高森藍子「お酒が飲める歳になって」 (72)

――事務所の休憩室――

北条加蓮「ほら、藍子。せっかくなんだから一気にいっちゃえ、一気にっ!」

安部菜々「駄目ですよ加蓮ちゃん。最初はゆっくりでいいですからね、藍子ちゃん」

モバP(以下「P」)「あんま飲むのに時間かけても逆に辛いから、喉に入れたら一気にいった方がいいかもな」

高森藍子「ううぅ……すぅー……はぁー……よしっ。高森藍子、いきます!」ゴクッ



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――注意事項――
北条加蓮→安部菜々の呼称を変えさせていただいてます。

加蓮「お……」

P「おお……」

菜々「うわっ、そんなに一気に行くと……!」

藍子「…………!」

藍子「げほっ、ごほっ、ごほっ!」

加蓮「わ、大丈夫?」フキフキ

菜々「だから言ったんですよぉ!」

P「やっぱいきなりはキツイよなぁ……これ、度数3%だったよな?」マジマジ

加蓮「ゆるいのからってPさんに頼んで買ってもらったのにね、お酒」

藍子「げほごほ……ふうっ……うぅ、ごめんなさいPさん」

P「いやいや、いいっていいって。んじゃ、藍子がめでたく酒デビューしたところで、俺も飲むか」プシュ

菜々「で、どうでした? 人生初のお酒は!」

藍子「はい……なんだろ……炭酸とも違うような、ジュースとも違うような……とにかく喉が、かっ! ってなっちゃって、それになんだか苦くて……私には、まだちょっぴり早いみたいです」

菜々「誰でも最初はそんなもんですよ。ゆっくり慣れていきましょ! ね、Pさん」

P「お、おう」

加蓮「…………ところで、菜々、やたらお酒に詳しくない?」

菜々「…………もうこの面子では開き直ることにしましたから」

菜々「あっ、Pさん、先にズルいですよ! ナナもいっきまーす!」ガブッ!

菜々「くぁーっ! 改めて藍子ちゃん。20歳、おめでとー!」

藍子「ふふっ……ありがとうございます、菜々さん」

加蓮「おめでとう。急に先を越されちゃった気分だな」

P「おめでとう藍子。そして大人の世界にようこそ」

藍子「加蓮ちゃんも、Pさんも……はいっ! ありがとうございます! これからも、よろしくおねがいしますね?」

加蓮「Pさんが悪い顔してる」

P「ずっと前からこうして藍子と飲むのが夢だったんだ。職場の仲間と来たら競うように飲む奴らばっかりでなぁ、付き合ってたら胃がいくつあっても足りねえ……藍子となら、ゆっくり飲めそうだからな!」

