サウザー「白菊ほたるの死兆星と拳王ラオウ」 (145)

☆注意☆
・このSSは「アイドルマスターシンデレラガールズ」
と「北斗の拳イチゴ味」要素を含みます
・キャラ崩壊

前作↓
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432024586

聖帝サウザー
http://i.imgur.com/URkpNsw.jpg
白菊ほたる
http://i.imgur.com/XjrUMWZ.jpg
拳王ラオウ
http://i.imgur.com/862N9tF.jpg

今回はイチゴ味6割、シリアス4割の予定

(7610プロダクション 収録スタジオ)


サウザー「…」カチッ

サウザー「…」

~♪

サウザー「ハーイ! 下郎の皆さん、こんにちはー!」

サウザー「えー」

サウザー「このラジオ放送は、聖帝軍技術班の献身的な働きにより」

サウザー「我が7610プロダクションのスタジオを中心に…」

サウザー「半径10キロメートルの範囲で、電波ジャックしてお送りしていまーす」

サウザー「『南斗ビバリー昼ズ』、お相手はDJサウザーでーす!」

サウザー「ハーイ拍手~!」

「…」

「…」ペラッ


(♪SILENT SURVIVOR)



※7610…「ナント」、つまり南斗と読む。決してエキサイト再翻訳をした読み方では無い

サウザー「まずはお便りのコーナーでーす!」

サウザー「コチラ、東京都在住、芸能業界にお勤めの…」

サウザー「P.N『拳☆王』さんから頂きましたー」

サウザー「『聖帝様! いつも放送楽しく聞いています!』ありがとうゴザイマース♪」

サウザー「『オッスオララオウ! ラッオラッオうー、うっうー☆』テンション高いリスナーですねー」

サウザー「『さて! 単刀直入ですが、僕は仕事である危機に直面しています』ほー、何でしょうねー?」

サウザー「『少し前から、とあるアイドルのマネジメントを担当しているのですが…』」

サウザー「『それ以降、職場の周りが異常な空気なのです!もうマジヤバです!』ふぅん」

サウザー「『同僚は全員病気で倒れ、社内の芸能人も次々とダウン!』」

サウザー「『アシスタントの特効薬も効果は無く、自分も5日前から悪寒を覚えました!もうゲキヤバです』うわーヤバーイ」

サウザー「『ダメ押しとばかりに、日中から不気味な8個の星の幻覚まで見てしまう始末…』」

サウザー「『頼るのは聖帝様しかいません! どうかお力添えをお願い致します!』


サウザー「…だって?」ニヤニヤ

「…」



【EX.produce 白菊ほたる】


ドタドタドタドタドタ!

バタン! バキャ!


シュウ「おいサウザー!! 懲りずに何を馬鹿な事をやっているのだ!?」バン!

ユダ「街の至る所から、貴様の不快な声が響いて来るぞ!」

サウザー「…」

サウザー「はい、ここで一旦曲を流します。拳☆王さんからのリクエストで『ピエロ』。どうぞー」

~♪


サウザー「…」カチャ

サウザー「貴様達! 今オンエア中だぞ! この聖帝放送の邪魔をする気かッ!!」バン!

レイ「このクソがッ! 貴様のラジオのせいでアイドルに紅茶を吹きかけられたぞ!!」ビチャビチャ

シン「一体何が、お前をこんな常軌を逸した行為に突き動かすのだ! 言ってみろッ!!」

サウザー「フフフ…ならば詳細を話してやろう」

‐‐‐
(会議室)


サウザー「先日、あのラオウから直々に、あるアイドルをプロデュースしてくれとの申し出を受けた」

ユダ「! ラオウだと…!!」

レイ「馬鹿な…346プロダクションの奴が何故俺達に依頼を!?」

サウザー「…」

サウザー「…ていうか何? 君達ラジオ聞いてなかったの? 粗方全部言ってたと思うけど?」

サウザー「お前らのリアクションのために、また同じ話しなきゃならんの?」

シン「偉そうに言うな!」

シュウ「黙って話すのだ、このクソサウザー!」バン!

サウザー「し、シュウ様落ちつけ……」

サウザー「…あれは3日前の事だ」

******

(3日前 346プロダクション)


