男「突然>>2の能力に目覚めた」 (99)
男「……こんなの日常生活じゃ使えねーよ」
>>2
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水をコーラに変える
男「……おお、すげえ。洗面所の水なのにコーラだ」ゴクゴク
男「炭酸までしっかり効いてるぞ。温いけど」
男「風呂場も台所も庭の蛇口もウォーターサーバーも、水が出るところは全部試したけど……」
男「うん、元が美味しいのが一番美味いな」
男「トイレは……やめよう。腹壊しそうだ」
男「……うっぷ、てか俺コーラそんな好きじゃねえのについがぶ飲みしちゃったよ……気分悪」
男「口直しにスーパーでお茶でも買ってこよ」スタスタ
――――――――
男「いやーやっぱりお茶は美味い。茶、最高!」
男「2Lで80円とか安すぎだろ。やっぱ業務スーパーって神だわ」
男「……? コンビニにやけに人だかりが。何かあったのか?」
男「ちょっと聞いてみよう、すいませ~ん」
近所の人「>>5」
コンビニの肉まんが全部ピザまんに・・・
水道水をコーラにして売れば金持ちになれるぞ
男「コンビニの肉まんが全部ピザまんになった? 何でまた」
近所の人「さあ? 店員さんも首傾げてたよ。いつの間にすり替えられたのか見当もつかないって」
男「不思議なこともあったもんですねー」
近所の人「全く」
男「って、そんなことでこんなに皆して大騒ぎしてるんですか? てっきり事件でもあったのかと思いましたよ」
近所の人「そんなこと!? キミ、本気で言ってるのかい?」
男「え?」
近所の人「だってキミ、ピザまんだよ!? スーパーに売ってるような安物だって3000円はくだらない高級品じゃないか!」
男「……は?」
近所の人「ちょっと待ってくれ、キミ本当にピザまんを知らないのかい?」
男「いや……知ってますけど、あんなのジャンクフードの類じゃないですか」
近所の人「ジャンクフードだって!? ピザまんが、ジャンクフード!? キミすごい家に育ったんだね! あ、もしかして、●●建設さんのご子息さんとか?」
男「●●建設って……あそこに立ってるデカいビルのとこですよね? 全然違いますよ」
近所の人「そうか。でもきっとさぞ名のある家なんだろうね!」
男「………………あ、はい。まあ」
男「ちょ、ちょっと用事思い出したんで、失礼します!」
近所の人「ああ! 気をつけるんだぞ!」
男「ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい……! 一体何が起こってるんだ!?」
男「>>8と話そう。このままじゃおかしくなりそうだ……!」
すいませんズレました
安価直下で
男「友!」
友「よお男。電話してくるなんて珍しいな。なんかあったのか?」
男「俺さっき腹減ったからコンビニ行ったんだけど、ピザまんが安かったから10個くらいまとめ買いしてやったよ! はっはっは、どうだすげーだろ!」
友「うっひゃっひゃっひゃ! お前マジアホだろ! ピザまん10個なんてお前――――」
友「絶対途中で飽きるって! もったねーなーピザまんとはいえ!」
男「……よかった、お前はまともだった」
友「は? 何だよ急に」
男「いや、何でもない。妹に相手にされなくて悲しかったから、お前に話したんだ」
友「妹ちゃんかー。今中二だろ? 難しい時期なんだよ、そっとしといてやれ」
友「あ、ピザまん飽きたら俺にくれよ。3つくらいなら食ってやっから」
男「分かった、楽しみにしとけ」
友「おう。じゃあなー」
男「よかった、友は普通だったな」
男「ふう……さっきは変な人にあたっただけか」
男「安心したら腹減ったな。家でラーメンでも食うか」
男「お湯が沸くまでテレビでも見るか」ポチ
アナウンサー『では次のニュースです。>>14』
山が砂糖の山になってしまいました
男「××山が砂糖の山になった? 何だか変なことばっかりだなー」
