コーディネート提督? (20)
とある鎮守府のお話
その鎮守府には、悩みを抱えた艦娘がいました。
その名は島風。
ぜかしま等と呼ばれ、鎮守府内の人気者。
とくに大きな友達からは、その性能といい、容姿といい、絶大の人気を誇る彼女なのですが、ある悩みを抱えていたのです。
島風「私、こんな痴女みたいな格好嫌だなぁ……」
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島風は艦娘として生まれてきて、自分を認識した頃から、際どいスカート、意味不明な下着、ピチピチのTシャツのようなもの。この格好だったのです。
そこに、彼女の意思や、趣味はありません。
彼女は、提督が定めた服装だと思いました。
この鎮守府を統べる提督は、とても優秀な人なのですが、いかんせん見た目が、とても怖い人なので、まだ幼い駆逐艦の一部は、どうしても怖がってしまいます。
人睨み効かされたら、ガタガタと震えが止まらなくなってしまうような顔の提督が、島風も怖く近寄り難いと思っていました。
しかし彼女は、自分の着ている制服の変更を提督に志願しようと、勇を鼓して、今日は提督にお願いしようと、提督室までやってきました。
島風(怖い!怖い……けど、逃げちゃダメ……逃げちゃダメ、今日こそこの格好をどうにかしてもらうんだから!!)
コンコン
提督室のドアをノック。
「誰だ」
中から鬼が応答しました
島風「島風です!提督!今はお時間よろしいでしょうか!?」
提督「入れ」
島風「失礼します!!」
島風「……えっ?」
そいつは、突然島風の目の前に現れた。
提督と金剛を足して2で割ったような顔つき。
下半身は人間のそれに近いが、肉付きを見るに左右で性別が異なるように見える。
魚の鱗でコーティングされた胴体には、尻尾の千切れたワニがそのまま一匹、右肩の間接部分に接続され、腕としての機能を備えている。
背中についた鷲の羽根をばっさばっささせながら、僅かに残された提督の要素である左腕は人差し指を差して、雲一つ無い青空に向けて力強く突き上げている。
島風の中で“コレ”を的確に表現する言葉は『キメラ』以外に見つからなかった
島風「て、提督……?」
提督「……ギ」
島風の声に反応したかのように、提督の眼球が薄いカエルの粘膜のようなものでコーティングされ、青白く発光する。
水しぶきが吹き出るような音と共に、脇腹あたりの隙間から何か黄色い液体のようなものを、怒るようなうめき声を上げながら噴出した。
提督「##ね###ギ####%#@#&&!!」
島風「!?」
次の瞬間、キメラは島風に向かって飛びかかってきた。
提督「なにようだ?」
提督は、書類に目を落としたまま私に島風に問いかけます。
島風「はい!私事で申し訳ないのですが、今日は私の制服について、私の意見を取り入れてもらいたくお伺いしました」
提督「制服?あぁ、お前の着ているそれのことか?」
提督が島風をチラッとみます。
ハキハキと喋る島風ですが、彼女の口内は、緊張と恐怖で乾ききっています。
それでも頑張って言葉を紡ぎます。
島風「はい!この制服は、提督が設計なされたのですか?」
提督「私が?そんなわけあるか。で、本題はなんだ?」
島風「その……白露型が着ている制服のような……もっと普通の服が着たいです……」
提督「そんなことか。好きにしろ。第一、私は君達が着ている服まで指定した覚えはない。」
島風「本当ですか!?ありがとうございます!!」
提督「用が済んだのなら行ってくれ。」
やった!と思った島風でしたが、よくよく考えると、あの痴女みたいな服しか持っていません。
島風「はい……」
提督「なんだ、まだ不満があるのか?言ってみろ」
島風「いえ、その……」
提督「……」
島風「はい、あの、わたし、これしか服をもっていなくて……」
提督「あー……そういうことか。すこしまて」
提督は、艦隊の呼び出しなどに使うマイクを掴むと、言いました。
提督「鳳翔、鳳翔、至急提督室にきてくれ」
すぐに鳳翔は提督室に来ました。
鳳翔「鳳翔です。ご要件はなんでしょう?」
提督「あぁ、休暇のところ呼びつけてすまない。実は折り入って頼みがある」
鳳翔「なんなりと」
提督「島風に服を見繕ってやってくれないか?」
鳳翔「はい?あ、いえ失礼しました!島風ちゃんに服を作ってあげれば良いのですか?」
提督「ああ。材料費なら経費で落ちる。必要な物があれば言ってくれ」
鳳翔「わかりました、失礼します」
提督「これでいいか?」
島風「あ、ありがとうございます……私も失礼します!!」
こんなに柔和に対応してくれると島風は思いませんでした。
少したって
鳳翔「島風ちゃん、服、こんなのでいいかしら?」
島風「これは……和服?ありがとうございます……鳳翔さん!」
鳳翔「いえいえ。ほら、ここに連装砲ちゃんもあしらってみたわ」
島風「うわーーっ!!本当に!ありがとうございます!!」
鳳翔「気にしていないわ、ついでに着方もおしえてあげる」
鳳翔(うふふ……提督さんにこ褒美をもらったから気にしていないわ♪)
どこかツヤツヤした鳳翔に?マークを浮かべつつも、島風は着付けの仕方を教わりました。
しかし、島風は、出撃にて和服の重要な欠点に気づいてしまいました。
島風(う、動きにくい……!)
