【GANTZ】西「全てを知る男」【オリジナル】 (208)

GANTZの世界に、GANTZの知識を持ったまま飛ばされたら、生き残れるのか?

最難関であるぬらり編は言わずもがな、、千手編・鬼編、そして見落としがちですが吸血鬼編も侮れません。

作中に一人だけ【男】なんて名前なのもおかしいので、主人公には固有名を与えました。

基本的に原作再構成なので、展開以外はオリジナルはありません。

概ね土日更新になりそうです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434873460

男は死んだ。死因は、高所からの落下による衝撃。要するに落下死だ。

男には特別な死生観があるわけではなかったけれども、それでも、死んだらどうなるのだろう、という哲学的な問いに悩まされたことはあった。


とあるマンガが有る。

そのマンガでは、死した人々がランダムに選ばれ、異星人と闘わせられる、といったゲームが描かれた。

男も大ファンというわけではなかったけれど、読了後ネットでの評価を参考にする程度には好きだった。

今、男は死んだ。

そして彼は今、“GANTZ”と同じ状況に置かれていた。

男「っあ……!? は!?」

なんだここ……ってあの球はまさか……

教師「あの……あなたも死にかけたんですか?」






俺がテンパった状態から落ち着いたのは、ヤクザにうるせえと言われてやっとのことだった。

この状況、この顔ぶれ。細かい記憶こそあやふやだが、間違いなく、“ネギ星人”の時のやつだ。

教師「じゃあ、自己紹介しましょう!」

このやり取りも……確かにあった!

だがわけがわからない。ここはマンガの世界だったはず。しかも、仮に本当だったとしても、すでに描かれたいわば終結した物語だ。
なんかのドッキリだろうか。

でも、死んだ感触も確かにある。

わけがわからない。

そんなことを思っているうちに、俺に順番が回ってきた。

教師「あの……お願いします」

男「あ……俺……は、白波良(しらなみ・りょう)です。死因は……落死」

そう言えば、岸本はネギの時からいたはずだったと思うが……

白波「あれ? 変だな……」

西「……」チラチラ

教師「えっと……何がですか?」

白波「いや……確か」

いや、ちょっと待て。ここまでマンガと同じで、俺が岸本のことをしゃべったら、不自然じゃないか?
まだ確信したわけじゃないが、言わないほうがいいかもしれない。

白波「あ、いえ……ケータイが無かったものですから」

我ながらいい言い訳を思い付けたものだ。

ジジジジ……

なんだ?

加藤「あれ? 計ちゃんなんだそれ」

まさか

ロン毛「女か? もしかして」

ジジジジ……

岸本だ。この時、俺は知らずのうちに拳を握りしめていた。

裸の女に対する性的興奮も多少はあったが、それ以上に、これから始まると考えられる地獄を思って。

そんな俺を西が見ているとは、気付かずに。

あの訳の分からんラジオ体操の歌が終わり、俺は最終確認として、ガンツからの指令を待った。

全く同じだった。ネギ星人。

球が開く。

玄野「ってぇ〜〜」

ああ、こんなのも見た気がする。


スーツケースだ。「しらなみ」……俺のもあった。

着替えないと。だが、どこで?

ヤクザ1「お前着てみ」

ヤクザ2「着るかボケ」

そうだ、隣の部屋で着替えよう。

そうやって、スーツケースと2つのガンをもって、俺はごく自然にドアを開けたが、西は信じられないといった目で見ていた。



実際に着てみると、本当にコスプレのようだ。着ただけじゃ、自分では効果を実感できない。
と、周りをよく見れば、ガンツソードとバイクが置いてある。

……これも持っていくか。

その時。

西「あんた」

西が、いつの間にか後ろに立っていた。表情はどこか俺に懐疑を覚えているように思われる。

白波「!……西か」

西「……たった一回で俺の名前を覚えたのか」

今のは不味かったか。だがもう遅い。

白波「記憶力はいいほうでな。それより、何か用か?」

西「……あんた、なんなんだ? どうしてここまで当たり前のようにこの部屋の構造を分かってるんだ?」

白波「……どこか変なとこがあったか?」

西「ああ、あったね。当たり前のようにこの部屋の扉を開けたことが最高に疑わしい」

白波「……あ! そうか! しまった!」

白波「ここは原作だと恐竜編から出てきたんだった……」ブツブツ

西「なにをいって……チッ、時間か」ジジジジ

西が転送される。チッ、時間か。なんて本気で言う奴を初めて見た。

ソードを2つ持って部屋を出た。バイクは後だ。
俺がガンツのある部屋に戻ると、玄野たち3人と、犬がまだいた。

加藤「あの……それなんですかね?」

白波「あれ……着ないの? まぁ、頑張ってね」

一応、原作だとこいつが死ぬのは千手の時だ。今回は大丈夫だろう。
そう、俺が今一番考えなきゃいけないのは、千手編をどう乗り切るかだ。鬼やぬらりはこの際後回し……いや、実際に後だけど。

玄野「……」

玄野が俺を見ている。まぁ確かに、初めて見たらコスプレにしか見えないかもな。

加藤「あ」

白波「あれ、始まった?」

触ろうとすると確かに、頭のてっぺんが無い。

加藤「は、はい」

白波「ありがとう」

玄野「?」

バイクを持って、スタートだ。

バイクに乗って転送されたら大変驚かれたのでその場を少々離れ、レーダーを弄っていると、俺は姿を消すことに成功した。

白波「案外いけるじゃん!」

しかも今回は屈指のイージーミッションだ。はっきり言ってスーツ着てるだけでなんとかなると思う。


先ほどの場所に戻ると、西が何やら取り囲まれていた。

どうやらテレビの企画だと、この状況について説明しているようだ。
ここまで展開が同じだと、半ば自分が神であるかのような錯覚に襲われそうだ。

説明が終わった後、周波数を変えたまま西の右肩を叩く。

西「? なんだ?」

案外察しの悪い奴だ。周波数を戻す。

西「ッ! ……あんた周波数変えまで出来んのか」

白波「まあな。ところで……お前も周波数変えてくれよ」

西「……分かった」

西「……で、あんた……なんだっけ」

白波「ああ……俺は白波だ。よろしく」

西「……とにかく、あんたはなにもンなんだ。スーツはともかく、なぜ刀やバイクまで知ってんだ」

困ったな。どう説明すればこいつは信じるだろう。そこまで考えてなかった。

白波「俺は……なんだろうな」

西「はァ? どういうことなんだよ」

白波「上手く説明できないが……あの部屋を、この世界のことを知ってるんだ」

西「……そんなんで納得すると思ってんのかよ?」

だよな……どう言えば……そうだ!

白波「西……お前、和泉って、知ってるか?」

西「イズミ? ……なんの事だ?」

白波「和泉……ロン毛の、ガンツソードをよく使うやつだ」

西「! ……あいつの知り合いかなんかなのか?」

どうかな……俺としては千手編を乗り越えるためには是非こいつの力が欲しいし、出来れば俺が未来を知っていると、先の事が全てわかると知っていて欲しい。

白波「そうだな……そんなとこだな。悪いが細かい事はミッションが終わってからでいいか?」

西「いや……ダメだ」

白波「頼む。ラッキーな事に今回のミッションはかなりイージーな奴だし」

西「……なんでそんな事がわかるんだ?」

ヤベッ! ……いや、よく考えたら俺が異世界人って言ってもデメリットなんかねえよな?
どっちにしてもベラベラ喋ってる暇はない!

白波「……それも後だ! 俺は、今回コツをつかむ事に専念する!」

バイクにまたがる。

西「なっ、待て!」

白波「じゃあな」

少しバイクを走らせたが……何ともはや気持ちが良いものだ。モニターを覗くと……あと20分といったところか。
まぁ原作通りならあの親父を殺すのに2分もかからない。楽勝だ。めり

ん?

加藤「はあっ、はあっ……」

距離にしておよそ50メートルってところか。2人が向き合っている。
その光景を俺は低い場所から見上げるようにしていた。

加藤の前には、ネギの親父が。加藤の手にはYガンが握られている。
そして加藤はそのYガンをネギ親父に向けている。

あのシーンか。

そう思った矢先、加藤が飛ばされてきた。
気を失った……のか? 少なくとも死んではいないはずだ。

ネギ父が去って行った。記憶が正しければ、玄野との追いかけっこだったはず。

加藤「うっ……ぐ」

お? 戻ったか。

白波「大丈夫か? 加藤」

加藤「あっ……あなたは」

加藤は露骨に安堵したような表情を見せる。

加藤「無事だったんですね!? 良かった……」

白波「まぁ……ね」

加藤「もう4人も……殺されました」

白波「ああ……知ってるよ」

加藤「どうして……そんなに落ち着いてるんですか?」

白波「……さあ、どうしてだろうね」

加藤「あ……そういえば、他の人たちは!?」

白波「うーん……少なくとも玄野と西、それに岸本は生きてると思うよ」

加藤「そ、そうですか……良かった……」

加藤「あれ? でもどうして岸本って……名前を?」

白波「……俺は耳がちょっとばかり良くてね」

加藤「はぁ」

白波「おっ」

加藤「すっ……げえ……」

玄野の大ジャンプだ。
これはまた姿を消すべきか?

白波「……」

加藤「け、計ちゃん!」

加藤が走り出した。よし。これで消えても不審がられずに済む。


加藤が走って、ネギ親父の首を腕で締める。

加藤「逃げろ! 計ちゃん!」

ネギ親父は暴れる。加藤も先ほどの落下で体にガタが来ている。

玄野「加………」

加藤「ぐぅっ!?」

ネギ親父の爪で加藤の手が手首から切られる。血が滝のように吹き出す。
玄野にとっては、始めで目の前で見る激しい流血だった。

加藤「逃げ……」

玄野「くそおおおお!」

………………

西「あんた、何やってんの?」

西は白波に尋ねた。確かに、点数が欲しいならば、白波のように傍観しているのはおかしい。

白波「今回はファーストミッションだからね」

西「……わっかんねえな」

西にはどうにも白波の真意が掴めなかった。
あまりいないタイプの人間だったからだ。

積極的に助けようとするのでもなく、また点数取りのために前に出るのではない。ステルスして眺めるだけというのは、西の中では初めて見る男だった。

白波「それに……今回は旨味がないからね」

西(旨味?)

西「じゃーもらうぜ、アレ」

白波「好きにしな」

ーーーーーーー

玄野「加藤ッ! おいっ! おいっ!」ジジジジ……

西「ちっ、うるせぇな……」

玄野「っ……てめえ!」

ジジジジ…

白波「ちょっとちょっと、何してんだよ!」

玄野「くっ、あんたにゃ関係ねえだろ!? 離せ!」

ジジジジ……

岸本「あっ……」

玄野「あ……」

岸本「ふんっ」

玄野「わ、悪かったって」

西「まだかぁ? もう終わりだろ」

白波「はぁ……」

西「なんだよ?」

白波「よく見ろよ」

ジジジジ……

西「マジかよ……おいおい、今回何人生き残ってんだ」

加藤「け、計ちゃん! あれ、俺どうやって……」

白波「よかったなぁ、おふたりさん」

岸本「えっ!?」

玄野「はぁ?」

採点が始まった。


0てん
やるきなちすぎ
ベロ 出しすぎ
シッポ ふりすぎ

加藤「なんだこりゃ、ハハハ」

巨乳
0てん
ちち でかすぎ
ぱんツ はかづにうろつきすぎ

玄野「巨乳……って……」

岸本「あたしィ・・」

玄野「ハハ……ちょっと面白えかも この採点
なんの採点かさっぱりわかんねーけど」

加藤「あ……」

かとうちゃ(笑)
0てん




西くん
3てん TOtAL 90てん
あと10てんでおわり

西「ちっ 、3点かよ……」

白波「な? 言ったろ?」

加藤「……?」

くろの
0てん





シラナミ
0てん

バイクで うろうろしすぎ
にこにこしすぎ


加藤「あ……その、残念でしたね」

白波「うん? ああ、ありがとう」

今日は以上
ネギ編はチュートリアル


0てん
やるきなちすぎ
ベロ 出しすぎ
シッポ ふりすぎ

加藤「なんだこりゃ、ハハハ」

巨乳
0てん
ちち でかすぎ
ぱんツ はかづにうろつきすぎ

玄野「巨乳……って……」

岸本「あたしィ・・」

玄野「ハハ……ちょっと面白えかも この採点
なんの採点かさっぱりわかんねーけど」

加藤「あ……」

かとうちゃ(笑)
0てん




西くん
3てん TOtAL 90てん
あと10てんでおわり

西「ちっ 、3点かよ……」

白波「き、90か……よし!」

加藤「……?」

くろの
0てん





シラナミ
0てん

バイクで うろうろしすぎ
にこにこしすぎ


加藤「あ……その、残念でしたね」

白波「うん? ああ、ありがとう」

西「あんたどんだけうろついてたんだよ……」

玄野「それにしては見かけなかったぞ……?」

ガンツは完全に静止した。
部屋を沈黙が支配した。
玄野、加藤、岸本は互いに顔を見合わせている。

白波と西は互いに探り合うように視線で牽制しあう。

加藤「あ、の……どうなって」

西「ああ? もう帰ってもいいんだぜ」

岸本「か、帰れるの?」

白波「外のドア、開いてるよ」

玄野「ちょっと待てよ。こっちは聞きたいこと山ほどあるんだ」

加藤「そうだ……なんか二人とも知ってそうだし」

岸本「確かに」

西はちらりと白波を見る。白波は何か考えているようだった。

西「まあいいぜ……俺の知ってる範囲でよければ、な」

玄野「ウソはなしだぜ……」

西「なんなりと……」

白波(話すのは別にいいとして……どこまでどう教えればいいんだ)