藍子「ふふっ、ゆっくりがいいんです、ゆっくりが」

加蓮「だってさ、ウサミン星人」

菜々「ナナにはなんのことやらさっぱり」

加蓮「最初に私の前でがぶ飲みしてみせたのっていつだっけ? ほら、私の前では変に取り繕わないでいいよって言った時」

加蓮「あれからお酒に興味が湧いてきて仕方ないんだけど」

P「加蓮はあと2ヶ月もないだろ。ここまで我慢できたんだから、な?」

加蓮「うん、判ってるよ」

P「菜々はすげえんだぞ? まず500ml一気だろ、んで愚痴を吐き捨てるだけ吐き捨ててまた一気――」

菜々「わーっ! わーっ! Pさん、その話はだめーっ!」

P「はっはっは」グビグビ

加蓮「もう酔ってる?」

藍子「きっと素面ですよ。Pさん、ときどきこうして、遠慮なく喋ることがあるから」

加蓮「え、なにそれ。私知らないんだけど……」

P「…………加蓮」キリッ

加蓮「な、なに?」

P「娘だと思ってた奴が日に日に女性っぽくなっていくのを経験する保護者の気持ちを知れ」

P「距離感に悩む哀れな野郎を嘲笑え」

P「…………はっはっは!」

加蓮「酔ってるでしょ、これ」

藍子「あはは……」

菜々「ぐびぐび……かぁーっ! いやぁ、Pさんじゃないですけどナナも藍子ちゃんと飲んでみたいと思ったんですよねぇ!」

加蓮「気持ちは分かるかな。藍子ってこう、いいタイミングでお酌してくれそう」

P「おう加蓮、いくらお前でもうちのアイドルをそういう目で見るのは許さんぞ」ギロッ

加蓮「今日のPさんはどしたの?」

藍子「そういうのも、ゆっくり慣れていきたいですね」

藍子「あっ、そうだ。私、やってみたかったことがあるんですっ。菜々さんっ」

菜々「はいはい!」

藍子「かんぱ~い♪」チャンッ

菜々「かんぱ~い! ぐびぐび……くぁーっ! ううっ……ナナ、生きててよかったー!!」

P「俺も!」

藍子「はいっ。Pさん。かんぱい、ですっ♪」コンッ

P「乾杯! ごくごく――かぁぁ! ウメェ! ウメェ! 俺、藍子のプロデューサーになれてよかったぁ!」

加蓮「…………私、急に20歳になるのが怖くなってきたんだけど。私もいつかこんな風になっちゃうの……?」

藍子「加蓮ちゃんは、いつでも加蓮ちゃんのままですよ。乾杯しますか?」

加蓮「ん……じゃ、私はオレンジジュースだけど」

藍子「かんぱいっ♪」チンッ

加蓮「ごくごく……」

藍子「ちびちび……」

加蓮「……ふふっ……Pさんと菜々の気持ち、ちょっと分かったかも。私と出会ってくれてありがとう、藍子♪」

藍子「こちらこそっ!」

P「ぷはっ……そうだなぁ……藍子もとうとうハタチなんだよなぁ。初めて見た時から……うん、初めて見た時から大人っぽかったなぁ」

藍子「そんなことないですよ。私なんて、まだまだ子供で」

加蓮「じゅうぶん大人でしょ。ほら、髪もこんなに伸びて。どこまで伸ばすのこれ?」イジリイジリ

菜々「確か、今年に入ってから伸ばしっぱなしなんでしたっけ?」

藍子「こうしたら、もっと大人みたいに見えるかなって……洗うの、ちょっぴり大変ですけどね」

藍子「それに、加蓮ちゃんと一緒に、いろんな髪型を試してみるのも楽しくてっ」

菜々「おおー!」

藍子「……きゃっ、ちょっ、加蓮ちゃんくすぐったい」

P「加蓮」

加蓮「……なに?」

P「ナイスだ!」グビグビグッ!

