一方通行「最近超電磁砲が迫ってくるンだが」上条「なにそれこわい」(35)

ーー注意事項ーー

※ほのぼの電磁通行
※キャラ崩壊・原作設定の矛盾
※地の文
※文章力には目を瞑ってください
※sage進行でお願いします
※打ち止め可愛い

1.一方通行「雷に打たれたかのような衝撃だった」





”それ”は轟音とともに迫ってきていた。

放ったのはシャンパンゴールドの髪の少女。

学園都市が誇る超能力者の序列第3位、御坂美琴。

そして”それ”は彼女の代名詞といえる技ーーーーーー超電磁砲<レールガン>。

しかしそれは次の瞬間、とある少年が突き出した右手によってかき消されてしまった。

なんてことはない。少年はただベクトルを操作して電気を地面に逃がしただけだった。

その少年は一方通行<アクセラレータ>と呼ばれている。

白い髪に白い肌、それとは対照的に黒い服を着て現代的なデザインの杖をついている、遠目でも誰かわかるほど特徴的であった。

この少年こそが超能力者の頂点、序列第一位。そこには第3位では絶対に超えられない壁があった。

そして御坂美琴が殺したいほど憎んでいる少年である。

御坂美琴は苛ついていた。無論、超電磁砲があっさりと無効化されてしまったからである。



「アンタを殺して私も死ぬ!!」



いきなり大声で叫ばれたその台詞はあたかも痴情のもつれを表しているようだった。

けれどもその言葉には強い意志が込められており、そして覚悟があった。

しかし、そもそもなぜ彼女はコインを弾いたのだろうか。

確かに一方通行は過去に彼女に耐え難い苦痛を与えた。そしてそれは許せるものではなかった。

だが、彼女は元々、人を殺すような人間ではない。

確かに一方通行を殺そうとしたことはあったが、それは実験を止めるため、妹達の命を守るため。

それも、不思議な右手を持つ少年によって実験が止められた今となっては一方通行に挑む理由がなかった。

そこには一方通行が何をしてきたかを知っているというのこともあるのだろう。彼は自分が知らないところで妹達を守ってきた。

ではなぜ今更このような行動をとったのか。

それは数日前のことである。

御坂美琴はドアの前で緊張していた。

ここはとある学生寮。時刻はちょうどお昼を周ったあたりである。

手にはスーパーの袋が握られていた。その中には食材が入っていた。

そしてここには彼女が好意を寄せる少年が住んでいる。そう、つまりは料理を振る舞いに来たのだ。

ここで注意しておきたいのは彼らは別に付き合ってはいないし、何か約束があったわけでもない。

彼女がここに来たのはただ彼が倒れていないか気になったからである。

季節は夏。そして今日は30度を超える真夏日。貧乏学生の彼に少しでも精がつくものを食べさせてあげたかった。

別に押しかけ女房とかそんなものは狙っていなかった。そう、狙っていなかったのである。……狙ってないですよ?

ぶっちゃけアポなしでご飯を作りに来る女は重いとか言ったりしてはいけない。

しかし幸か不幸か、彼はそのようなことには疎く、また彼の同居人は食べ物が食べられさえすればそれでいいのである。

意を決して呼び鈴に指を置き、鳴らす。

気温のせいか彼女の顔は熱くなっていた。

しばらくの沈黙の後、ドアの向こうから音が聞こえてきた。

心臓の鼓動が速くなり、汗がじわりとにじんできた。

「はいはい、上条さんに何か御用ですかーっと」

そしてドアが開かれたときーーーーーー



ーーー彼女は言葉を失った。

ドアが開かれた瞬間、ものすごい熱気を彼女が襲った。

「ん、なんだビリビリか。」

いつもならここで電撃の一つや二つ飛んでもおかしくないのだが、彼女はそれどころではなかった。

その理由は少年にあった。

まず、服装。彼はシャツ一枚にパンツという超ラフな格好をしていた。というかそんな格好で出てこないでほしい。

しかしそれだけならばまだいい。汗ですけすけになって目のやり場には困るがそれだけならば彼女にとってはむしろ大好物です。

問題はその汗の量である。膨大な汗の量。確かに今日は暑い。汗もかく。しかし何をやればここまでひどくなるのだろうか。

そしてどこかで見たことがあるような光景だった。そう、例えばテレビとかで。……ん?

