卯月「事務所にヤリザが現れたんですか!?」 (140)

地の文あり
不定期ですけどだらだらと書いていきます

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[346プロダクション]

卯月「事務所にヤリザが来ているんですか?」

凛「うん、なんでも事務所の前でうろうろしているところをプロデューサーが見つけたらしくて」

凛「明らかに怪しまれるから中に入れたんだって」

卯月「でもどうしてヤリザがこんなところに?」

凛「さあ?聞く前に応接室に入っていったから」

卯月「でもプロデューサーさん、大丈夫なんでしょうか?」

凛「何で?」

卯月「だってヤリザですよ!どうしてヤリザがこんなところに?」

卯月「まさか事務所にたくさんの借金とか抱えたりしたから取りに来たとか!?」

凛「ねぇ卯月、卯月が言ってるのはヤクザのことだと思う」

卯月「えっ、事務所に来ているのはヤクザじゃないんですか?」

凛「来たのはヤクザじゃなくてヤリザだよ」

卯月「そうですか、ところでヤリザって誰ですか?」

凛「ヤリザって言うのは…」

ちひろ「粗茶です、どうぞ」

ヤリザ「かたじけないでござる・・・」

P「茶菓子です、どうぞ召し上がってください」

ヤリザ「かたじけないでござる・・・」

P「・・・」

ヤリザ「・・・」

P(この状況…一体どうしたらいいんだ?)

俺は346プロダクションのプロデューサーをやっている男だ

今朝、普通に出勤しようとしている時、アイドル事務所の前で彼と出会った

彼は全身が甲冑に覆われ、頭が自棄に長い兜を被り、鋭い槍を持っているその姿はまさに武士と言っても過言ではなかった

彼との出会いは事務所の前で右往左往していた時であった

どうやら事務所に入ろうかどうか迷っているようだった

俺はそんな困っている彼を見過ごすことはできず、そのまま中に入れることにした

それにこのまま放っておいたら目立ちすぎて警察や野次馬が来る可能性もある

こうして俺は彼を事務所の中に入れ話を聞くことにしたのだが・・・

P「それであなたは一体何のご用件で私たちの事務所に?」

ヤリザ「・・・」

ちひろ「あの・・・ヤリザさん?」

ヤリザ「・・・」

このような沈黙がしばらく続いた

すると…

ヤリザ「うぅ・・・」ブワァ!

P&ちひろ「!?」

彼は突然泣き出した

突然の事態に俺たちは戸惑ってしまった、泣くほど何か困ったことでもあったのだろうか?

ちひろ「ちょ…ちょっとヤリザさん!どうしたんですか!?」

ヤリザ「うぅ…うう!」シクシク

P「何かあったのか知らないが泣いていてはわからない。困りごとがあるなら話してください」

ヤリザ「うぅ…!」シクシク

P「ほら、ティッシュだ。これで顔を拭いてください」

ヤリザ「うぅ…かたじけないでござる…」

彼はそういうと兜をはずしティッシュで涙を拭いたり鼻をかんだりした

ちひろ「!?」///

兜の中から現れたその素顔は誰から見ても勇ましく整っていた

涙でぐしゃぐしゃだったが

俺たちは彼が落ち着くまでしばらく様子を見ることにした

ヤリザ「・・・」グスン

ちひろ「落ち着いたようですね、もう大丈夫ですか?」

ヤリザ「ああ、心配をかけさせた。もう大丈夫でござる」

P「それなら何があったのか話を聞かせてもらおうか」

ヤリザ「うむ…実はこの事務所に頼みがあってここに参った」

P「頼み?」

ヤリザ「拙者を…このヤリザをどうかアイドルにしてほしいのでござる!」

P&ちひろ「はあ!?」

突然の発言に俺たちは戸惑いを隠せなかった

確かに事務所の前に来たならアイドルになりたいという言い分に辻褄は合う

だが霊使いならまだしも相手はガタイのいい武士だ。うちの事務所ではとてもじゃないが受け付けられない

P「…とりあえず理由を聞かせてくれないか?」

だがせっかくわざわざ来てくれたんだ、このままお引取り願うわけにはいかない

俺は話を聞くことにした。アイドルになりたいということはそれなりの理由があるのだろう

ヤリザ「拙者、六武衆の一人…ヤリザはご存知の通り、巷ではクズカードとして名を知られているのでござる」

ちひろ「そんなことありませんよ!クズだなんて思っていません!」

ヤリザ「気遣い感謝するが拙者はもう自分がどうしようもないクズカードというのはわかっているのでござる」

ヤリザ「六武衆の中でも使いにくくシナジーがない、直接攻撃はできるも打点が低すぎてたいした威力にはならない」

ヤリザ「それ以前に普通に六武衆でビートダウンするだけで相手のライフを0にできる。拙者のいる価値ははっきり言って皆無」

ヤリザ「そのあまりの使えなさについにコナミからもネタにされ…拙者は公式公認のクズカード扱いを受けてしまったのでござる…」

ちひろ「そんな…いくらなんでも可哀想すぎます!」

ヤリザ「気遣い感謝するでござる…」

P「・・・」

どんなカードにも、存在する以上、必要とされる力がある

俺は咄嗟にこの言葉を口に出しそうになったが今それを言っても返って逆効果になると思い口にするのをやめた

ヤリザ「だから拙者は決めたのでござる」

ヤリザ「どうやったって拙者はクズカードという汚名から逃れることはできない」

ヤリザ「だったら、アイドルで満足するしかないと!」

ちひろ「待ってください、何でそこからアイドルになったんですか?」

ヤリザ「このデュエルモンスターズ界、カードパワーは弱くてもイラストで人気なカードがあるのは存じておられるか?」

ちひろ「え、えっと・・・」

P「アイドルカードですね」

ちひろ「アイドルカード?」

ヤリザ「いかにも。アイドルカードはカードパワー自体は非力だがイラストのアドバンテージで人気を得ているのでござる」

ヤリザ「セームベル、カードエクスクルーダー、ピケルクランその他いろいろ…。彼女たちは効果は非力だがデュエリストからの人気は高い」

ヤリザ「それはなぜか?かわいいからでござる!かわいいからあんなに人気があるのでござる!」

ヤリザ「なら拙者はどうか?効果自体はさっき申したアイドルカードよりは少し強いかもしれん」

ヤリザ「しかし可愛さなら先ほど申した女子のほうがかわいい。そもそも拙者に可愛いところなどない」

ヤリザ「ならかっこよさならどうか?六武衆内でも他の同胞のほうがかっこよさは上でござる…、拙者ではとても太刀打ちができん」

ヤリザ「だから拙者は決めたのでござる!本当のアイドルになればきっと拙者は可愛く…そして人気者になれると!」

ちひろ「・・・」

P「つまり真のアイドルカードになることがアイドルになりたい理由か」

ヤリザ「そのとおりでござる…、ご理解頂けたでござるか?」

P「・・・」

彼は自分の中の劣等感を打ち砕くためにアイドルを目指したいのか

もちろんアイドルを目指す理由としては合格だ

だがだからといって彼をアイドルにするのかどうかと聞かれると…迷ってしまう

うちではいろんな女性をアイドルにしてはいるが流石にガタイのいい男をアイドルにスカウトしたりはしない

しかし彼の中に秘めている熱い思いはほかのどのアイドルにも負けてはいない

P(…どうしたものか)

ヤリザ「だから拙者はアイドルを目指したいのでござる…もうクズだのゴミだの言われないために!」

ヤリザ「一生のお願いでござる!どうか拙者をアイドルにしてほしいのでござる!」

ヤリザ「トップアイドルは望んではいない…。せめて町内でちやほやされるだけでいい!」

ヤリザ「拙者をアイドルにさせてほしいのでござる!この通り!」

彼はそういうと土下座をして俺たちに頼み込んだ

ちひろ「ちょっ…ちょっとこんなところでやめてください!」

ヤリザ「一生のお願いでござる!どうかこの通り!」

ちひろさんはやめさせようとしたが彼は一向にやめようとする素振りを見せない

この決意、間違いなく本物だ。武士が頭を下げるなど自らの誇りを捨てるようなもの

彼は自分の武士としての誇りを捨ててまで俺たちに頼んだのか

こんなに真剣に頼まれてしまっては俺も断れない

このまま彼を放っておくのは俺の良心に傷がついてしまう

P「わかった、そんなに言うならこちらも断れない」

P「社長に相談をしてみるよ。あなたをアイドルにするかどうか」

ヤリザ「まことでござるか!」

P「ああ、だから頭を上げてくれ」

ヤリザ「かたじけないでござる!」

P「ただ少しきついことを言うが、俺の頼みが通らない可能性もある」

P「そこのところを理解してくれ」

ヤリザ「心得た」

P「それまでしばらくは…そうだな…、話が終わるまで俺たちのアイドルと話したりしたらいい」

P「アイドルとはどういうものかわかるはずだ」

ヤリザ「そうさせてもらうのでござる」

P「それじゃあ俺は早速社長に相談するので、後のことはよろしくお願いします」

ちひろ「わかりました」

P「それでは」

バタン

P(さて、ああ言われたらやるしかないな)

