ライダー「さてマッサージしましょうか、マスター?」 (22)

聖杯戦争なる魔術師同士の殺し合いがあった。
冬木とかいうどこか、田舎だか都会なんだかよくわからん地で行われていた儀式が三度目にして破綻し、世界中にその儀式の中身が漏れたらしい。

以来、この世界ではたまに擬似聖杯戦争なる、猿真似の戦争がたまに起こるらしい。

日本でひっそりと魔術師をやってた私はそれの飛び火をくらい、半ばヤケクソで参加し、ライダーと出会った。
詳細は省くが参加者の大半は《なんちゃって魔術師の学生》ばかりでつまるとこ召喚した英霊で犯罪まがいのことをしたかっただけのようだった。

魔術師的に、ウザかったので殺して殺して殺しまくってたら、優勝した。

猿真似戦争だったので聖杯なんぞなかったが、参加者の奴らから生きたまま引き剥がした擬似魔術回路神経を適当に生かす実験に成功した。

ぶっちゃけ何がしたくて、何が起こったかと言うと、私は戦争後もライダーを現世に繋ぎ止めたくて、繋ぎ止めたのだ。

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チャプ

「ふー、やっぱシャワーより風呂よね〜」

今日も今日とて、何でもない日だった、適当に中間の点数を取り、適当に教師と進路を語り合い、適当に男子に告られて、適当にそいつの彼女と取り巻きにリンチされる。
いつも通り、今日とて事もなし。だけど

「疲れだ〜!!」

これくらいは言わせろ。
殴るのは良い、蹴るのは良い、だが服を汚すな、破るな、髪切るな、あと体に油性ペンで落書きすんなや!
どう誤魔かせば良いのよ!

「ライダーにどう言いすりゃいいのよ…」

はぁ。溜息が出る。
頼むから、あいつにだけは心配かけたく無いから。
浴槽の中でゴシゴシと身体を擦る、胸のあたりの文字を消す時、

「ひぎっ!!?」

肩がズキっと、まるで工具で内側ん掴んで捻られる感覚がして

反射的に身体を思いっきり捻ると、次は腰から背中、あるいは後頭部に及ぶ範囲に同様の激痛が走る。

「あぐっ!?」

意味もわからず、泣きながら浴槽の中で暴れ狂っていると

ガラッ、と風呂の入り口が開き、お風呂セットを抱えたライダーと目があった。

ライダー「いったい何をしているのですが?マスター?」

ライダー、真名はかのギリシャの蛇の怪物。名前は本人が嫌ってるので心の中でも言わない。
ただ、ペガサスやらペルセウスでググれば百パーセント出てくるあの怪物だ。

だが目の前にいるのは、それになる前の姿だ。

ライダー「…?どうしたのですかマスター?今さら私の顔も裸も珍しく無いでしょう?」

流れるような足元に届く紫紺の長髪、女神のような、と言うより女神に違わぬ高い身長と完璧なプロモーション。
つまり、大きすぎず、小さすぎない清楚な胸に。
ほどよく鍛えたスラッと長い脚線美。
それよりも私が好きなのは。

「ら、ライダー、き、今日も綺麗な眼ね、結婚して」

伝説で蛇と例えられた、私が宝石と例える。
彼女が見るだけでなく、見た相手すら石に変える最上の魔眼の一つ。
だけど、そんなことは関係無く、私はその眼と、そして彼女のクールで、そのくせ、たまに見せる弱々しい顔が大好きだった。

ライダー「はぁ…何度も言いますが、嫌です、他をあたってください」

バッサリ切ったが、だが若干顔が赤い、そして目線は下、私は彼女がバイセクシャルなのは知ってる。
ふへへ、何度もアタックするものだ、一万と二千回目にしてようやく思いは成就せり!!

今夜は、いや、今ならこの場で押し倒しても許される!!

5秒後に詠唱破棄による魔術回路起動!水の性質、形状を変化、深海レベルの水圧により手足を拘束、一瞬の隙を突き、対サーヴァント用の媚薬注射(常人用の二百倍)を強制注入し、強引に思いを遂げる!!