加蓮「う、うん……あれ、藍子、ちょっと髪べたついてる?」

藍子「あ、ごめんなさい……さっき、シャワーは浴びたんですけど」

加蓮「この時期はしょうがないっか」

菜々「もういっそバッサリ切り落としたくなりますよねぇ」

P「アイドルの発言じゃねえ」

加蓮「はいできた。簡単だけどハーフアップに」

菜々「おおっ。大人っぽい藍子ちゃんがさらに大人っぽく」

P「藍子」

藍子「え?」

P「結婚しよう」

藍子「!!?」

加蓮「はい元に戻すー」ファサ

藍子「あっ。……か、加蓮ちゃん、も、もうっ、もうっ」

加蓮「さーて誕生日っていったらプレゼントだよね? んー? プレゼントだよねーねーPさん」

P「お、おう、分かったから右手のジュースは自分で飲め」

加蓮「藍子、何が欲しい?」

藍子「ええっ。私は、えと、その……」

菜々「藍子ちゃんのリクエストなら、ナナ今からでもお店に探しに行っちゃいますよぉ!」

加蓮「そして次の日に道路の上で目覚めるウサミン星人」

菜々「……か、加蓮ちゃんについてってもらって」

P「そういえば毎年、藍子にはプレゼントを贈っていたが、藍子からこれが欲しいっていうのは聞いたことがないなぁ……」

藍子「ふふっ……私は、Pさんとの時間だけで、もう十分ですよ」

加蓮「私はー?」

藍子「加蓮ちゃんといっしょにいる時間も、大好きですっ」

菜々「ミミンッ!」

藍子「菜々さん、今度また、いろんなところに連れていってくださいね?」

加蓮「…………駄目ね」

P「もっと欲張りになればいいのにな、藍子も。……毎年、言ってる気がするが」

菜々「まったくですよ。ナナなんて週に1回はPさんを困らせてるというのに」

P「はっはっは、冗談を。週に3回は困らされてる」

菜々「!?」

加蓮「そろそろ湿布をパシらせるのやめたら?」

菜々「い、いやぁ、いくらなんでも17歳が頻繁に薬局に通ってたら何事かと思われるじゃないですか?」

加蓮「もういっそ外でも開き直っちゃえばいいのに……」

藍子「欲張りなんて言われても……私は、今の時間が本当に幸せだから、思いつくことがないんです」

P「……ま、そう来るとは思ったけどな」

加蓮「だからプレゼントを用意してくるんだけどね」

菜々「ここでウサミンニュース! 実は2日前に某雑貨屋にて加蓮ちゃんを目撃したんですけど」

P「ほうほう」

菜々「陳列棚を前にして4時間くらい悩んでました! きっと藍子ちゃんの誕生日プレゼントに悩んでいたんですよ!」

P「おー!」

加蓮「何このノリ……。いいでしょ、誕生日に悩むことくらい」

藍子「ふふっ。加蓮ちゃんの時は、私が悩むことになりそうですね」

菜々「むぅ。加蓮ちゃんの反応がイマイチ薄くてナナがっかりですよ」

加蓮「いつまでもツンデレごっこやっている訳にもいかないからね。私も、少しは大人の女性にならないと」

P「やめろ、その攻撃は俺の理性に効く。スパンコールドレスを着られた時には冗談抜きで辞表の文章を考えてた」

加蓮「……今日のPさん、ホントに酔ってる?」

P「そろそろ頭になんか回り出したかね」グビグビ

加蓮「なのに飲むんだ……。まあいっか。はい、藍子。結局、こんなのしか思いつかなかったけど……」

藍子「ありがとうございますっ……わっ、かわいい目覚まし時計! あれ、ベルのところに黒猫さんがついてる」

加蓮「ちょっといろんな人に教えてもらってね」

菜々「ああ、ナナも聞かれましたね! あいにくと専門外だったのでアドバイスはできませんでしたけど」

加蓮「……楽しかったよ。藍子の為だって思うと」

藍子「加蓮ちゃん……! あはっ、ありがとうございます!」

菜々「今日の加蓮ちゃんは素直すぎて逆に気持ち悪いんですけど」

加蓮「私も、お酒に酔っちゃったかな? 飲んでないけどね……」

菜々「普段からナナにもそんな風に接してくれていいんですよ?」

加蓮「それは明日の私に言ってよ」

P「じゃあ次は俺だな。よいしょ……おらっ、と!」

藍子「すごい……これ、アルバムですか?」

P「ああ。それぞれ表紙に、プロダクション、加蓮、菜々、歌鈴、それと同僚んところの未央に夕美に先輩んとこの十時さんにその他諸々、藍子とユニット組んだり仲良さそうにしてる子、それぞれの記念写真をプリントしてみたんだ」

