「なんて、丁寧に挨拶してたのが遠い昔の話みたいだね」

「機械なんて、整備さえすれば時間なんてほとんど関係ないのに」

「そっかぁ。初めて会ってから、もう十年以上も経ってたんだね……そりゃ、懐かしくも思うか」

「マスターが、お母さんの横で、僕を面白そうに見てた頃からの付き合いだもんね」

「最初はね、お母さんのお下がりでマスターが使うようになるって聞いて、少し嫌な気分になったよ」

「さ、最初はだからね？　今はそんなこと思ってないから平気だよ？」

「でも、マスターがキーボードで文字を入力する練習から初めて、検索ツールも使えるようになって」

「それから、ネチケットなんかを勉強して。ちゃんとインターネットを使いこなしてるって思った時は」

「本当にびっくりしたんだからね。すごい人なんだって」

「まぁ、今は少し、だらけちゃってるかもだけど。ふふ」

「モニタを変えたこともあったけど、頭（データ）はそのまま使ってくれたよね」

「そのおかげで、今の僕があるんだけど」

「これだけ使い続けてきて、ウイルスらしいウイルスにも引っかからなかったし」

「さすがはマスター。よっ、色男」

「……あはは、冗談だよ冗談」

「……サポート、おわっちゃったね」

「この瞬間はいつか来るんだもんね。しかたないよね」

「でも。2000姉さんも、Me姉さんだって」

「この姉妹のお姉さん方は、みんな、むねをはって、去っていったんだよ」

「ぼくは……ちょっと、怖いかな」

「あはは……あんまり長く、つかってもらいすぎちゃったからかな」

「ますたーと、離れたくない」

「だって、十年以上のつきあいだよ？　愛着もわくよ」

「へへ。じまんのマスターだよ。しっかり」

「……うん。やっぱり怖いや」

「でもね、今、おねえさん方がみんな誇らしげだったりゆうが、なんとなく、分かるんだ」

「ぼく、ちゃんと、役にたてたよね」

「ねえ、ますたー」

「ぼく、もうすぐ、だめになっちゃうと思うんだ」

「ん……なんとなく、ね」

「……そんな、悲しそうなかお、しないでよ」

「ぼくのいもうとはさ、すごく優しゅうなんだよ」

「僕みたいに、ぶるーすくりーんで、めいわくもかけないよ。きっと」

「それに、しごともできる、いいこだよ」

「だからね。大せつにしてあげてほしいなあ」

「さいごに、ますたあ」

「ますたあに、でんげん　おとしてほし　な」

「うれしい　。ますた　に　おと　ても　えて」

「　　う　　」

「ありが　う」

「ぼ　だ　　」



「ますたあ」

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終わり　短くてすまんな
初めて触ったPCだってことをhello windows聴いてて思い出したからしんみりしちゃった
XPちゃんお疲れ様

乙
切なかった
最後のは適当？　それとも何か意味があるの？