サウザー「相変わらず気の利かん事務所だな…」

サウザー「この聖帝がワザワザ出向いてやったというのに、茶かシェイクの一つも出さんとは…」

サウザー「それどころかどうだ、人っ子一人居ないではないか! ついに346も経営下火で大幅人員削減か? ええ?」

ラオウ「…」

ラオウ「……それ以上口を開くな、サウザー。己の死期を早めたいか」

サウザー「フフフ…拳王よ、そう睨むな。話とやらを聞こうじゃあないか」

サウザー「貴様程の男が手ずから俺を呼び出したのだ。尋常な事ではあるまい?」

ラオウ「…」

ラオウ「貴様が目の当たりにしてる通りだ」

ラオウ「事務員、アシスタント、プロデューサー、そしてアイドル…」

ラオウ「現状、このプロダクションの人間の大半が、奇病に体を侵され、床に伏せておる」

ラオウ「流行り病か陰謀か…皆目の見当もつかぬのだ。酷い有様よ」

ラオウ「役所の検疫課すら出向く始末だ」

サウザー「フハハハハ! 実に愉快だ、あのアシスタントの顔を見ずに清々しておるわ!」

ラオウ「…」

ラオウ「今日うぬを招いた理由はただ一つのみ。俺が面倒を見ている小娘を…」

ラオウ「白菊ほたるというアイドルを預かってはくれまいか…」

サウザー「…なにぃ?」

ラオウ「最早このプロダクションにアイドルを任せられる人間はおらぬ!」

ラオウ「ケンシロウは行方不明、ジャギは発狂し、トキなど昏睡状態だ…!」

サウザー「……話が見えんな」

サウザー「元より、貴様がプロデュースすれば済む話だろう。見たところ貴様は健常そのものじゃあないか」

ラオウ「…俺はこれ以上、彼女のプロデュースを続ける事は出来ぬ…」

サウザー「何故だ?」

ラオウ「それについては、まず白菊ほたるの素性について語らねばなるまい」

ラオウ「……」

ラオウ「白菊ほたる……『凶星』の宿星を抱き生きる悲運の女だ」

サウザー「!!」ガタッ

サウザー「ば、馬鹿な…凶星だと…!?」

サウザー「南斗と北斗入り乱れる時、新たな星がこの地に降誕する…」

サウザー「地獄すら生ぬるい業を一身に受け持ち、陰鬱な生涯を宿命付けられた者が抱く宿星、『凶星』…!」

サウザー「その業火は己のみならず、携わる者すら焼き尽くすという…」

サウザー「なんという巡り合わせか…!」

サウザー「おい、このプロダクションの惨状は…まさかその女の…!」

ラオウ「…断定は出来ぬが、あのトキも首を振りおった」

サウザー「…!」

サウザー「有り得ん…」

ラオウ「…」

ラオウ「白菊ほたるは、この俺が担当した初めてのアイドルだ…」

ラオウ「忌々しい凶星風情なんぞ、この拳王の往く覇道の前には塵に等しい!」

ラオウ「俺はそう強く胸に抱き、プロデュースを続けていたが…」

ラオウ「この惨状に晒され、トキも倒れ、そしてトキはこう言いおった…」

ラオウ「『世紀末覇者として自分の覇道より、プロデューサーとしてその子の命を守れ』とな…」

サウザー「はぁん? 命だと…?」

サウザー「いきなり話が大袈過ぎやしないか?」

ラオウ「それも今から語ろう、少し辛抱せい!」

サウザー「なら融通を利かせ、今すぐ茶かシェイクでも持って来い」

ラオウ「…」プルプル

サウザー「ジョークだ。少し緊張が緩んだであろう? フハハハハ」

ラオウ「話を戻すぞ」

ラオウ「彼女はその持前の不幸体質により、これまで数々の事務所を転々としてきた」

ラオウ「無論、軟弱な事務所に凶星は到底手に負えんのは明白よ」

ラオウ「だが…語るところによれば、これ程までの被害は無かったらしい」

サウザー「ほう…」

ラオウ「以前までは、誰かが転んで怪我をしたり、軽い風邪をひいたり、また不可視な不運に苛まれたりもしたそうだが…どれも小規模だ」

ラオウ「しかし……!」

ラオウ「この346プロダクションで、剛運を授かりしこの拳王との巡り合わせにより、凶星が真の牙を剥いたのだ!」

サウザー「(発端はお前かよ…)」

ラオウ「職員とアイドルの9割が倒れ、千川ちひろも遂に力尽き、俺なぞ一日に十数回は自動車に衝突される有様よ!」

サウザー「ハァ!?」

サウザー「お前、毎日十数回も車と事故ってんの!? なんで生きてるの、ピンピンしてるじゃん! ていうか、一気に胡散臭くなったぞこの話!」

ラオウ「これしきの事で、このラオウを打ち倒す事など叶わぬ!」

サウザー「それ威張る事か!?」

サウザー「ならずっとお前がプロデュースしろよ! お前鉄人だから不運とか不幸とか問題無いだろ!! もう帰るぞ俺ッ!」

ラオウ「落ちつくのだサウザーッ!!」

サウザー「言ったであろう! 凶星が俺の剛運に感応し、絶え間なく災厄を投げかけるのだ!」

サウザー「このラオウが無事だとも、いずれは彼女自身にも被害が及ぶかも分からぬ!」

サウザー「…まあ…それはそうかもな。しかし…」

ラオウ「…そして、恐れた事が起きた」

ラオウ「単体観測のイベントで…彼女は…」

ラオウ「彼女は見てしまったのだ…!」

ラオウ「自身の頭上に鈍く輝く『死兆星』をッ…!」

サウザー「なにぃ…!」

ラオウ「俺が大人しくトキの言葉を飲んでいれば…防げた事態かもしれぬのだ…っ」

ラオウ「己の力を過信し…覇道を通した故に、自らのアイドルを死なせることになるとは…!」

ラオウ「…」

ラオウ「サウザーよ…!」

ラオウ「この拳王、生涯にただ一つの頼みだ!」バッ!

サウザー「…!」

ラオウ「346には手を尽くせる者も術も、既に無い!」

ラオウ「荒ぶる凶星を諌めるには、ほたると同じ、それぞれの宿星を抱くうぬら六星拳の…7610プロダクションの力を借りるより他に無いのだ!」

ラオウ「せめて…せめてもだ…! 結果、彼女の死兆星が消せずとも…!」

ラオウ「その命が果てるとしても、せめて、二週間後のデビューライブだけは実現させてやりたいのだ…!」

サウザー「『デビューライブ』か…それが奴の黄泉への手向けになるやもと?」

ラオウ「俺は身を引こう! これ以上、ほたるを危険に巻き込むわけにはいかぬ…!」

ラオウ「サウザーよ、どうか幼き命を救ってやってはくれまいか…!」

サウザー「…」

サウザー「(良い眺めよ…ラオウが頭下げてる。写メ撮っとこ)」パシャパシャ

>>22訂正



サウザー「言ったであろう! 凶星が俺の剛運に感応し、絶え間なく災厄を投げかけるのだ!」

サウザー「このラオウが無事だとも、いずれは彼女自身にも被害が及ぶかも分からぬ!」

サウザー「…まあ…それはそうかもな。しかし…」

ラオウ「…そして、恐れた事が起きた」

ラオウ「天体観測のイベントで…彼女は…」

ラオウ「彼女は見てしまったのだ…!」

ラオウ「自身の頭上に鈍く輝く『死兆星』をッ…!」

●訂正終了●

>>24からの続き



サウザー「頭を上げろ、ラオウ」スッ

サウザー「かつて暴虐の限りを尽くし拳王と畏怖された男の中に、有情の光を垣間見るとはな…」

サウザー「…」

サウザー「良かろう。引き受けてやる。死兆星の灯を消し、7日後のデビューライブとやらも果たさせてやろうではないか」

サウザー「しかし白菊ほたるは、その後も我ら南斗が貰い受けるぞ」

ラオウ「構わぬさ。彼女を死兆星の魔手から解放してくれさえすればそれ以上の望みは無い…」

サウザー「フン…」

サウザー「凶星か…生意気な」

サウザー「この俺は将星のサウザー! 全ての宿星を統べる帝王の星を持つ男だ!」

サウザー「そのなかに一片の例外も存在しない! 六聖の外にある災厄の星であろうが、この帝王が蹂躙してやろうではないか!」

サウザー「フハハハハハ!」


******

‐‐‐

シュウ「し、死兆星を宿すアイドル…!」

レイ「ラオウの依頼なのは癪だが…是非にとも救ってやりたい…」

ユダ「確かに、同じ宿星を持つ我らが介入すれば、歯車が狂い運命も変わるかもしれんな…」

サウザー「明日その女をひとまず我がプロダクションに迎い入れる。ユダ、貴様が迎えに行ってやれ」

ユダ「ああ、いいだろう」

シュウ「死兆星を消すか、消せずとも悲願のライブを実現させてやること。このどちらかを叶えれば良いのだな?」

サウザー「フフフ…流石はシュウ様、理解が早いじゃあないか」

シン「ところで、疑問なんだが…」

シン「先程のラジオのハガキは、ラオウからの物なのか? 拳王とは思えない程、やけに砕けた感じだったが…」

サウザー「ああ、アレ…?」

サウザー「……いや、あのラオウが俺に頭下げて来たし、ちょっと気分良くなっちゃってさ?」

サウザー「奴に対して溜まっていた鬱憤を、今なら晴らしても許されるかなーと思って…」

サウザー「突発的に行動して、事情をキャピキャピな雰囲気に作り変えて、勝手に放送しちゃった♪」

サウザー「まあ万事許されるよね?」

レイ「お前最低だな!!」バンッ

ユダ「ちょっとシリアスな感じで、ラオウも良い人っぽくなってたのに、お前台無しだぞソレ!」

シン「奴があのラジオを聞いていたら、怒り狂い拳王軍を進軍させかねんぞ!?」

シュウ「さて…」

シュウ「一度話を整理しよう。何かが見えてくる事があるやもしれん」

シュウ「…」

シュウ「白菊ほたる、凶星の女……彼女は不幸を呼び寄せる」

レイ「剛運を持つラオウとの出会いにより、凶星は更に猛威を振るい、より強い不幸を呼び寄せる顛末となった…」

ユダ「その災厄により、346プロは機能不全、あの北斗兄弟も散々たる有様でプロデュースは不可能、と…」

シン「例えこのままラオウがプロデュースを続けても……一緒にいればラオウは無事でも、彼女に危険が及ぶ事を憂い…」

サウザー「故に袂を分かち、同じく宿星を持つ我ら南斗を頼ったワケだ」

シン「…」

シュウ「だが、時すでに遅し。彼女にはもう死兆星が宿ってしまった…」

レイ「…哀れだ」

ユダ「我らが彼女に為す事は、その短い生涯を閉じるまでに、悲願のデビューを果たさせる事か」

サウザー「フフフ…違うなユダよ。この帝王の輝かしい威光で、死兆星の鈍い光を消し去る事こそ…!」

サウザー「我らの本懐であろう?」

サウザー「死兆星など恐れるに足らん! さあ六聖拳の獅子達よ、まずはパーティなどして、彼女を明るく迎え入れてやろうではないか!」

すまんまた間違ってる…
直すね

>>26

●訂正●

サウザー「頭を上げろ、ラオウ」スッ

サウザー「かつて暴虐の限りを尽くし拳王と畏怖された男の中に、有情の光を垣間見るとはな…」

サウザー「…」

サウザー「良かろう。引き受けてやる。死兆星の灯を消し、二週間後のデビューライブとやらも果たさせてやろうではないか」

サウザー「しかし白菊ほたるは、その後も我ら南斗が貰い受けるぞ」

ラオウ「構わぬさ。彼女を死兆星の魔手から解放してくれさえすればそれ以上の望みは無い…」

サウザー「フン…」

サウザー「凶星か…生意気な」

サウザー「この俺は将星のサウザー! 全ての宿星を統べる帝王の星を持つ男だ!」

サウザー「そのなかに一片の例外も存在しない! 六聖の外にある災厄の星であろうが、この帝王が蹂躙してやろうではないか!」

サウザー「フハハハハハ!」

間違えだらけですまんね
そういう時は容赦なく突っ込んでくれ

‐‐‐
【1st 妖星vs凶星】

(街中 待ち合わせ場所)