教え過ぎれば恐らく、最悪の事態が起こる。だが教えなければ恐らく、我が身が危うくなる。そのギリギリのラインが難しいのだ。

白波(記憶が正しければ、次の田中は1匹5点くらいだったはずだ)

これは正しかった。白波は普通に比べれば記憶力が良いほうの人間であった。

白波(千手を倒すだけなら、西くんに100取らせてZガンをとればいいんだが……)

だがそれも良し悪し。白波が憂慮しているのは、歴史、つまり流れが変化してしまうことだ。

白波(そもそもだが、俺はこの世界でどう生きていけばいいんだ。多分住む場所もないぞ)

そう。基本的な問題がそこに存在しているのだ。
このガンツの世界において、白波は異世界人、別次元からの人間なのだから、住居はもとより職も無いだろう。基本的に生きる手段がない。

白波(最悪、レーダーで姿を消して盗むってこともできるが、それをやったら俺は人として終わりだ)

西が質問受けを始めた頃、白波は悩みまくっていた。

玄野「何から聞こう……」

玄野「あ……何、何なんだ一体……」

西「何……ハア?」

玄野「その……この状況、何が起こってんだよ」

西「さあね〜それはしらね〜な〜」

玄野「なっ、バカにしてんのかテメーっ!」

加藤「どーいうつもりだ おまえ何なりとって」

西「もっと細かいことなら知ってるけど……質問が大雑把すぎんだっつの」

加藤「……1人ずつ細かい質問しよう」

玄野「あ……じゃあ、俺から」

西「どうぞ……」

玄野「お前……」

西「?」

玄野「お前ら……何者なんだ? なんで色々知ってんだ?」

西「・・ ……俺?……そうだな」

西「俺は……宇宙人だ……」

白波「フフッ」

加藤「は……」

玄野「うちゅ……ウソだろ…」

西「くくっ、うんウソ」

玄野「なっ、お前なぁ!」

西「おれは普通の……普通の中学生」

西「こっちは知らねえけど」

加藤「そ、そうだ。 あなたは?」

白波「俺? は、そうだな…俺も普通の人間」

玄野「な、ふ、ふざけんなよ!」

白波「ふざけてなんかないよ。俺はただちょっとこの部屋について知ってるってだけだ」

岸本「それって、どういう…」

白波「まずは西くんに聞いてよ」

西「…………俺がここに来たのは、1年前だ…」

加藤「!? 」

玄野「ど、どーいうことだ」

西「わかんない? 想像力働かせろよ…」

西「昔から何度も繰り返してんだ 今夜みたいなこと」


西「俺が来るよりずっと前からこの部屋は 常に何人かずつ…死んだはずの人間が連れてこられて 死んだらまた補充して」

西が笑う。

西「何人も…何人も見てきた…人が死ぬとこ」

西「今回なんかよりスンゲーのも…いっぱいあった」

西「俺はそん中でずっと生き残り続けてきた」

西「だが……確かにそいつは少なくとも俺の知らないやつだ。名前もさっき知った」

玄野「な、なんだそれ……意味が…」

白波「西くん、死んだ奴を見せてやんなよ」

西「あ? ……ああ、なるほど」

西「おいガンツ・・ 死んだ奴全部見せろ」

西がガンツの中の人間の耳に指を突っ込むと、大量の画像が表れた。

白波「その一番下が、最近死んだ人…つまりは今日死んだ人ってこと」

西「こいつらは今までの中でもかなりマヌケ…」

西「でもあんたは……玄野だっけ? コイツらとは違った」

西「そのスーツが重要だってカンですぐ気付いた」

西「だから生き残れた」


加藤「なんで教えなかった」

西「・・」

加藤「お前が最初から説明してればもっと生き残れたはずだ…なぜおまえはわざとウソついて説明しなかった・・」

西「……」

白波「じゃあ聞くけど…始まる前に今から殺し合いしますよ、って言われて…君たち信じた?」

玄野「そ、れは……」

加藤「だけど、それを言っておくだけでも…!」

西「信じねー奴にわざわざ長々と説明なんかするかよ」

白波「俺も概ねその意見に賛成だね」

加藤「だ……だとしてもだ! どうして人が死にそうなのに何もしなかった・・」


西「あんたは目の前でヤクザのおっさんが死んで、他の奴らが死んでも、ビビって撃てなかったじゃねーか」

玄野「しょ、しょうがねーだろ! 何も知らなかったんだぞ!」

加藤「……」

西「なに? お…怒ってんの? なんだよその目」

加藤「お……おまえ…目の前で人が死んでも…」ハァ…

加藤「ハァなんとも思わないのか…?」ハァ

興奮で息が荒くなっている。冷や汗ともわからない汗が滝のように流れる。

西「知ったこっちゃないって 他人が死のうが生きようが」

西「おまえ何なんだよ……偽善者くせーんだよ、なあ・・ 偽善者、偽善者・・」


加藤が西の胸ぐらを掴む。

西「半泣きじゃねーか カッチョ悪りィ〜 年上だろー おい〜」

白波の目には西がどことなく嘯いているように見える。

加藤「お前……お前なぁ!」

言葉にできない怒りが加藤の中で爆発した。

玄野「加藤! やれっ殴っていいぜそんな奴・・」

岸本「うん・・」

西「あ〜あ しょーがねーな〜」

西「バカどもが何にもわかってねー」

西「イマこん中で一番強いのは俺なんだぜ? 」

西「善意で色々教えてやってんのに」

加藤の腕を西が掴み力を込める。

西「こーゆー扱いされんのって なんか間違ってねえか?」

加藤「ぐっあっ」

西「とりあえず潰しとくか 誰が強いかわかんだろ」

玄野がxガンを構え、西に向ける。

玄野「手を…離せ…」

岸本「離しなさいよっ」

その時、白波が大きなため息をついた。

岸本「な、なんですか?」

白波「何から何まで同じだな、っな」

玄野「何言ってんだ?」

白波「とりあえず、それやめろ」

二人の間に刀を伸ばす。

加藤と玄野は驚いて手を下げた。

白波「……落ち着け二人共」



二人が黙り込むのを見て、刀を縮めた。

玄野「ま、待ってくれ……ま…まだ聞きたいことはいっぱいある」

西「だろうな……」

玄野「おまえ、俺たちは生きてるって言ってたよな」

西「…それが?」

西がファックスのコピーに例えたガンツの説明を施した。3人とも意味はわかっていないようだったが…

西「まぁいっか」スッ

玄野「消えた!?」

白波「あっ!? くっそっ」スッ

加藤「あの人も!!」

白波「待て!」

西「!? 今度はなんだよ」

白波「次は俺の話を聞いてもらう……姿を現せ」

西「……こいつらがいてもいいのかよ」

白波「むしろ好都合だ……」スッ

西「ちっ……わかった」スッ

白波「今は……9時前か。時間、大丈夫か?」

加藤「出来れば手短にお願いします」

白波「わかった…と言っても、少し長くなる。楽な姿勢で聞いてくれ」

西「……」

白波「じゃあまず……自己紹介しよう」

西「ハァ?」

白波「まあいいだろ? ……俺の名は白波。ここのことは西くんが説明した通りで合ってる」

白波が部屋を見渡す。3人はよくわからないといった表情をしている。

白波「……」

まずい。の一言だけが白波の脳内を駆け巡った。
一体なんと説明すれば分かってもらえるだろう。

そもそも論にはなるが、これは現実なのか?
非常に困ってしまっていた。

西「で、なんなんだ、白波? さっき言ってたろ、細かいことは後で話すって 」

白波「そうだな、ならまず俺のことを信頼してもらわないと困るんだが……それが難しくてね」

玄野「何……を言ってんだアンタ?」

白波「今から俺が言うことは……この部屋でこれから起こることだからだ」

岸本「それって、未来……ってことですか?」

白波「察しがいい。その通りだ」

西「……和泉のことを知ってるって言ったのはなんでだ?」

白波「あいつは……この何度か後のミッションでまたこの部屋に来るんだ」

西「ハァ?……どういうことだよ」

白波「俺は……知ってるんだ。この世界の全てを」

玄野「ど……いう……」

白波「うまく言える自信はない……だが……誰がこれから先死ぬのかも、答えることができる……」

加藤「死……」

西「……そういや、気になってたことがある」

白波「なんだ?」

西「今回のターゲット……お前は『旨味がない』と言った。それも点数を知ってたって事なのか?」

白波「……そういう事になる」

加藤「じゃ……じゃあ、あんたは誰が死ぬのかも知ってたっていうのか?」

白波「助けろってか? ……自分が死ぬリスクを冒してまで、そんな事はできない。俺はただ……この世界で生き残りたいだけだ」

岸本「さっきから“この世界”って……どういう事ですか」

白波「……厳密には俺はこの世界の人間じゃない。この部屋の事を色々知ってるのは、それが理由なんだ」

玄野「……」

白波「だから俺が今一番困ってるのは……この部屋に来たって事もそうだが、この世界でどう暮らしていけばいいのかわからない事だ」

加藤「え?」

白波「納得してくれたかどうかはわからない。とにかく……俺は今から住む場所や金を探さないといけない。それと、次回の事も一応言っておく」

西「わ、わかるのか!?」

白波「もちろんだ。……いいか?」

西が戸惑いながらも言葉を待つ。

白波「次のミッションは……田中星人。そして俺の知る限り……次で西くんは、死ぬ」

西「ハァ!? ふ、ざけんな、どういうことだ!」

白波「……俺もなんでもかんでも喋るつもりは無い。そうなる可能性があるというだけだ」

西「な……」

白波「次の時にでも、詳しい話をしたい……そのほうが俺にとってもメリットあるし」

白波「ただ今回は俺も整理しておきたい事が山ほどあるんだ」


白波「もう……いいかな」

白波「じゃ……また今度」

そう言って白波はxガンとガンツソードを持ち、そしてスーツは着たまま部屋を後にした。

どうしても信用するような話し合いにする事ができませんでした!

なので戦いを通じて信用してもらう事になりました!

筆者

第2話『破壊力 超弩級』



結論から言えば、白波の家はあった。
さらに言えば、金もあったし、衣服もあったし、そして食べるものも十分にあった。

唯一無かったのは、『人』である。彼を取り囲む人間関係は、この世界には全くなかった。

だがそんなことは、彼に関係あるところではなかった。

彼にとっての最優先事項をガンツミッションに絞る事が出来た、というだけで、彼は十分に満足できていた。



ネギ星人のミッションから戻った後、彼は次の田中までに何かできるような事が何か無かったろうかと考えた。
そして思いついたのが、点数表示パソコンである。

原作ではぬらりと天狗、犬神に使われただけですぐに使われなくなったが、よくよく考えればアレはとんでもない技術なのではなかったか。
パソコンに接続できたなら、点数表示だけでなく、もっと応用できるのではないか。と。



そう考え、白波は3日試行錯誤を繰り返して、ようやく、パソコンにxガンを接続する事に成功したのだった。


白波(凄いなこれ……情報量も半端じゃないし……)

白波(というか点数化するとかどうすんだよ……接続するだけで3日もかかっちまった)

白波(いや……違うな。発想を逆転させよう)

パソコンで星人を点数化するためには何をするか、を考えるのではなく。

パソコンに接続したxガンをどう使うか、を考える。

白波(つまり、点数表示以外の使い道を模索する……)

白波(俺の自宅用パソコンは2013年モデル……この世界においてはほぼオーパーツに近いものだ)

それがあれば、もっと上手く使える方法が無かろうか。

欲張るならガンツを操るなんてこともしたいが……流石にそれは白波の能力を超えている。

どうしたものか……






十数分のコーヒーブレイクの後、白波は再び解析作業に入った。


西「くそ……なんで俺がこんな……」

白波に死亡予告をされてからというもの、西は言いようのない不安を抱えていた。

西(嘘に決まってんだ! そのはずだ!)