P(どう説得しようか…)

P(やはり一番手っ取り早いのはデュエルだが…)

P(…)

卯月「あっ、凛ちゃん!なんだか武士の格好をした人がでてきましたよ!」

凛「あれがヤリザだよ」

ちひろ「あっ、いいタイミングですね!ヤリザさん、彼女たちがこの事務所のアイドルの…」

卯月「はじめまして、島村卯月です!」

凛「渋谷凛、よろしく」

ヤリザ「拙者、六武衆-ヤリザと申す。以後よろしく」

卯月「よろしくお願いします!」

社長室

コンコンコン

P「失礼します」

社長「どうぞ」

ガチャ

社長「用件は何ですか?」

P「新しいアイドル候補生についての話です」

社長「彼ですか、話しは既に聞いています」

P「そうですか、それで社長は彼をいかが致しますか?」

社長「ダメに決まっているでしょう…、何故200人以上の女性のいる中でむさ苦しい男一人をアイドルにしなくてはいけないのですか?」

社長「しかもヤリザなんてクズカード、アイドルにする価値ないでしょう。するならダルクかシュリットでないと」

P「…」

P「社長、あなたは俺がスカウトしてきたアイドルは全員どうなったかわかりますか?」

社長「全員見事地方では有名、何十人かはトップアイドルになっていますね」

P「そう、自分で言うのも難だが…。俺はアイドルを見る目がある」

社長「ええ、確かに…まさか今回の彼も?」

P「はい、彼ならきっとすばらしいアイドルになると俺は考えています」

社長「…」

しばらく沈黙が続いた。手ごたえはあったと俺は確信した

社長「わかりました、そこまで言うなら認めてあげましょう」

P「ありがとうございます」

社長「ただし条件があります」

P「なんですか?」

社長「あなたが私の見込んだプロデューサーだという面を差し引いても彼をアイドルにするのはやはり抵抗があります」

社長「そこで私にデュエルで勝ったら、彼のことを認めてあげましょう」

P「わかりました」

P(ちょうどいい、まさか向こうから申し込んでくれるとは)

P(デュエルだったら勝てばどんな話だろうと全て丸く収まるから話し合いにはとても便利だ)

P(ここはすぐに勝ってヤリザにこのことを伝えよう)

P(デッキは…ジャックポットでいいか)

社長「ではいきましょう」

P・社長「デュエル!」

なおこの試合はカットさせてもらう

――――――――――

凛「ふ~ん、それがヤリザがアイドルとして目指したい理由?」

ヤリザ「いかにも、今の自分を変えるためにアイドルを目指すことにしたのでござる」

卯月「素敵です!たとえくじけても諦めずに立ち向かうその心意気、尊敬しちゃいます!」

ヤリザ「卯月殿と凛殿は何故アイドルに?」

卯月「夢だったからです!キラキラした衣装を着て歌ったり踊ったり…素敵じゃないですか!」

ヤリザ「なるほど」

凛「私はプロデューサーにスカウトされたからかな?」

凛「当時はアイドルなんて興味なかったけど…、あの時スカウトされなかったら今の自分がいなかったと思う」

ヤリザ「お二方はよいプロデューサーのお持ちのようでござるな」

卯月「はい!私たちの自慢のプロデューサーさんですよ!」

ヤリザ「いい仲間を持ってて羨ましいでござるな」

凛「ヤリザだって六武衆の仲間がいるじゃない」

ヤリザ「それはそうでござるが…、彼らの結束の前では拙者は足手まといに感じるのでござる」

ヤリザ「拙者だけ効果が非力、レベルが仇となりエクシーズの素材にもされない」

ヤリザ「しかも役に立たない身代わり効果のせいでヤイチ殿に迷惑をかけてしまった…」

ヤリザ「いてもいなくても同じというレベルではなくいないほうが役に立つというレベルなのでござる…」

卯月「そんなことはありません!六武衆の皆さんもヤリザさんのことは大切な仲間だと思っているはずです!」

ヤリザ「ならいいのでござるが…、拙者の考えすぎかもしれないが…。どうも効果故役立たず扱いされることが何度も…」

凛「ヤリザも大変なんだね」

ヤリザ「そうでござる…。拙者も苦労に苦労を重ね、それでこのような道に…うぅ…!」ブワッ!

卯月「泣かないでくださいヤリザさん!泣いても何も変わりません!」

卯月「泣くより笑ったほうがいいです!笑顔ですよ、笑顔!」

ヤリザ「え、笑顔でござるか?」

卯月「はい!」

ヤリザ「笑顔…そうでござるな!」

ヤリザ「いつまでも暗い顔をしていては何も変わらないでござる」

ヤリザ「ここは明るく元気よくいくでござる!」

卯月「その意気ですよ!ヤリザさん!」

「ならもっと笑顔になれる話でもしようか」

卯月「プロデューサーさん!」

ヤリザ「プロデューサー殿!結果は?」

P「なんとか社長に説得をした、君をアイドルにするように」

ヤリザ「そ、それでは…!」

P「346プロダクションへようこそ。ヤリザ」

ヤリザ「あっ…ああぁ!」

卯月「おめでとうございます!ヤリザさん!」

ヤリザ「礼を言うでござる!この恩をどうやって返せばいいのか…!」

P「ならみんなのアイドルになってくれ、それが最高の恩返しだ」

ヤリザ「心得た…、この男ヤリザ!いつかきっとすばらしいトップアイドルになるでござる!」

卯月「頑張ってくださいね!私も頑張りますので!」

ヤリザ「うむ!」

P「さて、これから忙しくなるな」

凛「ねぇ、話の途中悪いんだけど」

P「どうした、凛?」

凛「未央知らない?なんか携帯に電話しても通じなくて…」

P「未央?」

[道端]

未央「・・・」

?????????「・・・」

未央「なんだろう、これ…ハンバーガー?」

?????????「・・・」グー

未央「おなか減ってるの?食べ物なのに?」

?????????「・・・」

未央「…ビスケットあるけど食べる?」

?????????「…いただきます」

未央「しゃ…しゃべった!?」

続く

?????????「・・・」モグモグモグ

未央(ハンバーガーが物を食べてる光景なんて初めて見たよ)

未央(にしてもこれなんだろう?なんでハンバーガーがしゃべるんだろ?)

?????????「んっ・・・」ゴックン

?????????「ふぅ・・・」

未央「大丈夫?足りる?」

?????????「はい、おかげさまで満腹になりました」グー

?????????「・・・」

未央「ありゃりゃ、まだ足りないみたいだね」

?????????「すいません…」

未央「ん~、事務所だったら食べ物がたくさんあるから・・・」

未央「よし!ねぇ、一緒にうちの事務所に行こうよ!」

?????????「えっ!?」

未央「あそこだったら食べ物たくさんあるからすぐ元気になるよ!」

?????????「いいんですか?そんな悪いですよ・・・」

未央「何言ってるの!困った人を…。…んっ、人?…うん、人を見過ごすわけにはいかないからね!」

未央「着いてきてよ!このまま放っておくのもあれだしさ!」

?????????「あ…、ありがとうございます!」

未央「どういたしまして!私は本田未央!えーっと…?」

ハングリーバーガー「あ、私はハングリーバーガーといいます」

未央「ハングリーバーガー…見た目どおりの名前だね」

未央「ハングリー…バーガー…うん!決めた!」

ハングリーバーガー「えっ、何がですか?」

未央「君のあだ名だよ!ハングリーバーガーは長いから、グリリンにしよう!」

ハングリーバーガー「グリリンですか~、いいあだ名ですね!」

未央「うん!それじゃあグリリン、早く行こうか!」

ハングリーバーガー「はい!」

未央「あっ、そうだ。このことをしぶりんたちに伝えて…」パカッ

未央「…げっ!話し込んで気づかない間に凄い着信数!」

未央「急いで電話しないと…!」

[事務所]