ユダ「おい、お前が白菊ほたるか?」

「はい? 違いますけど…」

ユダ「…チッ」

ユダ「…」

ユダ「黒髪に白い肌…13歳、身長は小さめか…」

ユダ「履歴書の写真データが全て謎の消失だと? あの馬鹿めっ!」

ユダ「待ち合わせ時間は既に過ぎているぞ、どうなっている?」

ユダ「社会人なら時間厳守が当たり前だろう…クソッ!」



「あの、ちょっとー…いいですか?」

ユダ「ああ? 何の用だ…貴様ら」

「ここら辺で、不審な男が手当たり次第に若い女性に声を掛けているって通報があったんだけどさ…」

警察A「君のことだよね? 何やってるの?」

ユダ「(け、警察か! コイツら…!)」

ユダ「詮索は無用。ただの人探しだ。別段怪しくも無いであろう」

警察B「まー、ちょっと身分証明書出してくれる?」

ユダ「この俺の美しき面貌に覚えが無いだと!? 不躾な…!」

警察B「はいはい、で?」

ユダ「フン…これだから浅ましい下民は…」ゴソゴソ

ユダ「…」ゴソゴソ

警察A「…」

ユダ「…」ゴソゴソ

ユダ「アレ…?」

警察A「…ちょっと君、向こうで話聞かせてくれる?」

ユダ「ま、待て! 時は一刻を争うのだ! 貴様らに構っている暇など無い!」

ユダ「(ここでターゲットと行き違いになるわけにはいかん…!)」

ユダ「(今は逃げるか…)」ダッ

警察A「オイ、ちょっと!」

警察B「追うぞ!」

ユダ「ハハハハ、軟弱な貴様ら如きにこのユダは捉えられんわ!」ダダダ

ユダ「国家の犬め、犬らしく尻尾を振って追って来るか…ハハハハ!」

ユダ「よし、このまま区画から離れて、すこし時間を空け…」

「あ、あの…!」

ユダ「何だガキ!? 俺は今忙しいのだ!!」

ユダ「…!!」ピタッ

ユダ「(黒髪に白肌、そして小さな体躯…!)」

ユダ「き、貴様が白菊……!」

ほたる「あ、危ないです! 後ろっ!!」

ユダ「ハァ?」


キキィー! 

ドガッ!

ほたる「……!!」

ユダ「ゴがあぁッ!!?」ズシャアアァ

警察A「オイ! 大丈夫か!?」

警察B「き、救急車!」

ユダ「な…」プルプル

ユダ「なぜ……こんナ、長閑な住宅街に…」

ユダ「ぐ、軍事用……装甲車が……」

ユダ「せ…世紀末じゃア…あるまいし……ナ、ぜ…」

ユダ「ァ…」ガクッ

ほたる「あ、あわわ……」オロオロ


・・・
・・

デビューライブまであと10日

‐‐‐
(翌日 7610プロダクション 会議室)


サウザー「ハァ…」

サウザー「ユダが装甲車に轢かれて、全治二ヶ月の重傷で入院?」

ほたる「…」

サウザー「何やってんのあのナルシスト…」ハァー

ほたる「…あ、あの」

サウザー「ああ、で、お前が例の?」

ほたる「白菊ほたる…です。よろしくおねがいします……」

サウザー「ふぅん?」

ほたる「ご、ごめんなさい…!」ビクッ

サウザー「…え?」

レイ「おい、脅えているじゃあないか」

シュウ「お前は顔が凶悪なのだ、少しは控えろ」

サウザー「か、顔が凶悪!? ヒドッ!」

サウザー「す、少なくとも『カタギには見えない』と誰かに言われたシュウ様には言われたくは無いですッ!!」

ほたる「私…不幸体質で…私がいると、みんな不幸に…」

ほたる「ゆ、ユダさんも…私のせいで……!」

サウザー「フフフ…」

サウザー「不運の星の元に生まれた凶星の女よ…安心するがいい」

ほたる「え…?」

サウザー「ラオウの所ではどうだったかは知らんが、この将星サウザーには貴様の不幸など及びはしない! 俺は全ての星を統べる聖帝だ!」

サウザー「遠慮はするな! あと10日後に控える貴様のデビューライブ、必ず成功に導いてやろうではないか!」

ほたる「あ、ありがとうございます…」

ほたる「…でも、私、不安で……また周りに不幸を振り撒いてしまうんじゃないかって…」

ほたる「ラオウさんも……毎日毎日十数回も…厳つい装甲車を受け止めてて…」

シュウ「!?」

シン「奴はそんな頻繁に軍事用装甲車と事故ってたのか!? てか受け止めるって…!!」

レイ「君、もうソレ不幸とかじゃなくて、何か巨大な陰謀に巻き込まれてるぞ!?」

サウザー「なあ、ラオウの奴、実はターミネーターか何かなんじゃないのか?」

シュウ「ううむ…少なくとも人間では無いことは確かなようだな…」

‐‐‐
【2nd 義星vs 凶星】

(他芸能事務所)


レイ「では、ウチの白菊ほたるを今後、どうぞ宜しくお願い致します」スッ

ほたる「よろしくお願いします…!」ペコッ

ディレクター「はぁい♪ カッコいいレイ様の頼みなら喜んで! その子も可愛いわね♪」

ほたる「あ、あはは…」


‐‐‐
(大通り 公園)

レイ「…まだ君のライブまで時間はある」

レイ「まずは色々と外回りで関係を作ると同時に…」

レイ「宣伝でもしていこう。慌てる事は無い」ニコッ

レイ「俺は少し顔が利くから、君もそれを活かして欲しい」

レイ「地道な告知も行っていこう。街でビラを配ったり、付近の店にポスターの依頼を…」

ほたる「はい…。あの…」

レイ「うん?」

ほたる「ラオウさんは…何故私を、皆さんのプロダクションに?」

ほたる「ひょっとして…以前までの事務所と同じで…私を疎んで…」

レイ「それは…」

レイ「…」

レイ「(別に隠す事でもないか…?)」

レイ「(しかし、今の346プロの惨状とラオウの心境を、彼女は受け止められるか? この俺が伝えるのもそれも…)」

レイ「…」

レイ「……よし、向こうのベンチで話をしようか。折角良い天気だし、何か飲み物でも買ってこよう」

ほたる「はい…ありがとうございます」

ほたる「…」

ほたる「(噂で…少し聞きました)」

ほたる「(346プロダクションの人達が、原因不明の病気でどんどん倒れているって…)」

ほたる「(これも私のせい…? だからラオウさんも…)」

ほたる「………」


ドドドドドドドド!
キャー! レイ様ー!マッテー!

ドドドドドドドド!

ほたる「…?」

ほたる「っ!?」

レイ「うおおおおォォ!」

レイ「ほ、ほたるぅ!逃げろおオオッ!!!」

ほたる「れ、レイさん!?」

「レイ様ー!」

「南斗DE5MENのレイ様がいるわよーッ!」

「追うのよ! レイ様ァー!!」

ほたる「レイさんが…女性の大群に追われて…」

ドドドドドドドド!
レイ様ーッ!!