解っているつもりでも、身体が言うことを聞かない。

猫「」

西(何を壊しても……殺しても……一向に変わらねえ)

西「あいつ……ふざけやがって」

「おいおいなんだこりゃ!?」

「猫の屍体か? 何がありゃこんなにバラバラに……」

ゾクッ

西「!」

西「ふぅ……やっとか」

白波「うひっ」ゾクッ

白波「ああ、これがそうなのか」

白波「……パソコン持ってかないと」


玄野「なんか今寒気が……」

岸本「あたしも……」

玄野「なんかやーな予感がする」

岸本「え?」

玄野「スーツどこだっけな……」

岸本「これ?」

玄野「そうそうそれ」

岸本「はい……あれ? 身体が……」

玄野「金縛り……か……?」




加藤「歩! 布団敷いといてくれ」

歩「わかったー」

加藤「っ!」ゾクッ

加藤「な……んだ……?」

加藤「あれっ動けねー……」

ジジジジ

白波「あれ? 俺が最初なのか」
白波「……着替えとくか」

白波は思う。願う。上手くいくように。



あの後、白波は知識を総動員して、いろんな怪しいサイトも回りながら、ある仮定にたどり着いた。

それはーーーーー


ガンツが、異星人からの信号を受け取って作られたものとはいえ、人間が作り上げたものである以上は、そこに解析、分解、結合などの改造の余地が少なからずあるはずである、というものだ。

白波は具体的に設計図を描いた。
Xショットガンの前部にXガンを接続させ、さながらロケットランチャーのようにする設計である。

だがこれはこの部屋に来るまで検証できなかった。なぜなら、彼が自宅に持ち帰ったのはスーツ・Xガン・ガンツソードの3つであり、Xショットガンを持ち帰ることはなかったからだ。
それでも彼が設計図を書き上げることができたのは、彼の並外れた記憶力と、構造推理力によるところが大きい。


また白波は、解析に先立ち、Xガンの機能調査も行った。
と言っても破壊力は分かりきっているし、上トリガーがロックオンするためのものなのも、彼はもちろん知っている。

何を調査したのか。
それは、ロックオン数はどれだけ増やすことが可能なのか? ということだ。

彼はこの調査のため、街を転々としながら、スーツのステルス機能を用いて、あらゆる無機物をロックオンしまくった。
そして得られた結果はーーー



無限。



いや、正確には、少なくとも193の数をロックオンできる。
この結果が得られた時点で白波は上限を知るのを諦めた。

と言うより、そもそも3桁を超える敵をロックオンする事などほぼ無いし、それだけの敵を消したいならZガンがある……

今回の田中編での白波の最大の野望は、西の100点獲得によるZガンの入手である。

これにより、次回の千手戦が飛躍的に楽になるはずである。
それに加えて、白波の仮説が証明されれば、新たな攻撃手段を得ることもできる。
そうなれば万々歳だ。



白波(未来のことについては…今までの通り西だけに話す事にしよう。未来を知ってる人間は少ない方がきっと良い。知りすぎると……人間は油断するからな)


次回ようやく田中星人編です……
白波のスペックは頭脳に振り切り肉体に少々という邪道系主人公ステにしてます。
基本的にはサポート要員ですね。

本格的な描写もしたいんですけどいかんせん悩み始めると全てがダメに見えるので妥協して書いてます。

以上です

ジジジ…

黒髪の小さな背丈が転送されてくる。目つきからしてこれは……

白波「よう」

西「あ……くっそ! お前のせいでなぁ!」

白波「なんだよ」

西「ぐ……くっ!」

西はうまく言葉が見つからなかった。
まだ確信したわけではない。ただ言いようのない不安に押しつぶされた自分をさらけ出す事に、恥を感じただけだ。

ふと、気づいた。

西「なんだよ、それ」

白波「パソコンだよ。俺のな」

西「なにするつもりなんだ」

白波「さあ……それはお楽しみって事で」

西「ちっ……余裕かましやがって」

白波「まぁ…実際今回までは余裕だし」

何気なくそう呟いた。西は追求こそしなかったが、何か薄ら寒いものを感じた。

西(こいつが正しいなら……俺はその“余裕”で死んだっていうのか?)

白波「カタストロフ……」

西「!?」

白波(なるほど、この時点で知っているのか)

白波「なんでもない。思いついただけだ」

さて。

白波「新メンバーの対応は任せるよ。俺はもう少し調整しときたい」

そう言って白波はステルス機能を使って姿を消し、キーボードを打ち出した。

音だけが、ただ響く。

西「けっ……」



ジジジ……

玄野「あ……」

西「よう、お帰り」

玄野「……くそっ」

その後、族四人、ホモとサダコ、ババアとクソガキ、そして岸本と加藤の全員が転送されてきた。

皆……特に、初めてこの部屋に来た人間は、やはり俺のような例外か、頭のおかしな奴、或いは動物、を除けば不安がるようだ。

誰もが部屋からの脱出手段を求めて試行錯誤し、無駄だと悟る。

……この辺りは原作での説明がなかった気がするな。鍵やノブに触れられないのも、恐らくはこの球の仕業だろう。全く恐ろしい技術だ。

族のリーダー……便宜上Aとでも呼ぶか。そいつが叫んだ。

A「どこだよここっ!! 誰か説明知ろっ てめえら!」

カタカタ

玄野「……」

加藤「計ちゃん……」

玄野が首を振る。隣に座す西も何も言わない。原作通りだ。

B「イラつくなーこいつら」

A「なんか言えよ! こら!」

C「族舐めてんじゃねーぞ!」

バカがこいつら……何も知らねえでイキリやがって……そんなんでビビるのは小心者だけだっつの

カタカタ

A「おいそこのデケーの 何か知ってんじゃねえだろうな」

北条「俺が聞きてーっつの」

A「くそ、なんなんださっきから! カタカタカタカタうるせーしよ!」

玄野(確かに……なんの音だ?)

加藤「前はこんな音なかったよな?」

玄野「あ、ああ……」

A「前ってどういうことだよおい」

B「なんか知ってんだろお前! 言えよ!」

緊張感からか、ガキが鳴き始めた。

孫「おうちにー! かえりだい〜!!」

孫「おかあさんとこいきだ〜い〜!」

祖母「ごめんね亮太 おばあちゃんなんとかするからね」

A「うっせーぞ、クソガキ! 泣くんじゃねー! 殺すぞっ」

孫「や〜〜だ〜〜!!」

カタカタ

祖母「おばあちゃんがきっとお家に帰してあげるから」

加藤が立ち上がる。その顔は覚悟があるように見えた。

加藤「此処にいる全員が生きて帰るために できるだけ情報をみんなに伝えたい」

西「なっ! やめろっ!」

加藤「まず俺の知ってることを話す」

カタカタ

西「やめろバカ! っおい! お前っいい加減に……」

玄野「……(なんであの……男はいねーんだ? どうなってんだ。このカタカタする音もよくわかんねーし)」

玄野(しかもなんでこの中坊こんなに焦ってんだ……?)

白波「うっさいなー……」

ステルスのまま立ち上がる。
それに皆驚き、周囲を見渡すが、主の姿は見当たらない。

白波「西くんもさぁ喋らせてあげなって……無駄だろうけどさ」

西「てめえなんのつもりで……」

A「なんだよおいっ! なんなんだよ!」

C「どーなってんだよ!」

白波「黙って加藤の話を聞け!」

D「なっ!?」

玄野(あいつの声だ! ……でもどーやって)

岸本「……加藤くん、ほら」

加藤「……いいか? いまから……」

加藤は拙いながらも丁寧に説明した。族は終始加藤をバカにしているようだった。
まぁ確かに、誰しも事前情報が無ければ安易には信じられないだろうな。

北条「……まぁ、あんたの話はいいにしてもだ。さっきの声はなんなんだ?」

加藤「う……俺にもよくわからない どうやってんのか」

玄野「お前なんか知ってんじゃねーか?」

西「さぁーね……」

A「なにいってんだ!」

その時、あの唄が流れ始めた。

ガンツには恒例の意味不明な文言が表示される。

思うのだがなぜこんなにガンツは不親切なのだろう。目的がカタストロフィのカウンター育成ならばもっと情報を教えればいいのに…… 才能を持ったものがその才能を使えずに死んでいくことには、白波はいい気持ちを持てない。


B「なんだこりゃ ふざけてんなー」

C「意味わかんねー ははは」

A「画面変わるぞ」

玄野「!」

加藤「!」

A「ハァ? 田中?」

西「!!!」

岸本「ねえ……これって……」

加藤「あの人の……言ってた通りだ……」

玄野「じゃあ……お前……まさか」

玄野が西の顔を見る。冷や汗をかいた、どころではない。汗が吹き出している。

西「ぐ…っ!」

A「マジでゲームみてーだな」

D「やっぱテレビかなんかか?」

球が開いた。さすがに唐突だったので、白波も驚いて声を上げてしまったが、彼はここからが正念場だ。

ステルス機能を解く。

白波「さ、行こうか」

と言って、Yガンとショットガンを取る。

A「な、あんたどっから……」

白波「それは内緒。さあ、 死にたくない奴はスーツ着な」

B「スーツ?」

加藤「このケースに入れてあんだ」

C「うわ、なんだよこれ」

白波「……」




白波は連結作業に入った。

俺は今まで死ぬような場面に何度も巡り合ってきた。実際、人間が死ぬとこも何回だって見ている。
だが俺はその中で生き残ってきた。
どんなに汚い手だって使ってきた。
ただ俺が生きるために。

だが、こいつは……目の前で銃をいじるこいつの発言が、重くのしかかる。

まず今回の星人を予告したこと。
これがいかにありえないことか、俺ならわかる。この球をハッキングするなんて、とてもじゃないが人間にできることではない。
……信じる以外できない。

だが分からないのは、なぜこいつにそんなことが……予言が可能なのかだ。見たところこいつ自身に……不思議な何かを感じることはない。何かあるのか……もしくは、“運営”との繋がりがあるのか、だ。

もう一つわからないのは、こいつの立ち位置だ。
いまいち何がしたいのかが分からない。あの予告だってそうだ。もし仮にこいつが“運営”と繋がっていて、俺たちチームを生き残らせたいなら、この田中星人の情報を全て伝えるはずだ。だがそれをしない。

前回の振る舞いからして、点数を欲しがっているわけでもなさそうだ。かといって、戦いが好きだという印象もない。こいつは前回バイクで走っていただけだ。



いや、違う……俺は今回、こいつを信じれば……死ぬ!
いや待て、だとすればなぜそれがわかる? 単に“運営”と繋がっただけではミッションでの生き死になど分かるはずがない。
それは未来の事象だからだ。

……考えがまとまらない。

今回のメンバーはあの加藤とかいうでかい奴がペラペラ喋ったせいで、かなりの人数がスーツを着た。

ちらりと横を見る。
玄野が目に入った。前回で面白いと思った奴だ。その直後にアイツに塗り替えられてしまったが。

……ん?