イメージを一瞬で作り上げ、魔術を予定通り組み上げる!!

ライダー「えっ!?きゃ!」

手足をいきなり拘束され驚くライダー、やばい、女だけど軽くイきそうになった。
だが第一段階オールクリア!!、続けてマウントを取り!首に直せ、

ゴリッ!

浴槽から飛びかかった瞬間、私の腰から異音が響いた。

空中から落下し、風呂場の床に倒れこむ、拘束魔術が私の意思とは別に解除される。

ライダー「◯◯!?」

よほど心配させたのだろう、呼んでほしくない名前がライダーの口からこぼれ出た。

「あ、っ、いつっ!」

床に倒れ伏したまま腰の激痛にのたうちまわる。
そういえば、最近こんな痛みが連日続いていたが、今日のは別格だ。
魔術回路酷使の弊害かと思ったが。
さすがに違うな、明らかに呪い、もしくは、じゅそ…!!?

グニッ

「ぴぎゃあああああ!!?ら、らいだー!?」

思考が一瞬で途切れた、正直何が起こったか全く理解できない!!
私のサーヴァント、ライダーが私の腰に親指を軽く押し込んだら口から悲鳴がでた。何を言ってるか全くわからねぇと思うが、私にもry。

ライダー「……マスター、コレ、凝りすぎですよ?」

「こ、凝りすぎ?な、何が?い、意味がよくわからないのだけど?!」

ライダー「…」

途端ライダーが悲しげに眼をふせる。
あれ?私そんなに馬鹿なこと言っただろうか?

ライダー「…ですか。そこまで…」

何か小言で言ってるが腰が痛すぎて上手く聴き取れない。
そのうちライダーは顔を上げて珍しくイタズラを思いついた小悪魔な顔で言った。

ライダー「さて、マッサージしましょうか、マスター?」

なんか知らんが私の股がジュンとした。

ゴメン、

多分エロ、レズ、本番無し
あとオリキャラマスターとライダーは第5次聖杯戦争のライダーです。

時間無いので今日はここらで、頑張れたら書きます。

あ、すみません、sageします。

>>7
『saga』だぞ、『saga』! 一字違いだけど『sage』じゃない

型月ではよく使う単語、『魔力』や『殺す』なんかが別の文字に勝手に変換されちゃうんだ

「は?マッサージ?」

はて、マッサージとはなんだっただろうか?

ライダー「他者が触れて、リンパ腺や筋肉を刺激してもらい、健康を整える作業です。ようはマスターの身体に私が触れて痛みをやわらげると言っています。ちなみに拒否権はありません」

?別に触れるのは構わないし、むしろ歓迎すべきだが、ライダーが拒否権を認めないなどとは珍しい。
ライダーはクールだが無理強いはしない、むしろ押されるのに弱いタイプのはずだが、これいかに?

「ふん?じゃ、じゃあお願いするわ、ライダー」

ライダー「承知しました。ではまず…」

そう言うとライダーは手近にあったボディーソープを体を洗う用に持参したタオルに比較的多めにかけて、摩擦し泡立てる。

シャカシャカシャカシャカ…。

なんだろう?
無言で泡立てる音が風呂の中でしばらく響く。
??あれ?なんか緊張?あるいはリラックス?してきたかもしれない。
どちらとも言えないが、なぜか安心する。
そのおかげか腰の痛みがやわらぎ、私はタオルからいつもより多い泡を滴らせ、美しい太ももに零す、一種の芸術的な光景に床に倒れ伏しながら見とれていた。

ライダー「ではまず、全身にボディーソープを塗りますので、あまり暴れないでください」

そう言ってライダーは私の背中から少しずつタオルで優しく私の体にボディーソープを塗り広げていく。

「……んっ」

背中からまずは上に、うなじに到達したら、そのまま右腕に、指先に到達するとそこから胸に、私の小ぶりな胸を、円を描くように優しく揉み、そのまま左腕へ。

「…んんっ」

脇と胸、あと指先に彼女の柔らかな手の感触をタオルごしに感じると身体が勝手に反応する。
もどかしい。
あと気持ちいい。
うっとりしながら私はなすがまま。

ライダー「ふふ、気持ちいいですか、マスター?」

左腕から帰ってきた彼女のタオルがまた私の胸に帰ってきた。
そのまま、また円を描きながら私の胸を揉むと、そのままお腹にむかう。
むかう最中に彼女の小指が私の胸の先端をタオルごしに軽くひっかける。