アナウンサー「昨日未明、S県N村の交番からの通報を受けた警官が現場に駆けつけたところ、××山のふもとで十数人の遺体を発見しました」
男「怖いなー。火山ガスか何かか?」
アナウンサー「遺体にはどれも激しく争った後があり、」
アナウンサー「この突如として出現した大量の砂糖を奪い合ったのではないかということです」
男「……う、そだろ?」
男「こんな野ざらしになった砂糖なんて誰も買うわけないじゃないか!?」
アナウンサー「砂糖について詳しい専門家さんをスタジオへお招きしました」
専門家「純度の低い粗悪品でも、グラムあたり30ドルの値がつくこともある超高級調味料としてよく知られる砂糖ですが、映像を見た限りでは相当に純度は高そうですから、卸価格でもグラムあたり500ドルはくだらないでしょうな」
男「……砂糖って、そんなばかな。家にだって余るほど……!」ダッ
男「……ない。ない、ない、ないぞ! 砂糖がどこにもない!」
男「あるのは『SATO』とかいうパチものっぽい緑色の粉だけだ! ……一応甘いけど、なんか草っぽい味するな、これ」
男「……もしかすると、俺が『水をコーラに変える能力』に目覚めたことと何か関係あるのかもしれない」
男「誰かにこのことを話してみよう」
男「でも、もし××山みたいな事件に発展したら大変だ。相手は慎重に選ばないと……」
男「友……はダメだ、アイツはこの異常に気づいてない」
男「そうだ、>>19にしよう! アイツなら絶対に信用できる!」
女先輩
男「そうそうアイツアイツ、女先輩……って、アイツとか言っちゃダメだろ、先輩だっつーのに」
男「あの人には中学の頃からずっと面倒みてもらってるからな。頭もいいし、きっと何か知ってそうだ」
男「よし、早速電話かLINEを……」
男「……いや、直接会って話そう。じゃないとふざけてると思われそうだ」
女先輩「それで? 受験勉強に忙しい私に20分も自転車漕がせてまで済ませたかった用事っていうのは何かな? 後、それってどうしても私じゃなきゃダメなこと?」
男「う……ええと、必ずしも先輩じゃなきゃどうこうっていうのはないんですけど……」
女先輩「ほう」
男「……今は、先輩にしか頼れないんです」
女先輩「……分かったよ、男くんがどうでもいいことで人を呼びつけたりなんかしないってわかってるからね。そこ座って、自販機で何か買ってくるから」
男「いえ、呼び出したのは俺ですから、俺が行きます!」
女先輩「あ、じゃあお願いねー。後でお金払うから」
男「何買ってきます?」
女先輩「んー。甘いものならなんでもいいかな」
男「……先輩炭酸大丈夫ですよね」
女先輩「うん! 大好きだよ」
男「分かりました。俺、最近臨時収入入ったんで奮発してすごいの買ってきます」
女先輩「ちょっとー。すごいのって、変なの買ってきたりしないでよ?」
男「ははは、分かってますよ」タッタッタ
男「お待たせしました、先輩」
女先輩「はーいありがとー……って、何で紙コップに入ってるの? 公園の入口のとこの自販機ってペットボトルだったよね?」
男「先輩をびっくりさせようと思って。あ、目をつぶって飲んでください」
女先輩「? まあいいけど。じゃ、いただきまーす」ゴクリ
男「(さて、どうくるか――――)」
女先輩「お、男くん! こ、これってもしかしてコーラ!?」
男「……はい、コーラですよ。色も匂いも味も、どこに出しても恥ずかしくないコーラです」
女先輩「う、嘘だよ! だって、だってコーラって言ったら……>>24」
1リットル100万円はする高級品じゃないか
女先輩「こんな高級品、お札でキャンプファイヤーできるようなセレブの人しか買えないのに!」
男「キャンプファイヤーって……あれ、でもそんなすごいものの味、よく知ってますね」
女先輩「うん、昔お父さんが株主やってる会社のパーティで、ほんの一滴だけ舐めさせてもらったことがあったんだ。それが今でも忘れられないくらい本当に美味しくて……」