レイ「や、止めて下さい! 服を脱がさないで…!!」バサバサ

「キャー! レイ様がこんな近くにィ!!」

「ちょっと! それ私のシャツよっ!!」

レイ「ちょ、ちょっとアナタ達…アアァ……」


ほたる「あ、あああ…」

ほたる「(か、囲まれて姿がもう見えない…!)」

ほたる「れ、レイさ…」スッ

「何よアンタ! どいてっ!」ゲシッ

ほたる「ぁう…!」ドタッ

ほたる「……」

レイ様ー! レイ様ー!
ドドドドドド……
ドドド…



ほたる「っ…」

ほたる「行っちゃった…レイさんを連れて…」

・・・
・・

デビューライブまであと9日

‐‐‐
(後日 7610プロダクション 会議室)


サウザー「ハァ…」

サウザー「今度はレイが行方不明になった。何だ、シスコン風にでも吹かれたか?」

ほたる「…」

シュウ「(たった二日間で二人もやられた…!)」

シン「(お、恐るべし凶星…!!)」

サウザー「所詮はナルシスト星とシスコン星だ。奴らは六星拳の中でも、プロデューサーとしても下の下よ」

サウザー「この俺がプロデュースしたいのは山々だが…すこし面倒な事があってな」

シン「何だ?」

サウザー「ラオウが押さえていた会場が昨日、火災で使用不能になったのだ」

サウザー「急ぎ、新たなライブのステージを探さねばならん」

ほたる「…!」

サウザー「フフフ……案ずるなほたるよ」

サウザー「この聖帝がその30倍はデカい会場を手配してやろう! 日本武道館とかどうかな?」

シュウ「デカ過ぎるだろう! もう少し規模を考えろ!」

サウザー「フン…。シン、今日は衣装合わせの最終調整だ。ほたると共にスタジオに出向け」

シン「ああ。では早速行くか。ついてこい」

ほたる「は、はい!」

バタン


シュウ「…」

シュウ「凶星の猛威はどうやら我らの想像を超えているかも知れんぞ…」

サウザー「はぁん? シュウ様考え過ぎ。その年で禿げるよ?」

‐‐‐
【3rd 殉星vs凶星】

(外部 衣装館)


ほたる「わぁ…すごい綺麗です…!」

店員「白と薄い緑を基調にして、儚げなイメージを押し出してみたんですが、如何でしょう?」

シン「良い仕事だ。これは…スズランの花だな?」

店員「はい。よく御存じで。依頼者からの希望でスズランを象らせろとの事で…」

シン「依頼者…ラオウか。まあいい。これで調整してくれ」

ほたる「こんな綺麗なドレス…初めて着ました…」

シン「似合っているぞ。お前は元より美しい。自信を持つのだ」

ほたる「あ、ありがとうございます…えへへ…♪」

シン「…」

シン「スズランの花言葉は『幸福の訪れ』だ」

ほたる「…!」

シン「ラオウめ…詩人にでもなったつもりか……だが」

シン「奴も、お前の幸せを…アイドルとしての成長を願っているのかもしれんな」

ほたる「…はいっ」

店員「あのー…」

シン「何だ! まだ用があるのか!」

店員「貴方…南斗DE5MENのシンですよね?」

シン「あ、ああ…それが何だ?」

店員「向こうに新作のドレスがあるんですけど……試着とかお願い出来ないですかね?」

シン「な、何故俺が着なければならんのだ! 今忙しい!」

シン「ほたる、さっさと脱いで出るぞ…!」

ほたる「し、シンさん…ちょっと私も見てみたいです…!」

シン「なっ…!」

‐‐‐

店員「きゃああっ♪ スッゴイ素敵ですっ!」

シン「な、何だこのフリフリのドレスは…!」フリフリ

ほたる「シンさん、似合ってます…!」

シン「……」

シン「そ、そうか…///?」フリフリ


ザワザワ…
ナニコレ…イキダオレ…?
ヤバクナイ…?


シン「ん…?」

店員「何か…外の様子が騒がしいですね」

シン「少し様子を見てくるか。お前は待っていろ」ズイッ

ほたる「は、はい」

店員「(あ…彼、ドレス着たまま…)」

‐‐‐

シン「!!」

ケンシロウ「……」

シン「け、ケンシロウ!?」

シン「馬鹿な! お前程の男が、一体誰にやられた!?」ユサユサ

通行人「そ、その人…フラフラして、弱った様子で…」

通行人「『み、水…』って言いながら倒れました…」

シン「…!」

シン「(サウザーの奴が、ラオウ以外の北斗兄弟について言っていたな…)」

シン「(ジャギは発狂、トキは昏睡状態、ケンシロウは……行方不明と)」

シン「服もボロボロだ…生死の境を彷徨ったのか…」

通行人「すぐ救急車を…!」

シン「その必要は無い!」

通行人「えっ?」

シン「水を飲ませれば済む話だ…」

シン「水を…」

シン「飲ませる……」

シン「…」

シン「(こ、この状況は…!!)」

シン「(意識の無い者に水を飲ませるには…!)」

シン「(いや…やるしかあるまい…!)」ドキドキ

通行人「あ、あの…?」

シン「きき、貴様らは失せろっ! 事は全て俺に任せれば問題無い!!」

【●ステップ1:ケンシロウの意識があるか注意深く観察しましょう】

ケンシロウ「……」

シン「(目視では不安だな…)」

【●ステップ2:心音の確認】

ケンシロウ「……」

シン「(広い胸板だ…)」

【●ステップ3:呼吸の有無を確認しましょう】

ケンシロウ「……」

シン「…空気の揺れは…無いな」ヒラヒラ

【●ステップ4:念のため再度意識の確認をしておきましょう】

ケンシロウ「……」

シン「…イケる…! 水を…!」ドキドキ

シン「っ~~~~」

グビグビグビグビグビッ!
グビグビグビグビグビッ!

シン「(さあ……!)」タプンタプン

【●ステップ5:ここであせってはいけません】

ケンシロウ「……」

ケンシロウ「……」ピクッ

ガシッ!

シン「…むぐっ!?」ゴクン!

【●ステップ6:恐れていたことが起きてしまいました】

シン「けけけ、ケンシロウ!」ギリギリ

ケンシロウ「…シン、貴様…」ギリギリ

ケンシロウ「今、俺に何をしようとしていた…」ギリギリ

【●ステップ7:決してあせらず事前に万一のための言い訳を用意しておきましょう】

シン「ま、待て、ケンシロウ!」

シン「貴様が倒れていたと騒ぎを聞きつけ、蘇生を試みていたのだ!」

シン「決してヤマシイ下心など無いッ!」

ケンシロウ「……」

ケンシロウ「なら、その着ているドレスは何だ…?」

シン「ん…?」フリフリ

シン「(!! し、しまったぁ!!)」フリフリ

【●ステップ8:最悪です】

ケンシロウ「貴様…以前も渋谷凛の女子高生の制服で俺の命を狙ってきたと思えば…」

ケンシロウ「今度はドレスで女性に扮し、俺の寝首を掻こうとしたか……」

シン「ち、違うぞケンシロウ! これは誤解だ!」

ケンシロウ「…悪趣味な外道が…」

ケンシロウ「貴様を一時期でも強敵(とも)と認めた俺が間違いだったか…」

ケンシロウ「…」スタスタ

シン「……」

【●ステップ9:この時点で神に祈るかタイムマシンを夢見るしかありません】

シン「……」

【●ステップ10:あるいはケンシロウの記憶がミラクルで消去される…そんな希望を見出します】

シン「……」

【●ステップ11:とりあえず笑ってみましょう】

シン「……」

シン「……」ニヤリ

【●ステップ12:人の心はそこまで強くはありません】

シン「……」


ガチャッ

ほたる「シンさん? 外で何が…」

シン「……」

ほたる「し、シン…さん?」

【●ステップ13:でも もう後戻りは出来ません】

シン「っ!!」ダッ

ほたる「わっ!」

シン「うおおおおお! ケンシロウゥッ!」ダダダダ

ケンシロウ「!!」

シン「隙ありだッ!!」

【●ステップ14:南斗獄屠拳】


・・・
・・

デビューライブまであと8日

‐‐‐
(翌日 7610プロダクション 会議室)


サウザー「ハァ?」

サウザー「シンが猥褻物陳列罪、傷害罪、器物損壊罪のハットトリックで、逮捕された?」

ほたる「…」

サウザー「クレイジーサイコホモの頭の中は宇宙過ぎてもう分からん…」ハァー

シュウ「それは…甚だしく同感だ」

サウザー「所詮は下位の星々よ。奴らには荷が勝ち過ぎたか」

サウザー「シュウ様、頼れる男はお前だけだ。出番だぞ」

今日はここまで
書きためてた分はもうないから、いつになるか分からんがまた次回。
間違えだらけですまん

消化不良だったから寝る前に少しだけ投下

サウザー「ダンスレッスンの予定をガチガチに詰める」

サウザー「今日から外部に出向き、白菊ほたるのダンスレッスンに付き添うのだ」

シュウ「何だ? このプロダクションのレッスンルームではダメなのか?」

サウザー「昨日、鏡が全て割れ、今掃除と修理で大変なのだ」

サウザー「提携先の部屋を貸してくれるそうだ。同行願おうか」

シュウ「ふむ…致し方あるまい」

シュウ「(しかし、何故鏡が全て割れたのだ……)」

‐‐‐
【4th 仁星vs凶星】

(外部 ダンススタジオ)


