海未「巻き戻る時間と取り戻せないモノ」 (19)
海未「ふぅ……朝練の時間までは……あと二十分ですか。すこし早く来すぎたみたいですね」
海未「……境内を歩いていましょう」
テクテク
海未「……んー……夏の朝は涼しくていいですね」ノビー
海未(風でゆれる木々もまた涼しげです)
海未(そういえば、蝉の声が聞こえませんね。いないのでしょうか?)
海未(近づいて見てみましょう)
海未「……」ソォー…
蝉「ジジッ!」バッ
海未「うわぁ!!?」ドテッ
パキン
海未「はぁっ、はぁっ……!? びっくりしました……」
希「……海未ちゃん、なにしてるん?」
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海未「へぇっ!? いや! 何も!!?」
希「そっか。蝉が急に飛んできたのが怖くて転んじゃったのかと思ったやん」ニコニコ
海未「」
海未「うぅ……」
希「まあまあ、ええやん。それより、穂乃果ちゃんとことりちゃんが探してたよ?」
海未「え? あぁ、もうこんな時間です! 希も早く着替えてくださいね!」
希「はぁーい。じゃ、また後でね」スタスタ
海未「……ん?」
海未「なんでしょう、これ……」
海未「胡桃のような……なにかの種のような……」
海未「まぁ、いいです……ん?」
?「……」スタスタ
海未(! こんな朝から参拝を……あの人、どことなく穂乃果に似ていますね)
海未「あ、早く行かなくては」タッ
ーーーーー
海未「はい! 朝練はここまでです」
穂乃果「はぁ〜、疲れたぁ!」
ことり「今日暑いねぇー」パタパタ
真姫「ほんと。夏! って感じよね」
にこ「そりゃそうよ。来週からは夏休み!楽しみよね〜」
希「……にこっち。それは自分が受験生だって理解した上で言ってるん?」
にこ「……くっ……!」
絵里「まぁまぁ、とりあえずは受験のことより、夏休み入ってすぐの説明会、そこでのライブに集中しましょ?」
花陽「学校説明会での部活動紹介でやるんだよね? 緊張するなぁ」
凛「お客さんくるかなぁ」
穂乃果「大丈夫! 絶対に一人は来るよ! だって雪穂がくるもん!」
海未「ひとりだけでは……」
絵里「そうよ。亜里沙を忘れないで」
穂乃果「あっ、そうだね。じゃあ2人だ!」
真姫「二人だけでもね……」
にこ「大丈夫よ! もっと自信持ちなさい!」
希「そうそう。そうやってマイナスなことだけ考えてたら、本当にマイナスになっていっちゃうよ?」
凛「満員にするにゃー!」
海未「もう……早くしないと、遅刻しますよ?」
ーーーーー
海未「……ハッ!?」
穂乃果「? どうしたの、海未ちゃん」
海未「きょ、今日の宿題を家に忘れてきてしまいました……!」
ことり「えぇ!?」
穂乃果「あの海未ちゃんがぁ!?」
海未「すいません、先に言っててください。私は家に一旦戻ります」タタッ
穂乃果「あはは。海未ちゃん、ドジだなぁ」
ことり「そうだねぇ」
穂乃果「まあ穂乃果はやってもいないしむしろ存在を忘れてたんだけどね」
ことり「……」
ーーーーー
海未(このままじゃ遅刻です……っ。走らなければ……!)ダッ
海未(! 学校前の信号は青! これなら……)
ーーーーー
トラック運転手「ふぁ……ねみぃ……」ウツラウツラ
トラック運転手「……」スピー
ーーーーー
海未「はぁっ、はぁっ」
(良かった……間に合いそうです)
トラック運転手「う……?」チラ
トラック運転手「……ッ!!!」
トラック運転手「危ない!!!」
キキィーーー
海未「え」
ーーーーー
ドンッ…
ーーーーー
海未(なに……が……?)