玄野「!」

目が合った。……おいおい。

西「何だよ」

玄野「お前……西って言ったか」

西「……それが?」

玄野「どうすんだよ。死ぬんだろ? 白波って奴が言うには」


西「し……知らねーよ。こっちが聞きてーくらいだ」

玄野「ふーん……」





B「すっげーこれ……んだよ、なんもなんねーじゃねーか」

Bがショットガンを持って適当なところに向けて上トリガーを引いて見せる。

加藤「スーツ着なきゃ死ぬぞ」

A「うっせーな 失せろ!」

C「そんなダッセーの誰が着るかよ!」

ガチャッ

白波「よし! よし!!」

加藤「どうしたんですか?」

白波「あ……いや、何でもない」

西「……?」



B「ん、おお? おっ、これは…」

西に向けたショットガンを覗き込んだBが、X線写真のような画像がそこに写り込んでいることを発見した。

B「あ、下も引くのか?」

そして、音が響き渡り、部屋は静まり返った。


B「あ……でたー……のか? これ」

西「………!!!」

瞬間、西は袖口からXガンを取り出し、Bに向けて放つ。

その行為の意味を知るのはこの瞬間においては白波と西、そして部分的には加藤のみだった。

だが。

B「ハァ?」

C「ナニやってんだこいつ」

A「ガキ! 何カッコつけてんだコラ!」

白波「バカなことを……」

B「くおらっガキッ! 何向けてやがっふっ」

北条「……は?」

Bの頭部が爆ぜ、あたりに血が飛び散る。

その行為は破裂を呼ぶもの。消滅ではない。白波には誌面の上でのみだが見たことのある光景だった。
なるほど、間近で見ればこんなに凄惨なのか。

自分がそれほどショックを受けていないことに、白波はショックを受けた。

興奮冷めやらぬ中、あるものは絶叫し、あるものは嘔吐した。またあるものは気を一瞬だが失った。

西の表情はおよそ人を一人殺したと思える表情ではない。
いや、どんな表情がそれに当てはまるのかは分からないが、西は苦悶と焦燥と絶望を綯い交ぜにしたような複雑な表情を、していた。

西「……いいか? 俺に銃向けた奴はソッコー殺す」

西「ソッコーだ。わかるか? 小せえ脳みそによ〜く刻みこんどけ」

加藤「……なぜお前は撃たれても……何ともないんだ……?」

白波「……さっき俺がが言っただろ? 死にたくない奴はスーツ着ろって」

西「……ちっ」

白波「……ガンツ、俺から転送してくれ」

西「……どういうつもりだ」

白波「……今俺はお前を失うわけにはいかないんだよ」

転送が、始まった。

加藤「スーツにどんな能力があるのかは俺もよくわからない。だがさっきの男の口振りは……つまりそういうことだろう」

北条「このスーツが、こいつを守ったって事か?」

A「……そうかよ」

Aがスーツケースを取ろうと動こうとした。だがその時、西が銃を向けた。

西「動くな」

A「……くっ!」

西「死にたく無ければ、動くな」

D「お、おお……中嶋……」

西が転送を始める。

加藤「なんだよ……ぐぅっ!」

玄野「落ち着け加藤! もう星人の事を考えよう」

岸本「そうだよ、また死んじゃうよ!?」

A「くそっ、あのガキどこ行きやがった!」

C「手品かなんかかよ、あれ」

北条「……さっぱりだ」

ここまでの原作との差異

『田中星人編』

玄野がスーツを着用
族のリーダー(テっちゃん・A)がスーツを不着用
白波の存在

西の精神状態
玄野の成長速度に対する外的環境


状況
加藤、玄野、西、岸本のほぼ全員が100%では無いにしろ白波の予言能力を信用。
舞台は原作で西が死んだあの川へと移る。

西が転送される直前……族3人にあの銃を向けてトリガーを引いていたのを俺は見た。その行為に何の意味があるのかはわからない。いろいろ知ってそうな口ぶりからして、全く無意味な行動だとは思えない。
転送される時に3人のスーツを持ち去った事からも、何か怯えのようなものをあいつの行動に感じた気がする。

アイツが死ぬって……白波って奴、どんなつもりで……
確かに田中星人だって言ってた……けど……

岸本「加藤くん、田中星人、なんでしょ?」

加藤「ああ、あの男にいろいろ聞かなきゃなんないな」

玄野「……あの中坊が死ぬとも言ってたしな」

北条「……」

加藤「あっ、計ちゃん……」

玄野「俺の番が……」

ってあぶねえ! トラックがすぐそばに……そっか、俺たち見えてねーんだ…

玄野「はあ……ビビった……」

ウイイイイ

ウイイイイ

玄野「あ……いつは……なんで……」

田中だ。俺を見てねー。足元にはよくわからないカラスの子供みたいなのがいっぱいいる。

俺は西が族の1人を殺すのに使った銃を持って、そこに転送された。

くそっ……何なんだこいつ、気持ちわりー! こないだのネギ星人とは全然違ってロボットみてーだけど気持ちわりーのには同じだ……

でもネギの方が怖かったかな……

ウイイイイ

あれ?

ウイイイイ

通り過……ぎた……? いや、みえてないのか……?

な、なら後ろからやるか……?

俺に撃てるか? やれるのか?

くそ、考えたって同じだ! こんな奴どーせロボットみてーだし心も痛まねーだろ……

田中星人は俺を通り過ぎたままレジ袋のようなものを提げて歩いていく。俺はそれについていく形で、そいつに銃を向けた。

トリガーを引く。

……なんだコレ? レントゲン?
骨? 骨があるのか?

生き物か? こいつ!?

生き物か……どうする……

俺……でっけー生きもんなんかころしたことねーし……
こないだだって結局は西があのネギ星人をやってたし……

あいつは頭イカれてやがんだ。普通はあんな風に人殺して平然と出来ねーっての。

ん?……なんか踏んだ……か?



ガーッガーッ!

うわっなんだこのちっちゃい鳥! チョコボールかよ! 気持ちわりっ!

田中星人が振り向いた。不気味な表情が恐怖感を煽る。

田中「……裕三君?」

玄野「…………は?」

加藤「みんな集まってくれ!」

かなりの人数のの移動が終わった。やっぱり族は俺の話を聞いちゃくれない。高校でもそうだが、この状況でそれは困る。

加藤「集まれって!」

C「ふざけんな帰るっつーの」

D「ナニ言ってんだあいつは」

くそ……先に行ったあの2人何処にいるんだ……どうして知ってるのに話そうとしないんだ

あれは……計ちゃん…と……!

加藤「け、計ちゃん…!」

玄野「か、と……!」

北条「あれが田中星人か?」

なにやら怒ったような表情をしている 嫌な予感がする

D「あ、テっちゃん」

A「ここどこだよ」

C「さぁ、知らね」

北条「……そいつをどうすんだよ」

加藤「と、にかく近寄るな! ちょっと待て!」

田中「よいこのみんないーかなー?」

玄野「あ…機嫌直った……?」

だれも田中の質問?……には答えない。


玄野「ど…する? 加藤……」

C「こいつが宇宙人ってか? スズキとかヤマハが作ったロボットだろこれ」

北条「……帰っていいか?」

加藤「ま、待ってくれ 帰るのは……待ってくれ」



加藤「計ちゃん…こいつ…危な…そうか?」

玄野「わかんねえけど…白波が言ってたのを信じればあの中坊が死ぬような敵だぜ?」

玄野「それに…ネギ星人の時とか思い出したらさ」

加藤「ネギ星人?」

玄野「ガンツがネギ星人って紹介したのはあの小さい弱そうなやつだったろ もしかしたら強いのがもう一匹いるのかもしれねー」

加藤「なるほど…確かにこいつ強そうには見えねーな」

玄野「どーすんだこいつ…」

俺が死ぬって? ふざけやがって!

俺がそう簡単に死ぬかよ! 今までだってなんとかやり過ごして……
今回もステルス貼ってりゃ気づかれずに楽勝だろ!

見たところ攻撃性はそれほどなさそうだが……

死ぬって分かってて警戒しない人間がいるかよ!

ガーッガーッ

ブチュッ

……ヤベェ! ヤベェ! なんか殺した!?

ヤツが振り向いてる す貼ってれば俺に気づけねえだろうが……

田中「カアアーーー!」

なっんだっ! 音波か!?

まずいっ!?

西「ぐっう!?」バチッ

一瞬ステルスが解けた。

田中の音波による波状砲撃が西を襲う。

カアアーーーッ!

田中星人の攻撃は波。相手が何処にいるかはさほどの問題ではない。

対し西のxガンによる攻撃は全く当たらない。空を自在に飛べるに等しい田中星人には相性が悪すぎたのだ。

カアアーーーッ!

西「ぐうっ!」バシャアッ

ステルスが完全に死んだ。
西のデバイスはもう反応しない。

西「くそっ くそっ!」

西「……殺すっ!」ギョーンギョーン

だが当たらない。次第に焦り始める西。まさか、ここなのか。

西「ここで死ぬかよぉっ!!」

来た。

カアアアーーーーッー!

