デク「かっちゃん! 僕の千年パズル返してよ!」(25)

キーンコーンカーンコーン

デク「休み時間だ! 今日もやるぞ……」ゴソゴソ

デク「僕の宝物! もう少しで完成するんだよな……」

ヒョイッ

デク「あ!」

勝己「何が宝物だよ! 女の腐ったヤローみてえに」

デク「やめてよかっちゃん! 返してよ!」

勝己「そういうところムカつくんだよ!」ポイッ

ポチャン

デク「あー!!」

勝己「これで一生完成しねーな!」アハハ

デク「ひ、ひどい……」

チャプチャプ

デク「かっちゃんのバカヤロー……」ヒョイッ

デク「これで全部かな……?」


取り巻き「緑谷のやつマジで探してるぜ!」

勝己「バーカ、あと一個は俺が持ってんだよww」

取り巻き「カワイソーwww」

デク「あとは、ここに最後のピースをはめれば……」

デク「あれ?」

デク「ない! そんな……?」

デク「なんで? プールは隅々まで探したのに……」ブツブツ

デク「……かっちゃんだ」

デク「かっちゃんみみっちい所があるから、最後のピースだけ盗んだんだ……!」

デク「どうしよう、取り返さなきゃ……」

翌日

デク「あの、かっちゃん……」

勝己「なんだよ」

デク「最後のピース持ってるの君だよね?」

勝己「は?」

デク「返してほしいんだ」

デク「お願いだよ! あれがなきゃパズルは一生完成しないんだ」

勝己「へー。良かったな」スタスタ

デク「ま、待って!」ガシッ

勝己「……離せよ」

デク「嫌だ! 返してくれるまで離さないぞ!」

勝己「ちっ……」イラッ

勝己「うざってぇ! 無個性の! 雑魚の癖に!」ゲシッゲシッ

デク「うっ……」ドサッ

勝己「気は済んだかよ」

デク「か、返して……」ガシッ

勝己「しつけえなあ!」ゲシッゲシッ

デク「う……」ドサッ

勝己「けっ」スタスタ

デク「待ってくれ……」ズルズル

デク(無駄だったのか……もう何をしても……)

デク(パズルが完成したら、何でもひとつ願いをかなえてくれるって……)

デク(ピースが揃わなきゃ、僕の願いは一生……)

デク(僕の願いは……)

キラーン

デク「あれ……?」

デク「最後のピースだ! 何でここに……?」

デク(さっき揉みあったときにカバンから落としたのか……)

デク(僕の抵抗は無駄じゃなかったんだ……!)

デク「これで、完成……っと!」カチッ

キィィィン

デク(あれ……? 意識が……遠く……)


闇デク「ダークヒーローの時間だぜ」ドン☆

闇デク「お前の願いを叶えてやる……」

闇デク「よう爆豪」

勝己「あ? 誰だお前」

勝己「そのパズル……! てめぇ、いつの間に……!」ガシッ

闇デク「汚ねえ手でパズルに触んじゃねえ! クソガキ!」

勝己「んだとてめえ! デクの癖に……!」ブンッ

闇デク「おっと」ヒョイッ

勝己「え?」

勝己(避けた……? ありえねえ……)

勝己「調子乗んなっ――」BOOM

闇デク「遅い」ドスッ

勝己「うぐっ……」

闇デク「腐ってるぜ、お前」

デク「あれ……? 僕は何を……」キョロキョロ

勝己「ウ……ウグウ~ッ……」

デク「かっちゃん! 大丈夫!?」ユサユサ

勝己「デク……?」

デク「酷い怪我だ! 誰にやられたの!?」

勝己「??????」

勝己「な、何言ってんだてめえ! イカレたか!?」

勝己「離しやがれ!! 気持ち悪い!!」バシッ

デク「かっちゃん……? 何があったんだ……」

学校

先生「お前らも本格的に将来を考えていく時期だが――」

先生「だいだいヒーロー科志望だよね!」

取り巻き「カツキは雄英行くんだっけ? すげーよな!」

勝己「……ああ」

先生「そういや緑谷も雄英志望だったな」

モブ「はぁ~?? 無個性の緑谷が!? ありえねえww」

勝己「……」

デク「でも、やってみないと分かんないし……」

キィィィン

闇デク「無個性でも俺には力がある」

モブ「おい、何か言ってるぞww」

闇デク「俺の力を見せてやる。まとめてかかって来い」

取り巻き「いつもみてーに苛めてやれ!」

先生「ほどほどにするんだぞー!」



モブ「」チーン

闇デク「こんなものか」

取り巻き「つ、強すぎる……」ハァハァ

先生「お前本当に緑谷か……?」

闇デク「どうした? いつもみたいに苛めてこないのか?」

勝己「……偽物野郎が」

闇デク「もう二度と絡んでくるなよ」

闇デク(これでお前をバカにするやつはいないはずだ……)

