雪乃「私は、比企谷くんにチョコレートを渡したい」
陽乃「え……?」
雪乃「渡したい」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436021797
(しばしの沈黙)
陽乃(あれ、なんか想像してた回答と違う)
陽乃「へ、へえ……雪乃ちゃんってば大胆なんだねー? 比企谷くんも、雪乃ちゃんから愛されてるんだね」ニヤニヤ
八幡「雪ノ下、チョコもらうよ」
陽乃(あ、あれー? 比企谷くんそんなキャラだったっけ? 違うよね? もっといけすかない感じで受け取らないよね? なんで受け取っちゃうかなー、それ違うなー)
結衣「うん、ゆきのん。チョコあげなよ!」
陽乃(ガハマちゃんもなんで応援しちゃってんの? 比企谷くんのこと好きだよね? あれ、違う? もしかして私の勘違い?)
八幡「作ってくれたんだろ? 義理でもなんでも、俺のためによ」
雪ノ下「比企谷くん……」
陽乃(やばい……なんか置いてかれてる。違う、私の望んだ展開はこんな雰囲気じゃない!)
陽乃「雪乃ちゃん、そうやってまた誰かに依存しちゃうの?」
(しばし沈黙)
陽乃(……決定打をここで使うことになるとはね。ま、面白いから言いんだけど)
雪乃「姉さん。私、依存はやめないわ」
雪乃「絶対、やめない」
陽乃(なんですごい自信満々に言ってるの……この子。それ全然胸張って誇れないよ? ……でも、やっぱりなんにも成長してないわね。やっぱり私が――)
八幡「ああ、依存してくれて構わない」
陽乃(うん、この子は違う方向に成長しちゃってるわね)
結衣「あたしも……いいかな?」
八幡「ああ、任せとけ」
陽乃(あれー? ガハマちゃんもかー。そっかー、そうなっちゃうかー。でもみんなすごい直球だね、うん。最近なんかあった? お姉さん、最近の若者の動向についていけない!)
雪乃「由比ヶ浜さん……」
結衣「ゆきのん、あたしもヒッキーのこと好きなの」
雪乃「ええ……知ってたわ。私たち、同じことをずっと考えてたのね」ホホエミ
陽乃(ええ……本人いるのにカミングアウトしちゃうの……。あ、比企谷くんどんな反応するのかしら)
陽乃「……」チラッ
八幡「うぐ……ひぐ」ボロボロ
陽乃(えええええええ!? 泣いてるよ! この子泣いちゃってるよ! いや、え、ガチ泣き?)
八幡「俺……そんなこと言ってもらえるとか……思ってなくて……」
陽乃(素直すぎるでしょ……。え、なにこれまでの比企谷くんってなんだったの)
雪乃「比企谷くん、大丈夫?」
結衣「ヒッキー……」
八幡「すまん……」
(しばし沈黙)
陽乃(えー、なに、この雰囲気。ダメよ陽乃、向こうのペースに巻き込まれちゃ)
陽乃「……そ、それが君の言う本物?」
八幡「…………」
陽乃(おー、効いてる効いてる。よし、このままこっちのペースに引き込めば……)
雪乃「……比企谷くん、これ」
陽乃(ふーん、それで雪乃ちゃんは無視しちゃうわけね。相変わらずだなあ)
陽乃「そのチョコよく出来てるねー雪乃ちゃん。比企谷くんのために作った、本命チョコ」
陽乃(ふふ、さーてどんな反応するかしら?)
雪乃「……受け取ってもらえるかしら」
八幡「ああ……。なあ雪ノ下、俺と付き合ってくれないか」
雪乃「比企谷くん、嬉しいわ」
陽乃「」コメカミオサエー
陽乃(違う……何かが違う。絶対おかしい。いやおかしくない? おかしいのは私? 青春的にはアリなの……かな? ……いやいや、違う! なんか丸め込まれちゃってる! こんなのは絶対違うから! 陽乃騙されないで! そろそろガハマちゃんあたりが不満漏れ出すから! それが正しいから!)
結衣「でもヒッキー、あたしもヒッキーのこと好きなんだけど」ホッペフクラマシー
陽乃(OKOK! そうそう、それそれ! それ待ってた! すごい待ってた! ナイスガハマちゃん! 略してナハマちゃん! 百万回のグッジョブをあげちゃう!)
八幡「……そうだな、そうなると難しいな」
陽乃「比企谷くん、モテモテだねー? でも、一人しか選べないんだよー? どうするのー?」
陽乃(……ふふ、これでチェックメイト――)
八幡「なら卒業後にカナダに住むか」
雪乃「カナダなら、重婚は認められているものね」
結衣「やったー! 海外で挙式とかなんかすごいかっこいい!」
(そう言うと、三人は楽しげに去っていった)
陽乃「…………」
雪ノ下陽乃は、校門の前で一人立ち尽くし空を仰ぐ。
そして、一つの結論に至る。
――カナダってすごい。
そう世界は広かった。
――――
――
―
陽乃「……嫌な夢を見ちゃったわね」
その日、雪ノ下陽乃は雪乃への執拗な絡みをやめた。
おわり。
このSSまとめへのコメント
見事なカウンターだったなw
最後、爆笑
マジかよ笑
この展開は考えてなかった笑
はるのんフルボッコw
なかなか面白いWW