アムロ「…シドニア?」 (313)

アムロ『シャア、もういいのか?』

シャア『ああ。後は彼らに任せるさ』

…彼ら、か。

彼ら若者がどれ程この世界を変えてくれるのか。

人の可能性を信じ続ける彼らが。

…あの緑色に輝く機体を見れば、それはもう一目瞭然なのかもしれない。

…もう、心配する必要は無いか。

後は任せよう。

あの若い子供達に。

出来るさ、きっと。

…。

……。

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「…ん」

暖かい光で目が覚める。

「…」

妙に感覚の残る身体を起こし、辺りを見回す。

ここは、どこだろうか。

天国…いや、地獄か?

どちらにしても、妙だ。

あまりにも生活感があり過ぎる。

人の気配もする。

「…」

見回す限り一番大きいのは…。

あの炭鉱だろうか。

煙突から煙を上げる建物。

「…」

動いているという事は、誰かが動かしているという事だ。

「…」

死後の世界でも、人は働くのだろうか。

ふと自分の着ている服に目をやる。

白のパイロットスーツ。

死んだ時のまま幽霊になるというのは聞いた事がある。

しかし、これはどういう事なのか。

「…」

手足、指先の感覚がある。

頭もはっきりしている。

嗅覚も、聴覚も変わっていない。

気になって頬を抓ると、痛覚も残っている事に驚く。

「…何が、どうなっているんだ?」

一人寂しく呟いてみたが、ここにはチェーンも、アストナージもいない。

…人は不安になると、話し相手を求めようと必死になる。

それは自分自身も例外ではなく、自然と立ち上がり人を探し出した。

何故かここは、階段が多く、傾斜道が多い。

まるで閉鎖された空間の中に作られた世界に見える。

まるで何処かのコロニーのようだ。

それは、作られた世界。

自然ではなく、人工的に作られた世界。

「…」

一抹の不安を抱えながらもやがて、人の気配が色濃く感じる所まで辿り着く。

人々の話し声も聞こえる。

…死者の魂は、こうなるのだろうか。

半信半疑ながらも、歩を進める。

それと同時に、願う。

どうかこの先に待っているものは、平穏な世界であってくれと。

「…」

二つの建物の間を抜けると、ちらほらと人が歩いているのが見えた。

普通に話し、普通に歩いている。

中には笑いながら、中には真剣な話をする者もいる。

なんて事ない日常生活を送っている。

だが、何だ。

どこかおかしい。

「…」

歩いている人間達は皆、同じ格好。

白の軍用服に、腰に妙なアクセサリーをつけている。

お世辞にもオシャレという事は言えない。

そのアクセサリーは、恐らく何かに引っ掛ける類のものだろう。

腰部についているという事は、自身の身を安定させるためのものか、何かをぶら下げるものか。

いずれにせよ、私服には見えない。

…そういえば、この世界には至る所に手すりがついていたな。

老人向けのユニバーサルなデザインにしては、急な階段も多かった。

…すると、これは前者か。

身を安定させるという事は、何かしらの揺れや、突発的な災害。

…少なくとも、それをするという事は、死者の世界ではなさそうだ。

だとすると、自分はまだ死んでいないという事になる。

「…」

自身の喉から、口から出た息は溜息なのか、安堵のそれなのか。

「…?」

ふと視線を感じ、前を向く。

いや、視線は一つじゃない。

…周りの人間ほぼ全てが自分を見ている。

指差す者や、稀有な視線を向ける者。

ここで自分が着ているものは、決して常用するものではない服装だという事を思い出した。

考えも無しに出てきたのは間違いだったか。

しかし、今の自分にはそれ以外の選択肢は無い。

…しかし出てきたとはいえ、これからどうするのか。

あまり立ちすくんでいるのも、良くないな。

あまりこの視線には耐えられそうもない。

人がいる事が確認出来ただけでも収穫とするしかない。

ひとまず何処か人気の無い所に行くとしようか。

そんな事を考えていると、自分の前に一人の少年が近づいてくるのに気づいた。

その少年は、自分を不可思議な目で見ている。