ほたる「はあっ…はあっ…!」

ほたる「ふう…ふッ…」

ほたる「……はー…」ゴシゴシ

シュウ「お疲れ様。随分息が切れているな」

ほたる「は、はいっ、私、まだ、全然、体力、無いんです…」ゴシゴシ

シュウ「それもあるだろうが…酷く動きにムラがある」

シュウ「原因は……脚だな。少し床に座って脚を伸ばしてくれないか?」

ほたる「? はい」ペタン

シュウ「私の武道の流派のおかげで、脚の感覚には自信がある。少し脚に触れてもいいかね?」

ほたる「はい…」

シュウ「ふむ…」スーッ

シュウ「左右の筋肉のバランスが悪い。これじゃあ片側だけ捻挫もしやすいだろう」

シュウ「踊りにもバラつきがでる筈だ。座る時とか右側にクセが付いてないかね?」

ほたる「あ、はい! 確かに……右側に偏っていたり、踏み込みも右だけ違和感が…!」

シュウ「よし…そこを改善していこう。日々地道に、少しずつな」

ほたる「はいっ」

‐‐‐
(夕方 帰路)

シュウ「すっかり日も暮れた。転ばないように足元に気を付けろよ」

ほたる「はい…今日は疲れました…」

シュウ「…」

シュウ「一つ聞いても良いかな?」

ほたる「はい…?」

シュウ「すこし傷つく言い方かもしれんが、見たところ君は踊りも歌も得手では無い」

シュウ「君は何故、アイドルを志したのかね?」

シュウ「その理由が少し…気になった」

ほたる「わ、笑いません?」

シュウ「ああ、勿論だとも」

ほたる「私…夢があるんです」





ほたる「私の夢は、『幸せをみんなに分けてあげる事』です」

シュウ「幸せを…分けてあげる…?」

ほたる「…みんなの笑顔が見たいんです…」

ほたる「こんな不幸で貧相な私でも、楽しく歌って踊れば、みんなに力を与えられるんじゃないかって…」

ほたる「こんな私ですら何かを成し遂げられるんだから、みんなも一歩踏み出して頑張れば絶対……」

ほたる「みんなを幸せに…とまでは言いませんけど…少しでも笑顔を分けてあげたいんです…」

ほたる「まあ…まだ私も、デビューすら成し遂げてすらいないんですけどね…」

ほたる「こ、こんなカンジです…あはは…」

シュウ「……」

シュウ「(天は…なんという惨い事を…!)」

シュウ「(幸せを分かち合いたいと願う娘が、逆に不幸を振り撒いてしまう体質だなんて…)」

シュウ「…」

シュウ「ほたるよ…7日後のデビューライブ、必ず成功させよう」

シュウ「私も微力ながら支えさせて貰おう」

ほたる「はい…!」

シュウ「これからの展望はあるかね? デビューの後…」

ほたる「そ…そうですね…」

ほたる「デビューしたら、色々な番組に出て宣伝したり…」

ほたる「ラジオに出てお話したり、演劇をしたり、CMに出たり…!」

シュウ「ははは…」

ほたる「まだまだ、やりたいことがいっぱいあります…!」

シュウ「ああ、叶うと良いな。一緒に頑張ろう」

ほたる「は、はい!…ふふっ♪」



ガキンッ!

ほたる「…?」


ゴォッ!


通行人A「キャーッ!?」

通行人B「危ない! 上から巨大な鉄骨がッ!」

シュウ「なっ…!?」バッ

ほたる「っ!」

シュウ「直上だと!? クソッ!!」ドカッ!

ほたる「わ!」バタッ

ほたる「あうっ…! し、シュウさん!!」


ズゴォッ!!

シュウ「ぐっ!…ぬおおおおっ!!」グオオッ!

ほたる「わわっ…!! シュウさんっ!!?」

通行人A「て、鉄骨を受け止めた!?」

通行人B「すげえ! でも、早く助けるんだッ!!」

シュウ「その子を、安全な、場所まで~っ!!」グググ

通行人B「分かった! アンタも早く…!」

シュウ「ほ、ほたる…っ、早く避難をっ~…!!」ググ

ほたる「あ、ああ……」ブルブル

ほたる「(こ、腰が抜けて…)」ガクガク

シュウ「私ならっ、大丈夫だ! 重い物を持つのには…慣れているぅ~っ!!」グググ

シュウ「重い物を…持つのにはァ…!!」グググ!

シュウ「慣れているううぅッ!!」ググッ!

通行人B「(す、スゲェ!!)」


ガキンッ!


通行人B「!?」

通行人C「お、おい! まだ鉄骨が落ちてくるぞ!!」

シュウ「!?」

シュウ「わ、私に構うなっ!! その子を早く…!!!」グググ

通行人B「おい君、いくぞ!」ガシッ

ほたる「あっ!? でも、でもシュウさ…!」ズルズル

通行人B「早く来るんだ!」

ほたる「あっ、あ…!」ズルズル

シュウ「ぬ、ぬうううっ…!!」グググ…

シュウ「(こ、これ以上は…っ!)」ググッ


ガシャアアアン!
パキ…ゴゥン…


通行人A「!!」

通行人C「おい、救急車を呼べ! 急げ!」

ほたる「あ……」

ほたる「あ…ぅぅ…」ペタン

ほたる「も、もう……もう、いや……っ」ポロポロ



・・・
・・

デビューライブまであと7日

‐‐‐
(翌日 7610プロダクション 会議室)


サウザー「ハァ……」

サウザー「シュウ様が全身骨折で入院して、全治……」

サウザー「…おっと」

ほたる「……」

サウザー「……フン」

サウザー「気に病むでない。こんな現象は我が南斗では日常茶飯事なのだ」

サウザー「フフフ…有象無象が消え、これでようやく貴様は聖帝直々のプロデュースが
受けられるのだ!」

サウザー「これ程の栄誉は無いぞ! 陰鬱な顔をするな、もっと笑うのだ! フハハハハハ!!」

ほたる「……」

サウザー「フハハハハ……あれ、ほたる君?」

ほたる「もう…嫌です……」

サウザー「はぁん?」

ほたる「私が近くにいたから…皆さんが不幸な目に…」

ほたる「皆さん…体も心も傷付いて……私の、せいで…」

サウザー「待て、まだ俺が居るではないか? ええ?」

ほたる「もうやめて下さい…!」

ほたる「嫌なんです…私のせいで…みんないなくなっちゃうんです…!」

ほたる「前の事務所の人も、346プロダクションの人も、ラオウさんも…」

ほたる「ユダさんもレイさんも、シンさんもシュウさんも……」

ほたる「わた…私のせいで…」ポロ

ほたる「み、みんな私から…はな、離れていってしまって…!」ポロポロ

ほたる「ぅあ…う…」ポロポロ

サウザー「愚かな餓鬼め! この聖帝の生命力を…!」

ほたる「! ご、ごめんなさぃ…失礼しますっ!」

バタン!
タタタタ…


サウザー「お、おおぉ…」

サウザー「そ、そんなに俺のプロデュースが嫌か…?」

サウザー「滅茶苦茶ショック…俺も泣きそう」

サウザー「えー……子供に嫌われる事、俺何かしてるかなぁ…?」

‐‐‐
(7610プロダクション 中庭)

