刑事達「認識した犯罪者のみ…?」

L「凶悪犯罪者かつ現在でも生存している人間に共通するものは、いずれも顔写真が報道されていないか、報道はされているが名前が間違って報道されていることです」

L「そして私はリンド・L・テイラーのような報道されない犯罪者を何人かICPOの協力の下メディアに露出させました。あくまで犯罪者とは伏せてです、その犯罪者達は現在も生存しています」

L「次にキラの人物像ですが…」

L「………私の考えていたキラの人物像は、裕福な家庭で育った子供、そしてキラの考えは犯罪者を減らし、世界を犯罪のない世界に変える、そういったところでしょうか。そのような考えをしなおかつ実行に移すとしたら小学校低学年から高校生まで… というのが当初の考えていたキラの人物像でした」

刑事M「でした?」

L「最近のキラの動きを見るとどうもおかしい」

刑事I「おかしい?」

L「雑なんです、いや、作業的といったほうがいいでしょうか。報道されている凶悪犯罪者はほとんど死亡しています、ですが凶悪犯罪者がなくなるとキラの殺しはただ単に犯罪者を[ピーーー]だけ、そこに何らかの規則性はありません」

L「もしも、キラが本当に世界を変えようと考えているのなら殺しの仕方に何らかの意思が見えますが、キラの殺しはただ単に犯罪者を殺しているだけ」

L「そして、自分から何かを発信するでもなく殺しを続け世界が変わるのをただ待つだけ…
 まあ、これは今の段階での話ですが…」

L「それらを踏まえた上で再度人物像を構成した結果、キラは子供、頭の回転はそこまで速くないが自分の正義感を持ちその正義感に則って行動をする人間、そして世界を変えたいと思って行動をしているがただ単に犯罪者がいなくなれば世界は平和になると考えている短絡的思考の人間」

L「これが私が「鹿目まどか」を最有力容疑者に挙げた理由です。恐らく自分の母親と友人の危機に犯罪者を殺してしまう力を使ってしまった、もしくは目覚めたか。その後一週間で何があったのかは本人にしか分かりませんが、とにかく「鹿目まどか」は自分の持っている力で犯罪者を殺し始めた。そういったところでしょうか」

局長「…L、貴方の考えは分かった。だがキラの尾行をするとなるとこちらも慎重にならなければならない… もう一度捜査本部で検討させてもらえないだろうか」

L「わかりました、ではそちらでまとまり次第私をおよび下さい。宜しくお願いします」

 Lとの通信がきれた後、ワタリが一旦捜査本部の部屋を出る。

刑事1「局長! あんな話を信じるんですか!?」

刑事2「超能力なんて馬鹿げている!!」

刑事3「Lも自分の推理が行き詰って狂ってしまったんじゃないか?」

局長「私も俄かに信じがたいが、見滝原の事件は捜査本部の一部のものからもある程度の報告が上がってきている。超能力と言った内容はあまりにも行き過ぎていると思うが… Lから送られてきた資料を一度見てみるのもいいかもしれん」

刑事達「………」

局長「これから夜勤組みはLの資料の調査を行う、他のものも捜査を続けるなり今日はあがって身体を休めるなりしてくれ、以上だ」

警察庁 外

刑事M「局長、お帰りですか?」

局長「ああ、松田か。いや今日も徹夜で捜査だ、少しの腹ごしらえだな」

松田「あ、それなら僕もお付き合いします! 僕もこれから捜査をしようと思っていましたんで」

松田「あ、あの。局長、局長はLの推理を信じていたりしますか?」

局長「…普通に考えたら与太話の類だが、それを言い出したのは世界一の名探偵だ。一考の価値はあると私は思っている」

松田「そ、そうですか。後、見滝原って言ったら…」

局長「…ああ、私の家がある。家族もそこに住んでいる」




 闇夜の雲の隙間から白い月が輝いていた。

投下終了。
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始


数日後 捜査本部

局長「何だこれは!?」

刑事達「見ての通り辞表です」

刑事達「他の事件の担当に回していただくか、それが出来なければ警察を辞めます」

局長「…この間のLの資料をみて考えた結果か?」

刑事達「…そうです、最初はLの推理は信じていませんでしたが資料を読み、調査をするうちに真実味を帯びていき、今ではLの推理の通りとしか思えません」

刑事達「そうなると、キラは顔と名前さえ分かれば超能力のようなもので人を殺せるんですよ! Lは犯罪者以外は殺さないと推理していましたが、追い詰められたら何をするか分からないじゃないですか!」

刑事達「Lとは違い我々は警察手帳という写真の入った身分証明書を持って捜査をしているんです! 堂々と顔を隠さずにです! それなのにLは我々に尾行を依頼してきた、これはお前達は死んでもかまわないと言われているようなものじゃないですか!」

刑事達「私達はLを信用できませんし、キラに殺されるのもごめんです。では、局長宜しくお願いします」

局長「………」

Lの部屋

L(あれから数日、そろそろ捜査本部からの連絡も来るだろう)

L(私の予想通りの展開になってくれていればいいが…)

ワタリ「L、繋いでもよろしいでしょうか」

L「ああ、頼む」

 捜査本部にいたのは局長を含め5名の刑事だけだった。

局長「L、先日貴方の推理を聞き、捜査本部でも熟考した結果貴方の推理は正しいと我々も判断した」

局長「だが、キラ容疑者の尾行となるとキラが超能力を持っている事を前提にするとあまりにも危険性が高い」

局長「そのため勝手な判断だが、捜査本部を分けさせてもらった。貴方の推理した「鹿目一家」を調査するチームと「鹿目まどか」を尾行するチームにだ。ここにいる5人は命をかけて悪に立ち向かうと決意した者達だ」

L「そうですか、私は強い正義感を持った貴方方を信頼します」

刑事I「ちょっと待て、Lは今我々を信頼すると言ったが、我々はLを信用していない。今回の件だってそうだ、貴方は我々に指示をするだけで自分は顔を見せず隠れ続け、キラの尾行と言った危険な任務は我々に依頼してきた、そんな人間を信用することは出来ない」

局長「L、もし私達と力を合わせキラを捕まえる気持ちがあるなら貴方もここへ来てくれないか?」

L「…私は先ほど、貴方方を信用すると言いました。今から貴方方5名と今すぐにでも会うことを考えています」

刑事達「!!」

L「私は今帝東ホテルの一室にいます。これからは全ての事を口外しないと約束していただきたい、私と会うこと、会った事、何を会話したかも全てです。それを約束できるならワタリと共に今すぐホテルに来ていただきたい」

L「そこでキラ事件のもう一つの私の考えを聞いていただきたく思います」

L「それでは、宜しくお願いします」


 捜査本部との通信を切り、Lは考える

L(捜査本部は分かれ、実働部隊が出来上がったか…悪くはない)

L(これで外から鹿目一家の調査を行うことが出来、現場では命を懸けて動ける人間に分けることが出来た)

L(鹿目まどか… キラである確立現時点では10%程度… 尾行や監視を続ければ何かしらボロを出すだろう)

L(キラ事件はある程度の目星はついた、何のことはない事件だった、拍子抜けと言ってもいい…しかし)

L(問題は見滝原の変死・行方不明事件…)

L(そのどれもがどんなに調査しても必ず何処かで行き詰る、明らかに何者かが事件の真相を隠そうとしているようにだ)

L(そして… これも、これもそうだ、今までなぜ気がつかなかった? いや、気づけなかったのか…?)

L(世界中で似たような変死・行方不明事件が起きていた。この感覚は一体何だというのか…)

L(キラ事件もこれらの変死事件の一つだったとしたら… 可能性としては低いか…?)

L(なぜかはわからないがこの変死事件、キラ事件よりも数倍深い闇を感じる。ひとつの油断が全てを飲み込んでいくような…)

L(警察にはキラ事件と関係を仄めかし調査していく…が、危険性を判断した場合は撤退させ私が単独で調査していくしかない)

L(まさか私がLとして人前に顔を出すことになるとはな… だがどれだけ調査をしても見えてこない事件だ、実際に現場に行き自分の目で判断する他手はない)

L(まずは警察との信頼関係を作ると共に、動かせる人間を見極め見滝原へ行き、事件の全容を解明する。この事件を解明することで他の変死事件の何らかの糸口を掴める筈)

 ドアがノックされる。

ワタリ「L、お連れしました」

L(まずはキラ事件からだな、鹿目まどかの尾行、そして殺人方法の解明及び証明)

L(尾行後部屋を調べれば証拠となるものはいくらでも出てくるだろう)

L(監視カメラでも設置してみるか? もしかしたら殺人の方法まで録画できるかもしれない)

L(………この事件、これから警察関係者を説得することが一番の難関になりそうだな)

L「どうぞ」

 すでにLの中ではキラ事件から見滝原変死事件に興味が移っていた。

 翌日Lは警察と共に見滝原へ向かうこととなった。

学校

さやか「おーい、まどかー、お昼いこーよ」

まどか「ちょっとまってね、おまたせ!」

 さやかちゃんと一緒にお昼を食べにお弁当を持って屋上に行こうとすると、上級生の人に呼び止められた。

???「あなた、鹿目まどかさんよね?」

まどか「はい、そうですけど…?」

さやか「どしたのまどか? 知り合い?」

マミ「私は3年生の巴マミ、少し時間いいかしら?」

まどか(3年生の人が私になんだろう?)

リューク「お! まどかこいつだ! こいつが寿命の無い人間だ!」

まどか「えっ!?」

マミ「?」

リューク「おい! 後ろだまどか! 宇宙人がいるぜ!!」

 リュークの言葉に私は後ろを振り向いた。

 そこには猫みたいな白い生き物がいた。

まどか「何? 猫?」

さやか「なにあれ? ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」

マミ「あなたにもキュゥべえが見えるの? キュゥべえ、おいで」

 キュゥべえと呼ばれた生き物は巴先輩に呼ばれると、巴先輩の方に乗って私達に向かって言った。

QB「鹿目まどか、美樹さやか、僕と契約して魔法少女になってよ!」

投下終了
次は週末になりそうです。
また来ます。

saga機能知りませんでした。
初スレ、初投降なもので… ご指摘ありがとうございます。
テスト 相殺する

投下開始



放課後 マミの家



まどか「素敵なお部屋~」

さやか「うわ~~」

マミ「一人暮らしだから遠慮しないで、碌におもてなしの準備も無いんだけど」

 そういいながら巴先輩はお茶とケーキを用意しながら話し始めた。

マミ「キュゥべえに選ばれた以上、あなた達にとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明をしようと思ってね」

さやか「魔法少女でしたっけ? えーっと巴先輩はその魔法少女って奴なんですか?」

マミ「マミでいいわよ。そうよ、私はキュゥべえと契約して魔法少女になったの」

 そういってマミさんは私達に魔法少女の説明をしてくれた。

 契約、魔法少女、魔女、ソウルジェム、マミさんの言っていることはとても信じられなかったけど、マミさんは自分の魔女退治に付き合ってみないかって誘ってくれた。

 私達はその言葉に頷き、翌日マミさんとの魔法少女体験ツアーに出かけることとなった。

夜 まどかの部屋




まどか「魔法少女かぁ、何でも願いをかなえられるなんて凄いなぁ」

リューク「クククッ、お前はどうするんだ? 魔法少女とやらになるつもりなのか?」

まどか「う~~ん、願い事なんてないし、どうしようかなぁ」

リューク「って、お前デスノートに何を書いてんだ!?」

まどか「あっ、見られちゃった! えへへ… 私がもし魔法少女になったときの衣装だよ」

リューク(デスノートにそれを書くか?)

まどか「明日楽しみだなぁ、魔法少女ってどんなのだろう、ワクワクしてきちゃった!」

 私は明日のことを考えながら裁きと歯磨きをして眠りについた。


翌日 放課後



マミ「さて、魔法少女体験コース第一弾。張り切っていってみましょうか、準備はいい?」

さやか「準備は万全です!」

 そう言ってバットを取り出すさやかちゃん。

さやか「まどかは何か持ってきた?」

まどか「え、え~っと、私は…」

 魔法少女の衣装の絵を見せたら二人に笑われてしまった。恥ずかしい…

 そして私達は夕方の町を歩き始める。

 歩き続けるうちに私達がたどり着いたのは、この間とは違う廃ビルだった。

マミ「かなり強い魔力を感じるわ… 間違いないここよ」

さやか「なんかいかにもって感じですね…」

まどか(この前の廃ビルみたいな感じがする…)

 廃ビルに私達は入りしばらくすると目の前にまがまがしい扉みたいなものが現れた。

マミ「見つけたわ、魔女の結界の入り口よ」

 マミさんはさやかちゃんの持っていたバットを魔法のバットに変えてくれた。

 気休めにしかならないって言われたけど、すごい、本当の魔法なんだ!

 そしてマミさんはソウルジェムを使って魔法少女へと変身した。


さやか「うわ~~」

まどか「す、すごい…」

マミ「絶対に私のそばを離れないでね!」

 そして私達は魔女の結界の中に入っていった。

 マミさんは襲ってくる使い魔をやっつけながら奥へ進んでいく。

 そんなマミさんの姿はとてもかっこいいものだった。

QB「もうすぐ結界の最深部だ!」

 キュゥべえが言った。私達の前の扉が開いていく。

 その奥には蝶の羽が生えた殻の無いカタツムリみたいな生き物が蠢いていた。

マミ「見て、あれが魔女よ」

さやか「うぇ… グロイ…」

まどか「あ、あんなのと戦うんですか?」

マミ「大丈夫、負けるもんですか」

 マミさんはさやかちゃんの持っていたバットを使ってリボンの結界を張ってくれたみたいだ。

 そしてそのまま魔女の元に飛び出していった。


 マミさんは色んな所からマスケット銃を取り出して魔女に攻撃していたが、魔女の触手に捕らわれて宙吊りにされてしまった。

まどか「マミさん!!」

マミ「大丈夫、未来の後輩に、あんまり格好悪いところを見せられないからね!!」

 地面からマミさんのリボンが凄くたくさん出てきて魔女を縛り上げた。

 いつの間にか空中にいたマミさんは一際大きな銃を取り出し魔女に狙いを定めた。

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

 マミさんのその一撃で魔女の姿は掻き消えて魔女の結界も解除されたようだ。

さやか「か、勝ったの?」

まどか「すごい!」

 マミさんは何かを拾っているようだった。

マミ「これはグリーフシード、魔女の卵よ」

さやか「た、卵?」

マミ「ええ」

 その後はマミさんがグリーフシードを使ってソウルジェムの穢れを取り除き、これが魔女退治の見返りって教えてくれた。

 私達はマミさんと一緒に廃ビルを後にして、夕暮れの町を歩き始めた。


さやか「じゃあ、私はこっちなんで! マミさん、今日はありがとうございました!」

マミ「ええ、それじゃあまた」

まどか「また明日ね、さやかちゃん」

 さやかちゃんと分かれ私とマミさんは再び歩き出した。

まどか「そういえばマミさん、どうして昨日私を探していたんですか?」

マミ「えっとね、キュゥべえに魔法少女候補が2年にいるって聞いて探していたのよ。ね、キュゥべえ」

QB「そうだよ。まどか、君は二日前魔女がいた廃ビルにいただろう? 僕は君をあそこで偶然見かけたんだ」

QB「君はマミと同じくらいの才能を持っている、そのことをマミに話したらマミが是非君に合いたいって聞かなかったんだよ」

マミ「ちょっとキュゥべえ! 何を言ってるのよ!」

 マミさんはあわててキュゥべえに詰め寄っている。

 私の視線に気が付いたのか恥ずかしそうにマミさんが話し始めた。

マミ「鹿目さんはあそこで魔女の口付けを受けた人を助けていたのよね? キュゥべえにその話を聞いたときに私はそんな子となら一緒に魔法少女として戦って行けるんじゃないかなって思ってね」

まどか「? どういうことですか?」

マミ「魔法少女ってそんなに綺麗なものじゃないのよ……… 人助けの為に魔女を倒す魔法少女なんて一握りかもしれない。グリーフシードを手に入れるために酷いことだって平気でする子なんかもいたりするのよ…」

 そのままマミさんは押し黙ってしまった。


QB「マミみたいな魔法少女は珍しいと思うよ、普通は損得を考えて動くからね、使い魔を優先的に倒す魔法少女なんてほとんどいないよ」

まどか「使い魔?」

QB「使い魔は魔女から分裂した分身体みたいなものだよ、最初は小さな力しか持っていないが成長すると分裂元の魔女と同じになるんだ。ごく一部の魔法少女はグリーフシードを手に入れるために使い魔に人間を食わせ魔女に仕立て上げているんだ」

まどか「そんな… 酷い…」

マミ「………魔法少女同士が協力して戦うなんてことはほとんど出来ないわ。グリーフシードの取り合いにもなっちゃうし…」

マミ「だから私は鹿目さんのことを聞いたときは嬉しかったのよ、もしかしたら一緒に戦ってくれる子ができるかもしれないって思って」

まどか「マミさん…」

 マミさんは湿っぽい話になっちゃったわねと言いながら少し寂しそうな目で遠くを見ている。

マミ「でもね、魔法少女にどうしてもなってほしいってわけじゃないのよ? ケガだってするし普通の子みたいに遊んだり、恋をしたりなんて出来ないし…」

マミ「………ごめんなさい、こんな話するつもりじゃなかったんだけど………」

 この話はおしまいと言い、マミさんは笑顔を作る。

 その後しばらく無言で歩き、私はマミさんと別れた。

 私はマミさんの寂しげな顔がどうしても忘れられなかった。

投下終了
また来ます。

ほむらは心臓の病気なので病院にいると思います


少し投下



まどかが尾行に気づいた日の夜 見滝原のどこかのマンションの一室



L「相沢さん、なぜ尾行対象に顔を見せたんですか?」

相沢「あの時は自殺の阻止をするために仕方なく…」

L「それでも顔を見せずに済む方法はあったはずです、さらに警察手帳まで見せたと言うことはキラ容疑者に自分の命を奪ってくださいと言っているようなものですよ」

相沢「分かっている、だが手帳には偽名…」

L「私は尾行対象者の前に絶対に姿を現さないでくださいと言いました」

相沢「………」

相沢「…俺は二日間「鹿目まどか」の尾行をした、キラ容疑者と言うことで限りなく警戒しながら尾行をしたと言ってもいい」

相沢「一日目、そして二日目の友人の見舞まで特に不審な点は見当たらなかった、独り言が多い少女だとは思ったが…」

L「………」

相沢「だが、後で自殺未遂を図る女性を尾行対象が見つけたときは少し焦った様子だったか、その後廃ビルに到着し女性が自殺を図る所で尾行対象の表情が見えたんだ」

L「表情ですか?」

相沢「ああ、必死だった。必死に人の命を救おうとする表情… 俺達刑事が人の命を救うときにするような表情だったんだ」

L「………」

相沢「その後は、なんだ… 警戒が薄れてしまってな…」


L「………キラは自分なりの正義感を持っているはずです、自殺を止めようとするときに人が心を打たれるような表情をするかもしれません」

相沢「………」

L「…現場にいないと分からない感覚もあると理解しています。しかし、相沢さんには1週間はこのホテルの別室で待機していただきます」

相沢「…ああ、わかった」

L「話は変わりますが、自殺未遂をした女性はその後どんな様子でしたか?」

相沢「救急車で運ばれた後は病院からの連絡でしか確認を取れていないが、当初かなり取り乱していたらしい、なぜあんなことをしたのかわからないと」

相沢「それ以上のことは…」

L「そうですか、ありがとうございます」

L(自殺をしようとしたのに自分の意思ではなかった…か。こちらはワタリに調査をさせ情報を集めるとするか)

L(しかしキラ… 鹿目まどか、なかなかボロを出さない。警察にものん気に出頭、こいつは一体何を考えている? キラという証拠は絶対に出さないと言う自信の表れか?)

L(今回の自殺未遂の件もそうだ、なぜ自分から目立つ行動を取る? こいつはこれで1ヶ月で2回も取調べを受けている、14歳… 突飛な行動を取ってもおかしくはない、が)

L「………明日から二日間尾行をするのは松田さんでしたね?」

松田「はい! 二日ごとのローテーションで次は模木さん、その次は宇生田さんです!」

L「はい、そうですね」

L「松田さんは絶対に顔を出さないでください、絶対にです」

松田「えーっと、それはフリなんでしょうか…?」

L(この後1週間、いや4日以内に「鹿目まどか」の尾行に何も進展が見られなければ、極秘で家宅捜索、及び監視カメラ・盗聴器の設置を視野に入れておくとするか…)



二日後 松田の報告



松田「竜崎! 魔法少女っすよ! 魔法少女!!」

L「………松田さん、報告は簡潔かつ的確にお願いします」

松田「いや、だから魔法少女っすよ! 尾行対象の友達の金髪の女の子がピカーって光って変身したんっすよ!!」

L「………」

松田「その後尾行対象を見失っちゃったんですけど、帰り道を歩いてるところを見つけたらもう戻ってましたけどね、残念」

L「………」

松田「聞いてますか竜崎? 魔法少女がいたんですよ?」

L「………」

L(次のローテーションは模木さん、その後の対応はやはり鹿目まどかの部屋を捜索…)

L(しかし、金髪の少女… ワタリからの情報ではこの街で自殺未遂を起こした人間の一部から金髪の少女が助けてくれたと言う内容が上がって来ている…)

L(皆揃いも揃って、自殺をする気はなかった、記憶がない… そして金髪の少女のおかげで助かった…)

L(やはりキラ事件と変死事件、関係があるのか…?)

L(………金髪の少女、探ってみるか)

松田「竜崎―? ………あの、聞いてますか?」

 その後、松田は局長にどやされる事となる。

投下終了
また来ます。

投下再開




まどかの部屋

 帰ってきてから私はずっとマミさんのことを考えていた。

まどか(マミさん寂しそうだった…)

まどか(今までずっと一人で戦ってきたのかな…?)

まどか(誰かの為にずっと一人で… そんな人が私なんかを必要としてくれている…)

リューク「………どか。おーい、まどか!」

まどか「あっ、ごめんね。どうしたのリューク」

 考え込んでいてリュークの声が聞こえなかったみたいだ。

リューク「だから何考えているんだよ? 魔法少女のことでも考えていたのか?」

まどか「ううん… マミさんのこと考えてた。最初はとっても凄い人にしかみえなかった。魔法少女でかっこよくって人を助けるために頑張っていて…」

まどか「でも何であんなに寂しそうな顔をしたんだろう? 何であんな凄い人が私のことを必要としてくれたんだろう? そんなことばっかり考えちゃってるんだ」

まどか「ねぇ、リューク。私どうしたいのかな?」

リューク「そんな事俺に聞くな、そんなにあいつの事が知りたいんだったら直接話でも何でもすりゃいいだろ」

まどか「………そうだね、明日マミさんとまた話してみるよ」

 そのまま私はまたマミさんのことを考えながら眠りに付いた。




翌日 放課後


さやか「まどか、ごめん! 今日は恭介のお見舞いに行くから先に帰るわ!」

まどか「そっか、わかったよ」

さやか「マミさんにもよろしく言っといてね! そんじゃーね!」

まどか「またね」

 さやかちゃんと分かれ、私はマミさんに会うために3年生の教室に向かった。
 向かっている途中で前からマミさんが歩いてきた。

まどか「マミさ~ん!」

マミ「あら、来てくれたの? 今日は美樹さんとは一緒じゃないのね」

まどか「さやかちゃんは今日友達のお見舞いに行くって帰っちゃいました」

マミ「そうなの? 私のほうもキュゥべえが別の魔法少女の所に行ってくるって言ってどこかにいっちゃったのよね」

まどか「なら今日は二人で魔法少女体験コース第二弾ですね!」

マミ「ふふふ、そうね。それじゃあ今日は鹿目さんに個人レッスンね、厳しく行くわよ!」

まどか「え、ええ~?」

 私達は笑いあいながら学校を出て、魔女退治のパトロールを開始した。

 その後、少し日が落ち始めたところで公園に使い魔の気配をマミさんが察知して結界内に入り、昨日と同じようにマミさんが使い魔を倒した。

 その後もパトロールは続けたが、完全に夜になってしまったところでマミさんは言った。


マミ「今日はこれくらいにしましょうか。鹿目さんもあんまり帰りが遅いと心配されちゃうでしょ?」

まどか「はい、ありがとうございます! 今日もマミさんかっこよかったです!」

マミ「て、照れるわね」

マミ「………そうだ、鹿目さんは何か願い事は見つかったかしら?」

まどか「う~ん…」

マミ「まあ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」

まどか「マミさんはどんな願い事をしたんですか?」

マミ「………」

まどか「マミさん?」

マミ「私の場合は………」

マミ「両親と乗っていた車が事故にあったの、私は酷い怪我をして… そのときにキュゥべえと契約したの… 助けてってね」

マミ「考えている余裕さえなかったわ、でもお父さんとお母さんはそのまま… それだけが私の後悔、あのときにどうしてみんなを助けてって言えなかったのか」

まどか「…あ …ごめんなさい」

マミ「いいのよ、もう過ぎてしまったことだし、だけど今から契約できる鹿目さんにはよく考えて契約してほしいなって思っているわ、一度きりの願い事だからね」

まどか「………」


 マミさんは本当に一人ぼっちで戦っていたんだ。

 だからあんなに寂しそうにしていたのかな?

 私はまだまだマミさんとお話をしたかった。

まどか「…マミさんはこの後どうするんですか?」

マミ「そうね、鹿目さんを送ったらまたパトロールね、夜は魔女も使い魔も動きが活発になるから」

まどか「そう…ですか」

 私は携帯を取り出し、電話をかけ始めた。

まどか「あ、ママ? 今日なんだけど、先輩の家に泊まっていってもいいかな?」

マミ「鹿目さん…?」

まどか「うん、…うん、わかってるよ、迷惑かけないようにするから。うん、明日には帰るね」

 電話を切り私はマミさんに向き直る。

まどか「えへへ… マミさん、今日お泊りしちゃってもいいですか?」

マミ「…どうして?」

まどか「私、マミさんともっとお話がしたくって、それに明日は休日ですしこの後のパトロールにも連れて行ってください! その後はマミさんのお家でお話しませんか?」

まどか「あ、もしかしてお泊りは駄目でしたか…?」

 私の言葉にマミさんは凄い勢いで首をふり始めた。


マミ「そんなことない! そんなことはないわ!! いっけない、もう冷蔵庫に何もなかったわね… 今から急いで買いにいかないと! 鹿目さんはどんな料理が好き!? 何でも作っちゃうわよ!」

まどか「マ、マミさん? あの、パトロールにいくんじゃ…?」

マミ「今日はお終いよ! お友達が泊まりに来てくれるんだもの! パトロールは明日! 明日するのよ!!」

 凄い勢いのマミさんに引っ張られて私はマミさんと一緒に買い物に行った。

 マミさんは終始笑顔でいろんなものを買い込んでいる。

 お祝いだといってパーティーグッズとかも買っている。何のお祝いですかと聞いたら初めて友達とのお泊り会のお祝いって恥ずかしそうに言っていた。

 私の凄くてかっこいいお姉さんってイメージのマミさんがどんどん崩壊していく、だけど凄く楽しそうにはしゃいでいるマミさんはとても自然な笑顔で、そんなマミさんを見ていると私も自然に笑みがこぼれていた。

 私達は買い物を済ませ、マミさんの家に向かった。

 マミさんはずっと笑顔だった。

投下終了
また来ます。

投下再開



マミの家


 私は今マミさんと一緒に料理を作っている。

まどか「マミさん、これどうしますか?」

マミ「それはこっちに置いて、これはこっち …はい、できた!」

まどか「す、すごい量になっちゃいましたね」

マミ「いいのよ、残しちゃったら明日の朝食べましょ! 今日はお祝いなんだから!」

 テーブルに所狭しと並べた料理を見て私は言った。

 マミさんは手に持ったクラッカーを一つ私に渡してくれた。

マミ「それじゃあ、え~っと… 私と鹿目さんの出会いを祝して!」

 マミさんはそう言いクラッカーを引いた。私もつられてクラッカーを引く、私との出会いなんて… 照れちゃうな。

 料理を食べ初めて、いろんな話をマミさんとする。

 話している内に分かった、マミさんは以外と子供っぽい人だって。

 いろんな話をした、学校のこと、友達のこと、趣味のこと、時間を忘れていろんな話をした。

 気が付けば料理をほとんど食べていた。少し残してしまったけどマミさんが残りは明日食べましょうといって冷蔵庫に入れてくれた。

 その後、お風呂に入り、マミさんのパジャマを借りてマミさんのベットの上でまたお話をし始めた。


 いろんな話をして、また魔法少女の話に話題は戻ってきた。

まどか「マミさんは魔女と戦うの怖くないんですか?」

マミ「…怖いわよ。怖いけど、私は魔女と戦う力を持ってる。この力を使って誰かを助けれたら、救えたらって思って行動しているの。魔女や使い魔を1匹でも多く倒したらその分犠牲になる人は少なくなるでしょ?」

マミ「私はね、この世界が皆笑って過ごせるような幸せな世界であってほしいの。私みたいな悲しい思いをする人がいないような世界。私にはそれをできるかもしれない力がある、だからこの魔法少女の力を使って私は毎日頑張っているの」

 私はマミさんの言葉に衝撃を受けた。

まどか(…同じ。私と同じ、ノートを使って世界がよくなればいいなと思っている私と同じ…)

 少し間をおいてマミさんは話しはじめる。

マミ「…なんてね。こうやって無理して格好ばっかりつけているけど本当は怖くてもつらくても誰にも相談できなくていつも泣いてばかり…」

マミ「なんでだろ? 鹿目さんには私の本音を聞いてもらいたい… 駄目ね、まだ先輩ぶっていないといけないのになぁ」

マミ「ごめんね? 私、今まで一人ぼっちでこうやって誰かに、それも魔法少女のことをこんなに話すことなんてなかったから…」

まどか(マミさんは私と同じ… 私は相談できる人がいた、パパやママ、さやかちゃんや仁美ちゃん、リューク、みんなが私を救ってくれた……… でもマミさんにはそういう人がいなかったんだ………)

まどか(一人で苦しんで… 私だったら耐えられない…)

まどか(………マミさんを一人にしたくない、マミさんを救ってあげたい)


 私はマミさんの手を握った。マミさんは少し驚いて私を見る。

まどか「マミさん、マミさんは一人ぼっちじゃありません。私がこれから一緒にいます」

マミ「鹿目さん…?」

まどか「私、魔法少女になります」

マミ「えっ…?」

まどか「私もマミさんと同じなんです、昔マミさんと同じように悩んで、苦しんで… だけど私は皆が助けてくれて…」

まどか「私はマミさんにとってそういう人になりたいんです、悩んでいるとき苦しんでいるときに助けてあげられるような… そしてマミさんと一緒にこの世界を幸せな世界にするお手伝いをしたいんです」

マミ「鹿目さん………」

まどか「だから、私魔法少女になります。魔法少女になって一緒に頑張りましょう!」

マミ「………本当に? これから私と一緒に戦ってくれるの? そばにいてくれるの?」

 私はマミさんの言葉に頷く。

マミ「本当に、本当にうれしい… ありがとう、鹿目さん… 私今とても幸せよ…」

 その後、私達はまた色々な話をした、夜が老け1時を超えたくらいで私達は話をやめ眠ることにした。

 まだまだ話し足りなかったが、明日は朝から魔女退治のパトロールをするということで名残惜しいが話を終わることにした。

 まだ出会って数日だったが、私の中でマミさんはかけがえのない人になっていた。


 電気を消してしばらくするとマミさんの寝息が聞こえてきた。

 私はマミさんが起きないようにリュークと小声で会話をする。

まどか「リューク、あの、ごめんね」

リューク「ん? なにがだ?」

まどか「私、魔法少女になったらとっても忙しくなるかもしれないし、もしかしたら毎日の裁きのお手伝いも出来ないかもしれないから謝ったの…」

まどか「でも、毎日出来なくてもちゃんとリュークのお手伝いは続けるよ? 私は最初に思った悪い人がいない世界が来るのも夢のひとつだから」

リューク「クククッ、俺はかまわないぞ。お前が裁きをするのもしないのもお前の自由だからな」

リューク(今はデスノート以外でも面白いことが増えているからな、こいつと一緒にいるといくらでも面白いものがやってくる… こいつに憑いて本当にラッキーだったぜ)

まどか「ありがとう、リューク」

まどか「今はその夢ともう一つの魔法少女になってマミさんと一緒に幸せな世界を作るって夢もできちゃった」

まどか「私本当に幸せだなぁ…」

リューク(普通は死神に憑かれた人間は不幸になるというが、まあこいつがそう思っているんならこいつは今幸福なんだろうな)


 そこまで話して私はふと思った疑問をこぼす。

まどか「でも、魔女って一体なんなんだろう? 呪いから生まれた存在ってキュウべえは言っていたけど、なんでそんなのが生まれてくるんだろう…? 魔女なんていなければマミさんも戦わなくて済むのに…」

リューク「ん? ありゃ人間だぞ? 色々弄くられているがな」

まどか「えっ?」

リューク「魔法少女ってのもそうだ、あれも魔女って奴と同じだけ弄られていると言うか魔女とほとんど同じだな」

まどか「………どういうことなの?」

リューク「さあな? あの白いのが何か知ってるんじゃないのか?」

まどか「そっか… 明日キュゥべえに聞いてみるね」

まどか(………)

まどか「ねぇ、リューク」

リューク「ん?」

まどか「魔女も人間だったらノートに名前を書けば裁けるのかな?」

リューク「あー、………たぶん殺れんじゃねーか?」

まどか「そっか、でも名前が分からないと裁けないから無理だよね………」

リューク「俺の目では魔女ってのの名前も見えている、前に言った目の取引はいつでも出来るぞ?」

まどか「う~ん… 考えておくね…」

 そのまま私も眠りに落ちた、私は裁きを行い始めてから初めて裁きを休んだ。



次の日


マミ「おはよう、鹿目さん」

まどか「おはようございます、マミさん!」

 朝食を食べながらマミさんが問いかけてくる。

マミ「鹿目さん、今日はどうする? このまま魔女退治にいく? それともキュゥべえを探して魔法少女の契約をしちゃう?」

 私は昨日から考えていたことをマミさんに言う。

 マミさんにも普通の女の子のように遊んでほしいって思っていたことを。

まどか「マミさんがよかったら私と一緒に遊びに行きませんか? 遊んだ後にキュゥべえを探して魔法少女になろうと思ってるんですけど…」

マミ「遊びましょう!」

 マミさんはまた変なスイッチが入ってしまったようだ。

 凄い勢いで朝食を食べて準備を始めた、私は急かすマミさんに苦笑いをしながら準備する。

まどか(マミさん嬉しそうでよかった…)

 私達はそのまま街に遊びに出て、3時くらいまで色んな所で遊んだ。


マミ「今日は本当に楽しかったわ。私、こうやって普通に遊んだりすることなんて凄く久しぶりだったから…」

まどか「楽しんでもらってよかったです!」

 今日のこれで遊びは終わりにしてこの後はパトロールをしながらキュゥべえを探すことにした。

 そういえばキュゥべえ、昨日から全然見ないな。リュークから聞いたことも聞いてみたいのに。

まどか「キュゥべえ、いないですね」

マミ「そうねぇ、いつもは何処からともなく現れるんだけど…」

マミ「! これは…」

まどか「どうしたんですか?」

マミ「魔力反応よ、しかも魔女で孵化しかかっているわ…」

まどか「!? 大変…」

マミ「こっちね…」

 私達がたどり着いたのは、この間ママやさやかちゃんが入院していた病院だった。

マミ「まずいわね… こんな場所で魔女が孵化したら大変なことになるわ…」

まどか「マミさん…」

マミ「大丈夫、孵化する前に倒してしまいましょう」

 私達は病院に出来た魔女を退治するために結界に入り込んだ。

 私の目に飛び込んできた魔女の結界内はいろんなお菓子が散りばめられている不思議な空間だった。


投下終了
本日はここまでです。

ちなみにデスノは
魔女本体 効果あり
魔法少女 効果あり
使い魔  効果なし

ってな設定で。
SJやGSの魔力を送り出す心臓みたいな器官があると仮定して、それがストップして死ぬ設定で。
名前は人間時代の名前って設定で。

また来ます。

投下開始



お菓子の魔女の結界



マミ「いい? 鹿目さん、私から離れちゃ駄目よ」

まどか「はい、マミさん!」

マミ「ふふっ、いくわよ!」

 私はマミさんと手を繋ぎ引っ張られるような形で魔女の結界を歩き始めた。

 この魔女の結界は使い魔が少ないようで順調に進めている。

マミ「使い魔が少ないわね… これなら本当に魔女が孵化する前に最深部にたどり着けるかもしれない」

まどか「こんなことって珍しいんですか?」

マミ「そうね、普通は鹿目さんが最初に見た魔女の結界みたいに使い魔がたくさん出てくるわ」

マミ「まあ、魔力も温存できるし運がよかったと思いましょう」

 たまに出てくる使い魔をマミさんがマスケット銃で撃ちながらさらに先に進む。

マミ「ねぇ、鹿目さん」

まどか「なんですか?」

マミ「昨日ほら、魔法少女になってくれるって言っていたじゃない、私と一緒に戦ってくれるって」

マミ「もう願い事は決まったの?」

まどか「あっ! …ごめんなさい、ぜんぜん考えていなかったです………」

まどか「ど、どうしよう。何がいいんだろう… う~ん………」

マミ「ふふふ、じゃあ、こうしましょう。この魔女をやっつけて一緒に考えるの。私の家でお茶をしながら鹿目さんの願い事をゆっくり考えましょう、ね?」

まどか「ご、ごめんなさい。迷惑かけちゃって…」

マミ「迷惑なんかじゃないわ。私は鹿目さんが一緒にいてくれるってだけで嬉しいんだから」

マミ「そう決まったら、速攻で片付けないといけないわね! いきましょう!」

 マミさんはそう言いながらさらに先に進む。


 そして私達は最深部の魔女の部屋の前にやってきた。

まどか「いよいよですね…」

マミ「鹿目さん、ここから動かないでね」

 マミさんが魔法をかけてくれて私の周りに結界が出来上がる。

マミ「それじゃあ、いってくるわ。すぐに片付けてお茶にしましょう」

まどか「はいっ!」

 私達は扉を開けた。扉の先では既に魔女が孵化していたようだ。

 魔女は人形のような姿で椅子に座っていた。

マミ「せっかくのとこ悪いけど! 一気に決めさせて! もらうわよ!」

 マミさんは魔女の椅子を壊し、魔女に何度もマスケット銃を撃つ。

 魔女はマミさんの攻撃に何も出来ずリボンで縛られて拘束された。

マミ「これで終わりよ! ティロ・フィナーレ!!」

 マミさんの必殺技が魔女を打ち抜いたかに見えた時、魔女の口から恵比寿巻きのような姿の魔女が飛び出してきて一瞬のうちにマミさんの前に移動していた。

マミ「えっ?」

 マミさんは呆然としながら魔女の前に無防備な姿を晒している。

 魔女は大きく口を開きマミさんを今にも飲み込もうとしていた。

 私にはその光景がとてもゆっくりと見えた、そして叫んでいた。

まどか「マミさん!!」

マミ「!!」


 魔女の口がマミさんの右肩を噛み千切った、マミさんの右腕が半分千切れかけている。

マミ「うあ!? ぐっぅ…」

まどか「マミさん!?」

 その場に膝を付いて倒れこむマミさんに魔女はさらに追い討ちをかけるように襲い掛かった。

 マミさんは倒れながらマスケット銃で魔女を牽制したが魔女はマスケット銃ごとマミさんの左腕を食いちぎった。

マミ「あぐう!?」

 私はその時点で叫んでいた。

まどか「リューク! 目を! 目を頂戴! お願い早く!!」

リューク「はいよ。ほれ、できたぞ」

 魔女の顔を見て私はその顔の上に浮かび上がった名前を取り出したノートに書き込んだ。

 ノートに書き込んだ後再び魔女を見たとき、魔女はマミさんの下半身を食いちぎっていた。

まどか「あ… え? え?」

 私はその光景を信じられなかった。

 しかし何度見てもマミさんの身体は半分になりとてもその姿は生きているものと思えなかった。

まどか(嘘、嘘嘘嘘、こんなの嘘。魔女は私が裁いた、マミさんが死ぬわけない)

まどか(なんで? 魔女がどうしてマミさんを食べようとしているの? 絶対に駄目、それだけは絶対に駄目!)