「ひゃい!」

それを聴くとライダーは目を細めニヤニヤしながら私の耳元に顔を近づける。
彼女の滑らかな髪が私の体の上を通る。
それだけの事がただ、快感で、私の体は震え、視線が強制的に上に向かう。

ライダー「安心してください。この後直接触れてあげますよ、優しくね」

そのままタオルが太ももを通って、右脚に、丁寧に脚の指先を通って、そのまま下腹部に到達。
指先のあたりで私の限界は見えた。

「ら、らいだぁ…」

小動物が大型の獣に喰われる前の懇願する顔になってるのが、自分でわかった。
それを見てさらに目を細め、ニヤニヤしながら黙殺。
絶妙な力加減で私の恥部を撫で上げると、そのまま左の脚に。
また指先をさらに絶妙な力加減で優しく、けれどもしっかりと触れながら。
そのまま脚をまた上ってくる。

ライダー「あら?イジメ過ぎましたね…」

気づいたら、いつの間にか私は全身を震わせ、両手で顔を覆っていた。
酷い。まるで生殺しだ。
こんな快感耐えられない。

「ら、らいだぁ?お、おわったぁ?」

ライダー「ええ、やっと下準備が終わりましたよ?」

その顔を見て、一つ理解した。
狩られる獣に、狩られる喜びがあるとすればおそらくこれに間違い無いと。

ライダーは全身ボディーソープ塗れの私の脇を抱える

ライダー「腰をやってしまったんでしたね、でしたら奇妙な体勢となりますが後ろ向きに私に寄りかかって座ってください、大丈夫、痛くしませんから」

私は言われたとおりの姿勢になる、つまりは背中から彼女に抱き抱えられた姿勢だ。

ライダー「ではまず腕から、ふふっ、少し興奮させてしまったかもしれませんからクールダウンしましょうか。目的はあくまでマッサージですからね」

すでに脳内に靄がかかってた私はそのまま彼女に体を任せた。

ライダー「ではまず、右腕から、少し圧迫しますよ?」

そう言って彼女は私の手首を両手で圧迫しながら包むとそのまま、両手をゆっくりと私の肩に向けて移動させる。
そしてまた、手首に戻りゆっくりと、少しずつ肩に向けて移動を再会する。

ギュ、ググググ…

二、三度目ほどで腕の中の捩れた痛みが緩和してきたことに気づいた。

ライダー「…よっぽど凝っていたんでしょうね。正直先ほどの行為はマスターの全身を脱力させるためでした。ですが、脱力してここまで筋肉が、硬いとは…」

そのまま、左で何度か往復させ、右手にも同様の処置を始める。
なんとなくだが、解放された右腕が左腕の半分程度の重さになっている。
それをライダーに伝えると、少し怒ったように