凛「うん、わかった。それじゃあ」ピッ

卯月「どうでしたか?」

凛「もうすぐ来るって。後お客さんも連れてくるみたい」

卯月「お客さん?」

P「未央の友達か?」

凛「いや、空腹で行き倒れている人を助けるために連れて来るって言ってた」

卯月「未央ちゃんとても優しいですね!」

P「それなら何か食べ物とかを用意したほうがいいな」

P「とりあえずパンでも持ってくるか」

卯月「お願いします」

バタン

卯月「それにしても一体どんな人を連れてくるのでしょうか?」

凛「行き倒れということはホームレスとかじゃない?」

卯月「迷子かもしれません」

凛「まあ、どうせ後でわかるからその話はいいよ」

卯月「それもそうですね、それじゃあそれまで何をしますか?」

凛「どうしようか?」

ヤリザ「む~…」

凛(それにしてもヤリザが身に着けてる鎧、なんか重そう)

ヤリザ「・・・」

凛「…ねぇヤリザ」

ヤリザ「なんでござるか?」

凛「ちょっと鎧とか脱いでもらっていい?」

ヤリザ「何ゆえ?」

凛「武士の鎧とか武器とか初めて見たから少し持ってみたいと思って」

卯月「あれ?凛ちゃんってそういうものに興味ありましたっけ?」

凛「いや、今までなかったけど本物を見せられたらさすがに気になるから」

ヤリザ「なるほど。そういうことなら…」カチャカチャ

バタン!

アーニャ「ドーブラエ ウートラ! おはよう、です」

みく「おはようだにゃ!」

卯月「あっ…」

ヤリザ「ん?」カチャカチャ

みく「・・・」

ヤリザ「・・・」カチャッ

みく「に"ゃ"あ"っ!?」ビクッ!

アーニャ「アー…、日本の、サムライ?」

ヤリザ「むっ!?」

みく「な…なななななんだお前!?変質者!?何で武士のコスプレした人がこんなところにいるの!?」

ヤリザ「ご、誤解でござる!拙者は変質者ではないでござる!」

みく「嘘をつくのはやめるにゃ!女子二人の前で徐に鎧を脱ぐコスプレイヤーがどこにいるの!」

みく「あーにゃん!今すぐ警察に連絡するにゃ!」

アーニャ「みく、まずは、話を聞くべきです」

みく「でももヘチマもないにゃ!いいから速く!」

卯月「待ってくださいみくちゃん!ヤリザさんは変質者ではありません!」

みく「速く…って、えっ?」

凛「そうだよ、ヤリザは今日新しく入ったアイドルなんだよ」

みく「ア、アイドル?」

アーニャ「ミーニャザヴート、アナスタシア。アーニャと、よんでください」

みく「よろしくにゃ…ってちょっと待つにゃ!」

卯月「どうかしたんですか、みくちゃん?」

みく「どうしたもこうしたもないにゃ!武士がアイドルやりに来たって突然言われたら普通納得する?」

ヤリザ「確かに拙者の仲間たちに拙者がアイドルをするといったら鼻で笑われるでござろう…」

ヤリザ「しかし拙者がアイドルをやるというのは事実でござる。だから今こうしてこの事務所にいるのでござる」

みく「だけどみくは認めないにゃ!こんな可愛くないのアイドルじゃない!」

みく「そもそもどこをどう探したらそんな怖い風貌のアイドルがいるのにゃ!」

ヤリザ「うっ…」

「いいじゃないか、こういうアイドルがいても」

みく「Pチャン!?」

アーニャ「プロデューサー、。おはよう、ございます」

P「ああ、おはようアーニャ」

P「パンがあったんだがこれで足りるか?」

卯月「お客さんの空腹具合ですね」

みく「なんでにゃ!?明らかにおかしいでしょ!?」

みく「何でどうみてもアイドルには似合わない人がアイドルをやるのにゃ!?」

P「俺だって初めはそう思っていたさ。見た目から考えてどう考えてもアイドルにはふさわしくないと」

ヤリザ「うっ…、ダイレクトに言われると少し傷がつくでござる」

P「すまない、だが俺はヤリザの言葉と情熱に胸を打たれたんだ」

P「ヤリザはただ純粋にアイドルをやりたい。その思いが俺を動かした」

P「そもそもアイドルにふさわしいだのふさわしくないだの…、そんな基準誰が決めたんだ?」

みく「うっ…。そ、それは…」

P「誰が何をやろうが、それは個人の自由だ。俺たちがそれを馬鹿にしたり否定的にしたりする権限はない」

アーニャ「ダー…。プロデューサーの、言うとおりです」

みく「うぅ…、確かにPチャンの言うことは正しいにゃ。みくが間違ってた…」

みく「みく…、少し混乱してあんな心無いことを言ってしまったにゃ」

みく「ごめんなさい…」

ヤリザ「いいのでござるよ、悪気があったわけではないのでござろう?」

ヤリザ「もう済んだことでござる、こんなことは水に流すでござる」

みく「うん、わかったにゃ。みくは前川みくだにゃ!よろしくね」

ヤリザ「よろしく頼む、みく殿」

みく「でもアイドルを目指すなら上下関係は大事にゃ!」

みく「これからはみく先輩というにゃ!語尾に「にゃ」もつけること!これは先輩命令にゃ!」

ヤリザ「な、何ゆえ!?」

みく「個性をつけるためにゃ!この現代社会、何の個性のないアイドルは流行らないにゃ!」

みく「今のままだとヤリザは無個性ゆえ周りから誰も注目されないアイドルとして消えていくことになるにゃ…」

みく「だから語尾に「にゃ」をつけてしゃべるにゃ!これをすれば注目度間違いなしにゃ!」

凛「いや、ヤリザは十分個性があると思うけど…」

みく「可愛さとしての個性にゃ!今はどう見ても可愛くないから絶対受けないにゃ!」

凛「可愛くする必要はないと思うけど?」

P「好きにやらせたらいいさ、これもヤリザとみくのフレンドシップを高めるためだ」

凛「ヤリザ、話の途中悪いけど槍を持ってもいい?」

ヤリザ「ん?おお、そうでござったにゃ。まだ途中だったでござるにゃ」

アーニャ「私も、日本のサムライの武器に興味、あります」

ヤリザ「うむ、先が尖っているからきをつけるのでござるにゃ」ひょい

アーニャ「スパシーバ…。ありがとう、ございます」

ヤリザ「どういたしましてでござるにゃ!」

凛「その口調、案外気に入ってるんだ」

アーニャ「とても、重たいです」ヨロッ

P「うっかりして転ぶなよ」

ハハハハハハ!

今はこうして楽しく談笑しているが

もうすぐこれからみんながさらに混乱する事態になることは、俺はまだ知らなかった

バタン!

未央「みんな、おはよう!」

卯月「あっ、未央ちゃん!」

P「未央、話は既に聞いてある。パンとかたくさん用意しておいたぞ」

未央「お、気が利くね~!これだけあったら足りるかな?」

未央「ほらほらグリリン!遠慮しなくていいよ、ほら入った!」

凛「グリリン?」

ガチャ

ハングリーバーガー「お、おじゃまします・・・」

卯月「」

みく「」

凛「…え?」

P「こいつは…」

アーニャ「アー…、ハンバーガーですか?おいしそうですね」

ハングリーバーガー「食べないでください。食べるの好きですけど食べられるのは嫌なんです」

みく「にゃあああああああああああああああああ!!!!!?」ビクッ!