加蓮「うわ、すごい……そっか。藍子、前に写真を分けるのに困ってるって言ってたもんね」

藍子「つい、いっぱい撮っちゃって。Pさん用のアルバムなんてもう5冊目……あっ、な、なんでもないです、えへ」

加蓮「だって」

P「俺は何も聞いてない。あぁ酒がうまいなぁ」グビグビグビ

藍子「あ、あははは……。あの、でも、これ、ありがとうございますっ。大切に使いますね!」

P「足りなくなったらまた言ってくれ。2冊目も用意するからな」

藍子「はいっ」

加蓮「む、やるねPさん。これで藍子はワガママを言わざるを得なくなったってことでしょ」

P「はっはっは」グビグビ

菜々「オオトリはナナですね! 藍子ちゃん、今年もハッピーバースデイっ♪」

藍子「え?」カポッ

加蓮「ウサミミ?」

菜々「ウサミン星と言ったらやっぱりこれですから! これで藍子ちゃんも、今日からウサミン星人の仲間入りですよ!」

加蓮「はぁ……。うわ、すごいこれ、なんかぴょこぴょこ動いてるっ」

菜々「ウサミン星ですからね!」

藍子「あはっ……私も、ウサミン星に行くことができますか?」

菜々「ウサミン星ですからね!」

P「いつか招待するって言われてはや4年なんだが」

菜々「ウサミン星ですからね!」

加蓮「魔法の言葉、ウサミン星」

菜々「ぷはっ……あ゛あ゛~、ナナもちょっとクラクラしてきましたよぉ……」

加蓮「菜々も……4年目なんだから、21歳くらいを名乗ればいいのに」

菜々「ナナは永遠の17歳なんですぅ!」グビグビ

P「すげえ絵面だ」

藍子「私も、ちょっと身体がぽかぽかしてきちゃったかも……」チビチビ

加蓮「きつくなったら飲むのやめなさいよ? ……私1人じゃ収拾つけられる自信がないし」

菜々「小腹が空きましたねぇ。ナナちょっとおつまみ持ってきますね!」タッタッタ

P「……少し心配だから俺もついていくよ」スタスタ

加蓮「うん、お願いPさん」

<ガチャッ

藍子「ふうっ……お酒って、みんなで飲むと美味しいんですねっ♪」

加蓮「……もう。また気にさせることを言って――あ、そうだ。今ならPさんも菜々もいないから?」ヒョイ

藍子「だめっ」ガシッ

加蓮「やっぱりだめぇ?」

藍子「私も、菜々さんやPさんのお話を聞いていて、気になっていたけど我慢したんですよ? 加蓮ちゃんも、頑張って我慢してくださいっ」

加蓮「はぁい。じゃ、20歳になったらこうやって夜通し飲んじゃおっかな……ふふっ、今から楽しみだね」

藍子「私も。すっごく楽しみですね」

加蓮「はー……Pさんじゃないけどさ、20歳の藍子って聞いたら、なんか急に遠い世界みたいに感じちゃうな」

藍子「そうですか? 私は、よく分かんないけど……」

藍子「私も、菜々さんやPさんのお話を聞いていて、気になっていたけど我慢したんですよ? 加蓮ちゃんも、頑張って我慢してくださいっ」

加蓮「はぁい。じゃ、20歳になったらこうやって夜通し飲んじゃおっかな……ふふっ、今から楽しみだね」

藍子「私も。すっごく楽しみですね」

加蓮「はー……Pさんじゃないけどさ、20歳の藍子って聞いたら、なんか急に遠い世界みたいに感じちゃうな」

藍子「そうですか? 私は、よく分かんないけど……」

重複失礼……




加蓮「自分のことだもん。分かりにくいよ。ねえ、20歳になるのってどんな気持ち? ……あと1ヶ月ちょっとだけど、先に聞いておきたくて」

藍子「まだ、今日なったばっかりだから分からないですけど……でも、急に目の前が開けた感じです」

藍子「そんなに、何も変わらない筈なのに、急にできることが増えたみたいで」

藍子「……あはっ。家の中とか、事務所とか、見慣れた場所の写真を、もう1回、ぜんぶ撮ってみたいかな、って♪」

加蓮「そっか……。1ヶ月半がすごく遠いな。ふふっ、変だよね。独りぼっちになった気分」

藍子「じゃあ、加蓮ちゃんの誕生日まで、私の家で生活しちゃいますか?」

加蓮「そーきた」

藍子「慰めの言葉を言うよりこっちの方がいいってこと、もう勉強しちゃいましたから♪」

加蓮「じゃ、うちに飽きたら藍子のところに家出しちゃおっか」

藍子「家出ですか?」

加蓮「普通の女の子みたいに親を困らせてみるのもいいかな、なんて。20歳になったら……帰ってあげよ。それでお父さんを大泣きさせるんだ」

藍子「加蓮ちゃんの元気な姿を見たら、きっと親の方も喜んでくれますよ」

加蓮「喜ばせるよ。せっかく、今まで生きてきたんだから……藍子こそいいの? 大切な一人娘が成人したっていうのに、こんなところにいて」

藍子「お母さんは、大切な友達といっぱい過ごして来なさい、って。背中を押されちゃいました♪」

加蓮「……じゃ、大切な友達として挨拶でもいこっか」

藍子「加蓮ちゃんならいつでも大歓迎ですよ」

加蓮「ホント、長い付き合いになっちゃったもんね……そのうちテレパシーで会話できたりして」

藍子「うーん…………」ジー

加蓮「…………」ジー

藍子「…………」ジー

加蓮「…………」ジー

P「戻ったぞー。……見つめ合って何してんの?」

菜々「ここは若者らしく流行りの言葉を使う時ですね! キマシタワー!」

加蓮「来ない」

P「よっと。とりあえず目についたの持ってきたぞ」

藍子「するめいか、ですか?」

P「酒にはこれだって相場で決まってんだよ」スタッゴクゴク

菜々「枝豆も持ってきましたよ! やっぱりこれがないとですね」スタッゴクゴク

藍子「そういえば、よく大人の方々が食べていますよね。美味しいのかな……?」ハムッ

藍子「……??」オイ、シイ?