 私はマミさんの元に駆け出していた。

 一歩一歩がとても遅く感じる、全ての光景がゆっくりに見える。

 魔女がマミさんに重なる。
 
 その時マミさんと目が合った、口が動いた、ゆっくりとそしてはっきり見えた。

 「に・げ・て」

 私が手を伸ばしその手が宙を切ったところでマミさんは魔女に飲み込まれた。


 マミさんが魔女に飲み込まれて私は膝から崩れ落ちた。

 これは現実? それとも夢? もう何も分からない。

 魔女がこちらに向き直った、今度は私を食べるつもりなのだろうか?

 だけど私は呆然としたまま座り込んでいる。

 私の目の前まで来た魔女は私を見て舌なめずりをしているようだ。

 もうどうでもいい、そんなあきらめの気持ちが私の心を包み込む。

 だが、急に魔女は動きを止め震え始めた。

 次の瞬間魔女の顔が内部から爆発し黄色い閃光が辺りを照らす。

まどか「えっ?」

 魔女の身体は力なく地に落ち、その衝撃でマミさんが魔女の中から転がり出てきた。

 呆然としていた私だったが、マミさんの姿を見てふらふらとマミさんの元に歩き始めた。

まどか「マミさん… うっ…」

 私はマミさんの姿を見て言葉を失う。

 マミさんの身体は傷のない場所はないくらいボロボロになっていた。

 右腕は千切れかけ左腕と下半身は無くなっている。力なく顔だけをこちらに向けている。

 マミさんとの距離はほんの少しのはずなのに私の足は鉛のように重く一歩進むのにも何時間もかかっているように感じた。

 漸くマミさんのそばにたどり着き、私は千切れかけたマミさんの右手にそっと触れた。



マミ視点


 私は魔女を拘束し必殺の一撃を放った。

 これでおしまい、この後は鹿目さんと一緒にお茶をして鹿目さんの願い事を考えて…

 その考えが完全な油断に繋がった。
 
マミ「えっ?」

 魔女の口から何かが飛び出してきた。

 気が付いたときには私の目の前で魔女が大きな口をあけている。

 呆然としていた私だったが、後ろから聞こえてきた鹿目さんの声で正気に戻った。

まどか「マミさん!!」

マミ「!!」

 体勢を少し崩し魔女の口から逃れようとする、だが私の右肩が魔女に食いちぎられてしまった。

 言葉にならない痛み、思わず私はその場に崩れ落ちてしまう。

 崩れ落ちながら私の視界に魔女が口を開けて襲い掛かってくる光景が見えた。

 私は銃を作り魔女に打ち込むが、魔女はそのまま私の左腕を食いちぎってしまった。


マミ「あぐう!?」

 痛みで私の視界は真っ白になる。

 また魔女が口を開けて襲い掛かってきた、魔女から距離を取るように後ろに跳躍をする。

 だがそれは最悪の選択だった。

 私が飛び上がった瞬間、魔女は急加速をし私のお腹に食らいついた。

 そしてそのまま私の下半身を食いちぎった。

 不思議と痛みはなかった、私はそのまま地面に叩きつけられ一瞬意識が飛んだ。

マミ(あれ? 私、どうしちゃったんだろう?)

マミ(何で倒れているの? 全身の感覚がまったくない?)

マミ(そっか… 魔女にやられちゃったのか、私)

 私の視界に鹿目さんが映った。

 必死な顔でこちらに走ってくる。

マミ(駄目、声が出ない)

マミ(お願い、こっちに来ないで。逃げて、鹿目さん…)

 私の視界は闇に包まれた。


マミ(魔女に食べられちゃったのかな?)

マミ(やだな、こんなところで終わりだなんて…)

 私の身体の感覚は既になかった、思考だけがクリアで一瞬が何時間にも感じられる。

 さまざまな思考をめぐらせていた私の脳裏に鹿目さんの姿が浮かび上がった。

マミ(そうだ、鹿目さん。私と一緒に魔女退治に来ていて………)

マミ(いけない! 鹿目さんだけは、鹿目さんだけは助けないと…!)

 私の身体に再び力が戻る。

 急激に魔力が無くなっている感覚、私は残っている魔力をかき集めて集中する。

マミ(私のありったけの魔力をこめて…)

マミ(お願い)

 私は魔力を暴走させ魔女の身体を吹き飛ばした。

 私もその衝撃で吹き飛ばされる。

 どうやら成功したようだ、魔女は倒れピクリとも動かない。

マミ(鹿目さんは!? よかった… 無事だったんだ…)

 首だけを動かし鹿目さんの無事が確認できた。

 鹿目さんは呆然としていたが傷はないようだった。

マミ(鹿目さんが無事だった。助けられてよかった、満足よ…)


 私はもう自分が助からないことを悟っていた。

 魔力ももうない、身体もこんな有様だ。

マミ(もう一度、鹿目さんとお茶したかったなぁ…)

マミ(………お茶だけじゃない。もっとお話したり一緒に遊んだりしたかった…)

マミ(………一緒にいてくれるって言った人。私を助けてくれるって言った人…)

 鹿目さんは虚ろな目でふらふらと私のほうに歩いてくる。

マミ(もっと一緒にいたい… 一人ぼっちはもう嫌…)

 私の手に鹿目さんが触れたとき、私の心から何かが止め処なくあふれ出てきた。

 それは私の意志では止められず、私はその感情に飲み込まれていく。

マミ(あっ………)






 次の瞬間、マミのソウルジェムはグリーフシードに変わりそのグリーフシードから魔女が飛び出してきた。



投下終了
また来ます。

マドポ面白そうですね、やってみようかな

投下再開



 私は千切れかけたマミさんの右腕にそっと触れた。

 その瞬間異変が起きた、マミさんのソウルジェムが黒く濁りきっている。

 黒く濁りきったソウルジェムの中から前に見たグリーフシードと同じようなものが飛び出してきた。

まどか「きゃあああ!?」

 グリーフシードを中心に嵐が巻き起こる、私はマミさんの身体を抱きしめながら吹き飛ばされる。

 さっきまでの魔女の空間は今の衝撃で壊れ、私達は病院に戻ってきていた。

まどか「なに…? なにが起きたの?」

 私は何が起きたのかまったく理解できなかった。

 マミさんのソウルジェムがグリーフシードに? どうしてそんなことに?

 私の頭の中がぐちゃぐちゃになっているとき後ろから声をかけられた、キュゥべえだった。

QB「マミ!! まどか!! これは一体… まさか!?」

まどか「キュゥべえ…?」

 キュゥべえが何かを言っている。

 次の瞬間、さっきマミさんのソウルジェムから出てきたグリーフシードが輝き私達は魔女の結界に閉じ込められた。

 結界の中は何処かで見たことのあるようなティーセットが並び、ティーカップの上に小さな魔女がふわふわと漂っていた。


QB「やっぱりそうか… まどか! 早く僕と契約して魔法少女になるんだ!」

 キュゥべえがまた何かを言っている。

 そこで私は抱きしめていたマミさんの異変に気が付いた。

まどか「マミさん!? マミ…さん…?」

 死んでいた。マミさんの呼吸は止まり、さっきまで握っていた手は力なく落ち、マミさんの目は死人のそれだった。

まどか「嫌………」

QB「まどか! そんな抜け殻にいつまでも拘っていないで僕と契約するんだ!」

まどか「………ぬけがら?」

QB「そうだ、マミは魔女になった、このままだと君も危ない! だから早く!」

 キュゥべえは一体何を言っているんだろう?

 マミさんが魔女に?

まどか「それ…どういうことなの…?」

QB「君は見たんだろう? マミのソウルジェムがグリーフシードに変わるところを、マミは魔女になったんだ! このままだと君は殺されてしまう、だから早く僕と契約して魔法少女に!」

 キュゥべえの言っている事が判らない。


リューク「クククッ、そういうことか」

まどか「リューク…?」

リューク「全部こいつの自作自演って事だ。こいつが人間を魔法少女にして魔女と戦わせる、そして魔法少女はやがて魔女になってまた新たな魔法少女と戦う。終わらない戦いって奴だな」

まどか「なんでそんなことを…?」

リューク「さあな? ただ単に楽しいからじゃないのか? 魔法少女と魔女が戦ってそれを見るのが」

QB「何を独り言を言ってるんだ! 早く契約しないと!」

 キュゥべえがまた何かを言っている。

 それじゃあ、マミさんはキュゥべえの楽しみの為に? 騙されたって言うことなの?

 混乱している私に魔女がマミさんと同じようなリボンをゆっくりと伸ばしてきた。

まどか「マミさん…」

 魔女、いやマミさんはリボンを私の首に巻きつけ始めた。

 私の首は徐々に絞められていく。

QB「まどか!」


まどか(マミさんが私を殺そうとしているの?)

まどか(そんなわけない、マミさんがそんなことをするわけがない)

まどか(マミさんはかっこよくって優しくて、それでいて寂しがり屋で…)

QB「まどか! それはもうマミじゃない、魔女なんだ! 早く契約して君が倒すんだ!」

まどか(さっきからキュゥべえは一体何を言っているの? キュゥべえのせいでマミさんは魔女になって… 私も騙して魔女にするつもりなの…?)

 私の脳裏にマミさんとの思い出が蘇る。

 数日間だったけど楽しかった思い出。恥ずかしそうに笑うマミさん、寂しそうな顔をしていたマミさん、子供のようにはしゃぐマミさん。

QB「まどか!! 早く契約を!!」

まどか(うるさい、さっきから契約契約契約… 私はあなたのことなんか絶対に信じない…)

 私はマミさんに話しかける。


まどか「マミさん… やめてください、思い出してください… 私と一緒に幸せな世界を作るんですよね…」

 マミさんからの返事はなく、首の締め付けが強くなった。

まどか「ほら、またお話したりお茶をしたり遊んだりしましょう? 私まだまだマミさんといろんなことがしたいです…」

 マミさんからの返事はなく、さらに首の締め付けが強くなった。

まどか「マミさん… お願いですから… 私に気づいて…」

 首の締め付けだけが強くなる。

まどか(マミさんはこのまま私を殺しちゃうのかな?)

まどか(私を殺した後は魔女として人間を殺していくのかな?)

まどか(そんなのマミさんの望んでいたことなんかじゃない… マミさんは誰かを救うためにずっと戦って…)

 私はマミさんの顔を見た。魔女となってしまったマミさんに表情はなかったが、なんだか泣いているような悲しんでいるような気がした。

 意識が朦朧としてきた、だけど私はマミさんの顔を見続ける、すると不思議なことがおこった。マミさんの声がどこかから聞こえてきた。

マミ(鹿目さん、私を助けて… 私を救って…)

まどか(マミさん…?)

マミ(あなたの力で私を救って…)

まどか(………)





 それはただの幻聴だった。

 だがその幻聴が罅割れていたまどかの心を完全に破壊した。


まどか「わかりました、マミさん。私、マミさんを救いますね」

 私はノートに文字を書きこんでいく。

 ゆっくり丁寧に、そして完全に書き終えた。


「巴マミ 安楽死 最初に目にした人間のお願いを聞き続け、23日後安らかな眠りの中で死亡」


 不思議と悲しくはなかった、これでマミさんは魔女として人を襲うことなくなった。

 マミさんは救われたんだ。人を襲うなんて絶対にしたくなかったはずだからね。

 本当にすごいよデスノートは、裁きだけじゃなく救いをもたらすことも出来るなんて。

 でもごめんなさい、マミさん。ずっと一緒にいるって言ったのに23日しか一緒にいることが出来ません…

 それでもその間は一緒ですよ。一緒に幸せな世界を作るために頑張りましょう。

 まずはキュゥべえに騙されて魔女にされてしまった子達を救いに行きましょう。

 私だけだと不安だけど、マミさんが一緒にいてくれるならぜんぜん怖くないです。

 あ、そうだ。悪い魔法少女は裁かないといけないや。これから忙しくなっちゃうなぁ。


 しばらく思考を続けていた私だったが、マミさんからの首の締め付けが止まったと同時にマミさんにお願いした。

まどか「マミさん、これを外してください。お願いします」

 マミさんは私の首に巻きつけたリボンを外してくれた。

まどか「ありがとうございます。次はこっちに来てもらえますか? お願いです」

 マミさんはふわふわと浮きながら私のそばに来てくれた。

 私はそれを見てにこりと微笑んだ。

QB「これは…? まどか、君は一体…?」

 その声に私は振り向く。

 キュゥべえ、絶対に許せない。マミさんはこいつに騙され続けて魔女にされてしまった。

 他の魔女もそう、こいつに騙されて魔女にされてしまったんだろう。

 こいつが全ての元凶、絶対に許さない。

まどか「マミさん、何か武器になるものを出してくれませんか? お願いします」

 私の前にマスケット銃が現れる。私はそれを持ってキュゥべえに歩み寄る。


まどか「ねぇ、キュゥべえ。マミさんはキュゥべえのことを大切なお友達って言ってたんだよ?」

まどか「なんでそんな人を騙し続けれたの? あなたには罪悪感ってものはなかったの?」

 ゆっくりと一歩ずつ歩み寄る。

まどか「ねぇ、何か言ったらどうなの? 黙ってちゃわからないよ?」

 キュゥべえの目の前までたどり着いた。

QB「まどか… 君のその力は一体なんなんだ…? 魔女を操るなんて…」

 そう、言い訳も何もしないんだね。

 私はマミさんが作ってくれたマスケット銃の銃身を持ち振り上げた。

まどか「死んじゃえ」

 肉がつぶれる感触が私の手に伝わった。何度も何度も私はマスケット銃を叩きつける。

 何十回叩きつけただろうか、キュゥべえはただの肉の塊になっていた。

まどか「これでもう魔女は生まれない… 後は魔女にされてしまった子達を救ってあげないと…」

まどか「どれだけいるか、どれだけ時間がかかるかもわからない… だけど私がやらないと…」


 パパ、ママごめんなさい。私、しばらく家に帰れない…

 魔女は世界中にいるみたいだからその子たちを救うまでは帰れないと思う。

 マミさんと一緒にいられる時間はもう限られちゃってる、だからその時間を使って一人でも多くの子達を救わないといけない。

 でも絶対に帰ってくるから… 私頑張るから…

 私は決意を新たに前を向く。

まどか「マミさん、残された時間は少ないですけど、その間はずっと一緒です…」

 マミさんは笑ってくれたような気がした。

まどか「リューク… これから凄く大変になっちゃうと思う。だけど裁きはやれるだけやるから…」

リューク「ククッ… 好きにすればいい、俺はお前に憑いて行くだけだ」

 リュークの言葉にありがとうと言い私は歩き始める。

まどか「マミさん、リューク、私と一緒に悪い人も魔女もいない幸せな世界… 新世界を作りにいきましょう」



 濁りきった眼をしたまどかは魔女と死神を引き連れ闇の中に消えていった。



 翌日、鹿目まどかの捜索願が警察に届けられた。




数日後 どこかの病室


 開けられていた窓から風が吹き込みカーテンがなびく。

 ベッドで眠っていた少女が徐々に目を開ける。

???「………」

 少女はそのまま起き上がり、持っていたソウルジェムを額に押し当てる。

 目の悪かった少女は魔法の力で視力を矯正した。

???「まどか………、今度こそ絶対に貴方を救ってみせる…」

 少女は眼に強い光を宿し決意する。




 狂った運命の歯車に時計の針が組み合わさった。


投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

23日ルールは説明書に記載されているという設定で、まどかはそれを読んでいました。
ついでに説明書は高級リンゴをリュークにあげたら日本語に書き直してくれたって設定で


投下開始




4日目 夜


 病室で目を覚ましてすぐさま行動を開始した少女、暁美ほむらは困惑していた。

ほむら「一体どういうことなの? まどかが行方不明… こんなことは今まで一度もなかった、一体何が起こっているというの?」

ほむら「考えていても分からないわ、とにかく情報を集めないと…」

 ほむらは考えられる場所を探し、次の日の昼まで情報を集め続けた。


5日目 昼


ほむら「はい、どうもありがとうございました」

 ほむらはまどかの家を後にする。

ほむら(まどかは6日前先輩の家に泊まるといって家に電話をいれてそのまま行方が分からなくなった… 先輩、巴マミ)

ほむら(まどかが行方不明になって、美樹さやかが恐らく先輩は巴マミだろうとまどかの両親に話した…)

ほむら(巴マミ。もう彼女と接触しているというの? そうだとしたらまどかはもう魔法少女に? そうなったらもう… いいえ、この目で見て確かめる、まだ諦めるには早すぎる)

ほむら(この時間なら巴マミも学校、私の転入日までしばらくあるけど… 制服を着ていればそこまで怪しまれないはず、今はとにかく学校に)




5日目 放課後 学校


 屋上のベンチに腰をかけほむらは思考する。

ほむら(巴マミは週明けから学校を休んでいる… わからない… 私の知っているあの人は魔女退治がどんなに過酷でも学校には必ず来ていた… まさか魔女にやられたというの?)

ほむら(まどかも巴マミもいない… こうなったら)

 ほむらは屋上を後にし、まどかの教室へ向かう。

ほむら(いた、美樹さやか)

ほむら「あの… 少しいいかしら?」

さやか「…誰?」

ほむら「私は暁美ほむら。鹿目まどかさんのことで聞きたい事があるのだけど」

さやか「!? あんたまどかのことを知ってるの!? ねぇ、まどかは今どこにいるの!?」

ほむら「お、落ち着いて。私も彼女のことを探しているのよ」

さやか「そう…なんだ…」

 ほむらに詰め寄っていたさやかは自分の席に座りなおした。


ほむら「少しは落ち着いたかしら?」

さやか「…うん。それで、何? あたしに何を聞きたいの?」

ほむら「貴方達、3年生の巴マミさんと仲がよかったんでしょう? 鹿目さんは先輩の家に行くと言って行方不明になった。その巴さんも今学校には来ていない、貴方なら何か知っていると思って」

さやか「………あんたも興味本位で聞いてくる口? あたしは二人のことは知らない、もう帰って」

ほむら(くっ… どうしてこうなるの? 美樹さやか、本当に相性が悪い… もう単刀直入に…)

ほむら「待って」

さやか「うるさいな、あたしはもうあんたに用は………」

 ほむらはさやかに自分のソウルジェムを見せた。

 さやかはそれを見て目を丸くして驚いている。

さやか「あんた、それ…」

ほむら(やっぱり知っていた)

ほむら「そう、私は魔法少女よ」



5日目 夕方 喫茶店


 ほむらはさやかにマミと出会ってからのことを聞いていた。

 魔女退治にまどかと共についていっていた事、その次の休日にまどかがいなくなった事、そしてマミも学校に来ていない事を。

ほむら(駄目ね、これじゃあ私が調べたことと大差ない。でも、まどかと美樹さやかがこの時点で巴マミに接触していると言うのは…)

さやか「二人とも魔女にやられちゃったのかな…」

 その言葉にほむらは最悪の事態を考える。

ほむら(いいえ、そんなはずはない。まどかは生きている… 生きているはず…)

さやか「………あたしもうどうしたらいいかわかんなくてさ、魔女の事なんか警察に言っても信じてもらえるわけないし、まどかのパパやママもあんなに落ち込んでる…」

 俯きながら言い続けるさやか。

さやか「…あんたも二人のことは何も知らないんだよね?」

ほむら「ええ」

さやか「そっか…」

 そのまましばらく無言の空間が続いたが、ほむらがさやかに言う。

ほむら「………大丈夫よ、二人とも生きている。どこかできっと… 巴さんは簡単にやられる人じゃないし、鹿目さんも巴さんと一緒にいるはずよ」

 それはほむら自身が自分に言い聞かせていた言葉かもしれなかった。

さやか「…あんた意外にいい奴だったんだね。最初はいけ好かない奴だと思ったけど」

 さやかは力なくほむらに笑いかけた。

さやか「ねぇ、何か分かったらあたしにも教えてよ。あんた魔法少女ならあたしの出来ないこともできるんでしょ? 何でもいいからお願い…」

ほむら「ええ、わかったわ」

さやか「ありがと…」

 話は終わり、二人は喫茶店から出て分かれる。


 ほむらはそのまま考え始めた。

ほむら(何も分からなかった… いいえ、巴マミとまどか達はやっぱり接点を持っていた、一度巴マミの家に行って見るのもいいわね)

ほむら(何か手がかりがあれば…)

 ほむらはそのままマミのマンションへ向かう。


5日目 夕方 マミのマンション


 ほむらはマミの家にやってきていた。そして、鍵を魔法で解錠し部屋の中に入る。

ほむら(何も変わっていない… 昔のまま、私がまだ二人に頼っていたころの風景… 色あせてしまった思い出の風景…)

 ほむらは雑念を振り払い、部屋を調べ始めた。

ほむら(何もない… 生活感は残っているけど、手がかりになるものは…)

 部屋を探していたほむらはテーブルの上にあるものに目が留まった。

ほむら(これは…? ノートの切れ端? 絵が描いてある…)

ほむら(!! まどか? それと巴マミ? まどかが書いた絵…?)

 ほむらはしばらくその絵を見続けた、まどかが魔法少女になったときにそっくりな絵、ほむらはその絵を折りたたみポケットに入れた。


ほむら(多分まどかが書いた絵… やっぱり巴マミとまどかは行動を一緒にしていた…)

ほむら(でもそれ以外は何もない、わからない… 一体二人は何処に消えてしまったと言うの…?)

 ほむらはそのままマミのマンションを出て歩き始めた。歩きながらも思考を続ける。

ほむら(次はどこを…? まどかの家、巴マミの家、学校、他にまどかの行くようなところ… 美樹さやかは違う… 志筑仁美? いいえ、彼女のところにいるのならこんな騒ぎにはなっていない… わからない… どうすれば…)

 その時ほむらの背後から声をかけられた、その声にほむらは振り向く。

???「君、少しいいかな?」

ほむら「?」

 ほむらが振り向いた先に整った顔をした青年が立っていた。

ほむら(誰?)

???「少し聞きたい事があるんだけど。ああ、時間はとらせないよ」

ほむら(無視ね、さっさといきましょう)

 ほむらはそのまま立ち去ろうとしたが青年がはなった次の言葉に足を止め振り返った。

???「君は鹿目まどかさんの事を探しているんじゃないのか?」

ほむら「!」


 夕日は沈みかけ、空に月が昇り始めていた。

投下終了
次はちょっと遅くなります。
また来ます。

遅くなりました
投下開始



夜神月

 夜神ライトは退屈していた。

 毎日毎日同じことの繰り返し。

 この世は腐っているとすら思い始めていた。

 だが、ライトが退屈していた世界に異変が起きた。

TV「昨日三滝原の繁華街で無差別に六人もの人を殺傷した通り魔は現在○○会社にたてこもり、社員5名を人質としております」

ライト(また凶悪犯罪か………)

TV「警視庁は犯人を音原田九郎 無職42歳と断定 音原田は一昨日…」

ライト(どうしてこんな事をする………)

TV「あっ、人質が出てきました」

ライト(………?)

TV「今情報が入りました!! 犯人は立てこもった会社内で死亡!! 犯人は死亡した模様です!!」

ライト(天罰ってやつか? …はは、僕は何を言ってるんだ?)

 これが始まりだった。

 一週間後に世界は大きく動き始める。


新聞「世界各国の凶悪犯罪者が相次ぐ変死、病死か他殺か?」

ライト(………これは一体?)

 数日後には世界中が気づき始めていた、犯罪者が何者かに殺されていることを。


雑誌「犯罪者に正義の鉄槌!? 救世主現る!!」

ライト(…馬鹿な、こんなものが正義であってたまるか! 一体誰がこんなことを?)

 ライトの退屈は徐々に消える。


TV「私は全世界の警察を動かせる唯一の人間、リンド・L・テイラー、通称Lです」

ライト(Lが流した生中継と謳った放送… そういうことか、キラはこの見滝原に)

 ライトは気づく、そしてライトも動き始めた。


ライト(見滝原通り魔事件、あの事件か… そしてもう一つ見滝原女子中学生暴行事件、この二つの事件、心臓麻痺での死亡、キラが殺したのか? だとしたらキラはこの事件の関係者の中に…? 駄目だ、情報が足りない… 父さんのパソコンから警察庁のデーターにハッキングを… いや、そんなことは許されない。地道にやるしかないな)

 ライトも辿り着く。

 だがライトはまだキラが誰なのか迫れていなかった。


ライト(キラがこの街にいることを父さんに相談するか? だけどLは気づいている、この街にキラがいることは間違いなく気づいている)

ライト(まだ捕まえれないって事は、やっぱり証拠が不十分といったところか、こんな事件恐らく超能力の類が殺人方法。自分で考えていて馬鹿らしくなるがそうとしか思えない)

 さらにライトは事件を調べる。


ライト(僕の考えだと鹿目まどか… この子がキラ。粧裕と同い年… どうしてこんな事が出来るんだ?)

ライト(どうする? …いや、僕は気づいてしまった。気づいてしまった以上人が殺されていくのをこれ以上黙って見ていられない)

ライト(殺されるかもしれない… ………それでもやらなきゃいけない。ここで見て見ぬ振りをしてしまったらそれこそ僕は一生後悔する)

ライト(やろう、僕になら出来る。僕がこの事件を止めてみせる)

 ライトが決意し立ち上がったとき、まどかは既に行方をくらませた後だった。


ライト(行方不明? 捜索願が出ている時点で家族は彼女がキラだということを知らない、やっぱり単独犯。逃げたと考えるべきか? しかしキラの犯罪者殺しは続いている… 誰かが彼女を匿っているのか?)

ライト(鹿目まどかの交友関係、美樹さやか、志筑仁美。この二人が最も仲のいい親友、二人を言いくるめて隠れさせてもらっている? いや、それはないか…?)

 そしてライトは見つける、さやかがほむらと共に喫茶店に入るところを。

ライト(彼女は美樹さやか… もう一人は誰だ?)

 ライトも喫茶店に入り彼女達の近くの席に座る。

ライト(…断片的にしか聞こえないが、鹿目まどかのことを話している… 美樹さやかがあの少女に鹿目まどかに関することで何か頼みごとをしたのは間違いない)

 喫茶店を出た後にライトはほむらを尾行する。

ライト(マンションか… あの子の家か? ………それとも彼女が鹿目まどかを匿っているのか?)

 しばらくするとほむらがマミのマンションから出てくる。

ライト(出てきたか ………あまり女の子にこんな事はしたくないが少しカマをかけてみるか)


5日目 夕方

ほむら「貴方誰? まどかの事を知っているの?」

ほむら(この男は一体? 今までの世界で一度も見たことがない… だけどまどかのことを知っている…?)

 ライトに訝しげな視線を送るほむら、

ライト(この反応… どっちだ? 鹿目まどかを探っている僕を疑っているのか? それとも… 危険だがあえてもう少し踏み込んで…)

ライト「ああ、僕は彼女に関することで重要なことを知っていてね」

 さらに視線を鋭くするほむら。

ほむら(重要なこと… 魔法少女関係? …それはないわね、この男からは魔力も何も感じられない。やっぱりまどかの居場所を知っているの…?)

ほむら「…何を知っているというの? あの子が今どこにいるか知っているの? それなら教えて頂戴」

ライト(! 匿っているわけではないのか? いや、まだ分からない。もう少し…)

ライト「いいや、僕も彼女の居場所を知っているわけではないんだけど。彼女はある事件に巻き込まれた可能性が高い」

ほむら(事件? そんな事… いいえ、実際にまどかはいない。本当に何かの事件に…?)

 明らかに不安げな顔をするほむら。


ライト(この表情… 本当に知らないのか? この子は鹿目まどかを探しているだけなのか?)

ほむら「お願い、少しでも良いから情報がほしいの。貴方は何を知っているの? 事件って一体何の事件なの?」

ライト(………この子は何も知らない、僕の早とちりか… そうなると美樹さやかから鹿目まどかについて頼み事されたのもただ単に友人を探すために頼まれていただけか… となると美樹さやかもシロか…)

 ライトは若干落胆しながら、ほむらに事件のことを話す。

ライト「…事件と言うのはキラ事件のことさ。僕はキラ事件を趣味で調査していてね、彼女が事件に関係しているんじゃないかと考えて調べていたんだ、これは秘密にしておいてもらえないかな?」

ほむら「キラ事件?」

ライト「ああ、そうだよ」

ほむら「そのキラ事件にまどかは巻き込まれているっていうの? もっと詳しい情報を教えて」

ライト(ちょっとまずいことになったな… この子は何も知らないみたいだしこれ以上は話しても仕方がない)


ライト「詳しい情報っていっても世間一般で言われている通りさ、僕は事件を調査しているけどあくまで趣味だからね、鹿目まどかさんのことももしかしたら勘違いだったのかもしれない」

ほむら「………」

ライト「引き止めて悪かったね、それじゃあ僕はこれで」

 そう言い踵を返し立ち去るライト。

ほむら「………」

 そのままライトの消えた方向を見続けるほむら。

 ほむらは魔法少女へと変身してライトを追い始めた。


5日目 夜 ライトの部屋


 今ライトの部屋の時間は停止している。

ほむら(キラ事件… 犯罪者の大量殺人事件、そしてこの男が調べた結果まどかがその犯人? 馬鹿馬鹿しいわ、まどかにこんなことできるわけないじゃない)

 ほむらはライトの調査資料を元の位置に戻す。

ほむら(だけどこんな事件今まで起こった事がない… 一体この世界はどうなっているの?)

 そのままライトの部屋を後にするほむら。

 その後昨日と同じように調べるが何も成果を得られなかった。



6日目 夕方 見滝原の郊外



ほむら(結局何も分からないまま… ただ分かったことはこの見滝原に今現在魔女がいないということ、そしてインキュベーターもいない…)

ほむら(最後の可能性は、佐倉杏子… だけど彼女とまどかの接点はないに等しい… それでも0%じゃない限りは…)

 そう考えていたほむらの視界にさやかが写る。

ほむら(美樹さやか? 一人でこんなところを… いけない! あの付近には使い魔がいたはず)

 まどかを探すために使い魔を見つけていても無視していたが、さやかがその使い魔の結界に足を踏み入れたことによりほむらは焦る。

ほむら(間に合って…)


6日目 使い魔の結界


さやか「う、嘘、これって魔女の…」

 さやかの脳裏にまどか達と共に足を踏み入れた魔女の結界がよぎる。

さやか「そんな… で、出口は?」

 さやかは出口を探し走り始めるが、その行動で使い魔に気づかれてしまう。

さやか「ひっ!? だ、誰か… 誰か助けて…」

 使い魔がさやかの前までやってきてさやかに触れようと手を伸ばす。

 その時、使い魔の全身に穴が開いた。

さやか「!?」

ほむら「間に合ったみたいね………」

さやか「あ、あんた、暁美さん…?」

ほむら「大丈夫? 怪我はない?」

さやか「う、うん」

ほむら「…まだいるわね、倒しておきましょう」

 他の使い魔の気配を感知したほむらは使い魔を倒すべく動こうとする。


さやか「ま、待って!」

ほむら「…貴女もついてきて、ここは危険だから」

 そのままさやかと共に結界を進むほむら。歩いている途中でさやかがほむらに話しかける。

さやか「あー、暁美さん。た、助けてくれてありがとう… 暁美さんもマミさんと一緒で正義の魔法少女ってやつなのかな?」

ほむら(………印象はいいに越したことはないわね、今後どうなるかはわからないけど…)

ほむら「ええ、そんなところよ」

 さやかがやっぱり!と喜んだところで、目の前に使い魔が現れる。

ほむら「下がって、すぐ片付けるわ」

 さやかを下がらせ使い魔に向かうほむら。

 使い魔に銃を向け発砲するが、発砲した弾が全て弾かれ使い魔が逃げ出す。

 ほむらは使い魔を逃がし結界を解除した赤い魔法少女を見て驚く。

 赤い魔法少女は、ほむらが探しにいこうと思っていた相手だった。

ほむら(…どうして見滝原にいるの………? 佐倉杏子………)

杏子「アンタがキュゥべえのいってた、イレギュラー中のイレギュラーってやつ?」

杏子「………アイツが言ってたのと全然違うじゃん。使い魔を狩るなんて甘っちょろい奴だとは思わなかったよ」

投下終了
本日はここまでです。
次は土曜日辺りに来ます。

このSSのライト君は最初少しグレーでしたけど真っ白になりました。


投下開始



6日目 夕方 見滝原の郊外

 ほむらは今赤い魔法少女、佐倉杏子と対峙していた。

ほむら(なぜ佐倉杏子が見滝原に? いえ、それ以前にインキュベーターがもう私のことを気づいている? おかしい… この世界ではまだあいつには手を出していないし出会ってすらいない…)

杏子「アンタ聞いてんの? しっかしキュゥべえの話しぶりからしたらもっと危ない奴だと思ってたのに、実際見てみたら何のことはないただの甘っちょろい奴じゃん」

杏子「マミの奴もくたばったって話しだし、これなら遠慮なくこの街をいただけるってもんだね!」

ほむら(!? 巴マミが死んだ…? そんな、まさか…)

 ほむらが内心動揺をしていると、さやかが杏子に向かって叫ぶ。

さやか「ど、どういうことよ! マミさんが死んだって!?」

杏子「あん? なんだお前? 見たところ魔法少女ってわけでも無さそうだけど」

さやか「良いから答えなさいよ!」

杏子「んだよ、だから巴マミが数日前魔女に殺されたって言ってんだろ? キュゥべえがアタシんとこに来てそう言ったんだよ」

さやか「う、嘘… マミさんが…」

 さやかは杏子の言葉に呆然とする。

 杏子は呆然としているさやかを無視しほむらに問う。


杏子「さて、アンタ、この街の縄張りを明け渡すってんならアタシも無理に事を構えないで済むんだけど?」

 ほむらに対し威嚇を始める杏子。

ほむら「………佐倉杏子、貴女はキュゥべえに何を聞いたの? キュゥべえは今どこにいるの? 答えて」

杏子「…どこかで会ったか? なんでアタシの名前を知っている?」

ほむら「質問しているのは私。答えなさい、佐倉杏子」

 先ほどとは違い警戒をあらわにする杏子。

杏子「………ウゼェ。そのスカした態度が気にいらねぇ… やっぱ気が変わったわ、少し痛い目を…見せてやるよっ!」

 言い終わる前にほむらに向かって飛び掛る杏子。

 だが、杏子はほむらを見失う、一瞬も見逃していないはずのほむらの姿を見失っていた。

杏子「なっ!?」

ほむら「無駄よ」

 杏子の背後に立ち杏子に言葉を発するほむら。

 杏子は警戒心を最大にし十分な距離を取る。


杏子「………甘っちょろい奴と言ったのは訂正する。ここからは本気だ、一切の油断はしねぇ」

 鋭い視線をほむらに向け槍を構える杏子。

 それに対しほむらは自然体のまま杏子に言い放つ。

ほむら「勘違いしないで、私は貴女と争うつもりはないわ。貴女の知っていることを聞きたいだけ」

ほむら「それに私はこの街の魔法少女ではないわ、貴女が言っているように巴マミが死んだのならこの街はあなたの好きにすればいい」

 そんなほむらに毒気を抜かれる杏子。

杏子「…よくわかんねぇ奴だな。まあいい、話してやるよ。あれは………」



杏子の回想


 夜の風見野の街を歩く杏子に背後から話しかけられる。

QB「杏子、ちょっといいかな?」

杏子「キュゥべえ? まだグリーフシードは処理しなくても大丈夫なんだけど?」

QB「いいや、今日は少し話をしにきたんだ。隣町の見滝原のことでね」

杏子「マミのテリトリーがどうしたんだ? まさか、アイツが魔女にでもやられたか? まあそんなわけないよな」

QB「そのまさかさ。マミは3日前魔女に殺されたよ」

杏子「………マジかよ? アイツがやられるなんてどんな魔女なんだよ…?」

QB「マミを殺した魔女は恐らくもう倒されていると思うよ。問題なのはその魔女を倒した子の事なんだ」

杏子「どういう意味だ?」

QB「彼女は魔女という魔女を片っ端から倒し続けているんだ、僕が話をしようとしてもまったく話を聞いてくれない。見滝原の魔女を狩りつくしたらこの風見野にもやってくるんじゃないのかな? そうなると杏子、君も困ると思うんだけど」


杏子「はぁ? そいつもグリーフシード目当てで狩りまくってるってのかい? それならあの街はそういうのに最適な街じゃん。魔女も使い魔も豊富にいて狩り尽くすなんてどれだけかかるかわからないと思うけど?」

QB「いいや、もう見滝原の魔女はほとんど彼女に倒されている。彼女はどうも魔女の居場所を正確に感知できるみたいでね。しかも一日中動いているんだからそのペースはとんでもないものさ」