女先輩「って、そんなことはいいの。ねえ男くん。正直に答えて。男くん、何か悪いことに手を出してたり、変な仕事させられてたりとかしない?」
男「いえ、何もしてません」
女先輩「じゃあ誰かからもらったの? ならすぐに返した方がいいと思う。こんなの、庶民なんか直に見る機会さえないシロモノなんだよ? その人絶対まとももじゃないよ。男くん、今すぐその人と縁を切って」
男「もらってもいませんし、拾ってもいません。懸賞に当たったわけでもないし、もちろん買ったわけでもありません」
男「これ、元はただの水なんです」
女先輩「え? じゃあ、コーラの素みたいなのをかけたらこの味になったってこと?」
男「それも違います。これは、ついさっき俺が水からコーラに変えたんです」
男「信じられないと思いますけど、本当なんです……これ、飲んでみてください」
女先輩「……水だね」ゴクリ
男「水です。じゃあ、それを胸の前で持ってください。いきます……えい」
女先輩「色が変わった!?」
男「飲んでみてください」
女先輩「コ、コーラだ……すごい、さっきまでただの水だったのに、本当にコーラになってる……!」
男「さっき、昼寝から起きたら『水をコーラに変える能力』が使えるようになったんです。馬鹿みたいですけど、本当なんです」
女先輩「正直、まだ信じられないけど……目の前で見ちゃったら信じるしかないよ……うわあ、夢みたい! これから毎日私コーラが飲めるんだ! すっごーい!」
男「あ、自分サーバーになること決定なんですね」
女先輩「あ、ごめん! ちょっと舞い上がっちゃって……うわあすごいな~男くんが……へえ~」
男「(めっちゃ目が輝いてる……こんな先輩見たことないぞ)」
男「(でも、俺を商売に使おうとかそういうことは考えてないみたいだ。やっぱり先輩に相談してよかった)」
男「先輩になら、いくらでも飲ませてあげますよ。いつもお世話になってますし」
女先輩「本当!? 嬉しいー! 男くんありがとう!」ギュッ
男「おわっ!? せ、先輩! 抱きつくのはやめてくださいって言ってるじゃないですか!」
女先輩「嬉しい~嬉しいよ~! これから毎日コーラが飲めるんだ~うう、こんな日がくるなんて……」グスッ
男「何も泣かなくても……」
女先輩「泣くに決まってるよ~……私、お茶代わりにコーラが飲めるようになるなら死んでもいいって思ってたんだもん……」
男「ええ……」
女先輩「コーラをジョッキ一杯飲むためにボーナス使い果たす人だっているくらいなんだよ? そんなものを、私毎日飲めるようになったんだよ? これで泣かなかったら私多分一生泣かないよ?」
男「な、なるほど……」
男「(あげるのは3日に一度くらいにしておこう。あげすぎたら中毒みたいになりそうだ)」
男「(……ならないよな?)」
女先輩「よーし! 何だかやる気がむくむく湧いてきたぞー! これなら京大東大だって夢じゃない! 私、頑張る!」
女先輩「じゃあ自習室戻るから、また明日学校で!」
男「はい、また明日です」
男「うーん……効果てきめんというか、猫にマタタビって感じだったな……」
男「この能力、使いどころ考えないと不味いな。そのへんでほいほい使ったら大変なことに……」
>>36「大変なことって?」
男「ひいっ!?」
幼なじみ(女)
幼馴染「何だよ、幽霊でも見たみたいな声だしてさー」
男「や、何でもない。急に声かけられたからびっくりしただけ」
幼馴染「あ、分かった。どうせエロ本でも買いに行こうと思ってたんでしょ?」
男「違う。絶対に違う」
幼馴染「またまたー隠さなくたっていいのに。男がミドルで巨乳の女の子が好きだってことくらい昔から知ってるからさっ」
男「ば……何で知ってるんだお前!?」
幼馴染「だって男、女先輩と一緒にいるときいつもデレデレしてるじゃん。バレバレだよ」
男「女先輩は性格が好きなんだよ俺は。見た目で選んでるわけじゃねーよ」
幼馴染「そ……そうだよな! 男は女を胸の大きい小さいで好きになったり嫌いになったりなんかしないもんなっ! ごめんごめん、失礼なこと言っちゃったっ」