……”ナニ”をやれば?

そのとき彼女の学園都市が誇る超能力者序列第3位としての脳がフル稼働する。

……彼はなぜこんな格好でここまで汗をかいているのか?

……テレビならば今にも男が逃げ出しそうなこの状況は何を意味しているのか?

……いつもはうるさいはずの彼の同居人が今はなぜ静かにしているのか?

そして答えを得る。ここまで3秒。

「どうした、ビリビリ?……って、うぉい!?」

彼に断りもなく勝手に部屋に入っていく。今ここで確かめなかったら、証拠を消されてしまう。

といっても別に彼らは付き合っていないのだから彼がどこで誰と何をしていたとしても彼の自由である。

しかしそんなものは恋愛フィルターの前では無力である。言おうものならば雷が降るので置いておく。

そして部屋に入って彼女は食材の入った袋を落とす程の強い衝撃を受けた。


そこで彼女が目にしたものとはーーーーーー



シスターが鍋を食べていた。

異様な光景であった。シスターが鍋を食べていた。

時間的に見ればお昼を食べていてもいい時間である。

彼女は料理を作りに来たがもう済ましているならば夕食に変更してそれまで長居する魂胆だった。

しかし、シスターは鍋を食べている。おかしい。シスターは鍋を食べている。おかしい。何がだって?