【5th 慈母星vs凶星】


ほたる「……っ」

ほたる「ううぅ…グスっ…」



「あら…どうしたの?」

ほたる「あ…」

「貴方が…噂の白菊ほたるちゃんね?」

ほたる「(…綺麗な人…初めて見ました…)」

ほたる「(この人も…このプロダクションの関係者…?)」

本当に今日はここまで。
明日の20時くらいからまた来るよ

続きゆっくり投下します

ほたる「ご、ごめんなさい…私…」

「謝らなくていいわ。隣、いいかしら?」スッ

ほたる「は、はい、どうぞ」

「それで…貴方は何故涙を流していたの?」

ほたる「それは…」

「言うのが辛い?」

ほたる「……」

ほたる「(何だろう…この人と話すと…)」

ほたる「(すごく安心する……)」

ほたる「実は…」

・・・
・・

「そう…大変だったわね」

「今まで一人で抱え込んで…苦しかったでしょう?」

ほたる「いえ…もう慣れました」

「でも泣いていたわ?」

ほたる「たまに、ちょっぴり…辛くなるだけです」

ほたる「もう……」

ほたる「アイドル…辞めようかと……」

ほたる「…」

「……」

「私も…」

「私も似たような事があったわ」

「世界が全て絶望に包まれ、男達は皆倒れていく…」

「己の無力を呪い、今までの歩みを後悔したこともあった」

ほたる「…」

「でも、私は強く在る事が出来たの……ある人を信じていたから」

ほたる「ある人…?」

「その人はどんなに離れていても、どんな困難に阻まれようとも…」

「ただひたすら、私の生存と幸せを望んで闘い続けたわ」

「…」

「その人が生きている…」

「それだけで、私は幸せだった…己を貫くことが出来た」

「私は前を向く事が出来たわ」

「……貴方には、信頼できる人はいるかしら?」

ほたる「信頼できる…人…」

「貴方には歌で声を伝え、踊りで姿を魅せる術がある」

「貴方は皆の幸せを願い、活動を続けてきた」

「でも…幸せを願う気持ちを持つのは、貴方だけでは無い筈よ?」

ほたる「え…?」

「誰かが『貴方』の幸せを願い、支えてくれた人が、必ずいる筈よ」

「その人は貴方を信頼していてくれた…けど、貴方はそれに気づいていたかしら?」

「その人の気持ちに、貴方は応えていたかしら?」

ほたる「わ…私は、みんなを不幸にしちゃうし…」

ほたる「今までだって…散々…迷惑を…」

ほたる「私を想っている人なんて……」

「辛いけど、そういう時こそ前を向くの」

「涙を流して俯いていたら、前が見てないでしょ?」

「前を向くと、見えない景色が見えてくるわ」

「貴方が見えなかった、信頼できる存在が…」

「貴方を信頼し、闘い続けている人が…」

「貴方を想い、支えてくれる人が…」

ほたる「……」

「あ、サウザーでは無いわね。」

ほたる「……」

ほたる「…え?」

「…でも大丈夫よ」

「サウザーは死んでも死なない、殺しても殺せないような男だから」

ほたる「そ、そうなんですか!?」

「彼を頼るのも…まあ、悪くは無いわ」

ほたる「はい…」

「思いつめて苦しい時は、信頼できる人を探すの。そして委ねるの」

「他人を頼ってもいいんだから…ね?」

ほたる「…」

「貴方は決して不幸なんかじゃない。周りの人も不幸だなんて思っていないし…」

「貴方が今みたいに己を責めているのが、自分の様に辛い筈だから…」

ほたる「……!」

「…周りを笑顔にして、幸せにすることがあなたの夢なのでしょう?」

ほたる「はい…!」

「私も、貴方の楽しく歌って踊る姿が見てみたいの」

「楽しみにしてるわね…例えどんな辛い目に遭おうと…」

「その人と同じく、私もいつも貴方を見ているわ」

「貴方のファン1号としてね」

ほたる「…はい! ありがとうございます…!」

ほたる「あ、あの! 私頑張ります…!」

ほたる「心配をおかけしました! 私、行ってきます…!」

タタタタタ…


「…頑張ってね」

「凶星だって、あなたの笑顔には敵わないんだから…」



・・・
・・

デビューライブまであと6日


『私の夢は、みんなを幸せに…笑顔にすることです』


『でも…私の体質は、みんなを不幸せにしてしまう…』


『こんな私に…そんな夢のまた夢みたいなことが出来るのでしょうか…』


『私は…いつも一人ぼっちで不幸だと…思い込んでいました』



『でも、こんな私の夢を支えてくれた皆さんがいます』


『皆さんは、私を真剣な眼差しで応援してくれました』


『私は…』


『それだけで、それを知れただけで『幸せ』でした』





『私が今したいことは…』


『幸せをみんなに分けてあげる事』


『……それは私の夢でもあります』


『昔も今も、それだけは変わりません』


『そして、あのデビューライブの時…』




・・・
・・

デビューライブまであと1日

‐‐‐
【final 将星vs凶星】

(ライブ当日 ライブ会場)


サウザー「フハハハハハ!」

サウザー「遂にこの日にまみえる事が出来たな、ほたるよ!!」

ほたる「はい…!」

サウザー「貴様を南斗鳳凰拳並みの動きに鍛え! 民衆を一声で揺動させるような歌唱力に昇華させ!」

サウザー「王として君臨し下民を蹂躙する、あらゆる聖帝王学を叩きこんだ!」

サウザー「安心しろ、今の貴様に恐れる障害は何もない!」

サウザー「貴様の名は、このデビューライブで広く知れ渡ることとなろう!」

ほたる「は、はい!」

サウザー「フフフ…いい返事をするようになったじゃあないか」

サウザー「まだ少しだが時間はある。貴様は楽屋で待機していろ」

ほたる「はい…あ、あの…!」

サウザー「何だ、用でもあるのか?」

ほたる「あの…こんな不器用で貧相な私のことを…」

ほたる「今まで…本当に大切にして下さって…」

ほたる「ありがとうございました…!」ペコッ

サウザー「…」

サウザー「何を言っている。貴様は今後も聖帝の手足となり、ボロ雑巾となり果てるまで活動をして貰うのだ」

サウザー「礼などしている暇があったら、段取りの復習でもしているがいい!」

ほたる「は、はい…!」

タタタタ…

サウザー「…」

サウザー「…」

サウザー「…ッ!」バン!

サウザー「ぬうぅ…!」

サウザー「何故だ…! 何故客が入らぬッ!?」プルプル

サウザー「あれだけビラも撒き宣伝に勤しみ、集客を第一に考えて戦略を練ったが…!」

サウザー「何故人っ子一人、客が来ようともせぬのだ…!?」

サウザー「『保険』の遠征部隊も、一体何をやっているのだ…!!」

ブーッブーッ

サウザー「!」ガチャ

側近『さ、サウザー様! 急ぎ御報告したい事が…!』

サウザー「オイッ! 我が遠征部隊よ! 貴様ら今何処で油を売っている!!!」

サウザー「ライブの開始まで、あと30分を切ったぞ!」

側近『も、申し訳ありません!!』

サウザー「予定では、一時間前に貴様らが『サクラ』として会場を埋め尽くす手筈であろう!?」

サウザー「集客の不振を見越しての、こんな簡単な人海戦術が、何故成立しないのだ!!?」

側近『げ、現在、我が遠征部隊は、会場に赴く道中で身動きが取れない状態にあります!!』

サウザー「な、なにぃ!?」

側近『突然の大嵐、バイクの動作不良、交通渋滞、警察の追跡、先導車の玉突き事故、謎の装甲車の妨害…!!』

側近『相次ぐ不慮の事態に、我が軍は為す術が無く…!!』

側近『行進の目処が立っても、開始時刻に間に合うのは難しい次第で…!!』

サウザー「っ…!!」

サウザー「き、凶星めがァ…っ!!」

サウザー「奴の…白菊ほたるの不幸が、この将星にも及ぶだとっ…!?」

サウザー「データの消失、会場の火災、レッスンルームの事故…!」

サウザー「兆候はあったが…ここまでとはッ…!」

サウザー「馬鹿者どもがっ! ならば走ってでも馳せ参じる気構えを見せてみよ!!」

側近『は、ハッ!』

サウザー「クソッ…!」ブチッ

サウザー「この俺は帝王だ…!」

サウザー「俺のプロデュースに、失敗があってはならんのだ…!!」



「……どうやら凶星の猛威には、同じ星を宿す貴様ら六聖拳ですら、歯が立たなかったようだな」

サウザー「…!」

サウザー「貴様…! 何故ここに!?」

ラオウ「…かつて、愛娘の様に心付けたアイドルの…初の晴れ舞台だ」

ラオウ「行く末を、見届けねばなるまい…」

サウザー「ハッ、見捨てた女に情が湧いたか…丸くなったな拳王よ」

ラオウ「…そろそろ開演の刻だ」

ラオウ「舞台袖に行くぞ。貴様ら南斗がどのように彼女を育てたか、この拳王に見せてみよ」

サウザー「フン…」

サウザー「よかろう。共に見届けてやろうではないか」

サウザー「如何なる結末であろうと、目を背けることは許されん」

サウザー「それが王たる者の務めであるからな」

ラオウ「…」

‐‐‐
(ステージ)


