韋駄天ジョニー(ただ俺にはたった一つだけ誰にも負けない事がある)
ジョニー「山下さん」ヒュン カコッ
ジョニー「武岡さん」ヒュン カコッ
ジョニー「城之内さん」ヒュン カコッ
城之内「おっ今日もバイクに乗りながら投げてるのにポストへ百発百中だな。ありがとよ!韋駄天!」
ジョニー「礼はいら」
ピューーーーーーーーン
城之内「ありゃ時速40Km越えてんな」
ジョニー(誰よりも早く新聞を届ける。皆さんが朝、新聞を読む大事な一時を何があっても守る。
それが俺のポリシーだ。少し制限速度を越えるのは俺のポリシーの前には小さい事)
ジョニー「次は遠いな。飛ばすか」ピューーーン
タッタッタッタッタッタ
ジョニー「っ!」
男「」タッタッタッタッタッタ
ジョニー(俺と互角の速さだと!?)
ジョニー(こ、この男...韋駄天と呼ばれた俺の前を常に一定の距離を保って走ってやがるッ!)
ジョニー(表情は見えないが余裕を感じられる走りだ...まだ上がるぞこいつ)
男「」タッタッタッタッタッタ
ジョニー(く、悔しい!悔しくてたまらねぇ!だが俺はしがない新聞配達員。怖いもの知らずだったライダーの頃とは違う)
ジョニー「田中さん」ヒュン カコッ
田中「や~~~~ま~~~~n」
ジョニー「御坂さん」ヒュン カコッ
ドォン!!!バリバリバリバリバリ
ジョニー「巴さん」ヒュン カコッ
巴「円環の理から導かれてきたのね」
男「」
ジョニー(何度か道を曲がっているのにまだ俺の前を...。完全に喧嘩売ってやがる)
ジョニー(ふふふ....その喧嘩、買ってやろうじゃねーか)
ジョニー(時速50km。付いてこれるか?)
ギュルルルルピューーーーーーーーン
男「」
ジョニー(なっ....)タバコポロッ
ジョニー(変わらねぇ...何も変わらずに付いてきやがる!いや先行しているんだがまさか付いてこれるとは)
ジョニー「は...ははははははは!!面白い、面白いぞ!青年!」
ジョニー「あっモンキー・Dさん」ヒュン カコッ
ジョニー「青年!!俺の前を走るならケツに気を付けることだ!タイヤの跡取れなくなっても知らねぇぜぇ!」
ジョニー(時速60km。これが原付の最高速度だ!!!)
男「」
男「ハッ」
男「ハァ...ハァ...」
ジョニー(付いてくる...だとぉ!!?人間技じゃない。なんなんだコイツ!!!!)
ジョニー(だ、だがさすがの青年も疲労を隠せないようだな。当然だ。人間の最高時速はオリンピック選手で本来40km程度。最初から無謀だったんだこの喧嘩は。ここまで付いてきただけでよくやったよ)
ジョニー(そろそろスタミナが切れる頃だろう。楽しかったぜ。青年との喧嘩はよ)
男「ハァ...ハァ....」
男「ハッ」
男「」
ジョニー「なにィぃぃぃぃぃ!?」
ジョニー(この速度で呼吸を整えただと!?)
ジョニー(上がった速度に体を慣らしたってのか。何て奴だ。飛ばしちまったせいで燃料も残り少ない。熱くなりすぎて仕事を達成できなくなっちまった。俺の...負けだな)
男「」タッタッタッタッタッタ
ジョニー(.......)
ジョニー(と言いたい所だが...疼くんだよォ。長い間忘れちまってたライダーの血が!!)
ジョニー(原付を密かに改造していたのは過去の栄光が忘れられなかったからなのか....韋駄天ジョニーここに復活だ!!!)
ブンブブンブーーーーン!!!
ジョニー(65...70............75km)
男「!?」
男「くっ...ハァ...」
ジョニー(付いてくるか.....ははは!認めてやるよ。青年は今まで出会った誰よりも速い魂を持っている)
ジョニー(だが俺は...それよりも速い!!)
ブオオオオオオオオオオオオオン
ジョニー(90km!!どうだこの速さ!)
