幼「何言ってるの?幼馴染分って何?」
男「…はは、幼はバカだなぁ」
幼「なんですって?」
男「幼馴染分は、幼馴染に含まれている成分の事だろう?」
幼「男が…男がもうダメだ!」
幼「ていうか、幼馴染成分ってなによ!」
男「はぁ、仕方ないなぁ」
幼「何よ、そのため息、腹立つわね」
男「俺が幼馴染分について、講義してやろう」
幼「別にいらないけど…」
男「例えばさ」
幼「始まっちゃったわ、講義」
男「俺とお前はご近所さんだよな?」
幼「そうね」
男「俺が小学2年の時に引っ越してきてからだから…」
男「もう10年近い付き合いだよな?」
幼「そうね、そうなるわね」
男「…これはもう、俺たち、幼馴染の間柄なんじゃないか?」
幼「まぁ、世間一般ではそう言うんじゃない?」
男「なのに、何でお前には幼馴染分がないんだ?」
幼「だから、幼馴染分って何なのよ!」
男「そうだな…色々あるが…」
男「幼馴染が醸し出す、ほわーっとした雰囲気の事だよ」
幼「ほわーって何よ、例えばどんな感じなのよ」
男「そうだなぁ…ウチのクラスで言えば…」
男「天然女さんがそれに該当する雰囲気を持っているな」
男「ぽやーっとした感じがするだろ?」
男「『おとこくん、だいすきです。わはー』なんて言われてみろ」
男「それだけで、幼馴染分は満タンまで補給されるな!」
幼「天然女さん…ねぇ?」
男「…お前、彼女とあんま仲良くないよね。何で?」
幼「あの子、キャラ作ってるのよ」
男「えっ?」
幼「おバカな男子は騙されてるみたいだけれど」
男「…」
幼「そういう…ふわっふわな感じでキャラ作って」
幼「ちょっと抜けた感じで男子に接してれば」
幼「色々やってもらったりして、便利なのよ」
男「…うーそーだー!俺は信じねーぞー!」
男「天然女さんは、天然でぽやーっとしてる!」
男「あのぽやーっとした幼馴染分は本物だ!」
幼「まぁ、別に信じてればいいんじゃない?」
幼「私には関係ないし」
男「くそぅ…」
幼「で、他にもあるの?その幼馴染成分とやらは?」
男「お、おう、あるぞ!」
男「女の子は、男の幼馴染を一途に想う!」
男「逆に男の方は鈍感で、その想いに気付かない!」
男「そういったシチュエーション自体が幼馴染分の一つだ!」
幼「へぇー」
男「朝、寝坊しそうな男を」
男「幼馴染が優しく、もしくは厳しく起こしに来るとか」
幼「厳しく起こすってどんな起こし方よ」
男「…お昼休みには」
男「料理が下手、もしくは超絶上手な幼馴染が」
男「手作りのお弁当を、真っ赤な顔しながら差し出す、とか」
幼「あー、そう言うの、男子は好きそうだわね」
男「クラスの女子と楽しそうに話す男を見て」
男「泣きそうになったり、嫉妬してみたり、とか」
幼「…女性に夢見すぎじゃない?」
男「帰り道、男の影に自分の影をそっと重ねて…」
男「真っ赤になったりとか」
幼「…」
男「ことほど作用に」
男「幼馴染分は、私達の生活に浸透している物なのです」
幼「今の話しの中で一つだけ、思い当たる事があるわ」
男「お?どの部分だ?」
幼「男の方の幼馴染が鈍感って所」
男「…」
幼「…でしょ?」
男「俺は鈍感じゃない!鋭い方だ!」
幼「はいはい、鋭い鋭い」
男「むー。つまりだな」
幼「…何よ」
男「朝、俺を起こしに来てくれ!」
男「たまにで良いんで、手作りのお弁当をくれ!」
男「俺がクラスの女子と話してるのを、睨んだりしてくれ!」
男「あと、登下校、一緒にしよう!」
男「それらが全て叶えば」
男「お前の幼馴染成分は100%になり、完全体になるのだよ!」
幼「…なるのだよ、じゃないわよ」
男「む。これだけ言っても伝わらないのか…」
幼「…だいたいね」
幼「体力作りの為に、朝の5時からランニングしてるあなたを」
幼「私は一体、何時に起こしに行けばいいの?」
男「」
幼「登校だって」
幼「中学に上がった時、冷やかされるのが嫌だって」
幼「あなたが断ってきたんでしょう?」
男「」
幼「手作りのお弁当は」
幼「私は作るのにやぶさかでないけども」
幼「一流レストランで働いてる、あなたのお父さんが作るお弁当と」
幼「比べられたら、何も作れないわよ!」
男「」
幼「クラスの女子との会話に関しては」
幼「あなた、普段クラスの女子と話さないでしょう」
幼「友君との会話姿でも睨みつければ良いのかしら?」
男「」
幼「下校も!」
幼「補修で居残りさせられる事の多いあなたを」
幼「私はずっと待っていればいいの?」
幼「あなたのご両親の帰りが遅いから」
幼「夕食の支度をする為に早く帰りたい私を」
幼「バカなあなたの補修にまで付き合えって言うつもり?」
男「何か、あの、すいません、幼さん」
幼「あのね」
幼「はっきり言うけどね」
幼「さっきあなたが言った『幼馴染成分』のほとんどは」