西が吹き飛ばされる。

西「くっそっ!」バシャアアアアン

田中「」ウイイインウイイイン

西「はあ……はあ……」ガタガタ

西「!? 銃が……」

西「くそっどこだ!」バシャッバシャッ

西「くっそ!」バシャッバシャッ


それに気を取られ田中の接近を許してしまった。

田中「コァーーーーッ! カアーーーッ!」

音が耳をつんざく。西は一瞬怯みを見せた。


西「ぐっ!…………おおおおっ!」メキメキメキ

西が田中星人の左頬を抉る勢いで殴りつけた。

そのまま田中星人は河原のコンクリート壁にぶつかり、跳ね返って川に再び落ちた。。

ヒュウウウウン

西「ハァッ!? ハァッ……ハァ……ああっ!?」

スーツからドロリとした液体が流れ出る。

それが西には死を表しているように思われた。

西「だ……誰か……助けろ! スーツが……」






西「スーツがオシャカになったっ!!!」






C「助けろだってよー」

A「そのまま一人で死んでろっ!」

西「おいっ! 誰かっ! 白波っ! 玄野っ!」

どこか悲痛な叫びだ。
玄野は直感した。西はここで死ぬのだと。だが、それを自覚できないでいた。

玄野「なんだアイツ……どーしたんだ」

キュイイイイン

西「てめーら見てねーで助けろっ!」

A「ざっけんな! 中島殺しておいて!」

西「くぅっ、だれかぁっ!」




「伏せろ! 西!」

西「はぁっ!? くうっ!」ザッポン

田中「」ウィン ウィイ



白波「はああああっ!」ブンッ


ドンッガラガラ……


白波のガンツソードが田中をコンクリート壁ごと切り裂いた。
その攻撃範囲は5メートル以上に及んだ。


>>71-72の間に挿入して下さい


田中「カアアーーーッ!」

くそっ 本当にヤバい! スーツが……

西「くっ!」バチッバチッ

右側の川に飛び込む。

一先ず退散だ! とにかく身を隠して……

田中も飛んで西を追う。

C「な、なんだ今の…」

北条「なんかが川に落ちなかったか?」

玄野「一瞬だけ見えたぞ…あの中坊だよなアレ」





白波「はあっ はあっ……大丈夫か、西」

西「はあっ……はあ……はあ……」

西「ちっ……なんで……お前、何なんだ……」


白波「ふふっ」

白波「俺にはお前が必要なんだよ」ニヤッ

西「」ゾクッ

西「はあっ……はあ……くそっ わけ……わかんねー……」


戦闘描写の練習、しときます

白波「ぃよっと……」

白波が西の肩を担ぐ。西の顔はすでに真っ青でもう戦えないような状態だが、何処か救いを得たようであった。

西「や、めろ 自分で歩ける」


白波「何を言ってんだ お前には今回で10点取ってもらう必要があるんだよ」

西「……それとこれに何のカンケーがあんだ」

白波「……ないかもな」

階段を上がると、まずAが話しかけてきた。

A「お前……何をした? さっきの……どーゆーことなんだ」

白波「……ええ?」

加藤「あの…俺も聞きたいです」

白波は溜息を吐き、首を振る。

白波「さあね……知りたければまず、今回のミッションを乗り切ることだな」

玄野「な……どうゆう……」



西「おい、離せよいい加減」

西が抗議の声を上げる。息は整って来たが、恐らくまだ戦える状態にはない。


何を考えたか、白波は西を担ぎ上げた。いわゆるお姫様抱っこ、という奴だ。

西「な!? やめろ、降ろせ!」

白波「じゃ、あとは頑張って〜」

玄野「ま、待てって!」

白波「……分かった。なら、一つだけ教えてやる。田中星人は一体だけじゃないぜ。……死なないように気をつけな」

白波は姿を再び消し、その場を離れた。

玄野「……えと、加藤」

加藤「何、計ちゃん」

玄野「どうする?……あいつの言ったことは……多分だけど、正しいと思う」

北条「さっきのがまだいるってことなのか?」

加藤「そういうことになるんだろうけど……」

A「ふっざけんな! これ以上わけわかんねーことに付き合ってられるかよ!」

C「あのやろーもいつの間にか消えちまったしよ」

D「俺は帰るぜ」スタスタ

加藤「な、待てって! 危険だってわかんないのか!?」

A「どっちにしろここから離れたほうがいいに決まってんだろ! 調子乗んなよマジで」スタスタ

C「バーカ」スタスタ



玄野「もう……いいよあんな奴らのことは」

加藤「何を言って……」

岸本「けど私たちだって生き残る保障なんか無いのに、他の人に構ってたらもっと危ないよ!」

加藤「だけど……」

北条「なあ、俺も帰っていいか?」

加藤「な……っ いや、分かった……帰りたいなら、好きにしてくれ……」

北条「そうか。じゃあそうさせてもらうぜ」

こっそりとついていくサダコ。

祖母「ほら亮太、帰れるってよ?」

孫「ほんと!? やったー!」

子供と老婆も去っていった。

加藤「くっ……」

玄野「いや……よく考えたら俺たちも帰ったほうが良いんじゃねーか?」

岸本「……そうかも」

岸本「どうする、加藤くん?」

加藤「いや……なんか……いやな予感がするんだ……」

生唾を飲み込む。

加藤「あの人は……これをミッションだって言ってた……ってことは、前みたいなことをするひつようがあるかもしれないんじゃないか?」

玄野「……それがどーだって言うんだよ」

加藤「つまり……俺たちは、やらなきゃならない……んじゃ、ないか?」

岸本「そういえば」

玄野「?」

岸本「前の時……一人で帰っちゃって、その……死んでたおじさんが……いたでしょ?」

玄野「あ……あの……確かに、覚えてる」

岸本「あの時…変な音が聞こえてたじゃない?」

玄野「それが?」

岸本「あのおじさんは何にもしてなかったから……どうして死んだんだろって考えてたの」

玄野「うん」

加藤「変な音って?」

岸本「ケータイの音みたいな。でも、その場所を離れると聞こえなくなったの」

玄野「た……確かに」

岸本「もしかしたら……ミッション、っていうのを信じたら……エリアが設定されてるの、かも」

加藤「エ……リア?」

岸本「うん。だとしたら辻褄が合うの。何もしてないおじいさんが死んでたことにも……戻ったら音がしなくなったことにも、説明がつけられる」



玄野「……だけど、そうだとしたら」

加藤「あの人たちが危ない!」

白波は他のメンバーと別れ、目的の場所へと向かっていた。
流石に、西の身体は下ろしている。

西「おい、どこに行ってんだ?」

白波「点数は欲しいだろ? 俺もそうなんだ」

西「……まともに答える気はねーのかよ」

白波「あんまり逐一答えてると時間がかかりすぎるしな」

西「けっ」




街並みは驚くほど静かだ。東京も中心地を離れ、住宅街に行けばこのような閑静な場所があると白波が知ったのは、つい最近の……この世界に来てからのことだった。

しかも今は、どんなに暴れようとも、音も姿も聞かれ見られる事がない。
白波は何か大きな力が自分に働きかけているようにしか思えなかった。

だが、考えても無駄だという事が、すぐに分かった。そんなものを説明できるだけの科学的知識がないからだ。




白波「そろそろだな」

西「あっ? ……なんだよこれ」

そこには、Yガンで捕らえられたと思われる田中星人が二体動けない状態で佇んでいた。
見ると、下アゴの部分が激しく損傷し、潰れてしまっている。これでは先ほどのように音波による攻撃はできないだろう。

西「なんだよこりゃ」

白波「お前には100点をとって欲しいんだって……言ったろ?」

西「……どういうつもりなんだマジで」

白波「転送の前にも言ったが……カタストロフィは、目前に迫っている」

西「!! ……やっぱり知ってんのか なら一つ聞かせろ。どこで仕入れたんだ、その情報?」

白波「……信じるかい?」

西「もう何言われても驚かねえぜ」



白波「俺は……この世界の人間じゃない」

西「またそれか……意味はさっぱりわからねーが」

白波「詳しいことは終わったら話すよ。あんまり喋ってると本当に制限時間が無くなる」

西「……それもそうか」

白波が西にYガンを渡した。

白波「こいつらのロックオンがしてある。あとは引き金を引けば終わりだ」

西「全部終わったら……喋るんだな?」

白波「もちろん」

そして、西は引き金を引いた。

“上”に送られていく二体。そして、白波は西に告げた。

白波「おめでとう」



白波「100点だ」

A「おい、どーいうことだ! 信介死んだぞおい!」

Dが死んだ。その事実に驚いた彼らは、急いで元いた橋の方へと戻ってきたのだった。

玄野「エ……エリアがあるんだ」

C「エリアぁ?」

加藤「その信介って奴が死ぬ前に何か音が聞こえなかったか?」

北条「……ダサい着信音のことか?」

A「……ああ、確かに聞いたぜ」

岸本「なら……間違いない。きっとその人はエリアの外に出たのよ」

北条「そのエリアってのは何のことだ?」

岸本「ええっと……それは」



説明に詰まってしまった。そもそも3人は、すべてのことを教えられたわけではないのだ。限られたことしか知らないから、中途半端にしか人を救うことができない。



加藤「あ、そうだ……あの中坊が使ってたレーダーは?」

北条「コレのことか?」

レーダーを操作する加藤。工業高校に通っているとはいえ、このようなわけのわからないマシンはさっぱり理解もできない……と思いきや、存外楽に操作ができた。

謎のカウントダウンの次に出たのが、白い枠に囲まれた範囲の中に一つの丸がある地図だった。



加藤「きっとこの……地図にある四角いのがエリアなんだと思う」

北条「きっととか……思うとか……ハッキリしねえな」

玄野「俺たちも詳しいことは知らねーんだけど……だからお前らが帰るのを引き止められなかったわけだし」

岸本「でもきっと、さっきの2人ならし色んなことを知ってると思うの ……だからみんなで、コレを乗り切らないと!」

A「ちょっと待てよ。大体分かったけどよ、結局何すりゃいーんだ?」

北条「……それもそうだ」


加藤「前回みたいに……星人を全部捕まえたら、きっと帰れるんだと思う」

玄野「確かに……終了条件は聞いてなかったな」

北条「捕まえるって、どうすんだ」

A「……俺らはその変なタイツも着てねーぞ」



新規メンバーの6人はそれぞれ異なった表情で複雑、あるいは単純な心情を表していた。

ある者は不安を。ある者は絶望を。
ある者は焦燥を。

誰もが皆、死にたくはないのだ。



加藤「それは……分からない。とにかく、今はもう一体探さないと」

北条「……なるほどな」

一行はまず、地図上に表示された丸の地点に歩みを進めた。

新規メンバーはもちろん、経験者の3人でさえも、このミッションにある

BOSS

の存在をしらない。


それを知るのは、白波だけだった。

田中編めんどい……
正直イージーミッション過ぎて緊迫感を出せない……

続きはまた後日

長引いて本当にすみません!

私としては早く仏像編と吸血鬼編とオニ編が描きたくて描きたくて仕方なくて、詰まる所、田中編なんて書きたくないのです!

でも、白波の研究成果の初お披露目だし、ということもあって渋々やっております。

なお、>>1で申しましたようにオリジナル要素はない、としましたが、嘘になってしまいそうです。

と言うのも、二回目、3回目、そして4回目のクリア時の報酬が原作や設定で明らかになっておりませんので、このSSの展開上、オリジナル武器を出さざるを得なくなりまして、目下考案中。

明日にでも。

白波と西は2人、マップ上の一点を目指して共に歩みを進めていた。
白波は、スーツの死んでしまった西に合わせて、ステルスを使わずに行動していた。

一方の西は、白波が持つ武器に目が奪われていた。

西「白波……それはなんだ? なぜ引き金が“二箇所に”あるんだ?」

白波「これは、XガンとXショットガンを接続させたものだ。……ダブルXガンとでも呼ぼうかな。理論上はZガンに匹敵する威力を持つはずだ」

西「……XガンとXショットガンとかはともかく、Zガンってなんの事だ?」

白波は西のこの発言に少し驚いた。知っているものと思っていたからだ。

白波「今まで東京チームに複数クリア者がいた事はなかったのか?」

西「……100点を取ったやつなら見た事はあるが、全員“2番”を選ばなかったな」

白波「そうだったか……Zガンというのは、クリア一回目の報酬だ。まぁ、すぐに見ることになるだろうさ。今回で100点を取ったんだし」

西「……ほかの……その後の報酬については知らないのか?」

白波「さあ……2、3、4回目のモンはは原作でも曖昧だったしな……」

西「原作……だって?」

白波「……まて! ……敵がいるぞ」

西「! ……誰かとやってんな。あれは……誰だ?」

白波「多分北条と加藤あたりだろう」

西「……流石に分かんなくなってきたぜ」



西はあまりにも情報を知りすぎている白波が分からなかった。カタストロフィも、クリア報酬も。新規メンバーの名前でさえも。
ごく当たり前のように紡ぎ出される言葉。

そして“原作”という言葉の意味。



だが前方の3匹の田中星人が、そんな西の複雑な思考をさらに増幅させた。

先ほど、彼は田中の1匹に殺されかかっているのだ。軽度のトラウマ状態になっているのである。



白波「……ちょっとヤバそうだな」

西「なんであいつら素手でやってんだ? 撃ちゃいーのに」

加藤と北条の2人はまごついたように動けない。近くにいる女は……岸本だろう。岸本はXガンを持っているが、使おうとする様子はない。

白波「あれじゃあ誰か死ぬのも時間の問題だな……」

あれでは、音波による攻撃にほとんど無防備だ。何より時間がかかる。


白波「……丁度いいか」

仮称・ダブルXガンを構え、モニターを覗き込む。

西「何するつもりだ……それ」

白波「撃つんだよ……もちろん!」


叫んだ。





白波「全 員 ! 全 力 で ! その場をジャンプしろ! 」


玄野、加藤は、レーダーに映された丸の数が3つあったため、手分けしてことにあたることに決めた。

一班
玄野・族2人

二班
加藤・岸本・北条・サダコ・祖母・孫

スーツ持ちの男、かつ経験者のいる二班が、遠い方へ。一班が近い方に向かうことになった。

族は文句を言いつつも、目の前で人が死ぬ光景を二度も見せられたからか(しかも頭部がハジけて)、とうとう大人しくなっていた。

とはいえ、なぜこんなに人数に偏りが出たのか。それは岸本がゴネたからであり、北条が玄野をいまいち頼りなく思ったからである。



こうして、それぞれの思いこそ違えど、メンバー構成は全く原作と同一になった。


だが、彼らは知らなかった。レーダーに映されるマップは、非常に不親切だということを。

玄野「はぁ……」

なんで俺だけこんな族に囲まれながらやんなきゃなんねーんだ。

俺だってこの状況をよく分かってねーのに。

大体、人数偏りすぎだろ。あぶねーって言ってたのは誰なんだっつの。

A「おい、まだなのかよ」

C「テキトーに歩いてんじゃねーだろーなぁ?」

玄野「ん、な訳ねーだろ」

族2人は完全に俺を舐めている。そりゃあ、加藤より背は低いし、あの中坊よりかは普通の目つきしてるし、白波よりかは変人オーラ出てねーけどよ。

A「あー、おれもあの巨乳のねーちゃんと行きたかったぜ」

C「だな。なんで俺らがこんなガキと……どう見たってショボいだろこんな奴」

それにしたって露骨すぎる。2人に銃を持たせなかったのが不幸中の幸いってところか。

っつーか、うるせぇ! 黙ってらんねーのかよ!



