デク「かっちゃん! 死んじゃダメだ!!」(34)

ビュオオオオ……

勝己「寒い……」ガクガク

デク「かっちゃん! しっかり!」

勝己「腕が凍って力が出ねえ……」ブルブル

デク「どうしよう……!? どうすれば……」

勝己「俺……なんだか眠いんだ……」

デク「寝るな!! 寝たら死ぬぞ!!!」ペチペチ

勝己「が……ま……」ガクッ

デク「かっちゃあああああああああん!!!!!!!!!!」

~現在までのあらすじ~

デク(真冬のスキー合宿に来ていた僕たち雄英高校1年A組だったが……)

デク(突然のブリザードと雪崩に巻き込まれバラバラに分断されてしまった!!)

デク(果たして僕たちはこの困難を乗り越えることができるのか!?)

デク(季節感!? そんなものは捨て置けい!!)

デク「かっちゃん……そんな、目を覚ましてくれ!!」ユサユサ

上鳴「緑谷できるだけ離れてろ――――!!!!」ダダッ

デク「上鳴くん!?」

上鳴「爆豪ぶっ生き返――――す!!!」バリバリ

勝己「うがああああああああっ!!!」バリバリ

デク「うわっ!?」ビリッ

上鳴「わりーな巻き込んじまって。簡易AEDだ」

デク「ありがとう……おかげで助かったよ」

勝己「いってえなアホ面……」

上鳴「おい! 命の恩人だぞ!」

デク「上鳴くん、他のみんなを見なかった?」

上鳴「いや見てねーな。視界も悪ぃし……」

デク「そっか……みんな無事だといいけど」

上鳴「くっそー、轟か八百万がいればなー」

デク(僕にオールマイトばりの力があれば、天候を変えることも……)

デク(いや、スマッシュ一発で僕は動けなくなるだろう)

デク(下手したら全滅だ……とりあえずみんなと連絡を取らなきゃ)

上鳴「おい! 爆豪どこ行くんだよ!」

勝己「うっせえな……下山すんだよ」フラフラ

上鳴「やめとけって! お前寒いとこじゃ無能なんだから」

勝己「む、無能だと……ふざけんな殺す……」ポスッ

上鳴「うわ、ホントに死にそうだな……」

上鳴「つーか下りるにしてもここは一体どこなんだよ?」キョロキョロ

デク「分からない。雪崩でだいぶ流されたみたいだ」

デク「助けを呼ぼうにもこの天候じゃあ……」

上鳴「こういう時こそ俺の個性の出番だな」

デク「上鳴くん……!! 凄く頼もしい!」

上鳴「緑谷、後は頼んだぜ!」グッ

デク「え?」

上鳴「電波来おおおおおおおおいっ!!!!」バリバリ

上鳴「っし! 繋がった!」

上鳴「もしもし先生? なんか俺ら遭難したみたいっす」

上鳴「そうなんすよー、いやいやギャグじゃなくて」

上鳴「場所? いや分かんないっすね。位置情報送るんで」

上鳴「あー、あと爆豪が死にそうだったんすけど、まあ大丈夫っしょ」

デク(……大丈夫かな……)

上鳴「え!? マジっすか!?」

デク「どうしたの!?」

上鳴「やっべえぞ緑谷! マジやっべぇぞ!」

デク「それ流行ってるの?」

上鳴「俺らのいるとこ、デカい雪山に阻まれて助けにこれねーらしい!」

デク「そんな……!」

上鳴「だから……あ、やべ……」フラフラ

デク「上鳴くん!?」

上鳴「うぇ~~~~~いwwww」

デク「上鳴く――――――――ん!!!!!」

デク「ど、どうしよう……」

デク(デカい雪山を破壊すれば……)

デク(いやダメだ、僕が倒れたら誰がかっちゃんを見張ればいいんだ)

勝己「元気があれば……何でもできる……」フラフラ

デク(こんな状態のかっちゃんを放っておくわけには……)

ドゴォォォン

デク「!!? 何の音だ!?」

お茶子「デクくん……?」フラフラ

デク「う、麗日さん!?」

お茶子「デクくんの声聞こえたから、雪山浮かせて来たんやけど……」

お茶子「も、限界……」ドサッ

デク「麗日さあああああああああん!!!!!!!!」

デク(負傷者が増えていく……!!)