男「いや、そりゃしないけど……」
男「(待てよ、何だか知らんが幼馴染が浮かれてる。この調子で話を逸らそう)」
幼馴染「で、大変なことって何?」
男「(無理でした!)」
男「い、いや、えーとその……」
幼馴染「む。今適当なこと言おうとしてるでしょ」
男「な……ななな何言ってんだお前、俺はいつもこうだよ。俺がまともなこと言ったこと一度でもあったかよ、はははは」
幼馴染「それ、自分で言っててどうかと思わないの……?」
男「思わない思わない。ぜーんぜん思わない」
幼馴染「怪しい。本当のこと言って、男。じゃないとわたし怒るよ」
男「(まずい……こうなったら相当上手い言い訳じゃないと誤魔化されないぞ)」
男「(かと言ってあまりほいほいこの能力をバラしたくはない。しばらく様子をみたいな……)」
男「どんな言い訳をしようか……>>40」
コーラーショップ開こうと思ってさ
男「コ、コーヒーショップ開こうかなーって」
幼馴染「は? コーヒーショップ?」
男「そ、そうそう。ブルーマウンテンの香りに心を奪われちゃって……」
幼馴染「男。怒るよ」
男「ごめんなさい嘘です」
幼馴染「次はないと思って。さあ、何を隠してるの?」
男「>>42」
これもしかして友もなんかやってるってことだよね
すいません
再安価直下でお願いします
男「(……ダメだ、いい嘘が思いつかない。適当なこと言って怒らせてうやむやにしよう)」
男「じ、実は……」
幼馴染「実は?」
男「と、友に告白されちゃって……」
男「(さーて雷が落ちるぞー)」
幼馴染「ええ!?」
男「ええ!? そんなに驚くことかよ!」
幼馴染「……そ、そうだね。わたしとしたことが取り乱しちゃった、たはは」
幼馴染「ずっと前から、薄々分かってたことなのに……」
男「分かってたのか!? ぜ、全然知らなかった……」
幼馴染「いつもあれだけ仲良くしてるじゃん。見てれば分かるよ」
男「そ、そうだな……まあそういうならそうなんだな……」
幼馴染「これからどうするの?」
男「どうするって、そりゃ断るよ。当たり前だろ、俺ホモじゃねーもん」
幼馴染「どうして!?」
男「どうして!?」
幼馴染「友くんがどんな気持ちで男くんに告白したか分からないの!?」
男「すまん、ちっとも分からん!」
幼馴染「はあ……もう見てらんない。ホント、男は恋愛のことになると鈍いよねー」
男「鈍くて結構だバカヤロウ」
幼馴染「……ていうか、本当のこと言う気ないでしょ」
男「……あ、信じてたわけじゃなかったんだな」
幼馴染「信じてたと思ってたの……? それはいろんな意味で心配なんだけど……」
男「ぐへぇ」
幼馴染「はあ……そんな訳の分からない嘘つくくらいなんだから、本気で言いたくないことなんでしょ? だったら無理には聞かないよ」
男「あ、ああ……助かるよ」
幼馴染「その代わり」
男「その代わり?」
幼馴染「>>49」
ファンタ飲ませて
男「ファンタぁ? 何でまた」
幼馴染「なんか喉乾いちゃったからさっ」
男「まあ、そんなんでいいならいいけど……」
幼馴染「そんなん? 男にとって、ファンタは『そんなん』なんだね?」
男「え? いや、ファンタだろ? そこらの自販機にだって……」
男「……まさか」
幼馴染「あはは、男っ」
幼馴染「一緒だねっ!」
男「幼馴染……お前も能力に……?」
幼馴染「うん! 昼間うたた寝してて、びくってなって起きたら」
幼馴染「『>>51をファンタに変える能力』が使えるようになってたんだ!」
自分の唾液
男「……何だって?」
幼馴染「だから、『自分の唾液をファンタに変える能力』!」
男「……へ、へえ」
幼馴染「ちょ、何その引いた感じ! 自分でもちょっとどうかなって思うから、わたしわざと普通な感じに言ったのに!」
男「いやお前、俺の口からコーラが出てきたらどう思うよ」
幼馴染「ドン引く」
男「だろ!? な、引くだろ!? それと同じだよ!」
幼馴染「まさか、男も……」
男「違う。俺は『水をコーラに変える能力』だ」
幼馴染「わたしより全然便利そうじゃん……」
男「いや、案外お前の方が希少性ある分扱いがよかったりするかもしれないだろ」
幼馴染「……わたし、どれだけお金もらっても自分の唾液売るなんてやだよ」
男「馬鹿。唾液じゃなくてファンタを売ってるんだ。そう自分に言い聞かせろ」
幼馴染「どっちにしたってヤ」
男「……んなことはいいんだよ。言わなきゃ誰も買いに来ないし」
幼馴染「それもそうだね」
男「じゃ、お互いこのことは人に言ったりしないってことで」
幼馴染「決まりだねっ」
男「しっかしファンタねえ……どんな扱いなんだろ。先輩に聞いてみるか」
男「『先輩、話聞いてもらったお礼に今度ファンタ奢りますよ』……っと。それ」
女先輩『えっと……「ファンタ」? それ、飲み物の名前なの? よく知らないけど、私はコーラが飲めればそれでオッケーだよ!』
男「……知らない? 嘘だろ、コーラは知ってるのにファンタは知らないなんて、そんなことあるのかよ……」
男「一体、何がどうなってるんだ……?」
今日の投下はこれで終わりです
明日の午前中か夜中に再開したいと思います
読了いただきありがとうございました!
再開します
夕食後
男「…………」
男「(ひたすら自分で作ったコーラを飲みまくってみたけど、特に中毒症状みたいなのはないっぽいな)」
男「(変化といったら、コーラが美味しく感じられるようになってきたくらいか)」
男「(でも、これが10年20年っていうスパンじゃないと危険性が分からないようなものだったりしたら、どうしようもないな……)」
男「(……『水をコーラに変える能力』を持ってるアラフォーのおっさんか。そこはかとなく痛々しいな)」
男「(ま、寝たら明日にはなくなってるかもしれないし、最後にもう一杯くらい飲んどくか。えいっ)」
こんこん
男「(……コーラの匂いとか分かんないよな、普通)」
男「どうぞー」
ガチャ
>>63「……お願いがあるんだけど」
従姉(眼鏡)
男「あ、従姉さん。どうかしたんですか?」
従姉「……このへんに、大学ノート売ってるとことかないかなって思って」
男「えーっと……文房具屋が自転車で10分くらいのところにありますよ」
従姉「よかった。男くん、これから行って買ってきてくれない?」
男「あー今からですか?」
従姉「うん。まだこのへんの地理とかあんまり詳しくないから」
男「(なら自分で行った方が今後のためになると思うけど……うーん、半端に身内でしかも年上だし、強く言いづらいよな……)」
男「自分場所教えますよ。表通りですし、多分すぐ分かると思います」
従姉「……でも、わたし自転車持ってないから」
男「俺の貸しましょうか?」
従姉「いい。運動神経悪いから、壊したりしたら悪いし」
男「(よーするに自分で行くのが面倒臭いんですってことでしょうに……そういうことはっきり言える性格なら俺もはっきり断れるんだけどな)」
男「(スタイルは悪くないんだけど、眼鏡がどうにも野暮ったいっていうか。大学で友達いるのかなこの人。根暗気味だし)」
男「えーと……」
従姉「……男くん。それ、何?」
男「え? これですか? ……あー、スタミナ系のドリンクですよ」
従姉「一口もらっていいかな? ちょっと疲れたから」
男「い……いいですけど」
男「(しまった――! 絶対こういう展開になるのにどうして予測できなかった俺!)」
男「(ドクペとかルートビアみたいな、普通ならまず飲みたがらないのにしとけばよかった!)」
従姉「ありがとう」ゴクリ
男「…………」ドキドキ
従姉「……っ! 何これ、すっごい美味しい……!」
従姉「これ、何ていう飲み物なの!?」
男「(あぶね、コーラ飲んだことなかったみたいだ……いや、ないのが普通か。高級品なんだから)」
男「(でも名前だけ知ってるってパターンもありえるからな。適当に言っとこ)」
男「今日友達がくれたんですよ。海外のらしいんですけど、名前はよく分からないです」
従姉「そうなんだ……」
従姉「舌がとろけそうなくらい甘いのに、後味は全然しつこくないし、緩んだ口の中が炭酸で引き締まって、また次が飲みたくなる……」
従姉「も、もう一口! もう一口だけ飲んでいい!?」ゴクリ
男「あ、はい。どうぞ(……って聞く前に飲んでるし。そんなに美味いもんか? これ)」
従姉「美味しい……美味しいよ……ああ、もう終わっちゃった……お願い、あと一口! あと一口だけ! これで最後だから!」
男「(ハマりすぎだろ……目がやべぇよ。今なら大概のお願いなら聞いてくれそうだな)いいですよ」
従姉「あ、ありが――」
男「その代わり(ちょっと試してみよっと。あんまエロいことはなしで、ええと)」
従姉「その代わり?」
男「……>>67」
あなたにも能力に目覚めてもらいます
安価ミスったんで>>68で
従姉「何言ってるの?」
男「あ、いえ。すいません何でもないです(そりゃこうなるわな。うん)」
男「あー、じゃあ飲んでもいいですけど、その代わり自分で行ってきてくださいね。チャリは貸すので」
従姉「……それだけでいいの?」
男「……これだけじゃダメですか?」
従姉「こんな美味しいもの飲ませてもらったのに、たったそれだけのことするだけでいいの?」
男「……不服ですか?」
従姉「そうじゃないの! それじゃ、私の気が済まないの。もっと大変なことお願いしていいよ!」
男「……じゃ、渾身の自撮り顔をムービー撮りながらムーンウォークで行ってください。ついでに途中でコンビニ寄ってエロ本買ってきてください。下着の付録付きのがいいです。あと買ったらレジの人に今からトイレで穿き替えてきていいか聞いてください。絶対ですよ」
従姉「分かった! 今すぐ行ってくる!」スススー
男「あ、すいません! ムーンウォークと自撮りムービーとエロ本はなしで! 普通にダッシュでいいですダッシュで!!」
従姉「そう? 男くんがいいならそれでいいんだけど……それじゃ!」シュタッ
男「早っ! しかも窓から!? ……もう見えねえ。絶対文化部っぽいのに」
男「……これ、ただのコーラじゃないっぽいな。きっちり調べとかないとヤバそうだ」
ちょっと飯食ってきます
再開します
男「これまでに俺のコーラを飲んだのは女先輩と従姉さん。この2人の反応から分かることは5つ」
男「まず、俺のコーラを飲んだ人間は、俺の頼み事を大抵のことなら了承してくれる。従姉さんの反応を見るに、普段なら絶対やらないようなことでも」
男「その代わり、現実的に実現不可能な頼み事は聞けない。『空を飛べ』とか『超能力を使え』みたいなことだな」
男「逆に、現実的に可能なことなら多少無理をしてでも聞いてくれる……身体能力も一時的に上がってたりしてるかもしれないな」
男「あと、飲んだ回数なのか、量なのか、それとも個人の好みによるのかは分からないけど、とにかく頼み事は相当大きいものじゃないと頼まれる方が納得してくれない。頼み事の難易度か、数次第で効果は消費されていくとみた」
男「ついでに、程度によりけりだけど、真剣に頼まないと効果は消費されない。先輩に抱きつかれたとき、『抱きつくのをやめてくれ』って頼んだけど、先輩は聞いてくれなかった」
男「……違うな。先輩のときは好きなだけ飲ませてあげたけど、従姉さんのときは飲ませてあげる代わりに~って言ったな。もしかして、これを言わないと頼みごとは聞いてもらえないってことか?」
男「まあ何にせよ、悪用しようと思えばいくらでも悪用できる能力みたいだ、この能力は」
男「そして多分、俺の身の回りだけでも能力者は、ピザまんと幼馴染の2人だ。幼馴染は、自分からバラしてくれたから分かったけど、そうじゃなかったら……」
男「……待てよ。ピザまん事件のとき、友に電話したらアイツの様子もなんだかおかしかったな」
男「これまでの経験則に則ると、能力で変化したものは現実世界でものすごく貴重なものになるはず。なのに、アイツのピザまんに対する認識は俺と同じだった」
男「つまり、アイツも能力者である可能性が高い。そのことを教えてくれなかったのは……そもそも、そんなに大したものだと思ってなかったんだろう。俺も特に人に言うつもりはなかった」
男「ただ、これだけ騒動になってるんだ。きっと今では能力の異常さに気づいてるはず。明日学校で会ったとき、それとなく聞いてみよう」
男「……なんだか、大変なことになったな」
友「おっす男!」
男「……おお、友か」
友「何だよ元気ねーな。何かあったのか?」
男「いや、今朝ニュースで物騒な事件が何件も立て続けに流れただろ? それで気が滅入っちゃって」
友「ああ、突然中身が全部葛湯になった井戸の使用権だかで揉めたり、壁がモナカになった空き家の所有権争いで殺し合いになったり、おかしなことばっかりだよな」
男「そうだな、たかが葛湯だのもなかだので、何をそんなに大騒ぎしてんだって感じだよな」
友「全くだぜ! 世の中変なヤツばっかだよ!」
男「(……友が能力者だっていうことはほぼ確定)」
男「(けど、それをこいつが意図的に隠してるのか、それとも悪気なく隠してるのかが問題だ)」
男「(悪気なく隠してるというより、能力者の見極め方が分からなくて、俺がカマかけてることに気づいてないだけかもしれない)」
男「(でも、わざと隠してるっていうのは見過ごせないな。何か悪用しようとしている可能性だってある)」
男「(ここで一つ、ハッタリでもかましてみるか)」
男「なあ友」
友「ん? 何だよ」
男「>>79」
好きだ
友「……何言ってんだお前」
男「……そうだよな。普通そういう反応だよな、うん」
友「おい、何だその思わせぶりな返しは。気になるだろうが」
男「昨日、俺が友に告白されたっていう話を幼馴染にしたら本気にされてさ。まあ結局冗談だったんだけど、割りと焦ったんだ」
男「もしかしたら、本当にお前は俺に気があって、周りから見たら『早く付き合えばいいのに』みたいな関係だったんじゃないかと思ってさ」
友「……大丈夫かお前。どうかしたか? 何か変なもんでも食ったか?」
男「それでその後、何だかんだあって幼馴染の唾液を飲む機会があったんだけど」
友「ちょっと待て! 何だかんだじゃねえよ、一番大事なとこだろうがもっと詳しく話せ!」
男「ファンタグレープみたいな味がしたな。炭酸もしっかり利いてて美味かったぞ」
友「……唾液がファンタグレープの味? もしかすると、幼馴染もお前や俺と同じ能力を手に入れたのかもしれねえな」
男「おい、何だかんだの部分はもういいのか」
友「つーかその話ハッタリだろ? 俺が能力者かどうか確かめるための」
男「……じゃあお前も」
友「ああ。昨日昼寝から起きたら、『>>81』が使えるようになってた」
小石をグミにする力
男「小石をグミ、か」
友「ああ。いかにもアメリカとかで買いましたって感じのドギツい色合いに甘味料たっぷりのムカムカする味だったから、ろくに使ってないんだけどな」
男「なら、何で俺がカマかけてるって分かったんだ?」
友「ニュース見てりゃ大体な。それに、昨日もピザまんがどうこうとか言ってただろ? あの電話の後、俺もピザまん食いたくなってコンビニ行ったらビビったぜ。ピザまん1個1000円が超特価とかいって、近所の人らがわんさか集まってたんだからな」
男「なるほど。じゃあ、そのグミを食べた人間がどうなるのかまでは分からないんだな?」
友「そりゃ知らねえけど……まさかお前、」
男「俺の能力でコーラに変えた水を、女先輩と下宿してる従姉さんに飲ませてみたら、俺の頼み事を何でも聞いてくれるようになったんだ」
友「何ッ!? ま、ままままさかお前、女先輩にエロいこととかさせたんじゃないだろうな!?」
男「誰がさせるか! 従姉さんに、全力疾走で文房具屋まで行って帰ってきてくださいって頼んだら、その通りにしてくれたよ。先輩には何も頼んでない」
友「なーんだ、よかったよかった。てっきり男が逆らえないのをいいことに、女先輩にとても口には出せないようなことさせたんじゃないかと思ってわくわくしちまったぜ……いや、悪かったのか?」
男「グミを誰かに試すときは俺に試せ。いいか、絶対だぞ。先輩に試したら許さねえからな」
友「……お前俺にエロいこと命令されてえのか?」
男「なわけあるか気持ち悪い! 悪用しないようにだよ!」
友「へえへえ。ったく疑り深いヤツ」
男「ところで、お前だったら先輩に何させた?」
友「へ? そうだな、まずは顔を尻で踏んでもらって」
男「……もういいわ。想像して気持ち悪くなった」
友「お前が言わせたんだろうが!」
昼休み
幼馴染「久しぶりに友くんと3人でお昼食べようって、どういう風の吹き回し?」
男「能力に関することだ」
幼馴染「……ということは」
友「おう! 俺も能力者だ。能力は『小石をグミに変える能力』!」
幼馴染「え、グミ? ちょっとわたし食べてみたいかも」
男「やめとけ。とても口では言えないようなことをやらされるぞ」
友「させるか!」
幼馴染「えーと、やらされるってどういうこと?」
男「まだはっきりと決まったわけじゃないが、能力で変化したものを食べさせると、食べた人間をある程度自由に操れるんじゃないかと思ってる」
男「宿題やっとけとか、ジュース買ってこいとか、そんなレベルじゃない頼み事をできるようになるみたいなんだ」
幼馴染「へえ~なんだかすごいんだね……って、男は何でそんなこと知ってるのさ」
男「い、いや、従姉さんにコーラを飲ませてみたら、何でも言うこと聞いてくれそうだったから、それで」
友「従姉さんにとても口では言えないようなことをやらせたんだよな?」
幼馴染「うわ……最低だね」
男「違う! ただお願いされたお使いを自分で行ってきてくれって頼んだだけだ! 他には何もさせてない!」
幼馴染「ふーん……ま、別にそれならいいんだけど」
友「女先輩には何もさせなかったのか?」
幼馴染「男……?」
男「さっきっから混ぜっ返すんじゃね――!」
男「――で、これから友が作ったグミを俺が食ってみるから、おかしなことになったら止めてくれ。人を呼んでくれてもいいぞ」
友「別におかしなこと命令したりしねーよ」
男「信用ならねーな」
幼馴染「分かった。一応先生をすぐ呼べるようにしておくね」
男「ああ、頼む」
友「信用ねーな俺……じゃ、おらよっと。作ったぞ。食え」
男「おう」パクッ
男「……不味いな。歯医者の麻酔みたいな味がする。こりゃ二度と食いたくねーな」クチャクチャ
友「おい、黙ってさっさと食え」
男「うるせえな、作るならもっと美味いもん作れ……よし、食べたぞ。何か命令してみてくれ」ゴクン
友「よし、じゃあ……3回回ってワンって言え」
幼馴染「古典的だね」
男「断る」
友「……拒否できるってことは、俺のグミには男のコーラみたいな効果はないみてえだな」
男「となると、何か別の効果があるのかもしれん」
幼馴染「何なんだろうね……」
キーンコーンカーンコーン
男「おっと、予鈴が鳴ったから教室に戻らないと」
友「結局分からずじまいだったな」
男「悪用できないからちょうどいいな」
友「このやろ……!」
幼馴染「わ、わたしの唾液は試さなくてよかったの、男?」
男「……試したくねーよ。お前だって嫌だろ。自分の唾液他人に飲まれたら」
幼馴染「まあ、そうだけど……」
友「『男なら別にいいかな……』ぐぼぇ!」
幼馴染「変なこと言わないでよ、もう!」
男「(……俺はもちろん悪用なんかしないけど、この能力はその気になったらとんでもない悪事だって平気で実行できる)」
男「(俺以外にも、そういう能力を手に入れたヤツはゴマンといるはずだ。実際、昨日の昼からひっきりなしに不可解な事件が起きまくってる)」
男「(……せめて俺の周りだけでも、今まで通りに平和だったらいいんだけどな)」
これにて今日の投下は終了です
次は明日の昼ごろからになります
このSSまとめへのコメント
まだ終わってねぇよな?