幼「ややっ?これは男殿!お久しぶりでござるね!」
男「…」
幼「拙者に何か言う事でもあるでござるか?男殿」
男「…あのさ、幼」
幼「デュフフ?何でござるか?」
男「…夏休みの間に何があった?」
幼「ドゥフフ。それは秘匿事項でござるよ。コポォ」
男「…」
・
・
・
幼姉「あら、男ちゃん。お久しぶり」
男「あ、お久しぶりです、これ、田舎のお土産です」
幼姉「あら、わざわざどうもありがとうね」
男「そんな事より、幼姉さん!」
幼姉「あら、なあに?」
男「幼姉さん、幼に何をしたんですか?」
幼姉「あら?何の事?」
男「幼の様子がおかしいんですよ!」
幼姉「?」
男「今、家の前で会ったんですけど…」
幼姉「あら、そうね。たった今、外出したわね」
男「あんな酷い格好で…どこに出掛けたんですか?」
幼姉「あら、アニメイトに突撃って言ってたわねー」
男「…服は薄汚れてて、髪もボサボサ、しかもちょっと臭かったし」
男「言葉使いもおかしかったんですよ!」
幼姉「あら」
男「俺が田舎のじいちゃんの家に行ってた間に」
男「幼に何をしたんですか?」
幼姉「あら。んー…そうねぇ…」
幼姉「強いていうなら…」
幼姉「機械オンチだったあの子に、パソコンの使い方を教えた位かしら?」
男「…パソコン?」
幼姉「使い方をちょっと教えてあげたら」
幼姉「すっごくハマっちゃったみたいでね」
幼姉「あの子、自分の貯金でパソコン買ったのよ」
幼姉「男ちゃんが田舎に行ってた間…2週間くらい?」
幼姉「ずーっと部屋でネットしてたみたい」
男「なるほど…今度はネットか…」
・
・
・
幼「おや、男殿、拙者の部屋で何をしているでござる?」
男「その紙袋…いや、別にそれはいいか」
幼「ちょ!拙者のpcを勝手に起動とは!」
幼「いくら幼馴染の男殿でも、それは殺生でござる!」
男「あぁ、このフォルダの中身の事か?」
幼「ちょ!やめるでござる!やめるでござる!」
男「もう全部見た」
幼「え?」
男「ネットの履歴も、隠しフォルダの中身も全部見た」
幼「」
男「お前は何をやってるんだ、幼」
幼「あ、あの…拙者は…」
男「そのキモい喋り方は止めてください」
幼「…」
男「さぁ、説明を頼む」
幼「…あの、お姉ちゃんに、ですね」
男「パソコンの操作習ったんだろ?それは幼姉さんから聞いた」
幼「それで、ですね…」
男「…」
幼「最初は、普通に有名人のブログ見たりしてたんですよ」
男「うん」
幼「それで、ある時ですね」
幼「無料でアニメを見られるサイトを見つけたんですよ」
幼「で、見始めたら、止まらなくなってですね」
幼「二次元の素晴らしさに目覚めて、ですね」
男「…」
幼「で、そのアニメについて、もっと深く知ろうと思ってですね」
幼「ネットで色々調べていたら、その…」
幼「2ちゃんねるにたどり着きましてですね」
男「…」
幼「で、見始めたら、止まらなくなってですね…」
幼「ちょこっと影響を受けちゃった感じでですね」
男「そして、今に至るのか」
幼「そうなのでござる、デュフフ」
男「…おい」
幼「あ、すみません…」
男「…今までにもこう言う事が何度かあったよな」
男「釣りにハマって、大物釣った女子高生って、新聞に載ったり」
幼「あぁ、あったね、そんな事も」
幼「あの時のマグロ、美味しかったよね」
男「美味しかったけど、それは別の話だ」
幼「…」
男「模型作りにハマって」
男「本格的な帆船模型作って、全国のコンテストで入賞したり」
幼「…あの頃は若かったねー」
男「手品にハマって、高校辞めて、弟子入りしようとしたり」
幼「あの時は止めてくれてありがとうね、男」
男「映画にハマって、自主制作で映画1本撮ってみたり」
幼「あれも若気のいたりって事で…」
幼「それにあれは幼友も一緒になってやった事だよ?」
男「別に責めてる訳じゃないよ」
男「文化祭で上映した時、大喝采だったもんな」
幼「ドゥフフ、照れちゃうでござるよ」
男「…」
幼「あ、すみません…」
男「…幼」
幼「はい…」
男「お前は…飽きっぽいのが玉に傷だが」
男「凄く器用で、何でもこなせる」
男「正直凄いと思う」
幼「えっへっへ。褒めすぎだよ、男ってば」