杏子「おいおい、どんな奴なんだよそれは…」

QB「そこで君にお願いだ。彼女と話をして魔女を狩るのを控えるように説得してもらえないかな? このままだと他の魔法少女が倒す魔女がいなくなり困ったことになりそうなんだ」

杏子「フン、どんな奴か知らなないけど、アタシの縄張りに手を出すってんなら潰してやらなきゃいけないね。…それよりもマミが死んだなら見滝原もそいつをぶっ潰してアタシのものにしちゃえばいいわけだ」

QB「やり方は君に任せるよ。だけど気をつけたほうがいい、彼女はイレギュラー中のイレギュラーだ、能力もそうだし何を考えているのかもまったくわからない」

杏子「どういうことだい? そいつもアンタと契約して魔法少女になったんでしょ?」

QB「…まあ、見ればわかるよ。それじゃあ僕は他の魔法少女にもこの事を伝えないといけないからもういくね。頼んだよ杏子」

 夜の街に消えるキュゥべえ。

杏子「あっ、いっちまった…」

投下終了
また来ます。

投下再開


6日目 夕方 見滝原の郊外


 杏子の説明を聞きほむらは考える。

ほむら(魔女を狩りつくす魔法少女? これも今までいなかった… わからない… 何もかもが今までの世界とは違う…)

ほむら(それでもインキュベーターが何かを知っているのは間違いない、あいつのことは信用できないし、佐倉杏子を見滝原に来るように仕向けたのも何か企んでいるとしか思えない)

ほむら(あいつを見つけ出して何を知っているか吐かせる、それにあいつがまどかを騙して連れ去った可能性も…)

ほむら「話は分かったわ、それで今キュゥべえはどこにいるかわかる?」

杏子「ああ? 風見野にいるかさらに隣街にいるんじゃないのか? 他の魔法少女のところに行くって言ってたし」

ほむら「そう… 話をしてくれてありがとう」

 ほむらはそのままその場を後にしようとする、その視界に呆然としているさやかが映った。

ほむら「美樹さん、大丈夫?」

さやか「………暁美さん。マミさんが死んじゃったって… それじゃあまどかも…」

ほむら「…まだわからないわ。キュゥべえが言っていることは信用できない、何かを企んでいる可能性もあるわ」

ほむら「私はこれからキュゥべえを見つけ出してあいつの知っていることを全て聞き出す、それが鹿目さんの居場所を見つける手がかりになるかもしれない」

さやか「それなら私もついて…」

 さやかが言い終わる前にほむらは言う。


ほむら「駄目よ、貴女は魔法少女に関わらないほうがいい。…大丈夫、鹿目さんの事で何かわかったら絶対に連絡するから」

さやか「………でも」

ほむら「それと、もしもキュゥべえが貴女の所に来て契約を持ちかけても絶対に契約しないでほしい」

ほむら「あいつの言うことを信用したら駄目、契約したら最後貴女は絶対に後悔する事になるから」

さやか「…どういうこと?」

ほむら「………」

 ほむらは思考する、まだ魔法少女になっていないさやかに真実を話し今後魔法少女になるという考えをなくすのはこのタイミングではないかと。

 今のさやかはほむらの事を頭から否定せずにある程度の話を聞いてくれる。

 杏子がいるが、彼女は精神的にタフで真実を知っても絶望することはほぼない。それならこの時点で話すのがベストではないかと。

ほむら「…教えてあげる。魔法少女の真実を」

 ほむらはさやかと杏子に魔法少女について話し始める。

 ソウルジェムの秘密。

 魔法少女が魔女になること。

 インキュベーターの正体、そしてその目的。

 ほむらが話し終わった後、さやかは呆然と、杏子は信じられないといった顔をしていた。


さやか「そんな…」

杏子「ハンッ、そんなわけのわからないことを言われて、はいそーですかって言えるわけ無いだろ! 証拠はあるのかよ!?」

ほむら「証拠…ね」

 ほむらは考える、杏子のソウルジェムを奪い数百メートル離れて生命活動を停止させてから蘇らせる。

 この方法なら間違いなくさやかは信じるが、杏子とは完全に敵対してしまうこととなる。

 まだ信じてはいないがマミが死んでしまった以上、ワルプルギスの夜を倒すためには杏子の力は絶対にほしい。

 敵対せずに信じさせる方法。

ほむら(………仕方ないわね。このまま話していても平行線、それなら賭けに出て美樹さやかと佐倉杏子の信用を得る)

ほむら(今後の行動もやりやすくなるし、それにこの時点で佐倉杏子と協力関係を結べればワルプルギスの夜までに色々な準備も出来る、もしかしたらまどかを探す助けもしてくれるかもしれない)

 さやかを見ながらほむらは魔法少女の変身を解除する。

ほむら「美樹さん、これから貴女に私のソウルジェムを託すわ」

さやか「ちょ、ちょっとそれって!?」

ほむら「私のソウルジェムを持って100mほど離れて、そしてしばらくたったら戻ってきてもらえるかしら」

さやか「駄目だって! それじゃあ暁美さん死んじゃうんでしょ!? そんなことできないよ!」

ほむら「大丈夫よ、すぐ戻ってきてもらえれば何の問題もないわ。それに本当に死ぬわけじゃないわ、それが本当の私、こっちは仮初の身体だから」

 ソウルジェムをさやかに渡しながら話すほむら。

 それに対し戸惑いながら受け取るさやか。


さやか「それでも…」

ほむら「いいから、今は貴女達が真実を理解することが大事なの。実際に見てみないと貴女も信じられないでしょう?」

 さやかはまだ納得していない顔をしていたがほむらのソウルジェムを持ち離れていった。

杏子「わかんねぇな、何でそこまでする? アンタの狙いは何だ?」

ほむら「………真実を知れば彼女は魔法少女になろうとは思わなくなるはず、彼女は魔法少女にはなるべきじゃない。どうあがいても待っているのは絶望だけ」

ほむら「それに私には時間がないの、話を早く終わらせてまどかを探さないといけない… インキュベーターが何かを知っているようなら聞き出さなければならない。そしてもしもまどかがあいつに騙されて魔法少女に………」

 杏子と話をしている最中にほむらは崩れ落ちた。

 ほむらの身体を受け止めた杏子はほむらが完全に死んでいることを確認する。

杏子「………チッ、本当に死んでやがる。そうなるとさっき言っていたことも全部本当のことかよ…」

杏子「………コイツ、一体なんなんだ? 使い魔を狩ったり、あいつが魔法少女になるのを止めたり、それにまどかだったか? そいつを探すために必死になってるってのか?」

杏子「人助けのため… 正義の味方って奴かよ…」

 杏子の脳裏に自分の過去が思い出される。

杏子「チッ、嫌なことを思い出しちまった…」

 しばらくするとさやかが戻ってくる。

さやか「!! 暁美さん!? ちょっと! しっかりしてよ、ねぇ!」

 さやかはほむらの身体を揺さぶり呼びかける。

 しばらくするとほむらは意識を取り戻す。


さやか「暁美さん! よかった…」

杏子「………」

ほむら「………これで信じてもらえたかしら…?」

さやか「信じるって! こんなことされて信じないって言えないよ!」

ほむら「そう… なら肝に銘じておいて、魔法少女になるって事は人間じゃなくなる。いいえ、魔女となって貴女の大切な人達に絶望を振りまく存在になるということを」

 さやかはその言葉に顔を青ざめ頷く。

ほむら「佐倉杏子、貴女も信じてくれたかしら?」

杏子「…信じるよ」

杏子「アンタの事は信じてやる、そしてこんなことを知った以上キュゥべえの野郎と一度話をしなきゃなんねぇ」

杏子「アンタ、キュゥべえを探すんだろ。アタシも協力してやる、風見野はアタシの縄張りだ。怪しい場所は大体知ってる」

ほむら「そう、ありがとう。それなら私は別の隣街に行くわ、あいつを見つけたらテレパシーで連絡をお願い」

 そのまま二人は夕暮れの街を駆け出そうとする。

さやか「待って!」

ほむら「…美樹さん、貴女を連れて行くことは出来ないわ」

さやか「わかってる… 暁美さん、キュゥべえを探しているのもまどかを探すためなんだよね?」

ほむら「…ええ」

さやか「だったらお願い。まどかを、まどかを見つけて… あたしは絶対にまどかが死んだなんて思えない。きっとどこかにいるはずなんだ」

さやか「ケガして動けないのかもしれない… だから、お願いだから…」

ほむら「わかったわ、必ず連絡するわ」

 ほむらはそう言いさやかに背を向ける。

ほむら「…行きましょう」

 そして杏子と共に駆け始める。

 二人はキュゥべえを探すべくそれぞれの街に走り出した。



6日目 どこかの魔女の結界


 暗闇の中、一人の魔法少女がリボンによって拘束されている。

魔法少女「くそっ! ふざけんな! これを外せよ!」

 暗闇で姿は見えないが、拘束された魔法少女から離れたところにいる少女が声を出す。

 その声は鹿目まどかの声だった。

まどか「駄目だよ。あなたさっき魔女に襲われていた人を助けようとしなかったよね? ねぇ、どうして助けようとしなかったの? あなた魔法少女でしょ?」

魔法少女「うるせぇ! 人がどうなろうとあたしの知ったことか! むしろ魔女が人を襲ってる間が魔女を狩るチャンスなんだよ!」

 魔法少女の言葉にまどかは底冷えする声で魔法少女に言う。

まどか「そっか、あなた悪い魔法少女なんだね」

 暗闇の中、まどかの身体から何かが飛び出し魔法少女の身体を掴みまどかの前に手繰り寄せる。

魔法少女「うあああああ!?」

 まどかは魔法少女の顔を見て手に持ったノートに魔法少女の名前を書き込んだ。

 魔法少女は暗闇の中見えなかったまどかの顔を至近距離で見て目を見開いて呟いた。

魔法少女「ば、化け物…」

 数十秒後、魔法少女は息絶えた。

 まどかは魔法少女の身体を放り投げ、既に名前を書き込んでいた魔女に向き直った。

まどか「さあ、来て。あなたも私と一緒にみんなを救いに行こう。お願いだよ」

 魔女はまどかに近づきまどかの身体に重なる。

まどか「ふふふ… ありがとう… これでこの街の子達はみんな救えたね」

まどか「次は… 風見野だね。マミさん、みんな頑張ろうね」

 まどかはその言葉と共に魔女の結界に穴を空けその穴の中に消えていった。


投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

かなり遅くなりました。
投下開始


6日目 夜 風見野

 夜の風見野に赤い陰が映る。

 ビルとビルの隙間を杏子は駆けていた。

杏子(あの野郎、一体どこにいやがる。テレパシーで呼んでも無視してるのかまったく反応がねぇ)

杏子(次はあの廃屋にでもいってみるか)

 杏子は何度もキュゥべえをテレパシーで呼んでいたが反応がなく、自分の足で探していた。

 風見野でも魔女や使い魔が多く出現する場所を手当たり次第に探すがキュゥべえの影も形もない状態だった。

杏子(ここも… ハズレか。チッ、こうなったら風見野にはいないって考えたほうがいいか)

 杏子があきらめかけほむらにテレパシーを飛ばそうとした時に白い影が遠くの方で動いたのを見つけた。

杏子(あの野郎… やっと見つけたぜ)

杏子(アイツにも連絡してやるか)

 杏子はほむらに向けテレパシーを飛ばす。

杏子『おい、えーっと… あけみほむらだっけ?』

ほむら『…ええ、そうよ。…ほむらでいいわ』

ほむら『こちらは全然ダメね。そっちはどう?』

杏子『見つけたぜ、だけど何かを探してるのかアタシに気が付いてないみたいだ。とりあえず場所を教えるから来るなら来いよ』

 杏子はほむらに現在地を教える。

ほむら『…場所はわかったわ。多分30分ほどでいけると思うわ』

ほむら『………私が到着するまであいつを引き止めてもらえないかしら?』

杏子『フン、アタシが切れてアイツをぶっ殺してしまわないことを祈りな』

ほむら『それなら大丈夫ね、すぐ向かうわ』

 ほむらはそう言い杏子とのテレパシーを切る。

杏子(何が大丈夫なんだよ… アタシを信頼してるってのか?)

杏子(フン、まずはあの野郎をふん捕まえて洗いざらい喋ってもらわないとなぁ!)

 考えをやめ杏子はキュゥべえがいた方角へ向かった。



6日目 夜 風見野廃屋付近


杏子「よーやく捕まえたぜこの野郎」

 杏子はキュゥべえの耳を握り宙吊りにして睨んだ。

QB「杏子かい? 君は見滝原に行ったと思ったんだけど… いや、丁度よかった」

杏子「丁度いいだぁ? 色々知ったらテメェの言ってる事がどんどん胡散臭く聞こえてくるぜ」

杏子「オイ、テメェなんでアタシの身体をソウルジェムにしたことを黙っていた?」

QB「…どうしてそれを君が知ってるんだい?」

 キュゥべえを掴む手の力が強まった。

杏子「………魔法少女の成れの果てが魔女ってことも聞いた」

QB「おかしいな、君がその事を知ることはないと思っていたのに、一体誰にその事を聞いたんだい?」

QB「魔法少女で知っている者なんていない筈だけど… 興味深いな、教えてくれないかい杏子?」

 杏子は握っていた耳を握りつぶす。

QB「痛いよ、何をするんだい?」

杏子「テメェ… ふざけんじゃねぇ! アタシをゾンビ… いや、化け物に変えたことを黙ってやがって!」


QB「いや、僕はちゃんと魔法少女になってくれってお願いしたじゃないか」

QB「確かに色々と説明は省略したけれど、君はその事を一切聞かなかったじゃないか」

 杏子の顔に青筋が浮かび上がる。

QB「逆に感謝してほしいくらいだよ? 僕が君の身体をソウルジェムに変えたことによって助かったケースも何度もあっただろう?」

QB「魔女になるということも仕方ないんじゃないのかな? 君はその分の奇跡も叶えたしその対価と思ってもらえれば納得できると思うけど」

 その時点で杏子の導火線は完全に弾き飛んだ。

 一瞬でキュゥべえの身体はバラバラになり地面にどちゃりと落ちた。

杏子「クソが、頭にくる事ばかり言いやがって」

 杏子は槍についた肉片を払い飛ばしその場を後にしようとした、その時聞こえるはずもない声が後ろから聞こえてきた。

QB「酷いじゃないか、僕はただ事実を言っただけなのに」

杏子「なっ!? …テメェが宇宙人とかなんだとか言う存在ってのも本当なのかよ、ならアイツの言ったことは全部本当ってことになるな………」

QB「………本当に誰に聞いたんだい? 僕の同属が誰かに話したのかな?」

QB「まいったな、こんな事なら君にも監視の目を向けておいたほうがよかったな。あの子を見つけるためにこの周辺の僕達を総動員していたから仕方ないと言えるけど」

 殺しても無駄だと悟った杏子は少し黙り話を聞くことにした。

QB「杏子、君は見滝原に行ったんだよね? 僕の言っていた子には会えたのかな?」

杏子(暁美ほむらのことか… こいつにはもう何も話さないほうがいいな)

杏子「…テメェにはもう何も話さねぇよ」

QB「酷いなぁ、それとも彼女と話が出来たのかな? 彼女ならもしかしたら僕のことも知っているかもしれないし…」

QB「でもおかしいな、会ったという事は彼女を殺せたのかい? 君のような子は彼女が問答無用で攻撃してくると思うし… もし彼女を殺せたとすると君はどんな魔法を使ったんだい?」

 その言葉に杏子は訝しげな顔をする。


杏子(アイツは問答無用で攻撃してくるような奴じゃないと思うけど… コイツの言ってる奴とほむらは違うのか?)

杏子「…オイ、さっきからテメェは一体誰の事を話してんだ」

QB「おや、もう僕と話してくれるのかい?」

杏子「いいから答えろ」

QB「本当に酷いなぁ、まあいいよ。僕の言ってるのは鹿目まどかのことだよ、彼女のおかげで色々と大変なんだよ。君は彼女に会えたんじゃないのかい?」

杏子はキュゥべえから聞いた名前に少し驚く。

杏子(鹿目まどか? アイツの探していた奴じゃねぇか。何でそんな奴の名前が…?)

QB「その様子だと会えていないみたいだね。それじゃあ、お願いだよ杏子」

QB「彼女は今この風見野にいるみたいなんだ、どうにかして彼女を見つけて捕まえたいのだけど協力してくれないかな?」

杏子(アイツの探してる奴がこの街に? それもコイツの言い分だとかなり危ねー奴か…いいや、もうコイツの話すことは信じねぇ)

 そう考えほむらが来るまでキュゥべえを足止めしようと思ったところでさっきの廃屋から魔女の反応を感じ取った。

杏子「!? クソッ、こんなときに…」

QB「杏子、これはチャンスだよ。恐らく彼女も魔女の結界に入り込んでくるはずだ、見つけたら…」

杏子「黙れ、喋るな」

QB「…本当に酷いなぁ」

杏子(仕方ねぇ、アイツを待つついでに魔女狩りと洒落込むか…)

杏子(アイツの言ってたまどかって奴が来たら、ほむらがアンタを探していたって教えてやるか… チッ、らしくねぇ。昔を思い出しちまって変な気分にでもなってるってのか)

杏子(余計な考えは捨ててまずは魔女だな)

 杏子はキュゥべえの耳を掴み魔女の結界に向かった。

投下終了
また来ます。

投下再開



6日目 夜 風見野 魔女の結界


 キュゥべえを片手に魔女の結界内を歩く杏子、片手で器用に槍を振り回し襲ってくる使い魔を全て倒しながら進んでいく。

杏子(あれから結構時間は経ったけど、まだアイツは来ないか…)

杏子(しかし、結構使い魔が多いな。何でこんな魔女の結界を見落としていたんだ?)

杏子(まさかコイツが何かしたんじゃないだろうな?)

しばらく無言で使い魔を倒しながら奥へ奥へと杏子は進む。

 やがて杏子は魔女の結界の最深部にたどり着いた。

杏子(さて、ご対面といくか)

 目の前の扉を開いていき、全て開いたとき杏子は魔女の部屋に先に誰かがいるのを見つけた。

 杏子からはその人物の背中しか見えない。

杏子(人間? 魔女の前に突っ立って…)

QB「杏子! 彼女だ! 鹿目まどかだ、気をつけるんだ!」

 キュゥべえが杏子に向かい注意を促す、しかし杏子はまどかに襲い掛かる使い魔を見て飛び掛っていた。

 まどかに襲い掛かろうとしていた使い魔は全て杏子の槍によって倒される。

杏子(…はぁ、やっぱりらしくない。もう他人の為に魔法を使ったりしないって誓ったのにな)

杏子(やっぱり、アイツのせいだ。そうだよ、コイツを助ければアイツに恩を売れる、アイツは色々知ってるみたいだし今後も役に立つ)

杏子(そう、これもアタシの為。色々知っちまった以上これからは今まで以上に慎重にやらなきゃいけない、そのためにはアイツの力も必要、だからコイツを助けるのもアタシの為だ!)

 杏子が自分の心を否定するように言い訳をし、まだ背中しか見えないまどかに向かい言う。


杏子「オイ、大丈夫か? アンタ、鹿目まどか?」

まどか「………私のこと助けてくれたの? 私の事知ってるの?」

杏子(………はぁ、やっぱり警戒して損をしたぜ。ふつーに話もできるじゃねーか。なぜか動かない魔女をさっさと倒して結界からおさらばしてアイツを待つか)

杏子「あー、アンタを探してる奴がいてそいつがアンタの事話してたんだよ、とりあえず魔女を倒すからやる気がないんなら離れてな」

まどか「………私を探してる人? パパ… ママ… うぅ………」

杏子(なんなんだよコイツ、今度は泣きそうな声を出しやがって… あー、もうめんどくせぇな!)

 杏子はまどかの肩を掴み、強引に振り向かせた。

杏子「っーーーーー!?!?」

 杏子はまどかの顔を見て完全に固まってしまった。

 まどかの顔は魔女の口付けで染まりきっていた。

 顔だけには留まらず肌の見える部分のいたる所に魔女の口付けを受けており、その身体全体がその状態だということを杏子は悟る。

杏子(な… な、んだコイツ… 一体なんなんだ………?)

 まどかは杏子の顔を見ながらきょとんとした表情を作っている、まどかが少し首を傾げたと同時に杏子は全力で後方に飛び退いた。

まどか「あ、あの… あなたは良い魔法少女さんですよね? それだったらお願いしたいです。私を探してる人がもしパパやママだったら心配かけちゃってごめんなさいって………」

 まどかは杏子に話しかけている最中に杏子が持っているキュゥべえを見つけその顔色を変える。


杏子(コイツ、ヤバイ。アタシの直感が逃げろと叫んでる!)

杏子(どうする!? あの魔女を倒して結界を破壊するか… いや、奴がいる限り下手に動けねぇ)

杏子(クソッ! 落ち着け、奴はまだ何もしてこない、隙を突いて攻撃するかそのまま逃げるか… クソッ!! 考えがうまくまとまらねぇ)

QB「杏子、今なら彼女を捕まえられるはずだ! まだ魔女の力が感じられない今のうちに早く捕まえるんだ!」

杏子「どういうことだ!? アイツがヤベェ奴ってのはすぐわかった、まだ何かあるのかよ!?」

QB「彼女は身体中に魔女を飼っているんだ! あのワルプルギスの夜と同じで魔女の集合体なんだ! 力を使わせると止められない、だから早く!」

 杏子がキュゥべえに問い詰めている最中、まどかはゆっくりと動き出した。

まどか「………また見つけた。何匹も何匹も潰してもまた出てくる」

まどか「………本当にイライラさせるよね、魔女の皆を救ってもそいつが出てくるんじゃ意味がないよ…」

まどか「………皆を救うより先に、それを一匹残らず潰さないといけないのかなぁ………」

まどか「………皆、私に力を貸して、お願いだよ」

 まどかが言い終わると同時に、まどかの全身の魔女の口付けが鈍く光る。

杏子(!? ま、魔女の反応がいきなり!?)

杏子(何匹いるんだ!? 奴の全身から数え切れないくらいの魔女の反応が…)

QB「杏子、マズイよ! はや……… ぎゅぴっ!!」

 まどかの身体から伸びてきた鈍く黒い腕のようなものにキュゥべえの身体が掴まれそのまま潰された。

杏子「!? キュっ…」

まどか「………汚い。本当にどれだけいるんだろう? ねぇ、リューク。あれはノートで裁けないの?」

 まどかが虚空に向かい話し始める。

まどか「…そっかぁ、それじゃあしょうがないよね。一匹ずついなくなるまで潰していくしかないよね…」

 そのやり取りを見て杏子はまた顔を青ざめた。


杏子(い、イカれてやがるのか? 何もないところに向かって会話してやがる…)

杏子(マズい、さっきのキュゥべえを潰した腕、反応できないことはないが掴まれたらアウトだ)

杏子(まだ何か隠し持っているかもしれねぇ、何もみえねぇ、底もみえねぇ)

杏子(どうする? どうする!?)

 杏子が思考をフル回転させていると、まどかが杏子の警戒を解こうと笑顔で話しかけてきた。

まどか「あのっ、ごめんなさい。さっきは話の途中で」

まどか「私を探してる人が…」

杏子「それ以上近づくんじゃねぇ!!」

 笑顔のまま近づいてくるまどかが杏子の目には悪魔がゆっくりと近づいてくるように見えた。

 杏子は槍を構え、それ以上近づかないように威嚇をする。

まどか「あっ、ご、ごめんなさい… そっか… 皆。もう大丈夫だよ、力を貸してくれてありがとう、またお願いするね」

 まどかのその言葉と共に、まどかの身体から魔女の反応は消える。

まどか「…やっぱり驚いちゃいますよね? でも、皆もう悪い魔女じゃないんです。私と一緒に新しい世界を作るお手伝いをしてくれるんです。だからそんなに怖い目で睨まなくても大丈夫ですよ?」

杏子(魔女の反応が消えた? ダメだ、油断するな。この距離はさっきの攻撃を回避できるギリギリの距離)

杏子(一瞬で良い、奴が何かに気を取られれば…)

 杏子がそう考え、一瞬の隙を伺っているとまどかの背後に一人の魔法少女が現れた。

 その魔法少女は、まどかの姿を見て叫んでいた。

ほむら「まどかっ!!」

 まどかはその声の方向に振り向こうとした。

杏子(今!!)

 振り向く寸前のまどかに向かい杏子は槍を持ち無防備な首を狙い薙ぎ払った。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

ついでにQBさんは他の魔法少女とかも使ってある程度まどかの力を知ってます。
殺しの方法まではまだわかってません。すぐ潰されますので。

投下開始


 会心の一撃を繰り出し仕留めたと確信した杏子だったが、現在の状況に困惑していた。

 一つは薙ぎ払った筈の槍が魔女の空間にぽかりと開いた穴から伸びているリボンに絡め取られている事。

 一つは先ほどまでまどかがいた場所にまどかの姿はなく、少し離れた位置に息を切らせたほむらに抱きかかえられて倒れている。

杏子(どうなってやがる!? クソッ!! い、いやそれよりも)

杏子「馬鹿野郎!! そいつから離れろ!! 早くしろっ!!」

ほむら「佐倉杏子!! 貴女は何を考えているの!?」

 二人が叫んだのは同時だった。

 杏子の表情は困惑と焦りで強張っており、逆にほむらの表情は怒りと困惑の表情だった。

ほむら「貴女何を言っているの…? まどか、大丈夫? 怪我はない?」

ほむら(ようやく会えた… これからは絶対にまどかを守り続ける…)

 ほむらは俯いたままのまどかを案じ声をかけ、まどかはその声に反応をして顔を上げる。

まどか「うぅっ… 一体何があったの…?」

ほむら「ーーーーーーーーー!?」 

ほむら(な、な、なによこれ…? ぜ、全部魔女の口付けなの?)

ほむら(い、一体何が? 私が来るのが遅かったというの? もう手遅れなの?)

 ほむらはまどかの顔を埋め尽くさんばかりの魔女の口付けを間近で見て杏子と同じように息を呑む。

 杏子以上に混乱し、絶望しかけるほむら。だがすぐさま頭を切り替えまどかを抱きしめる。


ほむら(…そんなことはない! 私は絶対に諦めない!!)

ほむら(これが魔女の口付けだというのならあの魔女達を葬るだけ、それでまどかは魔女の口付けから解放されて元に戻るはず)

 折れかけた心を奮い立たせ、ほむらは先ほどまでまどかが立っていた所にいるリュークと身動きのしない魔女を交互に睨む。

ほむら「まどかに………一体何をしたのよっ!!!!」

 ほむらの叫びと共に、盾から取り出したマシンガンを同時に撃ち込もうとしたが撃つ寸前にまどかの手によって押さえつけられる。

まどか「や、やめてぇ!」

ほむら「ま、まどか!? 離して!」

ほむら(くっ、まどかは操られている…)

ほむら(…許して、まどか)

 心の中で謝罪しながらまどかに当て身を行い気を失わせようとした瞬間、ほむらの右手にリボンが巻きついて縛り上げられた。

ほむら(!? まだ魔女が!?)

ほむら(………このリボン、まさか、巴マミ!?)

 どこか見覚えのあるリボンをほむらはマミと当たりをつけリボンの出所を探す。

 リボンの出所はすぐ見つかった、小さい魔女からリボンが伸び自分の手を拘束し、その魔女は別のリボンで杏子を縛り上げようとリボンを伸ばしていた。

 ほむらは自分の目で見た現状を信じたくはないが心のどこかで理解してしまった。

ほむら(嘘… まさか、まさかあの人が魔女に…?)


 ほんの一瞬呆然としたほむら、その隙にまどかは魔女達の元へ走り去ってしまった。

ほむら「だ、ダメっ!! 戻ってきてまどかっ!!」

まどか「な、なんなんですかあなたは! この子やリュークに酷いことしないでください!」

リューク「あれ? こいつ俺のこと見えてる? なんでだ?」

 棒立ちの魔女の元へたどり着いたまどかの下にリュークと小さい魔女も集まる。

 それに対し、小さい魔女からのリボンの追跡を逃れた杏子がほむらの拘束された右手のリボンを切り裂き隣に立つ。

杏子「おい! しっかりしろ! このままだと殺られる、一旦引くぞ!!」

ほむら「ば、馬鹿なこと言わないで! まどかが、まどかが魔女に操られているのよ!? あの子も連れて行かないと!」

杏子「馬鹿はお前だ!! あのバケモンを連れて行くなんて何を考えてんだ!?」

 二人が言い争いをしている間にまどかは棒立ちの魔女に向かいお願いをする。

まどか「早く私の中に来て! お願い!」

 まどかのお願いを聞き、魔女はまどかに重なる。

 ほむらはその光景をまどかが魔女に捕食される光景に見え叫びをあげる。

ほむら「いやぁぁぁぁぁ!? まどかぁぁ! 逃げてぇぇぇぇ!!」

杏子「っっ!? クッソォ!! 少し眠れっ!」

 半狂乱になりまどかの下に駆け出そうとするほむらの後頭部を殴り杏子はほむらを気絶させた。


 その間にも魔女はまどかの身体に吸い込まれ続けている。

杏子(ま、魔女を喰ってるのか? 正真正銘のバケモンじゃねぇか!)

杏子(コイツを抱えたまま戦うのは無理だ、もう逃げるしかない)

 杏子は決断すると同時にほむらを抱えたまま魔女の結界を出口に向かい駆け始めた。

杏子(チクショウ! あのクソ野郎、アタシをハメやがって!)

 先に潰されたキュゥべえに恨み言を考えながら全速力で駆け抜ける。

杏子(ふざけんじゃねえぞ、あんなバケモンとマトモに戦いなんてやってやれるかよ!!)

 時折背後を確認しながら、限界を超えて走り続ける杏子。

杏子(見えた! 出口!)

 出口に向かって飛び込む杏子、魔女の結界を脱出し結界に向き直り槍を構える。

 結界は徐々に小さくなり跡形もなく消え去った。

杏子(………出てこない、いや出口も消えた)

 完全に結界が消滅したことを確認し杏子は安堵のため息をついた。

杏子(はぁ~~、逃げ切れたか…)

 その時、廃屋の入り口に人影が現れた。

杏子(!?)

 杏子は自分が建物内で逃げ場がないことに気が付いた。

杏子(嘘だろ? 外から回り込んできたのかよ…)

杏子(この狭い建物の中あの攻撃をされたら…)

 杏子の脳裏に先ほどのまどかの攻撃が蘇る。

 そして入ってきた人物を杏子は見た。


杏子(あれ…?)

 そこにいたのは老人だった。

 好々爺とした風貌でスーツを着こなした老人が立っていた。

???「少々よろしいでしょうか?」

杏子(何モンだ? 爺さんに知り合いなんていねーぞ?)

???「その格好… もしや貴女も魔法少女に違いありませんか?」

杏子「! アンタ、何モンだ?」

ワタリ「これは失礼しました、私はワタリと申します。ある方の命でそちらの暁美ほむらさんをお連れするように使わされた者です」

ワタリ「貴女も魔法少女と言うのなら、私と一緒に来て頂けないでしょうか?」

杏子(………一体なんなんだよ、コイツはアタシが気絶させちまったからこの爺さんが誰なのかも聞けねぇ)

杏子(…もう疲れた、考えるのもめんどくせぇ)

杏子「一つ聞いていいか?」

ワタリ「なんでしょうか?」

杏子「着いていった先に食い物ってあるか?」

ワタリ「はい、なんでもありますよ。取り分けお菓子などは非常に多く取り揃えております」

杏子「わかった、腹いっぱい食わせてくれるなら着いていってやるよ」

杏子(なんか人のよさそうな爺さんだし食い物もくれるなら着いていってやるか)

杏子(コイツをほっとくわけにもいかないしな…)

杏子(まあ、着いていってみてなんかの罠だったら暴れまわって逃げてやるか)

 杏子とほむらは廃屋の外に留まっていたワタリの車に乗り見滝原へと向かった。


魔女の結界内

 魔女の結界で杏子達が逃げ出した後、まどかは魔女を取り込みため息をついていた。

まどか(今まで会った魔法少女ってマミさん以外はみんな酷い人しかいなかった…)

まどか(でもあの人たちは… 赤い人、佐倉杏子さんは最初助けてくれたけど後からは私を攻撃したのかな? マミさんが守ってくれたから多分そうだと思うけど…)

まどか(黒い人、暁美ほむらさんはよくわからない人だったな。私の事をずっと呼んでた、一体誰なんだろう?)

まどか(そういえばこの前少し眠ったときに夢の中であの人を見たような…)

まどか(悪い人たちには見えなかったけど… また会ったら今度はお話をしよう、それでいい人なら助け合えるかもしれない)

まどか(悪い人だったら… うん、いつものように裁いておしまいだね。もう顔も名前もわかってるし悪いことをしてるのを見たら裁いちゃおう)

まどか(さてと)

まどか「マミさん、いつもありがとうございます」

 まどかの声にも特に反応せず小さな魔女はふわふわと浮いている。

 しかし、まどかはそれを見て微笑む。

まどか「リュークも大丈夫だった? あの人に銃を向けられちゃったけど… あれ? 何であの人リュークのこと見えてたのかな?」

リューク「ノートに触った人間は俺の姿が見えるようになるんだが… さっきはデスノートを出してなかったよな?」

まどか「えっ!? そうだったの?」

まどか「う~ん、出してなかったし私以外は誰も触ったことなかったと思うんだけどなぁ…」

リューク「そういえばお前、この前マミの家にノートに書いた絵を置いてっただろ? あれに触ったんじゃないのか?」

まどか「あれに触っても見えちゃうんだ。そうするとあの人はマミさんの家に勝手に入って触ったのかな? それともマミさんの知り合いだったのかな?」

まどか「まあいいや。また会ったら聞いてみないとね」


 話を区切り、リュークに向かい無表情になったまどかが話し始める。

まどか「リューク、あれは後どれだけいるかわかる?」

リューク「あれってあの白い奴だよな? これで何匹だっけ? お前が潰したのって?」

まどか「7匹だよ、潰しても潰しても沸いて出てくる… 最初にマミさんの銃で潰したときはこれで大丈夫って思ったけど、こんなにいるんじゃあれから処理していかないとどれだけ魔女の皆を救っても意味がないと思うんだ」

リューク「そうだな、死神界の窓から見れば… あれ? でもあいつ人間じゃないし… どうなるんだ?」

まどか「リュークでもわからないならどうしようもないね…」

まどか「でも、何とかしなくちゃ… あ、そうだ!」

リューク「ん? 何か思いついたのか?」

まどか「今度あれを見つけたら、もの凄く嫌だけど捕まえて魔女の誰かにあれの中に入ってもらうの」

まどか「そうしたら入ってもらった子にお願いしてあれがいなくなるまで潰すなり処理するなりしてもらうんだ」

まどか「あれの姿をしてれば油断して巣に連れて行ってもらえるかもしれないしね」

リューク「………あー、そうだな。出来るかもしれないな」

まどか「そうだよね! それじゃ、今度捕まえたら早速試してみるね!」

 そう言いまどかは歪んだ笑みを見せる。

リューク(こいつもなんというかえげつない事考えるようになったな…)

リューク(まあ、それはそれで面白だ!)

リューク(クククククッ)

 魔女の結界が消える寸前にまどかとリュークは黒い穴に消えていった。


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本日はここまでです。
また来ます。

いろんな感想ありがとうございます。励みになります。

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0日目 夜

L「尾行対象が消えた…ですか?」

模木「はい、尾行対象は先輩の巴マミ宅で泊まりその後朝から昼まで繁華街で遊び途中寄った病院で姿を見失い現在自宅にも帰っていないようです」

模木「病院では片時も目を離さなかったのですが… その…」

L「何があったんですか?」

模木「………松田の報告と同じく、私も変身する所を見ました」

L「………」

模木「尾行対象の先輩である巴マミの全身が光ったかと思うと、その… 変身していました… 変身後は両名とも忽然と姿を消し、その後病院付近をくまなく捜しましたがどこにも…」

L「………」

L(………どういうことだ? 二人も同じ現象を同じ人物から確認している。変身…?)

L(変死事件に関する金髪の少女は特徴から見ても巴マミに間違いない)

L(自殺未遂者を救っていた少女が巴マミ、そして今回のキラ事件の鹿目まどかと接点があった…)

L(キラの殺しの方法は恐らく超能力… そして巴マミの変身能力?)

L(二人とも同じような能力を持っているのか? …情報が少なすぎる)

L(しかし監視カメラを設置しようとした矢先姿を消した… こちらの動きを読まれている?)

L(いや、それはないか。監視に気付いたのならばそのまま気付かない振りをすればいい話、姿を消す理由にはならない…)

L(キラにも不測の事態が起こり姿を消した? それとも変死事件が絡んできているのか…?)

L(………油断だな。変死事件に比重を傾けすぎた、ここでキラを逃がしてしまうと厄介なことになりかねない…)


L「………わかりました。それでは夜神さん、宇生田さん、松田さんは現地の警察に捜索願が出された場合はキラ事件とは伏せ捜索を開始してください。捜索願が出るまでは友人宅、学校、自宅の監視をお願いします。模木さんは巴マミ宅の監視を行ってください、相沢さんは待機でお願いします」

総一郎「竜崎、キラ事件と伏せるとはどういうことなんだ? 確かに現地の警察にはまだ鹿目まどかがキラ容疑者と知っている人間は極わずかだが」

L「無駄な混乱を避けるためと、後はキラ容疑者が自分の意思で姿を隠した場合に備えてです」

L「キラ容疑者が自分の意思で姿を隠したと考えると、先日の相沢さんの尾行で気付かれた可能性が高い。警察関係者に尾行されていると理解した場合、今までは犯罪者のみに使っていた力を自分を追うもの全てに使う可能性があります」

L「そうなると非常にまずい。最悪の場合は疑心暗鬼に陥り近づくもの全てに力を使う可能性も考えられます。こうなってしまった場合は捜索せずとも居場所はわかるとは思いますが…」

L「今回最悪の場合は考えずに、警察の尾行に気付いたと仮定して皆さんには行動してもらいます。難しい注文になりますがキラ事件とは伏せ、さらには現地警察捜査員の動きも把握しながら捜索を行っていただきたいのです」

L「もしキラ容疑者を発見した場合は現地警察捜査員ではなく3人の誰かが接触、質問という形になりますのでそちらも宜しくお願いします」

総一郎「わ、わかった。それでは我々はそれぞれの監視を行い、見滝原警察には事情を知っているものに説明をし指揮を取れる状態にしておこう」

L「宜しくお願いします、私は姿を消した時間からの別の街へ通じる全ての公共交通機関関係、道路の監視カメラなどをチェックします」

L(…昨日今日とキラの殺しは行われていない、出来れば変死事件に巻き込まれた形ならやりやすいのだが………)



1日目 夜

L(キラの殺しが再び起きた… さらには鹿目まどかの家族からの捜索願の届出が警察に…)

L(昨日から今までに公共交通機関や道路の監視カメラにはキラの姿はなかった、だがこの街から出る方法などいくらでも…)

L(…いや、松田、模木両名の報告からすると目の前から忽然と姿を消した、姿を消す…? これもキラの能力だとでもいうのか…?)