ハングリーバーガー「な、なんですか!?」

未央「ちょっ…ちょっとどうしたのみくにゃん?そんなに大声出して?」

みく「これ見て大声出さないほうがおかしいにゃ!それ一体何なの!?」

未央「何って…グリリンだよ」

みく「グリリン!?」

ハングリーバーガー「は、はじめまして…グリリンことハングリーバーガーです」

卯月「はじめまして、島村卯月です!」

みく「何普通に挨拶してるの!?少しはハンバーガーがしゃべることに疑問を持ってよ!」

凛「どういう原理でしゃべっているんだろう?」

ヤリザ「ハングリーバーガー…殿でござるか?」

ハングリーバーガー「んっ…、その声…ヤリザ殿?」

ヤリザ「おお!間違いない!生きていたでござるか!」

ハングリーバーガー「まさかこんなところで出会えるなんて!」

ヤリザ「会いたかったでござる!もう会えないかと思っていたでござる!」タタタタ

ハングリーバーガー「また会えて嬉しいです!」

ダキッ

ヤリザ「ううっ…ハングリーバーガー殿…!」

ハングリーバーガー「ヤリザ殿…!」

凛「何これ」

卯月「えっ、二人は知り合いだったんですか?」

ヤリザ「いかにも、拙者たちはかつて戦場を駆け巡り共に戦に貢献しかけた戦士同士でござる」

凛「戦士?ハンバーガーなのに?」

ハングリーバーガー「料理長が私を戦場に発たせるために戦士にしてくれたのです」

未央「おお、なんかかっこいいね!」

アーニャ「戦士?私の、知っている戦士とは、ちょっと違います」

凛「いやちょっとどころじゃないと思うよ」

卯月「戦士というのは武器を持ったり拳を構えたりする人のことですけど…」

卯月「拳も武器もないですよね?本当に戦士ですか?」

ハングリーバーガー「ハンバーガーの戦士がいて何がいけないんですか!?」

卯月「ええ!?」

ハングリーバーガー「誰が戦士が武器を持ったりしている人っていう定義をつけたんですか!」

ハングリーバーガー「これでも戦場で死闘を繰り広げたんですよ!戦士の生還でサルベージができるんですよ!」

ハングリーバーガー「勝手な偏見で私を戦士じゃないと疑うのをよしてください!」

アーニャ「ご、ごめんなさい…」

凛「ごめん…」

卯月「す、すいません…」

ヤリザ「ハングリーバーガー殿、少し熱くなりすぎでござる。女子に対して大人気ないでござるよ」

ハングリーバーガー「すいません…、つい感情が高ぶってしまいました…」

ハングリーバーガー「今までたくさんの人が戦士なのかどうか疑っていたので…それでかっとなってしまいました」

ハングリーバーガー「それに戦士といっても私はすぐにやられてしまう雑魚バーガーでした…」

ヤリザ「拙者もろくに活躍ができなかった落ち部者だったでござる…」

ハングリーバーガー「そのせいで役立たずの私たちは戦場に発つことはなくなり…」

ヤリザ「拙者ら三人はコナミ公認三大弱小クズモンスターという汚名をかぶせられたのでござる…」

凛「三大?」

みく「なんかいつの間にか語尾に「にゃ」をつけるの忘れているにゃ」

P「今はそんなことどうでもいいじゃないか」

ヤリザ「うむ…、一人は拙者、一人はハングリーバーガー殿…そして最後の一人は…」

グウウウウウウウウウウウウウウウウ

みく「…」

ハングリーバーガー「…」

P「続きは食べてから話そう、パンをたくさん用意しておいた」

ハングリーバーガー「ありがとうございます」

モグモグモグモグ

ハングリーバーガー「これもうまい!これも…!どれも体の一部にするには素晴らしいパンばかりです!」

卯月「あ、それ本当にパンでできてたんですね」

P「みちるから分けてもらうの本当に苦労したんだ、ありがたく食べろよ」

ハングリーバーガー「はい!」モグモグモグモグ

アーニャ「それで、話の続き、お願いします」

ハングリーバーガー「あっ、はい…。先ほども言ったとおり三大クズカードは私とヤリザ殿、そして…」

バタン!

未央「もう、今話しているのに今度は何!?」

蘭子「煩わしい太陽ね!」

P「ああ。蘭子か、おはよう!」

蘭子「ふふふ…。今日諸君に…」チラッ

ハングリーバーガー「・・・?」

蘭子「・・・」

ハングリーバーガー「・・・」

蘭子「・・・」

ハングリーバーガー「こんにちは」ペコリ

蘭子「うぇえ!?」ビクッ!

ハングリーバーガー「な、何ですか!?」

みく「そりゃ巨大なハンバーガーが突然しゃべったら誰だって驚くにゃ」

蘭子「あっ…えーっと…う~ん………」

蘭子「…!」ピコーン

蘭子「やっと理解したぞ!そなたも異世界から召喚された使い魔か!」

ハングリーバーガー「え?つ、使い魔?私が?」

蘭子「いかにも!その不気味な風貌は間違いなく異世界の悪魔!」

ハングリーバーガー「いや自分、悪魔族じゃなくて戦士族なんですけど…」

蘭子「召喚したものは何者だ?」

未央「あ、それ私」

蘭子「見事な使い魔だが、我の使い魔も負けてはいないぞ」

未央「あれ、なんかいつの間にか張り合ってる?」

P「蘭子、さっきから使い魔使い魔言っているが、何か拾ったのか?」

蘭子「実は先ほど我は異世界から魔物を召喚した」

蘭子「その魔物とは何の因果があってか、私と魂の共鳴を感じた。それで我はその魔物と血の契約を結んだのだ!」

蘭子「そして、ついに!私は私だけの優秀な使い魔を手に入れたのだ!」

P「つまり簡単に言うとさっき道で迷子を見つけたが色々話の馬が合い友達になったからみんなに紹介したいということか」

P「それじゃあせっかくだから紹介してくれないか?その使い魔を」

蘭子「フフフ…、見て恐怖におののくのではないぞ。では活目せよ!我が使い魔の姿を!」

スゥ…

??????「よう!君たちが蘭子の言ってた友達か!」

ヤリザ「むっ…!彼は!」

ハングリーバーガー「まさか…!」

未央「え、知り合い?」

ヤリザ「うむ。あの見た目…、拙者の目に狂いがなければ間違いない!」

ハングリーバーガー「私たちと同じコナミ公認三大クズモンスター最後の一人…!」

ヤリザ「その名も!」

ヤリザバーガー「「モリンフェン!」」

モリンフェン「よろしくな!」

続く

島村卯月(17)

http://i.imgur.com/YYLCdNr.jpg

渋谷凛(15)

http://i.imgur.com/xwVRceS.jpg

六武衆-ヤリザ(1000)

http://i.imgur.com/w9NByJE.jpg

ヤリザ「モリンフェン殿!」

モリンフェン「ん?もしかしてヤリザか?そしてハングリーバーガーか!?」

ヤリザ「生きていたでござるか!」

ハングリーバーガー「無事で何よりです!」

モリンフェン「この俺がそう簡単にくたばるかよ!」

ヤリザ「いや~、会いたかったでござる!」

ヤリザ「まさか再び三人そろうとは…」

モリンフェン「いや~、本当に久しぶりだな!」

ハングリーバーガー「最後にあったのはいつ頃だったでしょうか?」

みく「何この色物集団…」

今、みくの目の前には甲冑を着た落ち武者としゃべるでかいハンバーガー

そして長い爪を持った変な悪魔が目の前で仲良く話しているにゃ

何がなんだかわからないにゃ…、どうしてこんなわけのわからないものたちがみくたちの目の前にいるの?

夢でも見てるのかな?

みく「あーにゃん、ちょっとみくのほっぺ抓ってにゃ」

アーニャ「ダー」ギュウウウウウウウ

みく「あだだだだだだだだだだだ!!!!!痛いにゃ痛いにゃ!!!もういいにゃあ!!!」

アーニャ「ダー」パッ

みく「はぁ…はぁ…、力いれ過ぎだにゃ…」

だけどこれでわかったにゃ…これは夢じゃない

信じられないけど目の前に起こっていることは全部、紛れもない現実だにゃ


みく(考えれば考えるほどわけがわからないにゃ…あれらは一体何なの?)

みく(一体どこから来たの?そもそも何であれが普通に話したり動いたりするの?)

みく(特にあのハンバーガー、あれが一番謎だにゃ)ジーッ

みく(さっきからしゃべっているから中のソースが飛び散ってるにゃ…)

みく(にしてもあのハンバーガー、食べられるのかな?)

みく(ハンバーガーだから食べられるよね、どんな味がするんだろう…?)



ハングリーバーガー(なんだか身の危険を感じる…!)ゾクッ!