お茶子「うっぷ……」

上鳴「うぇ~~~い」

勝己「さみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」ブルブル

デク(うう……こっちまで段々寒く……)ブルブル

デク(かっちゃん、僕もう疲れたよ……眠ってもいいかな?)

ボウッ

デク(あれ? なんだかあったかい……)

デク(ここが天国かあ……うふふ、あはは……)



轟「お前ら、ここにいたのか」

デク「って轟くん!? 何でここに!?」

轟「誰かが雪山をどかしたみてえだな。お蔭でたどり着けた」

デク「麗日さん……ありがとう」サスサス

お茶子「う~ん……」

轟「炎で雪を溶かしてもいいが、この状況でそう無駄遣いはしてられねえ」

轟「とりあえず死にそうなやつを温めるぞ」

デク「救世主様……!!」

勝己「環境破壊は気持ちいいZOY!!!」BOOM

デク「すっかり元気になったみたいだね! よかった!」

轟「問題はこれからどうするかだな」

デク「そうだね……みんなと連絡が取れない以上、散り散りになるのは避けたいところだ」

轟「上鳴が生きてればな……」

上鳴「うぇい?」ベッタリ

お茶子「あったかいんだから……」ベッタリ

上鳴「うぇいうぇいうぇい(それもう古ぃよ。今流行ってんのは~)」

轟「お前ら左半身にくっつくんじゃねえ」

デク(いいなあ……)

デク(ってそんなこと考えてる場合じゃないんだ!!)

デク「とにかく、ここに留まるのは危険だ」

デク「どこか吹雪をしのげる場所を見つけよう」

轟「他の連中と合流できれば更に良いな」

勝己「俺は一人でも下りるからな」ブルブル

デク「意地張っても駄目だよ! 震えてるじゃないか」

勝己「む、武者震いだ」ガクガク

轟「行くなら勝手に行けばいい。お前が勝手に死ぬだけだ」

轟「自分でも無理なことくらい分かってんだろ」

勝己「ちくしょう……」ブルブル

お茶子「デクくんごめん……私重ない?」

デク「ぜ、全然!!」ドキドキ

デク(女子をおんぶするなんて初めてだ……!!)

デク(緊張しすぎで変なやつとか思われてないかな……?)