玄野「……多分、ここ……だ」

A「……本当かぁ?」


レーダーが示す位置は、古そうなアパートだった。

加藤「いたかー!?」

北条「いや、いない!」

第二班は、遠い方の点に向かい、田中星人を探していた。

道路に面した街灯はとても明るいとは言えない。所々点滅しているものさえある。
まだ人々が眠るほどの深夜ではないこともあって、家々の明かりはどこも点いている。


加藤「近い……はずなんだが」

すぐそばを銀色の車が通り過ぎる。何事もないように。

北条「確かにレーダーはここだな」

岸本「……何か、聞こえない?」

北条「……なんだ?」

何かが……花火が打ち上がる時のような音が微かに。

孫「あっ! ああっ!!」

その時、それを最初に見たのは子供だった。

北条「い、いた……!」

一見ロボットのようなものが、こちらに歩み来ている。表情は、どう見ても怒っているのが分かる。

岸本「う、後ろにもいる!」

加藤「くそっ、挟まれた!」

道路は一本。ここから曲がる道はすでに田中星人に塞がれている。

北条「どっ、どうすんだ!」

加藤「ふっ、二手に分かれるしかない!」

北条「そ、そうじゃなくて、どうやって捕まえんだよ!」

2人は明らかに焦っていた。北条はそもそもスーツを着ているだけで、武器を持ってすらいない。

その間も、ジリジリと間を詰められていく。

加藤「子供とおばさんはさがって! …手で捕まえるぞっ」

北条「はっ、はぁ!? 手ェ!?」

北条「なっ、何言ってんだ?」

加藤「銃はできるだけ使わないで 手で、締め落とすんだ!」

焦りからか、声が大きくなる2人。冷や汗ともわからぬ汗が全身から吹き出す。

北条「そッんなのできるのか!?」

加藤「でも撃ったらアタマ吹き飛ぶんだぞ!?」

岸本「か、加藤くん!」

岸本が叫ぶ。

田中星人は、二体どころではなかったのだ。

計7体。全員ほぼ新規メンバーという状態で戦うには、あまりに絶望的な状況だった。

北条「いっ、いっぱいいるじゃねーかよ!」

加藤「うぉっ、おおっ!」

7体もの田中星人は、たとえ一つ一つは何ともなくても、集まれば恐ろしげに見える。

加藤「くそっ!」

7体のうちの一体に加藤が飛びかかった。勢いで地面に星人ごと倒れる。

加藤「見ててくれ! こうやって締め落とすんだ……!」

田中「ギエエエエ!」

口から放たれた音波により、辺りの街灯が割れた。

加藤「ぐ……っ!」

加藤は上半身を抱くようにして思い切り力を入れる。スーツが血管のように盛り上がる。

加藤「うおおっ!!」メリメリ

田中星人が暴れ回るが、スーツの力が上回り、それをさせない。

だが、

北条「お、おい……」

加藤の周りを、全ての田中星人が取り囲んだ。

六体の星人による、文字通りの波状攻撃。加えて、締め上げている一体も加藤の目の前で攻撃を始める。

加藤「うううっ!」

岸本「いやぁっ! 加藤くん!」

苦悶の表情を浮かべる加藤。鼻からの流血が起こる。

岸本「ハア、ハア……!」

田中星人の後頭部に、Xガンを向ける。だが、手が震えてトリガーを引くことができない。

北条「……」ガタガタ

初めて見る臨死の状況に、対応することもできずに震える北条。

岸本「!?」

不意に、田中星人が振り向いた。不可視の衝撃が岸本を襲い、体を後逸させる。

それを見て、老婆と子供がその場を離れた。

北条「あ……!」

田中「ガアアアア!」ガッガッ

頭を激しく打ち付けて加藤の拘束から逃れようと抵抗するが、する程に加藤の拘束は強まっていく。

ミシミシッという不吉な音を出しながら腕の力を強める。



そして。



田中の頭から蒸気のようなものが上がり、ヘルメット状の頭部から、鳥のような不気味な生物が姿を現した。

田中鳥「ガォオオオオアア!」ドゥルッ

北条「んだ……これ……」

加藤「!? くそっ……!」ガッゴッ

田中鳥が外装を抜け出してその場から走り去ろうとする。

加藤を取り囲んでいた六体を振りほどき、抜け出した鳥を思い切り殴りつけた。

加藤「っ……らっ!」ガッ

かなり遠くまで飛んだ後、鳥男は完全に沈黙した。

加藤「ハア……ハア……」キュウウウウウン

加藤「!?」

スーツのレンズ部分からドロリとした液体が漏れ出していく。そのことがどんな意味を持つのかは分からなかったが、全身の疲労感がどっと押し寄せたことと、先ほどの不吉な音が、悪い予感を加藤に与えた。


なおもうしろから迫る田中が六体。

コオオオオという準備音が静かな夜道に響く。

そこに。

岸本「っ!」ギョオオーーン

岸本「ハアっ、ハアッ」

うっすらと涙を浮かべ、恐怖を堪えつつ引いたトリガーの上で、光を伴いながらXガンがXの形に展開して、再び閉じる。

田中「」ウィッウイィィッ

岸本に振り向いた。

岸本「ハッハアッハァッ……!」

田中「」コオオオオ

一瞬、時が止まった。ように感じた。コオオオオという音が聞こえていた。だが次の瞬間には。

目の前の不気味な物体が、まず口から血のようなもの吐いて。

そして、派手に。





ハジけた。



岸本「ハァッ 加藤くんはッ死なせない!」

岸本「加藤くんはっ殺させないッ…ハァっ」

田中のターゲットが岸本に移されれた。

加藤「もっ、もういいっ! 逃げてくれ!」

岸本「ハァっハア………!?」

Xガンを向けた瞬間に銃口から素早く避けられる。ロックオンも、ステルスも知らない岸本には、どうすることもできなかった。

加藤「もうっもういいっ!」

岸本「加藤くんこそっ! 今逃げてっ!」




北条「こ、こうかぁ……!」ギリギリ

田中「ガアアアア!」プシュープシュー

腰の上あたりをつかんで、引きちぎらんばかりに力を込めると、先ほどの加藤よりも早くに鳥が姿を現した。

鳥が逃げ出していく。だが、誰も追わない。

抜け殻となった外装を地面におけば、ガチャリと機械音が聞こえた。

それでも。

北条「まだ……三体もいんのかよ!」

三体の表情が憤怒爆発としか思えないものへと変貌する。


岸本「ハア……ハア……ぐっ……! なんっでっ!」スッスッ

田中「」ススッ

岸本「ダメっ! 避けられる!」



銃口を向けることすら叶わないり肉弾戦に持ち込んで、ゴリ押しで勝つ以外には、刀を持たない彼らに方法がなかった。


加藤「またアレをやるしかない!」

北条「またやるったって、コイツらさっきより速く動けるようになってんぞ!」

加藤「やるしかない! うおおっ!」ブンッ

田中「」スッ

加藤(やっぱり、スーツがなんかおかしい!)

加藤「くそっ、速いッ」

北条「躱されてんじゃねーかッよッ!」ブンッ スカッ

北条「くそっ、当たんねえ!」

元々暴力を行使したことの少ない2人には、圧倒的に場数が足りていなかった。丸っきり素人の右ストレートなど、注意深く対応すれば躱すことは難くない。



ただ一人、この場で何もせず見ていただけの女は、状況に未知が現れた事にいち早く気が付けた。



サダコ「」オロオロ

サダコ「…………!」

電柱の陰に隠れ、一部始終を成すすべなく傍観していた。だが、不意の闖入者の存在に気付き、そしてそちらを振り向いた。その行動が岸本の目の端に留まったのだった。



岸本「!……向こうから誰かが来てる!」

加藤「え!?」

北条「何?」






「全 員 ! 全 力 で ! その場をジャンプしろ! 」

考える暇は与えられなかった。叫び声のした方向から爆音と猛烈な光が上がるのを感じた瞬間、四人は飛び上がった。

火事場の馬鹿力、とでも言おうか。飛距離はゆうに10メートルをこえた。

そして、四人がそれぞれに家屋の屋根に着地し、あるいは倒れ落ちた瞬間、全てが起こった。

白波は、叫んだ。

だがそれに間髪入れず、元Xショットガンの部分だったスコープ部を覗き込み、一体に的を絞った。

そして、引き金を引く。前後2つを同時に。


ここからは、予想外の連続だった。


音と光が、暴れ回った。反動も凄まじく、スーツがなければ肩が外れていたかもしれない。

この瞬間に、4つのモノが飛び上がったのを白波は目の端で見た。

同時に、手に持っていた仮称・ダブルXガンが接合部から折れてしまった。


爆音と閃光の直後は、不思議な事に静かだった。主観的に静かだっただけかもしれない。


だが、耳にどさり、と何かが落ちるような音が上から聞こえたと思った刹那に、目標物は、一瞬べしゃりと縮まって、そして炸裂した。





それも、半径2メートルほどの爆発を伴いながら。

以上

田中めんどくさいすっ飛ばしたい

すっごい良い話思いついたんだけど……もう田中編はすっ飛ばしても良いですよね? みんな結末知ってるよね?


仏像編は頑張るから……

北条「……すげ…ぇ…」


白波「下りてこられるかー?」



白波が意図せずして三体を丸ごと屠った後、第二班+α部隊は、玄野の第一班の方向に向かった。

途中、二体の新たな田中が現れた。

返り血が付いていた。

この二体は、現れた瞬間ステルスで姿を消し、影から刀で襲い掛かることで難なく撃退した。


どうやらその二体は加藤たち第二班から途中ではぐれたという祖母と孫を殺害してから白波たちの前に現れたようだった。つまり、返り血はそういうことだ。


ステルスやダブルXガン、もといロケットXガンの説明については後でしてやる、とだけ彼らに伝え、足早に玄野の方へ向かったのだった。

第二班がアパートに到着した頃、ことは既に決着を見ていた。

ゼエゼエと肩で息を吐く玄野と、崩れ落ちた古いアパート。玄野の足元には頭部のない鳥のような謎の生物だったものの屍体があった。








白波の目にも明らかで、そして最も予期せぬ事態だったのは。










既に玄野の瞳に、戦う者の無慈悲な色が浮かんでいる事だった。

次回予告

第3話『蘇(はじま)る悪夢 〜壊れる幻想〜』




田中編を経て、次第に白波に信頼を寄せる西。それに加えて100点を取った事で自分でも思ってもいないほどにハシャいでしまっていた。そんな折の千手編。気をつけろ気を付けろと念を押していた白波だったが……?


一方の白波は西と連絡先の交換をした事で、千手編までに出来る限り頻繁に情報のやり取りを行っていた。ところが、ある事に気が付いて……?



玄野と岸本は些細な事がきっかけで仲違いしてしまう。原作よりも早く目覚めてしまった玄野。

そして思った以上に(筆者にとって)扱いづらい岸本。



原作では濃く描かれなかった北条とサダコのインターバル期間。どう動いていくのか?




そして、千手編の行方は!?


果たして原作通りに進行するのか、それともーーーー


おそらく次回から筆がノると思うので分量が多くなるかもです

ジジジジ

玄野「……俺が最後か?」

白波「……そうみたいだな」

つまらない一時間が終わり、東京メンバーは部屋に再収集されていた。

玄野が戻ってくるまで、誰ひとり口を開く事すらしなかった。

加藤「あの……族たちは?」

玄野「あの鳥をやるときに……アパートをぶっ壊した……その時に…な」

ミッション前とは違う玄野の雰囲気に、岸本も加藤も、気後れしてしまった。

岸本「そ……そっか……」




北条「それで、これからどーなんだ?」

白波「すぐわかるよ」



ち〜ん

ちいてんをはじぬる

北条「ちい……採点、か?」

ガンツに表示される日本語。文法は口語体だ。だがとんでもない技術にも関わらず、誤字が酷すぎる。
……一刻も早く、この球の捜査権限を奪取しなければならない。

巨乳
5てん
totaL5てん
あと95点でおわり

岸本に似ている乳を露出させた女のイラストが表示される。

北条「5点……って、そもそもこれはなんの採点なんだ?」

加藤「さ、さぁ……詳しい事は何も」



かとうちゃ(笑)
5てん
total5点
あと95点でおわり

オールバックの男のイラストが表示される。

岸本「また5点……もしかして、一体で5点だったのかな、田中星人」

白波「そういうことだ」

西「……へぇ」



サダコ

ホモのあとつけすぎ

玄野「サダコ……って誰だ?」

長い黒髪の女は、今回のミッションでは極端に影が薄かった。北条と、おそらくは白波にしか認知されていないだろう。

岸本「あ、あそこの影に隠れてる……」

加藤「ホモって……誰のことだ?」

1人、心拍が上がる北条。

北条「さ、さぁ……死んだ奴の中にでもいたんじゃねーか?」

ホモ
5点
Total5点
あと95点でおわり


白波と西を除く男2人が北条の側から離れた。まぁ……男ならば正常な反応なのかもしれない。

白波「くだらないな……性的少数派くらい大目に見てやれよ?」

北条「なっ、てめっテキトーなこと言ってんじゃねえっ!」

語気を強める北条。残念ながら、この場で釈明することはほぼ不可能に近い。

玄野「ほ……本当にちげーんだろーな……」

北条「ふっ、ふざけんなっ!」

シラナミ
30てん
totaL30てん
あと70点

短髪の男が映し出される。白波だ。

白波「あれ、そんなに倒してたっけ」

北条「すげえ……」

白波「ありがと……でも、今日の主役は俺じゃないから」



くろの
38てん
total38てん
あと62点でおわり


岸本「わ、すご〜い! や、やっぱりあの鳥がBOSSって感じだったのかな?」

玄野「さあ……そうなんじゃねーかな」

加藤「やっぱ計ちゃんすげーな……」


白波「次でラストだな」

西「あ……ああ」

緊張、しているのか。中学生らしいとこもあるもんだ。まぁ、知ってたが。

西くん
100点

100点めにゅ〜からえらんでくだちい


北条「ひゃ、100……」


加藤「ど、どうなるんだ……?」

画面が切り替わる。



1 記憶を消されて解放される

2 より強力な武器を与えられる

3 メモリーの中から人間を再生させる

西「……おい、どうすりゃいい?」

白波「……ん? 迷うのか?」

西「いや……そうじゃなくてだな……」

おかしいな。なんだ?