L(違う、消えたのは巴マミが変身とやらをしてからだ、そうだとするとテレポートの類? もしくは隠蔽能力? さらにはキラと同じく行方不明… こちらは一人暮らしのため捜索願は出ていない… まさかキラと協力関係に…?)

L(…まずい、だが超能力で人を殺せると考えると、さまざまな超能力があると考えるのが自然か?)

L(………)

L「夜神さん、今からキラ容疑者宅へ出向くことは出来ますか?」

総一郎「ああ、それは出来るが」

L「それでは、キラ容疑者宅に監視カメラ及び盗聴器、出来れば赤外線センサー等の設置をお願いします。キラ容疑者の部屋のみで構いません、すぐにでもお願いします」

松田「ば、馬鹿な! それはまずいですよ竜崎!」

相沢「ばれたら人権問題、いやそれどころか犯罪者に………」

L「必要なことです。今からキラは人を殺せる力以外にも何らかの力を得たと考えて調査することにします」

総一郎「何らかの力? どういうことなんだ竜崎、ちゃんと説明してもらえないか」


L「今回の事件、不可解なことが起き過ぎています。松田さん、模木さんが確認した巴マミの変身、目の前から消える現象、これはもうキラの殺しの力以外にも何らかの力があると見て間違いないです」

L「瞬間移動などなら家族も知らない間に部屋に戻っていてもおかしくない、隠蔽能力ならばそもそも部屋から出ていないのかもしれない。ですがそれを判断できる術は現状何もありません」

L「瞬間移動、隠蔽能力、変身能力… 数えだしたらキリがありません。それを見極めるための設置になります」

宇生田「そんな非現実的な…」

L「非現実的なことは既に起こっています、厄介なのはそれがなんなのかがわからないところです。現在出来ることはこの非現実的なことの中心となっているキラ容疑者の周りを徹底的に洗い出すことしかありません」

L「…皆さん、理解してください。普通の捜査を行っていてはこの事件を解決することは出来ないことに」

総一郎「………だが、それは… しかし…」

L「………それでは、今からキラ容疑者の部屋を捜索しキラという証拠が出た場合に設置することにしましょう。それならば構いませんよね?」

松田「令状もないのにですか!?」

L「………捜索依頼が出たので、娘さんを捜索する上での手がかりをとでもなんとでも理由をつけてやればいいじゃないですか」

L「………すいません、私結構あせってます。嫌な予感がするんです、どうか協力していただけないでしょうか?」

総一郎「…わかった、捜索をして証拠が出次第取り付けを行う…」


L「ありがとうございます。盗聴器などは既にワタリに用意させてありますので捜索に出向く際に一緒に持っていってください。後キラ容疑者宅では絶対に本名を名乗らないでください」

総一郎「ああ、わかった」

L「宜しくお願いします、私はまた別の方向から調査を行いますので少し席を外します」

 そのまま部屋を出て別室に歩き始めるL。

L(今警察との協力関係を崩すことは出来ない… が、どうしても後手後手となっている…)

L(今後はさらに厄介なことになってくる可能性も…)

 別室の部屋を開け中にあるパソコンを操作し始める。

L「ワタリ、今他に誰かいるか?」

ワタリ「いえ、私一人です。先ほど指示があった盗聴器関係を準備中です」

L「そうか、それならその内の何個かを巴マミの部屋に設置してくれ。彼らには内密で頼む」

ワタリ「…よろしいのでしょうか」

L「ああ、だが鹿目まどかの部屋に取り付ける分は当初予定通りで、巴マミの部屋には余る分で構わない。また追加で用意ができたら全ての部屋を確認できるように設置しなおしてくれ」

ワタリ「わかりました、そのように」

L「頼む」

L(…これで何か進展があれば)

 その後、まどかの部屋のパソコン類から今までの履歴を調べた結果、犯罪者を調べている形跡、死亡した被害者と検索時間の一致が百件以上に上った。

 総一郎達はまどかの部屋に監視カメラ類を仕掛け、ワタリは極秘でマミの部屋に監視カメラ類を仕掛けた。

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本日はここまでです。
また来ます。

QBさんは宇宙人ですし死神の目もノートも効果がないということで。

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2日目 夜

L(キラの殺しは止まらない… どちらの監視カメラにも何も映らない…)

L(キラの姿が何処にもない、完全に消えた…)

L(最悪の状況だ… どうする…? このままだと別の方面からも厄介なことになる…)

 その時Lのパソコンにワタリからの通信が入る。

ワタリ「え、L。大変です! 巴マミ宅の監視カメラを!」

L「どうした? ………!?」

 マミの部屋の監視カメラにまどかの姿が映し出されていた。

L「ど、どういうことだ? 一体何処から現れた??」

ワタリ「別の視点からの映像ですが… し、信じられない…」

 カメラの画像には床から徐々に姿を現すまどかが映っていた。

 Lはその画像を見て持っていたチョコレートを落とし呆然としている。

L「瞬間…移動………。本物の………超能力か」

 呆然としていたLであったがすぐさま頭を切り替えワタリに指示を出した。

L「ワタリ、すぐ現場に… いや、麻酔狙撃銃を持ち部屋を狙える位置に向かってくれ、位置につき撃てる状況なら撃っても構わない」

ワタリ「わ、わかりました」

L(模木に連絡を… いや、瞬間移動をする以上気づかれた時点で逃げられる、ここはワタリに任せるしか…)


 その時盗聴器がまどかの声を拾った。

まどか『…見滝原は終わりましたね』

L(なんだ? 終わったとは一体なんなんだ? 誰かと話しているのか? いや、独り言か?)

まどか『パパやママと会っちゃうと決心が鈍りそうだから… 私はこのままこの街を出ますね』

L(! まずい、このままだと…)

まどか『マミさんとの思い出残していきますね… 最後の日にはまたここでお茶をしましょうね』

L(何をしている、カメラの死角になって… 巴マミ宅に重点的にカメラを仕掛けるべきだったか…)

まどか『それじゃあ、いってきます』

 その言葉と共にまどかの姿は床に沈むように消えていった。

L(消えた………)

 Lはその場に立ち尽くし、しばらくの間まどかの消えた監視カメラを見続けていた。

 そしてワタリに通信を行う。

L「ワタリ、もういい」

ワタリ「L? まさか、もう?」

L「ああ…」


L(だが、キラは何かをしていた… 一体何をしていた?)

L(危険だが… 部屋を調べるしかないか…)

L「ワタリ、狙撃ポイントには向かわずそのまま巴マミ宅に向かってくれ。キラは何かをしていた、それを見極めたい」

L「十分注意してくれ、顔は絶対に見せないように、今監視中の模木には私のほうからワタリと交替するように伝えておく」

ワタリ「…わかりました」

 Lはさらに電話をかけ始める。

模木「はい、模木です」

L「竜崎です。模木さん、今から夜神さんに合流をしていただけませんか?」

模木「どうしたのですか? 現在巴マミ宅を監視中ですが?」

L「しばらくするとワタリが到着します、ワタリと入れ替わりで見滝原署へ向かってください」

模木「? わ、わかりました」

 その後、ワタリがマミのマンションに到着し模木と入れ替えとなる。

ワタリ「では… 入ります」

 ワタリはマミの家に鍵を開け入り込む。

 そのまま慎重に部屋を調べ、机の上にあるノートの切れ端を見つけた。


ワタリ「L、こんなものが机に…」

 ワタリは監視カメラに向かいノートに書かれている絵を見せる。

L「絵? 姿からしてキラと巴マミ…? メルヘンチックな格好の絵だな… それだけか?」

ワタリ「はい… 他は変わったところは特に…」

L「………」

L(絵を置きに来ただけ? いや、あの独り言から察するに何かを決断している… 何だ? キラの殺しのやり方は何も変わっていない… 別の何か… 一体何だ…?)

L「ワタリ、その絵を… いや、そこに置いたままにしておいてくれ」

ワタリ「よろしいのですか?」

L「ああ、キラは独り言をしていたが、また戻ってくるような口ぶりだった。もしキラが再び戻ってきたときに部屋にその絵がなく違和感を感じてすぐ逃げられる可能性も0ではない、不確定要素は極力減らしていく」

ワタリ「わかりました」

L「すまない、その後は念のため狙撃ポイントで待機してくれ。恐らく戻っては来ないだろうが念のためだ」

 そのまま通信を切り、Lは再び思考し始める。


L(………最悪だ)

L(瞬間移動、それもキラ自身による力… これで確保することはほぼ不可能となってしまった…)

L(あの口ぶりからして見滝原から既に出ている… 手がかりすらない… 最後の希望はもう一度戻ってきたときのみか…)

L(殺しの力、瞬間移動の力、さらには姿を見せない巴マミ… だが、こいつも何らかの力も持っていてキラに協力していると考えるべきか…)

L(どうする… 警察関係者にこの事実を公表して全国指名手配を… いや、そんなことをすれば…)

L(………殺しの力と瞬間移動の力を解明したいと考える人間が絶対に出てくる、それも政府の人間が言い出すだろう)

L(………さらには別の国家からも。そうなった場合………国家間のキラ争奪戦)

L(キラを捕まえるためにどれだけの人間が犠牲になるか見当もつかない…)

L(事実を公表せずにこのまま続ける場合、私とワタリ、そしてロジャー。動ける人間は3人、無理だ…)

L(ワイミーズハウスの子供たちは… 駄目だ、まだ幼すぎる…)

L(秘密裏に動くとしても人数が多くなりすぎてもどこかから情報が漏れる…)

L(10人以下が理想、私と同じような思考を持つ人間で、なおかつ絶対に情報を漏らさない人間が2人… いや1人…)

L(他にもさまざまな分野を網羅するスペシャリストが数人…)

L(………)

L(いや、まだだ。まだ時間はある… やれるべきことをすべてやりあきらめるのはそれからだ…)

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本日はここまでです。
また来ます。

まどかの魔女の口付けは普通の人には見えないということで。

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2日目 深夜

 現在、キラ捜査本部の5人はLに呼ばれ一室に集められている。

松田「こんな深夜に呼び出しなんてどうしたんでしょうね?」

相沢「わからん… だが全員必ずと言っていたし何か手がかりでも掴んだのではないのか?」

宇生田「昨日も鹿目まどかの部屋を捜索した結果、キラとしての証拠も見つけてほぼ確定したようなもんですしね。居場所を見つけましたなんて言って来てもおかしくないですよ」

総一郎「…うむ、そうであればいいのだが」

 ドアが開きLが部屋に入ってくる。

L「皆さん、深夜に呼び出し申し訳ありません」

総一郎「いや、今回の呼び出しは一体どういった内容だろうか?」

L「はい、今回の事件ですが… いえ、その前に皆さんに謝罪をします」

総一郎「?」

L「私は昨日皆さんに相談せず、独自の判断で巴マミ宅に盗聴器と監視カメラをしかけました」

全員「なっ!?」

L「色々言いたいことはあると思いますが、先に全てを説明します」

L「まず、数時間前巴マミ宅にキラが現れました」

全員「!?」

総一郎「ど、どういうことなんだ竜崎!?」

L「落ち着いてください、これがその映像です」

 Lはまどかが映った監視カメラの映像を見せる。

松田「こ、これって」

相沢「ゆ、床から…?」

模木「出てきた…」

L「ご覧の通りです、これは合成映像でも何でもありません。キラは瞬間移動に類する能力を持っています」

総一郎「ば、馬鹿な…」

L「はい、馬鹿な話です。ですが、現実です」

L「この時点で、キラを確保することはほぼ不可能と言ってもいいでしょう。顔と名前を知った人間を殺す力を持ち、尚且つ瞬間移動で移動できる。さらにはもう見滝原を出てしまっていると思われます。手がかりもありません」

全員「そんな…」


L「ですが、諦めません。必ず捕まえます」

松田「ど、どうやってですか? 捕まえても瞬間移動なんてされたら意味無いじゃないですか? それに居場所もわからないんじゃ捕まえる以前の問題ですよ」

L「………居場所がわからない、手がかりもない、見当もつかない。ですので探すことは諦めます」

模木「な!? どういうことなんですか!?」

L「キラを誘き寄せるということです。理想は我々が罠を張った位置に誘き寄せ、長距離からの麻酔銃で狙撃、もしくは罠の種類として電気ショック、睡眠ガスなどを使い意識を失わせ逃げる間も与えず確保、これが理想です」

L「どんな力を持っていようと意識がない状態で使えるはずがありません、確保後は完全に監禁、ですがここで問題が発生します」

総一郎「問題とは?」

L「瞬間移動をする以上、キラの意識を戻すわけにはいきません。ですので殺しの方法を立証することが出来ないんです」

全員「………」

L「………ここからはもう賭けになりますが、ある人物を確保し尋問をしようと考えています」

宇生田「ある人物ですか?」

L「…今回、行方がわからなくなっている巴マミです。今回の事件、彼女も何らかの形で関わっている可能性が高い。そして彼女も超能力を持っていると考えられます」

L「彼女の力を解明することで、キラの力も解明できる可能性があります………」

松田「それでも、キラと一緒にいなくなったという事はキラに殺されている可能性もあるんじゃないですか?」

L「ですので賭けになります。生きているにしろ死んでいるにしろ彼女を発見できればキラに繋がる何かも見つかるはずです。キラは自宅にも姿を見せなかったが巴マミ宅には姿を現した… 絶対に何かしらの繋がりはあるはずです…」

全員「………」

L「以上です、今後はキラを誘き寄せる策を練り、捜索は巴マミを捜索する形に捜査方針を変更します」


総一郎「…竜崎、一ついいか?」

L「はい」

総一郎「何故我々には黙って巴マミ宅に監視カメラを取り付けたんだ?」

L(………来たか)

L「それに対しては弁解の余地はありません、私の独断で必要と判断し取り付けたまでです」

L「結果論ですが巴マミ宅にキラが現れ、キラの力の一部が判明した、その為の設置だった…では駄目ですか?」

総一郎「理由になっていない! 竜崎のやっていることはれっきとした犯罪だ!」

L(………)

L「………今回の事件、今までに類を見ない事件です。私が警察庁本部にて犯人は超能力を持っていると発言したことを覚えていますか?」

総一郎「? ああ、それがどうしたんだ?」

L「あの時点で私はキラを鹿目まどかとほぼ断定しており、予定ではもう確保できていたはずなんです、そして確保した事実は世間に公表せずキラは死亡と言う形で世間に発表する予定でした」

総一郎「………?」

L「ここで一つ質問です、直接手を下さず人を殺せる力。どう思いますか?」

総一郎「そんな恐ろしい力… この世には存在してはならない力だ、どんな使い方をしたとしても人を殺した上で何かを成し遂げようとすることなどあってはならない」

L「正義感の強い夜神さんらしい回答ですね。誰もが夜神さんのような考え方をできればいいのですが現実は違います」

総一郎「?」

L「その力を利用したがる人間は腐るほどいるということです。もしもキラが犯罪者だけではなく自分を追うものや自分の邪魔になるものを殺していればまた話は変わったでしょう。そんな人間はコントロールできないし、しようとしてもいつ自分が殺されるかわからない」

L「ですが、キラは犯罪者のみを殺している。そうなるとキラを取り込んで思考を変えさせ利用しようと考える人間がいるんですよ、そしてそういった人間は既に動き出している」

総一郎「な、そんな事一体誰が…?」

L「アメリカ、ロシア、中国。このあたりの国は既に工作員を日本に派遣しています。他各国も動きが見られます、さらに世界の犯罪組織、戦争屋、宗教、企業… 把握できないくらいですね」

L「そして日本も例外ではない。政府官僚の一部ではキラを捕まえ説得しようと考えている、これが現状です」

松田「そんな…」


L「ですが、誰よりも早くキラを捕まえる自信が私にはありました… そう動いていました、しかしキラに逃げられてしまい今の状況があります。完全に私の失敗です、油断していました」

L「まだ各国はキラが鹿目まどかとほぼ確定したことは知らない、キラ容疑者段階というのが各国の認識。これはダミーの情報を流し、鹿目まどかをキラ容疑者から外すことによって目をそらすことは可能です」

L「ですがもしもどこかから情報が漏れ、各国がキラを本気で追ってきた場合、相手は手段を選びません」

総一郎「それは…」

L「ですので、一刻も早く情報を掴みたかったのです。犯罪ということはわかっています、私を捕まえていただいても結構です。ですが全てはこの事件を解決してからにしていただきたい」

L「そして私は今後も捜査をする上で皆さんが犯罪行為と認識している行動を取ります。全てはキラを捕まえるため。理解してもらえないと思います、ですがこの事件を解決するまでは黙認していただきたい」

L「…信用していただけるかわかりませんが、今後は絶対に隠し事はしません。何かをする場合も全て真実を話します。ですが、それを止めないでほしいのです。 …いかがでしょうか?」

総一郎「………竜崎、貴方の考え、捜査のためならば何をしても構わないという姿勢。私には理解しずらい… だが、貴方の力がなければこの事件を解決することは不可能ということはわかっているつもりだ」

総一郎「…貴方の行動は黙認する、しかしこの事件が終わったら私も貴方の犯罪行為を黙認したという形で何らかの処罰を受けることにする」

L「! 夜神さん…」

総一郎「キラを捕まえたい、その気持ちは我々全てに共通する思いだ。今後もよろしく頼む…」

L「…ありがとうございます」

 一旦話を区切り、Lは資料を広げる。

L「それでは今から捜査方針を変更します」

総一郎「? 先ほど言っていたようにキラを誘き寄せる策と巴マミを捜索するのではないのか?」

L「捜査方針を変更するというのは皆さんに対してです」

L「まず、今までキラを捜索、主要箇所の監視を行っていただいていましたが。これからはここで見滝原近隣都市のあらゆる場所… 最初は食料品店から監視カメラの映像を確認していただきます。可能性は低いと思いますが、もしかしたら何かが映っているかもしれない」

L「夜神さんは一度警察本庁にキラ容疑者・鹿目まどかという情報が誤りだったと報告してもらえますか。ダミーの資料はこちらになります」

総一郎「それが先ほど言っていた…」

L「はい、本庁の捜査本部にはキラ事件は振り出しに戻ったと伝えてください」


総一郎「だが、警察の力を使わずに…」

L「今までは警察の力は必要でした、ですが状況が変わりました。今後はどれだけ秘密裏に、かつ迅速にキラを確保し、能力を解明することが鍵となってきます。後これからは私が見滝原で調査を行います」

松田「そ、それって、竜崎が外に出て捜査をするって事ですか?」

L「そうです、今までは私が皆さんの目となっていましたがこれからは逆になります、頼りにしますので宜しくお願いします。命を懸けると言ったのに私だけが部屋の中にいるというのもアンフェアですしね」

L「それと、これからは捜査状況を本庁にも伝えないようにしてください。私とワタリそしてここにいる5人でこの事件を解決します」

全員「!?」

L「策は練ります、今重要なことはキラが殺しの力と瞬間移動の力を両方併せ持ったということを誰にも知られてはいけないということです」

L「先ほども言いましたが、殺しの力だけでもキラを利用したいと考える人間は腐るほどいます。さらに今回瞬間移動能力というおまけがつきました。この事実が知れ渡った時には悲惨なことになるでしょう」

L「殺しの力と違い瞬間移動は利用価値が段違いです。何にでも応用できます。そんな力もキラが持っているとわかったらもう目も当てられません。恐らく世界中からキラを捕まえるために日本に集まる、そして戦場になるでしょうね。キラ争奪戦の戦場に」

全員「………」

L「民間人の犠牲も計り知れないものになるでしょう。ですがそうなる前にここにいる皆でキラを捕まえ事件を解決するんです。誰にも知られないかもしれない… それでも、我々がやるしかないんです」

松田「な、なんだかかっこいいですね。知られざるヒーローって感じで!」

相沢「松田! 子供の遊びじゃないんだぞ… だが、そういうのもアリだな…」


総一郎「…竜崎、現状がよくわかった。貴方の指示に従おう」

 その後もある程度方針を固め1週間近く全員泊り込みで捜査を行うことが決定した。

L(何とか言いくるめれたか… 今回口車に乗せ、捜査本部の人間にある程度の犯罪行為を認めさせることは成功した…)

L(念のため、この捜査本部で捜査を行ってもらい外には出さず絶対に情報が漏れない状態にもできた… だがこんな状態1週間が関の山、その間に何とか次の策を考えなければならない)

L(人員と策… 駄目だ、現状では何も出来ない… 何か一つあれば… 何か一つ)

L(………)

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本日はここまでです。
また来ます。

感想ありがとうございます!
頭がこんがらがってきました。

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3日目 昼

 捜査本部は現在モニタールームで監視カメラの映像を見続けていた。

松田「こ、これ、思った以上に大変ですね。というか昨日の深夜からぶっ続けで見ても2割も減ってないですよ…」

宇生田「松田… 話しかけないでくれ… 気が散る」

模木「………」

相沢「…竜崎は先日別のモニタールームで数十の画面を倍速で見ていたぞ」

松田「ま、まじっすか…」

 扉が開きLが部屋に入ってくる。

L「皆さんお疲れ様です、追加でお願いしたいことがありますので少しいいですか?」

総一郎「あ、ああ。次は一体何を?」

 そのままLは机の上に資料を並べ始める。

L「皆さんに追加でやっていただきたいことは今から飛ばす予定の光学迷彩式無人監視飛行ロボットから送られてくるデーターの確認と精査です」

L「監視衛星などを使えればいいのですが、流石にそこまですぐ用意することは出来ませんでしたので今回こちらのロボットを多数飛ばし見滝原から関東全域までを監視します」

全員「………」

L「ロボットから送られてくる画像データーには顔認識システムでキラ及び巴マミの姿を発見できた場合はすぐに分かるようになっています」

松田「あの… そんなロボット聞いたこともないんですけど…?」

L「ワタリの発明の一つです。未発表のものは結構あります。今回使えるものは何でも使います」

松田「そ、そうですか」


L「キラといえど人間。食料や生活必需品を手に入れるためにどこかに姿を現すはずです、監視カメラがない場所でもこれである程度はフォローできるようになります」

L「瞬間移動で逃げられるにしても、姿を確認する内にキラの行動パターンも把握できるようになります。…まあこれはかなり時間がかかりますのであくまで保険ですが。メインの策はやはり誘き寄せ罠にはめ確保になります」

総一郎「竜崎、その策と言うものはどういった内容なんだ?」

L「………」

総一郎「竜崎?」

L「昨日嘘はつかないといいましたので正直に話します」

L「策はまだないです」

全員「なっ!?」

L「手段を選ばなければ、家族や友人を人質にして偽の誘拐事件でもでっち上げ、メディアに誘拐事件犯人の居場所を流し誘き寄せる。犯人はいないので殺せませんし、焦ったキラは瞬間移動で現れる。そこで確保。…キラの性格を考えてみると成功する確率も高いですね」

L「ですが、この方法を取るともしも逃がした場合は終わりです。我々を悪人と判断し、瞬間移動で背後から現れそのまま殺される…かもしれません。出来ることなら確実に捕まえる策にしたい…」

全員「………」

L「そういうわけで今から策を探しに行ってきます」

相沢「えっ?」

L「とりあえず、キラの家族や友人達に発信機と盗聴器を仕掛けてきます。キラと会っている確率は0に近いですがやれることはやっておきます。さらに資料の上からではなく実際に自分の目で見ることで分かることもあるかもしれません」

総一郎「それは! …いや、すまない。だがキラの家族や友人に近づくのは危険ではないのか?」

L「もう姿を隠しているというアドバンテージはないに等しいです。何処から現れるかも分からない、キラがその気なら既に私は死んでいます。キラがそれをやらないということはまだ犯罪者のみを殺し追うものは放っておくそのスタンスを貫いているからです」

L「さらに監視カメラに姿を映せたということは、キラは監視カメラや盗聴器など機械関係は気付けないと推測できます。というわけで少し外出してきますので、もしもキラが姿を見せた場合はすぐに連絡をお願いします」

 そのまま、Lはぺたぺたと足音を立て本部を出て行った。


3日目 夕方 学校近くの道路


L(キラの友人、美樹さやか・志筑仁美には体育の授業中に忍び込み発信機と盗聴器をそれぞれ制服、鞄、携帯に取り付けを完了した…)

L(キラの家族は… 深夜に忍び込んでやるしかないな)

L(盗聴器の感度は良好、美樹さやか・志筑仁美の両名はかなり精神的に落ち込んでいる)

L(キラが行方不明になったため… やはりキラは友人にも気付かれず犯罪者を殺していたということか…)

L(キラの人なりをもう少し把握しておくか…)

 Lの視界に下校中のさやかと仁美を捕らえた。

 そのままLは二人に近づき話しかけた。

L「すいませーん、ちょっといいですかー?」

さやか「?」

仁美「…どちら様ですか?」

L「私、さくらTVの取材に携わってる流河といいますけど、今行方不明になってる鹿目まどかさんについて尋ねたいことがあるんですよねー」

L「お二人は鹿目まどかさんのご友人ですよね? 行方不明になる前に何か兆候とかってなかったですか? 家族ともめていたりとか、あっ、もしかしてお二人と何かあったりしましたか?」

さやか「………」

仁美「…まどかさんとはいいお付き合いをさせて頂いてますし、いなくなる兆候なんてありませんでした………」

L「そうなんですか? でもほら、最近の中学生のいじめとかって凄いらしいじゃないですか? いじめを苦に蒸発なんてありえますよね? そこらへんのところどうなんですか?」

さやか「………あんた一体なんなのよ? 何が言いたいわけ?」

仁美「さやかさん…」

L「だからお二人が鹿目さんをいじめて、彼女がそれを苦に蒸発しちゃったんじゃないかと…」

さやか「ふざけんな! まどかはあたしたちの親友だ! TVの取材だかなんだか知らないけどあたしたちのことを知らないくせにそんな事言うな!」

さやか「仁美! 帰るよ! あんた、もう二度とあたしたちの前に顔を出さないで!」


 二人に睨まれLはそのまま踵を返し歩き始める。

 そして耳にイヤホンを刺し、取り付けた盗聴器で二人の会話を聞き始めた。

さやか『なにあいつ! 信じられない! あたしたちがまどかをいじめてただなんて! ふざけんなっての!!』

仁美『本当に酷すぎます… どうしてあんな酷いことを言うんでしょう…』

さやか『また今度同じこと言ってきたらぶん殴ってやる!』

仁美『………さやかさん、まどかさんは本当にどこに行ってしまわれたんでしょう?』

さやか『…仁美。多分どこかに行ってるんだよ! あたし達に言わずに旅行とかさ、戻ってきたらとっちめてやろうよ!』

仁美『…さやかさん、何か隠していませんか? 私知ってるんですよ? さやかさんが放課後街中を探し回っていることを… 本当はまどかさんがどこかに行ったことを知ってるんじゃ…?』

さやか『………仁美、ゴメン話せない。でも、あたしもまどかがどこに行ったのかは分からないんだ… どこにもいない、どうしてこんなことになっちゃったんだよ…』

仁美『さやかさん………』

 その後しばらく盗聴を続け二人が分かれたところで会話が途切れた。

L(二人ともキラの居場所は知らない… だが、美樹さやか、こいつは何かを知っている…)

L(鹿目まどかと巴マミ二人と行動を共にしていたのもこいつだけ。今後はこいつの行動を重点的に監視するか…)

L(しかしキラ… 友人にかなり信頼されている。私の考えていたキラの人物像とまた少しズレが出てきた… 何が原因だ? いや、キラは鹿目まどかで確定している、今考えるべきことは別だ…)

 Lは曲がり角を曲がったときに整った顔の青年とぶつかりかけた。

???「おっと、すみません」

L「いえ、こちらこそ。不注意でした」

 そのままLと青年はすれ違う。

L(捜査本部に一旦戻り、美樹さやか宅にも監視カメラと盗聴器の取り付け、深夜に鹿目夫妻に発信機盗聴器を取り付ける、その後は…)

L(………)


投下終了
また来ます。

スピンオフ組みはこの世界にはいないと思います。
食料に関しては魔女マミさんにお願いしてどこかから持ってきてもらってます。
魔女マミさんが持ってきてくれたものなので信用して食べてます。

投下開始


4日目 夕方

 Lは見滝原郊外でさやかの様子を車の中から伺っていた。

L(美樹さやか、毎日放課後は街の郊外まで出向く。しかも人気の少ない場所ばかり。キラを探しているのだろうが何故こんな場所ばかり…?)

L(…キラが自殺未遂者を助けた場所も似たような場所、巴マミも自殺未遂者を助けていた… そして美樹さやかが探している場所… 変死事件も同じような場所で起きている…)

L(もう間違いない、キラ事件、変死事件は繋がっている。そして変死事件に関する何かが今回のキラを逃がす要因になった。変死事件を解明するか…? いや、時間がかかりすぎる、あの事件は何もわかっていないとも言ってもいい、手がかりとしてはキラ、巴マミ、そして美樹さやか…)

L(もう美樹さやかを確保し尋問するか…? いや、まだ早い… 一日でこれだけの情報が得られた、もう数日泳がせてそれから… いや、それでキラを逃がしてしまった…)

 その時、盗聴器がさやかの声を拾う。

さやか『………ここにもいない。どこにいっちゃったんだよぉ、まどかぁ… マミさんもいなくなっちゃったし… 魔女にやられちゃったの…?』

L(!)

さやか『そんなわけない… マミさんはあんなに凄くて強い人なんだし魔女なんかにやられるわけない… どこかにいるはずなんだ…』

L(魔女? 何だ? まだ何か…)

 Lはさやかが情報をさらに漏らすことに期待したがそれ以降は無言になってしまった。

L(………魔女。美樹さやかの言い方からするに巴マミは魔女とやらと戦っていた? そしてキラと巴マミが行動を一緒にしていたとなると… キラ=魔女、そして巴マミを殺し姿を消した? いや、違う …情報が足りない)

L(だが、分かることは美樹さやかも情報を断片的にしか持っていないということ… これならば泳がせて新しい情報を持ってくることを祈るか…)

L(鹿目夫妻からは特に目新しい情報はなし、志筑仁美も同様、やはりこいつを調べ上げるしか…)

 その後もさやかが家に帰るまでLは尾行を続けた。




5日目 昼

 Lが車の中で本部から送られてきた資料を見ている最中に、知久に仕掛けた盗聴器から見知らぬ声を聞き意識をそちらに送った。

知久『ええと、まどかの友達なのかい?』

ほむら『はい、同じクラスの暁美ほむらといいます。まどかさんがいなくなったと聞き少しお話を伺いたくて…』

L(? 誰だ? キラと同じクラスにそんな名前の人間はいない… 何者だ?)

知久『…まどかは6日前に先輩の家に泊まるといってそれっきり帰ってこないんだよ……… まどかの友達の美樹さやかちゃんは先輩は巴マミさんだと言っていたが』

ほむら『美樹さんがですか? そんな… あの人とこんなに早く…?』

L(! こいつ…)

知久『何か知っているのかい!? 知っているなら教えてほしいんだ!』

ほむら『………すいません、私も名前を知っているくらいで… 巴さんの名前が出たので驚いて…』

知久『そうなのか… 僕たちも分かっていることは殆どなくてね、何か分かったら… 何でもいいんだ、教えてくれないかな?』

ほむら『はい、わかりました』

L(こいつ、何かを知っている… あけみほむら…?)

 その後、話は終わり意識を一旦戻し手元のパソコンを使い調べ始める。

L(暁美ほむら… 転校生、来週キラと同じクラスになる予定の少女…)

L(何故こいつはキラのことを知っている? いや、美樹さやか、巴マミのことも知っていた… 一体何者だ?)


 Lは電話をかけ捜査本部に連絡をする。

総一郎「はい、こちら捜査本部夜神…」

L「竜崎です、夜神さん至急調べていただきたいことがあります。暁美ほむら、この人物を分かる範囲で徹底的に調べてもらえますか? そちらの設備ならかなり詳しいところまで調べられるはずです、内容が分かり次第私に情報を送ってください」

総一郎「あ、ああ。わかった少し待ってくれ…」

L「お願いします」

 電話を切るL。

L(やはりどうしても時間がかかる… キラがもし戻ってきたときのためにワタリは巴マミ宅から外せない… 人員… せめてもう一人… 諜報関係のエキスパート…)

L(…ないものねだりはできないな。情報が届き次第何者かを見極める)

 約1時間後Lの下にほむらの情報が届いた。

L(暁美ほむら、心臓の病気で見滝原病院に入院、半年間病院からは出ていない、昨日退院… どういうことだ? …名前を騙っているのか、しかし何故この少女の名前を?)

L(何者かは分からないが、また一つ状況が動いた)

L(既に1時間… もう鹿目家付近にはいないか? だが鹿目知久がキラの友達と見ていたことからも年は14歳前後、もしかしたら見滝原中学女子の制服を着ている可能性もあるな… 平日のこの時間なら目立つ存在… まだいけるか?)

 Lは再度捜査本部に連絡をする。

総一郎「はい、夜神です」

L「夜神さん、もう一件注文です。見滝原の監視ロボットを鹿目家上空20キロ範囲で飛ばして、送られてくる画像データーの中に中学生くらいの少女、制服を着ているかもしれない。条件に当てはまる人物がいたら私に連絡をいただけますか」

総一郎「少女? 了解した、少し待ってくれ」

L「はい、お願いします」

L(もう数時間もしないうちに授業が終わり帰宅する生徒も出てくる… 間に合えばいいが…)

 Lの希望は空しく、少女を発見することは出来ず放課後となった。


5日目 夕方

L(駄目だったか… 仕方ない、謎の少女は後回し。鹿目家を監視しておけばもう一度やってくるかもしれない、そこで正体を突き止める)

L(次は、美樹さやか… 今日も街の捜索か?)

 その時、さやかに盗聴器に先ほどLが聞いた声を拾った。

ほむら『あの… 少しいいかしら?』

L(!? この声はさっきの少女?)

さやか『…誰?』

ほむら『私は暁美ほむら。鹿目まどかさんのことで聞きたい事があるのだけど』

L(! やはり、同じ人物… ここは教室か… 顔さえ見えれば…)

さやか『!? あんたまどかのことを知ってるの!? ねぇ、まどかは今どこにいるの!?』

ほむら『お、落ち着いて。私も彼女のことを探しているのよ』

L(やはりこいつもキラを探している… 何のために? いや、会話が終わるまで静観だな)

さやか『そう…なんだ…』

ほむら『少しは落ち着いたかしら?』

L(………)


さやか『…うん。それで、何? あたしに何を聞きたいの?』

ほむら『貴方達、3年生の巴マミさんと仲がよかったんでしょう? 鹿目さんは先輩の家に行くと言って行方不明になった。その巴さんも今学校には来ていない、貴方なら何か知っていると思って』

L(………)

さやか『………あんたも興味本位で聞いてくる口? あたしは二人のことは知らない、もう帰って』

L(………)

ほむら『待って』

さやか『うるさいな、あたしはもうあんたに用は………』

さやか『あんた、それ…』

L(? なんだ…?)

ほむら『そう、私は魔法少女よ』

L(………魔法? …キラの能力、瞬間移動……… 超能力… 魔女… 魔法少女……… 魔法使い………)

L(! こいつもキラ、巴マミと同じ… 繋がる、超能力。いや、魔法か)

L(魔法… 言い方を変えれば超能力と同類、キラ達はそれを操るもの達… 少しずつキラの力が見えてきた…)

 細い糸を束ねLは真相に近づき始めていた。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始


 Lは学校から出てきたさやかとほむらをその視界に納めた。

L(あれが暁美ほむら…? 人相がかなり変わっているが本人に間違いない。魔法とやらの影響か?)

L(………魔法、キラも巴マミも同系統の力… 暁美ほむら、こいつもそうだとしたら、巴マミの捜索をせずともこいつから力の詳細を聞き出せれば一気に捜査は進む…)

L(………これからキラと巴マミについて詳しい話しもすると言っている、ここで美樹さやかの知っていることは全て分かるか…?)

 Lは喫茶店に入っていく二人を見ながら喫茶店を確認できる位置に車を止めた。

 それと同時に、二人が入った後に少し送れて端正な顔立ちの青年が喫茶店に入る所を見て若干の違和感を覚える。

L(………あの男、先日学校の近くで)

 Lが思考する間もなく盗聴器がほむらの声を拾う。

ほむら『美樹さん、貴女は巴さんから魔法少女のことを聞いている… そうよね?』

さやか『うん… マミさんに連れられて魔女退治にも一回行ったよ』

ほむら『………』

さやか『マミさんは私達の事を守りながらあっという間に魔女を倒してた…』

ほむら『………その時は鹿目さんも一緒だったのよね?』

さやか『うん、それでまどかは次の日もマミさんと一緒に魔女退治に行ったんだけど、その日、家にマミさんの家に泊まるって電話してそれで…』

ほむら『そう………』

L(………魔法少女、敵が魔女でその敵と戦っている… 日本のアニメーションで似たような内容の物語は多々あるはずだが… だがこれも現実か…)


ほむら『鹿目さんは… 貴女達は魔法少女の契約はしていないのよね?』

L(! 契約…?)

さやか『うん、キュゥべえもいなくなっちゃったし…』

ほむら『………』

L(契約? キュゥべえ? 魔法を使うためには何か条件… いや、何かと契約をして魔法の力を得るということか? その対価は魔女との戦いに身を投じる… 辻褄は合う、だが… 何か…)

さやか『二人とも魔女にやられちゃったのかな…』

L(いや、キラは生きている。巴マミと何かあり、キラの魔法の力で巴マミを殺し… だがそれならば何故巴マミの部屋に… しかも巴マミ宅でキラが放った言葉は巴マミのことを案じているような…)

L(まて、そもそもキラは契約をしていない? どういうことだ? いや、友人にも黙って契約をしておりそこで殺しの魔法と瞬間移動の魔法を得た…? 違う、殺しの魔法はキラの魔法に間違いはない。だが瞬間移動… これは行方不明になった際に身につけたと考えるべきなのか…?)

