律子「頭文字P Second Stage」 (113)


765プロ



P「温泉ロケですか?」

P「なるほど・・わかりました!ではそれで!」

P「はい!よろしくお願いします!」ガチャ







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律子「頭文字P」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430499645/)


律子「何か仕事決まったんですか?」

P「ああ!温泉のレポートだ!」

律子「温泉ですか・・」

律子(前回のプロデューサー殿との温泉旅行・・色々あったけど楽しかったな・・)

P「どうした?顔が赤いぞ?」

律子「な、なんでもありません!」


ガチャ

あずさ「おはようございます~」

P「おはようございます!ナイスタイミングですよ!」

あずさ「?」


あずさ「あら~温泉レポートですか」

P「ええ!それでレポーターをあずささんと律子にお願いしたいんですけど・・」

律子「ええ!?ちょっと待ってください!あずささんは兎も角、なんで私まで!?」

P「いやぁ、この日はなぜか上手い事みんなオフで予定あるっぽいんだよなぁ・・」

律子「そんなわけ!・・って本当だわ」

P「な?」

律子「・・・」


P「ダメか?」

律子「というか嫌ですよ!私はもう今はプロデューサーでアイドルは引退したんです!」

P「そんな事実あったっけ?」

あずさ「無かったと思います~」

律子「・・・」





律子「そ、それに私みたいな寸胴が出れるわけないじゃないですか!」

P「異議あり!」

律子「却下します!とにかく私は出ませんからね!」

P「う~ん、困ったなぁ・・」


あずさ「そういえば場所はどこなんですか?」

P「ああ、少し前にあずささんが迷った温泉あるじゃないですか」

あずさ「伊香保温泉ですか?」

P「そうです!」

あずさ「確かプロデューサーさんの地元なんですよね~?」

律子「!?」


P「ははっ、凄い偶然ですよね」

あずさ「本当ですね~」

律子「じ、地元だったんですか?」

P「言わなかったっけ?」

律子「聞いてませんよ!」

P「まぁ、色々あったからなぁ・・」

あずさ「すみません・・」

P「あっ!そう意味では無くてですね!なぁ、律子!?」

律子「そ、そうですよ!」




P「まぁ、今回は時間取れそうなので実家にでも行ってみるかなぁ」

律子(実家!?プロデューサー殿の!?)

あずさ「あら~いいですね!その~、私も着いて行っても・・?」

律子「!?」

P「ははっ、何もない所ですけど、それでも良ければ」

あずさ「そんな事ないですよ~」



律子「・・ます」



P「ん?」



律子「やっぱり私も行きます!」

P「本当か!?」

律子「はい!」

P「ありがとう律子!!どうしようかと思ったたんだよ!」

律子「か、勘違いしないでください!前に行った時に・・少し気に入っただけですよ!」

律子(プロデューサー殿の実家に・・って事は結婚の挨拶よね!?)

律子「えへへ・・」

あずさ「あ、あらあら~」


P「お?日程のメールが来たみたいだな」

P「現地集合かぁ・・社用車使えたっけ?」

律子「確か車検に出してた気が」

P「まじか・・俺の車出すしかないなぁ」

P「古い車で悪いですけど・・」

あずさ「私はあの車かわいくて好きですよ~?」

律子「わ、私も好きですよ!」

P「ははっ、お世辞でも嬉しいよ」


あずさ「温泉楽しみだわ~!」

律子「一応仕事ですからね!」

あずさ「うふふ」

律子「な、なんですか?」

P「おっと!もうこんな時間か!」




小鳥「それでは飲みに行きましょうか!」

P「すみません、今日は車なんですよ」

律子「私はまだ未成年なので・・」

あずさ「ごめんなさい・・今日は予定が~」


あずさ「それでは今日はスケジュールの確認だけだったので・・お先に失礼します~」

律子「あっ!駅まで一緒に行きましょう!小鳥さん!お疲れ様でした!」

P「駅まで送るぞー?音無さん!お疲れ様でした!」



小鳥「・・・」




─────
───




P「さて、出発しますか!」

律子「よろしくお願いします!」

あずさ「私が助手席でいいのかしら~?」

律子「いえ!助手席は危険なのであずささんは後部座席です!」

P「それを言ったら律子にも同じ事言えるんだけど・・」

律子「いーえ!これだけは譲れません!」

あずさ「なんだか律子さんは最近積極的なのね~」

P「?」

律子「な、何を言ってるんですか!?早く行きますよ!!」

P「お、おう」





ブロロロッ

P「とりあえずなんか曲かけていいか?」

律子「どうぞ」

P「それじゃ遠慮なく」

あずさ「Do-Daiですか~」

律子(なんか数日前の私を思い出すわ・・)


P「お!Little Match Girlだ!」

律子(なんなのよ!さっきからこの選曲は!狙ってるんですかプロデューサー殿!?)

あずさ「あなたの心(マッチで)燃え尽きたいよ~♪」

律子(プロデューサー殿の・・て何考えてんのよ私はっ!!)