白波「生き返らせたい奴でもあるのか?」

西が笑う。自重気味の笑顔が引きつっているようにも見えた。

西「いや……そうだな。……2番だ…今すぐくれ」

100点のカウントが0点に戻される。

北条「……………何にも起きねーな」

西「……何でだ? まさか、俺の今までのアレが無意味で……」

白波「あっちの部屋じゃないか?」

バイクのある部屋を指差す。

玄野「はいれ……るのか?」

西「……ああ……なるほど」

西がドアをガチャリと開け、数秒の後に戻ってきた。その手には、大きな四角いモノがあった。

加藤「なんだよ……それ……」

西「ふふっ……俺もクリア者の仲間入りか……!」

玄野「おいっ、なんだよそれ!」

白波が手を叩いてその場を鎮めた。

白波「ま、今日も遅いしさ……また今度にしようよ」

加藤「また今度って……あんた、そればっかりじゃ……!」

そこまで言わせると、白波は、加藤の目の前に一枚の紙を突きつけた。

白波「……これ、俺の電話番号と住所が書いてある」

全員にも配った。もちろん、サダコにも。

北条「……これがなんだってんだ?」

白波「次の日曜、集まれる奴だけでいい。死にたくなければ、集まってくれ。次回はおそらく……情報のない状態で挑めば、死ぬ」









白波「ただし、朝は来るんじゃねーぞ? ……スーパーヒーロータイムは誰にも邪魔して欲しくないからな」


そう言って白波は、持参したバッグに詰め込めるだけの武器を詰め込み、帰宅した。


その後、西の連絡先だけは、いち早く受け取った。

【帰路】

貴音「本日は充実した1日となりました。御誘い、ありがとうございました」

響「自分も楽しかったぞ!またオフが重なったら遊びにいきたいな!」

貴音「ふふ…そうですね。その時は是非」

響「次はカラオケにでも行きたいな!」

貴音「からおけ…ですか、あいどるの身でいながら、行った事がありませんでしたので…楽しみです。ふふ」

響「行った事ないのかー。たのしいぞ!その時は765プロの皆んなも誘ってみよう!」

貴音「そうですね…響。見て下さい、星が良く見えますよ」

響「おぉー!本当だ!綺麗だなー貴音」

貴音「えぇ、真に…。月も輝いております」

響「たまにはこうやって空を見て歩くのも良いもんだな!」

貴音「そうですね。 響と供にこの様な時間が過ごせて、わたくしは幸せものです」

響「照れるな…えへへ…自分も、貴音と一緒で嬉しいぞ!」

貴音「響…。先ほど、響は皆と供に遊びたいと言いましたが、時々、今宵のように二人で過ごしてくれませんか…?」

響「もちろんだぞ!」

貴音「感謝いたします」ニコ

響「貴音も、来年の夏もその次も、自分と一緒に居てくれるか?」

貴音「勿論ですよ、響」

響「えへ……嬉しいぞ!」


響「来年の夏も、楽しみさー!」



響「夏、貴音と」 end

バカか俺は。

誤爆ですすみませんみなさま1様

期待してます!

申し訳ないが数行しか書けていない
プロットはあるのだがタイプを打つ指が疲れて書けない

すいません

次回から作者の趣味丸出しにしてスーツや2、3回目の報酬に手心を加えるつもりですが、もし不快感を覚えられた場合、遠慮なく書き込んでください。好きにしてみせます。

ちなみに、作者の趣味とは作中でも白波が口にしたように、特撮です。

11/5 AM1:08


「ふぁ………あぁ」

大あくびを一つ。

一戸建ての一階。床張りのリビングのすぐ隣に、研究室は設けられていた。

土曜日の、深夜25時。

部屋から持ち出した武器、アイテムの解析はとうに完了してしまった。現在は、設計図の製作中である。



西「……もう意味ねーな。世界中の奴らにいろいろ聞いてるけど、お前みたいに改造してみた奴は一人もいなかった」

隣の椅子に座し、パソコンを使っていた西は顔を上げ、白波に告げた。

西「つまり……世界で初めて、お前が改造したってわけだ」

それも、成功という形で。






だが、白波は首を振った。

白波「いや……そうじゃない。それじゃダメなんだよ丈一郎」

西「名前で呼ぶな」

白波「結局成功したと言っても、それは威力の話であって、持続力の話じゃない」

西「まぁ……爆発の威力だけで言えば、Zガンを超えてるしな」






白波が開発したロケットXガンは、先のミッションでも使われたように、威力の面では、何の問題もなかった。それどころかむしろ、予想を上回る好成績であった。


ところが、ロケットXガンにはそれとは別の面で欠陥が存在していた。

それは、耐久力。連続使用が出来なかったのだ。



あの時、田中星人に向けて撃った際、予想外の爆音と閃光が轟き、殲滅に成功したものの、XガンとXショットガンの接合部分が折れ、修復が効かなくなってしまったのだ。

いかに強かろうと、やはり武器というものは一発勝負では心もとない。

連続使用に堪えるだけの耐久力がなければ、十分なパフォーマンスも期待できない。



白波「……既に六挺のうち三挺をダメにしてしまっているしな……」

白波「諦めも肝心かもしれないな……」

屈辱的だが、致し方無いのかもしれない。残念ながら西にはこの手の知識も才能もなかったから、一切の補助ができなかった。

わずかにできた事があるとすれば、白波の実験に立ち会ったことと、Zガンの解析のために白波にZガンを貸したことくらいである。



西「まぁ、BOSSに対抗できる手段が増えることに越したことはねーがよ……」

あれから一週間近くが経過していた。白波は、西にだけ、ということを強調して全てを打ち明けた。
すんなり、とは言わないまでも、西は白波を信じたようだった。





“この部屋”での生活も慣れてきた。

間取りや家具などのものはほとんどあちらの世界の白波のものと遜色無い。

異なる点といえば、二階の物置だった場所には大きな金庫が備えられていたことだ。

その大金庫の中には、「常に」5億の金が置かれる。

例えばそのうちの1000万を取り出したとして、再び金庫を閉め、そして開けた時、5億は元の状態で存在するのである。



あちらの世界では科学者の端くれとしてほそぼそと生活していた白波はこの謎の大金庫の存在は大きかった。

なぜ、どこから金が湧いてくるのか。という疑問はともかくとして、研究費用に大いに貢献している。

もともと白波には金欲はあまりなかったため、それほど興奮はしなかった。驚きはしたが。

西「明日……つっうか、今日だろ? あいつらが来るのは」

頭の上で腕を組み、椅子にもたれ掛かりながら西が問う。白波の目は机上の黒い武器から離されない。

白波「あ…もう日付変わってたのか」

西「はぁ……もう俺は寝るぞ」

呆れ顔で西は隣の部屋へと出て行った。

白波「……もう俺も寝るか」

研究室の床に寝そべり、そのまま眠りについた。目覚ましのアラームは、6時にセットされていた。

11/5 AM11:57

白波「図解はこんなもんでいいかな?」

パソコンの液晶に映される幾つもの画像。それは白波がCGで描いたものだ。これも謎の金庫の財力によるものである。

西「……まさに聞いていたような奴だな。で、それをどうすんだ?」

その言葉に、白波は傍の箱を親指で示すことで答える。

西「……なんの箱だ?」

白波「スクリーン。ホワイトボードに写して、見せながら作戦を伝えようと思ってね」

西「………なるほどな」




♪ライザーウィーン カケヌケーロー♪

♪コノークーローニークー♪

白波「もしもし」

西(なんだその着メロ)

白波「……ああ、うん……分かった。じゃあ……OK。また後で」ピッ




同日 PM2:47

ピーンポーン

北条「おっせえなぁ……」

玄野「……俺が、最後?」

岸本「……はぁ」

玄野「う……」

玄野が岸本と目を合わせようとしていない。仲違いの後、ということか。

白波「よし……これで全員かな」







白波「じゃ、続きから始めようか」

11/8 某時刻

都内・某所・書店

北条「……」パラ…パラ


北条「……」チラッ

サダコ「…!」ササッ

北条「……チッ」

北条(何なんだくそっ ずっとつきまといやがって)

北条「……ハァ」スタスタ


北条「これ、お願いします」

店員「762円になります」








北条「……おい」

サダコ「……え?」

北条「……何なんだお前。何がしてーんだ。付きまとってどーしたいんだ?」

サダコ「……さぁ……分から……ない……」

北条「はあ? ……何なんだ……マジで」

サダコ「…………次で、死ぬかも、しれないって思うと……なん、何だろ」

北条「………それが何だ。俺につきまとう理由にはなんねーだろ」

そう言って北条はバイクにまたがる。

北条「……お前が死のうが死ぬまいが……俺には関係ない」ブロロロロロ


サダコ「あ………」ブルブル

サダコ「怖い……怖い」

11/16 PM8:49

ジジジジ……

白波「あ……俺がラストって感じ?」

加藤「白波さん……」

西「お前の情報があってんなら、そうだろ」

坊主「おお……また一人連れてこられた」

黒髪「……で、ここはどこなんです?」

坊主「ここはいわば裁きの場所で……」




玄野「……全部あいつが言ってた通りになってんな」

北条「白波ってナニモンだ?」

岸本「あの人、俺はこの世界の人間じゃない……とか言ってたけど」

北条「………それはまたスゴいな」

坊主「お前たち、何か質問はあるか?」

玄野「は?」

岸本「? この人……テレビで見たことあるかも」



加藤「白波さん……どうするんです、この状況? ……一人でも死なせたくないんでしょう?」

白波「……ああ。そのつもりだ」

西(あの坊主がうっぜえな……)

白波「全員、よく聞いてくれ!」

東郷「……?」

全員が白波に注視する。そこでしばらくの間を置く。そうする事で、興味を煽る。演説のテクニックの一つである。

白波「……そこの坊さんの言う事に聞く耳を持つな。これからは俺の言う事だけを信じてくれ」

グラサン「……あんた、何?」

白波「俺は、お前らより……いや、俺の周りにいる、この6人含めて、この状況の事をよく知っている人間だ」

リーマン「じゃあさ、何よ、この状況」

白波「お前らは、一度死んだ。俺たちは……いまから、命をかけた狩りをしに行くのさ」

坊主が笑い始めた。他の何人かも、笑っているように見える。
ここまで、すべて白波の計画通りだ。

坊主「ククッ、仕方あるまい。こんな状況なのだ。気が触れるのも無理はない」

白波「……そう。ま、好きにしな」

加藤「ちょっ、何を!?」

白波「もういいや。どうせこいつら死んでるし、言ったって聞かないでしょ」

西(けっ、下手すぎる)

加藤「そ、そんな!?」




坊主「念仏を唱えるのだ!」

白波は正直、こいつらの事などどうでも良かった。
東郷と桜丘と、空手ガイジンだけでも生き残らせる事ができれば。
だからこの状況も、特にまずいと思う事はなかった。




玄野「な……なあ岸本。あれから…出てってから、どう、してた?」

岸本「あ、えと……げ、元気にしてたよ」

加藤「? 出てったって……え?」

岸本「あっあっあのっ、しばらく、玄野君の家に泊めてもらってたの」

加藤「……へぇ なんで計ちゃん家に?」

岸本「それが……いろいろあって……玄野君の生徒手帳しか……頼るものがなくて」





「ホントは、加藤君家に行きたかったんだけど」

玄野が玄関の方へ出て行った。……ま、普通ならきついわな……

おっと、桜丘が後を追ったみたいだ。……とにかく、もうそろそろか?





数人が念仏を唱える傍で、服の下にスーツを着込んだ人間が何人もいる……ハタから見れば変な光景だ。

加藤「そろそろ歌が流れ始める」

黒髪「南無阿弥……あ?」

加藤「ラジオ体操の歌だ。もうすぐだ」

グラサン「さっきのやつといい、お前といい……うっぜーな」

JJ「地獄に堕ちろ」

黒髪「いるよなーこーゆーやつ」

グラサン「ぶん殴るぞコラ!」

坊主「放っておけ……」


そして、あの歌が流れ始めた。

坊主が白波や加藤を睨みつける。……全く、予想通りすぎて、つまらんな。

白波「……さてと」

白波は立ち上がり、見渡す。

新規の一同がガンツの文字に夢中になっている間に、Xガンをバッグから取り出した。




あばれんぼう星人

おこりんぼう星人


北条「あれ、千手じゃあ……?」

白波「ガンツは嘘は吐くことはねえがホントの事を言う事もないって……言ったろ?」

北条「なるほどね……」

西「ま、ヨユーでしょ」

白波(大丈夫か……?)