ライダー「それだけマスターが無理をしていたのです。自重しなさい」

と優しく叱られた。
やがて左腕のマッサージが終わると、

「…ライダー?なんか両腕が羽で体が鉛みたいに重いんだけど?」

ライダー「…そうですね」

「わ、私し、死んじゃうの!?」

ライダー「死にませんから。あまり腕をブンブン振り回さないでください、マスター!」

また、叱られた、どうやら今日は少しバカをしすぎたみたいだな。

体を彼女に預けた姿勢のまま、彼女は私の太ももに触れながら

ライダー「とりあえず、手足から先に終わらせないと、次は脚の方をやりますから、マスターはこの姿勢から動かさないでください」

ライダー「それでは、力まないでくださいね」

ライダーが私の足首から太ももまで、圧迫するように掴んではそのままゆっくりと手が昇ってくる。

ズズズッ、ズチュ…

泡立った石鹸と肌をすり合わせる音。
前後に身体を揺らし、何度となく背中に彼女の柔らかな乳房と肌が擦れる。

なんとなくだが、自分が疲れて、こうなってしまったんだとわかってしまった。
なぜなら体を揉まれるたびに襲ってくるこの衝動が睡魔だとわかってしまったからだ。

触れている彼女もわかっているだろうが、されている私もなんとなくわかった。
彼女の手の柔らかな感触に比べ明らかに私の内側は《石》を入れていると錯覚しそうになる。
その《石》が疲労で、彼女が「凝っている」と指した物なのだろう。
彼女はその《石》をゆっくり砕き、私の血液に溶かすように少しずつ、少しずつ、握り方や握る場所を様々に変えながら私の脚を揉み続ける。

ライダー「なぜ、こんなになるまで相談してくれなかったんですか…」

ボソッと、囁くような声が耳元から聞こえた。
囁きはくすぐったく、いつもの私であれば発狂するのだろう。
だが、耐えた。
私の脚を優しく、懸命に癒そうとする友達にそんなふざけた事はしたくなかった。

「ごめ、んなさい…」

きっと聞こえているし、それで寂しそうな顔を彼女はするんだろう。
いや思えば風呂に来て、暴れている私の髪や身体中の落書き後くらい簡単に見抜いていたんだろう。

ライダー「…こちらの脚はこのくらいで、反対の脚をやります、マスター…痛くないですか?」

「うん?…うん、痛くない。むしろ気持ちよかった、脚も軽くなったよライダー」

ならばせめて問題無いと、君のおかげで今から元気になるからと、顔や仕草でアピールしてみよう。
きっとすぐ見抜くだろうが、それが貴女を手放さなかった私の義務だ。

クスッと彼女は笑う。耳元で囁く「そうですか、少しも効いてないのではと内心不安でした」。
ああ、どうやら私はまだ力んでいたらしい。

せめて彼女の期待に近づけるように、やっと体がマッサージを受け入れる姿勢を覚えてきた。

彼女が私の反対の脚に手を触れ先ほどのマッサージを始めた時。
彼女の滑らかな、美しく長い髪の束が私の股の間に滑り込んできた。

「…」

マッサージの気持ちよさに微睡んでいた私は特に何も思わず、彼女の自慢の髪が私の股の間に存在するのを見てた。

思えばこの時素直にどかしておくべきだったのだ。

ライダーの手が脚を揉みしだきながら上がってくる、連動して彼女も身体を前後にわずかに動く。

ビクッ

一瞬、私は反射的に脚を閉じる。
微睡みから意識は起こされ、股の間を凝視する。

やがて彼女が身体を前に倒すと股の間の長髪も動く。

「……んっ!!?」

ダメだ、今やっと良い感じの空気になったんだ!
ここで、「股の間にライダーの髪が入って動いて気持ちよかった」
なんて言ってみろ!?
ライダーに申し訳無さすぎるだろ!!?

そのまま、彼女の髪に耐えることを選択。
彼女の前後運動と連動して股の間から入出を繰り返す滑らかな髪。

「……!?………!!?」

何度も声が出そうになる。
もはや完全に身体のスイッチが入った。
背中に絶えず擦れる肌や乳房。
耳元の囁きじみた呼吸音。
そしてマッサージしてる脚も、《石》が揉みほぐされていく安心感に加えて股座に直で甘く弱い快感を蓄積させる。

おそらく、ただの順番か、もしくは気まぐれか?
彼女は私の内股の部分を揉もうとして、指を脚の内側に入れる。

(!?今それはダメ!!)

ズズズズッ…

先ほどのボディーソープの泡と接触音が、今では蛇が這いずる音に聞こえ、
そのまま指が股に触れた。

「んぅ!!!?」

身体中がビクビク震える。
声は手で全力で押さえ込んだ。
内側の嫌な物が一瞬で溶けて消えるような快感が脳内に溢れる。
やがて、快楽が治ると、脱力して口から声が漏れる。

「はぁ、はぁ、ひぐっ!」

ライダーが私を驚いた顔で見てる。
なるほど、文字通り自慰を生で見られたと言うか、知らずに自身の肉体を自慰の道具に使われたわけだ。
絶対嫌われた!
嫌だ、それだけは!!?