蘭子「なんと?お主らは友だったのか?」

モリンフェン「ああ!俺たち三人は旧知の友だったんだ!」

モリンフェン「懐かしいぜ!三人一緒に戦ったりしたな!」

ヤリザ「うむ、やるたびに返り討ちにあったりしたでござるな」

ハングリーバーガー「まさかモリンフェンさんがいきなり奈落の落とし穴に引っかかるなんて思いもよりませんでした」

モリンフェン「他のレベル5通常モンスター連中はかからないで俺がそのままフェードアウトしたなんてあの時は屈辱だったぜ」

モリンフェン「ダーク・キメラと一緒に引っかかったときはあの時笑っちまったけど…、よく考えなくても笑えないな。使えないという意味で」

モリンフェン「しかも時が立つに連れもっと強えカードが出てきやがる、インフィニティとかライトニングとかな」

モリンフェン「俺たちがもう戦って活躍することはできないだろうな」

モリンフェン「そもそも俺たちってクズカードだから誰にも使われずに三人呑気で話したりしているだろ」

モリンフェン「もうそろそろ潮時かもな・・・」

モリンフェン「はは…、クズから一転して主要カードに成り上がった黒蠍盗掘団がうらやましいぜ…」

ハングリーバーガー「・・・」

ヤリザ「・・・」

卯月(なんか話しづらい雰囲気ですね)ヒソヒソ

P(ここは黙って様子を見よう)ヒソヒソ

ヤリザ「モリンフェン殿、確かに拙者たちはもう戦いに関しては役立たずでござる」

ヤリザ「だがそれ以外のことなら、戦い以外なら拙者たちでもできることがあるはずでござる!」

ヤリザ「何も我らは戦うために生まれたわけではない!」

ヤリザ「戦いで活躍できなければ戦い以外で活躍をするのでござる!」

モリンフェン「だがどうやって?」

ヤリザ「実は拙者、何とここでアイドルを始めることにしたのでござる!」

モリンバーガー「「はあ!?アイドル?」」

ヤリザ「いかにも、先ほど申したように戦闘では役立たずの拙者でも何かできることはないのか模索したでござる」

ヤリザ「その時テレビでアイドル特集の番組を見て、決めたのでござる!」

ヤリザ「モンスターとしては非力でも、アイドルとしてならきっと大きな力になれると!」

ヤリザ「だから仲間と別れてここでアイドルの修行を行うことにしたのでござる」

ハングリーバーガー「そんなことがあったのですか」

モリンフェン「だがお前がアイドルだって?大丈夫なのか?」

モリンフェン「この見た目でアイドルなんて、絶対人気が出ないぞ」

ヤリザ「やる前から勝手に決め付けないでほしいのでござる!」

モリンフェン「!?」ビクッ

ヤリザ「拙者とて不安を感じるでござる…。だが今何か行動を移さなければ一生このままでござる!」

ヤリザ「今こそ勇気を持って一歩踏み出す時でござる!」

ヤリザ「もしもあらゆる困難が立ちふさがってもチャレンジするのみでござるよ!」

P(ヤリザ、なかなかいいことを言うじゃないか)

ハングリーバーガー「チャレンジですか?でもなにをしたら…」

モリンフェン「俺たちに何ができるというんだ?」

ヤリザ「拙者と共に、アイドルを目指してみないでござるか?」

モリンバーガー「アイドル!?」

ヤリザ「いかにも」

蘭子「おお!それは素晴らしい案だ!ともに宴を盛り上げようぞ!」

未央「やろうよ、アイドル!仲間は多いほうが楽しいからね!」

モリンフェン「いや俺がアイドルってそんな…、絶対無理だろ」

ヤリザ「無理なものか!現に拙者でさえアイドルの卵になれたのでござるよ!」

ハングリーバーガー「ハンバーガーもアイドルになれるんですか?」

ヤリザ「アイドルに種族や食べ物とか関係ないでござる!」

ヤリザ「今、皆が何かしなければ、一生何も変わらないまま、クズカードとして過ごすことになるでござる!」

モリンバーガー「・・・」

ヤリザ「プロデューサー殿、拙者からの頼みでござる!」

ヤリザ「どうかこの二人をアイドルにしてほしいのでござる!」

P「俺は構わないが決めるのはこの二人だ」

ヤリザ「どうでござるか?」

モリンフェン「…もう俺は弱小クズカードの汚名を被るのは飽き飽きしたところだ」

モリンフェン「付き合ってやる、お前と一緒にアイドルになってやるぜ」

ハングリーバーガー「せっかく料理長が私を作ってくれたんです。ここは料理長のため、そして私のため」

ハングリーバーガー「これから皆さんと共に新しい一歩を踏み出します」

ヤリザ「決まりでござるな」

P「ああ、そのようだ」

P「だがまだ決まったわけじゃない、これから社長と話を付けに行く」

凛「またなの?」

P「ああ、しかしまさかこんな用件でまた話すことになるとは、社長も思うまい」

凛「普通ありえないもんね、あれ?普通って何だっけ?」

卯月「私です!」

凛「そっか」

P「それじゃあいってくる。ヤリザたちはそれまでしばらく凛たちと話していてくれ」

ヤリザ「承知した」

P「それじゃあ」

バタン

P「さてと、うまく丸く収まればいいけどな」

ハングリーバーガー「それでは改めましてはじめまして、ハングリーバーガーです」

モリンフェン「俺はモリンフェン!こう見えても立派な悪魔だ!」

卯月「島村卯月です!」

凛「渋谷凛」

未央「私は本田未央!」

未央「えっと…、ヤリザとモリンフェンだっけ」

ヤリザ「うむ」

未央「うん!それじゃあヤリリンとモリリンだね!」

モリンフェン「モ、モリリン?」

ヤリザ「ヤリリンとは?」

未央「君たちのあだ名だよ!」

ヤリザ「あだ名か」

モリンフェン「モリリンか…ナイスなセンスだぜ、未央!」

みく「それって本物のパンとハンバーグかにゃ?」

ハングリーバーガー「そうですけど…食べないでくださいね?」

アーニャ「それで、これからどうしますか?」

蘭子「使い魔よ、何か武勇伝を私たちに話してくれないか?」

モリンフェン「武勇伝か…、それじゃあ以前俺がシーホースと共闘していた時の話を…」

[社長室]

P「というわけですが…」

社長「武士はまだいいとして…、悪魔にハンバーガーですって?」

社長「そんなアイドルが本気で人気になるとお考えですか!?」

P「彼らの情熱は紛れもなく本物でした」

P「私は彼らのその熱意を無駄にしたくありません」

社長「情熱や熱意だけでアイドルをやっていけたら苦労はしません!」

P「私も彼らも本気です、彼らならきっと素晴しいアイドルになれます」

社長「正気ですか?」

P「俺が正気だった頃はありましたか?」

社長「・・・」

社長(ハンバーガーはともかく…彼のプロデュースの才能は紛れもなく本物)

社長(今回の件も彼が優秀だからあの武士をアイドルにしてあげるのを許可した)

社長(しかし今度はあろうことか人外をアイドルにするなんて…、ふざけてるとしか思えない)

社長(だけど…)

P「・・・」

社長(この彼のまなざし、本気でプロデュースをするつもりのようですね)

社長(もしかしたら本当に…?)

