陽乃「私が雪乃ちゃんの事を嫌い?」 (49)
陽乃「そんなわけないじゃない、どうしてそう思ったの?」
八幡「いえ、なんとなくですよ。文化祭の時には妹の前に立ちはだかり、それを越えさせようという歪んだ愛情の姉なのかと思ったんですがね」
陽乃「歪んだ愛情って、比企谷くん酷い事言うね」
短い。閲覧若干注意
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八幡「いや、別に変な意味ではなく…」
陽乃「ううん、気にしてないよ。それより話、続けて貰える?」
八幡「はい。そう思ったきっかけがですね。ある推理小説を読んだんですよ」
陽乃「推理小説?」
八幡「はい。そこで俺は奇妙な感覚に囚われました。結構推理小説は考えながら読むタイプでしてね。いつものように推理してたんですよ。そして、自分の中で歯車が揃い、犯人がわかった、しかし」
陽乃「犯人はその人ではなかった?」
八幡「その通りです。確かにこれは推理小説やミステリー小説なんかにはよくある手法で、むしろこれを読みたい人間すらいる賢い人間の書き方、そう」
陽乃「ミスリード」
八幡「…えぇ、その通りです。人にセリフ取られるのってなんか嫌ですね…」
陽乃「それは皆そうだとおもうよ?それより、そのミスリードによって起こった奇妙な感覚って?」
八幡「同じなんですよ」
陽乃「え?」
八幡「雪ノ下さん、あなたが雪ノ下雪乃を構う時などに感じるゾクリとした感覚と同じなんです」
陽乃「…へぇ」
八幡「そこで俺は仮説を立てました。例えば、雪ノ下陽乃が皆が思っているほど完璧な人間じゃなかったら」
陽乃「…」
八幡「嫉妬もするし自分の為になんでもする。一般人だったとしたら、文化祭の時のあの『感の良いガキは嫌いだよ』と言う言葉自体がミスリードだったとしたら、妹に立ちはだかっているのは歪んだ姉心ではなく、憎しみからだったとしたら、例えば…」
陽乃「……?」
八幡「雪ノ下さんは雪ノ下雪乃、というよりむしろ、人間が嫌いなんだったとしたら…」
陽乃「……面白い事を言うね比企谷くん」
八幡「否定は、しないんですか」
陽乃「…あの時言ったよね?感の良いガキは嫌いだよって」
八幡「じゃあやっぱり…」
陽乃「そう、本当の私は人間が嫌い、というより怖いの。怖くて、辛いものから逃げたくて、仮面を被った」
八幡「俺の事を気にかけてたのは、雪ノ下と…誰よりも完璧な『人間』であろうとする彼女の、真反対だと感じたからですか」
陽乃「うん、それも正解。」
八幡「正解って…それじゃ雪ノ下は…」
陽乃「雪乃ちゃんが悪いんだよ?完璧に見えるものを追いかけて…そして追いついて私を壊そうとする…仮面の内側に入り込んで来ようとする…」
八幡「…雪ノ下は…また報われないじゃないですか…」
陽乃「それも私が言った言葉だったね。」
八幡「全ての発言に裏があるようにしか見えない…」
陽乃「そうかもしれないねー。私ってほら、腹黒いから」
八幡「…今それを言われてもあなたの事を怖いなんて思えないじゃないっすか」
陽乃「やっぱり優しいんだね、比企谷くんは…優しくて、正しいよ」
八幡「でも…それは雪ノ下だって………あいつだって優しくて正しい人間ですよ…」
陽乃「それは違うよ。雪乃ちゃんは正しくなんかない。いや、人間としては正しいよ。正しすぎるね…だからこそ…雪乃ちゃんは優しくない」
八幡「…陽乃さんは…ずっと1人のまま誰にも心を開かず生きていくつもりですか」
陽乃「比企谷くんだけには私は心を開いていたと言っても良いぐらいなんだよ?本当は。」
八幡「それは…それも嘘ですよね」
陽乃「ううん、本当だって。むしろ比企谷くんは好きだよ?言ったよね、あれは本心だよ。その死んだような目も、普通に生きてる人を蔑むようなものの考え方も……大好き」
八幡「…それを本心で言っているなんて考えられないです」
陽乃「あはは、そうかもね。でもね?」
八幡「はい?」
陽乃「私は、比企谷くんなら理解者になってくれると思ったんだよ?」
八幡「…俺なんかが雪ノ下さんを理解できるわけないじゃないですか」
陽乃「出来るよ。ここまで言い当てた貴方にならきっと…ううん。多分人生であなたしか私を理解できる人はいない…」
八幡「買い被りすぎですって…それに俺はそんなつもりじゃ…」
陽乃「だめだよ比企谷くん?逃げたら。もう君は私のものなんだから…雪乃ちゃんなんかにあなたは渡さない…もちろんあの由比ヶ浜とか言う子にも絶対に…」
陽乃「ねぇ、逃げないでよ比企谷くん。やっと、私の事をわかってくれる人に会えたんだよ?私の全てをあげる。貴方にだったらなんだってしてあげる…だから」
八幡「うっ………」
陽乃「だから…私と…」
『一緒に………落ちよう?』
このSSまとめへのコメント
なんか元スレの最後の方で作者が逃げたと行っている奴がいるが、これもともとここまでで終わりだったんじゃね?
綺麗に終わっていてとてもいいssだと思うんだがな
とても良いss
作者は逃げ切れた