「うあああああああっ!!??」


前回と同じ、か。東郷だけ、動揺してはいるようだがそれほど驚いてはいない。


加藤「何をやってんだよ……!?」

白波「よく聞け!」

再び、皆の注目を集める。

白波「いいか、先ほど言った通りだ。今からあるのは、命をかけた狩り! 殺し合いだ!!」

東郷「……!」

白波「この武器の力、もうわかってくれたと思う。だが俺も、犠牲を出したくはない! ……これ以上の死者を出す気はない」




東郷「……まず、何をすればいい?」

白波「……スーツを着てくれ。まずそれからだ」

ミス

今から投下する2つが、>>168の前に当たります

「あばれんぼう星人?」「なんだこれ」
「いみわかんねー」「何が言いたいんだ」



加藤「そろそろ開くんだ」

耳の端で、嬌声と肉の交わるような音が聞こえる気がする。

加藤「気をつけてくれ」






玉が開いた。

新規メンバーが各々で興味を持った展開されたガンツの中の武器を手に取る。

「スゲーッ」「よく出来てるな……」

加藤「このケースの中にスーツが入ってる。着てくれ」



坊主「惑わされるな!」

来た

坊主「ここは試しの場と言っただろう……」


坊主「アレは人でない………アレは煩悩の顕れ!」

加藤「え……」

坊主「奴についていくものこそ 地獄に堕ちるもの!」

加藤「ちょっ、待ってくれ! 俺は……」




白波「ははははは! ……バカバカしい」

坊主「なんだ、お前は」

白波「お前らにさっき言ったろうが……俺の言うことを聞け、こいつに耳を貸すなって……」

黒髪「わけ……わかんね…」

坊主「バカもの! そいつも奴と同じ……」

ギョーーン

白波「……誰も殺させたくないんだ」

加藤「おい、なにやってんだ!?」

坊主「貴様! 私に何を……」

グラサン「……何もねーじゃねーか」

白波「さん、に、いち」







ばんっ




「うあああああああっ!!??」


前回と同じ、か。東郷だけ、動揺してはいるようだがそれほど驚いてはいない。


加藤「何をやってんだよ……!?」

白波「よく聞け!」

再び、皆の注目を集める。

白波「いいか、先ほど言った通りだ。今からあるのは、命をかけた狩り! 殺し合いだ!!」

東郷「……!」

白波「この武器の力、もうわかってくれたと思う。だが俺も、犠牲を出したくはない! ……これ以上の死者を出す気はない」









東郷「……まず、何をすればいい?」

白波「……スーツを着てくれ。まずそれからだ」

同時刻・某所

「なんだ、ここ? うえっ、寒ッ」

「こんな山の中は初めてだな……」

「おい、華瀬はどこ行った?」

「あいつの単独行動はいつものことだろ」

「あんのボケが……」















「あ? 何だこいつら」



「……な、なんだ! 何だお前ら!」

「……なんでスーツ着てんだ?」

「こいつら、星人か!?」

「待て待て。……おい、お前ら、どこの県のチームだ?」
































「俺たちは、長野だぜ」






次回がいつになるのか全くわかりません

予告だけ貼りたい、なんて気持ちもありますが引っ張らせていただきます


女は強かった。彼女はそのチームの中で、最もクリア回数の多い者だった。

だが、その最も新しくクリアした時の報酬を使えなかった。スーツを着てもなお扱えぬ程に、その武器は上級者向けのモノだった。

一応、毎回のように持参するだけはしていた。だが、その武器が必要となる場面は、どんな時にも現れなかった。

実際は、彼女の実力があったということにも起因するけれども、使うべき場面でも彼女がそれに気がつかなかっただけだった。



ソレはひとえに、使う者を選んだ。才能有る者を。生きる力、ではなく、戦うチカラの有る者を。



彼女は時期に後悔することになるだろう。



雪の色には、能く紅い色が映える。

飛び交う弾丸。

そして、暴れ回る獣たち。


彼女は時期に後悔することになるだろう。



未だ出会ったことのなかった、高配点の存在に。

使える手段は多いほうが良い。

腕が千切れても。

寒さに体が震えても。



彼女は時期に後悔することになるだろう。








そこに救世主が現れればよかったのに


筆が乗らないのと忙しいのとで申し訳ない

視界が変わる。白い壁は消え、暗く光のない木造建築……白波の言う通りの羅鼎院という寺に転送されたようだ。

真っ先に転送された白波が新参、特にチャラついた二人を睨みつけつつ仁王立ちしているのに気がついた。

右手側には白波が先日説明した東郷という、いかつい顔の男(初めてにしては妙にスーツが似合っている)が俺の右腕にぶら下がる物をジロジロ見ている。

西「……なんだよ?」

東郷「……いや、何も」

明らかにZガン(白波がそう呼んでいた)に興味を持っているらしいが、何でもかんでも説明する義理はない。

白波「…全員聞いてくれ」

白波が口を開いた。俺が転送される時点で残りは1時間20分位だった事もあり、時間はそう長くないと踏んでの事だろう。

先日の説明会の時とは違う、わずかな焦りが表情ではなく語気に感じられる。

白波「今から始まるのは、コロシだ」

東郷「先ほどもお前はそう言っていたが……具体的にはどういう事だ?」

素朴な疑問は、意外な男の口から発せられた。来るとしたら、目の前の若者2人からだと思っていたのだが……

白波「さっき、見せたろう? この武器と、その意味を」

黒髪「わけわかんねーよ。目の前で普通に人間殺してる奴の言う事ホイホイ聞けるか」

グラサン「大体、このスーツってのもなんなんだよ」

新入りには悪いが、1から説明してるほど時間は無い。ため息を露骨について、まずは雰囲気を変える。

全員が息を呑んだ。

先ほどあの坊主を殺したのは想定以上に効いたのかもしれない。

白波「全部説明してやるほど俺は暇でも親切でもない。目で見て理解しろ」

そう言って、寺の大きな門の隣にデカデカと立っている像の前に立ち、Xショットガンを構えた。

加藤はただ、困惑していた。

と言うのも、西を除いた田中編生存メンバーは千手の話を聞いただけだったからだ。

千手の攻撃手段、弱点と思われる場所、潜伏地点など、よくよく考えればラスボスの情報だけであった。

だから、先ほどの坊主が殺された事も憤怒より何より理解不能という言葉が加藤の状況を最もよく表せるかも知れない。

それは加藤だけでなく、程度の差こそあれど、他の4人も全く同じであった。


言うまでもなく、今回からの新メンバーはもっと大きな衝撃を受けている事は加藤の想像に難くなかった。

トリガーの上下を同時に引く。音と青い光が発射の証明となって、暗い門の前に集う黒スーツの集団に余韻を残した。

白波(前から思ってたが、ギョーンってよりはキュイーンだよな)

発射音に対するある意味トボけた感想を心の内で思いながら、腕を下げる。



発射後のタイムラグは放出・収縮率によって微妙に変化するが、今使ったコレの場合ならば、

白波(4とコンマ3秒!)



ババァンッ

ミッションが始まった。

こんなに読者いたのか……


〜某時刻・某山間部〜

ざくっざくっという足音が二つ単位でリズム良く刻まれる。
あたり一面に積もった雪に反射した月明かりで、視界はいつもよりは良好だ。

誰かがこの道を通ったのであろう、その足跡を追って二人の男女が歩みを進めている。



「うー、寒い。何で今回だけ華瀬を探すんだよ? 今まではアイツの単独行動を黙認してきたんじゃないのかよ?」

短髪の男は腕をさするようにしながら口を尖らせる。疑問符は当然、隣の女に向けられたものだ。

「今回は嫌な予感がする。そもそも、前提条件からおかしい」

解けば腰ほどまでありそうな長い髪を少し右寄りに高く、いわゆるサイドテールの形で結っている女は、足跡を追いつつ答える。左手には何やら、大きく四角い黒色の薄い物体を持っている。

「まぁね。確かに、俺もこれで4回目だけどさ、メンバーバラバラってのが今までなかったんなら、異常事態ってやつでしょ」

右太腿の付け根あたりに提げた刀の柄が動くたびに僅かだけ音を立てるが、二人の会話により、それは二人の耳にまで届かない。

「いやそれもあるが、1番は人数の少なさだ」

「あん?」

男が聞き返す。単純に理解ができなかったからだ。



今回、あの“部屋”の時点では既存メンバー4人を含む9人で転送が開始されていた。
男が始めてきた一回目、二回目、そして前回の三回目でも、今回の四回目と似たように10人前後の人数だったと記憶している。

しかしそれが“少ない”と言われれば、今まで当然と思い込んでいた10人前後の人数構成はハナから珍しい事なのか、と考えてしまうだろう。



男の素っ頓狂な声色と本当にわからないと言いたげな顔に女はため息をつく。そして、自由な右手を軽く振り、レーダーデバイスを取り出した。MAPのボタンを押し、地図を出して男に見せる。

「転送された時にお前も見ただろう、深田? 星人の丸い点も大事だが、今回はこの四角のラインを良く見てみろ」

足を止めて、女の言うままにMAPを覗き込む。四角いライン、とは当然エリアを決める境界線の事だろう。

確かにMAP上にそれがある事はわかる。だがそれがどんな意味を持つのかが、分からない。


深田「……分かんねえな」

女はまた一つ、ため息をついた。

いいか、と前置きしてから、

「……私たちが転送されたところから、今のこの地点に移動するまで、大体200メートルは歩いただろう」

深田「それが?」

「しかし、MAPの地形の動き方を見ると、前回までのようにキロ四方かそこらのような大きな動きではなかったんだ」

深田「?……わかりづれえな。もう結論だけ頼むよ姫川」

姫川「…………つまり、私の概算でだが……今回のエリアは、5キロ四方だ」

面積にすれば、25倍である。

レーダーデバイスをしまい、前に進みだす。深田もそれを追って、歩き出す。



深田「それと人数の少なさがどう関係あんだよ?」

姫川「さきほど、人数が少ないといった理由はこれだ。要するに、エリアが広いわりに人数が足らなすぎるという訳だ」

なるほど、深田は頷き、しかしまたここで一つ疑問が浮かぶ。

深田「いつもは1キロ四方で、だいたい1時間ちょいだろ……? だったらまずくないか?」

姫川は頷いた。

姫川「そうだな。単純に計算しても、面積は25倍。それなのに与えられた時間は3時間だ」

広ければ当然、索敵時間も増えるし、移動による疲労もいつもより多くなる。
何より、タイムオーバーが心配される。

深田「タイムオーバーしたらどうなんだ? ……頭爆発したりとかすんのかな」

姫川「さぁ……私にも分からない。二年近く戦ってきたが、タイムオーバーしたことはなかったし……少なくとも、良いことはないだろうな」

姫川は三回100点を達成している。その3回とも2番、つまり“強い武器”を選び、自身の強化を図ってきていた。

しかし彼女が主に使うのは、二回目クリアの時の報酬と、刀である。理由は彼女の戦法に最もその二つが敵っていたから、と言うだけである。

もうひとつ、念のためと毎回持ってくるものもあるのだが……それは使った試しがない。



深田「はぁ……」

どうしようもない状況にため息をつく深田の右手には、本来ならば姫川のZガンがあった。使わないなら、と二回目のミッションから借りており、三回目のミッション終了時点で深田は合計62点を叩き出していた。



数秒間、二人は無言で歩き、足音のみが響いた。

そこに、別の音が入り込んできた。

ざくっざくっ

やはり、足音。だが、音の重みが違う。

音は横から、木々の方から聞こえてきた。

はじめ警戒した二人だが、すぐに深田がレーダーで確認したところ、星人ではない。

ならば、何?


月明かりで、顔まではっきりと見えた。その人物は、二人の知る男だった。

深田「まおさん……一人っすか?」

「そうだな……そう言われればそうかもしれん。だが、ついこの瞬間、3人になった」

男は比較的色黒……髪はほぼ丸刈りで、ちょっとしたラグビー部には負けなさそうな体格をしていた。

姫川「ふざけてる場合じゃないぞ山尾。時間はないんだ」

山尾「ふざけてるわけじゃないさ。俺だってお前らを探してたんだしな。ところで、おい、華瀬はどこ行った?」

深田は肩をすくめて答える。

深田「残念ながら……」

姫川「あいつの単独行動はいつものことだろ」

山尾は頭を抱えた。これまた露骨なため息を吐いて、ひとまず場を締めくくることにした。

山尾「あんのボケが……」

予告



見知らぬ山奥に転送された3人。星人のみならず、寒さが彼らの士気を奪う。

あまりにも広過ぎるエリアは、彼らに諦念を抱かせるには十分だった。

ところが、スーツを着た見知らぬ人々が現れ、事態は一変する。



この戦いには何か意味がある、そう頭の中では思いつつも確信には至っていなかった姫川は、今回のミッションでついに答えを得るのか? それとも……?

次回

「雪上大決戦 絶望色の瞳
砕かれる想い」

ザッザッザッ

雪上に深く残る足跡が、生き物の存在を強く訴えている。だが月が雲で隠されてしまい、今はよく見えない。

ザッザッ

足音は自分のものではない。先ほどから、遠くの方で聞こえるものがある。

「……誰だ、さっきから」

レーダーで確認しても、星人ではないようではあるのだが。



ソレは、問には応えない。だから俺は無視して身を翻し、レーダーにうつる点の方角に移動を再開する。

ザッザッザッザッ

「……はぁ」

音の大きさからして、そこまで離れているわけではない。月が再び出れば見えるのだろうが。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月07日 (金) 05:20:03   ID: NK11b2hq

期待

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