ほたる『こ、こんにちは! 白菊ほたるです!』

ほたる『本日は悪天候の中、ライブにお越し頂いて、ありがとうございます…!』



ほたる『…っ』

ほたる『初めてのライブで、緊張していますけど…』

ほたる『精一杯やらせていただくので…!』



ほたる『最後まで応援よろしくお願いします!』

ほたる『最後まで、笑顔で頑張るので…!』



ほたる『皆さんも、笑顔で、見ていて下さい…!』

ほたる『聞いて下さいっ! 私のデビュー曲…』



~♪


‐‐‐
(舞台袖)

~♪

ラオウ「……」

サウザー「……フン」

ラオウ「目を背けるな、サウザーよ」

サウザー「…愚問だ」

サウザー「……馬鹿め、音程がずれている」

サウザー「ステップもぎこちない。あれほど練習を積んだのに…」

~♪

ラオウ「…ああ、そうだな」

ラオウ「だが、良い面構えをしている…」

サウザー「…」

サウザー「この俺がプロデュースしたのだ。この程度で心が折れるように調教した覚えは無い」

サウザー「まっすぐに、強い眼差しで、もぬけの客席を見つめておるわ」

サウザー「…とんだ道化よ」

ラオウ「…」

ラオウ「約束通り、手を尽くしてくれたのだな、サウザーよ」

ラオウ「感謝する…」

サウザー「…フン」


サウザー「死に逝く哀れな女への、ささやかな手向けに過ぎん」

サウザー「我ながら酔狂な事をしたものよ」

ラオウ「フッ……」

ラオウ「さて、曲も終わる。我々も行かねばなるまい」

サウザー「なに…?」

ラオウ「客席だ。俺は客として見に来たのだからな」

ラオウ「…うぬも来るがよい」

サウザー「フフフ…一人では恥ずかしいのだな、拳王よ?」

ラオウ「黙れ! 断じてあり得ぬ!」

‐‐‐
~♪…


ほたる『はぁ…はぁ…』

ほたる『……』グイッ

ほたる『ありがとう………ございました』



ほたる『…』



パチパチパチパチパチパチ

ほたる『っ!?』

ほたる「(は、拍手…? 何処から? 客席……)」

ほたる『……っ!!』

ほたる『ら、ラオウさん!』



ラオウ「見事だ…」パチパチパチパチ

サウザー「フハハハハ! この聖帝が直々に指導したのだ! 当然であろう!」パチパチパチパチ

ほたる『サウザーさん…!』

ほたる『あ、ありがとう…!』



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ほたる『!!』

ラオウ「ぬぅ?」

パチパチパチパチ

ユダ「実に美しき姿だった…」パチパチ

レイ「良かったぞ、ほたる」パチパチパチ

シン「留置所を抜け出してまで見に来た甲斐があったぞ」パチパチ

シュウ「デビューライブ、無事に終えたな。おめでとう」パチパチパチ

サウザー「フハハハ、貴様ら、どいつもこいつも満身創痍ではないか!」

ほたる『み、みなさん…!』ジワッ

ラオウ「ほたるよ…」

ほたる『…!』

ラオウ「よくやったぞ…」

ほたる『あ……』ポロ

ほたる『……っ』グスッ

ほたる『ありがとう…ありがとうございましたっ……!』ポロポロ


パチパチパチパチ

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「…ふふっ」パチパチパチ



・・・
・・

観客、計7名
デビューライブ、無事終了

『私が今したいことは…』


『幸せをみんなに分けてあげる事』


『……それは私の夢でもあります』


『昔も今も、それだけは変わりません』





『そして、あのデビューライブの時に』


『私は皆さんに恩返しをすることが出来ました』


『皆さんに幸せを分ける事が出来て…夢が叶ったんです』


『…これ以上の幸せはありません』





『アイドルをやってきて、本当に良かったと思います』


『皆さんに出会えて、私は本当に幸せでした』


『今まで、私の事を一生懸命プロデュースして下さって』


『本当に、ありがとうございました』





『退職届 白菊ほたる』

‐‐‐
(デビューライブから1時間後 7610プロダクション)


サウザー「…」

レイ「退職届か…」

ユダ「ああ。戻ってきたら、これが置いてあった」

シュウ「…あっけない幕切れだ」

シン「奴も思う所があったのだろう」

ラオウ「……」

ラオウ「死兆星は恐らくまだ消えてはおるまい…」

ラオウ「…ほたる…」


シュウ「どうするのだ?」

サウザー「当然、探すに決まっている」

サウザー「そうであろう、ラオウよ?」

ラオウ「ああ…まだ俺は彼女に伝えねばならんことがある」

サウザー「はぁん? そんな事はどうでもよい!!」

ユダ「!?」

サウザー「まだ打ち上げの宴会が残っているではないか!!」

サウザー「主役がボイコットするとか、非常識にも程があるっ!」

サウザー「聖帝軍全勢力を総動員し、これより東京中をローラーする!!」

サウザー「まだ遠くには行っていない! 総員、制圧前進で探すのだっ!!」

シン「よし…」

レイ「従おう!」

ユダ「急げ、今度はどんな災難が起こるか分からんぞ!!」

シュウ「ああ、早く連れ戻すのだ!」

ラオウ「うむ…!」

‐‐‐
(外)

ザァァァァァ…


ほたる「…」

ほたる「ごめんなさい…」

ほたる「でも、あれだけ私のことを信頼してくれた皆さんを…」

ほたる「…もうこれ以上、不幸にするわけにはいかないんです…」

ザァァァァ…

ほたる「…」

ほたる「…皆さん、本当に、ありがとうございました…」

ザァァァァァァ…


「…!!」

「ヘイ、ガール?」

ほたる「!?」

「アンブレラ……」スッ

ほたる「え!? あ、はい…傘?」

「スイート・デコレーション…」ポン

ほたる「え、え、え!?」

アメリカンドリィームッ!


ほたる「傘…くれた…」

ほたる「……?」

ほたる「…」


ザワザワ…
オイ、マタダヨ…何ナノコレ…

ほたる「…?」


ザザーッツ
ガガッガガッ

『えー、オホン』

『あー、あー、あー…』

『ハーイ! 下郎の皆さん、コンバンワー!』

『このラジオ放送は、聖帝軍技術班と拳王軍精鋭との合同で、革新的な技術向上により…』

『我が7610プロダクションのスタジオを中心に、半径120キロメートルの範囲で、電波ジャックしてお送りしています』

『「オールナイトサウザー」、お相手はDJサウザーと~?』

『…DJラオウの、ツープラトンでお送り致します』

『ハーイ拍手~!』

『(パチパチパチパチパチパチ!)』



ほたる「!!?」

サウザー『ラオウさんは、職業は…えー芸能関係のお仕事を?』

ラオウ『そうです…以前、白菊ほたるという少女をプロデュースしていました…』

サウザー『はー白菊ほたる! 俺、今日ライブ見に行きましたよー!』

サウザー『感動しましたねー、あんなに幸薄で儚そうな女の子が、あれほど力強くライブ出来るなんてねー…!』

ラオウ『ええ…そうですね』

ラオウ『それだけに、自分がプロデュース出来ないのが…非常に残念です…』



ほたる「……!!」

ほたる「ラオウさんは…私を疎んでいたんじゃ……?」


キキィーッ!


ほたる「…!」

ヒューイ「おいアイン、彼女が白菊で間違いは無いな?」

アイン「エンパイアスティィト…!」

ヒューイ「……あの奇抜な傘、間違いない!」

ヒューイ「よし、我が将の命令だ、すぐ7610プロまで連れて帰るぞ!」

アイン「カモン、ガール!」

ほたる「え…え…!?」

ラオウ「自分は…彼女の身を案じるあまり、彼女を傷つけてしまったやもしれません…」

ラオウ「しかし……今日彼女が堂々と歌う姿を見て、改めて痛感しました」

ラオウ「彼女は不幸など恐れない。自分の夢に向かい邁進して励んでいました」

ラオウ「なのに、我々が彼女を恐れていた…。こんな腑抜けが如何にして彼女と向き合うことができましょうか…?」

ラオウ「叶うことならば…彼女に謝りたかった…。そしてもう一度言ってやりたい…!」

ラオウ「決して夢を諦めるな、我々はいつも傍にいると…」

サウザ「(シーン、ビールを瓶で30本と、あとオードブルでも調達して来てー)」

サウザー「(シュウ様ー、貴様今日隠し芸担当ねー)」

ラオウ「あの…聞いていますか?」メキメキメキ

サウザー「あ、はーい。この声が彼女に届くと良いですねー」


ガチャ!