鍋。そう、鍋を食べている。当たり前だが鍋料理である。断じて金属を口に入れているわけではない。

……まぁ、このシスターならできそうではあるが。

鍋?今の季節は夏。そして今日は30度を越える真夏日である。そんな時に鍋?ついでにいうとキムチ鍋。

意味が分からなかった。頭がどうにかなりそうだった。ポルナレフ状態だった。

「なんだ、ビリビリ腹減ってたのか?なんなら食ってくか?早く食わねぇとインデックスに全部食われるぞ」

そう言って少年は客人のために箸とお皿を用意して鍋を食べる作業に戻った。

しかしこの男、相変わらず気の遣い方が残念である。

せっかく自分に好意を抱いている相手がわざわざ家まで手料理を振舞いに来ているというのに。

彼はあろうことか食器を用意することに気を遣ってしまった。他に何か思うところはなかったのだろうか。

この様子では右手が仕事する必要すらないのかもしれない。

けれども、いまだにこの光景を見ていた少女は一向に動こうとしなかった。いや、できなかった。

頭がくらくらする。暑い。この部屋には節約のためなのだろうか冷房がかかっていないどころか扇風機も動いてなかった。

それなのに鍋。しかもキムチ鍋。いかれてる。そう思わずいられなかった。

しかも一緒にどうかと誘ってくる始末。食べられるわけがなかった。

そして御坂美琴は気づいた。

自分はこの空間には入れないのだろうと。

さらには彼女も気づかないうちに彼女の優秀な脳は回転を速くしていた。

自分はこの空間に入れない。鍋が作り出す二人の空間。そう、二人の空間である。

彼女の目の前で彼女が憧れる少年とシスターは一つの鍋を箸で突っつきあっていた。

二人の空間でつっつきあう。

そのとき彼女の天才的な脳が一つの演算結果を弾きだした。



ーーーーーー二人は付き合っているのだと。



ちなみにここまで2.7秒。記録を0.3秒更新した。

次の瞬間、彼女は部屋を飛び出した。

ドアを閉めるときに少年が何か言っている気がしたが無視した。

自分があまりにもみじめに思えた。なぜ自分がこんな目に合わなければならないのだろうか。涙が出てきていた。

その時にはもう彼女は理解していた。


ーーーーーー失恋したのだと。


そして彼女は学生寮を後にしてただひたすらに走った。





なお、5分後に買ってきた食材の中に混ぜてたゲコ太を回収するために彼女が上条さんの部屋に戻ってくるのは言うまでもない。

御坂美琴は絶望しながら走っていた。

何故こうなってしまったのだろうかと。彼女にとってこの世界はあまりにも残酷すぎた。

何故自分はこうなるまで何もしなかったのだろう。己の不甲斐なさを呪った。

きっと自分は今この瞬間において世界のだれよりも惨めだ。

すれ違う人たちみんなが自分をさげすんでいるように感じた。カップル達は自分を嘲笑っているかのように思えた。

もう嫌だ。なぜ自分一人がこんな目に合わなければならないのだろうか。あまりにも理不尽ではないだろうか。

そしてーーーーーーすべてがどうでもよくなった。

自分の思いどおりにならないこんな世界なんていらない。壊れてしまえばいい。

それがかなわないのならば自ら断ち切ってしまおうと。

その結果ーーーーーー

「アンタを殺して私も死ぬ!!」

ぶっちゃけ一方通行はついでだった。

ちなみに恨みはあったが別に復讐というのではなく振舞う筈だった手料理の食材にあったもやしが気に入らなかっただけである。

火花が散る。御坂美琴が次の一撃のために力をためているようだった。

彼女が一方通行にかなわないのは明らかである。それでも彼女はより強い超電磁砲を打つことだけを考えていた。

彼女にはそれが精いっぱいだったからである。

そんな彼女を前に一方通行は妙に落ち着いた感じで考え事をしていた。

なぜ彼女は自分を狙っているのだろうかと。

もちろん思い当たる節しかないのだがそれは動機であってきっかけではない。

自分のような屑ならばいざ知らず、彼女は光の世界の人間である。

そんな彼女が放った”殺す”という言葉。もしかしたらこの言葉には何か裏があるのではないか。

そして……ある答えにたどり着く。

しかし思い出してもらいたい。彼の脳は損傷しておりミサカネットワークの補助がなければただのポンコツである。

さらに、さきほどの超電磁砲をかき消した後彼は電極のスイッチをオフにした。

こまめに切り替えないとバッテリーが持たないからである。

つまり彼は今、日常生活が行えるギリギリでしか脳を使うことができないのである。

そんなポンコツが出した答えとはーーーーーー

超電磁砲は俺を殺して死ぬと言いやがったがァ……もしかしたら俺を殺すことよりも死ぬことに意味があンのかもしれねェ。

じゃあ何故超電磁砲が死ななければならねェ?何かの事件に巻き込まれてンのかァ?

例えば人質を取られて俺を殺すように命令された……?ンで、そのあとにあいつ自身も殺されるってか……?

いや違ェ……。こいつのことだからそんなことには屈しねェ筈だ。自分で解決できるだろォ……。

つまり死ぬってことは自殺ってことか……。じゃあ何がこいつをそこまで追い詰めてるンだ……?

……。

こういうことにはあまり詳しくねェが……もしかして失恋か?

相手は……まァ、あの三下だろうな……。

失恋したっていうことは告白したのか……?いや……こいつにそこまでの度胸はなかったはずだ……。

じゃあ、あの三下に女でも出来たっていうのかァ……?ありえなくはねェが……ありえねェよなァ……。

なんてったってあいつは生粋のフラグクラッシャーだからなァ……。

……まさかとは思うが、あいつがほかの女と楽しくやってンのを見て勘違いした……とか?

確かにいつも周りに誰かは女がいるような気はするが……。

……。

つまり、だ。その線でここまでをまとめてみるとーーーーーー



ーーーーーー俺は今、勘違いから始まって殺されそうになってンのかァ……?






残念なことに彼のポンコツの脳内辞書には”ヤンデレ”という言葉はなかったようだ。

一方通行はさらに考え込む。

正直彼にとって理由などどうでもよかった。どうしたら彼女は引いてくれるのだろうかということのほうが大事であった。

一方通行はこんなところで死ぬことはできなかった。今の彼にはある信念があったーーーーーー

わかってンだよォ……こンな人間の屑が今更生にしがみつこうとするのは馬鹿馬鹿しいってことぐらいよォ……。

まったく甘すぎだよなァ……自分でも虫唾が走る……けどよォ……今はまだ死ぬわけにはいかねェンだ!