 Lはその後盗聴を続けたがしばらくすると二人は会話を終え喫茶店から出てきた。

L(美樹さやかの知っていることはこれで全てか… だが暁美ほむら、こいつはかなり詳しいところまで魔法の力を理解している…)

L(魔法使いに盗聴器関係をつけれるものなのか? いや、キラも機械関係は認識できなかった… そう考えれば…)

 Lが思考を続けながらほむらの様子を見ていると、ほむらはどこかに歩き出した。

L(………この方角、まさか巴マミのマンションに向かうつもりか?)

L(チャンスだ、巴マミの部屋ならば監視カメラも盗聴器もある、そこで判断できる… 出来れば魔法の力というものも使ってくれれば…)


 Lはワタリに連絡を取る。

L「ワタリ、恐らく今から巴マミ宅に黒髪の見滝原中学女子制服を来た少女が現れる、彼女には何もせず状況を見ていてくれ」

ワタリ「わかりました、現在の狙撃ポイントから確認を続けます」

L「頼んだ」

L(さあ、どうなる? ………?)

 Lの視界にほむらから離れた場所を歩いている青年の姿が映った。

L(あの男… また? ………偶然じゃない、あの男暁美ほむらを観察している… 誰だ? あの男も魔法関係の人間か…?)

 Lは青年を写真に取り、捜査本部にデーターを転送し連絡を取った。

L「夜神さん、今私が送った写真データーの男を調べていただきたい。至急お願いできますか?」

総一郎「ああ、少し待ってくれ…」

L「頼みます」

総一郎「! ら、ライト?」

L「? どうしました?」

総一郎「竜崎、この写真に写っているのは、私の息子だ…」

L「! ………夜神さん、貴方は家で捜査状況を話したことは…?」

総一郎「馬鹿な… 捜査状況を話すどころかこの事件が起こってからは家に帰っていない」

L「………それでは息子さんは魔法使いなんて事はありませんか?」

総一郎「? 何を言っているんだ?」

L「………いえ、すいません。魔法に関しては戻った際に全て報告します。とりあえず先ほど鹿目家上空に移動してもらった監視ロボットを巴マミ宅上空に移動をお願いします。それと今から恐らく巴マミ宅に黒髪の見滝原中学女子制服を来た少女が現れます、監視カメラで全ての動作を見逃さないようにお願いします」

総一郎「また少女か? …了解した」

 Lは通信を切り、二人を追跡する。


L(夜神さんの息子…? 確かに彼の家はこの見滝原にあるが、何故彼の息子が暁美ほむらを? また一つ調べることが出来たか… だが、今は二人の追跡…)

 Lは二人を追跡しながらマミのマンションまでやってきた。

L(やはり巴マミのマンション… 監視カメラの映像と音声をこのパソコンに…)

 Lは手元のパソコンを弄りマミの家に仕掛けた監視カメラの映像を映し出す。

L(! 鍵を開け中に入ってきた… これも魔法…?)

L(部屋を探し回っているのか? …何か話せ、なんでもいい………)

L(テーブルを見ている… キラが残した絵…)

L(! 仕舞い込んだか、こんな事なら回収しておけば…)

 その後ほむらは少し部屋を探し、何もないと判断したのか部屋を出て行った。

L(何も情報が得られなかったか… いや、こいつが魔法使いということは確定的だ。もう接触して情報を………)

L(…あれは夜神さんの息子? 暁美ほむらと接触した! 何を話している…?)

 Lが二人を監視するが、少し話したかと思うとライトはその場を去っていき、ほむらはライトが去った方向を見続けている。

L(何を話した? ………!?)

 Lが見ていたほむらは魔法少女に変身してライトが去った方角へ走り始めた。

L(へ、変身。これが松田や模木の言っていた…)

L(! 夜神さんの息子を追い始めたのか? ………どうする、いや、何もせずともここまで状況が動いている… ここは黙って見続けることが一番…)


 Lはパソコンで夜神家の住所を確認し車で追跡を始める。

L(…しかし、早い。もう姿も見えない……… 魔法少女、人間の運動能力も遥かに凌駕しているのか…? だとしたら… 捕まえることなど出来るのか…?)

L(いや、まだだ。まだやるべきことはある…)

 Lは車で夜神家に到着した、だが到着したと同時に2階のベランダからほむらが闇夜に飛び立つところを目撃した。

L(!? …家から、まさか!?)

 Lは車を降り、夜神家のインターホンを鳴らした。

粧裕「はーーい。 …ど、どちら様ですか?」

 粧裕は扉を開けた先にいたLの顔を見て少し戸惑いながら尋ねる。

L(家族は無事だったか… いや…)

L「すいません。私、夜神君の学校の用務員なんですけど、忘れ物届けに来たんですがお兄さん、今います?」

粧裕「あっ、そうなんですか? ち、ちょっと待ってください」

粧裕「お兄ちゃーん! 学校の人が忘れ物届けに来てくれたよーっ」

 粧裕の呼びかけに2階から降りてくるライト。

ライト「? 忘れ物なんてしてないはずなんだけど…」

L(………彼も無事、暁美ほむらは一体…?)

ライト(…誰だ? …僕の記憶では学校の人間にこんな人はいないはずだが………)

 二人は別々の思考をしながらお互いの顔を合わせた。

投下終了
また来ます。

感想ありがとうございます。

投下再開


5日目 夜 夜神家

ライト「あの… 失礼ですが僕の記憶ではあなたのような人は学校の職員にいないはずなんですが?」

L「………」

L(夜神月… 夜神さんの息子、暁美ほむらとの接触… 彼が何を知っているのか、まずはそこだ…)

ライト「聞いていますか?」

L「すいません、少し考え事をしていました。申し訳ないですが、一本電話をさせてください」

ライト(一体なんなんだこの人は…)

 Lは電話をかけ始める。

総一郎「はい、夜神です」

L「竜崎です。夜神さん、説明は全て後でします。今私は貴方の自宅で息子さんと話をしています。とりあえず私の事を信用していただくよう話をつけていただけませんか?」

ライト(! 父さん? ………父さんは今キラ事件で家に帰っても来ていない、恐らくキラ事件の指揮を取っている父さんとこんなに簡単に電話を? しかも指示しているような言い方…)

総一郎「竜崎… 貴方の突拍子もない行動はこの数日で嫌というほど味わっているが… 戻ってきたら全て説明してくれ」

L「はい、分かっています」


 そのままLはライトに電話を渡す。

総一郎「ライトか? 私だ、久しぶりだな… 元気にしているか?」

ライト「父さん… 大変なのは分かっているけど一度くらい帰ってきてもいいんじゃないのか? 母さんも粧裕も心配しているよ?」

総一郎「ああ、すまないな… だがキラ事件にある程度の目処がつくまでは家には帰れない、母さんにもその旨は伝えてある」

ライト「…分かったよ、それでこの人は一体? 父さんの知り合い?」

総一郎「彼は竜崎といって信用できる人物だ。彼がお前に聞きたいことがあるらしい、少し話をしてやってくれないか?」

ライト(信用できる人物? この言い方、もしかして捜査員か? いや、捜査員にしてはやり取りがおかしい… むしろこの人が父さんを使っているような)

ライト「分かったよ、少し話をしてみるよ。それじゃあ、父さん、身体には気をつけて」

総一郎「ああ」

 ライトはLに電話を渡す。

L「ありがとうございます、それではまた何かありましたら連絡しますので」

総一郎「ああ、頼む」

 総一郎との電話を終了するL。

ライト「ええと、竜崎さんでしたか? それじゃあ立ち話もあれですし少しあがってください」

L「ありがとうございます。それと出来れば二人だけで話したいのですが」

ライト「…それじゃあ、僕の部屋で」

L「すいません」


 二人はライトの部屋に入り、ライトはベット、Lは椅子に腰掛ける。

ライト(………変な座り方だな)

 ライトの視線に気付いたL。

L「ああ、私はこの座り方でないと駄目なんです。一般的な座り方をすると推理力は40%減です」

ライト(推理力? 父さんと連絡を容易に取れ、さらにその父さんから信用できる人物と言わせる… さらに推理か、もしかすると…)

ライト「そうですか、それで話とはいったいなんですか?」

L「はい、暁美ほむらさんのことで夜神君に少し尋ねたくてですね」

ライト「? あけみほむらさんですか? …誰のことかわかりませんが?」

L(とぼけているのか? …いや、本当に知らないのか?)

L「…夜神君が先ほど話していた見滝原中学の制服を来た黒髪の女の子です」

ライト(! 見られていた? 何のために? しかもあの子の名前まで知っている?)

ライト「ああ、あの子には道で少し話をした程度なので名前までは知らなかったんですよ」

L(いいや、お前は暁美ほむらをつけていた。何を隠している…?)

L「おかしいですね? 夜神君は喫茶店から彼女を尾行まがいのことをしていたと思うのですが、私の見間違いですかね?」

ライト(! この人… つけていたのか? あの子、暁美ほむら… 尾行する?)

ライト(見滝原中学の女子を尾行する… キラ事件の警察関係者としか思えない… そして推理、そうなってくると…)

ライト「…あの、腹の探り合いはやめにしませんか?」

L「何のことでしょう? 私はただおかしいと思ったことを口にしているだけですよ?」


ライト「………あなたはLですね?」

L(!? なんだ… こいつ?)

ライト「その反応、当たりでしたか? ははっ、軽い冗談ですよ気にしないでください」

L(………失敗したな、本当にこいつ何を知っている? まさかキラに繋がっているのか? だとするとまずい…)

ライト(この反応本当に? いや、Lが顔を出すはずもない、それでも少し話のペースをこちら側に持ってこれたな)

L「…すいません、何故私がLだと?」

ライト「いえ、父とあそこまで容易に連絡をつけられ、さらには父に指示をしているようでした。恐らくはキラ事件の捜査指揮を執っている父にです。そして先ほど推理と仰いましたよね? さらにはこの会話の流れ、もしかしたらと思って言って見たまでですよ」

ライト「まあ、本物のLでしたら、キラを追っている以上姿を見せるはずもありませんし、あなたがLということはまずないと思いますので、あなたは捜査本部の誰かかと思いますが」

L(………焦りすぎたか、確かに情報を出しすぎた… だがこいつ、この少ない時間でここまで…)

L「………そうですね、私は夜神局長の下で捜査している者です。こういった性分でして局長にはいつもその口癖を治せといわれていますよ」

ライト(やはり、捜査本部の人間! そうなるとあの少女はキラ事件について何か関わりがあったのか、失敗したな…)

ライト「やっぱりそうでしたか。そうなってくるとあの子はキラ事件と何か関わりがあるんですか?」

L(キラ事件と結びつける? 何故だ… 暁美ほむらがキラと関わっていることなど捜査本部のものさえ今日知ったくらいのはず… 一体なんなんだ?)

L「すいません、それは言えません」

ライト(言えない、肯定しているのも同じだ。やはりキラ事件と関わりがある、暁美ほむら… 今後は彼女を重点的に調べれば)

L(まずい、ペースが完全に崩されている。一度話を変えるか…)


L「話は変わりますが、夜神君はキラ事件に関心があるんですか?」

ライト「? ええ、趣味である程度推理もしていますよ」

L(趣味で…? それにしては…)

L「そうですか、参考に夜神君の推理を聞かせてもらってもいいですか?」

ライト(………僕の推理を? Lならば既に鹿目まどかをキラ容疑者として、いやキラとして確定しているだろう。捜査本部もそれは同一の見解のはず、ここで僕が鹿目まどかがキラと発言しても問題はないか)

ライト(さらに僕の推理を彼が捜査本部で話し、Lに伝われば… もしかすると捜査本部から協力の依頼も来るかもしれない。そうすれば本部に協力してキラを捕まえることも…)

ライト「………わかりました。最初からでいいですか?」

L「はい、分かる範囲全てでも構いませんよ」

 ライトは自室の本棚、机に入れていた資料を取り出す。

ライト「それでは、まずキラ事件の最初の犠牲者。これは見滝原通り魔事件の犯人、次の犠牲者は見滝原女子中学生暴行事件。この二つの事件が発端と考えられます、これはLが流した放送から気がついたんですけどね」

L「………」

ライト「さらにはLが流した放送、あれから1ヶ月近くLはかなりキラを挑発していましたがキラは特に反応せず。犯罪者のみを殺し続けた、凶悪犯罪者をあらかた殺し終えその後は犯罪者なら無差別に殺し続けていることからもキラは犯罪者以外は殺さない」

ライト「そしてキラは超能力に類する力で人を殺している、世界中で犯罪者のみを心臓麻痺で殺すなんて普通の殺人方法では不可能、組織だって殺しているのならばこんな大事にはなっていない。もっと分かりにくい方法で犯罪者を殺すでしょう」

L「………」

ライト「このことからもキラは単独犯、さらに頭もそこまで回らない、自称正義の味方といった考えもあるのかもしれない、そういった思考回路は小学生高学年から高校生くらいまで」

ライト「そうなってくると、先に話した見滝原の事件、二つの事件に共通するのはある一家が関わっているということ、ここは調べるのにかなり苦労しましたが、この鹿目一家が両方の事件に関わっている」

L「………」

ライト「さきほどのプロファイルを当て込むと、キラはこの鹿目一家の娘、鹿目まどかです。彼女の思想までは分かりませんが、母親と友人を助けるために犯罪者を殺し、その後犯罪者を無差別に殺し続けるキラとなってしまった」

L(………まさか、これほどまでに)


ライト「ここまではあくまで推測、さらにこの推理に至ったのは4日前なんですが… 今回捜査本部の人が僕の下に現れたということで確信が持てました」

L「………」

ライト「キラが行方不明になっている以上、キラの友人の捜査をし始めた、それで僕が美樹さやかを調べている所で暁美ほむらという少女を発見しその少女と僕が接触をしたため事情を確認するためにここに来た、そういったところではありませんか?」

L「………」

L(そうか、彼も偶然暁美ほむらを見つけ接触したのか、そうなると…)

L「否定するほど違ってはいませんね、夜神君の推理の通りです」

L「………一つ疑問なんですが、キラの友人を調べていたということは夜神君もキラを追っていたということですよね? 危険だと思わなかったんですか? まさか犯罪者のみを殺しているから自分は殺されないとでも思ったんですか?」

ライト「………危険なのは承知の上です。ですが、この事件僕はキラの正体に気付いてしまった。気づいた以上、人がこれ以上殺されていくところを黙ってみてはいられなかったんです」

ライト「このまま見て見ぬ振りをしてしまったら、この先僕は一生後悔をしてしまう、同じような状況で逃げ続ける人間になってしまう。だから止めようと思ったんです、警察でもできないことがあるかもしれない、それに気付けば事件を止められるかもしれないと」

L(………親譲りの正義馬鹿。いや、親以上の正義馬鹿か…)

L「そうですか、余りほめられたものではないですね。そうやって夜神君が殺されてしまったら家族は悲しみますよ。特にお父さんは…」

ライト「………」


L(だが、彼なら… この推理力、正義感。現状を理解して動ける行動力… 全てを話し捜査協力を… いや、最後に一つ)

L「では、最後の質問です」

ライト「?」

L「私はLです」

ライト「!?」

L「この言葉から推理してください」

ライト(どういうことだ? LがLと言う筈が… いや、顔を見せるはずがない… 変な人とは思うが何故こんなことを…?)

ライト(………もしも彼がLだというのなら、キラを既に捕まえた? いや、捜査をしている段階、さらに殺しも止まっていない… だとすると姿を見せなくてはならない状況になっている? まさか捜査本部の人間が全て殺されLが一人に… いや父さんとさっき電話したじゃないか)

ライト(そうなると姿を隠しても意味がない状態、キラに殺されないと判断した? そんなわけない… ならキラに姿を隠しても無駄、そしてキラは行方不明、警察がキラを追っているのになぜかLはキラの友人に接触した僕の下に来た)

ライト(警察もLもキラの居場所すらつかめない、もしくは居場所を掴んでも捕まえられない。両方か、現在の日本の警察が行方不明で生きているはずの女子中学生の居場所すら分からないということは… さらには捕まえられない? 逃げられるということか? どうやって?)

ライト(姿を隠しても無駄で、居場所も分からない、それか逃げられる… キラの殺しの力… 超能力… まさか…)

ライト「キラの力は一つではない?」

L「!」

 その後夜神家から捜査本部に戻るLの車にはライトの姿があった。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始


5日目 夜 Lの車の中

 Lはライトに現在の捜査状況を話していた。

ライト「ま、魔法? …確かに超能力と思っていたキラの力ですが魔法といわれても違和感はないですね」

L「はい、そして夜神君が今日接触した暁美ほむら。彼女はその魔法使いと思われる一人になります」

ライト「流石Lですね… そんな所まで捜査を進めているなんて」

L「あ、Lではなく竜崎でお願いします。一応用心のためです」

ライト「分かりました、…偽名ですか、となるとキラの殺人に必要なものは名前… それと顔… ですか?」

L「その通りです。よく分かりますね、驚いています」

ライト「いえ、予想したことを口にしているだけです。それにしても僕がいきなり捜査本部に行ってもいいのでしょうか?」

L「大丈夫です、このまま放っておいても夜神君はキラ事件を追い続けますよね? それなら私達と一緒に捜査をしたほうが安全ですし、こちらの捜査体制も強化できる。…着きました」

ライト「マンション? ここが捜査本部なんですか?」

L「はい、キラ事件が発生して見滝原にキラがいると考えた時点で購入しておきました。外見は普通のマンションですが中身はこの一ヶ月で色々手を加えてあります、設備は最高のものが揃っていますので夜神君にも色々とやってもらいます」

ライト「わかりました。僕もキラを捕まえるために最大限力をお貸ししたいと思います」

L「はい、宜しくお願いします」



 Lとライトは捜査本部一同がいる部屋まで到着した。

L「ただいま戻りました」

総一郎「竜崎… ら、ライト!? お前、何でここに…?」

松田「あれ? ライト君?」

ライト「父さん… 僕も父さん達と共にキラ事件を追うためにここに来たんだ。竜崎さんにも了解をもらっている」

 Lを睨む総一郎。

L「夜神さん、言いたいことは分かりますが、まずは本日の捜査状況を聞いてからにしていただけますか?」

総一郎「わかった… 納得のいく説明を頼むぞ…」

L「はい。では始めに、キラの力と同系統の力… 今後は魔法と呼称します、本日捜査した結果、この見滝原に一人、魔法を使用する人間がいることを確認できました。先ほど皆さんにも調査及び監視して頂いていた暁美ほむらという少女です」

全員「………」

L「彼女は巴マミと同じく変身魔法を有し、他にも何か魔法を持っていると予想できます。そして、彼女はキラを探しています。居場所を把握しているわけではないようですが、恐らくキラ… いえ、鹿目まどか個人の情報をかなり詳しいところまで知っています」

L「また、魔法についてもかなり詳しい詳細を知っている可能性が高い。そのため今後は巴マミの捜索から暁美ほむらの調査を重点的に行っていく様捜査方針を変更します。…ところで現在暁美ほむらの居場所は把握できていますか?」

松田「我々も監視ロボットで監視をしていたのですが、彼女が変身をした後はあっという間に範囲外に逃げられてしまって… 現在はどこにいるのかさえも」

L「そうですか、それでは他の街に飛ばしているロボットも見滝原に集め監視体制を強化しましょう、居場所の分からないキラよりこちらを優先します」

ライト(………L、焦っているのか?)


L「次に、彼、夜神ライト君ですが。本日彼が暁美ほむらと接触しているところを発見し、私が事情を聴取しました」

総一郎「なっ!?」

L「事情を確認したところ、彼は独自にキラを追っており、キラの正体を鹿目まどかと断定して動いていました。その結果暁美ほむらと接触したわけですね。また、彼の推理を聞いてみたところ、驚くことに私の推理とほぼ同じ、そしてキラの力が一つではない事まで推理して見せてくれました」

総一郎「そ、そうなのか? ライト?」

ライト「ああ、竜崎さんの言うとおりだよ」

L「…続けます。さらに彼は独自にキラを追う危険性も理解した上で行動をしていました。夜神さんに似て正義感からの行動ですが、彼はあまりにも深いところまで足を踏み入れていた… そのため、私の判断でこの捜査本部につれて来た訳です」

L「どうも彼は一人でもキラを追い続ける節がありましたので、彼の安全面も考慮した結果こうなりました。夜神さんに相談もなく申し訳ないと思いますが…」

総一郎「ライト… お前…」

ライト「父さん、竜崎さんの言っているとおりだ。僕は一人でキラ事件を追い、キラの正体に気がついてしまった。黙って見ていることが出来なかったんだ…」

L「彼の正義感は並大抵のものでありません、夜神さんよりも上かもしれません。さらにその推理力には目を見張るものがありました。キラを追うなら一人よりもこの捜査本部で協力して追ったほうがキラを確保できる可能性も上がります」

総一郎「そうか… 竜崎、すまない。そしてライト、少し話がある。…だが竜崎の話が終わってからだな」

ライト「………」

L「あ、もう構いませんよ。話すべきことは終わりましたし、夜神さんも納得の行くまで息子さんと話し合いをしてください」

 その後、ライトと総一郎は数時間に渡り話し合いを行い、結果総一郎が折れる形となった。


6日目 朝 捜査本部


 ライトは今捜査本部の資料を一から全て確認していた。

ライト(キラが瞬間移動の魔法も持っているなんて… さらには魔法少女は人間の身体能力を遥かに超えた力を持っている可能性もある… でたらめだ… こんな状況一体どうすれば…)

ライト(それでも、人間… いや、生き物である以上何か穴があるはず、それを見つければあるいは)

ライト(穴? 何かを見落としているような…?)

L「夜神君、この捜査本部の情報を確認して何か分かりましたか?」

ライト「竜崎さん… いや、なんというか… 竜崎さんが焦っている理由が分かったような気がします」

L(焦る? ………確かにこの数日私らしくない行動を取り続けている、焦っているか… 違いない)

L「はい、はっきり言って八方塞な状況です、ですが暁美ほむらと言う新たな鍵が見つかりました。彼女を追っていけばキラの魔法の力、さらにはキラの居場所や今後の対処法が見つかるかもしれません」

ライト(キラの魔法の力か… 殺しと瞬間移動、さらには身体能力の上昇… キラの力…?)

L「もうすぐ監視ロボットを多数見滝原に持って来れます、そうすれば見滝原内でしたらどこにいるか把握できるようになります。状況が整い次第私も追跡を開始しようかと」

ライト「追跡ですか、そういえば昨日も僕を監視していたときはその監視ロボットを?」

L「いえ、あれは美樹さやかに取り付けた盗聴器から暁美ほむらを確認でき、その後彼女の尾行を開始したときに偶然見つけただけです。あ、盗聴器に関しては夜神さんも納得の上で取り付けてますので、詳しい話は夜神さんに聞いてくださいね」

ライト「………そうですか、父が納得しているならあれこれ言いませんが… その盗聴器関係は誰につけているんですか?」

L「監視カメラ類はキラの部屋及び巴マミ宅です。小型盗聴器と発信機は鹿目夫妻、キラの友人・美樹さやか、志筑仁美の4名ですね。まあ、この後に暁美ほむら宅にも仕掛けるつもりですが… どうやら魔法使いといえど機械関係は認識できないみたいですからね」

ライト(美樹さやか、志筑仁美… キラの友人か …何だこの違和感は?)

ライト(………キラの友人 …見滝原女子中学生暴行事件 !!)


ライト「竜崎さん、一つ確認をしたいのですが」

L「? どうしました?」

ライト「キラの友人二人に詳しい事情聴取はされましたか?」

L「………非常に言いづらいのですが、キラの居場所を知っているか確認するために少し誘導尋問まがいの事を行いましたね」

ライト「…それでは、この見滝原女子中学生暴行事件に関しては特に何もこの二人から聞いていないんですね?」

L「………? !! 夜神君… 完全に私の失敗です… 何故こんなことに気がつかなかったのか…」

ライト「何かに気を取られていたんですか? Lらしくもない失敗ですね」

L(キラが鹿目まどかと考えた時点で変死事件に興味が移っていたなど… 言えないな)

L「返す言葉もありません、さらにキラが行方不明になったあとは、瞬間移動や魔法の力といった次々出てくる新事実に目を奪われすぎました…」

ライト「見滝原女子中学生暴行事件は、警察の記録上は心臓麻痺の変死。だがこの事件は…」

L「キラの犯行。そしてキラが唯一現場にいた犯行」

ライト「この事件は被害者・美樹さやかを暴行中に容疑者・渋井丸拓男が心臓麻痺で死亡、そうなると」

L「キラの犯行を見ていた可能性が最も高いのは…」

L・ライト「志筑仁美」

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

ノートのルール関係、死神の目の取引関係は少し考えさせてください。

投下開始



 Lとライトは仁美に事情を確認するための会話をする。

L「しかし、困りました」

ライト「どうしたんですか?」

L「いえ、先ほど彼女らに誘導尋問まがいの事をしたと言いましたよね?」

ライト「ええ」

L「それにより私はかなり彼女らに恨まれたと思うんですよね」

ライト「………一体何をしたんですか」

L「まあ、それは置いておきましょう。私がいけないとなると誰が行くか…」

ライト「…僕が行きますよ。捜査本部の中では僕が一番彼女達と年も近いですし、そこまで警戒されずに近づけると思います」

L「…まあ、止めたところで無駄なのは夜神さんと話していたところを見てもわかりますが。あまり無茶をしないでくださいね。」

ライト「ええ、でもそれは竜崎さんには言われたくないですね」

L「では… そうですね、肩書きもあったほうが便利でしょうし偽の警察手帳を渡しておきます。一応余分に何個か作ってありましたので夜神君の写真を入れてしまえばほぼ完成です」

ライト「偽の… そうか、キラ対策ですね」

L「はい、後は… 情報を引き出すやりかたは夜神君に任せます。それと出来れば志筑仁美一人のところを狙ってください、美樹さやかは直情的な性格で話にならないかもしれませんので」

L「また彼女らはキラに対し深い友情を抱いています。その当たりを間違えると私みたいに恨まれてしまいますので注意してください」

ライト「わかりました」

L「それでは、といっても放課後まではどうしようもないですね。まずは夜神君も暁美ほむら追跡の準備に協力してください」


 二人はほむらを探すために捜査本部一同が揃うモニタールームにやってきた。

松田「あっ、ライト君! 本当に一緒に捜査することになったんだね。学校も行かずに大丈夫なのかい?」

ライト「はい、父さんとも話しましたが一年休学する覚悟で来たんです。父さんも快く許可してくれましたし大丈夫です」

総一郎「………まだ納得はしていないからな」

 3人の会話を遮るようにLが話し始める。

L「それでは見滝原にロボットを集まりましたので、これより暁美ほむらの現在位置を把握。状況しだいで暁美ほむら宅に監視カメラ関係を仕掛け、接触できるような状態になりましたら接触という流れで行きたいと思います」

L「接触は私が行い、皆さんには暁美ほむらが何処にいるかを常に把握していただきます。どこかに長時間留まったことを …いえ、30分でも留まった場合私が接触するために向かいます」

L「では、始めましょうか」

 Lの合図と共に各々の担当に取り掛かる。

 ほむらを見つけたのは1時間を経過したころだった。

模木「み、見つけました! 場所は見滝原の郊外、廃ビル付近を凄い速度で移動しています」

L「! 少し見せてください」

 模木の見ていたモニターを確認するL。

L(………やはり速い。このまま追跡してもいたちごっこになる可能性があるな。だが、この距離なら監視カメラの設置は可能か? …もう少し見てみるか)

L「…それでは、しばらく監視を続けましょう」

 モニター越しにほむらの行動を監視していると、しばらく経ったところで異変が起きた。

L「!?」

ライト「!? き、消えた?」

松田「そんな馬鹿な! いきなり消えましたよ!?」

L「落ち着きましょう、今の画像を、録画データーを巻き戻してみてみましょう」

 録画した画像をコマ送りで確認をする。

相沢「なんだこれは!? 完全に消えた?」

宇生田「こ、これも瞬間移動ですかね?」


L(万分の一秒単位で確認をしているが何の前触れも無く消えた… まさか監視に気付き身を隠した?)

ライト(信じられない… 実際にこの目で見てようやく理解した。これが魔法…)

L「まずいですね。彼女も瞬間移動系の魔法を持っている可能性が出てきました… いや、逆ですねチャンスです。彼女の力を知ることによりキラの移動の力が解明できる…かもしれません」

L「なんにせよ彼女が今何処にいるか、再度全員で確認しましょう。…見滝原にいてくれればいいのですが…」

 その後全員で監視を再開し、ほむらの姿を数十分後に再確認した。

L(まだ見滝原にいたか… 監視ロボットには気付いていない? 瞬間移動をしたのは何のために…? 普通に移動するためと考えるべきか、だがこうなると接触自体… 暁美ほむら宅前で彼女が戻るのを待つか?)

 ほむらはまた移動をしながら時折忽然と姿を消す行動が繰り返される。

L(…どうする? これでは追跡すら出来ない… 瞬間移動をする以上監視カメラの設置も… どうすることも出来ない以上、動けないか)

L「仕方ありません、彼女はこのまま監視を続け状況に変化があればその状況しだいで対応をしていく形を取ります」

ライト「…随分と大雑把な対応なんですね」

L「そうですね。ですが魔法の力を何も理解していない我々には現状何も出来ません。ただチャンスを待つのみ。そしてそのチャンスを見逃さず一つづつ対応していくことが今唯一できることになります」

ライト「………」

 少し時間を確認するL。

L「夜神君、そろそろ準備をお願いしてもいいですか?」

ライト「わかりました」

総一郎「竜崎? 息子に一体何を?」

 Lは先ほどライトに指摘された事を全員に話す。

L「…というわけで、この中で一番警戒されにくい夜神君に行って貰う事にしました」

総一郎「そうか… わかった、だがくれぐれも無茶はしないでくれ」

ライト「分かってるって、キラを追うと決めた以上危険は承知の上だって昨日話しただろ?」

L「…それくらいにしてください。では、夜神君これが偽の警察手帳、あとはスーツなども用意しておきました。宜しくお願いします」

ライト「ありがとうございます」

 ライトは準備を整え、見滝原中学へ向かった。



6日目 放課後


ライト(美樹さやかは先に帰った、志筑仁美は少し残っている…)

ライト(僕との会話は彼女に取り付けた盗聴器でLに伝わる、彼女がキラの犯行を目撃してくれていればいいのだけど…)

 ライトの視界に仁美が映る。

ライト(さあ、いくか)

ライト「すみません、少し宜しいでしょうか?」

仁美「? 私に何か?」

 偽の警察手帳を見せながらライトは話す。

ライト「はい、私は警察庁の朝日といいます。今回行方不明となっている鹿目まどかさんについてお伺いしたいことがありまして」

仁美「まどかさんの事ですか…? 刑事さんには一度お話をしたのですが?」

ライト「ええ、伺っています。彼らは見滝原署の人間でして、私は警察本庁から来た人間になります。今回、鹿目まどかさんの捜索を全国的に展開する上でさらに詳しい情報を確認するため、もう一度鹿目さんが失踪する前後の様子を話していただけないでしょうか?」

仁美「…以前警察の方にもお話しましたが、まどかさんがいなくなる兆候なんてありませんでした。そんな様子は少しも…」

 まどかの事を思い出しているのか少し俯きながら喋る仁美。

ライト「心中お察しします… ですが我々も日々鹿目さんを捜索するために動いています、何か一つ情報があれば彼女を見つけ出せるかもしれないんです、直前でなければ少し前、1~2ヶ月のうちに彼女に何か異変は無かったのでしょうか?」

仁美「………そうですね、約1ヶ月半くらい前でしょうか、私達は事件に巻き込まれまして… その際にまどかさんはショックで1週間も寝込んでしまわれたことがありましたわ」


ライト(! 例の事件か。だがキラ自身もショックで寝込んでいた? やはり何かあるな)

ライト「そうでしたか… 1週間寝込むほどのショック、かなりの精神的ダメージを受けた可能性もありますね。申し訳ないのですが、その事件の詳しい状況もお伺いしても宜しいでしょうか?」

仁美「………申し訳ありません、私あのときの事をまったく覚えていなくて。お医者様はよほどのショックを受け記憶に蓋をしてしまったんじゃないかと」

ライト(………駄目だったか。可能性は低いが美樹さやかが見ていた事も…)

ライト「申し訳ありません、親友が行方不明で気を落とされているところ、さらに辛い記憶を思い出させるような真似をしてしまい…」

仁美「いいえ、色々とお気遣いありがとうございます。…先日テレビの取材で来た方は酷いことしか言いませんでしたので刑事さんみたいな方なら信用してお話できますわ」

ライト(テレビの取材か… あること無いこと質問したりしたのか… 僕も彼女を騙している時点で人のことは言えないな)

ライト「…いえ、その他に鹿目さんの様子が変わったことなどはありませんでしたか?」

仁美「後は… そういえばまどかさんがショックから立ち直った後しばらくして独り言が増えたような気がしますわ」

ライト「独り言ですか? それはどういった内容か記憶されていますか?」

仁美「たまにどこかを見て喋りかけたりといった感じで内容までは… 申し訳ありません…」

ライト「いえ、こういった情報の積み重ねから分かることもありますので、非常に貴重な意見でした」

 ライトが話を終え様と切り出そうとしたときに、仁美が何かを思い出したのか話し始めた。


仁美「そういえば… まどかさんが変なノートを大事にされているのを見かけるようになったのもそれくらいからかもしれません」

ライト「ノートですか?」

仁美「はい、確かまどかさんが拾ったノートだと思います。黒いノートで名前を書かれたら人が死ぬなんていう酷いいたずらノートだったので記憶に残っていたんですが…」

ライト(!? まさか…)

ライト「…そのノートを鹿目さんが拾ったというのはいつごろか覚えていますか?」

仁美「ええと… 確かまどかさんのお母様が人質になった事件… ………どうして私達の周りばかりこんな事が起こるのでしょうか…」

 事件のことを思い出し気を落とす仁美。

ライト(全て繋がる… ノート… 恐らく魔法の道具。確か契約だったか? それをして手に入れた道具、名前を書いた人間が死ぬノート)

ライト「…これ以上は志筑さんも精神的に辛いでしょう。捜査協力ありがとうございます、必ず鹿目さんを探し出し志筑さんにも彼女の姿をお見せできるよう全力を尽くします」

仁美「…ありがとうございます。どうか、まどかさんの事をよろしくお願いします」

 仁美と別れLと通信を取るライト。

L『夜神君… ありがとうございます。繋がりました、キラの殺しの魔法。恐らく間違いないです』

L『そして、申し訳ないですが。大至急本部に戻ってきてもらってもいいですか? 夜神君が得た情報と匹敵するくらいの情報を得ました。…いや、これはもうなんというか、とりあえず夜神君の考えも聞いてみたい』

ライト『竜崎さん? わかりました、すぐ戻ります』


 ライトはLとの通信を切り捜査本部へと急いだ。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

感想ありがとうございます。
両方の勝利条件とか考えているとさらに頭こんがらがってきました。

投下開始



6日目 夕方 捜査本部

 ライトは見滝原中学から急ぎ戻り、捜査本部へたどり着いた。

ライト「戻りました。…どうしたんですか皆さん? 渋い顔をして?」

L「………いえ、まずはありがとうございます。夜神君のおかげでキラの力の一端が解明できました。人の名前を書けばその人間を殺せるノート、魔法の道具ですね。今までの魔法の数々を見てきた今なら信じられます、志筑仁美が話したキラがノートを手に入れた時期もキラの母親が巻き込まれた事件の直後、繋がります」

L「気になるのはそのノートを友人に見せる行為をし続けたというところですが… キラの思考回路は犯罪者の殺人は正義、咎められることも考えなかったのかもしれません。ノートの内容まで話したということは友人二人が問い詰めれば自分がキラと話していたかもしれませんね」

L「………さて、キラの殺人方法は判明しました。それではこちらの問題を考えていきましょうか」

ライト「竜崎さん、僕にも聞いてもらいたい情報というのはそのことなんですか?」

L「はい、端的に説明しますと。魔法少女の詳細がかなりの部分まで判明しました」

ライト「! それは一体?」

L「本日ライト君が志筑仁美と接触中に美樹さやかと暁美ほむら及び謎の魔法少女が接触を行いました。最初美樹さやかに仕掛けた全ての盗聴器・発信機の通信が途切れるアクシデントがあったものの、肝心な内容は全て記録できました」

ライト「暁美ほむらと、もう一人魔法少女が?」

L「はい、佐倉杏子と名乗っていましたが、現在調査中です」

 Lはライトに盗聴器が拾った音声を再生する。

L「まずは暁美ほむらともう一人の魔法少女、佐倉杏子との会話です」

 音声が、ほむらと杏子の会話となる。一通り聞き終わったライトが発言をした。

ライト「巴マミが既に死んでいる? 後は魔法少女と魔女、キュゥべえと言った言葉が非常に多いですね。まだこれだけではとても…」

L「ここからが重要な部分です。無駄な音声は除き編集しました」


 再生が始まりほむらの声が聞こえ始めた。

ほむら『…教えてあげる。魔法少女の真実を』

ほむら『…まずは魔法少女の魔力の源と教えられているこのソウルジェム、これは私たち自身よ。あいつが私達の魂を抜き取ってこのソウルジェムに変えたの。だからソウルジェムがこの仮初の身体から100メートル近く離れるとこちらの身体は仮死状態になり、ソウルジェムが破壊されると完全な死を迎えるわ』

ほむら『…それだけじゃないの、ソウルジェムに穢れが溜まりきったとき… グリーフシードに変化し私達は魔女になるわ… 呪いと絶望を撒き散らす魔女にね…』

ほむら『…全てはあいつ、キュゥべえ… いえ、インキュベーターが仕組んだことよ』

ほむら『…インキュベーター。あいつはこの地球とは違う星から来た宇宙人。あいつの目的は宇宙の寿命を延ばすエネルギー回収だとか言っていたわ。私達が魔法少女から魔女に変わるとき膨大なエネルギーを発生させる… それを手に入れるのがあいつの目的』

ほむら『…そうね、でも無駄よ。あいつは何度殺しても幾らでも現れる。たぶん本体は違うところにいたりして、私達の前に現れるのあいつは使い捨てみたいなものなのかもしれないわ』