しかし敵意が無いという事は瞬時に見てとれた。

こんな純粋な気を感じたのは久しぶりかもしれない。

その少年の瞳は、真っ直ぐに自分を見つめ、曇り一つない。

…クェスやハサウェイと出会った時の事を思い出す。

あの時の彼らは、純粋で、透き通ったガラスのような目をしていた。

…だが、そのガラスは、簡単に濁ってしまう。

透明であるそれは、裏を返せば何色にもなれる、という事。

空のように青い色もあれば、黒く濁った色にもなる。

…ハサウェイ。
今、君は何色なんだろうな。

「…あ、あの…」

「!」

考えに耽っている時、それは目の前の少年によって遮られた。

「…あの、ええと…」

…何かを話そうとしている。
だが何と声をかけていいのか分からない、という感じだろう。

…それは俺も同じだ。

「…すまない。もし良ければ教えてほしいんだが…ここはどこなんだ?」

「…えっ…」

こちらにとっては重要でも、向こうには訳が分からない質問なんだろうな。

「…ええと、ここは…シドニアという所で…」

「…シドニア?」

シドニア。

今彼はそう言った。

…シドニア。

…そんな惑星やコロニーの名前は存在しない。

自分が知らないだけかも分からないが。

「…」

「…」

こんな不審者に話しかけてくれる優しい少年。

有難いものだが、何を話していいものか。

…こんな時、シャアなら何を話したのかな。

「…あの、俺、谷風 長道といいます」

タニカゼ・ナガテ?

…変わった名前だ。

…いや、もしかしたらこの世界では至って普通の名前なのかもしれない。

「…僕は、アムロ・レイだ」

…今思えば、この少年と出会った事が、幸か不幸なのか。

…俺の人生観では、どちらとも言えないな。

先程の少年に連れられてきたのは、のどかな風景と打って変わって近代的で何処か殺伐とした空間。

見渡す限り、男女の違いはあれどやはり皆が同じ服装。

そして先程と同じで皆が自分を稀有な視線で見る。

正直、着替えたいと思うが。

…今の自分には衣服はおろか、所持金も無い。

「…」

部屋の大半を占めるモニターに、それを眺める者達。

それらから察するに恐らくここは、ブリーフィングルームだろうか。

…。

自然とその考えに至ったが、それはある事を意味する。

それがあるという事は。

この世界でも、何かが起きている。

戦争か、あるいは。

「…あの、谷風さん。部外者…?を入れるのは許可していませんが…」

「あ、ご、ごめん…でも、こういう時は纈かな…って」

「こういう時…?」

ユハタと呼ばれた少女はこちらを一瞥すると、何やら目を細めて首を傾げている。

知り合いであろうナガテに紹介されたどこの馬の骨とも知らない中年男性。

彼女の反応は至って正常だ。

「…?」

が、その目はどうやら俺の顔ではなく、パイロットスーツに向けられていた。

「…?」

一角獣を模した我ながら良い出来と思えるマーク。

彼女はそれをじっと見つめ、やがてハッとして手首につけられた何かをいじりだした。

「!」

するとそこからは液晶モニターなどを介さずに空中に映像が現れ、そこに映る何かにコソコソと語りかけていた。

「…僕は、彼女に何かしてしまったかい?」

「い、いえ!そんな事は無いと思います」

大袈裟に手を振るナガテに少し微笑ましさを覚えたが、それもすぐに何者かの声によりかき消された。

「!!」

何かが、得体の知れない何かが俺に近づいている。

邪気ではないが、何か危険をはらんだ気だ。

その気はやがて色濃くなり、視界の隅に現れた。

「…ほう。お前が…」

下からせり上がってきたその女性は、仮面をつけていて表情が読めない。

敵意は感じられないが、それに似た何かは感じ取る事が出来た。

警戒。

そう言うのが正しいのだろう。

仮面をつけていても、分かる程の警戒心。

…仮面をつける奴ってのは、そういう感じしかしないのは、一体誰のせいなんだろうな。

「…君は?」

「…お前は?」

「僕は、アムロ・レイ。地球連邦軍の大尉だ」

「…地球…連邦軍…?」

地球。

そのキーワードを聞いた瞬間、周りの空気が一瞬どよめいた。

まさか、地球を知らないと言う事はないだろうが。

…いや、あり得なくはないか?