社長「…わかりました、許可をしましょう」

P「よろしいのですか?」

社長「ええ、あなたの腕を信じましょう」

社長「しかしもししくじった場合、それなりの処罰を覚悟してください」

P「わかりました」

P「それと…デュエルは?」

社長「やるわけないでしょう、どうせあなたに勝てる訳ないのですからね」

社長「また私が1ターンで倒される姿が見たいのですか?」

P「いえ、そういうわけでは…」

社長「ならもう下がってください」

P「わかりました」

P「それでは失礼しました」

社長「ええ」

バタン

社長「しかし…、武士に悪魔にハンバーガー…まるでハロウィンの仮装大会ですね」

社長「こんなの誰が応援するのでしょうか?」

P「みんな、聞いてくれ」

卯月「あっ、プロデューサーさん」

P「話をつけてきた」

ヤリザ「それで、どうでござったか?」

P「・・・」

モリンフェン「おいまさか…」

卯月「・・・」

P「ようこそ、346プロへ」ニコッ

モリンフェン「そ、それじゃあ…!」

ハングリーバーガー「私たちもアイドルに…!」

卯月「おめでとうございます、皆さん!!」

ヤリザ「これで三人全員アイドルとして活躍ができるでござる!」

モリンフェン「もうクズカードとは言わせないぜ!」

ハングリーバーガー「はい!これから私たちの新しい物語が始まるんですね!」

モリンフェン「フレーバーテキストを変える必要もあるかもな!」

ヤリザ「これからよろしく頼むぞ、卯月殿たち」

卯月「よろしくお願いします!」

モリンフェン「これからもよろしくな、蘭子!」

蘭子「わが魂の赴くままに、共に宴を盛り上げよう!」

未央「一緒に頑張ろうか!」

ハングリーバーガー「はい!頑張ります!」

アーニャ「なんだか、楽しそうですね」

凛「でもやっぱりこの光景ちょっと異質に見えるかな?」

P「こうして今日、俺たちの事務所に新しいアイドルが三人増えたことになる」

P「そういうわけで明日からお前たちのアイドルとしてのトレーニングを始める」

ヤリザ「特訓でござるか」

P「ああ、それまではこれからのことについて話すから三人とも俺についてきてくれ」

ヤリザ「承知した」

モリンフェン「ああ」

ハングリーバーガー「わかりました」

P「それじゃあみんな、そういうわけでまたな」

卯月「はい」

バタン

P(…さて、これから忙しくなるな)

俺はこれから始まる期待不安の未来を想像しながらヤリザたちを連れその場を後にした

卯月「それにしても本当に今朝から凄いことが起こりましたね!」

卯月「まさか一気に三人もアイドルが増えるなんて思いもよりませんでした!」

凛「いやそれよりあの面子のほうを驚こうよ」

みく「でもなんでハンバーガーが動いたりしてるにゃ?」

凛「さあ?」

[トレーナールーム]

P「というわけで新しく入ったアイドルだ、明日からレッスンをお願いしたい」

ヤリモリバーガー「よろしくお願いします」

ベテラントレーナー「」

ルーキートレーナー「えっと…、それって何かの衣装ですよね?」

ルーキートレーナー「中に誰か入っているんですよね?いたずらですか?」

ルーキートレーナー「麗奈ちゃん、隠れてないででてきてください」ツンツン

ハングリーバーガー「ちょ、ちょっとやめてください…ソースが…」

ネトッ

ルーキートレーナー「ん?この匂い…」ペロッ

ルーキートレーナー「あっ、おいしい…でも味があるってことは…」

P「ああ、本物のハンバーガーだ」

ハングリーバーガー「正真正銘のハンバーガーです」

ベテラントレーナー「」

ルーキートレーナー「それじゃあそっちは?」

モリンフェン「本物の悪魔だ」

ルーキートレーナー「そっちの落ち武者も?」

ヤリザ「落ちてはいないでござる。落ちかけてはいるでござるが」

P「信じられないだろうが、全員本物だ」

ルーキートレーナー「はぁ…。そうなんですか…」

P「コメントに困る気持ちはわかる、みんなそうだったからな」

ベテラントレーナー「」

P「それで頼みなんだが、彼らのトレーニングを明日からしてほしいんだ」

P「お願いできるか?」

ルーキートレーナー「私は構いませんけど…」チラッ

ベテラントレーナー「いやダメだ…、ダメというよりは無理だ。私には荷が重過ぎる…」

P「なぜそういいきれる、まだやってすらいないのに」

P「それでもベテラントレーナーか、ベテランというのは名前だけか?」

ベテラントレーナー「ベテラン以前にどうやって彼らをトレーニングしろというんだ!」

ベテラントレーナー「武士はともかく他二人、いや…二人?…うん、二人は何だ!」

ベテラントレーナー「本当にダンスはできるのか?教えてもどう間違っているのか指導する自信がないぞ…」

P「弱音を吐くなんてあなたらしくない」

ハングリーバーガー「大丈夫です!こう見えてもダンスは得意なので!」

ベテラントレーナー「手足ないのにか!?」

ハングリーバーガー「見た目で判断するのはいけません、大切なのはハートです」

ベテラントレーナー「ハートじゃポーズがわからないだろ!」

ルーキートレーナー「大丈夫よお姉ちゃん!いざとなったら私がフォローするから!」

ヤリザ「しっかりした妹さんでござるな」

ベテラントレーナー「ああ…、ルーキーにフォローされるベテランって一体…」

P「大丈夫だ、あなたならきっとやれる」

P「今まで何人ものアイドルをステージの上に立たせたんだろ?」

P「いつも通りやればいいさ」

ベテラントレーナー「いつも通りか…」

ハングリーバーガー「大丈夫です!こう見えてもダンスは得意なので!」

ベテラントレーナー「手足ないのにか!?」

ハングリーバーガー「見た目で判断するのはいけません、大切なのはハートです」

ベテラントレーナー「ハートじゃポーズがわからないだろ!」

ルーキートレーナー「大丈夫よお姉ちゃん!いざとなったら私がフォローするから!」

ヤリザ「しっかりした妹さんでござるな」

ベテラントレーナー「ああ…、ルーキーにフォローされるベテランって一体…」

P「大丈夫だ、あなたならきっとやれる」

P「今まで何人ものアイドルをステージの上に立たせたんだろ?」

P「いつも通りやればいいさ」

ベテラントレーナー「いつも通りか…」

ヤリザ「・・・」

モリンフェン「・・・」

ハングリーバーガー「・・・」

ベテラントレーナー「はぁ…、仕方ない。他ならぬ君からの頼みだ」

ベテラントレーナー「いつも通りにできるかわからないが、できる限りのことはする」

P「恩に着る」

ヤリザ「よろしく頼むぞ、トレーナー殿たち」

モリンフェン「よろしく頼むぜ!」

ハングリーバーガー「よろしくお願いします」

P「それじゃあ」

バタン

ベテラントレーナー「はぁ…。なんだか厄介ごとを引き受けてしまったな」

ベテラントレーナー「仕方ない、どうしたらいいのか姉に聞こう…姉ならハンバーガーのレッスン方法くらいわかるだろう…」

ベテラントレーナー「…って何を言っているんだ私は。そこまで疲労したか…」

ベテラントレーナー「後でマッサージでもしてもらおう…」

ルーキートレーナー(あのハンバーガー、結構おいしかったな)

[事務室]

P「というわけで新しくアイドルが増えました」

モリンフェン「モリンフェンだ」

ハングリーバーガー「ハングリーバーガーです」

ちひろ「とても個性的な人たちですね!」

ちひろ「よろしくおねがいします!モリンフェンさん、ハングリーバーガーさん!」ニコッ

モリンフェン「うっ…!」ドキッ

モリンフェン(結構かわいい姉ちゃんじゃねぇか…///)

ちひろ「どうかしましたか?」

モリンフェン「い、いや何でもない…」

P「ちひろさん、彼らが住むための部屋を提供したいんですけど」

ちひろ「そういうことなら任せてください!すぐに済ませますので!」

P「ありがとうございます」

ヤリザ「どうやら住む場所の心配はなくなったようでござるな」

ハングリーバーガー「ですね」

モリンフェン「やっと野宿から開放されるぜ」

P「そうだ!最後にうちのアイドルがレッスンをしている姿でも見学するか?」

ハングリーバーガー「あっ、それいいですね!他のアイドルとか見てみたいですし!」

ヤリザ「何より拙者たちがこれから何をやるのかよくわかるのでござる」

モリンフェン「そうと決まれば早速行こうぜ!」

P「ああ、ついてきてくれ」

三人(?)「はい!(うむ!)(おう!)」

モリンフェン「またな、姉ちゃん!」

ちひろ「はい、また後で!」ニコッ

バタン

ちひろ「・・・・・」

ちひろ「・・・・・」カタカタカタカタカタカタ

[トレーニングルーム]

ヤリザ「ここにいるのでござるか?」

P「ああ、確かこのあたりに…」

美嘉「あっ、プロデューサー!こっちこっち★」

P「おっ、いたいた。美嘉、今は休憩中のなのか?」

美嘉「まあね★プロデューサーはどうしてここに?アタシのレッスンを見に来たとか?」

P「ああ、そうだ。彼らと一緒にな」

美嘉「ふ~ん、彼らって?」

モリンフェン「ああ!」

ハングリーバーガー「それって」

ヤリザ「拙者たち?」

美嘉「・・・」

美嘉「・・・」

美嘉「・・・」



美嘉「はぁ!?」ビクッ!

