男「甘い匂いがする…」幼馴染「引っかかったね!」(68)

男「ぎゃーーーーー!なんじゃこりゃあああああ!」

幼「フフフ、それはね…」

幼「砂糖と間違えて、ハバネロを入れちゃって」

幼「ごまかすために、バニラエッセンスを2瓶入れた」

幼「幼特製、スイートドーナツだよ!」

男「か、辛ぇぇ!死ぬっ!」

男「み、水をくれっ!」

幼「一緒に添えたコーヒーをどうぞ!」

男「ぎゃーーーーーーー!」

男「熱っちぃ!しかも甘っまい!いや、酸っぱい?何だこれ!?」

幼「やっぱりハバネロ食べたら、甘いもの欲しくなると思って」

幼「ハチミツをたっぷり入れておきました!」

幼「しかーし!ハチミツだけだと、味に飽きがくると思ってー」

幼「隠し味に黒酢を入れてみました!」

幼「健康面にも気を配ってみたよ!」

男「隠れてねぇ!酢の味、全然隠れてねぇよ!」

男「口が!口がバカになる!」

男「唾液が止まんねぇ!やべぇ!ちょーやべぇ!!!!」

幼「美味しかった?」

男「俺のあのリアクション見てたらわかるだろうがっ」

幼「ある意味、美味しかったって事だよね?」

男「俺をリアクション芸人みたいな目で見てるのか?コノヤロウ」

男「不味かったよ!」

幼「…」

男「だいたい、スイートドーナツなのに何でハバネロ入れちゃった?」

幼「だから、砂糖と間違えて…ね?」

男「ね?じゃねぇよ!」

男「お前んちの台所では砂糖とハバネロが同じ場所にあるのか?」

幼「まっさかぁ!ハバネロはたまたまテーブルの上にあったんだよ」

男「ハバネロってたまたまある物か?」

男「そしてハバネロごまかすためにバニラエッセンスって!」

男「しかも2瓶って!どんだけ入れてんだよ!」

男「そりゃ甘い匂いがするわけだよ!」

男「だけど味は何一つごまかせてなかったよ!」

男「それにあの見た目…」

男「あの赤いの、ストロベリーにしては、随分赤いなとは思ったんだよ」

幼「見た目を重視してみた結果でした!」

幼「美味く出来てたでしょ?」

男「上手くは出来てたよ!けど美味くはなかったよ!」

男「くっ…俺がミスドのストロベリーが大好物なのを知っての犯行だな?」

幼「犯行って何よ!」

幼「私が作ったドーナツを、男が勝手に食べたからこうなったんでしょ?」

男「いいや、お前はさっき確かにこう言った…」

男「引っかかったね!と!」

幼「言ってないし!」

男「いいや、言ったね!絶対言った!」

幼「ふん、もうイイよ。男、さっさと帰って!」

男「あぁ、帰るさ!」

男「そっちから呼んどいて何だこの仕打ち!」








幼「…上手くいかなかったな…」

幼「せっかく手作りスウィーツで男の心をガッチリキャッチ!と思ったのに…」

幼「美味しいのになー。激辛ドーナツと」

幼「甘酸っぱいコーヒー」

幼「おっとっこっくーん、おっはよー!」

男「おう、おはよう幼」

幼「何か、口の周りが赤く腫れてるみたいだけど、大丈夫?」

男「…俺が寛大な心の持ち主で良かったな、幼」

幼「フフフ。そんな物騒な事を言っていられるのも」

幼「…今のうちだけだよ!」

男「ん?何かあるのか?」

幼「ふふふー。まだナイショ!」

幼「ただ一つ言えるのは…」

幼「お昼休みをお楽しみにって事かな?」

男「…イヤな予感がしやがるぜ…」

幼「男、ご飯食べよう!」

男「おう。ちょっと購買行ってくるわ。待ってて…」