確かに俺はお前に殺されたって文句は言えねェ……。

だからってなァ守るべき……いや……俺が守りたい奴らがいンのに黙って殺されるわけにはいかねェンだ!

あァ……綺麗ごとだってのはわかってる……。でも違うんだよォ……。

たとえ俺がどれほどの屑でも!

どんな理由を並べても!

それであいつらを守りたいって思っちゃいけねェことにはならねェだろォがァ!!打ち止め可愛い!!





ーーーーーーとか考えていたがぶっちゃけ長すぎて噛みそうだったので心の中にしまったのは内緒(MNWより)

そうこうしているうちに一方通行は目の前にいる少女が纏う電気が増していることに気が付いた。

どうやら次の攻撃までそろそろ時間がないようである。

一方通行は念のために電極手を添える。

しかし、今の彼はあまり能力を使いたくはなかった。

確かに彼の能力があればここから逃げ出すことも彼女を無力化することもたやすい。

けれども彼はそれをしない。これはけじめだ。

いつかは彼女に向き合わなければいけなかった。もしかしたら今がそうなのかもしれない。

だったら逃げるべきではない。誠意をもってこの場を収めるしかない。

そしてーーーーーー



ーーーーーー彼は最適解を出す。





ちなみにここまで2分51秒。ギリギリでウルトラマンタイマーには間に合ったようである。

一方通行はポケットの中からあるものを取り出した。

そしてそれを目の前の少女、御坂美琴に差し出す。

彼の手に握りしめられているものを見て彼女は戦慄した。

それは彼女が今一番ほしいと望んでいるものであった。

一方通行が差し出したもの……それはーーーーーー





ーーーーーー500円玉だった。

御坂美琴は動揺を隠せないでいた。それを表すかのように纏っていた雷がより大きな火花を散らせた。

彼女は今一方通行が持っているものが欲しかった。なぜか?

それは、彼女は今……硬貨を一枚も持っていなかったからである。

一方通行に対して超電磁砲を打ちまくった結果、硬貨が底を尽きてしまった。

しかしそうとは気づかずに超電磁砲を打つために電気をためていた。

そして硬貨がないと気づいたときには膨大な量の電気を纏っていた。

まさかあたかも準備完了ですといったところで引くということもできずに彼女は一方通行を睨んで立ち尽くすほかなかった。

そんなときに500円玉を差し出された。

そして……御坂美琴は敗北を味わった。

まるでこちらの手が尽きたのを見破られているように感じた。

加えて差し出された硬貨というのが500円玉である。

彼女は今超電磁砲を打つために硬貨を欲していた。

つまり500円玉を超電磁砲で打ち出すのである。

彼女は超能力者なので経済的にはそこらの学生よりも裕福であるがさすがに500円玉を使うのはMOTTAINAIと思った。

結局は手詰まりであった。

この瞬間、彼女は確かに負けたのである。

負けを悟った彼女は次の瞬間、その場から逃げ出した。

もちろん500円玉はしっかりと受け取っておく。

受け取った時に一方通行の顔がゆがんだ気がした。

もしかしたら彼にとっては大事なお小遣いだったのではないだろうか。ざまぁみやがれ。

そして去り際に



「次はこうはいかないんだからねっ!!」



ヤンデレの後にツンデレとは忙しいやつである。

しばらくして彼女の姿が見えなくなった。

御坂美琴が去った後でも一方通行はそこから動くことができなかった。何故か?

一方通行はまるで雷のような衝撃を受けていた。

きっと最後のセリフに心を奪われたのだろうーーーーーー



ーーーーーーなどということはなく。

ここで思い出してほしい。

不発に終わったものの御坂美琴が超電磁砲を打つために帯電していたことを。

一方通行が反射を切っていたことを。

この状態でコインを受渡ししたらどうなるだろうか。

3秒後、学園都市最強の超能力者は膝から崩れ落ちた。

とりあえずここまでです。

というか、こんな時間に何やってるんだろう・・・寝よ。

こんなものに期待してくださるとはありがとうございます。

自意識過剰かとは思いますが一応トリップつけておきます。

またネタが思いついたら書こうと思いますのでよろしくお願いします。では。

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