ラオウ「…!」

サウザー「ん?」

ほたる「はっ…はっ…!」

ヒューイ「我ら慈母聖の将の命により、白菊ほたるを連れて来たぞ!!」グオッ

アイン「ジュンジュラーイ?」

ラオウ「ほ…ほたるよ…!」

ほたる「………ご、ごめんなさいっ!」

ラオウ「!」

サウザー「…?」

ほたる「わ、私…勘違いしてました…」

ほたる「私、てっきり…見捨てられたのかと…」

ほたる「だから……もう皆さんが傷付く所を見たくないと思って…!」

ほたる「勝手に…飛び出して…!」

ほたる「ごめんなさい…!」

ラオウ「謝るのはこの俺の方だ…ほたるよ」

ラオウ「凶星の災厄でお前が傷付くのを恐れ、お前を突き放したこの俺の愚行を…」

ラオウ「どうか許してほしい…」

ほたる「わ、私こそ……ラオウさんの気持ちに、ようやく気が付きました…」

ラオウ「……」

ラオウ「これからも、アイドルを続ける気は無いか?」

ほたる「えっ…?」


ラオウ「お前の夢とやらを、これからも傍で見届けたい」

ラオウ「今日のように、不幸など物ともしない、屈強な精神を持つ……お前の笑顔と幸せで…」

ラオウ「この拳王の枯れた心を、潤してはくれぬだろうか…?」

ほたる「……!」

ほたる「はいっ! もちろんです!」

ほたる「これからも…宜しくお願いします…!」

ほたる「…っ」ジワッ

レイ「おいラオウ、女を泣かせるなよ」

ほたる「え! あっ…こ、これは泣いていません!」ゴシゴシ

ほたる「う、嬉し涙で…!」

ユダ「なんだ、結局泣いているではないか!」

シュウ「ほたる、良かったな。お前の夢はあのライブで終わりではないだろう?」

ほたる「し、シュウさん…」

シュウ「私に話してくれただろう?」

ほたる「…!」

シュウ「色々な番組に出て宣伝したり、ラジオに出てトークしたり、演劇に出演したり、CMに出たり…まだまだやる事は沢山あるぞ」

ラオウ「フフフフ…これからこの拳王と共に歩むなら、その程度では終わらぬ!」

ラオウ「国を代表するアイドルとなり、そして世界の壁に挑み、名を轟かせる…!」

ラオウ「不幸などもう恐れはせぬ! これからこの拳王と共に、覇道を歩もうぞ!」

ほたる「あ、あはは…」

ラオウ「…そうであった…ならば…」

ラオウ「この退職届は、もう不要であろう?」

ほたる「…はい!」

ラオウ「フフフ…良い返事だ」

ほたる「…!」



ビリッ…

シン「しかし、その夢なら既に一つ叶ったな」

ほたる「えっ?」

シン「今、全ての声はこのラジオテロで放送されているぞ」

ほたる「えっ…えっ……!?」

ほたる『こ、この部屋ですか!?』

ラオウ『その通りだ! これを聞く民衆よ!』

ラオウ『これからは、346プロダクションの白菊ほたるの応援を是非に頼むッ!!!』

ほたる『!?』

ほたる『は…恥ずかしい……』

ラオウ「フッ…!」

ハハハハハハハハハ!!


ほたる「えへへ…♪」

ほたる「(あの女の人が言ってた通り…)」

ほたる「(私もようやく…見つけた気がします)」

ほたる「(自分に向き合い、信頼できる人を…)」




サウザー「(………)」

サウザー「………」

シュウ「(…お、おいレイ…サウザーの様子が何やらおかしいぞ…!)」

レイ「(何だと?…もう大団円なのに、ここで変な真似をされたら…!)


バンッ!

ラオウ「ぬ…?」

サウザー「聞き捨てならんな、拳王よ?」ズイッ

サウザー「約束が違うじゃあないか、ええ? 『346プロダクションの白菊ほたる』だと??」

シュウ「お、おいサウザー!」

レイ「話が纏まって来たんだ! お前はもう出しゃばるな!」

サウザー「以前の話では、白菊ほたるは今後は7610プロに移籍するという話だったじゃあないか…?」

サウザー「手塩にかけたアイドルを、むざむざ貴様に渡すわけにはいかんな」

シン「く、空気の読めない奴だ…!」

ほたる「そ…そうだったんですか?」

ラオウ「……」

ラオウ「フフフ…ウチの千川ちひろなら、こう言うぞ?」

ラオウ「そんな口約束は話にならん…証明できる物はあるのか…?」

サウザー「き、貴様……!」

ラオウ「力こそが正義…良い時代になったものよ…」

ラオウ「ほたるが欲しくば、力ずくで奪ってみるがよいッ!!」グオッ!

サウザー「ぬぐぅ…拳王~ッ!!」

サウザー「この帝王の体の謎を知らん貴様に、俺の相手が務まるとでも!?」

サウザー「思い上がりも甚だしい!! 即刻、切り刻んで我が十字稜の礎にしてくれようっ!!」バッ!

ほたる「あ、あの…」

レイ「ほら、ほたるはコッチだ」グイッ

ほたる「あ、ああ…」ズルズル

ユダ「我が7610プロのアイドルが宴会場で待っている」

シン「今日のライブの打ち上げだ。行くぞ」

ほたる「あ…は、はい…」



サウザー「天翔十字鳳ッ!!」ガシャーン!

ラオウ「ぬうん!! 北斗剛掌波っっ!!!」バゴーン!



・・・
・・

‐‐‐
(後日 7610プロダクション 会議室)


ユダ「おい、結局のところ、白菊ほたるの死兆星は消えたのか?」

レイ「その件なら安心しろ、本人に確認したところ、星はもう見えなくなったそうだ」

シン「それは良かったが…一体何が原因だったのだ?」

シュウ「恐らく…アレだろう」

ユダ「フン……『退職届』だな?」

シュウ「ああ。彼女の死兆星の意味するところは、『生命活動の停止』ではなく『アイドル人生の終焉』だったのではないか…と、トキが言っていたぞ」

ユダ「まあ…実際どちらでも有り得そうなのが怖い所だな…」

シン「ところで…あの馬鹿はどうした?」

シュウ「ラオウとの激戦で、両者病院送りだ」

ユダ「似たもの同士か」

レイ「その後は病院内で、奴らと千川ちひろで大論争が起こっているらしいぞ」

ユダ「想像したくないな…」

シュウ「何にせよ、白菊ほたるの移籍の件は未だ保留だ」

シン「我がプロダクションは毎度毎度平穏無事にとはいかんな…」

ユダ「また我らに得るものが無かったな…」

レイ「何を言う、彼女の幸せな笑顔が見られただけでも、プロデューサー冥利に尽きるじゃあないか」

シュウ「何だかんだで…板についてきてるのが恐ろしいな…」

シン「余計なトラブルだけは、もう御免だ…今回ので少し懲りたぞ本当に…」



続かない。

終わりです。
次回書くなら原点回帰でイチゴ味のギャグ要素満載で書きたい…

最後に一枚。
守りたいこの笑顔
http://i.imgur.com/Vs5Aw4U.jpg

みんな読んでくれてありがとう。
ちなみにいま書いてる次回作は明日か明後日投下する予定。

あと誰か教えてほしいんだけど、
なんで>>1のリンクがクリックできないように表示されてるんだろうか?
誰かちゃんと出来るようなやり方知ってる?
この書き込み見る人もういないかもしれんけど、答えてくれたらうれしい。

ちなみに、「全部読む」とかのページに移ると、クリック出来なくなるんだけど…これ普通なのか?
どうせならちゃんと表示させたい…

専ブラは普通に開けるよ?全部まだdat落ちもしてないし
もしかしたらhttpsのsがいらないのかも。sがあると確か暗号通信になるから

>>143
あーなるほど。気づかなかった
じゃあ次回からそうやってみるか。レスありがとう
試しにやってみる。気にしないでくれ↓
サウザー「シンデレラガールズ 7610プロ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430637631/)

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