 再生を止めライトに補足説明を始めるL。

L「この会話の後、インキュベーターを探すため。暁美ほむらは隣街の○○市に佐倉杏子は風見野市にそれぞれ向かいました」

ライト「………少し考えさせてもらってもいいですか?」

L「はい。魔法に続いて宇宙人まで出てきました。魔法を知った時点で驚くことは無いと思っていましたが。まだ驚けました、貴重な体験です」

 少し投げやりな感じでライトに話すL。

L「考えが纏まりましたら声をかけてください、私は彼女達の居場所を追跡していますので」

ライト「わかりました………」


 思考を始めるライト。

ライト(会話の内容から察するに宇宙人が魔法少女を作り出し、魔法少女が魔女になる。その魔女になる際に発生するエネルギーを得るために宇宙人は魔法少女を作り続けている)

ライト(キラも魔法少女と考えると、宇宙人により作られた存在。今回キラを捕まえたところで宇宙人が他の魔法少女を作り出し、その魔法少女がキラと同じ力を持たないと言い切れない)

ライト(さらに魔法少女が魔女になると、呪いと絶望を撒き散らす… いやな響きだな。キラが魔女になった場合どんな自体が引き起こされるのか)

ライト(全ての元凶と思われる宇宙人を何とかしようとしても殺せもしない存在、宇宙人を捕まえれるかもわからない)

ライト(………)

ライト(何処まで考えても答えは出ない、これはLも同じだろう… 僕達の力だけではどうすることも出来ない)

ライト(そうなると、もう魔法の力を持ち力になってくれそうな人物…)

ライト(盗聴器からの一連のやり取りから見ても、美樹さやかを魔法少女にさせないためにも身を呈して真実を理解させた、好戦的な佐倉杏子にも冷静な態度でいなし、さらには魔法少女の真実を話して協力関係を結んだ)

ライト(人のために動け、冷静な対応を取れ、話も通じる、そして魔法の力も理解する… 暁美ほむらしかいない)

ライト(だけど… 一つ気になるのは彼女がキラを探していること、それだけが引っかかる)

ライト(いや、この先に進むには彼女の知識と力は必要。どうにか彼女と協力関係を作り上げることで今後の対応が変わってくる)

 ライトは思考を止めLに話しかける。


ライト「竜崎さん、色々考えて見ましたが、今後は暁美ほむらさんに接触をして協力関係を結ぶ事が一番だと思います。まだ出てきていない魔法の詳細も彼女は知っている可能性もありますし、宇宙人に対する対応も知っているかもしれない」

L「…ですよね。まずは魔法少女を味方につけて魔法の力を真に理解しましょう、彼女は理想的な魔法少女と思われます。 …ひとつを除いて」

ライト「何故キラを探しているかですよね?」

L「はい。その理由次第では協力も出来ないかもしれません。ですが現状を打破するには彼女と接触するしかない」

 その時、Lの下に通信が入る。

ワタリ『申し訳ありません、対象を見失いました。そちらで確認できますか?』

L『わかった、現在地を調べそちらにデーターを送る』

 Lはすぐさまワタリが見失ったほむらの位置を監視ロボットにより確認し、ワタリに位置データーを発信した。

L(これは… 風見野に向かっているのか? となると佐倉杏子と合流、インキュベーターを見つけたか)

ライト「すでに追跡をしていたんですか?」

L「ええ、巴マミ宅を監視していたワタリに追跡をさせています。今は暁美ほむらが最優先事項になりますので」

 その後も、監視を続け風見野の廃屋にほむらが入ったところまで監視を続ける。

L(廃屋に入り既に10分…)

L『ワタリ、対象は最後のポイント地点の廃屋にいる可能性が高い。到着次第廃屋内を確認してくれ』

ワタリ『了解しました』

 ワタリが廃屋に到着し、確認を始めたところでLに通信が入った。

ワタリ『対象を確認しましたが、気絶している模様です。別対象の佐倉杏子に抱えられています』

L(! 好戦的な方か… 警戒させるとまずいな)

L『ワタリ、佐倉杏子は好戦的な性格をしている、警戒されないよう接触、出来れば彼女も連れてきてくれ。できるか?』

ワタリ『…善処します』

L『すまない、頼む』

 その後、約一時間後に杏子と気絶したほむらは捜査本部があるマンションの一室に到着し、L達と顔を合わせることとなる。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

リュークがQBや魔女を見えてるのは死神としての力が働いているためということで。
目に関してはどうしようか考えています。

投下開始



6日目 夜 捜査本部マンションの一室

 杏子はワタリに連れられて捜査本部のあるマンションに到着し、高級ホテルのスイートルームに見紛うほどの部屋に案内されほむらをソファーに寝かせその向かいのソファーで寛いでいた。

杏子「なにこの部屋! すげー部屋じゃん!」

 テーブルにおいてあるリンゴを手に取り齧りながら杏子はワタリに問いかける。

杏子「で? コイツやアタシに用があるってのは何処のどいつなんだい?」

杏子「そもそも何でアンタ魔法少女のことを知ってるのさ?」

 杏子の問いにワタリはやんわりと微笑みながら答える。

ワタリ「もう少々お待ちいただけますか? お待ちになられる時間はお食事などいかがでしょうか?」

 お腹を擦りながら少し考える杏子。

杏子「ん… それじゃ、うまいもん持ってきて。あんまり遅いようなら帰るから」

ワタリ「かしこまりました。よろしければこちらを」

 杏子の前に色とりどりのお菓子を並べるワタリ。

杏子「………なんだこれ!? めちゃくちゃうまいな!」

ワタリ「お口にあったようなら幸いです。それでは少々お待ちください」


6日目 夜 捜査本部

L「ワタリが魔法少女二人を連れて別室に入りました。ですが、暁美ほむらは気絶中。現在は佐倉杏子をワタリが引き止めている状態です」

L「暁美ほむらが気絶している以上、まずはこの佐倉杏子より話を聞こうと思いますが… 彼女の個人情報を調べた結果、我々… いえ、夜神さん達がいると少しまずいです」

L「佐倉杏子。風見野にある小さな教会の娘。家族構成は父、母、妹が一人。だが数年前に神父の父が一家もろとも無理心中を起こす。だが、彼女だけ難をのがれ生き残りました。その後は食料品の窃盗を繰り返し、ホテル等で寝泊りを行い今に至る」

L「数年に渡りこのような生活を続けているが、被害届は数件。魔法の力を使い巧妙に動いていたと予想されます。彼女の前に警察が出て行くとなると逃げてしまう可能性が高い」

全員「………」

L「まずは、私と夜神君で彼女に話を聞こうと思います。彼女も魔法少女、我々の知らない情報をもっているはずです」

ライト「僕もですか?」

L「はい。夜神君は人の感情を読む能力が高いと思います。彼女のような感情的な人間が怒り出した時、私では逆に怒りを増長させてしまいますので。トラブルに発展しそうな場合は私は黙りますので夜神君が話してください」

ライト「わかりました…」

L「皆さんは少し待機をお願いします」

 Lとライトは部屋を出て杏子のいる部屋へと向かった。

L「さて、準備はいいですか?」

ライト「ええ、大丈夫です」


 ドアを開け、杏子とほむらのいる部屋に入るLとライト。

 入ってきた二人を見てお菓子を食べつくした杏子がジロリと見る。

杏子はワタリではないと気がつくと少し警戒しながらほむらのそばに立つ。

杏子「おーい、もうこのお菓子ないの? って、誰だアンタら?」

L「どうも、私がお二方を呼んだ張本人です。竜崎といいます、宜しくお願いします」

ライト「僕は朝日です」

杏子「…アンタらが魔法少女のことを聞きたいっていてた人間か。何者だい?」

L「そうですね… 私は探偵です」

杏子「探偵? まさかアタシのことを調べてるってんじゃないだろうね? まあ、知ったところでただの人間に何が出来るかって話だけどね」

L「………私達は貴女を調べていたわけではありません。そちらで寝てらっしゃる暁美ほむらさんを調査している過程で貴女の存在を知っただけです。そして貴女方を知るうちに魔法少女の存在にたどり着いたわけです」

L「私は探偵ですので、謎があると追い求めてしまうんです。この問題も自分自身で答えを導き出したかったのですが… 自分でも気に入らない方法ですが、今回は答えを見て問題に取り掛かろうと思いました。そういうわけで魔法少女のことを知りたいのです」

杏子「そういうわけと言われても、アンタが何言ってんのかいまいちわかんないんだけど?」

L「要は魔法少女のことで知っていることを全て教えてくださいと言うことです」

杏子「…なんでアタシがそんな事しなきゃなんないの?」

 Lに鋭い目を向け始める杏子。


L「朝日君、交代です。宜しくお願いします」

ライト「り、竜崎さん!?」

ライト(言いたいことだけ言って… 仕方ない、何とか彼女から情報を… 確か聖職者の娘、心の内に何か秘めたものがあれば…)

ライト「佐倉さん、貴女の情報次第では多くの人命が助けられるかもしれないんです」

杏子「? どういうことなんだよ?」

ライト「今僕達が追っている事件で恐らく魔法の力を使い人々を殺害している人間、いえ魔法少女がいます。僕達はその事件を止めたい、これ以上被害を増やしたくないんです」

杏子「………」

ライト「僕達は魔法について余りにも知らなすぎる。そして魔法を知らなければ事件を解決することは出来ないと判断しました。お願いします、どうか貴女の知っていることを教えていただけないですか?」

杏子「…で? 話はそれだけ? それだけならもうアタシ達は帰るよ」

ライト(! くそっ…)

杏子「………他人がどうなろうが、アタシには知ったこっちゃ無いよ。自分のためだけに生きて、好き勝手やり続ける。これからもそうやって生きていくし生き方を変えるつもりも無い」

ライト(………)

ライト「他人がどうでもいいと言う割には、暁美ほむらさんの事は気にかけているんですね?」

杏子「!」

ライト「僕達が入ってきたときにも彼女を守るようなそぶりを見せましたね。自分の為だけに生きる何ていう人がどうしてそんな事をするんですか?」

杏子「………」

 ほむらを見ながら少し考える杏子。


杏子(守る… 言われて気がついた。無意識のうちにコイツをどうにかしてやりたいと思ったのか?)

杏子(コイツは昔のアタシに似てるんだ。他人のために何かをしようとして何もかもを失っちまったアタシに…)

杏子(コイツと会ってからずっとコイツは他人のために何かをしている、あの青い奴を助けたり、アタシにも助言をしたり…)

杏子(あのバケモンと向き合ってすら魔女に操られているとか馬鹿なことを言っていた。お人よしの馬鹿野郎… これ以上間違い続けたらコイツは… チッ、本当に見てらんねぇ)

 ほむらに対する思いを少しずつ自覚していく杏子。

 その時、ワタリが食事を持って部屋に戻ってきた。

ワタリ「お待たせいたしました。お食事をお持ちいたしました」

 杏子はワタリの持ってきた様々な料理に目を奪われた。

L「!」

L「せっかくですし、食事くらいしていかれたらどうですか?」

杏子「…食い物は粗末にできねぇ、いただくよ」

L「おっと、タダでとは言っていませんよ? 御代はそうですね、魔法少女の情報でいかがでしょうか?」

杏子「………テメェ」

L「朝日君、パスです」

ライト「………佐倉さん、こちらの質問に答えられないものは答えなくてもいいので何とかお願いできませんか?」

杏子「…それを食い終わるまでなら答えてやる」

 Lはワタリに目配せして料理を追加するように指示を出し、食事会が始まった。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

感想いろいろありがとうございます。
夜神さんのストレスはほとんどないです。
死神がどういう行動をとっているかは謎です。

投下開始



 ライトは杏子に自分達の知っている魔法少女の情報を出しながら新情報を得ていた。

ライト「願い… ですか?」

杏子「そうだよ、魔法少女になるときにあのクソ野郎がなんでもひとつだけ叶えてくれるんだよ」

L「………」

ライト「なんでもって… 具体的にはどこまでの範囲で叶えられるかわかりますか?」

杏子「アタシが知るか、なんでも叶えてもらえる代わりに化け物にされちまうんだ。範囲なんかないんじゃないの?」

ライト「………そんな馬鹿な」

 その時、Lとライトには聞こえなかったが、ある生き物が杏子に言葉を発した。

QB「杏子、魔法少女でもない人間にあまり魔法少女のことを話さないでもらえないかな?」

杏子「!? テメェ! どこから沸いて出てきやがった!?」

L・ライト「?」

QB「君が魔女の結界を出てきたときからずっと監視していたよ。よく鹿目まどかから逃げ延びれたね、よかったら彼女があの後どんな行動を取ったのか教えてもらえないかな?」

杏子「やっぱりテメェ、アタシをハメやがったな! 最初からあのバケモンにアタシをぶつけるつもりだったんだろ!」

QB「そうだよ、君のような好戦的でベテランな魔法少女なら、彼女からも何か情報を得れると思ってね。それでどうかな? 彼女は魔女の力以外にも何か使っていなかったかい?」

 杏子は一瞬で変身し、槍の一突きでキュゥべえの眉間を貫いた。

QB「もう無駄だってわかっているんだろう? 代わりは幾らでもあるけど無意味に壊されるのは勿体無いんだよね」

杏子「チッ…」

 いつの間にか現れたキュゥべえが杏子が貫いたキュゥべえに近づきその身体を食べ始めた。


 そこで、今まで静観していたLが声を上げた。

L「佐倉さん、ここに宇宙人がいるんですね?」

杏子「………ああ」

 キュゥべえの声も姿も見えないLは少し考えて、何も無い空間に話し始めた。

L「宇宙人さん、貴方がどこにいるか私達には見えません。よかったらこのフォークを持ち上げて貴方のいる位置くらい教えてもらえませんか?」

 Lが手に持ったフォークを机に置く、しばらくするとフォークが浮き上がり空中で静止した。キュゥべえがフォークを加えているようだ。

L(! 姿は見えないが、こちらの声は相手に認識されている… 相手は物理的な干渉もできるのか…)

L「少し待ってもらえますか?」

 Lは一旦部屋から出て、すぐさまパソコンを持ち部屋に戻ってきた。

L「宇宙人さん、このパソコンは文字を入力すれば音声が流れます。これで私達と会話をしてみませんか?」

 Lがそう言い、少し待つとパソコンから機械音声が流れ始めた。

QB『これでいいのかい? それで君たちは一体何者なんだい? 人間の探偵の割には知りえない情報を知りすぎている、とても興味深いよ』

L・ライト「!!」

L(会話も出来るか… まずは試してみるか、キラが魔法少女ならこいつが力を与えその力を使ってキラは今行動している。全ての情報をこいつから… いや、こいつを説得すれば全てのカタがつくか? …そう簡単な問題ではないだろう、まずは会話か)

L「私達はある殺人事件を追っていまして、様々な調査結果からその殺人方法が魔法と判明し、こうやって魔法を使える魔法少女に情報を確認していたのです。その魔法少女に魔法の力を与えた貴方が来てくれたのは運がいいですね」

QB『さっきもそっちの人間がそう言っていたね、魔法少女になった子なら願い次第で誰でも人間をあっさり殺してしまえる力を持つけど… その犯人と言うのは誰なんだい?』

L(こいつ……… まあ、キラの情報を秘匿にしても姿の見えない宇宙人なら我々の捜査状況もいずれ把握される。それなら今のうちに…)

L「鹿目まどかという少女です。我々の調査だと十中八九間違いありません。できれば彼女の魔法の力を詳細な部分まで教えていただければ助かるのですが」


杏子「!?」

QB『………また彼女か。本当にイレギュラーだな、彼女のせいで僕の存在まで普通の人間に知れ渡ることになるなんてね』

L(? なんだこの反応は? 佐倉杏子も心なしか驚いている? 彼女もキラと接触しているのか?)

QB『残念だけど僕にも彼女の事はほとんど分からないよ。そもそも彼女は魔法少女じゃないんだ』

L・ライト・杏子「!?」

ライト「魔法少女じゃない…?」

杏子「はぁ!? アイツが魔法少女でもなければなんだってんだよ? テメーまだ何か隠してるんじゃないだろうな?」

QB『何も隠していないさ、彼女は間違いなく人間。だけど彼女は本当に理解できない存在だよ』

QB『彼女は何らかの力で魔女を操ることが出来る。僕が分かるのは魔女の集合体となった彼女はワルプルギスの夜と匹敵するくらいの力を持っているということだね。後は魔女の力なのか、彼女が魔女の結界内を渡り歩いていることかな?』

QB『後はそうだね。始めて出会ったときの彼女はそこそこ高い素質を持った魔法少女候補だったんだけど、数日前に彼女は急に変化した。途方も無い才能を急に身につけたんだ』

QB『それからは彼女を探すために、僕達の固体をこの周辺に集め好戦的な魔法少女達を使い彼女にぶつけ色々と観察していたんだけど。結果は全て同じ、僕は嫌われているようですぐ殺されてしまうし、魔法少女たちは皆戻ってこなかった。多分全員殺されているだろうね』

L(………キラは宇宙人すら理解できない存在? だが人間ではある。人間である以上… そして途方も無い才能… こいつの動き方、目的、キラを魔法少女にする為に動いているな…)

ライト(魔法少女ではない… まだ人間、この宇宙人もキラの危険性を把握しているのに追い続けている。途方も無い才能か… まずい、この宇宙人キラを見つけ出して魔法少女にするつもりだ…)

L(こいつの目的が分かってきた、それならばこいつを利用してキラを捕まえる… そのためにはこちらの有用性を認識させれば…)

ライト(キラが魔法少女になった時、何を願う? 自分の価値観による正義のために人を殺し続ける人間… ろくなものじゃない事は間違いない。絶対に止めなければならない…)


L「質問させてください、我々が把握している彼女の力の1つは殺人の力。これは名前を書き込んだ人間が死ぬと言うノート。魔法の道具だと認識していたのですが、これは貴方も知らないということでいいのですか?」

QB『そんな道具僕達の情報には無いね。そんな力も彼女は持っていたのか… そういえばマミが魔女になったときに彼女はノートに何かを書き込んでいた。でもそれなら何故… 他に君たちが把握している力は無いのかな?』

 QBの言葉に驚き声を上げる杏子。

杏子「!? ま、マミは殺されたんじゃなくて魔女になっちまったのか?」

QB『そうだよ、あの時は君が魔法少女が魔女になることを知らなかったから言い方を変えていたけど意味は大して変わらないだろう? 魔女になってしまった以上いずれは君たち魔法少女に狩られるんだ』

杏子「………嘘だろ。殺されたならまだしも魔女になるなんて… アイツが一番望んでいない事じゃねぇか…」

 Lはうなだれている杏子を無視しQBと会話をする。

L「私達が掴んでいるもう一つの力は瞬間移動の力です。今話しに上がった巴マミ宅に彼女が数日前現れました。そのときに彼女は何も無いところから現れました」

QB『それは恐らく魔女の力の応用だね。彼女は魔女の結界内を移動している、そして彼女の操っている魔女の一人にマミがいるからマミの力を使って自分の部屋に移動させるよう仕向けたんじゃないかな?』

L(瞬間移動は魔女の力か… 恐らくと言っている以上確信を持ってはいない。候補のひとつとしてあげておくか…)

L「少し纏まってきました。鹿目まどかの力、魔女を操る力が今のところ一番厄介ですね。この力を封じれば彼女を捕まえられる可能性が出てくる。今後はこの力の解明が鍵となります」

L「そこで宇宙人さん、提案があるんですが」

QB『なんだい?』

L「我々と協力して鹿目まどかを捕まえませんか?」

ライト「!? りゅうざ………」

ライト(落ち着け、Lが何故ここで今回の事件の元凶となる宇宙人に協力を言い出したのか… 彼なら、宇宙人の目的にも気付いている。…宇宙人と協力はするが、先に捕まえると言うことか?)

ライト(確かにこれなら宇宙人も監視下に置き僕達の目の届かないところでキラに願いを叶えさせないようにできる。いや、これは別の固体がいると言う以上安心は出来ないな… 宇宙人を利用して僕達が出来ないことも宇宙人に行わせる、こちらがメインか)

ライト(だけど、捕まえるまでに策を考えないと詰み… もしも捕まえた後願いを叶えられ魔法少女になられたら… 承知の上か。…本当に自分勝手な人だ。だがキラを捕まえる可能性が高くなることは確か…)

ライト「竜崎さん、僕も考えます」

L「! …すいません、宜しくお願いします」


 二人の会話の後送れてQBの入力した機械音声が流れる。

QB『…君たちは僕達も知らない情報を持っていた。君たちの情報網は有益であると言えるだろう。協力するのは構わないけどどうやって彼女を捕まえるつもりなんだい?』

L「そうですね、とりあえず宇宙人さんが出来ることを教えていただければそれにあわせて策を作りますよ。少し別の場所で作戦を練りませんか? そちらには色々な設備がありますので話をしやすいです」

QB『出来ればここで別のイレギュラーといえる彼女を見ておきたいんだけど… 僕達にとっても鹿目まどかが最優先だからね。君について行くよ』

L「………別のイレギュラーですか?」

QB『そうだよ、彼女、暁美ほむらと言ったかな? 僕は彼女と契約した記憶が無いんだ。こんなことも初めてだよ、本当にわけがわからないよ』

L「………そうですか、そんなこともあるんじゃないんですか? 今の優先はお互い鹿目まどかでしょう、放って置いても問題ないと思いますよ」

QB『それもそうだね、それじゃあ案内してもらえるかい?』

 そのままLはパソコンを持って部屋を出て行こうとした。

L「あ、朝日君。君はここに残って彼女たちの事を宜しくお願いします」

ライト(………やっぱり押し付けてきたか。この人のことも大分分かってきた… 彼女達にも協力を取り付けということか)

ライト「…わかりました」

L「すいません、宜しくお願いします」

 そしてLは部屋を出て行き、部屋にはライトとうなだれている杏子といまだ目を覚まさないほむらが残された。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

このSSではあんこちゃんはやさぐれる前に何度かマミさんと面識がある程度です。
それでもマミさんには何らかの思いがあるみたいです。
Lは熱くなる子供とは相性が悪いような気がするのでこんな感じに。

投下開始



 LとQBが出て行った部屋でライトは内心頭を抱えていた。

ライト(さて、どうする。彼女達を説得するには…)

ライト(佐倉杏子。好戦的で話も聞かない少女かと思いきや、仲間の身を案じたり、話も以外にできる… 巴マミが魔女になっていると言う話を聞いてからは落ち込んでいるのか? この子もしかして…)

ライト「大丈夫ですか? 貴女は巴マミさんと面識が?」

杏子「ああ… 昔に少しな。あんた等もマミの事知ってんのか?」

ライト(資料上は、見滝原中学3年、一人暮らし、自殺未遂者を救っていた魔法少女。失踪する前までにキラと仲良くなった。それくらいだが…)

ライト「面識はありませんが、彼女が魔法少女の力を使い人々を救っていたくらいは」

杏子「そうかい、マミの奴はずっと変わらなかったんだな… だけど正義の味方を気取って人を救っていて、自分が人を襲う魔女になっちまったら意味無いだろーがよ…」

 そうつぶやいて、また押し黙ってしまう杏子。

ライト(この反応に、さっきまでのこの子の行動… やっぱりこの子、本当は優しい少女だ。何かが原因で自分を偽っていると言うことか… だとすると、予想できるのは一家心中… 駄目だ。ここから先は踏み入れるべきではない、違う方向からか)


ライト「………彼女、目を覚ましませんね」

杏子「あぁ、アイツはアタシが全力で殴ったからな。手加減してる余裕も無かった、いつ目を覚ますかなんてわからねーよ」

ライト「貴女は彼女を守っているように見えましたが… 何があったんですか?」

杏子「…あんた等が捕まえるとか言ってる鹿目まどかが原因だよ」

杏子「コイツは魔女を喰う様なバケモンを目の前にしても、『魔女に操られている』『あの子も連れて行く』だとか言って、挙句の果てには無防備でバケモンの前に飛び出して行こうとしやがった」

杏子「それで咄嗟に止めようとして、ぶん殴った。あのままあの場所にいたら殺されてもおかしくなかったからな」

ライト(魔女を喰うか… もうキラが何をしても驚かないな… いや、今はキラではなくこの子達を説得することが重要。この子が暁美ほむらを守っているのは分かった、今度はそこから…)

ライト「………心配ですね」

杏子「あ? なにがだ?」

ライト「暁美ほむらさんが目を覚ました時ですよ。彼女が鹿目まどかさんに固執していることは分かりました。そんな状態の彼女を見てもなおそういった行動を取るというのは、生半可な執着ではないと思います」

ライト「もしかしたら目を覚ましたと同時に彼女の元に行こうとするかもしれません」

杏子「…そうなったら、アタシがまたぶん殴って止めてやるよ」

ライト(! この子の暁美ほむらへの執着もかなりのものだ。この路線で行けばいけるか?)


 ライトが杏子の説得の流れを作ろうとした矢先、ソファーに寝かされていたほむらが目を覚ました。

ほむら「………ここは?」

ライト(! くそっ、タイミングが悪い! ここで彼女が目を覚ますとは…)

杏子「…よお、起きたか?」

ほむら「…佐倉杏子? …一体何が?」

ほむら「………!!」

ほむら「まどかっ!? まどかは何処っ!?」

 ぼやけていた頭が徐々にはっきりしていき、気絶する寸前の光景を思い出したほむらは杏子に詰め寄る。

ほむら「まどかは何処にいるの!? お願い、教えて!!」

杏子「お、おい。落ち着けよ」

ほむら「落ち着けないわよ! あの後どうなったの!? まどかを助けてくれたのよね!?」

杏子「お前、目を覚ませよ… アイツがアタシ達を殺そうとしてたんだぞ?」

ほむら「何、言ってるの…? まどかが私を? わけのわからない事言っていないで質問に答えて。まどかは何処?」

杏子「…アイツは連れてきてねーよ。お前が気絶した後、アイツは魔女を喰ってた。その隙に逃げ出してきたんだよ」

ほむら「………いい加減にして。さっきからわけのわからない事ばかり… 貴女はまどかを助けなかった。そうなのね?」

杏子「ああ、そうだ。ってお前! 待てよ!」


 杏子の回答を聞き終わると同時に、ほむらは変身をして駆け出そうとした。

 しかし、杏子がほむらの左腕を掴み押さえつけた。

ほむら(っ!? 盾が…)

ほむら「離しなさい…」

杏子「離さねーよ。お前、鹿目まどかの所に行く気だろ?」

ほむら「そうよ、分かっているなら離して。こうしている間にもあの子は死んでしまうかもしれないのよ! 早く離して!」

杏子「っ! いい加減にしろ馬鹿! お人よしにも程があるだろ! お前も覚えてるだろ、アイツが魔女を操ってお前を拘束したのも、お前が魔女を倒そうとしたときもアイツは邪魔をした。アタシもいきなり攻撃されたし、その後に出てきた魔女に捕まってたら殺されていたんだぞ?」

ほむら「………違うわ、あれはあの子が魔女に操られていたからよ。全部あの魔女達が…」

杏子「そうか、お前アイツがどんな奴か知らなかったんだよな…」

ほむら「…どういうことよ」

杏子「アイツは魔女の集合体だって話だ。アタシも攻撃されたときアイツの身体から数え切れないくらいの魔女の反応を確認したんだよ」

杏子「お前が来たときにはなぜか魔女の反応が消えていたから分からなかったんだよな。考えても見ろよ、あれが魔女の口付けを受けた奴の反応か? どう考えてもアイツは自分の意思で動いていたぞ」

ほむら「…意味が分からないわ、貴女は一体何を言っているのよ…」

杏子「アタシにもわかんねーよ…」

 二人のやり取りを見ていたライトは考える。

ライト(暁美ほむら… この子を説得して味方にすることは恐らく出来ない。それなら方向性を変えてキラを捕まえるように誘導するしかないか)


ライト「…よかったら僕が知っている限りの情報を話しましょうか?」

ほむら「………貴方、確か昨日…」

 ほむらはライトの顔を見て昨日の事を思い出す。

 まどかを殺人事件の犯人と疑っているライトの事を。

ほむら(………この男、よりにもよってまどかを殺人犯と考えている男… 何でこんな男が佐倉杏子と一緒に?)

ライト(Lはこの子が僕の家から出てくるのを見ていた。僕が鹿目まどかをキラと疑っていることも知られている可能性がある… 嘘はつかずに正直に…)

ライト「はい、僕は夜神ライト。昨日貴女と会ったのも偶然ではありません、キラ事件の容疑者である鹿目まどかさんを調査する上で貴女にも声をかけました」

ほむら「………」

杏子(あれ? コイツさっき朝日って…?)

 ライトは自分の知る限りのまどかの情報をほむらに話した。

 キラとして人の名前を書き込むことにより人を殺せるノートで犯罪者を殺し続けていること。

 数日前に行方不明となって、その後姿を見せたときには魔女を操る力を手に入れてその力で魔女の集合体になってしまったと予想されること。

 操った魔女を使い魔女の結界内を移動していると予測されること。

 魔女の集合体ではあるが、まだ人間であること。

ライト「僕の知っている情報はこれくらいです。そして僕達は彼女を追っています、ですがそれはキラとしての殺人を止める為です」

ほむら「………」


ライト「この事件は魔法と言うものが関わってきている以上、公にはできません。彼女を止めれれば僕達はそれでいい、その過程で彼女に出会えるかもしれません、彼女を探すための設備も揃っています」

ほむら「設備…?」

ライト「ええ、やろうと思えば街中を監視できる設備。今後はさらに様々な方法を使い彼女を探す予定です」

ほむら「………」

ライト「しかし、彼女を探す以上魔法の力は必要不可欠になってくるとも考えています。どうでしょうか? 僕達と協力して鹿目まどかさんを見つけ出しませんか?」

ほむら「………」

ほむら「…そうね、あの子がそんな事をしているなら止めないといけないわね………」

ほむら「貴方達に協力してもいいわ」

杏子「お前… いや、なんでもねぇ」

ライト(! …なんだ? いやにあっさりと)

ほむら「そうと決まったら詳しい話を聞かせて頂戴。佐倉杏子、貴女もいつまでも私を押さえつけてないでそろそろ離して」

杏子「…お前、離した瞬間に気が変わったといって飛び出すのは無しだぞ」

ほむら「私の力じゃ貴女を振りほどくことも出来ないし、貴女が本気で追ってきたらどうしようもないわよ…」

 杏子は少し悩んでほむらの拘束を解除した。

ほむら「…ふう、ようやく普通に話が出来るわね。協力する以上私は何をすればいいのかしら?」

 ほむらはライトに向かって話し始める、自然に歩き出し5歩ほど進んだところで。


 世界の時が停止した。


 ライトが次に気がついたとき、首を捕まれ、額に銃を突きつけられた形で暗い眼をしたほむらに吊り上げられていた。

 ライトは後悔していた、ほむらの人間性を取り違えていたこと。

 ほむらのまどかに対する思いが自分の予想を遥かに上回る思いだったこと。

ほむら「…貴方、いい加減にして。まどかをそれ以上辱める様なら殺すわよ」

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始


 ほむらにとってまどかを侮辱される様な事を言われ完全に頭に血が上った状態で、ライトの首を掴んだまま話し続ける。

ほむら「まどかが人殺し? ふざけないで」

ほむら「まどかは優しい子よ。いつだって自分を犠牲にして誰かのために傷ついていた…」

ほむら「まどかはどんな状況でも誰かのために何かをしようと考えているの、そうやっていつも騙されて…」

ほむら「友達が死んでも、信頼していた先輩に裏切られても、自分が死ぬと分かっていてもあの子は人のために戦ったのよ」

ほむら「死ぬ間際でもまどかは人のために… ………私を助けるために…」

ほむら「そして… こんな世界を守るために自分を犠牲にした… 何度も、何度も!」

ほむら「そんな子をよりにもよって連続殺人犯? 貴方達にあの子の何が分かるの?」

ほむら「まどかがどれだけ苦しんできたか、悲しんできたか分かるの? 分からないでしょうね、分かるわけもない」

ほむら「まどかの事を知りもしない人間があの子を侮辱しないで、次にあの子の尊厳を傷つけるようなことを言ったら本当に殺してやるわ」

 視線だけで人を殺せそうな目でほむらはライトを見る。

 吊り上げられたまま、ライトはかつてないほどに思考をめぐらせていた。

ライト(まさかこれほどまでにキラに執着しているなんて、いや執着なんてものじゃない、崇拝に近い感情だ… まずい、僕達は勘違いをしていた。暁美ほむら… この子は間違いなくキラに着く)

ライト(この状況もこの子の魔法… だが一体何を…)

ライト(気がついたら首を捕まれて銃を突きつけられていた、なにが起きたのかも理解できない)

ライト(冷静になれ、可能性を考えろ。瞬間移動? 超スピード? 違うそんなチャチなものじゃない、何も見えなかったし、気付きもしなかった)

ライト(催眠術? 精神的な支配? そんなものでもない、それなら僕にこんなことをする意味も無い。もっと全体的に考えるんだ)

ライト(この灰色の世界… 佐倉杏子も動いていない… いや、彼女の全てが止まっている…?)

ライト(佐倉杏子だけじゃない、全てのものが不自然な形で止まっている… ………あの時計も… 時計? …時 っ!!)

ライト(う、嘘だろ? こ、この子… まさか… 時を止めているのか?)

 ほむらの能力に気付いたライトは顔を青ざめる。

ライト(い、いや、それだけじゃない… この子の言っている事を考えると、間違いなくこの子とキラは会っている。それもかなりの時間を共に過ごしているような…)

ライト(この子とキラが一緒に戦う… しかもそのときにキラは死んだのか? しかしキラは生きて… ………この子の魔法、時間?)

ライト(!! ま、まさか、この子時間を止めるだけでなく戻すことや進めることもできるのか? 時間操作、それがこの子の魔法だと言うのか?)

ライト(いや、そうなると… 何故キラを見つけるために時間を戻さない? 進めない? …何かの制限か? ありえる、ここまで強大な力何かの制限があってもおかしくない)

ライト(それでもこの子は時間を止める事が出来る、それだけは間違いない… 出鱈目過ぎる。こんなものどうすればいいんだよ………)


ライト(…いや、なにを諦めようとしているんだ僕は?)

ライト(…この後この子に話す内容次第で、僕は殺されるかもしれない)

ライト(…そうなったら父さんやL、捜査本部の人たちも皆殺されてしまう…)

ライト(この子はそのままキラを探し続け、キラを見つけたらキラを守るためにその力を使う… 時間操作魔法。そうなったらキラを捕まえることなんて誰にも出来やしない…)

ライト(全てがここで決まる… 考えろ! 何か手を考えるんだ)

ライト(今までの全ての情報… 駄目だ、この子は絶対にキラを信じ続ける… 考え方を変えろ、キラを標的にするんじゃない…)

ライト(…あの宇宙人、あいつを標的にする。それしかない、あの宇宙人は魔法少女、人間全ての敵とも言える。この子も敵意を持っている…)

ライト(あいつを標的にしつつ、この子が僕に向けている敵意をそっくりそのままあの宇宙人に持っていってやる… 僕になら出来る… いや、もうやるしかないんだ…)

 1秒にも満たない間に考え抜き、ライトはほむらに対して演技を開始した。

ライト「げほっ… ま、まってくれ… 君は誤解している」

ほむら「何が誤解よ、貴方はまどかを…」

ライト「違う! 僕たちも騙されていた! 君の言葉を聞いて確信したんだ!」

ほむら「何を…」

ライト「宇宙人だ! 君たちがキュゥべえと呼んでいる宇宙人が何かをたくらんでいる。君が気絶している間にもあいつは僕達の前に現れて言っていた。別の魔法少女を使って鹿目まどかさんを調べていると」


ほむら「! …嘘ね、あいつは普通の人間には見えない。魔法少女でもない貴方があいつと話すことは出来ない」

ライト「あの宇宙人は物に干渉できるんだ、僕らは文字を入力することにより音声を発信するパソコンを使ってあの宇宙人とコンタクトを取ったんだよ」

ほむら(…あいつの名前も知っている。あいつがこの星の生き物でないことも…? これは本当なの…?)

ほむら「…いいわ、あいつが何をたくらんでいるの? 話しなさい」

 ライトの首を絞める力を弱めほむらはライトに問う。

ライト「…今まで僕達は鹿目まどかさんをキラ事件の容疑者と考えていた。だけど彼女を調べるうちに違和感が大きくなっていったんだ。家族にも愛され、友人にも信頼される女の子… こんな子がこんな大犯罪を犯せるのか…と」

ライト「そんな中で魔法と宇宙人の存在を僕達は知った。宇宙人が魔法の力をエサに少女を化け物に変えていることを知ったんだ」

ほむら「!! 貴方、魔法少女の真実まで知っているの? それをどこで知ったのよ?」

ライト(まずい…)

ライト「…事件を捜査する上で、街全域を監視できる監視ロボットを使っているんだ。それによって魔法少女の事を知った後は芋づる式に情報を手に入れたよ。…いや、そんな事よりも鹿目まどかさんのことだ」

ライト「彼女は恐らく宇宙人から魔女を操る力を奪って、宇宙人と戦っている。理由は分からないが… いや、君の言っていた彼女の性格を考えると魔女を操る力を使って人々を救うために戦っているのかもしれない」

ほむら(この男は一体何を言っているの… そんな力をインキュベーターが持っているなんて今まで聞いた事もなければ見た事もない)

ほむら(…そういうこと、私を騙そうとしているのね。インキュベーターと同じ… もういいわ、この男は許せない…)

ほむら「………他に言いたいことはあるのかしら?」

 ライトの額に向けた銃の引き金を絞り始めるほむら、だがライトは話し続ける。


ライト「今までの鹿目まどかさんがこんな状態になっていたことはあるのか!? 無いから君も焦っているんだろ!」

ほむら「…今まで?」

 ほむらの指が止まる。

ライト「君は時を操る魔法を持っている! 今まで鹿目まどかさんと何度も出会い、共に戦ってきたんじゃないのか!?」

ほむら(!? な、何で? どうしてこの男は私の力を?)

ほむら「貴方が何を言っているのかわからないわ………」

ライト(!)