幼「チッチッチ。これを見てよ!」

男「弁当箱だな。しかも2つ」

幼「男の分も、作ってきましたー!」

男「幼、昨日のあの仕打ちの後で…」

男「俺がソレを食べると思うか?」

幼「大丈夫だよー」

幼「中身は普通なんだよー」

幼「ドヤッ」

男「口でドヤッて言うな」

男「…でも何か見た目は美味しそうだな?」

幼「へへー。実はほとんど冷凍食品なんだー」

幼「凍ったままで入れておいて、お昼頃に食べやすくなってるやつ!」

幼「だから、安心して食べられるよ!」

男「むぅ。そう言うなら、何か一つ食べてみろ」

幼「疑り深いなぁ、男は」

幼「じゃあ、とりあえずいただきまーす」

幼「まずは鶏の唐揚げからー」

幼「…うん、美味しい!」

幼「次はーご飯ー」

幼「唐揚げとご飯!最強の組み合わせだね!」

男「わかった。そのお弁当、頂こう」

幼「はーい。どうぞどうぞどうぞー」

男「若干引っかかる勧め方だな…まあ良いか」

男「お!俺の好きなジャガバターが入ってるな!」

男「パクっとな!」

幼「引っかかったね!」

男「ぎゃーーーーーーーーー!」

男「なんじゃこりゃあああああああああ!」

幼「そのおかずだけ、私が作りました!」

幼「美味しい?」

男「何だこの甘さ…これまさか!」

幼「そう、ハチミツと黒酢で味付けしました!」

男「なんでジャガバターにハチミツと黒酢いれちゃった?」

幼「素敵な隠し味?」

男「隠れてねぇよ!ジャガイモの味が隠れちゃったよ!」

男「ご、ご飯で流し込まないと…」

男「って、なんじゃこのご飯!」

幼「酢飯です!」

男「また酢かよ!どんだけ酢が好きなんだよ!」

幼「あ、酢が好きって!」

幼「今ちょっとドヤ顔したでしょ!まったく男ったら!」

男「してねぇよ!お前が今してんのがドヤ顔ってんだ!」

男「ぐぁぁぁ、やるせねぇ!この気持ちどうすればいいんだ!」

幼「じゃあこの水筒の中の…」

男「いや、いい!結構だ!購買行ってくる!」

幼「ちょっと待ってよ!中身は普通にお味噌汁だよ!」

男「お茶とかじゃないんだ?お味噌汁なんだ?」

幼「絶対に飲みたくなると思って!」

男「あぁ、飲みたいけど…普通の味なんだろうな?」

幼「あさげが入ってまーす」

男「お前、一口飲んでみろ?」

幼「はいはーい」

幼「ゴクゴク…っと」

幼「美味しぃ~」

男「それじゃあ、俺にも一杯下さい」

幼「あいよっ!味噌汁一丁!」

男「クンクン…匂いは普通…だな?」

幼「疑り深いなぁ…」

男「ゴクッ」

男「ぎゃーーーーーーー」

幼「はい!またまたオーバーリアクション頂きました!」

男「こ、これは何だ、幼。どんなトリックを使ったんだ?」

男「何故お前はこれを、普通に飲めたんだ…」

幼「私、甘い味噌汁好きなんだー」

幼「あさげにメープルシロップを入れてあるよ!」

幼「甘い匂いが出るか出ないか、ギリギリの所まで入れるのがミソだね!」

幼「ミソ汁だけにね!」

男「」

男「…長い付き合いだが、初めて知った驚愕の事実」

男「出来れば、今、知りたくは無かった…」

幼(はぁ…また失敗しちゃったか…)

幼(長いこと一緒にいるけど)

幼(去年までは給食だったもんね…)

幼(食の好みは解らないか…)

幼(でも…不味い不味い言いながらも)

幼(男は結局全部食べてくれたし…)

幼(頑張ろう!)