デク(また記憶が飛んでる……)

デク(それにしても、みんなの態度が変だったな……)

ヘドロ「Mサイズの隠れミノ……」ズズズ

デク「んぐっ!?」

ヘドロ「大人しくしてろ、すぐ楽にな――」

キィィィィン

闇デク「ふんっ!!」ドゴォ

ヘドロ「うぎゃああああ!!!」

闇デク「危ない所だったな」

オールマイト「私が来……君は一体!?」

闇デク「オールマイト! 個性がなくてもあなたみたいになれますか?」

オールマイト「なれる!」

闇デク「やったなもう一人の俺!」

オールマイト「しかし忘れるな、ヒーローに最も必要なのは……」

オールマイト「あれ?」キョロキョロ

闇デク(これでお前の夢は叶った)

闇デク(いじめっ子も懲らしめてやったし、力も得た)

闇デク(しかし、俺がついていないと心配だな)

闇デク(あいつ自身には何の力もないし、ヒーローになるのはまず無理だな)

闇デク(さっきみたいに危険な目に遭ってからでは遅い)

闇デク(もうずっと俺人格でいいんじゃないか?)

闇デク(そうすれば辛い思いもしなくて済むだろう――)

闇デク「ん?」

勝己「うがああああっ!!!」

闇デク(さっきのヘドロ……生きていたのか)

闇デク(爆豪が捕まっているようだ)

闇デク(まあ、あいつにはいい薬になるだろう)

闇デク(今までの罰が当たったようだな。喜べもう一人の俺)スタスタ

ピタッ

闇デク「!?」

闇デク「なんだ……体が勝手に」グググ

……す、け……なきゃ……

闇デク「まさかお前、あいつを救けるつもりか!?」

闇デク「何を考えてる!? あいつは今までお前を――」

デク「わから、ない……でも……行かなきゃ……」

闇デク(無意識なのか!?)

闇デク「お前の願いは俺が叶えてやる。お前は何もしなくて大丈夫だ……」

デク「ちがうんだ……僕は……僕の願いは……!」

闇デク「何故、そこまでして……」

デク「ごめん……今まで」

闇デク「……」

デク「僕の代わりに戦ってくれて、ありがとう」

闇デク(ああ……)

デク「かっちゃん!」

闇デク(俺は二つ大きな勘違いをしていたようだ)

勝己「何で!! てめぇが!!」

闇デク(一つは、ヒーローに最も必要なのは力なんかじゃない)

デク「何でって……分かんないけど」

闇デク(それからもう一つ)

デク「君が、救けを求める顔してた」ニカ

闇デク(お前はヒーローになれる)

オールマイト「プロはいつだって命懸け!!」SMASH

闇デク(緑谷出久。お前の願いは、とっくに叶っていたようだな……)

勝己「おい本物のデク!」

デク「え……? 本物?」

勝己「てめぇに助けられてなんかねえぞ!! 見下すなよ俺を!!」

デク「タフネス……!!」

デク(それにしても何だったんだろう……? 何か、誰かのことを忘れているような……)

オールマイト「少年! 訂正したいことがある」

デク「え!? オールマイト!? どうしてここに……」

オールマイト「個性がなくとも、君は私のようになれる」

オールマイト「だがそれは力があるからではない」

オールマイト「ヒーローに最も必要なものを、君が持っているからだ」

オールマイト「君はヒーローになれる」

デク「……!!」ブワッ

デク(夢は、現実に――言い忘れてたけど)

闇デク「これは僕が最高のヒーローになるまでの物語だ」

闇デク「これでよし。あとは、お前次第だな」

闇デク「お前にもう俺は必要ないだろう」

闇「さて、次の主人公のもとへ向かうとするか……」



おしまい
なんでかいたのかわからない

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