P「藍子も飲み慣れたら直に分かるようになるさ」

菜々「週末に藍子ちゃんを居酒屋に誘う生活……想像しただけでナナもうお腹いっぱいですね!」

P「せめて事務所内にしとけって」

加蓮「カフェ探しの次は、居酒屋探しになるのかな?」

藍子「そ、それはちょっと……」

菜々「藍子ちゃんもびっくりですよねぇ。たまたま散歩した先に、オープンしたばっかりのカフェを見つけるとは」

P「藍子はカフェの天使にして世界の女神」

藍子「も、もうっ」

藍子「……でも、最近は……ううん」

P「どうした?」

藍子「いえ。最近はもう、近くはぜんぶ、散歩しちゃってて……もちろん、行ったことがある場所でも、また行ってみたら、違う物が見られますけど」

藍子「私……20歳になりましたし……もっと、新しいところにも行ってみたいな……って」

加蓮「じゃあ行こうよ」

藍子「……え?」

菜々「夏に時間を取って旅行でもしますか。それとも、近くをずっと歩いてみますか? ……ううっ、歩き続けるのはナナにはキツイかも」

P「加蓮も藍子も免許を取っていただろ。少し遠出して、それから歩いてみるのもいいかもしれないな」

藍子「……そうですね。でも、私は、できればPさんと――」

P「え?」

加蓮「だってさ、Pさん」

菜々「あーあ、ナナたちはフラれちゃいましたねぇ」

P「え、えっと、藍子」

加蓮「じゃあ、フラれた物同士でどっか遊びに行く?」

菜々「どこか行っちゃいましょうか。時にはアイドルから離れてみるのも、悪くないですよ!」

訂正……
誤:「フラれた物同士でどっか~」 正:「フラれた者同士でどっか~」



藍子「……ふふっ……もう、そんなこと言われたら、私も加蓮ちゃん達に付いて行きたくなっちゃいますっ」

P「待て。俺を1人だけ除け者にするか? 事務所で泣くぞ? みっともなく泣くぞ?」

加蓮「しょうがないなぁ。じゃあPさんも誘っちゃおうか。どこがいいかな……?」

菜々「どこにだっていけますよ。ナナ達なら!」

藍子「……はいっ」



菜々「くぁぁ……あー、ナナそろそろ限界ですぅ……」ネムイ

加蓮「飲み過ぎなんだって。藍子、ちょっとゴミ袋を広げて。空き缶を片付けるから」

藍子「はい」

P「加蓮んんん……水くれぇ……」

加蓮「はいはい。捨ててくるついでに取ってくるから待っててね」パタパタ

菜々「ナナもお手伝いおぉ……」グデッ

菜々「……zzz」

加蓮「……ついでに布団も持ってくるね」バタン

P「あ~……」

藍子「だ、大丈夫ですか、Pさん?」

P「まあ、なんとか…………はぁ~」グビグビ

P「……どこにでもいける……そうだよなぁ……」

藍子「はい……Pさんがいてくれたら、私たち、どこまでだっていけちゃいます」

藍子「Pさんと出会って今までだって、ずっとそうだったから……」

P「4年かー……3年目あたりからだな。死ぬまで続けてやろうって思ったのは」

P「別にプロデューサーをやめるとかじゃなくて……よく言うだろ。3年続けば一生続くって」

P「藍子にはまだ分からんか……」

藍子「ううん。なんだか、分かる気がします」

藍子「無茶してばかりの加蓮ちゃんのこと、やっと安心して見られるようになりました」

藍子「菜々さんとはまだ出会ってそんなにですけど、きっとそのうち……」

藍子「私も……やっと、自分がアイドルだって、言い張れるようになりましたからっ」

藍子「ぜんぶ、Pさんのお陰なんですよ?」

P「……ははっ、俺は別に、見続けただけだよ……」グビグビ

P「3年続いたら、今度は10年だな……藍子が30歳か。ははっ、30歳か……ダメだな、想像したら泣けてきた」グシグシ

藍子「もしもアイドルを続けていなくても、私はずっと、ここにいたいです。Pさんや、加蓮ちゃんや、菜々さんと一緒に」

P「いつの間にかみんな、大人になっていくんだなぁ……1ヶ月もしたら加蓮もハタチだし。ははっ、加蓮がハタチだってよ、ははっ、おっかしいな……なんだそりゃ。どこの夢の世界だよ……」