幼「男!またお弁当作ってきたよ!」

男「おう…ありがとうよ、幼」

幼「そんな死にそうな顔しないでよ!」

幼「今日のは自信作だよ!」

男「その自信の源はどこにあるんだ?」

幼「お母さんも美味しいって言ってくれた!」

男「…頂こう」

幼「じゃーーーん!」

男「昨日と同じで、見た目は普通だな…」

幼「ふっふっふー。今日の自信の1品は…これだー!」

男「ん?酢の物?」

幼「そうだよ!コレ超美味しいよ!」

男「まぁ、酢の物なんだな?」

男「酢で和えた物なんだな?」

幼「そうだよ!絶対外れのないウチのおふくろの味だよ!」

男「…何か、フリに聞こえるんだけど…」

男「食べて見るか…」

男「パクッ…と…」

幼「引っかかったね!」

男「ぎゃーーーーーーー!」

男「苦っ!なんじゃこりゃ?」

幼「この緑の物はキュウリじゃなくて…ゴーヤーだよ!」

男「おぉう…ゴーヤーか…そうか…苦っ!」

男「ゴーヤーチャンプルーは食べた事あるけど」

男「ここまで苦く無かった…」

幼「ゴーヤーはね、生で食べると、苦いんだよ!」

男「おぉう…今、身をもって体験中だよ…」

男「新感覚。苦酸っぱい」

幼「ドヤッ!」

男「ねぇ、俺のリアクションで、わかるでしょ?」

男「ドヤ顔されても困るんだぜ?」

幼「じ、じゃあ、この水筒の…」

男「また甘い味噌汁か?」

幼「いやいやいやー。昨日あれだけ言われたんだから」

幼「もちろん中身は変えてありますよー」

男「カブセてくるボケに聞こえるんだけど…」

男「何が入ってるの?」

幼「お茶だよ、お茶」

男「それは普通のお茶か?」

幼「普通のお茶だよ!」

幼「テレビでも紹介された、有名なお茶なんだよ!」

幼「ちょっと高いんだから!」

男「おぅ」

幼「それじゃ、私が先に飲んでみるから!」

幼「ゴクゴク…っと」

幼「ぷはーーー。冷えてて美味しい!」

男「俺にも一杯、下さい…」

幼「はーい。どうぞどうぞどうぞー!」

男「ゴクッ…」

男「ぎゃーーーーーーー!」

男「苦い!ただただ苦い!がーーーーー!苦いっ!」

男「何だこれ、罰ゲームかよ!?」

幼「お、男君。良い質問ですねえ」

幼「これはテレビ番組では、主に罰ゲームに使われるお茶です」

幼「でも、健康にはとっても良いんだよ!」

男「ば、罰ゲームで使われてる物を…」

男「芸人でもない、俺に飲ませるとは…な…」

男「」

幼「えっ、男?」

幼「気絶するくらい、苦かったの?」

幼「しっかりして!男!」

幼(今日のお弁当も失敗…)

幼(ウチの親は美味しいって言ってくれたけど…)

幼(やっぱり、私の家族は全員味覚がおかしいんだ…)

幼(男のリアクションが面白いから、良いかなって思ったけど…)

幼(男の口に合わなきゃ意味ない!)

幼(こうなったら…)

幼「おばさん、こんにちは!」

男母「あら、幼ちゃん。急にどうしたの?」

男母「男なら友達と遊びにって行っちゃったわよ?」

幼「知ってて来ました!」

男母「どうしたの?」

幼「私に料理を教えて下さい!」

男母「え?料理?良いけど…理由聞いて良い?」

幼「男君に、美味しいって言ってもらいたいからです!」

男母「あらあら。あの唐変木にねぇ」

幼「実は何度か作って、食べて貰ったんですけど…」

幼「男君には合わないみたいで…」

幼「それで、おばさんに、おふくろの味を教えて欲しいんです!」

男母「わかったわ、幼ちゃん!協力しましょう!」

幼「ありがとうございます!頑張ります!」

男母「…で」

幼「…はい」

男母「何で最後にデスソース入れちゃったの?」

幼「隠し味?」

男母「隠れてないからね、幼ちゃん?」

男母「すっごく辛いハンバーグになっちゃったからね?」

幼「うぅ…」

男母「それにしても…」

男母「幼ちゃんの家って、激辛・激甘な物ばっかり食べてるの?」

幼「…はい。基本的には家族全員激辛党です…」

幼「あと。酸っぱい物と苦い物も大好きです」

男母「これは料理の基本から教えないとダメね」

幼「お、お願いします!頑張ります!」

幼「男、お昼食べよ!」

男「おう、じゃあ今日も購買行くか!」

幼「今日はねぇ…久しぶりに作ってきたんだけど…」

幼「食べてくれる?」

男「また辛かったり、酸っぱかったり」

男「苦かったりするんだろう?」

幼「ふふふー。それは食べてのお楽しみ!」

男「それはまたしても、フリだな?フリなんだな?」

男「俺はお笑い芸人じゃないんだからねっ!?」

幼「あっ、ツンデレ?ツンデレ男ちゃん、可愛い!」

男「ツンデレちゃうわ!」

男「…とにかく」

男「食材を無駄にする訳にはいかないからな!」

男「頂きます!」

幼「そんな決意に溢れた瞳で見られても」

幼「照れちゃうよ!」

男「重大な決意が必要なんだよ、幼の手料理は!」

幼「…良いから食べてみて!」

男「おう、相変わらず、見た目は普通だな…」

幼「さぁ、食べてみて…」

男「パクッ…」

幼「…」

男「こ、これは…」

幼「これは?」

男「辛すぎず、甘すぎず、酸っぱすぎず、苦すぎない」

男「普通のジャガバターだ!」

幼「!」

男「普通に美味しいぞ、幼!」

幼「えー、そこはもっとグイグイとー」

幼「いつものオーバーリアクションしてくれないとー」

男「素直に喜べよ、美味しいって褒めてるんだぞ?」

幼「うるさいわねっ!照れ隠しよっ!」

幼「察しなさいよっ!馬鹿っ!」

男「ハハハ。ツンデレキャラ向いてないな、幼」

幼「それじゃ、私も食べようかなー」

男「うん、ホントどうしたんだコレ」

幼「フフフ。厳しい修業に耐え、会得したんだよ!」

男「おう、よくわかんないけど頑張ったんだな!えらい!」

ナデナデ

幼「!!」

幼「そ、そんな子供じゃないんだから!」

幼「頭なでられたくらいで、喜んだりしないんだからねっ!」

男「やっぱりツンデレ向いてないな、幼。ハハハ」

2年後…


男「幼、進路志望どこの大学にしたんだ?」

幼「私?私、進学はするけど大学じゃないよー」

男「え?幼、成績良いだろ?大学進学じゃないの?」

幼「うん。やりたい事あるからねー。専門学校に行くんだー」

幼「男は近くの大学だよね?おばさんから聞いたよー」

幼「頑張ってね!応援するから!」

男「お、おう、頑張るさ!」

男「で、幼のやりたい事って何だ?」

幼「んー。まだ内緒っ!」

男(気になる…)