お茶子「あ、やば……吐きそう」

デク「え!? さすがにそれは……」

デク「いや、大丈夫だ!! 全てを受け止める覚悟はできている!!」

轟「何言ってんだお前」

上鳴「うぇ~いうぇ~いwww」

轟「放り投げてぇ……おい爆豪離れんな」

勝己「はじかちィ―――……」ガクブル

デク「都合よく山小屋が見つかったぞ!! ここで休もう」

轟「とりあえず薪焚いとくか」ボウッ

勝己「なんか食いもんとかねーのかよ」ドカッ

轟「急に態度デカいなお前」

お茶子「ありがとデクくん。だいぶ楽になったわ」

デク「よかった! ひとまずは安心だね」

上鳴「うぇ~い」

お茶子「いつになったら吹雪止むんやろ……」

デク「うん……みんなが心配だ」

お茶子「……不謹慎かもしれへんけど、こういうのちょっと楽しいかも」

デク「え?」

お茶子「なんかワクワクせぇへん? おかしいかな?」

デク「あ……ちょっと分かるかも」

轟「……」

轟「他の連中を探しに行ってくる。爆豪行くぞ」

勝己「はぁ!? てめえに言われなくても一人で下りるわ!!」

轟「普通にくつろいでたじゃねえか」

デク「危ないよ! こんな吹雪の中……遭難でもしたら」

轟「……お前らには言ってなかったが、俺は吹雪の中を歩き回らないと死ぬ呪いにかかっている」

お茶子「え!? そんな……」

轟「ついでに爆豪も俺のすぐ近くにいないと死ぬ。溶けて死ぬ」

勝己「死ぬか! 凍死ならともかく」

デク「かっちゃんまで……!? じゃあ、僕も一緒に――」

轟「いや、お前ら二人はその小屋の中にいないと死ぬ。爆豪が」

勝己「なんで俺だよ!」

お茶子「二人とも大変なんや……」

轟「そういうことだ。じゃあな」

デク「気を付けてね……!」



ビュオオオオ……

勝己「さっびいいいいいいいいいいい」ブルブル

轟(緑谷……お前には借りがあるからな。それを今返す時だ)

轟(……何か忘れてるような気がするが、気のせいだろう)

上鳴「うぇ、うぇい……」ズルズル



お茶子「二人きりになっちゃったね」

デク「そ、そうだね」

デク「……」

デク(どどどどどうしよう!!???)

デク(そうだ……轟くんは気を遣って……!!)

デク(よくよく考えなくても、そんな呪いあるわけないじゃないか!!)

お茶子「なんか照れるなぁ。普段はそうでもないのに」

デク「あ、あはは……」



上鳴「うぇーい、うぇ……」コソコソ

上鳴(っっっえ――――――――いwwwwwww)

上鳴(メチャクチャいい雰囲気じゃねえか!!!! なんですのん!!?)

上鳴(こいつらやたらツルんでっと思ったらそういうことかよ!!)

上鳴(むっちゃおもしれえええええwwwww)

上鳴(いやー隠れて充電してて正解だったぜwwwww)

上鳴(こいつはしばらくアホのふりしてた方が良さそうだな……!!)

デク(な、何を話せばいい……!?)

デク「う、麗日さんってさ……」

お茶子「うん?」

上鳴(おおーっと緑谷の先制攻撃!! さあ何を言うか!?)

デク「すごくうららかだよね!」

デク(僕は何を言っているんだ!?)

上鳴(なんだそりゃwwwww緑谷選手、緊張のあまり自滅wwww)

お茶子「うん、私は麗日だよ?」

上鳴(麗日選手、すかさず天然のカウンターパンチ炸裂wwwww)

デク「ほ、ホントだー!」アハハ

デク(だ、駄目だこんなんじゃ……)

デク「あ、あの……今さら言うのもなんだけど」

上鳴(お? なんだなんだ?)

デク「入試の時、助けてくれてありがとう」

上鳴(ここにきての隠し玉投入!!? 聞いてねえぞそんなの!!)

お茶子「ううん、私も助けてもらったし、お互い様だよ!」

上鳴(ちょっちょっちょwwwwwマジかこれwwwww)

デク「麗日さんがいなかったら、僕は今ここにいなかったと思う」

上鳴(おい……まさかのシリアス調? ここで?)

お茶子「そんなことないよ」

お茶子「誰がピンチになっても助ける。デクくんはそういう人やから」

デク「……」

上鳴(……)

デク「誰があそこにいても、同じように体が動いたと思う」

デク「自分じゃよく分からないし、僕の勝手な自惚れかもしれないけど……」

デク「僕はみんなを助けたい。みんなを守れるヒーローになりたい」

デク「でも、麗日さんは……僕にとって……えっと」

デク「その、誰でもいいわけじゃなくて……僕は……!!」

ミシミシッ

デク「な……なんだ!?」

上鳴(っっおおおお―――――い!!!!!!! 空気読めや!!)

お茶子「雪の重みで……小屋が倒れそうや!」

デク「早く外に……! ダメだ雪が邪魔して開かない!!」ギシギシ

上鳴(え? マジで?? ヤバくね??)

上鳴「こちら上鳴、誰か来てくれ―――!! やっべぇぞ!!」

デク(え、上鳴くん!? 今の聞かれた……!?)

デク(いや、今はそれどころじゃない!!)