続く

美嘉「えっ!?あっ…、ええ…ちょっと。ええ!?」

P「どうしたんだ美嘉?お前らしくない反応をして」

美嘉「いやだってそれって…ヤリザだよね?」

ヤリザ「おお!拙者のことを存じていたのでござるか!」

美嘉「知ってるも何もあの有名な…カードじゃない!」

ヤリザ「なんと…!拙者はそこまで有名になっていたのでござるか…」

ヤリザ「感動でござる!しかもこのような女子に覚えられていたとは…感無量でござる!」

モリンフェン「なぁなぁ姉ちゃん!それじゃあ俺のことはわかるか?」

美嘉「えっと…、ごめん…」

モリンフェン「」ガーン!!!

P「みんな紹介しよう。彼女はうちのアイドルの一人の城ヶ崎美嘉、トップアイドルだ」

P「美嘉、こちらはヤリザとモリンフェンとハングリーバーガーだ」

モリンフェン「あたらめてよろしくな!俺のことを覚えておいてくれよ!」

ハングリーバーガー「よろしくお願いします」

美嘉「よ、よろしく…」

P「みんな、彼女はみんなの先輩になるアイドルだ」

P「ちゃんと美嘉の言うことを聞くんだぞ」

三体「わかりました!」

美嘉「せ、先輩って?」

P「彼らは新たなアイドルとしてうちの事務所で育てることにした」

美嘉「えええええええええええええええええっ!!!!!!?」

美嘉「ちょっと待ってよ!明らかにおかしいでしょそれ!」

P「いろいろ言いたいことはあると思うが悪いが今時間がないんだ。後にしてくれ」

P「それに美嘉、そろそろ休憩時間が終わるころじゃないのか?」

美嘉「う、うん…。そうだけど」

P「それじゃあ見学させてもらう」

ヤリザ「よろしく願う」

モリンフェン「拝見させてもらうぜ」

ハングリーバーガー「お願いします」

美嘉「そんな勝手に…」

P「問題はあるのか?」

美嘉「いや、ないけど…」

ヤリザ「・・・」

美嘉(なんかすごいプレッシャーを感じる…)

美嘉「~~~~♪!!!」

トレーナー「・・・・・」

ヤリザ「おお、流石でござる!なんとすばらしい声でござろうか!」

ハングリーバーガー「私もあんな風に歌えますか?」

P「大事なのは日ごろのレッスンだ。それを守ればちゃんと上達する」

モリンフェン(あの嬢ちゃんいい体してるじゃねえか)

モリンフェン(まあ俺としてはさっきの姉ちゃんのほうが好みだけどな)



美嘉(あんなのに見られたら集中するのがやっとだよ…!)

トレーナー(なんですかあれ…。なんなんですかあの妖怪軍団…!)

トレーナー(仮装大会?仁奈ちゃんが入っているのかな?)


P「二人の様子が変だな。何かに怯えているみたいだ」

美嘉「ハァ…ハァ…」

P「疲れているようだがそんなに厳しかったか?」

美嘉「いや…、たいしたことないから…」

P「そうか、疲れたら休んどけ。休息は大切だ」

美嘉「うん…」

P「とまあこんな感じだ、参考になったか?」

ヤリザ「うむ。拙者も彼女を見習い精進するでござる」

P「いい答えだ。それじゃあ美嘉、またな」

美嘉「う、うん」

ヤリザ「それでは達者で」

美嘉「また…ね…」

バタン

美嘉「先輩ねぇ…。なんか不安」

美嘉「ハッ!いけないいけない!何ナイーブになっているのアタシ!!!」

美嘉「シャキッとしないとシャキッと★」

美嘉「シャキッと…」

ヤリザ「しかしみんな心優しい人ばかりでござるな」

ヤリザ「拙者らが今まで会ったものたちと比べたらまるで仏でござる!」

ハングリーバーガー「本当ですね~」

P「みんな、これで案内は終了だ」

P「明日からは俺の指示通り動いてもらう」

ヤリザ「明日から拙者たちのアイドルライフが始まるのでござるな!」

モリンフェン「くぅ~、燃えてきたぜ!」

ハングリーバーガー「はい!」

P「さっきちひろさんから寮の鍵をもらった」

P「事務所の都合上みんなとは別の寮に行ってもらうが、かまわないか?」

ヤリザ「問題ないでござる」

ハングリーバーガー「むしろ寝るところを提供してもらえるなんて嬉しいです!」

モリンフェン「もう野宿はしなくていいんだな!」

P「苦労しているんだな、お前たちも」

モリンフェン「まあな」

P「場所はスタッフに案内させる。また明日の9時ごろ事務所で会おうか」

ヤリザ「心得た。それじゃあまた明日会おうぞ」

P「ああ、またな」

P「ただいま戻りました」

ちひろ「お帰りなさい。案内は終わったようですね」

P「ああ」

ちひろ「それにしても今日はいろいろありましたね」

P「ああ、そうだな」

ちひろ「しかし本当に彼らをアイドルにさせるつもりですか?」

P「もちろんだ。彼らをあのまま野放しにさせるわけにはいかない」

P(それに、このまま放っておいたら…あいつに合わせる顔がない)

P(俺がここに入社する前に、アイドルとしてデビューをさせたが失敗したあいつに…)

??????????・???『やっぱり私はアイドルに向いていないんだ…』

P『そんなことはない!お前は…!』

??????????・???『もういいよプロデューサー…。私、アイドルやめる』

P『そんな…』

??????????・???『さよなら…』

P『!!!』


P(彼らをあいつと同じ運命を辿るような真似はさせない…)

P(もうこれ以上誰かを悲しませたくないからな)

P(俺が全力であいつらを立派なアイドルカードにしてみせる)

P(そのためには…あいつら専用の…)

ちひろ「・・・」

―寮―

モリンフェン「いや~、しかしまさか三人一緒でアイドルをするなんて夢にも思わなかったぜ!」

ハングリーバーガー「本当ですね!でもこれでもうクズカードなんて言われる日々とはおさらばですね!」

モリンフェン「だな!」

モリンフェン「にしてもこの部屋本当に快適だな!洋式のトイレなんて久しぶりだぜ!」

ハングリーバーガー「ここちゃんとお湯が流れてますよ!天国ですよ!」

モリンフェン「プロデューサーには感謝しないとな!」

ハングリーバーガー「ええ!」

ヤリザ「・・・」カキカキ

モリンフェン「何書いてんだ、ヤリザ?」

ヤリザ「六武衆の仲間に文を書いているのでござる」

ヤリザ「仲間たちに拙者がここでアイドルを目指すと伝えるのでござる」

モリンフェン「へぇ~」

ヤリザ「師範や仲間たちもいつか舞台に立つ拙者の活躍を見せたいでござる!」

ヤリザ「そしていつの日か立派な六武衆の一員として認めさせてもらうのでござる!」

モリンフェン「そっか、それじゃあそれまでレッスンをしないとな」

ヤリザ「うむ!」

ヤリザ(そしてきっとクズカードなどという汚名から解放してみせるのでござる!)