さらに数ヶ月後…

男「今日でこの校舎ともお別れかー」

幼「卒業かー。感慨深いよねー」

男「で、結局今日まで内緒にしていた」

男「お前の進路はどこなんだ?」

幼「えへへー。実はねー」

幼「料理の専門学校に行くんだー」

男「…遠いのか?」

幼「全然。ほら、駅前にあるじゃん、専門学校」

男「あぁ、あそこか…」

幼「私が遠くに行っちゃうと思った?」

男「…正直、ドキドキだった」

幼「お?素直モードな男は久しぶりだねっ!」

男「俺はいつでも素直だが?」

幼「フフフー。普段はツンデレだよ、ツンデレ!」

男「料理の専門学校行って、何がしたいんだ?」

幼「んー?」

男「やりたい事があるから、大学じゃなくて専門行くんだろ?」

男「やりたい事って何だ?」

幼「んー」

男「答えたくなければ、答えなくても良いよ」

幼「私ねー」

幼「3年前は料理下手だったよねぇ」

男「あぁ、正直酷いモンだったな」

幼「あはは、正直だねぇ」

幼「一番最初に、食べてもらったドーナツ」

幼「不味いって言われて、実はショックだったんだー」

幼「好きな人の為に作ったのに、不味いって言われてねー」

男「えっ?」

幼「だからねー」

幼「『この人に絶対美味しいって言ってもらいたい』って」

幼「そう思ったんだよねぇ」

男「…」

幼「実はおばさんに弟子入りしてるんだよ?」

男「え?ウチの母ちゃん?マジで?」

幼「マジだよー。ずっと習ってたんだよー」

男「なるほど、俺の口に合う味になってきたと思ったら」

男「そうだったんだな…」

幼「それでね、男」

幼「私、好きな人に、もっともっと美味しい物を食べてもらいたいの」

男「!」

幼「鈍感でツンデレな男でも、ここまで言えばわかるよね?」

男「…」

幼「私、男の事が大好きなの」

幼「大好きな人に、大好きな男に」

幼「美味しいよって言ってもらいたいの」

幼「そしてたまに頭を撫でたりしてほしいの」

幼「それが私がやりたい事なのでした!」

幼「この夢は叶うかな?どう思う?男」

男「あぁ、叶うよ。絶対叶う」

男「俺も幼の事がずっと好きだった」

幼「本当に?」

男「俺さ…」

幼「うん」

男「ちょっと気が早いけどさ」

男「大学卒業してさ」

男「就職するだろ」

幼「うん」

男「家に帰って来たときにさ」

男「美味しいご飯を用意してくれる人がいたらさ」

男「凄く嬉しいと思うんだ」

男「それが、幼。お前だったら、最高に嬉しいと思うんだ」

幼「…うん」

男「俺、頑張るから」

男「幼を嫁に貰えるように、頑張るから」

男「それまで待っててくれるか?」

幼「うん。料理の腕を磨いて」

幼「ずっと待ってるよ!」

男「大好きだ、幼」

幼「私も、大好きだよ、男!」

男「甘い匂いがする」

男「お?ドーナツ?」

男「一口大で、食べやすそうだな」

男「幼は…出かけてるのかな?」

男「…食べていいかな?いいよな?」

男「パクッ!」

幼「引っかかったね!」

男「ぎゃーーーーー!なんじゃこりゃあああああ!」

幼「フフフ。懐かしいでしょ?」

幼「10年ぶりに、作ってみたんだ!」

幼「激辛ドーナツ!」

幼「ある意味、美味しいでしょ?」

男「だから俺はリアクション芸人じゃねーんだよ!」

男「たまにこういう事するの止めろ!」

幼「いいじゃん、たまには男のナイスリアクションを見たくなるんだよ!」

男「…」

幼「…惚れた弱みだ、仕方ねぇか」

男「当たってるけど、お前が言うなよ!」



おわり

これでおわりです

読んでくれた人、ありがとうございます

次スレは
幼馴染「わはー、男くんだー」男「…」
ってタイトルで立てたいと思ってます

次も読んでくれると嬉しいです

では。

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