ベキベキッ ドサッ

上鳴「雪が―――!!! 死ぬ―――!!!」

フワッ

お茶子「私が雪を浮かしてるうちに、早くドアを壊して逃げるんや!!」FLOAT

デク「いや、壊すのはドアじゃない」

お茶子「え?」

デク「DETROIT―――」グッ

デク「SMASH!!!!!!!!!!」ドゴォ

キラーン

上鳴「す、すげえ……雪玉が吹っ飛んじまった」

お茶子「デクくん!」

デク「よかった、みんな無事で……」フラフラ

上鳴「よくねーよ! 満身創痍じゃねーか!」

ビュオオオオ

上鳴「つーか天井に穴開いちまったじゃねーかよー! どうすんだよ!」

バババババッ

お茶子「なんやこの音? あ……!」

八百万「作るのに時間がかかってずいぶん到着が遅れてしまいましたわ……」

上鳴「女神様!! ヘリまで作れんのか!? チートってレベルじゃねーな!」

峰田「悪いなお前ら! このヘリは三人用なんだ」

梅雨「じゃああなたが降りなさい」ペシッ

峰田「じょ、冗談だよ!!」

八百万「何台もありますのでご心配なく。ちなみに自動操縦ですわ」

切島「お前ら三人とも生きてるかー!?」

飯田「これでようやく全員揃ったな」フゥ

お茶子「轟くんも無事だったんだね!」

轟「俺と飯田が合流して、各地に散らばった連中を八百万のもとに集めた」

轟(お前らの場所を明かさなかったことは秘密だ)

轟「緑谷と麗日も色々大変だったみてえだな」

上鳴「っておい! 俺もいたぞ!」

轟「ちっ」

上鳴「!?」

八百万「早くお乗りになって。すぐ出発しますわ」

相澤「えー、お前らが無事に戻ってきて先生はとても嬉しいです」

瀬呂「テンション低っ!」

相澤「今日は疲れただろうからさっさと帰ってクソして寝ろ。以上」

ゾロゾロ…

葉隠「怖かったー! 寒くて死んじゃうかと思ったよー」

尾白「葉隠さんがなかなか見つからないで大変だったね」

ゾロゾロ…


相澤「訓練は無事終了しました」

相澤「しかし天候まで変えるのはやりすぎだったんじゃないですか? オールマイトさん」

オールマイト「少し気合を入れすぎてしまったようだな!」HAHAHA

相澤「整備し直すの手伝ってくださいよ……」

デク「……」パチ

お茶子「デクくん! 目が覚めた?」

デク「えっと……ここは」キョロキョロ

飯田「合宿所の医務室だ。とりあえずは応急処置までだが……」

飯田「しばらくここで安静にしていた方がいいだろうな」

デク「そうか……僕はまた後先考えずに……」

お茶子「後先も何も! デクくんのおかげで私と上鳴くんは助かったんだよ!」

飯田「命あっての物種だからな」ウンウン

上鳴「サンキューな緑谷!」

デク「みんな……」

上鳴「……それで聞きてーんだけどよ、お前あの時なんて言おうとしたんだ?」ニヤニヤ

デク「えっ!!??」

飯田「あの時とはなんだ」

お茶子「ああ、雪が落ちてくる前に何か――」

デク「な、なんでもない! なんでもないよ!」アセアセ

デク「それより……僕たち何か忘れてないかな?」

上鳴「ずりーぞ緑谷、話逸らそうったってそうはいかねーよ」

デク「いや、そうじゃなくて……ホントに何か忘れてるような」



轟「あ」

勝己「俺が可哀想な目に遭ってるとでも思ったか!?」

勝己「残念だったなぁぁぁぁぁああああ――――!!!」BOOM

勝己「運動すれば汗をかく! 滑ってるうちは死なね―――よ!!!」

勝己「スキー板を見つけてラッキーだったぜ!」

勝己「轟なんかいらねえよ!! 俺の勝ちだあああああああっ!!!!」


相澤「あいつ何一人で喋ってんだ? まあ勝手に整備してくれるから助かるわ」


おしまい
ものすごい雷が鳴ったので書きました。とても怖かったです

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