幼「男女がお付き合いする事によって、ほぼ叶う事でしょう?」
幼「つまりそれは『幼馴染成分』じゃなくて」
幼「『彼氏・彼女成分』でしょう?」
幼「違う?」
男「は、はい教授。違わないと思います…」
幼「まったく。バカな事ばっかり考えてるんだから…」
幼「おかげで勉強はかどらないじゃないの」
男「…その事実だけは言われたくなかった!」
男「勉強し過ぎで、脳みその中の幼馴染分が不足してたから」
男「なんとかして、幼馴染分を補給したかったんだよー」
男「なのに、本物の幼馴染である幼は、幼馴染成分ゼロだし~」
幼「…その幼馴染分とやらが補給されれば」
幼「受験勉強、頑張れるって言うの?」
男「おう!頑張れる!」
幼「滑り止めの大学4つ落ちてる人の言う台詞かしらね」
男「本命は!本命だけは落とさない!」
幼「当たり前でしょ、落ちたら許さないわよ」
男「…推薦で決まってる人は余裕ですなぁ」
幼「まぁ、正直余裕ね」
幼「だからこうしてあなたに、勉強を教えているんじゃない」
幼「せっかくの晴れた週末、遊びにもいかずに、ね」
男「ありがとうございます」
幼「そう思っているなら、早く頭を働かせなさい」
チュッ
男「」
幼「…これで補給出来た?」
男「お前、今の、ちょっと…」
幼「何?文句でもあるのかしら?聞くだけ聞いてあげる」
男「今、ちゅーした?」
幼「したわね」
男「今、俺の口とお前の口が合わさった?」
幼「合わさったわね」
男「おま、それは…お付き合いしてる男女がする事だろうが!」
幼「一概にそうとは言い切れないと思うけども」
幼「まあ、一般的にはそうかもね」
男「お、俺とお前は恋人同士か?違うだろう?」
幼「あら、私とした事が」
幼「順番が逆だったわ」
男「順番?」
幼「男君、私はあなたの事が好きです」
幼「私とお付き合いして下さい」
男「なっ!なんだって?」
幼「あら、嫌なの?こんな可愛い幼馴染が」
幼「今、あなたに愛の告白をしたのよ?」
幼「もちろん、返事は決まっているわよね?」
男「幼、お前…俺の事が好きだったのか?」
幼「さっき言ったでしょう」
幼「男の方の幼馴染が鈍感って所は当たっているって」
幼「私はあなたの事が大好きよ」
幼「世界で一番愛していると言っても過言じゃないわ」
幼「それに私は」
幼「好きでもない相手に告白したりしない。分かっているでしょう?」
男「お、おう。長い付き合いだもんな」
幼「で、返事は?」
男「…」
男「俺も幼の事大好きだよ…」
男「こんなダメ男で良ければ、お付き合いして下さい」
幼「はい、これからもずっとずっとよろしくね、男」
男「お、おうこちらこそ、よろしくな、幼」
幼「それと」
幼「これからのあなたはダメ男なんかじゃないわ」
男「え?」
幼「正確には、ダメじゃなくなるわ」
幼「だって私があなたを変えるもの」
男「何する気だよ…怖い事言うなよ」
幼「取り敢えず、目の前に開かれた問題集を全部やりなさい」
男「え?こんな時間から?まさか全部じゃないよな?」
幼「もちろん」
男「…」
幼「全部よ」
男「え~~~~」
幼「朝まで付き合うわよ。彼女だものね」
男「うあー。さっき貯まった彼女成分が一気に抜けて行くー」
幼「…まったくもう」
幼「男は私が居ないとダメなんだから」
ギュッ
男「!」
幼「何よ?可愛い彼女に抱きつかれて幸せじゃないの?」
男「今の!今の台詞!」
幼「どの台詞?」
男「『まったくもう。男は私が居ないとダメなんだから』」
男「コレはキタ!」
幼「何が来たの?」
男「ツンデレにもヤンデレにもドロデレにもほんわかにも」
男「全ての幼馴染ルートに共通する、良い台詞だ!」
幼「はあ?」
男「すげー幼馴染成分たっぷりな台詞だった!」
幼「抱きつかれた事より、台詞の方で感謝されてもね…」
幼「じゃあ、彼女成分と、幼馴染成分、両方満タンになった?」
男「はい!なりました!」
幼「じゃあ、勉強再開!」
幼「絶対、私と同じ大学に入ってもらうんだからねっ」
男「おほっ!ツンデレな幼も良いなぁ」
幼「いい加減にしろ、バカ!」
バシッ
おわり
短いですけど、これで終わりです
誰か読んでくれていたら嬉しいです
それでは。
すごくよかったよ乙!
できれば次は天然女さんが実は演技じゃなかった設定で天然女さんルートも
みなさん読んでくれてありがとうございます
色々ありますが、元気出して行こうと思います
次スレは
男「甘い匂いがする…」幼馴染「引っかかったね!」
ってタイトルで立てたいと思います
>>39
次に天然幼馴染物を書こうと思ってます
幼馴染が幸せになるssを
頑張って書いていきます!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません