男「異世界にワープして女騎士と付き合うことになった件」(21)

 
放課後の教室

男「友。今日公開の映画のチケット当たったから一緒にいかね?」

友「あ、悪い。オレ今日は妹に留守番頼まれてんだ」

男「そうか。じゃあしょうがないな」

男「他に誘える奴は……」

ガララッ

幼馴染「あ、あら男。偶然ね」

男「おぉ幼馴染、どうした忘れ物か?」

幼馴染「そ、そうよ。あんたこそ一人で何やってるの?」

男「ちょうどよかった。実はさ、今日暇だったら映画に――」

ビュンッ!

男「――付き合ってくれない……か?」

女騎士「は……わ、私に言ってるのか……?」

男「え?」

女騎士「え?」

 
男(幼馴染が突然女騎士になった!?)

男(いやいや、別人だろ常識的に考えて)

女騎士「い、いきなり現れて、何のつもりだ貴様!」

ジャキン!

男「ひいっ! なにそれ、剣!?」

女騎士「そ、そんな嘘をついて、この私を愚弄するつもりか!? 誰の差金だ!」

男「い、いや、そんなつもりは……」

女騎士「な、なんだと? じゃあ、今のは本気なのか?」

男「え、えーっと(ガクガクブルブル)」コクコク

女騎士「わ、私と付き合いたい、だと? な、ななな……」

女騎士「……」

女騎士「い、いいだろう。丁度、男を探していたところだ」

女騎士「付き合ってもらうぞ」

グイッ。ツカツカ……

男「あ、ひ、引っ張らないで(ていうか、ここはどこ!?)」


――大衆食堂

がやがや……

女騎士「飯を食うぞ」

男「あ、あの、ここは一体どこなんでしょ――」

騎士A「キザ男さん、居ました! 女騎士さんです!」
騎士B「こっちです、こっち!」

バタン!

キザ男「おぉ、愛おしき僕の花嫁。ここにいたのかい」

女騎士「貴様の花嫁になったつもりはない。消えろ」

キザ男「つれない返事だなぁ。婚約者に向かって消えろだなんて」

女騎士「悪いが親同士が決めた婚約などお断りだ」


女騎士「それに、私には今付き合っている男がいる」

キザ男「な、なに? そんなの初耳だぞ!」

女騎士「こいつが私の彼氏だ」

ぐいっ

男「え、え? 俺?」

キザ男「な、なんだこの奇妙な格好をした平民は!
     こんな奴は認めないぞ!」

女騎士「お前がどう思おうと勝手だが、私には彼氏がいるのだから
     これ以上、つきまとうのはやめてもらおう」

キザ男「きえーーーっ!」

男(何がなんだか分からない)


男「あの、ここはどこなんですか?」

女騎士「何をいっている。王都アトラティスに決まってるだろう」

男「まさか……外国?」

女騎士「がいこく? ふむ、身なりから察するに、君は異国の者だったか」

女騎士「ナを名乗っていなかったな。私は女騎士。よろしく頼む」

男「お、男です。ところで、あの、えーっと」

ぐきゅるるる


女騎士「む。腹が空いているのか?」

男「は、はい、まぁ」

女騎士「恋人は食事を共にするとメイドが言っていたな……」

女騎士「よし、食事に行こう」

男「あ、はい」

~~食堂

女騎士「好きなものを食べるといい」

男「あの、俺お金これしか持ってないんですけど」
チャリン

女騎士「な、なんだこれは! 銀貨じゃないか!」

男「え? 500円玉ですけど」


女騎士「ドワーフの国でしか産出されない銀貨を持っているとは……
     さては相当名のある貴族……!」

男「あの~」

女騎士「……こ、これは玉の輿にのるしかない!」

女騎士「食事は取りやめだ! 私の家で婚儀を行うぞ!」

男「えええええええ」

女騎士「これで私も貧しい騎士から脱出できる」

女騎士「妹達を学校にいかせてやれる……!
     満足な食事を与えられるぞ!」

男「うわああああ! 首根っこ引っ張らないで痛い痛い」

 
女騎士の家

女騎士「ただいま!」

妹1「おかえりお姉!」
妹2「おかえりなさい」

女騎士「突然だが、今から婚儀を行う。
     相手はこの男だ」

妹「わぁー! 結婚だー!」

男「ちょ、ま、待って。話を聞いてくれ」

女騎士「ええい、男なら覚悟を決めろ」

女騎士「さ、さあ、寝室で儀を行うぞ……」

男「儀……?」

女騎士「いいからこいっ!」

ぽいっ!

男「うわっ! 何するんだ、服を返してくれ!」

女騎士「う、うううるさい! 結婚を言い出した側が
     リードをするのがマナーだっ!
     だから、私がっ、リードしてやるっ!」

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