「…どうやら、お互い相入れないはずの存在だったようだ」

そう言うと彼女はこちらに向かって降りてきた。

いや、降りてきたというのは語弊がある。

俺の前を悠然と通り過ぎ、俺とナガテが通ってきた扉を抜け、扉一枚挟んだ所で立ち止まった。

「…」

首を少しだけこちらに向ける。

それは、ついてこいというサインだった。

「…」

彼女に着いていって、俺はどうなるのか。

訳の分からない精神異常者として扱われるか、危険分子として撃ち殺されるか。

だが、逃げられるような空気でもなさそうだ。

「…」

ナガテに礼を言い、一人彼女に着いていく事が、今の俺の最善の道といえた。

「…昨晩、シドニア上200km地点で突如大型惑星が発見された」

彼女に連れられたのは、死刑執行部屋でも、監禁部屋でもない。

厚さ1mはあろうかというガラスに覆われた外を見渡せる部屋。

ここは彼女のプライベートルームなのだろうか。

それより、外の空間を見て気づく。

ここは、惑星ではないと。

惑星はこんな移動はしない。

重力に引かれて振り回され、自転するそれと違い、ここは意思を持ったかのように真っ直ぐに進む。

つまり、コロニーとも違う。

言うなれば、ホワイトベース。

それも、もっと規模の大きいものだ。

…まだまだ俺には知らない事が多すぎる。

「…そして、先進隊を向かわせた所、妙な物を発見した」

妙な物。

それは何だろうか。

…いや、もういい。

もう彼女が何を俺に見せようとしているか、よく分かった。

…まさか、ここまで来て、また会う事になるとは。

「…あれを、見ろ」

「…」

シドニアという巨大な戦艦の外に繋がれたそれを指差す彼女。

覚えているさ。

俺が作らせたんだからな。

「…vガンダム…」

「…ニューガンダム…それが、あれの名前か」

この世界が、あの後なのか、前なのか、というよりこの世界は俺のいた世界なのか。

それは分からないが、一つだけ理解出来る。

俺は、また、戦わなければならないという事を。

「…人は、同じ過ちを繰り返すのか…?」

既に燃料切れしたガンダムは、光を失いただ鎖に繋がれ浮翌遊する[ピザ]リもどきと化している。

動くかどうかも怪しいが。

この世界でも、恐らく戦争まがいの事をしているのだろう。

俺の疑問に彼女は、解決する言葉を持っていないようで。

外に向き直り、沈黙する事で答えた。

http://youtu.be/xE6SAE1tCEE

第1話 終

また明日書きます

>>15

「…そして、先進隊を向かわせた所、妙な物を発見した」

妙な物。

それは何だろうか。

…いや、もういい。

もう彼女が何を俺に見せようとしているか、よく分かった。

…まさか、ここまで来て、また会う事になるとは。

「…あれを、見ろ」

「…」

シドニアという巨大な戦艦の外に繋がれたそれを指差す彼女。

覚えているさ。

俺が作らせたんだからな。

「…vガンダム…」

「…ニューガンダム…それが、あれの名前か」

この世界が、あの後なのか、前なのか、というよりこの世界は俺のいた世界なのか。

それは分からないが、一つだけ理解出来る。

俺は、また、戦わなければならないという事を。

「…人は、同じ過ちを繰り返すのか…?」

既に燃料切れしたガンダムは、光を失いただ鎖に繋がれ浮翌遊するデブリもどきと化している。

動くかどうかも怪しいが。

この世界でも、恐らく戦争まがいの事をしているのだろう。

俺の疑問に彼女は、解決する言葉を持っていないようで。

外に向き直り、沈黙する事で答えた。

youtu.be

第1話 終


アムロの方はともかくシドニア側の時間軸だとどの辺りなのか

>>20
浮翌翌翌遊×
浮翌遊○

何だよ浮翌翌翌遊って…

>>25
アニメの2期でお願いします

>>26

浮遊


こりゃ面白い、期待

デブリ以外にも魔力とか浮遊とか、一部のワードはsagaつけないと表示がおかしくなる>表示エラー

>>29

┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /

  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。
       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
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   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄

  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

初めての人はここへ行け

http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1432735272

>>31
初めてじゃないんだけど、今まで見ずにやってました…申し訳ない

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