私が泣き出しそうな顔をするとライダーは始める直前の狩る側の顔に戻った。

ライダー「おや?どうしたのですか、マスター?」

あー、ヤバいどうやらライダーのエッチなスイッチもオンにしちゃったみたいだ

ライダー「ふふっ、こーこ、こんなに腫らしてるじゃありませんか?」

そのまま自然な動作で私の乳首に指を絡ませる

「…ひぅ!?」

下腹部から脳髄にかけて甘い快感が駆け上がる。
膨らみ程度の私の胸をまるで蛇がその身を巻きつかせるように、乳首はまるで蛇がその下でチロチロ舐め回すように。
つまり私は完全に食べられる側にまわってしまった。

ライダー「理解してますか?マスター?私は今あなたを癒すためにマッサージしてたんですよ?それなのに…」

ネチョ

そして私の耳の穴に彼女の細い舌入り込んできた。

「ふぁ、や、やめ、ライダー!」

ライダー「それなのに、あなたときたら私の髪で自慰にふけるなんて。ダメじゃないですか」

優しく、だけど絡みつくように彼女の囁きが背骨に甘く絡みつく

ライダー「くちゅ、レロ…、恥じらいも無いのですか?乳首をこんなに弄られて、耳に舌を突っ込まれてるのに、あなたときたら嬉しそうにヨガっているのですよ?」

ジュズズズ、ペチャ、クチョ…。

耳に彼女の舌が動き回る音と囁きが入れ替わりに何度も響く
私はヨダレをダラダラと流しながら、必至にライダーから体をうねらせて逃げようと必至に動き回っているのだが、そうすると彼女の長い髪が体の上を這い回って余計に快感を得てしまう。
おまけにサーヴァントの彼女の筋力から魔術師ふぜいの私が逃げ切れるわけなく、もはやライダーに咀嚼されるだけとなっている。
蟻地獄って多分こんな感じ。

ライダー「あむ、んちゅ、マスター?とりあえず十回ほどイかせて上げますからそしたらマッサージをちゃんと受けるんですよ?」

「へ?じゅ、十回!?ちょ、ライダー、ごめっ!?」

そのまま片方の手が私の下腹部に這い下がり、しなやかな指が私のある部分に触れた

ライダー「今さら遅いですよ?」

彼女の舌なめずりの音が耳元に聴こえた気がした

…………

…………

……………。

パチャ、ズズズズ、ズジュ…。

ライダー「マスター?痛みはありませんか?」

ライダーはうつぶせに倒れた私の背中にまたボディーソープを継ぎ足して、背中から腰にかけて優しく揉んでいた。
先ほどのライダーによる<お仕置き>から20分ほどこのようにマッサージを受けている。

最初は

「いったぁ!!」

などと、彼女の指が腰に触れるだけで絶頂の余韻が一瞬で吹っ飛ぶほどの激痛だったが

ライダー「マスター…?」

ぷに、と私の頬に彼女の指が優しく突き刺さる。

ライダー「今のは、これくらいの力です……ご自分がどんな状態かそろそろ理解できましたか?」

そういってライダーはさらに優しい手つきでまず、腰の周辺から、やがて腰に、私が痛くないように、優しく触れて揉んでいく。
痛みへの恐怖が、マッサージの気持ち良さに変わるのに数分もかからなかった。

ライダー「………覚えてますか?マスター?」

ライダー「…あの最後の後、あなたが私になんと言って令呪を使ったか…」

彼女の指が肩甲骨の内側方向を軽く押しながら聞いてくる。

「…?え?なんだっけ?」

グリッ!!

「ヒギィ!!?」

途端彼女の指が先ほどとは比較にならない膂力で肩甲骨の内側を抉る。
単純に痛い!