ライト「誤魔化さないでくれ! 君の話を聞いて確信したのがそれなんだ、君は本当の鹿目まどかさんを知っているんだろう? 僕達が踊らされてきた偽の鹿目まどかさんではない本当の彼女を!」

ほむら「…偽?」

ライト「そうだ、あの宇宙人はキラという犯罪者を作り上げて、彼女をその犯罪者に仕立て上げたんだ! そうやって人間社会から彼女を追い出して追い詰め、魔女を操る力を取り戻すために」

ライト「その理由も彼女が奪った魔女を操る力、これが宇宙人にとって重要なものなんだろう… もしかすると魔法少女を作りだして、魔女にする過程に使う力なのかもしれない」

ほむら(インキュベーターからまどかがそんな力を奪った…? でも…)

ほむら「…そんな力、私は知らない」

ライト「君はあの宇宙人の事を全て理解しているのか? 違うだろう? 見たことは無いのか、あの宇宙人が魔女を制御するようなことをしているのを」

ライト「いや、考えてみてくれ。魔法少女を作り出すような奴らなんだ、魔女を操るような力を持っていてもおかしくないだろ?」

ほむら(…インキュベーター、あいつは確かに孵化しかかったグリーフシードを処理すると言い、背中の部分で…)

 少し考えるほむらを見てライトは続ける。


ライト「やっぱり何か心当たりはあるんだな、だとするともうこの考えは間違いない…」

ライト「僕たちも騙され続けていた… おかしいと思っていたんだ、犯罪者を殺し続ける人間がなぜ追う人間を殺さないのかって。簡単なことだった、彼女を追い詰めるために僕達が必要だったそれだけの事だったんだ」

ほむら(インキュベーターが仕組んだ事…? あいつならありえる…)

ライト「君の言っている鹿目まどかさんの人間性、この状況、全てが一致する… だけどあの宇宙人にも予想外のことがあった…」

ライト「…それが君だ、暁美ほむらさん。あの宇宙人は君の事もイレギュラーと言っていた。鹿目まどかさんと同じくイレギュラーと。そして君と契約した記憶もないと」

ほむら(インキュベーターがまどかもイレギュラーと? 本当にまどかはそんな力を奪って逃げているというの…?)

ほむら「………」

ライト「契約した記憶なんてあるわけない、君は時間を操作して… 恐らく未来からか? 違う時間からやってきた魔法少女なんだろう?」

ほむら(どうしてここまでわかるの…? 本当にこの男の言っていることは…)

ほむら「………だとしたら何?」

ほむら「貴方の言っている事、確かにありえるかもしれない。あいつらならその魔女を操る力を持っていてもおかしくないし、そんな力を奪われたのなら手段を選ばずに取り返そうとするでしょうね」

ライト(よし! こちらの話に乗って来た! ここからは一気に…)


ほむら「でも私が今わかる確かなことはまどかが魔女の結界で…」

ライト「君の考えていること、それは鹿目まどかさんが今危機に瀕しており、それを一刻も早く助けたい。そうだろう?」

ほむら「…ええ、そうよ」

ライト「考えてみてくれ彼女が魔女を操れる以上、魔女の結界の中と言うのは彼女にとって安全な場所なのかもしれない」

ほむら「………そんなことわからないでしょう」

ライト「いいや、この数日間彼女は逃げ続けている。それも魔女の力を使って逃げていると推測できる。逃げているのもあの宇宙人から力を奪い逃げなければいけない状況に追い込まれたと考えられる」

ライト「君達は彼女を見たんだろう? 魔女は彼女を攻撃しているように見えたか? さっき佐倉さんが言っていたように魔女を操っていたんじゃないのか?」

ほむら(………あの時、魔女たちはまどかに付き従うように… でも私が最後に見たのは魔女がまどかを… でも佐倉杏子はあの後もまどかは魔女を喰っていたと… わからない… 一体何が真実なの…?)

ライト「いいか、まだ時間はあるんだ。今一番まずいのは、宇宙人に鹿目まどかさんが捕まり、力も取り戻されること。君の協力次第では宇宙人より先に鹿目まどかさんと接触でき彼女を守ることが出来る」

ほむら(…守る。そうだった、なにが起きていても私が一番にするべきことはまどかを守ること。この男の事を信じたわけじゃないけど、この世界でのことを何も分かっていない私が闇雲に動くよりも、この男達を利用して…)

ライト「こうなった以上僕たちも鹿目まどかさんを保護する形で動く。それも全てあの宇宙人には気付かれないようにだ」

ほむら「そんな事、一体どうやるのよ?」

ライト(協力という言葉にも否定しない… 後一歩か)


ライト「今この建物の別の場所に宇宙人がいる。そして僕達の仲間の一人が宇宙人と交渉をしている」

ほむら「! インキュベーターと交渉…? 貴方達…」

ライト「だから勘違いしないでくれ! 僕達がいがみ合ってもあの宇宙人が喜ぶだけだ、今すべきことは宇宙人を出し抜いて鹿目まどかさんを助け守ること、そうじゃないのか!?」

ほむら「………」

ライト「話を戻すよ、あの宇宙人は鹿目まどかさんの居場所を把握しきれてはいなかったが、何らかの情報を持っている感じだった」

ライト「僕らも宇宙人とまともに交渉をするつもりはない、宇宙人を利用して情報を得るために交渉をしているんだ。そして宇宙人から情報を得た後、ここが問題だったんだが君の力があればあいつを出し抜ける」

ライト「単刀直入に聞く、君は今時間を止めている、それで間違いないか?」

ほむら「!! …ええ」

ライト「やっぱりそうか。この力は宇宙人も例外ではなく効果の対象になっているのか?」

ほむら「………そうよ」

ライト「よし! それならいける、あの宇宙人から情報を得た後、君のこの力があればあの宇宙人を出し抜いて行動することが出来る! あの宇宙人に気付かれず鹿目まどかさんに接触することができるはずだ」

ライト「…だけど彼女は宇宙人のせいで魔法少女というものに敵意をもっているかも知れない」

ほむら「どういうこと?」

ライト「宇宙人が他の魔法少女を使い観察していたと言っていた。佐倉さんを攻撃したり、君を拘束したと言うのもその影響なのかもしれない… あの宇宙人が一体何をしているのかも分からないが…」

ほむら「…あいつはどこまでも………」

ライト(ここまで来ればもう大丈夫か…?)

ライト「あの、そろそろこの銃を下ろしてもらえると助かるんだけど…」

 ほむらはバツの悪そうな顔で銃をしまい、ライトの首を掴んでいた手を離す。

 ライトの時が停止するが、ほむらは再びライトの肩を触りライトを停止した時の中に連れ戻した。

ライト「ありがとう、銃を下ろしてくれたということは少しは僕の言うことも信じてくれたと言うことかな」

ほむら「…ごめんなさい、頭に血が上りすぎていたわ。貴方の言うことを全て信用したわけじゃないけど、何も知らない私より貴方の方が情報も知識もあることは分かったわ…」

ライト「それは僕達に協力してくれると考えていいのかな?」

ほむら「…ええ、あんなことをしておいて虫のいい話かもしれないけれど…」

 ライトは気にしないでくれと笑いながら心底安堵していた。


ライト(た、助かった… 何とか最悪の状況は脱したか…)

ライト(しかし、これで新たな問題が発生してしまった。キラを捕まえるどころか保護する形に…)

ライト(キラと会ったはずの彼女達がいまだ生きている以上、やはりキラは犯罪者のみを殺す人間… 気がかりなのは宇宙人が言っていた魔法少女が殺されたと言う事。恐らくキラは魔法少女でも悪意のある魔法少女は殺すはず…)

ライト(暁美ほむらはキラに対して害を与える事をすることは考えられないから、彼女はキラには殺されないだろう… こうなったら暁美ほむらにキラを説得してもらい殺人をやめさせるしか…)

ライト(そんなこと、できるのか…? 今の彼女の認識は『宇宙人から魔女を操る力を奪って人々を助ける為に行動している少女』がキラに対する認識になってしまった。これをキラが犯罪者を殺しているからそれを止めてくれと言わせるには…)

ライト(駄目だ、下手なことを言おうものならいつの間にか僕の脳天に風穴が開いている可能性が…)

ライト(そのほかにも、この状況をLに伝えなければいけないが暁美ほむらにも宇宙人にも気付かれず、Lと意思疎通を…)

ライト(さらには宇宙人にも悟られず…)

ライト(………)

 ライトは答えの出ない問題を考え続けたが、回答が出ないと気付いたところで考えるのをやめた。

 ひとつだけ確定したのは、この後ほむらとLを止まった時間の中で接触させるということだけだった。


 ほむらはライトから得た情報を整理していた。

ほむら(この世界では今まで私が経てきた世界とは何もかもが違う…)

ほむら(魔女を操る力… インキュベーターならそんな力を持っていてもおかしくは無い。何かの経緯を経てまどかがその力を手に入れてしまったとすると…)

ほむら(まどかは魔女を操って人々を救うために行動をするかもしれない… この男の言っているとおりに… まさか、まどかがあんな姿になっていたのもその力のせい…?)

ほむら(それでもまどかが危険に晒されていることに代わりは無い… まずはまどかの居場所がわかったらすぐにでもまどかを助けに行く)

ほむら(まどかと会えたら危険なことはやめるように説得して、あの子をインキュベーターの手から守り続けてみせる…)

ほむら(その後は、今まどかが容疑者となっているキラ事件… この男とその仲間達を脅してでもまどかを容疑者から外して…)

ほむら(それじゃ駄目ね… まどかが普通の生活を送るためには彼らも納得させてまどかを殺人犯ではないと理解させないといけない。…それならまどかを連れてきて話をさせれば彼らも理解するでしょう、まどかが人を殺せるような子じゃないと)

ほむら(…でも、もうまどかはインキュベーターに目をつけられている… それにあいつが手段を選ばずに行動しているとなると、まどかが普通の生活に戻ることなんて…)

ほむら(………いいえ、諦めない。私は絶対にまどかを…)

 ほむらはまだ知らない、既にまどかが自分の知っているまどかではないことを。

投下終了
また来ます。

投下再開


 ライトはほむらから時間停止の魔法の詳細を聞いている。

ライト「それなら、君が触れた人間はこの止まった世界に入ってこれるんだね?」

ほむら「ええ、物とかもそうよ」

ライト「そうか。それならこのまま時間を止めた状態でさっき言っていた僕の仲間を捜索してもらえないかな? 今の段階ならまだ宇宙人とも交渉前だと思う、この止まった世界で作戦を練って宇宙人から情報を引き出したい」

ほむら「…わかったわ」

 ライトとほむらはマンション内を探していると、どこかの部屋に入ろうとして止まっているLを発見した。

ライト「見つけた… 彼が僕達の仲間の一人だ、恐らくその付近に宇宙人もいるはずだが… 君には見えるのか?」

ほむら「………ええ」

 ライトには見えないがほむらはキュゥべえの姿を見て下唇をかみながら震えている。

ライト「頼むからまだ手を出さないでくれよ… 全ては終わってからで頼む」

ライト「それじゃあ、彼に触れてくれないか?」

 ほむらはそのままLの肩を掴む。


L「? …!?!?」

 Lはほむらの姿を見ると同時に飛びのいて再び止まってしまう。

ライト「…すまない、もう一度」

 再度Lに触れLは止まった時間の中に入ってきた。

L「な、なっ……… い、一体?」

ライト「竜崎、驚くのも分かるがこれは彼女の魔法だ、少し説明するから黙って聞いてくれ」

L(ま、魔法? 一体どういうことだ? いや、暁美ほむらと一緒にいると言うことは彼女の説得に成功したということか?)

ライト「竜崎、君があの宇宙人と交渉する前に忠告をしておきたくて僕達は来たんだ」

L(? どうした夜神月? 口調が変だ… それに忠告…?)

ライト「彼女の魔法は時間操作、今の状況は彼女が時間を止めているんだ」

L(じ、時間を… いや、この力… キラにも勝てる力だ… だが、何だ? 彼に違和感が…)

ライト「彼女の話を聞いた結果、僕達は宇宙人に騙されていた。キラというのは宇宙人が作り出した架空の犯罪者だったんだ。鹿目まどかさんはキラじゃなかったんだ」

L(?? 一体何を…? キラが鹿目まどかというのは間違いない、それは彼も同じ結論のはず… 一体何を言っている)

L「何を言っているのかが理解できませんが…」

ライト「竜崎、君の気持ちも分かる。だけど今までの捜査の結果は全て間違っていたんだ」

ライト「僕達が出会ったときを思い出してくれ、あの時君は僕に色々質問してキラの正体を議論したと思うがそれは違っていたんだ。君があの時最後に質問した事のように」

L(彼と出会った時、最後にした事…? 彼を試したことか…)

L(そういうことか、この状況を推理しろと言うことか…)

L「そうですね、あの時は色々と議論をしましたがそれが違っていたと? ならばまた私に推理しろと言うことですか?」

ライト(! 気付いてくれたか…?)

ライト「ああ、まずは僕の話を聞いてからで頼むよ」


L(…なるほど、この口調も演技と言うことか。何があった? …それを今から説明すると言うことだな。それも暁美ほむらには気付かれずに演技しながらということか)

L「わかりました、納得のいく説明を頼みます」

ライト「ああ、君も納得してくれるだろう」

 ライトはLにほむらから聞いた、まどかの人間性を説明する。

ライト「鹿目まどかさんには人を殺すことは出来ないと思う、それは彼女も同意見だ」

ほむら「ええ、まどかにそんな事は絶対に出来ないわ」

L「なるほど…」

L(キラが人を殺すことは出来ない…か。暁美ほむらの知っている鹿目まどかには出来ないということか。…時間操作といっていたな、そうか、暁美ほむらは時間を戻すことも出来る。病院で入院していたはずの彼女がキラのことを詳しく知っていた理由もこれか)

L(だが、彼がそんな理由だけの感情論で信じるわけが無い… 何があった)

ライト「彼女が鹿目まどかさんを思う気持ちは誰よりも強い。僕も鹿目まどかさんを犯人と決め付けてしまった時は彼女に銃を突きつけられ怒られてしまったよ、ははは」

ほむら「…あれは、本当にごめんなさい…」

L(軽い口調で言っているが、殺されかけたと言うことか… そうなるとこいつはキラを心酔している可能性がある… 彼が演技しながら話しているのもこれが原因か… となると、こいつを説得できていない、こいつが敵に回る可能性があるということか… 時間操作魔法をもった魔法少女… 危険すぎる…)

L「それは怖いですね。ですが… なるほど、理解しました。確かに鹿目まどかさんを調べていても彼女がそういった犯罪を出来るとは思えませんでしたからね」

ライト(! 伝わっている、Lがこんな言葉を吐くわけがない、暁美ほむらの危険性も理解してくれていれば…)

ほむら(…よかった、これならまどかが犯罪者という誤解も早くとけそうね)


ライト「ああ、そこでさっき話していた宇宙人が出てくる」

L「架空の犯罪者と言う奴ですか? それはどういった理由でその結論に?」

 ライトはほむらに話したようにLにも説明をする。

ライト「そういうわけだ、まんまと僕達は宇宙人に踊らされていたようだ、正直悔しいよ」

L(夜神月… 何て事をしてくれるんだ… いや、殺される寸前の状況ならば仕方ないか… こいつを何とか協力させるためにキラを捕まえるのではなく保護する方向に…ということか)

L(もう過ぎてしまった以上、彼の案で通すしかない。しかし、どうする。キラを保護したとしても下手なことをするとこいつに邪魔をされる… いや、まて… こいつのキラへの思いはどれだけか分からないがやってみる価値はあるな…)

L「なるほど… しかし、まずいですね。宇宙人がいる以上彼女を保護しても宇宙人が邪魔をするなら鹿目まどかさんもまたどこかに逃げてしまうかもしれません…」

L「その前に彼女を保護することが一番難しそうですね… 今までの状況から考えると彼女は魔法少女というものに警戒している可能性が高いです。そちらの暁美さんが彼女を説得できるとは考えられないのですよね」

ほむら「! そんなことはないわ! 私はまどかを説得して見せるわ!」

L「そうですか? それならいいのですが、そういえば先ほど鹿目さんと会ったのですよね? その時はどのような感じでしたか? 話はできましたか?」

ほむら「………あの時は私が冷静ではなかったから…」

L「話をしようとしたけど、出来なかったというところですか?」

ほむら「…ええ」

L「やはり、魔法少女と言うものに警戒しているようですね… 一つお聞きしたいのですが、暁美さんは鹿目さんのためにどこまで出来ますか? それ次第では策が一つあるのですが」

ライト(! L、何を…)


ほむら「まどかの為ならなんだってやるわ」

L「なんでもって、本当になんでもですか?」

ほむら「ええ」

L「鹿目さんを救うために彼女を少し眠らせることなんて出来ますかね?」

ほむら「…どういうことよ」

L「いえ、彼女が話を聞いてくれないならば、少し眠らせて保護すると言うことです。暁美さんのこの時間停止の力があれば難しいことではないと思います。魔女を操る力を持っているといっても人間ですから即効性の薬品を使えばいけるはずです」

ほむら「…それくらいなら」

L「が、ここでまた問題が。連れてきた後も彼女を守るために誰かが付きっ切りで彼女のボディーガードをしなければなりません。宇宙人から守るわけですから魔法少女の誰かが」

ほむら「…それもやるわ」

L「どれだけかかるかわかりませんよ? 宇宙人がどういう手を使ってくるか分からない以上外に出すことも出来ないですね」

ほむら「! そんな… まどかが普通の生活を送ることは…」

L「無理です、この状況で彼女を自由にしても同じことが起きるだけです。そこで宇宙人を何とかしたいのですが暁美さんは宇宙人を排除する方法などは知っていますか?」

ほむら「わからないわ…」

L(魔法少女でも宇宙人の対処法はわからないか、予想は出来ていたが…)

ほむら「…四六時中あの子を監視してインキュベーターを近づかせないようにするわ、私は学校に行かないし、家にも帰らない。それならいいでしょう?」

L(…こいつ、ここまでキラに対して… 夜神月もこいつのキラに対する異常な感情に気付いて…)

L「駄目です。今回のように宇宙人が事件をでっち上げたり、他にも予想外なところから狙ってくる可能性が高いです。貴女一人で彼女を守りきれるとは思えません」

 Lを睨み始めるほむら、それを見てライトがすかさずフォローをする。

ライト「竜崎! 暁美さん、彼が言っているのは可能性の話だ! 彼は深く考えすぎる癖があるだけなんだ、鹿目さんを保護してほとぼりが冷めるまでは外に出れないかもしれないが、君がそこまでの覚悟なら彼女は普通の生活に戻れるから安心してくれ」

ほむら「………」


L「そうですね… すいません、彼の言うとおりです… 申し訳ありません。私は深く考えすぎるみたいですね」

L「では、こういった策でどうでしょうか。鹿目さんの居場所を割り出した後は、暁美さんが時間を止め鹿目さんを眠らせて保護、宇宙人からどれだけ隠せるかは分かりませんが、ほとぼりが冷めるまで暁美さんが鹿目さんを守り続ける。ある程度の監禁生活になってしまいますが不自由がないよう、その間の生活は保障します」

L「問題の宇宙人ですが、私が交渉をしてみます。こちらから何も出来ない以上、話し合いしかできません。今回の問題を含め、どうなるかは宇宙人次第になりますね…」

ほむら「わかったわ、それで構わないわ」

 この後、Lとライトの思考はある程度の一致を遂げた。

ライト(彼女を使ってキラを捕まえる様仕向けたか… 眠らせる以上、彼女がキラの正体に感づく可能性は少ない…)

L(だが、キラが目覚めたとき、こいつもキラの正体を知ってしまう。その考えも伝わる。そのときこいつはキラに着いてしまう…)

ライト(キラを目覚めさせることを長引かせても二日程度… その間にキラが持っているであろう殺しの力・ノートを徹底的に調べる… もしくは処分する)

L(その先、魔女を操る力… 殺しの力を封殺してもこの力が残っていたら同じ事をされる… どうする? 宇宙人も知らない以上、キラに直接聞くしかない… ここでどうしても詰む)

ライト(やはり、もうキラを説得するしかないか… いや、随分前から結論は出ていた。他の方法が無いかと模索したが結論は変わらなかった…)

L(説得の方法… 楽観的な考えだが、こいつの知っている鹿目まどかとキラが同じような思考回路なら説得が成功する可能性もありえる…)

ライト(穴だらけの策、だけどここまで状況が動いてしまっている以上進めるしかない…)

L(だが、キラ事件が説得と言う形で解決したとしても…)

ライト(この事件を解決したとしても… 宇宙人がいる限りは…)

 二人はキラを説得する方法を考え、その後の宇宙人の対応をどうするか頭を悩ませ続けることとなった。


6日目 夜 風見野 魔女の結界

 ほむらと杏子が捜査本部に入ったと同時刻、風見野のどこかの魔女の結界。

 最奥の魔女の部屋に魔法少女とキュゥべえがまどかと対峙していた。

まどか「…見つけた」

魔法少女(何…? 魔女の口付けだらけの人? すごく怖い…)

 まどかがお願いをするとまどかの身体から黒い腕のようなものが魔法少女の近くにいたキュゥべえを捕まえた。

魔法少女(嘘… 何この人… 魔女の反応がこんなにたくさん)

まどか「捕まえた。さぁて、実験開始だね」

QB「まどか! 話をきい…」

 キュゥべえがまどかに対し何か言おうとするが、まどかは拘束する力を強め喋れないようにする。

まどか「黙って、あなたの声を聞くととってもイライラするの」

まどか「…それじゃあ、○○ちゃんお願い、これの中に入ってこれの仲間を処分してきてほしいんだ」

 その言葉と共に、まどかの中にいた魔女の一人がキュゥべえに吸い込まれていき、キュゥべえの身体にはひとつの魔女の口付けが浮かび上がった。

 キュゥべえはそのまま魔女の部屋を出て、結界の外へと走り出した。結界の外に出た後はまどかのお願いを聞くために行動を始めた。

まどか「やったぁ! 成功したよリューク! これなら後何匹か捕まえて同じ事をすればもっと効率よく処理できるね」

 実験が成功して喜ぶまどかの視界に、事の成り行きを呆然と見ていた魔法少女が映った。


まどか「あっ… さっきから無視しちゃってごめんなさい。あれを捕まえるのに集中しちゃってて… 魔女退治に来た魔法少女さんですか? ここの魔女は私が救いましたからもう大丈夫ですよ?」

 呆然としていた魔法少女はまどかに話しかけられ、後ずさりしながら返事をする。

魔法少女「ひっ… は、はい」

まどか「ちょっと質問なんですけど、あなたは人を救うためにやってきた魔法少女さんですか?」

魔法少女「そ、そうです… なんでそんな事聞くんですか?」

 さらに後ずさりしながら魔法少女は答える。

 その言葉にまどかは喜び笑顔で魔法少女の下に歩いていく。

まどか「本当ですか!? よかったぁ… やっと、良い魔法少女さんと出会えたよ…」

 後ずさりをしていた魔法少女は壁にぶつかり退路を立たれた。

まどか「さっき会った二人もいい人そうだったし、この街はいい魔法少女さんがいっぱいいるんですね」

魔法少女(やだ、近づいてくる… どうしよう、出口は… あんなに遠くに)

まどか「あっ、またやっちゃった… みんなもう大丈夫だよ」

 まどかの身体から魔女の反応が消える、だが魔法少女はまどかを見たまま動けないでいた。

まどか「この子達は皆、私と一緒に頑張ってくれてるんです。それでですね、あなたにお願いがあって…」

魔法少女(いやだ… さっきキュゥべえにした事をされるの…? 怖い、怖い、怖い)

 魔法少女は目の前まで来たまどかがキュゥべえにしたように何かされると勘違いをし、恐怖のあまり反射的に持っていた剣をまどかに向かい突き出した。

 だが、その剣はリボンによりからめとられ、まどかに届くことは無かった。

まどか「………何するんですか?」

魔法少女「ひぃぃ!? た、助けてください…」

まどか「………」

 まどかは再びお願いをし、魔法少女の身体を黒い腕で掴み、ノートを取り出して魔法少女に質問を始めた。

まどか「…あなたは良い魔法少女じゃないんですか?」

魔法少女「ごめんなさい! 助けてください!」

まどか「…質問に答えないとこのまま潰しますよ?」

 その言葉に魔法少女の顔色は蒼白となりピタリと動きを止める。


まどか「…あなたはここに何しに来たんですか?」

魔法少女「きゅ、キュゥべえに言われてきたんです。もしかしたらグリーフシードがいっぱい手に入るかもしれないって言われて」

まどか「…グリーフシードがそんなにほしいんですか?」

魔法少女「わたしは強い魔法少女じゃないから… だから…」

まどか「…ふぅん、それじゃあ、あなたは使い魔も倒しますか?」

魔法少女「は、はい。出来るだけ倒しています…」

まどか(出来るだけ? マミさんは使い魔を優先的に倒していたよ? やっぱりこの子も悪い魔法少女だ…)

 まどかが魔法少女の名前を書き込もうとしたときに魔法少女は続けた。

魔法少女「それでも人が襲われていたら絶対に倒しています…」

まどか「………」

魔法少女「だから余分なグリーフシードがほしいんです。グリーフシードがあればそれだけ使い魔も倒すことができますし…」

まどか「………」

 まどかはノートをしまい、魔法少女の身体を開放する。

 そして、魔女の空間に穴を開けその中に手を入れ、数十個のグリーフシードを取り出した。

まどか「これ、あげます」

魔法少女「えっ? これって…」

まどか「がんばって」

魔法少女「えっ? えっ?」

 そのまままどかは魔女の空間に穴を開け中に入って消えていった。

 元の魔女の空間には、呆然としている魔法少女だけが残された。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

感想ありがとうございます。励みになります!


無数の魔女を飼っていれば影響も受けるだろ。運動する領地な某吸血鬼を思い浮かべた。
今のまどかは死神の理からも外れた何かになっていそう。

投下開始



 Lとライトとほむらは止まった時の中でお互いの情報を交換し、最後の打ち合わせをしていた。

L「それでは私はこれから宇宙人と交渉を行います、夜神君と暁美さんは… 時を止めた状態で佐倉さんに状況を説明し彼女にも協力を取り付けてください。魔法少女が二人いればそれだけ安全に鹿目さんを保護できます」

ライト「ああ、僕達はそちらに行かないほうがいいと思うしな」

ほむら「何故? インキュベーターと交渉するなら私達もその内容を聞いていれば、あいつに対する対策も立てられるはずよ」

L(お前がいるとこちらの嘘がばれてしまう… 夜神月、何とかしろ…)

 Lはライトに目配せをする。

ライト「暁美さん、君は僕達の切り札だ。君の力は絶対に宇宙人に知られてはならない、出来るだけ奴の目を君に向けず、君も奴に接触しないことが一番なんだ。奴に君の力を知られると対策されてしまう可能性がある」

L「…そうです、暁美さんは鹿目さんを助け出すまでは何も話さず、動かず、宇宙人に何かを言われても何も答えないでください。何かをする場合は時を止めてからです。貴女の力がばれると言うことはそれだけ鹿目さんを助けれる確立が下がると言うことです」

ほむら「わかったわ、まどかを助けるためなら…」

L「ありがとうございます、それでは最後に… あの宇宙人は聞かれたことは絶対に答えるんですよね?」

ほむら「ええ、あいつは自分の都合の悪いことは隠すけど、聞かれたことには全て答えるわ」

L「その根拠は今までの経験の結果ですよね?」

ほむら「ええ、そうよ」


L「わかりました。ありがとうございます。それが聞けて安心しました、後は何とかやってみます」

L「それではお二人は先ほど言った手はずどおりにお願いします」

ライト「ああ」

ほむら「わかったわ」

 Lは止まる前の元の位置に戻り、ほむらはLの合図を受けその手を離した。

ライト「宇宙人は彼に任せて僕達は佐倉さんにも協力を取り次ぐとしよう」

ほむら「ええ… だけど佐倉杏子が簡単に協力なんてしてくれるのかしら…」

ライト「…今までの経験上、彼女と協力したことはないのかい?」

ほむら「何度かあるけど、全部ある魔法少女がいたから協力関係になれたのよ。私のわがままに付き合ってくれるような子ではないわね…」

ライト「その魔法少女とは協力することは出来ないのか?」

ほむら「その子は美樹さやかよ、彼女は真実を知った以上、魔法少女となることは無いと思うわ」

ライト「そうか… だけど、僕は佐倉さんと少し話したが、君の事を凄く心配しているような感じだったけど」

ほむら「…全ては話をしてみてからね」

 ほむらとライトは杏子の前に到着し、そのまま杏子の肩に触れた。

杏子「ん? お前? なんだこれ?」

ほむら「………佐倉杏子、少し話を聞いてくれないかしら?」


6日目 夜 捜査本部

 Lは止まった時が解除されているのを確認し、入ろうとしていた部屋に違和感無く入っていった。

総一郎「竜崎! どうだったんだ? 魔法少女たちとは話がついたのか? …いや、ライトはどこなんだ?」

L「話はしました。彼はまだ彼女達と一緒にいます。結果を話してもいいですか?」

 捜査本部の全員は頷きLの言葉を待つ。

L「まずは、紹介します。宇宙人のキュゥべえさんです、キュゥべえさんこちらは日本警察の捜査員になります」

QB『僕の名前はキュゥべえ、よろしくね』

総一郎「なっ!?」

松田「パソコン使って何やってるんですか竜崎?」

相沢「………竜崎、今度は一体なんなんだ?」

 キュゥべえが見えていない捜査本部の一同はそれぞれ訝しげな顔を見せる。

L「キュゥべえさんこれをもってあの冴えない男の手においてきてもらえますか?」

QB『やれやれ、わかったよ』

 Lは持っていたペンを机に置き、キュゥべえに松田の手に渡すよう指示をした。

 ペンはキュゥべえがくわえ、部屋にいるもの達にはペンが空中に浮いて松田の手に収まったように見えた。


全員「!?」

L「トリックでもないですよ? ここに目に見えない宇宙人がいます。物理干渉が可能なようなのでこのパソコンでコミュニケーションをとっています」

 全員呆然としているがLは続ける。

L「それでは、今後の話しをしていきましょうか」

全員「………」

L「まず、今後はこのキュゥべえさんと協力をしてキラを捕まえることとなりました。…そしてこの捜査本部を解散しようと思います」

総一郎「なっ!? 何を言っているんだ竜崎!?」

L「状況はもう一般人の手に負える範囲を逸脱しました。警察にも手は負えません、なので皆さんはこれ以上危険な捜査をする必要もありません。ここからは魔法関係者のみでキラを追っていくこととします」

総一郎「竜崎! それは勝手すぎる! 我々の気持ちはどうなるんだ? これまで我々は命がけでやってきたんだぞ」

松田「そ、そうですよ! 納得できませんよ!」

L「…先日この事件が表に出せないと言いましたよね?」

相沢「?」

模木「ええ、そう聞きました」

L「恐らくこの事件は表に出ないどころか、人々の記憶からも消えていくこととなるでしょう」

宇生田「どういうことなんですか?」

L「私が追っていた変死事件と一緒です。この事件は魔法と言うものが関わっている以上、そちらのキュゥべえさんが何かをして人々の記憶から消えていくことになると思います。違いますか? キュゥべえさん?」

QB『…まあ、間違ってはいないね』

L(………やはり、今までの事件にもこいつが関わっていたか)


L「だそうです。事件は無かったこととなるんです。記録上残るかもしれませんが、それは誰にも気を止められず、事件のことを思い出す人間はいなくなるでしょう。この先捜査をしてキラに殺された場合はただの無駄死にとなるわけです」

総一郎「無駄死な訳が…」

L「誰にも気に止められず、家族にも友人にも何故死んだのかも理解されないということですよ? 誰かが覚えているのなら殉職という形になりますが、誰にも知られない、理解されない死は無駄死にと言えませんか?」

相沢「………」

松田「それでも僕達は! キラを捕まえる為に…」

L(………)

L「………はっきり言いますと、邪魔なんです」

総一郎「!?」

L「………今までの捜査でも貴方方は殆ど役に立っていません。これ以上私の元で捜査をしていただくのは私の労力が増えるだけ、私は無駄な事はあまりしたくないんです」

相沢「竜崎… あんたは! 今まで俺達のことをそう思っていたのか!?」

L「………はい、そうです」

総一郎「待ってくれ竜崎、幾らなんでも貴方の言っている事がおかしいと言うのは私でも分かる。一体何があったんだ?」

L「…何もありませんよ、これが私の本心です。今までは貴方達にも利用価値があったので使っていただけです。今はその利用価値も無くなった、それだけのことですよ」

松田「…なんなんですか! 僕達は仲間じゃなかったんですか!?」

L「…違いますね、お互いを利用する関係だった。今までもそうだったじゃないですか? キラを捕まえるためだけの関係、それ以上も以下もありませんよ」

総一郎「…竜崎、これ以上はお互い言い争うだけだ… 一度頭を冷やして、もう一度話し合おう」

L「…私にはもう話すことはありませんが、ああ、後本日はこの捜査本部のマンションではなく別のホテルで泊まってもらえますか。もう皆さんの登録データーを消す予定なので今まで過ごしていた部屋には入れないんですよ、荷物はちゃんと送り返しますので安心してください」

全員「………」

 Lの言葉を聞き、相沢が勢いよく立ち上がり部屋を出て行く、他の皆もそれぞれ追うように部屋を出て行った。

総一郎「…竜崎、明日ちゃんと説明を頼む」

L「………」

 捜査本部にはLとQBだけが残された。


QB『君は一体何をしているんだい? 彼らは鹿目まどかを捕まえるための協力者ではなかったのかい?』

L「彼らはもう必要ありません、貴方が協力してくれる以上、普通の人間は邪魔になるだけです」

QB『そうなのかい? まあ、彼らが鹿目まどかに何か出来るとも思えなかったしね』

L「ええ。そうです、後確認なんですが、彼らの記憶を捜査することはできますか? 可能ならここ数週間の彼らの記憶を消してもらえると助かるのですが」

QB『…簡単に言わないでほしいな、人間に干渉するのは僕達にも準備が必要なんだ』

L「そうなんですか? それでも彼らをこのままにしておくと貴方の存在や、魔法の存在が公になってしまうかもしれませんね。そうなったら貴方達はもっと手間と準備が必要になってしまうと考えられますが」

QB『…そうだね。明日には彼らの記憶はなくなるようにしておくよ』

 その言葉を聞き、Lは彼らの去った扉を見つめ物思いにふける。

L(………夜神さん、松田さん、相沢さん、模木さん、宇生田さん。許してくれとは言いません… 私と共に戦ってきた貴方方の思いは絶対に無駄にはしません…)

L(夜神君は… あと少しこの事件に付き合ってもらわないといけない… だが、暁美ほむらを使いキラを捕まえる作戦を実行した時に、彼には事件から降りてもらう… 彼の性格上、説得は無理だろうから気を失わせ安全な場所に移動させるか)

L(後はこの宇宙人との交渉… どこまでやれるか…)


L「では、まずキュゥべえさんの事を教えていただけないですか?」

QB『なぜだい?』

L「作戦を立てる以上、仲間の事を知っておくのは常識ですよ? 貴方がどういう存在かを見極めて作戦を立てることによって成功率が上下するんです」

QB『…わかったよ、それじゃあ僕達は………』

 QBはLに対し、自分達の目的や正体などを話した。LはQBの回答に対して全て問い詰める形で質問をし、QBもそれに対して回答をした。

L(…この宇宙人の目的、宇宙の延命、感情と言うものがないか… やりやすい存在とも言える。だが、こいつは目的を達成するまでは協力し続けるだろうが、目的を達成した時点で全てを切り捨てる可能性が高い)

L(やはり、信用も共存も出来ない相手…)

L「よく分かりました、我々はいい協力関係が結べそうですよ」

QB『それならよかった。それで鹿目まどかを捕まえる為の作戦はどうするんだい?』

L「…ちなみにキュゥべえさんは彼女がどこにいるかは知っていますか?」

QB『知っているよ。今彼女は風見野を狩場にしているようだね。風見野の魔女の結界に行けば大体彼女はいるだろうさ』

L「! 居場所が分かっているのなら何故捕まえないんですか?」

QB『僕達はこんな身体だろう? 戦闘力なんて無いんだ。今の鹿目まどかを捕まえることなんて僕達にはできないよ』

L「そうですか… それでは度々で申し訳ありませんが、キュゥべえさんの出来ることを教えていってもらえませんか?」

QB『構わないよ、まずは…』


 QBはLに自分達の能力の一部を説明し始める。

 その内の一つにLは反応した。

L「干渉遮断フィールドですか? それの詳しい内容を教えてもらえますか?」

QB『名前の通りだよ、外部の影響力が一切及ばないフィールドを形成するんだ。ただし内側からの攻撃により破壊される可能性もあるけどね』

L「そのフィールドの範囲は? 強度を上げることは?」

QB『広げれてもこの部屋一杯くらいかな? そうなると強度は殆ど無いようなものだよ。小さければソウルジェムを包み込むくらいのフィールドを形成できるよ。強度に関しても中からとてつもない力を持った魔法少女が攻撃しない限りは破壊されないだろうね』

L「…確かグリーフシードは魔女の結界を形成するんですよね? グリーフシードにそのフィールドを展開した場合、魔女の結界はどうなりますか?」

QB『恐らく魔女の結界全てに適応されるだろうね』

L「そのフィールド内で鹿目まどかが瞬間移動することはできますかね?」

QB『できないだろうね、そこらへんは僕達が調整できるからね』

L「それを使いましょう。鹿目まどかをおびき寄せフィールドを形成した魔女の結界に閉じ込める。彼女の魔女の力で破壊される可能性はありますか?」

QB『破壊される可能性は十分ありえるけど、念入りに準備をすれば大丈夫だと思うよ。だけどどうやって彼女をおびき寄せるんだい? 準備をする場合10日くらいはかかるし、そのグリーフシードの結界に入ってきてくれる可能性は少ないんじゃないのかな?』

L「キュゥべえさんは彼女にかなり嫌われているんですよね? それも出会った瞬間にでも殺されるくらいに」

QB『そうだね、何が彼女をそこまで怒らせているのか分からないけど、困ってるんだよね』

L「彼女のその感情を使います。キュゥべえさんの姿を絵にして、メディアに載せて発信します。『僕は見滝原にいるよ、君の大切なものを奪うためにね』とでもメッセージをつけてです」

L「彼女は怒り狂ってこの街に戻ってくるでしょう、そしてキュゥべえさんの固体を破壊された段階で、グリーフシードを孵化させ魔女の結界を作り上げます。そうすれば今魔女のいない見滝原にひとつだけ現れる魔女の反応、恐らく彼女は来るでしょう。そして彼女が中に現れたのを確認した時点で、フィールドを形成、捕獲完了です」


QB『それはそんなにうまくいくのかな? 彼女が戻ってくると思えないけど』

L「感情の無い貴方には分からないと思いますが、まず彼女は引っかかるはずです」

QB『…物は試しというやつだね。いいよ、その作戦で行ってみようか。失敗してもまた別の作戦をすればいいだけだしね』

L「ちなみにそのフィールドの形成とやらには貴方達はどれくらいの労力を割く必要があるんですか?」

QB『そうだね、彼女を捕獲するようなフィールドを形成するには、僕達の固体で言うと日本中の固体を集結させないといけないだろうね』

L(これなら… この準備をさせている間に、暁美ほむらを使い、キラを捕獲する。10日間は目をそらせるからその間にもキラを説得し、殺人を止め宇宙人と契約させることを阻止する)