海未(浮いている……? いや、飛んでいる……トラックにはねられ、吹き飛んでいる……)
海未(ああ)
海未(私は死ぬのですね)
海未(何故でしょうか……怖くありません)
海未(……後悔はひとつだけ)
海未(みんなと……μ'sと、もっと一緒に、……)
・・・・・・そして、私は死んだ。
いや、正しく言えば……これが私の、「一度目の死」だった。
ーーーーー
時をかける海色少女
お察しの通り時をかける少女のパロディですが、設定を借りただけで、ストーリーは別物です
ちまちまと書いてちまちまと投下していきます。正直本当にイライラするちまちまさなのでご了承ください
ーーーーー
海未「う゛っ」ドサ
海未「……」
海未「……!?」
海未「なぜ!? 私は……っ」
ゴオー
海未(ッ!? 今通ったトラック……先程の……)
海未(一体……)
海未「どうなってるんですか……」
ーーーーー
海未「う゛っ」ドサ
海未「……」
海未「……!?」
海未「なぜ!? 私は……っ」
ゴオー
海未(ッ!? 今通ったトラック……先程の……)
海未(一体……)
海未「どうなってるんですか……」
ー放課後、練習後ー
海未(あの後、無事に遅刻せずに学校には着きましたが……)
海未(あれはなんだったのでしょう……)
穂乃果「それでねー、その新作がもうしょっぱくってさー」
ことり「面白い和菓子だね」
海未(あの時、確実に私はトラックに吹き飛ばされて、頭から地面に打ちつけられて、早かれ遅かれ死ぬと思ったのですが)
海未(私は横断歩道の前で生きて尻餅をついていた)
海未「はぁー……」
ことり「どうしたの、海未ちゃん」
穂乃果「砂糖の代わりに塩入れちゃってたんだって! ……ん? ことりちゃん、海未ちゃんどうかしたの?」
海未「いえ。なんでもないですよ」
海未(どうせ言っても、馬鹿にされるだけです……)
ことり「海未ちゃん」
海未「はい?」
ことり「私達が信じられないの?」
海未「で、ですから。何もないと……」
ことり「嘘。絶対なにかある」ジー
海未「う……」
穂乃果(よくわかんないけど)ジー
海未「……わかりました。では話します」
海未「最初に言っておきますが、これはふざけていってる訳ではありません」
私は、今朝のことをかいつまんで話した。
ことり「……それって……!」ボソ
海未「っ、ことり! 何か知っているのですか!?」
ことり「い、いや……わかんないや……」
海未「そうですか……」
穂乃果「えー、海未ちゃんの夢とかじゃないの?」
海未「夢……夢ですか」
海未「それなら、どんなに良いか」
私はなんとなく察してしまっていた。
直感的に、この現象が私を苦しめることになるのかもしれない……と。
ーその日の夜ー
海未「うぅ……」ゴロン
海未(暑いし、訳の解らない現象は起きるし……寝れません)
海未(明日、μ'sのみんなにも話してみましょうか)
海未(……そうです! 希ならこういうことに詳しいはず……勝手な思い込みですが)
海未(そうしましょう。やはり、穂乃果達に話したのですから、みんなにも話すべきです)
海未(それから……)コテン
海未「……すぅ……すぅ」
ー翌日ー
海未「ーと、いうわけです」
絵里「……」
にこ「どうしたのよ、絵里」
絵里「うぇぇ!? う、うみう海未、死んじゃったのぉ!!?」
海未「落ち着いて下さい。死んでません。ここにいます」
凛「賢かった絵里ちゃんが懐かしいにゃー……」
真姫「それにしても、そんなことってあるの? やっぱり夢じゃない?」
海未「いえ。夢ではない……何故かそれだけは断言できるのです」
花陽「なんていうか、あれだね。ことりちゃん。この前ーーー」
ことり「花陽ちゃんっっっ!」
花陽「えっ、あ、う……あぁ、そうだった……ごめん」ビクッ
海未「……ことり? 花陽?」
ことり「なんでも、……ないよ?」ニコッ
花陽「そ、そう! なんでもないです!!」
海未「そう、ですか……」
海未(昨日といい、今日といい……ことりは何かを知っている……?)
希「……過去に、戻ったんとちゃうかな?」
海未「え?」
穂乃果「過去? いやいや、そんな漫画みたいなこと」
海未「なるほど……!」
穂乃果「あるの?」
海未「確かに、『あれ』は過去に戻ったという表現がしっくり来る気がします。私をはねたはずのトラック……はねとばされていない私……」
希「問題は、どうしてそんなことになったのか。やねえ」
希「海未ちゃん、なんか思い当たることある?」
海未「思い当たること、ですか」
海未「……」
海未「そういえば、昨日、穂乃果に似た人を見ました」
海未「穂乃果に似て可愛かったです」
にこ「なんの話よ」
希「……いや、それは関係ないんやない?」
海未「そうですか……では、トラックにはねられた衝撃、とか?」
希「うーん……なんていうのかなぁ、それこそ漫画みたいにいうなら、事故はその『能力』の引き金だと思うんよ。だから、その前に海未ちゃんは過去にもどる『能力』を手にしてた、ってわけやね」
海未「それでは……いや、もう私もあんなことを体験してるのでこんなことを言うのですが、生まれた時から『能力』をもっていた……というのは?」
凛「ライトノベルみたいだにゃ」
花陽「海未ちゃんラノベとか読まなそうだけど」
ことり「いや、海未ちゃんはラノベとか読むよ」
穂乃果「一時期中二病? だっけ? な感じになってたし」
海未「そこ! 人の過去を勝手に荒らさないでください!!」
絵里「ていうかこれ私達いらないんじゃ」
希「生まれつき、かぁ」
希「まぁ、現状ではわからないね。なにかそれらしいものがあったら言ってね」
海未「はい」
ーーーーー
穂乃果「いやあ、変な事もあるもんだねえ」
海未「変なんてレベルじゃないですよ。下手したら現代の常識がひっくり返るくらいの出来事ですよ」
ことり「なんだかおとぎ話みたいだね」
海未「ハッピーエンドで終わればいいですが」ハァ…
海未(過去……過去ですか)
海未(もしかしたら、念じたら過去に戻れたりするのでしょうか)
海未(……)メヲツブル
海未(はぁッッッ!!)
ーーーーー
海未(……)チラ
海未(……そうですよね。そんな簡単に時を超えられたらたまったものではありません。まるでドラ〇もんの世界です)
穂乃果「いやあ、変な事もあるもんだね」
海未「……え」
海未「ほ、穂乃果? さっきもその話……しましたよね?」
穂乃果「えっ、してないよ?」
海未「っ!!」
海未(本物……!)
海未(私は、過去に戻れる『能力』を持っている……!)
ことり「……」
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