藍子「いつの間にか、ですよね。本当に……」

P「そんでお前らいつか嫁に行ったりするんだろ? あー、駄目だ、もう駄目だそれ。絶対駄目だろそんなの。無理だって、マジ無理だって。無理。駄目。絶対駄目」

藍子「…………」

P「ああああああ……! ああ……うし! 辛気臭い話は終わり! 藍子、飲め!」グイ

藍子「ひゃっ。わ、私、まだ最初の1缶も飲み終わってないっ」

P「おらおら、酒は一気に飲むくらいがちょうどいいんだぞぉ! 飲んで記憶なんざふっ飛ばしちまえ!」グイグイ

藍子「も、もうっ、Pさん、だめ、だめですってば――」

加蓮「ただい……おりゃぁ!」ブンッ

P「ぐえっ。いっつ、なんだこれ、スタドリの瓶!?」

加蓮「藍子、大丈夫だった? もう、Pさん。いくら藍子と飲みたかったって言ってもそういうのはダメだよ。……ね?」

P「(ぷしゅ、ごくごく……)お、おう、悪い。つい酒に飲まれてた」

加蓮「もうっ」

藍子「あはは……私は大丈夫ですから」

加蓮「ならいいけど……あっ。もう、Pさんが変なことするから、つい昔みたいにやっちゃったじゃん! 今年は大人っぽくなろうって決めてたのにっ」

P「いや、だからそうなると俺が日々格闘しないといけなくなる訳でな? こう、プロデューサーとして大切な何かというか、むしろ男としての何かっていうか」

加蓮「我慢できなくなったらいつでも言ってね?」

P「そういうのをマジ顔で言うのをやめろって言いたいんだよ俺は!」

加蓮「ふふっ。……こーら、ウサミン星人? そこで寝てたら踏んづけられるよ?」ツンツン

菜々「ぐみゅ……ウサミン星へは電車で一時間……」zzz

藍子「ふうっ。やっと飲み終わりました、1缶目」

P「おお、やっとか……飲み始めてもう1時間半くらい経過してるぞ!?」

藍子「Pさんと飲むお酒っておいしいですね……もう1缶、飲んじゃお」プシュ

藍子「えいっ」ゴクッ

藍子「わ……これ、甘くて飲みやすいっ。ジュースみたいですね!」ゴクゴク

P「あ、馬鹿、それさっきより度数が高いヤツで、ってかそれ菜々が持ち込んだヤツ――!」

藍子「ふぇ? ……あ、あれ? なんだか、目の前が、ぐるぐるって……」アレレ?

加蓮「よく分かんないけど、お酒って恐いんだね……」

P「がぶがぶいけるヤツの方が度数が高かったりするんだ。加蓮も気をつけろよ、お前は特に一気飲みなんかすると冗談じゃ――」

加蓮「お祝いの日なんだからお説教は禁止!」

P「おう。……えっと、藍子、大丈夫か?」

藍子「…………」ボー

藍子「あっ……大丈夫ですっ」ゴクゴク

P「待て。大丈夫に見えないから飲むな。今日はこれくらいで、な? ほら、お酒1日目なんだから、な?」

加蓮「そうそう藍子。そんなに一気に飲むことないよ」

藍子「……Pさんと加蓮ちゃんにそう言われると」

藍子「逆に、頑張っちゃいたくなりますねっ!」ゴクゴクゴクゴク

加蓮「何その負けず嫌い!? まさかもう酔って――」

藍子「ぷはっ……ふにゃ……はぅ」ヘバリ

藍子「あはっ……つくえのうえ、ほっぺた、つめたくてきもちいいっ」

加蓮「……仮眠室まで運ぼっか?」

P「悪い、そうしてくれ」

加蓮「もう、しょうがないなぁ藍子は――」ガシ

加蓮「がし?」チラッ

菜々「ふへへぇ…………」

加蓮「……Pさん助けて。事務所にゾンビが出てきた」

P「寺生まれのDさんでも呼ぶか」

加蓮「余計になんか巻き込まれて怪我するパターンでしょそれ!」

菜々「……あーっ! ナナの飲みたかったヤツ、それ、藍子ちゃん!」

藍子「ぅえ?」

菜々「ナナによこせーっ!」ガバッ

加蓮「うわっ」ズテッ

P「あ」

藍子「え」


ぶちゅー!