駆逐艦なので、前と後ろとよく動くのですが、和服はどうも脚の幅を制限されてしまうので、動きにくいのです。
島風(和服は鎮守府できることにしよう……)
この事を提督に相談し、別の服を調達してもらおうと島風は思いました。
提督「なるほど……たしかにそれは盲点だな、鳳翔よ」
鳳翔「私、空母だから……ごめんね?島風ちゃん……」
島風「いえ、私にはもったいないくらい素敵なお召し物をありがとうございます、鳳翔さん……しかし、願うのならもう少し動きやすい服を……」
提督「ふむ……ならしょうがない。私が見繕うか」
鳳翔「え!?提督がですか!?」
提督「ああ。ガキのころはな、男手で育てられてきた」
提督「私には2歳離れている妹がいるのだが、毎日男物を着ていて不便そうだったのでな。私が作ってやったことがある」
これは驚きです。
ゴリラみたいななりで、鬼のような顔つきの提督が、女の子の服を作っていたというのです!
島風「よろしいのですか提督……」
提督「かまわん。仕事が残ってる、二人とも出てくれ」
島風鳳翔「失礼しました」
鳳翔「提督、作れるのかな?」
島風「ちょっと心配……」
鳳翔「もし、あれだったら今度は洋服にチャレンジするから……私を頼って?」
島風「わがままを言ってごめんなさい。鳳翔さん。鎮守府内で大切に着させてもらいます」
鳳翔「いえいえ。では。」
島風は、服ができたと言われ、提督室にやってきました。
提督「待たせたな島風。1着だけでは困るだろうから、上2着、した2つ作った。気にくわなければ捨ててくれ。金を渡すから外で買ってこい。」
島風「いえ、そんなことはしません……さっそくみせてもらってもよろしいですか?」
あまり自信はないけどな、そういって提督は、紙袋から服をとりだしました。
提督「お前の好みが分からんからな……元々着ていた服をベースに、サイズは鳳翔に聞いて作った」
提督が取り出したのは、元々島風が着ていた服を参考にした改装版のようです。
まず島風の目に飛び込んできたのは、あのパツパツだったTシャツみたいなものでした。
しかし、提督が作ったそれは、緩やかなYシャツに変わっていました。
イカリの刺繍も施されていて、とっても可愛いYシャツです。
提督「下にTシャツでも着て使ってくれ」
そう言って無地のTシャツもセットにして島風に渡しました。
次に提督が取り出したのは、あのスカートです。
しかし、丈が大幅に伸びていて、この長さなら、腰あたりから穿いても膝に届くくらい。スカートの裾には可愛いフリルが新たに加わっていました。
提督「これについてはサイズは曖昧だ……ベルトと一緒に使ってくれ」
なんと、キラキラの装飾が入った白色のベルトもセットにしてくれました。
なんと太っ腹なのでしょう
残りの2着に関しては、先に渡してくれた服の色違いでした。
もう島風の、目はキラキラです。
高高陽状態です。
島風「ほ、本当に提督が作ってくれたのですか!?」
提督「信じないならそれでもいい。それで終わりだ、自室へ戻れ。今日はお前休暇だろ?」
島風「ううう!!ありがとうございます!!!」
バタバタと掛けていく島風。
どうやら喜んでくれたみたいだな。
提督は安堵しました。
提督「ふぅ……」
さっそく島風は提督が作ってくれた服を着てみました。
無地のTシャツを着て、Yシャツに袖を通し、ボタンをしめ、スカートを穿きます。
お腹周りが緩いので、ベルトを巻きました。
ゆったりとしたYシャツに、膝まで隠れるスカート。
もうこれで痴女は卒業です。
それより、島風は、自分がなんだが大人になった気分でした。
それからというもの、島風の戦績は、異常に伸びていき、昼間から魚雷で戦艦を沈めるくらい悠々とこなしてみせるようになりました。
次第に、島風は提督のことが気になっていき、やがて島風は提督に恋をします。
ゴリラのガタイと鬼の顔。
それが作った可愛い洋服。
また、提督は可愛いものがすきなのか、財布に魚のKIRIMIのストラップがついていたり、こっそり覗いた提督室の机の中には、ミッ〇ーマウスのストラップやらお金で動くダンボールの人形がギッシリ入っていたりと、超ギャップに島風は萌えました。
島風が新しく着始めた服を、提督が作ったと知られ、多くの艦娘達も、提督の事を知りたいと思うようになり、やがて提督の取り合いが始まります。
その中で次第に、島風の提督に対する行動事態が痴女みたいになっていくのですが、それはまた別のお話
そんなある日のことです。
つい最近、この鎮守府に新しい艦が着艦しました。
彼女も悩みを抱えたいたのです。
彼女の名は、雪風。
幸運艦と揶揄される可憐な駆逐艦です。
雪風「このワンピース短いすぎて嫌だよぉ……」
この駆逐艦もまた、提督のギャップに萌えることになるのですが、それはまた別の機会に。
艦!
筋肉ムキムキのガッツリ体育会系の友達が、見た目とは裏腹に可愛い物が好きで、しかも手先が起用。
そんな彼のギャップに萌える彼の彼女の話を聞いて題材にしました。
拙い文でしたが、読んでもらえたら幸いです。
少ししたら、HTML依頼してきます。
あ、私は島風が好きです!
なによりあの痴女みたいな服が好きです!!
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