男「うぅ...ハァハァハァハァ」
ジョニー「息が上がっているぞ青年」
男「ハァハァハァ..くっ」
ジョニー「差が縮まってきたな。後50cmで俺の勝ちだ」
ジョニー「よくやったよ青年は。戦いの後の握手だ」スッ
男「ゼェハァゼェハァ.....」
ジョニー「さすがに余裕がないか。原付の燃料が切れたら俺の行き付けの店へ行こう。新聞配達はもう間に合わない。握手はそこでいい」
ジョニー「新聞を待ってる皆さんには申し訳ないが青年の熱意に答えてやるのが大人としてッシャァァァァァァァァァァァァァァ」
ジョニー「やっと抜いたぜぇぇぇぇぇぇ!!ひゃっほおおおぉぉぉおう!見ろ青年ンン!!!俺がおまえより先に走ってるぜ!!!ざまぁみろ!!クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
男「ハァハァハァ...」
ジョニー「おまえみたいな若造が俺より速いわけ、ねぇだろうがぁぁぁ!!ベロベロベロベロバァァァッ!!」
男「ハァハァハァ...」
男「う....うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ!!!!!」ズダダダダダダダタシューーーーン
ジョニー「なっ.......加速した」
男「ぐぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ」シューーーーーーーーーーン
ジョニー「魔改造を施した俺の隼ブンブン丸が負けるなんて....う、嘘だ」
ジョニー「うわぁぁぁぁ!!コイツをひけぇぇぇ。隼ブンブン丸!おまえならやれる!まだ速くなれるんだ!!」ガンガン
プップー
ジョニー「トラック!?危ねぇ青年!!」
ガッシャァァァァァァァン
ジョニー「うぅ............俺としたことが。」ヌルッ
ジョニー「なんだこれ。あったけぇ.......血じゃねぇか!」
ジョニー「!?」
ジョニー「青年!」
男「....痛っ」
ジョニー「大丈夫か!?青年...バイクとトラックの間に挟まれて...くっ」
ジョニー「青年が事故る瞬間バイクを素手で止めて速度を落としてくれなかったら俺は死んでいた...しかもクッションになって衝撃を抑えるなんて。無茶をしやがる。今、医者を呼んでやるからな!!気をしっかり持つんだ!」
男「よかった...」
ジョニー「ああ、助かる。大丈夫だ」
男「新聞屋さんが無事でよかった」
ジョニー「なに?俺の事なんてどうだっていい。それより青年が...」
男「ばあちゃんの占いに今日新聞屋さんが速度制限を3倍以上越えた速度を出して勢い余ってトラックにひかれて死ぬって結果が出たんだ...」
ジョニー「俺が..!?」
男「父ちゃんいつも新聞が届く前に出勤するから新聞が読めなくて困ってたんだ。けど新聞屋さんがこの地区の当番になってから父ちゃんが起きた時には新聞が届いてて新聞読めるようになった。
父ちゃんすごく新聞屋さんに感謝してた。俺も父ちゃんの笑った顔が見れて嬉しかった。新聞屋さんには死んでほしくなかった....ゲホッ...」ドシャッ
ジョニー「だから俺の前をずっと走ってたのか。それなのに俺は...青年に抜かれたのが悔しくて青年をひこうと....すまない」
男「いいんだ...俺、不器用だから言葉で伝えるのが苦手で..うっ..よく誤解されるんだ....ゲホッ..」トバァ
ジョニー「いや悪いのは俺だ!青年は悪くない!!もう喋るな...血が..」
男「新聞屋さん...一つ約..束して」
ジョニー「!!..なんだ。なんでも言ってくれ」
男「父ちゃんに毎日新聞を届け.......て.........」ガクッ
ジョニー「青年..............せいねんんんんんんんんんんんんん!!!!!!」ガバァ
半年後
ジョニー(俺はジョニー。しがない新聞配達員だ。だが俺にはたった一つ誰にも負けない事がある)
ジョニー「うずまきさん」ヒュン カコッ
ジョニー「やーさん」ヒュン カコッ
ジョニー「山根さん」ヒュン カコッ
ジョニー(誰よりも早く、確実に安全運転で新聞を届ける。そのためのスケジュール管理は綿密に行っている。速度制限の時速30kmは何があっても越えない。俺が事故で仕事をできなくなれば困る人が居るからだ)
ジョニー「青年!」ヒュン
男「ナイススロー」パシッ
ジョニー「ナイスキャッチ!気を付けて学校行けよ」
男「うん!」
ジョニー(あの日の事は一生忘れない。俺の大事な教訓だ。だが一つ引っ掛かっていることがある)
青年が俺の前を走らなければ速度制限の3倍以上の速度を出す事はなかったんじゃないか?
終わり
乙
みんな!交通ルールは守ろうぜ!
最近スッキリしたSSが増えて良いね
この町やたら有名人の家が多いな
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