男「でもな、今回のは酷いぞ、幼」
幼「…」
男「幼、今の自分の姿をどう思ってるんだ」
幼「…」
男「最近、風呂に入ったのはいつだ?」
男「最近、鏡見たのはいつだ?」
男「そのジャージ、最後に洗濯したのいつだ?」
幼「…」
男「二次元のキャラを好きになる事、別に悪いとは言わないよ」
幼「そう!そうなんだよ!」
幼「アニメや漫画のキャラには無限の可能性があるんだよ!」
幼「私が今、一番好きなのは…」
男「…あのな、幼」
幼「なつ…なに?」
男「それこそ次元が違うんだ」
幼「…」
男「俺なら…」
幼「え?」
男「俺なら、三次元だ」
幼「何言ってるの?」
男「…ずっと内緒にしてたんだけどな、幼」
幼「何を?」
男「俺はお前の事が好きなんだ」
幼「へ?」
男「真剣に交際したいと思ってた」
幼「あ、あの…え?」
男「俺は、返事も返さない、アニメのキャラとは違うぞ?」
男「幼は俺の事、どう思ってるんだ?」
男「…」
幼「…」
幼姉「あら、なんでそこで2人とも黙っちゃうの?」
幼「お、お姉ちゃん?」
男「み、見てたんですか、幼姉さん」
幼姉「幼ちゃんを変にしちゃったの、私みたいだから」
幼姉「責任感じて、ね?」
幼「だからって盗み見るのはダメだよ、お姉ちゃん!」
幼姉「あら、いいじゃない」
幼姉「幼ちゃんたら、男ちゃんの事、ずっと好きだったのに」
幼姉「言い出せずにいたんだから」
幼「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!何言ってるの!」
幼姉「それに男ちゃんが告白する切っ掛けを作ったんだから」
幼姉「結果から言えば…」
幼姉「私は2人の愛のキューピット?」
幼「…」
男「…」
幼姉「もう、ちゅーしちゃいなさいよ!ちゅー!」
幼「もう!出て行って!」
幼姉「あら。はいはい、行きますよ」
幼「お姉ちゃんてば…」
幼「…」
男「…」
幼「…ま、まぁそういう訳で」
幼「私も男の事…その…ずっと好きだったよ」
男「そ、そうか」
幼「そ、そうだよ」
男「それじゃ、俺たち、相思相愛って事で良いのかな?」
幼「…うん」
・
・
・
幼「二次元最高!」
男「…」
幼「何よ?何か文句でもあるの?男」
男「夏休み終わる前に、元の姿に戻れて良かったな、幼」
幼「元の姿って何よ?」
幼「私はいつでも自分に正直に生きてるわよ」
男「1週間前のお前の姿を、今のお前に見せたいよ」
幼「…」
男「…俺たち付き合ってるんだよな?」
幼「そうね」
男「これから夏休み最後の日を楽しむために」
男「遊園地にデートに行くんだよな?」
幼「その通りね」
男「なのに、まだ二次元最高って言うのかよ」
男「俺、三次元だよ?」
幼「それはそれ!これはこれ!」
幼「理想と現実をごっちゃになんてしないわよ!」
男「…」
幼「三次元で一番好きなのは男よ!」
男「…おう…はっきり言われると照れるな」
幼「でも二次元では…」
男「ストップ!」
幼「夏目君が一番だわ!」
男「俺、ストップって言ったよね?」
幼「私の夏目君への愛は、とまらないわよ!」
幼「夏目×田沼!イイじゃない!ハァハァ」
男「…」
幼「デュフフ…名取さんも捨てがたい」
男「…」
幼「何といっても、声が石田さん…って」
幼「待ってよ、男!」
幼「先に行かないでよ!」
男「…」
幼「…泣いてるの?」
男「…ちょっとだけ」
幼「…もう、しょうがないわね、男ってば」
チュッ
男「!」
幼「…これでわかった?」
男「…何が?」
幼「私がどっちを大切に想っているか、よ」
男「…お、おぉ」
幼「だから…」
男「だから?」
幼「私が二次元好きなの、許してよね?」
男「まぁ、個人の趣味だもんな…」
幼「だから、遊園地に着くまで…」
男「…嫌だ!」
幼「私が夏目君をどれだけ愛しているのか聞いて!」
男「嫌だって言っただろ!」
おわり
これで終わりです
読んでくれた人がいたら嬉しいです
次スレは
幼馴染「馬鹿とはなんだ!」男「落ち着け」
って名前で立てたいと思います
では。
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