ライダー「…やはり覚えて無かったんですか…」

「へ?へ!?な、なにを!!?」

ライダー「あの時、マスターは戦いの中泣きながら、こう言ったんですよ」

『もう嫌だ、もう独りぼっちはやだ!!なんで、なんで無視するの!?なんで私を見ないの!?話しかけて、怒らないで、嫌な顔しないで……お願いだから、誰か助けて…』

そう言って最初の令呪を使ったらしい。
ああ、思い出した、たしか、キャスターのサーヴァントの『舞台』の上で何度も何度も私の人生を繰り返された時に思わず使ったのだ。
キャスターは転移してきたライダーの鎖に首を絞め折られて終わった。

ライダーはまた腰の方を押しながら言った。

ライダー「『助けろ』と命令したのですから、痛かったり、苦しかったり、辛かったら、ちゃんと言ってください……英霊なんて大層なモノではありませんが、あなた一人くらい助けますから…」

そう言ったライダーの声が少し泣きそうだと思った、思っただけだ。

ライダー「それが…サーヴァントなんですから」

肩、背中、腰が終わるといまだに重い部品は頭だけだった。
彼女は手際よくお風呂用の椅子に私を座らせるとそのまま、頭の洗髪とマッサージを始めていた。

シャカシャカシャカシャカ…

私の髪を洗いつつ頭皮マッサージもしてくれている。
正直気持ちいい、気を抜いたら寝落ちするくらい、気持ちいい、気持ち良いのだが…

「ら、ライダーさん?さっ、さっき謝ったけど、まだ怒ってらっしゃる!?また謝った方が良い!?」

ライダー「…いえ、怒ってません」

いや、怒ってるじゃん!?
だって明らかに手つきがさっきまでと違うし、微妙に指が乱暴だし…気持ち良いし痛くは無いけどさ。

ライダー「……」

怖い、どうしたんだろう、さっき謝ったよな、私。
何が彼女を怒らせた?

シャカシャカシャカシャカ…

指が動きながらも海馬から前頭葉にかけて指が動く。
(おっほぁぉぉぉぉ!)
脳内で歓喜が溢れ出る、痛みとそれが取れていく快感、なにより他者に頭を触れてもらうことがこんなにも安堵と眠気を誘うとは知らなかったな

ライダー「…ところでマスター?」

「は、はい?」

ライダー「この髪を切った奴は誰です?殺しますから教えてください」

あ、あーそういうことか。
彼女から殺気が溢れ出てる。
そういえば今日は学校で髪切られたんだった。
しまった、ラクガキと傷跡は上手く消したのに、遠坂先輩かよ私は!

「いや、その、き、気分転換よ、気分転換!」

ライダー「…気分転換でこんなにメチャクチャな髪型にする女性は古今東西いません!!いいから教えてください、頭の皮剥がしてから石にして殺しますので…」

キュッ、と蛇口を回す音がしてシャワーを弱めにしてかけながら私の頭のシャンプーを優しめに落としていく、あくまで優しめに。

ライダーは入浴の際、鏡で自分が石化しないように魔眼を自己封印・暗黒神殿と言う結界宝具を部分的に弱めている。
だが、今のキレかけの彼女から溢れ出てる魔翌力がそれすら容易に破ろうとしているのが背中越しに理解できた。

「…別に良いわよ、魔術使えばこれくらい三日で元に戻せるわ」

というか、今すぐ戻せるが、さすがに学校で噂になるからな。

ライダー「そういうことではありません!!」

グルンと私の体の向きを自分に向けながらライダーは声を張り上げて言った。

ライダー「髪は女性の誇りです!それを切ることはつまり私のマスターを侮辱した事に他ならない!」

そのままライダーは私を叱りながらも、洗顔剤を私の顔に塗りながらグニグニと顔を揉みほぐす。

そのまま、彼女に頭髪と女性の関係性だかなんだか、聞かされたが
最終的に私の主を虐めた奴らが許せないと言われてなんとなく嬉しくなった。

が、さすがに一時間近く顔をグニグニされながら説教されるのも辛いので

「髪伸びたらライダーが好きに弄っていい」
と提案してやっとこさ解放された。

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