リゼ「――そこで」

リゼ「梓。私にギターを教えてくれないか？」

梓「うーん……リゼに教えるのは全然いいんだけど」

綾「梓、部活やってるものね。時間が取りにくいとか？」

梓「いや、綾。別に部活はいいの」

綾「――そういえば、あまり真面目じゃないって話だったわね」

梓「はぁ……だから、時間はあるんだよね」

梓「あのだらしなさに慣れちゃったかもしれない自分が、ちょっと怖いかも……」

リゼ「そうか。そういうことなら、ほら」

リゼ「私は大真面目にやるから、メリハリが付くんじゃないか？」ｴﾍﾝ

梓「――そう言うリゼだって、バイトがあるんじゃないの？」

綾「それにリゼの場合、趣味が多いから……時間取れるの？」

梓「まあ、ガンシューティングが趣味の女子高生っていうのも珍しいけどね……」

リゼ「べ、別にシューティングだけってわけじゃ」ｱｾｱｾ

リゼ「例えば、ナイフ収集、CQC、クロスボウ――」

梓「リゼ、わかったよ。綾が困ってるから、そこまででいいよ……」ﾀﾒｲｷ

綾「……ナ、ナイフ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ


梓「まあ、アレだね」

梓「リゼの趣味に……ギターっていうのが入れば」

綾「ええ……もっと、女の子らしくなるかもしれないわね」

リゼ「はは、照れるな二人とも」ﾆｺｯ


綾（――この表情だけでも、十分すぎるほど女の子らしいんだけどね）

綾（それに……会う度に、自信を失くすスタイルとか）ｼﾞｰｯ

綾「はぁ……」ﾀﾒｲｷ

リゼ「？　どうかしたか、綾？」ｷｮﾄﾝ

梓（――綾。綾の気持ち、分かるような気がするよ）

梓（リゼの胸に向けた視線を見れば、ね……）ﾊｧ

リゼ（うっ……ふ、二人に見つめられるのは、照れるな……）ｶｧｧ


梓「……そうだね」

梓「リゼ、いいよ。教えてあげる」

リゼ「ほ、本当か！？」ｽﾞｲｯ

梓「うん」

梓「……一応、幼なじみだし」

リゼ「あ、ありがとう梓！　恩に着るよ」

綾「……そっか。リゼ、始めるのね」

梓「せっかくだし、綾も始めない？」

綾「――え？」ﾋﾟｸｯ

梓「綾も幼なじみだし」

リゼ「それに、趣味を増やした方がいいんじゃないか？」

リゼ「私も読書は好きだが、綾はそれに偏りすぎだと思うし」

綾「わ、私はリゼと違って運動苦手なの！」ｱｾｱｾ


梓「ギターは運動じゃないよ、綾？」ｸｽｯ

綾「……そ、それは、そうだけど」

綾「だ、だって。ギターって、その――め、目立ちそうだし」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