翌日

ヤリザ「さあ皆の者!出発するでござる!」

ヤリザ「今日から拙者たちの新しい人生が始まるのでござるよ!」

モリンフェン「張り切ってるなヤリザ。よほど嬉しいんだな」

ハングリーバーガー「本当ですね。まだ見習いだというのに」

ヤリザ「さあ、早く行くのでござる!」

ヤリザ「遅れるわけにはいかないのでござる!」

モリンフェン「わかったわかった!行くぞ」

ハングリーバーガー「はい」

346プロ事務所

ヤリザ「おはようでござる、プロデューサー殿」

P「ああ、ヤリザたちか。おはよう」

P「今日からお前たちのアイドル活動が始まったな」

P「これから起こる出来事はお前たちにとってはまったく未知なる事ばかりだ」

P「厳しいことをいうが、思っていた理想と現実がかけ離れる場合もある」

P「だが安心しろ。俺がきっとお前たちにとって理想的なアイドルを目指せるようにしてやる」

P「…おっと、朝来たばかりなのに俺は何を言っているんだ」

ヤリザ「いや、プロデューサー殿の熱い思いと心構え、骨身に沁みるでござる」

ヤリザ「プロデューサー殿の思いを心に留め、拙者たちは精進するでござる」

P「ああ、応援しているからな」

P「それと午後からお前たちに大事な話があるから、覚えておいてくれ」

ヤリザ「心得た」

モリンフェン「おいヤリザ、早く行くぞ」

ヤリザ「待つでござる!今行くのでござる!」

ガチャ


P「さてと…。このユニット名、気に入ればいいんだが」

ちひろ「一生懸命考えた名前ですからきっと気に入りますよ!」

P「だといいですね」

P「そうだ、これもついでに見せてあげるか」スッ…

ヤリザ「ええと、確かここを通ったら…」

卯月「あ、おはようございます!ヤリザさんたち!」

凛「おはよう、ヤリザたち」

ヤリザ「おお卯月殿と凛殿か、おはようでござる」

卯月「今日からレッスンなんですね!頑張ってくださいね!」

ヤリザ「礼を言うのでござる。拙者頑張るのでござる!」

ガチャ

菜々「おはようございます!」

ヤリザ「ん、何でござるか?」

菜々「えっ?…ってええええええええっ!!!?本物!?」

ヤリザ「むっ、そちらの女子は?」

卯月「あ、はい!彼女は私たちと同じアイドルの安部菜々ちゃんです!」

菜々「本物のモリンフェン!!!嘘っ!?夢見たいです!」

モリンフェン「えっ、姉ちゃん俺を知っているのか?」

菜々「はい!子供のころパックを剥がして何枚か当たったことがあります!」

菜々「それでデッキを組んだこともありました!懐かしかったですね~」

菜々「モリンフェンの魅力に惹かれてモリンフェンデッキとか作ったこともありました!」

モリンフェン「おお!俺のデッキを作ってくれるなんて嬉しいぜ!」

モリンフェン「俺ってすごく扱いにくいカードなのに…姉ちゃんありがとな!」

菜々「いえ、こちらこそ昔の懐かしい思い出を思い出させてくれてありがとうございます!」

モリンフェン「そうだ、今度一緒にどっか食事でもどうだ?」

モリンフェン「どんなデッキを作ったりしたのか知りたいんだ!」

菜々「お食事ですか?それなら…」

卯月「………」

卯月(遊戯王は15周年目、菜々ちゃんは17歳)

卯月(17-15=…)

凛(卯月、それ以上はダメだよ)

ヤリザ「二人とも、話し込んでいる中悪いのでござるがそろそろレッスンの時間でござる」

モリンフェン「おっと、そうだったな。それじゃあな姉ちゃん」

菜々「また今度ゆっくり話しましょうね!」

卯月「また後で!」

ハングリーバーガー「それじゃあ」

凛「じゃ」

トレーニングルーム

ベテトレ「えー、ではこれからお前たちを立派なアイドルになるためにとことん鍛えさせる」

ベテトレ「張り切ってやるんだぞ」

ヤリザ「心得た」

ルキトレ「お姉ちゃんのアシストをする見習いトレーナーです♪」

ベテトレ「それじゃあ…」

ヤリザ「・・・」

モリンフェン「・・・」

ハングリーバーガー「・・・」

ベテトレ(何だ、この異様な軍団は…この中に私も混ざるのか…)

ベテトレ「…じゃあ、私の動きに合わせて踊ってみてくれ」

ヤリザ「心得た」



ベテトレ「はい、ワンツースリーフォー。ワンツースリーフォー」タタタッ

ヤリザ「はっ、はっ…」タタタッ

モリンフェン「ほっ、ほっ…」タタタッ

ハングリーバーガー「うわあ!」スッテン!!!

ヤリザ「大丈夫でござるか!?」

ベテトレ「どうした?怪我とかしなかったか?」

ハングリーバーガー「ううっ…、足をくじいたようです…」

ベテトレ(足ッ!?)

ルキトレ「ちょっと見せてください…」

ハングリーバーガー「はい…」

ルキトレ「う~ん、確かに捻ってますね」

ベテトレ(何ッ!?)

ルキトレ「無理はしないで休んでいてください。今湿布とか持ってきますので」

ハングリーバーガー「すいません…」

ベテトレ(妹よ…。お前は何が見えているのだ…)

――――――――――
―――――

ハングリーバーガー「うぅ…。ごめんなさい…私のせいでみんなに迷惑をかけてしまって…」

モリンフェン「気にするなよ、俺だって何度も手札に来たせいで迷惑がられたことあったんだからさ」

ヤリザ「拙者だってカードショップで大量に売り払われて店員に迷惑がられたことがあるのでござるから問題ないでござる」

ヤリザ「…って、互いの不幸を語り合うというのはなんとも言えないむなしさを感じるのでござる」

モリンフェン「不幸しか語ることがないということだからなそれ」

ハングリーバーガー「だったら幸福を語り合えるように頑張りましょうよ!」

ヤリザ「それもそうでござるな。いつまでも不幸ばかり語っていたら埒が明かないでござる」

モリンフェン「ちなみに今まで幸福だったことって何だ?」

ヤリザ「拙者はここでアイドルができることが一番幸福でござる」

ハングリーバーガー「私もです」

モリンフェン「それってカードとしてどうなんだ…?」

モリンフェン「俺たちはもともとカードだろ?カードとして使われることがカードの幸せじゃないのか?」

ヤリザ「無論、そのとおりでござるが拙者たちはクズカード。どうやってカードとしての幸福を掴み取るというのでござるか?」

ヤリザ「クズは所詮皆からゴミのように扱われる運命でござる」

ヤリザ「誰もが菜々殿のような心を持っていると思ったら大間違いでござるよ」

モリンフェン「それは…」

P「安心しろ、その点についてはフォローはしてある」

ヤリザ「プロデューサー殿!?」

P「この世に使えないカードはない。どんなカードにも必ず役割が存在する」

P「もちろんお前たちにも言えることだ。お前たちにしかできないこともある」

P「そして、俺はお前たちが活躍できるデッキを作ったんだ」

ヤリザ「まことでござるか!?」

P「ああ。ヤリザ、モリンフェン、そしてハングリーバーガー。お前たち三枚を積んだデッキだ」

モリンフェン「ハァ!?正気かよ!?俺たち三枚は全くシナジーがないんだぜ!」

モリンフェン「ハングリーバーガーや俺なんて事故にしかなんねぇし…。一体どうやって活躍させるんだよ!」

P「それは使ってからのお楽しみだ」

モリンフェン「楽しみか、なんか不安を感じるのは俺だけか?」

ヤリザ「それで、大事な話というのはデッキのことでござるか?」

P「いや、お前たちユニット名についての話だ」

ヤリザ「ユニット名…でござるか?」

P「ああ、お前たちにぴったりだと思うんだ」

モリンフェン「ていうか俺たちいつの間にか三人でユニットを組むことになったのか」

P「ユニットを組むならお互い仲をよく知っているほうがいいと思ってな」

ハングリーバーガー「確かにいきなり見ず知らずの人とユニットを組むのは少し緊張したりしますね」

ヤリザ「それで、ユニット名は何でござるか?」

P「ユニット名は『KONMAI』だ」

ヤリザ「こんまい?」

P「そうだ」

モリンフェン「KONMAIか…。俺たちにぴったりな名前じゃねぇか」

ハングリーバーガー「コンマイ…。いいですね!素敵だと思います!」

ヤリザ「うむ、さすがプロデューサー殿。こんな素晴らしいな名前を名づけてくれるとは」

ヤリザ「いつもいつも世話ばかりかけて申し訳ない気分でござる…」

P「なに、俺はプロデューサーとしてするべきことをしているだけさ」

P「そしてユニットには当然リーダーがいるわけだが…」

モリンフェン「リーダーか。なあヤリザ、お前がリーダーをやってくれないか?」

ヤリザ「拙者が?しかし拙者にはそのような広い器の持ち主であろうか?」

モリンフェン「俺はリーダー向きじゃねえしみんなをまとめる力はねぇ」

ハングリーバーガー「それに私たちをアイドルの道に進めさせてくれたのは他でもないヤリザさんじゃないですか」

ハングリーバーガー「既にやる気がなくなった私たちを復活させてくれたんです。リーダーの素質はありますよ!」

ヤリザ「なるほど。二人が言うなら拙者がリーダーを勤めるのでござる」

P「決まりだな。よろしく頼むぞヤリザ」

ヤリザ「うむ!」

ヤリザ「それでは改めて、チーム『KONMAI』!ファイトでござる!」

モリンフェン「ああ!」

ハングリーバーガー「ええ!」

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