加蓮「おるあっ!」ゴンッ! 菜々「ひぎゃっ」バタッ

藍子「……? ? ?? ? ???」

P「俺は何も見てない何も見てない、酒の席はすべてなかったことになる、俺は何も見てない見てない何も来てない」グビグビ

加蓮「はーい藍子ーいいから仮眠室に運ぶわよーちょっと腰を持つからねー目を閉じて今あったことぜんぶ忘れなさ――」

藍子「ぁ、加蓮ちゃんだぁ……」ダキッ

加蓮「……うん?」

藍子「んん~~~っ」スリスリ

加蓮「ちょ、足にまとわりついてこないで――違うっ抱きついてこいってことでもなくて!」

藍子「あったかい……♪」スリスリ

加蓮「やっ、こら、くすぐった、ちょ、Pさん助けて!」

P「俺は何も見てない酒の席はすべてなかったことになるところで加蓮カメラ持ってないかカメラいやスマホを貸せ」

加蓮「頼りにならないなぁもう!」

藍子「あはっ……」スリスリ

加蓮「すりすり、すなっ」ドンッ

藍子「ひゃっ」ズテッ

藍子「へぅ…………あ、Pさんだぁ♪」トコトコ

P「ぉう!?」

藍子「えへぇ……」ダキッスリスリ

加蓮「!?」

藍子「たまにはいいですよね……いいですよね、うん、いいよね……? 甘えちゃお……♪」スリスリ

P「す、すりすり!? いかん待て俺はプロデューサー違う藍子はあれっ藍子って16歳だよな16歳じゃなかったっけ違う藍子は20歳かつまり我慢する必要なくねってことで」

P「……悪いのはぜんぶ酒だな!」

加蓮「うぉら!」ガシッブンッ

藍子「ひゃう」フットバサレ

P「あ…………さ、サンキュ加蓮。助かった」

加蓮「~~~! その惜しいって顔が、惜しいって顔! あああもう、」チラッ

酒酒酒 <ニゲテモイインダヨ?

加蓮「…………我慢、我慢、私はまだ19歳、あと1ヶ月半、Pさんと藍子との約束……!」

菜々「むにゃ……」zzz

藍子「あたた……あれ? Pさんと加蓮ちゃんがいる……あはっ、えへぇ……」フラフラ

P「……ごくっ」

加蓮「ぬああああああああああ――――!」

――つぎのひ!――

藍子「おはようございます……」ガチャ

加蓮「……おはよー」

藍子「あうぅ、気持ち悪いし頭が痛い……おはようございます、加蓮ちゃん……あれ? えっと……Pさんと喧嘩でもしちゃいましたか?」

加蓮「…………別に」

藍子「加蓮ちゃん? 加蓮ちゃーん?」

菜々「おはうっさみーん♪ 今日も1日、頑張っちゃいますよぉ!」

加蓮「なんでこっちは元気いっぱいなのよ……」

菜々「?? 今日はバラエティの番組ですからね、テンション上げていきましょう!」

藍子「お、おー……い、いたたた」

加蓮「…………お酒が飲めるようになったなら、次はお酒を楽しく飲む方法を探さないとだね……」


加蓮「……ま、それも長い付き合い、か♪」

おしまい。高森藍子、誕生日おめでとう。そしてクリスマスメモリーズばんざーい!!

1です。今さらながら修正を……!

>>58
誤:寺生まれのDさん 正:神社生まれのDさん

過去作品教えてくれー

読んでくださり、ありがとうございます。

>>69
道明寺歌鈴「もしも藍子ちゃんと加蓮ちゃんが逆だったら」

モバP「Y.Oちゃん談義」相葉夕美「泰葉ちゃんだよね?」

北条加蓮「菜々ちゃん、ちょっと学校の宿題を教えてよ」

北条加蓮「マイアイドル?」

過去作品はこんなところですよ~

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