梓（……そういえば、澪先輩もこういう理由でベース選んだんだっけ）

梓（たしかに、綾のイメージはギターっていうより……）

リゼ「綾はピアノってイメージだな」ﾆｺｯ

梓（あっ、リゼに先を越されちゃった……）


綾「そ、そうよ。恥ずかしいんだから」

梓「でもさ、綾。別に私たち、バンドを組むってわけじゃないし」

リゼ「バンド……それもいいな」ﾌﾑ

梓「――ギターが三人いるバンドって、そうそういないよ」

リゼ「そ、そうか……」ｶﾞｸｯ


綾「わ、私も始める前提なのね……」ｱｾｱｾ

梓「え？　違うの？」

リゼ「梓。綾の顔を見てみろ」

梓「ああ……照れくさそうにしてるけど、チラチラこっち見てるね」

リゼ「経験上、こういう時の綾は――」

綾「わ、わかったわよ！　私も始めるから！」ｽﾞｲｯ

綾「か、勘違いしないでよ。別に、しゅ、趣味が気になったわけじゃ……」ｶｧｧ

リゼ「――異様に、可愛い」ｸｽｯ

梓「同感、リゼ」ｸｽｯ

ここまでです。
続きは今のところ未定です。
おかしな電波が降りてきた……。

それでは。

梓（――リゼと綾は、私の幼なじみだった）

梓（小中と同じだったけど、中1の頃に綾は転校しちゃって）

梓（リゼとも高校で離れちゃって、私たちは別々の高校に通っている）

梓（……何だかんだで、高2まで付き合いあるんだなぁ。私たち）ﾁﾗｯ


リゼ「どうかしたか、梓？」ｷｮﾄﾝ

綾「何か気になるの？」ｷｮﾄﾝ


梓（――どこで、ここまで身長に差がついたんだろう）ｼﾞｰｯ

梓（あと、ついでにリゼの場合……別の場所も差がついて）ﾀﾒｲｷ

梓（……だから、二人に何かを教えられるっていうのは、ちょっと楽しみだったり）ﾆﾔｯ


リゼ「見てみろ、綾。こういう時の梓は――」

綾「……何か得意気になりたそうね」

梓「――わ、悪い？」ｱｾｱｾ

リゼ「いやいや」ﾆｺｯ

綾「梓は可愛いわね」ｸｽｯ

梓「……はぁ」


梓「二人の所から中途半端に距離あるから、なかなか会えないなぁって思っただけ」ﾌﾟｲｯ

リゼ「そう照れるなって」

綾「梓は素直じゃない所あるからね」ｸｽｯ

梓「……綾にだけは言われたくないかな」ｼﾞﾄｯ

綾「べ、別に、私は！」ｱｾｱｾ

綾「――けど」

綾「来る度にビックリするわ、この街……」

梓「日本なのに、日本じゃないみたい……」

リゼ「木組みの家と石畳の街――いい名前だろ？」ｴﾍﾝ

梓（あ、リゼがドヤ顔してる……）

綾（サマになりすぎてるのよね……リゼは）


リゼ「ほら、そろそろ着くぞ。楽器屋だ」

梓「……へぇ、結構良さげな品揃え」

綾「私は、何も分からないけど……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

リゼ「今日は、下見といこうか」

梓「うん、そうしよっか」

綾「……ねぇ、梓？　ギターっていくらくらいなの？」

梓「ん？　そうだね……」

梓「大体、3万くらいから、かな？」

綾「」

リゼ「へぇ、3万……綾？」ｷｮﾄﾝ

綾「――ご、5000円くらいじゃなかったのね」ｱｾｱｾ

梓（あれ、何かデジャヴ……って）

梓（ああ。唯先輩もたしか、そんなこと言ってたんだっけ）

リゼ「そうだったのか」

リゼ「てっきり、10万ちょっとはするかと思ってたんだが」

梓「実際、そういうギターたくさんあるよ。上級者向けのヤツだね」

梓「……うちの先輩は25万のギターだけど」ﾀﾒｲｷ

綾「にじゅう、ご……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

リゼ「ふむ、25万か。いけないことも――」

梓「リゼ……私たち、一般人なんだよ？」ｼﾞﾄｯ

綾「ふ、普通の女子高生なのよ？」ｼﾞﾄｯ

リゼ「わ、私だって普通だぞ？」ｱｾｱｾ


梓「――まあ、でも」

梓「私の所にも、夏休みには別荘を貸しきりに出来る位の人がいるしなぁ……」

綾「ああ。そういえばマンションを持ってて、大きな会場でパーティー出来る子が……」

梓「――綾？　綾の所って普通の高校だよね？」

綾「そ、それを言ったら梓だって……」

リゼ「別荘、かぁ……そういえば今年の夏はどの別荘に……」

梓「……普通ってなんだろうね」ﾀﾒｲｷ

綾「……ホントにね」ﾀﾒｲｷ

リゼ「？？」