L(キラを説得できない場合は… 覚悟を決めるか…)

L「わかりました、それではキュゥべえさんはその準備を宜しくお願いします。私も魔法少女に貴方の姿を描いてもらって、その絵を元に貴方の姿瓜二つの画像を作り出しますよ」

QB『わかったよ、それじゃあ僕は準備に取り掛からないとね』

 Lは去り際の言葉を放つQBをひきとめる。


L「待ってください、鹿目まどかを捕まえた後のことも話しておきませんか?」

QB『どういうことだい?』

L「私と契約して、魔法少女を量産しませんか?」

QB『…何を言っているんだい君は?』

L「言葉通りですよ、貴方は鹿目まどかを魔法少女にするつもりだと思いますが、彼女を魔法少女にすることは不可能です」

QB『………何故僕が彼女を魔法少女にしたがっていると分かったんだい?』

L「少し考えれば分かることです、そして貴方は人間の感情を理解していない以上、もう彼女を魔法少女には出来ません」

QB『それはどうしてなのかな?』

L「人間は殺意を抱いている相手から施しを受けることはまずありえません。今貴方が彼女から向けられている敵意は尋常なものではないと思います。思春期の少女が躊躇無く生き物を殺す、これだけで十分異常なのですから」

QB『それも試してみないと分からないんじゃないかな?』

L「100%無理です。断言します。そこで代案ですよ、彼女の才能がとてつもない才能と言ってましたが、破格の才能を何十、何百とそろえれば彼女に匹敵するエネルギーを得られるのではないですか?」

QB『そんな子たちをどこから見つけてくるんだい?』

L「世界中です。貴方達も行動しているでしょうが、効率が悪い方法を取っていると思うんですよ。感情を持たない貴方が交渉するより、同じ人類が交渉したほうが契約する人間は増えると思うのですが」

QB『何故君はそんな事をしようと思ったんだい? 君の言っている事は人間を魔女にすると言うことだよね? 魔法少女の真実を知った人間は普通怒るはずなんだけど?』

L「宇宙の延命のためなら仕方ない犠牲じゃないですか。人類も小さい視点ではなくもっと大きな視点を持たなければいけないと思うんですよね」

QB『君のような人間は珍しいね。それじゃあ、鹿目まどかの契約が駄目だったときは是非お願いするよ』

L「ええ、こちらこそお願いします」

 QBとの会話が終わり、Lは誰もいなくなった捜査本部で思考を始めた。


L(宇宙人はこのまま準備をさせ足止めをさせる、その間に風見野に暁美ほむらを送り込みキラを確保する、この時点で夜神君は眠らせて家に戻しておくか)

L(睡眠薬、閃光弾、電気ショック系の資材を集めきるまでは明日の夕方には完了するだろう …この捜査本部に仕掛ける爆弾も)

L(時間を止めて行動させれば、即効性ガスや電気関係が一番いいが… 暁美ほむらの性格上無理か、やはり薬を使いキラを確保、その後は説得…)

L(説得が成功すれば、後は宇宙人の処理のみ… 夜神さんや夜神君がいたら反対するだろうが… 手段はもう選ばない)

L(貧困地域から集めた魔法少女候補達と交渉をする… 『今後の全ての生活を保障する、多額の保証金も払う』の条件で、願わせる)

L(『この世界からある現時点の魔法・魔法少女・魔女の存在を消してくれ』『インキュベーターの存在を消してくれ』と、一人一人の願いだと分からないが、何百、何千と集まった願いを同時にすればどうだ。恐らく叶う…)

L(願いが叶った後は魔法少女の管理、最後の一人までを管理し続ける…)

L(キラの確保、キラの説得、宇宙人に叶えさせる願い… この三つがどうなるか…)

L(大丈夫だ、私が失敗しても… この数日だが彼の力を見てきた、彼なら任せられる。彼と共に戦ってくれる芽も遠い地で芽吹いている)

L(あの宇宙人が気付けなく、彼だけにわかるメッセージを用意しておくか…)

 Lは一人だけの捜査本部で準備を始めた。

 その顔は彼には珍しく寂しそうな顔をしていた。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。


その願いだと叶うなら魔女の代わりに魔獣かそれに類するものが現れ、QB型が廃棄され、別の型が派遣される最悪のパターンが考えられる。
魔法少女候補が本心から願った物ではないと叶わないとかの縛りが有ってもアウト、願いの条件についての確認が要る。
最後の最後で悪魔(QB)の囁きでLの指示を反故にするとかも考えられる。Lの精神は無理もないけど超展開に付いて来れていない。一人で抱え込まずにライトと話し合えよ。

自分がQBだとして営業するなら、まどかかそれに近い性質の娘を選ぶ。悪徳営業マンとその被害者で見ると解り易いのでは。
QBは「僕達を利用しようとした。出し抜こうとした魔法少女やその関係者がいなかったわけじゃないしね」とL、月の先を行きそうな気がする。
契約で願わせるにもインキュベーターとは何かを見せ理解させないとならないし、魔女、魔法少女、魔法に対するイメージは千差万別、イメージの統一もさせないとならない。単語が変わっただけで何も変わらずLに絶望と徒労感しか残らない事もありえる。
Lの計画は素人目に見ても100%失敗すると思う。

投下開始



6日目 夜 捜査本部 別室

 止まった時の中、ほむらとライトは杏子を協力させるために会話を始めた。

杏子「話って… お前さっきそっちにいなかったか?」

 杏子は時を止める前にほむらがいた場所を指差し問いかける。

ほむら「私の魔法よ、今時間を止めているの。このまま貴女と話したいから動かないで、私が貴女を触れていないとあなたの時間も止まってしまうわ」

杏子「はぁ? 時間を止めてるって… とんでもねぇ力じゃねーか」

杏子「それでこんな回りくどいことをして話って何? そいつも聞いていい話しなの?」

ほむら「彼は味方よ。話というのは私に協力してほしいの… まどかを助ける手助けをしてほしいの」

杏子「はぁ!? お前、まだそんな馬鹿なこといってんのか!? 目を覚ませって! あいつはとんでもねーバケモンなんだぞ?」

 杏子の言葉にほむらは目を吊り上げて言い返す。

ほむら「違う! まどかをそんな風に言わないで! あの子は今インキュベーターから逃げているの、貴女を攻撃したのもインキュベーターに何かされて仕方なくやったのよ」

杏子「…どういうことなんだよ」

 ほむらはライトやLと話し合った結果を杏子に伝える。


ほむら「…あの子は今追い詰められているはずなの。どうにかして助けないといけない…」

杏子「………確かにあいつはアタシの持ってたキュゥべえを潰した後は、なんか話しかけてきてた… アタシも余裕が無かったから何言ってきてたのかも全然覚えてないけど…」

ほむら「! やっぱりそうなのね、あの子は私達を攻撃してきたわけじゃない。あいつだけを狙ってその後は私達のせいで誤解をしてあんなことを…」

ライト(…宇宙人を狙っていたか。恐らくそれは間違いないだろう、だが佐倉杏子に何を言ったんだ? それ次第では…)

杏子「まてよ、それでも危険な奴じゃないのか? なんでお前はあいつのことをそこまで信じるんだよ?」

ほむら「っ… それは…」

ライト「それは僕も気になっていたところだ、暁美さん、君と鹿目さんは一体どういった関係なんだ? 時間を戻して何度も共に戦った仲だとは推測できたけど…」

 ほむらは悩み、考え抜いた後に二人に向かって話し始めた。

ほむら「…私はまどかを助ける為に魔法少女になったの」

杏子「!!」

ほむら「昔の私は意気地なしで、情けなくて、人に迷惑ばっかりかけて… そんな私と友達になってくれたのがまどかだったの」

ほむら「そんなある日私は魔女の結界に取り込まれて、そこでまどかと巴さんに助けられた…」

ほむら「二人に出会ってからはいろんなお話をして、すごく楽しかった… だけど、あの日全てが終わってしまった… ワルプルギスの夜がこの街に来てしまったことによって…」

杏子「ワルプルギスの夜って、あの…」

ライト(ワルプルギスの夜? ここに来てまた新情報か… くそっ…)


ほむら「巴さんはワルプルギスの夜に殺されてしまって、魔法少女はまどか一人になってしまった、それでもまどかは… 死んでしまうのを分かっていながら…」

ほむら「その後、私はまどかの死体を見つけて泣いたわ。絶望した、何で私なんかを助けるためにまどかが死ななければいけないのかって…」

ほむら「その時よ… あいつが、インキュベーターが私に契約を迫ってきたのは」

杏子「あの野郎…」

ライト(…狡猾な奴だ、人が一番願いを叶えたいと思っているときに現れる… 奴は本当に感情というものを理解していないのか? 何かが引っかかる…)

ほむら「私は契約したわ、まどかとの出会いをやり直したいと、あの子に守られる私じゃなくて守る私になりたいと… そして身につけたのがこの力」

杏子「………お前は」

ほむら「生きているまどかの姿を見たとき、嬉しかった。今度は私がまどかを守れるんだって」

ほむら「…だけど駄目だった。今度はまどかが魔女になってしまった… なにが起きたのかも理解できなかった… そして、私は再び時間を巻き戻したの」

杏子「………」

ほむら「私は皆に魔法少女が魔女になると打ち明けたわ。だけど、巴さんはその真実に耐え切れず… 貴女のソウルジェムを打ち抜いて殺してしまった…」

杏子「あ、アタシを?」

 杏子の言葉にほむらは頷く。


ほむら「残ったのは、私とまどかだけ… 私達は再びワルプルギスの夜と戦ったけど、駄目だった… そのときも… まどかは… うぅうう…」

 その光景を思い出したのかほむらは眼に涙を溜め肩を震わせる。

ほむら「………ごめんなさい、それから私はもう誰も信じず一人で戦ってきたわ… 何度も繰り返した。それでも駄目だった…」

ほむら「そして今回… なにが起きているかも分からなかった、今まで経験してきた世界とは何もかもが違っていたの」

ほむら「それでもまどかは生きている… インキュベーターにもう目をつけられてしまっているけど、あの子は生きているのよ… 私はまどかをなんとしても助けなければいけない…」

杏子「………」

ライト(ま、まずい。彼女の中での鹿目まどかと今の鹿目まどかは別物と言っていい… 彼女と鹿目まどかが言葉を交わして、彼女が真実を知ってしまったとき… 駄目だ、彼女と鹿目まどかを引き合わせてしまうことは絶対に駄目だ)

ほむら「これが私の全て… 私はまどかの為だけに生きている。どうしてもあの子を助けたいの…」

杏子「…お前、どれだけの時間アイツを助ける為に…」

ほむら「わからないわ… 気の遠くなるくらい…」

ライト(しかし、どうする? もう彼女とは約束をしてしまって、それで進めるしかなくなった。今更鹿目まどかはキラで危険人物なんて言えないし、言ったら僕は確実に死ぬ。くそっ! 完全に僕の失敗だ!)


杏子「…アタシは最初、お前がお人よしの甘っちょろい奴だと思っていた」

杏子「アタシもね、他人のために祈って魔法少女になったんだ。だけどアタシの場合はその祈りが全てを壊しちまった… だからお前が他人のために何かしてるのを見て、それは間違ってるって言ってやろうと思った」

ライト(!? この流れ、まずい… 佐倉杏子まで…)

杏子「…だけどお前は、ずっとその祈りを信じ続けて今までやってきたんだよな。どんな時でもアイツを思って生きてきたんだよな」

ほむら「ええ…」

杏子「ははっ、お前すげーよ。ほんとの馬鹿だよ。…でも羨ましいよ。アタシが忘れちまったもんをお前は忘れずにずっと持ち続けてる…」

ほむら「…佐倉杏子」

杏子「ふん、そんな他人行儀な呼び方するんじゃねーよ、ほむら。アタシも手伝ってやるよ、アイツを助けるんだろ?」

ほむら「…いいの? 貴女には何もしてあげられないと思うのに…」

杏子「いいんだよ! アイツを助けて、ワルプルギスの夜も倒して、あのキュゥべえの野郎からアイツを守り続ける! それでハッピーエンドだろ?」

ほむら「ありがとう… 杏子」

ライト(や、やばい… 魔法少女二人ともキラを守るという形になってしまった… もう口出しも出来ない、止めることも出来ない… この二人がキラと出会ったとき…)

ライト(くそっ、作戦上は最初に眠らせる手はずだが… それが失敗したときこの二人はキラを説得するために会話してしまう… そのキラとの会話次第では、この子達は…)

ライト(駄目だ、現状打つ手が無い。こうなったらLが宇宙人から引き出した情報次第で、何とか流れを変えることが出来るはず… 頼む…)


?日目? 死神界?

 死神  の窓から一匹の死神が一人の少女を見ていた。

 死神はいつもいつも少女の事を見ていた。

 そんな死神を、別の死神は興味を持ち一緒にその少女のことを見る事にした。

??「明日だね、あの娘の寿命」

????「元気そうなのになんで明日なんだろう?」

??「事故か何かじゃないか? あの娘は魔女の口付けも受けていない、寿命もぼやけていないからな」

????「魔女の口付け? なんだいそれ? 教えてよレム」

レム「ジェラスは知らなかったか? 死神大王が関わるなと言っているあれだよ、いつ言ったのかは忘れてしまったけど」

ジェラス「全然知らないや… それを受けると人間は死んじゃうの?」

レム「いや、人間の運命が書き換わるらしい、詳しいことは私も知らない。ただあの娘はここ数日それに関わっているから言ってみただけだ。ジェラスも見ただろう? あの娘が魔女の結界に入っていくのを」

ジェラス「あの日いきなり消えちゃった時の事? あれがそうだったんだ」

レム「ああ、その後もあの娘は魔女の口付けも受けてないし、明日があの子本来の寿命なんだろう」

ジェラス「………」

 二匹の死神が見ている先には、青い髪の少女が映し出されていた。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始



6日目 夜 捜査本部 別室

 ほむらと杏子がまどかを助ける方針で行くことを確定させ、ライトは今後の対応を思考していた。

ライト(Lが宇宙人との交渉を終わらせるのはまだ時間がかかる、とりあえずは暁美ほむらがLの元へと向かわないように足止めを…)

ライト「二人とも、打ち解けられたみたいで安心したよ。暁美さん、僕達も鹿目さんを助け出すために協力は惜しまない。君の話を聞いた以上、絶対に鹿目さんを助け出したくなった」

ライト「鹿目さんを疑って追い詰めてしまったのは僕達にも責任の一端はあるはずだ… 必ず彼女を助け出し、宇宙人から守り抜こう」

ほむら「………ありがとう。いえ、ありがとうございます。あんなに失礼なことをしたのに貴方も協力してくれるなんて…」

ライト「それはもう済んだことさ、これからは全員で鹿目さんを救い出すことを考えよう。僕達の共通の敵はあの未知の宇宙人なんだ。後は彼が何とか宇宙人から情報を引き出せれば…」

杏子「彼? あの顔色悪い兄ちゃんのことか? あいつキュゥべえに騙されちまうんじゃねーのか?」

ライト「ははは、大丈夫さ、彼はああ見えてかなり頭のいい人だからね。あの宇宙人の弱点も見つけ出しているかもしれないよ」


ライト「だけど、彼が宇宙人と話を終わらせるまで少し時間がかかると思う。その間、僕達は何もせず待機しておこう。1時間、いや2時間か? それくらい時間が経ったら暁美さんの力を使って、止まった時の中でまた作戦会議をするとしよう」

ほむら「そうですね。あの人の情報次第でまどかの居場所もわかるかもしれない… それまでは私もこの部屋に待機します。杏子も何もしないようにお願い」

杏子「ほんとに回りくどい事やってんだな… まあ、あの野郎に知られるとどんな邪魔をされるかわかんないしね。とりあえずアタシも指示に従うとするよ」

ライト「ありがとう。後は時間を止める合図も決めておかないといけないな。…僕が君の名前を呼び、君の顔を見て右目だけ4回瞬きをしたら時を止めてくれ」

ほむら「わかりました。右目を4回ですね」

ライト「ああ。それじゃあ、時間停止を解除したらお互い何も話さず時間が経つのを待とう」

 ライトの言葉に二人とも頷き、ほむらは時間停止を解除した。

 その後はそれぞれ何も話すことなく、時間が経過するのを待った。

ライト(僕が出来ることはここまで。っ、しまった… ワルプルギスの夜、これの情報も聞かなければ… いや、これはLと合流してからだな。予測できるのは強大な魔女だろうが…)

ライト(Lと合流した後は、こちらの情報を先に彼に… 気付いてくれるかが問題だな、できれば彼女達を使わずにキラを捕まえる方法を考え付いてくれていれば…)

ライト(まだ大丈夫なはずだ… どうにかして彼女達とキラを会わせずにキラを捕まえる方法を…)

 そして2時間弱経過したところでライトはほむらに合図を送り、Lがいる捜査本部へと時を止めて向かった。


6日目 深夜 捜査本部

 ほむらはLの肩に触れ、止まった時の中に呼び込んだ。

L「…どうも、こちらは終わりましたよ」

ほむら「それでどうだったの!? まどかの…」

ライト「暁美さん、少し待ってくれ。まずはこちらの話を彼に聞いてもらってからにしたい。君の鹿目さんに対する思いを彼に話してもいいかな?」

ほむら「………ええ、大丈夫です」

L「? …何かあったのですか?」

 ライトはほむらがまどかの為に何度も時間を繰り返していることを告げ、ほむらのまどかに対する思いもLに話した。

L(…大問題だな。魔法少女が絶望したときに魔女となる、こいつが今の鹿目まどかがやっていることを理解してしまったとき、絶望して魔女となる可能性が… 共に戦って死を看取るならまだ精神の傷が浅いと言える、だがこれは…)

L(いや、もう止められないか… どの道こいつは真実を知る。それならばいっそキラと会わせて、真実を理解させる… 魔女となれば危険な魔法少女が一人消えるがキラに操られる、今の鹿目まどかを受け入れた場合も…)

L(どちらにしろキラに着くことは変わりない… やはりもう無理か… やるしかないな)

L「…そうですか。貴女が彼女に拘っている理由がようやく分かりました。…なんとしても彼女を助け出さなければならないですね」

L「ああ、それと私もあの宇宙人から鹿目まどかさんの居場所に関する情報を手に入れました」

ライト(!? 何故だ!? Lがこの現状を理解できないわけが無い、何故彼は彼女達を使う!? このままだと暁美ほむらは…)

ライト(…Lが話してしまった以上、もう彼女達がキラの所に行くことは確定してしまった… どうすることも出来ない、Lの話を聞き続けるしか…)


ほむら「本当!? 本当にまどかの居場所が!?」

L「はい、ですがこの情報は準備が整うまでは話しません」

杏子「おい、テメェ、ふざけてんのか? アイツの居場所が分かったんなら話せよ! コイツがどんだけアイツのことを」

L「それですよ。今話したら暁美さんは真っ先に彼女のところに向かいますよね?」

ほむら「っ! ………」

L「全ては準備を整え、確実に捕まえられる道具も持って行くことが条件です。そうでないと鹿目さんが逃げ、彼女の貴女方への警戒は非常に高いものとなってしまいます」

ほむら「…わかったわ。それでどれくらい待てばいいの?」

L「明日の夕方までですね。準備が出来ましたら私が皆さんに連絡をします。それまでは暁美さん、佐倉さん共に先ほどの部屋で待機していてください。夜神君も同じく彼女達と待機です」

ライト「…何故だ?」

ほむら・杏子「?」

L「どうしました? 夜神君も宇宙人に目をつけられるとまずいので彼女達と一緒にいてもらいたいのですが」

ライト(何を隠しているんだL… くそっ、下手なことを言うと彼女達から疑いが…)

ライト「その宇宙人とは…」

 Lはライトの言葉にかぶせるように言う。

L「それでは、三人は別室で待機してください。誰か一人でも勝手な行動をすることは作戦の失敗に繋がりますので、絶対に勝手な行動は慎んでください」

ほむら「…ええ」

杏子「チッ、わーったよ。…本当にムカつく奴だぜ」


ライト(くそっ! 勝手な行動をしているのはどっちだ! 何を考えているんだ!?)

ライト(…怒るな、冷静になるんだ。彼がここまで強行的にこの作戦を行うのは… 何か確実にキラを説得できる情報を宇宙人から得たのか?)

ライト(…時間を止めて動く以上、キラの確保はそう難しくは無いはずだ。居場所も判明して説得が出来ると彼が判断したならここまで強行的に進めるのも頷ける)

ライト(幾らなんでもキラを捕まえる為に彼女達を犠牲にするとは考えられない… 信じるしかないか…)

ライト(嫌な予感がする、杞憂であってくれればいいが…)

 ライトはまだLという人間を理解しきれていなかった。

 Lはどちらかと言うと犯罪者よりの人間、ライトとは違いある程度の犠牲を払っても最終的に被害を最小限に食い止められればいいと考えていることを。

 そしてLは今回魔法少女というやがて魔女になってしまう人間よりも、ライトや普通の人間達を生かす道を選んでしまった。

 Lはキラを捕まえ説得することはもう考えていない、どうやってキラと魔法少女達を処理するかを考える。

 Lの中での最終目的は宇宙人の排除と変わった。その目的を達成するためには魔法少女達の犠牲も厭わない。

 これからは宇宙人の排除を前提に全ての行動を変更する。Lは自分の犠牲すらも宇宙人の排除と繋がるならば問題ないとも考える。

 もしも宇宙人も知らないような力がLの元に現れ、その力が宇宙人の排除に繋がるような物であったなら、Lの考えはまた別のものに変わるのかもしれない。

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本日はここまでです。
また来ます。

いろいろ感想ありがとうございます。
まどかやデスノの考察って難しいですよね。

QB的に人類は家畜ではなく感情という資源を産出する鉱山に近いのじゃね。
人類だって石油を産出する為に油田に海水を注入したりするし。
昔は現在の形にしなくても感情からエネルギーが抽出できたけど、人口(エネルギーの埋蔵量)が増えたけど社会の高度化で取り出し難くなったから歪みが生じるシステムに移行して取り出すようになったとか。

古代に作中の頻度で魔女化、魔女関連の事件が起きていたら…魔女化の損害とQBの介入で発展の度合いが史実と同じ可能性も有る。
ほむ「QB(あなた)の介入がなければ魔女による損失が無くなるから人類の発展は介入が有ってもなくても変わらないわ。今後を考えるとない方がマシね」
QB「その可能性もあるね(しれっ)」
家畜どころか掘り尽したら閉山して次の油田、鉱山に移動する程度の資源がQBにとっての地球人類の認識じゃないのだろうか。

持ち主の死神の消滅とノートの効力が連動していたら、苦労して回収したノートがただのノートになるけど、
レムのノートはレムが死んだ後も効果が残ったっけ?

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7日目 夕方 捜査本部 別室

 あれから三人は別室に戻り、睡眠をとり目覚めた後は特に話しもせず待機していた。

ライト(Lめ… この部屋の鍵をかけ閉じ込めるとは… 本当に何を考えているんだ…)

 ライトはLの行動を咎めたかったが、肝心のLは全く音沙汰もなく時間だけが過ぎていった。

 そして、Lからの呼び出しがモニターにあった。

L『すみません、少しいいですか?』

 ライトはそれを見て、ほむらに合図を送り3人は止まった時の中Lの元へと向かった。

 Lの元へ辿り着き、ほむらはLも停止時間の中に呼び込んだ。

L「ありがとうございます。それでは、最終作戦会議を行いましょうか」

ほむら「…早くまどかの居場所を教えて」

L「その前にです、鹿目さんを保護する上で彼女と話はせずに眠らせた上でこちらに連れてきていただきたいのです」

ほむら「…何故?」

L「宇宙人から得た情報のひとつとして、彼女の居場所と現在の彼女の情報を得ました。それによると彼女は現在、完全に魔法少女というものに敵意を持っているようです。話し合いすら出来ないくらいにです。どうやらあの宇宙人が好戦的な魔法少女を使って彼女を攻撃し続けた結果そうなったものだと思われます。」

ほむら「………そんな事、実際に会って話してみないと…」

L「実際に会って、話す前に魔女に攻撃されたらどうします? そのまま逃げられてしまったらどうします? 暁美さんの力は触れられたら解除されてしまうんですよね? 貴女が拘束されてしまうとその時点で作戦は失敗です。最初に会ったときは何も出来ずに拘束されてしまったんですよね?」

L「まずは彼女を安全な場所に連れてくることを第一目標としましょう、魔女の結界などという訳の分からない場所よりも、こちらのマンションのほうが彼女も落ち着くでしょう。今の彼女は追い詰められ、精神状態も不安定になっていると推測できますから」

ほむら「………」


L「その後に話し合いです。貴女達は彼女と一度出会ってますので、彼女が目を覚ました後は私が一度話をして見ます。その後理由を説明してから貴女達も彼女と会ってください。…その際は魔法少女として変身をしていると警戒されそうですから魔法少女の変身を解除しての話し合いですね」

ほむら「いいえ、まどかを連れ帰った後はあの子を一人にさせることは絶対にしないわ。まどかと話すときは私も一緒に居させてもらう」

L「…構いませんよ、ですが魔法少女の変身は解除して彼女に敵意がないことをアピールしてくださいね」

ほむら「わかったわ」

ほむら「それで、まどかを眠らせると言っているけどそれはどうするの? 私は薬品系はあまり持っていないのだけど」

 ほむらの問いにLはスプレーの缶と別のピンが付いた缶を見せる。

L「用意しておきました。こちらを使ってください即効性の睡眠薬です。こちらのピンを抜くとガスが噴出しますので鹿目さんの足元にでも設置して使えば大丈夫です。念のために最初にスプレーで鹿目さんの口元に吹きかけてもらえれば彼女は昏倒するでしょう」

 ほむらは缶を見ながら、疑わしげな目をLに向ける。

ほむら「…これは人体に害を及ぼすようなものじゃないの? 即効性というほど強い薬なんて信用ができないわ」

L「ああ、それなら大丈夫です。この薬はとある発明家が開発した薬で100%天然成分の人体には無害な薬になります」

 Lはさらに別のスプレーを取り出す。

L「さらにこちらの中和剤を使えばすぐに目を覚まします… 試してみましょうか」


 Lはそう言い、ライトに向かって睡眠薬のスプレーを吹きかける。

ライト「!? な、何………」

 ライトはガスを吸い込んだ瞬間気を失い寝息を立て始めた。

 Lは少し経ってから、中和剤のスプレーをライトの口元に吹きかける。

ライト「……… ! な、何をするんだ!?」

 ライトは自分が眠ったことにも気が付かずLに向かい文句を言う。

L「ご覧の通りです、私自身でもやってみましょうか?」

杏子「………コイツ滅茶苦茶やりやがるな」

ほむら「…わかったわ、その薬を使ってまどかをつれてくるわ」

ほむら「それで、まどかの居場所はどこなの?」

L「現在彼女は風見野に発生する魔女の結界内にいるはずです。恐らく風見野で魔女の結界を見つけ出せばそこに彼女はいるはずです」

杏子「風見野にいんのかよ…」

 Lから居場所を聞いた後、ほむらはLの持っていた薬を奪うように盾の中に入れ風見野に向かおうとする。

L「待ってください、その薬を使うときは設置した後彼女の視界に入らないように隠れて…」

ほむら「言われなくても分かっているわ、時間を止めての動き方は一番知っているのは私よ」

L「それは失礼しました、それではこのまま時間を止めたまま風見野に向かい、鹿目さんを保護して戻ってきたらまた私達に触れてください。鹿目さんの為に用意した部屋に案内しますので」

ほむら「ええ、分かったわ」

L「それでは、宜しくお願いします」

 ほむらはLとライトから離れ二人の時間は停止した。

 止まった世界はほむらと杏子二人だけとなり、二人は風見野に向けて走り出した。


7日目 夕方 風見野に向かう最中

杏子「そういえばお前、この魔法使い続けてるけど魔力は大丈夫なのか?」

ほむら「…少しまずいかもしれないわね」

 手を繋いだ状態で、ほむらは左手のソウルジェムを見せる。そのソウルジェムの色は濁り始めていた。

杏子「お前、グリーフシードのストックは?」

ほむら「…ないわ。目を覚ましてからはずっとまどかを探していたし…」

 杏子はほむらの言葉を聞き、ポケットから数個のグリーフシードを取り出した。

杏子「使いな」

 ほむらは杏子がグリーフシードを差し出してきた事に驚きながら受け取る。

ほむら「ありがとう、貴女がここまでしてくれるとは思っていなかったわ」

杏子「…お前の中でのアタシのイメージってどんなのだよ」

杏子「まあ、確かにお前に出会う前のアタシだったらこんなことはしなかっただろうね」

杏子「お前の馬鹿が移っちまったのかもしんねぇな。…だけどそんな馬鹿なことをやってる自分のほうがいいって思い出したんだよ」

ほむら「今までは貴女と深く話をした事がなかったけど、もっと早く話をしていればよかったのかもしれないわね…」

杏子「そんだけお前にも余裕がなかったって事だろ? それでも今回はこうやって友達になれたんだ。ほむら、お前の長い旅も今回で終わりにしようぜ」

 ほむらは杏子の何気ない一言に反応してしまう。

ほむら(友達? 私の友達はまどか一人… まどかさえいれば私は…)

ほむら(でも、杏子は私の為にここまでしてくれている…)

ほむら(…なんなんだろうこの気持ちは。一体私はどうしたいの…)

 ほむらは自分の心に湧き上がる気持ちが理解できず杏子に対して何も言えなかった。

 その後、杏子の案内で風見野の妖しい場所を探し続け、ようやく魔女の結界を見つけ出した。


7日目 風見野 魔女の結界

 魔女の結界に入り、二人は最深部に向かい走り続けていた。

ほむら「この魔女の結界にいてくれればいいのだけど…」

杏子「いなけりゃまた他を探す。見つけるまで探してやればいい」

ほむら「…そうね、連れて帰った後はあの子にもう危険なことをしないように説得もしないと。私の言葉を聞いてくれればいいのだけど…」

杏子「そんなもん、お前の心の内を話してやれよ。そうすりゃ、アイツだってお前のことを信じてくれるさ」

杏子「昨日みたいに涙こらえてだぞ? そんな仏頂面だとアイツも信じてくれねぇからな?」

 杏子は茶化すようにほむらに言う。

ほむら「…冗談はやめて、あの子と私の時間はもうずれているのよ、気持ちも…」

杏子「だーかーらー、そういうのをやめろってんだよ。お前がアイツに思いをぶつけてアイツはお前の思いを理解して、それで説得終わり! そんなもんじゃん? 愛と勇気のストーリー、ってのはさ」

ほむら「………」

ほむら「…最深部ね」

 二人は魔女の部屋に通じる扉の前に立ち、その扉を開け始める。


杏子「!!」

ほむら「まどか!!」

 魔女の部屋に入った二人が目にしたのは、リボンで拘束された魔女の前にノートを持った状態で止まっているまどかの姿だった。

 まどかの姿を見てほむらは駆け出そうとするが、杏子によって止められた。

杏子「おい! 落ち着け! アイツをまず連れて変えるんだろ!?」

ほむら「そ、そうね。ごめんなさい」

 ほむらは一度深呼吸をして、盾の中からLに渡された薬を取り出す。

 薬を取り出し、まどかの元へと歩き出す二人。

ほむら(あらためて見ても酷い… 魔女の口付けがこんなに…)

ほむら(魔女を操る力の副作用…? こんな姿になってもまどかは…)

ほむら(早く安全な場所に連れて行って………)

 ほむらがまどかに近づき数メートルになった時に、異変が起きた。

 まどかはマミにお願いをして、常に身を守って貰うようにしていた。

 魔女となったマミはそのお願いにより、まどかの数メートル内に知覚出来ないような細いリボンを張り巡らせていた。

 まどかに害が及ぶような攻撃があった時、そのリボンは攻撃を拘束すべく動く。

 そしてまどかは、マミと残りの時間ずっと一緒にいる約束を果たすべくマミにお願いし、リボンを指に巻きつけて貰っていた。

 今、ほむらは細いリボンの結界に足を踏み入れそのリボンに触れてしまった。

まどか「………」

 まどかの瞳がぎょろりと動きほむらと杏子の姿を捉えた。

投下終了
本日はここまでです。
また来ます。

投下開始


?日目? 死神界?

 ジェラスは死神  の窓から青い髪の少女を見ている。

 そんなジェラスの背後で、同じく少女の行く末を見ているレムがいる。

 ジェラスの目に映る少女の寿命は既に10分をきっている状態だった。

 そのまま二匹の死神は何も話さず、死神  の窓から見続けていた。

 少女は夕方の道を何かを探すように歩いていた。

さやか『暁美さんにはああ言われたけど、あたしはやっぱりこのまま何もしないなんて事はできないよ…』

さやか『この先もまだ調べてないところだし、何かの手がかりがあれば…』

 さやかの歩いている道は見滝原郊外へ続く道で、人気もない道だった。

 さやかが歩き続けていると、突然路地裏から二人の男が現れさやかの前に立ちふさがった。

さやか『えっ? だ、誰?』

男2『俺達のことを忘れたってのかよ…』

男3『テメェらのせいで、俺達は捕まっちまったってのによ…』

 男達は見滝原女子中学生暴行事件の容疑者として捕まった二人だった。

さやか『な、なんなの? あたしはあんた達のことなんか知らない』

男2『お前達のせいで俺たちは前科者だ』

男3『いつキラに殺されてもおかしくねぇ… それも全部テメェらのせいだ』

さやか『何言ってんのよ! 一体なんなのよ!? っ!?』

 男達はナイフを取り出してさやかに向ける。

ジェラス「!?」

レム「おいおい、こんな結末だったとは…」

 男達はさやかを取り囲むように動き始めた。

さやか『や、やめて… 本当にあたしはあんた達のことなんか知らない、誰かと間違えてるって…』

男2『いつ殺されてもおかしくないんだ、だったらお前らも殺してやるよ』

さやか『ひぃっ!?』

 ジェラスはその時点で男達の名前をノートに書き込んでいた。

レム「おい…? ジェラス、お前…」

ジェラス「………」

 さやかに襲い掛かろうとしていた男達は突然苦しみだしその場に倒れる。

男2『うぐ!? あがが………』

男3『あぐ!? ………』

さやか『ひっ!? 何、何なのよぉ…』

 さやかはその場にへたりこみ泣き始めてしまった。

レム「おい、ジェラス? ジェ…!?」

レム「こ、これは一体…?」

ジェラス「………」

 男達が死んだ瞬間、ジェラスの身体は崩れ始めレムの前でおぞましい色の何かに変わり消滅した。

 その場に残されたのは一冊のノートだけだった。

 死神  でレムはジェラスが消滅した場所を呆然と見続けていた。


7日目 夕方 見滝原郊外へ続く道

 さやかは男達が倒れた後その場で泣き続けていた。

さやか「ひっく… ううっ… 何なのよ… もうわけわかんないよ…」

 しばらくして落ち着いたさやかは倒れている男達の様子を伺うべく男達に近づいた。

さやか「…ひっ!? し、死んでる!?」

 さやかは苦悶の表情で倒れている二人の男が完全に死んでいると理解して再び尻餅をついて震え始めた。

さやか「やだ… もうやだ…」

 さやかが俯いて震えていると、どこかでパサリと落ちる音がさやかの耳に届いた。

 さやかは音に反応し顔を上げる。

 男達を極力見ないようにして、辺りを見渡すと少し離れたところに黒いノートが落ちているのに気が付いた。

 さやかはのそりと立ち上がり、ふらふらと導かれるようにノートに向かって歩き始めた。

 そしてノートの前に辿り着きさやかはそれを見つめる。

さやか「………ノート? 黒いノート?」

 さやかはそのノートを拾うべく手を伸ばす。

 そして、ノートに触れた瞬間さやかの身体から青い光が溢れ出し、辺りを照らした。

さやか「あっ………」

 ノートを拾い上げたさやかの足元からは青い光が漏れ続けていたが、やがてその光は消え辺りは静寂に包まれた。

さやか「………思い…出した」

さやか「………この世界は…」

 下を向き顔の見えないさやかの背後に剣を指揮棒と見立てた巨大な何かの影が一瞬現れ消えた。

投下終了
とりあえず次はまとめて一気に投下したいと思います。
ものすごく遅くなります。
それでは失礼します。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月14日 (金) 08:11:35   ID: FrIqM3xY

面白い、この先どうなるのか気になる

2 :  SS好きの774さん   2015年09月03日 (木) 15:07:02   ID: 6uTw6Ncl

続きが気になり過ぎて一日に十回は更新してないか確認に来てる

3 :  SS好きの774さん   2015年09月10日 (木) 20:45:50   ID: XTVUpU9P

多分クロスssのなかでも最高傑作になりそうだわ、作者頑張れ!!

4 :  SS好きの774さん   2015年09月10日 (木) 23:58:18   ID: xiupr9Vh

ひとりの奴が延々自演ageしてるな
つまらない物の宣伝とageご苦労なことだ

5 :  SS好きの774さん   2015年09月11日 (金) 17:21:37   ID: HrcMhXnr

>>4 ならコメントすんなゴミが

6 :  SS好きの774さん   2015年09月11日 (金) 18:34:33   ID: Y8u_Q_4s

駄作すぎる

7 :  SS好きの774さん   2015年09月13日 (日) 19:07:00   ID: t5ylgq0S

誰だBL付けたの

8 :  SS好きの774さん   2015年09月23日 (水) 10:05:25   ID: GSTPLqX7

もう更新は無いのか?

9 :  SS好きの774さん   2015年09月23日 (水) 15:00:42   ID: YVyQ9-C2

ライトとLが手を組んでるのもいいが・・なんだろう
映画、ドラマ版を含めると因果もでかそうだが
あとさやかがミサミサ化とあの反逆の世界を思い出してそうな引き
もしかして、悪魔ほむらとまど神もいるのかね


10 :  SS好きの774さん   2015年09月23日 (水) 16:55:22   ID: IRNUgzhc

あれこれ語る程の物でもないな
薄っぺらすぎる

11 :  SS好きの774さん   2015年10月04日 (日) 04:26:39   ID: iiPdt_ry

いやいや500レス以上書けるなんて凄いでしょ。最近の下手なラノベよりは面白かったよ。嫌な人達は見ないとかすればいいのにね。ここまできたんだしスレ主にはがんばってほしいな。

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