P「アイドルがスタンドバトル」 (12)

P「VR技術を利用した新世代格闘ゲームの広報に765プロのアイドルが抜擢された」

P「市販されるまではまだ時間がかかるが一般人によるテストも兼ねて特別に試作機で遊ばせてもらえることになった」

P「試作機は管理者用のものを含めて三台しかないので今回遊べるのはふたりだけだ」

P「ゲームと言えば亜美真美、と言いたいところだが」

P「あいつらは今一か月一万円生活をしているので参加不可能だ」

P「ここは俺と春香で行ってみよう」

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春香「わあ…すっごくリアルですね、プロデューサーさん!」

P「ああ…しかも思っていたより広い」

春香「えっと…説明書によるとひとつの町ぐらいの面積にさまざまな地形や建物があるらしいですね」

P「探索してみたいな」

春香「それよりもプロデューサーさん!スタンドを出してみましょうよ!」

P「そうだな、スタンドの出し方は…念じれば出る?」

春香「んー、あっ出ました!」

P「おお!赤くてカッコいいな!どんな能力なんだ?」

春香「えっと…」

春香「特にないみたいですね」

P「まだ発現していないってことかな。あれ?姿が変わった?」

春香「名前を付けていないので不安定なのかも…プロデューサーさんに名づけてもらってほしいです」

P「そうか?じゃあ春香のデビューシングルからとって『太陽のジェラシー』はどうだろう」

春香「い、いいですね!…ちょっと呼びにくいので『ジェラス』にします」

P「そうか…ところで、俺のスタンドが出てこないんだけど」

春香「うーん。不具合があるみたいですね。でもせっかくだから色々見てまわりましょうよ」

P「そうだな」

P「ここは、学校みたいだな」

春香「すごい!ケーキの味と食感が完璧に再現されてますよ、プロデューサーさん!」

P「ここでは食事の必要がないのに、どこで拾ってきたんだ…」

春香「いいじゃないですか、そんなこと。それよりちょっと休憩しませんか?」

P「またか?ちょっと移動する度に休憩してるじゃないか」

春香「疲れちゃうんですよ、なんだか」

P「仕方ないなあ」

ドゴオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

雪歩「プロデューサープロデューサープロデューサープロデューサー」

P「雪歩!?どうしてここに、いやいきなり壁を壊して現れてどうしたんだ!」

春香「様子がおかしいです!私の後ろにさがって!」

雪歩「今、助けます!『インフェルノ』!」

春香「『ジェラス』!」

P「(唐突に始まったスタンドバトル)」

P「(俺にはそれをただ見ることしかできない……!)」

P「(正面からの殴り合いは、見たところパワーは互角だがスピードは春香が上回っているか)」

P「(雪歩が引いた、春香の追撃、雪歩がしゃがんでかわし、いや、潜った!?)」

P「(これが雪歩のスタンド能力…?違う!何度も見たことがある、これは雪歩が元々もっているスキルだ!)」

P「(つまり、雪歩のスタンド攻撃はこれからだ)」

地中に雪歩を逃がしてしまった春香は、しかし、焦ってはいなかった。
地面の下にいる雪歩には春香の位置を探知する手段がないことを予想したからである。

春香「無差別攻撃にかかればプロデューサーさんをまきこむ恐れがある」

春香「雪歩ちゃんは私の足音を探知して」

その時、春香はわずかな振動を足元に感じた。
間髪入れずにとびあがる春香、その真下からインフェルノの右腕が突き出される。

春香「そうっ!そこに攻撃してくる!」

カウンターを叩き込もうとする春香、しかし彼女は雪歩の殴打はかわしたが攻撃をくらっていた。
マグマの飛沫と焼けた小石が、春香を襲う。この時春香はとっさに防御姿勢をとってしまった。
だから雪歩の左腕をかわせない。吹き飛ぶ。

春香「雪歩ちゃんの能力は…校庭は危ない。校舎に逃げ込むしかない」

春香「プロデューサーさん!雪歩ちゃんは私が止めます!そこで待っていてください!」

雪歩「建物の中へ…逃がさない」

P「雪歩!いったいなんなんだ、今のは!」

雪歩「プロデューサー、今は少し休んでください」

P「ぐふっ」

雪歩「必ず、助けますから」

雪歩「校舎のどこに隠れたにせよ」

雪歩「全部マグマの海に、沈ませる!」

雪歩は校舎の外でスタンドを発現させ『インフェルノ』の能力、土をマグマに変える能力を発動させた。

春香「傾いてる!すぐに動かなきゃ」

この世界は、ゲームだから痛覚が存在しない。
HPを削り切られればリタイアだが、逆に言えばその範囲内なら相当の無茶ができるということだ。
春香はフェンスを破壊し、雪歩目掛けて跳んだ。
雪歩は頭上の気配に気づいた。マグマを跳ね上げる。
春香の眼前にせまる赤い波、春香はこれに消火器を噴射した。

春香「一瞬、表面が冷えて固まったら!」

春香はそれを蹴って雪歩の後方に着地、即スタンドを発現させる。
雪歩は振り向いて、詰みを悟った。
この距離では潜ろうとすればその隙に仕留められる。背後はマグマの海だ。逃げられない。
だが、雪歩はけして諦められないもののために戦っている。

雪歩「プロデューサー!私に力を!」

春香「でも、私の愛の方が上だったみたいね」

雪歩、リタイア!

ああ!ミスった!ごめんなさい!

私はもう限界のようです。明日書き溜めてきます。

春香「プロデューサーさん、プロデューサーさん」

P「うっ…は、春香」

春香「だいじょうぶですか」

P「ああ、雪歩は…?」

春香「リタイアしました」

P「そうか…いったい、何があったんだ?」

春香「たぶん、対戦のデータを取るために雪歩が呼ばれたんだと思います」

P「そうか、俺のせいで…。じゃあ俺もリタイアした方がいいかな」

春香「いえ、ここにいてください」

P「え、でも」

『リタイアしてはならない』

P「ああ、わかったよ春香」

春香「はい。えへへ、じゃあ商店街に行きませんか?」

P「ああ、わかったよ春香」

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