律子(さすがに我ながら今のは無いわね・・)


サービスエリア



P「それじゃあ少し腹ごしらえしますか」

あずさ「何にしようかしら~」

律子「・・・」

P「律子?」

律子「は、はい!」

P「大丈夫か?」

律子「え、ええ!問題ありません!」


P「こういう所のラーメンてなぜか美味いんですよね」

あずさ「わかります~」

律子「いただきます!考え事してたらお腹すいたわ!」

P「って律子・・そんなに食べるれのか?」

律子「え?これくらい普通ですよ」

あずさ「貴音ちゃんぐらい食べるんじゃないかしら・・」

律子「さすがに貴音ほどじゃないですってば」


P「てか食べ過ぎると酔うぞ?」

律子「プロデューサー殿の運転は酔わないから平気ですよ」

あずさ「確かに上手ですよね」

P「ははっ、ありがとうございます」

あずさ「でも律子さんも上手なんですよ?」

P「ほぉ!今度乗ってみたいな!」

律子「そこまででもないですよ!」


P「では出発前にちょっとトイレに」

律子「本当にデリカシーがないんだから・・」

P「また変なのに絡まれるかもしれないから先に行くなよ?」

律子「ええ、そうします」

あずさ「?」


律子「ちょっとコーヒー買うので、そこから動かないで待ってて下さいね」

あずさ「はい~」



男A「うおっ!超激マブの女の子いるじゃん!」

男B「ちーっす!ドライブ?」

男A「せっかくだから一緒に遊ぼうよ!!」

あずさ「あ、あら~」


律子「お待たせしました!・・ってあなた達は!」

男A「こっちも超可愛いぞ!」

男B「うおっ!二人共レベル高すぎでしょ!!」

律子「あ、あれ?」


男A「しかもスタイルも良すぎっしょ!」

男B「ゆるふわおさげ頭かわいいっすね!森ガールって奴?」

男A「お姉さんも超せくちーで最高!」

律子「なんなのよ・・」

あずさ「困ったわぁ・・」


P「お待たせ!・・ってお前ら!!」

律子「プロデューサー!」

あずさ「プロデューサーさん!」



男A「ちっ!男連れかよ!」

男B「お、おい!こいつ!」

男A「あっ!この前の古い車の奴じゃねーか!」


男B「よく見たらメガネのかわいい子も前にスーツ着てた子だぜ!?」

男A「髪型と服が違うからわからなかった・・」

男B「と、とにかく行こうぜ!」

男A「お、おう!」




律子「はぁ・・」

あずさ「凄かったわね・・」

P「大丈夫だったか!?」

律子「なんとか」

P「この一瞬でこれだもんなぁ」


P「もう二度と俺から離れるなよ?」

あずさ「プロデューサーさんがトイレに行ってたからじゃ・・」



律子(二度と離れるなよって・・プ、プ、プロポーズよね!?)

律子(きゃー!と、突然こんな事言われても!!)

律子(でももうちょっとドラマみたいにロマンティックに言って欲しかったのに!)

律子(・・・へ、返事しなきゃ!ど、どうしよう!心の準備が!!)



P「律子?」

律子「ひゃ、ひゃい!!」




あずさ「大丈夫ですか?顔が真っ赤ですよ?」

律子「え?あれ?」

P「そろそろ出発するぞ?」

律子(わ、私は一体何を・・)


ブロロロッ

P「スケジュールなんですけど、とりあえず撮影は明日なので」

P「今日は旅館で一泊という事で!」

あずさ「はい~!」

律子「りょ、了解です!」

P「大丈夫か?やっぱり食べすぎじゃないか?」

律子「そんなんじゃありません!」

律子(はぁ・・妄想も大概にしないとなぁ・・)

律子(きっと小鳥さんのせいね・・)



───
──





ギャオアァアアア



男A「おい!抜かれたぞ!!」

男B「そんなこと言っても!!」

男A「またこんな古い車に・・」

男B「ば、化け物だ・・」



???「・・・」


某所 ガソリンスタンド



???「ウィ。とりあえずハイオク満タンいれてもらおうか・・」

店長「めずらしいお客さんが来るもんだな」

???「貴様か」

店長「峠を走ってきたのか。どうだった?」

???「カスぞろいだ」

店長「俺らが現役の頃なんて何十年前だと思ってるんだよ」

???「ふんっ!」

店長「大人げない奴め」


店長「そういえば最近まで結構速い奴いたんだけどなぁ」

???「ほう」

店長「アイツや、そのせがれに憧れてたらしいんだけどな」

???「忌々しい貧乏豆腐屋か」

???「まぁ、どちらにせよ私の相手ではないのだよ!はーはははっ!」

店長「相変わらずだな・・」


???「それではセレブな私は忙しいので失礼するよ!」

店長「給油も終わったよ」

???「ではまた逢おう!アデュー!」



店長「ふぅ・・変な奴が来ちまったなぁ」

店員「なんですか?あの黒いFC」

店長「俺ら世代の走り屋だよ」

店員「拓海の親父さん世代の!?」

店長「今は芸能プロダクションの社長をやってるって言ってたなぁ」



───



旅館



P「やっと着いたな!」

律子「お疲れ様でした!」

あずさ「ありがとうございました~」

P「いえいえ!とりあえずチェックインだけ済ましとくかな」

律子「あ!私も行きますよ!」






P「さて、チェックインはOKだな」

律子「夕食まで結構時間ありますね」

P「あれ?あずささんは?」

律子「この一瞬で迷子ですか!?」

P「あの人ならありえる!」


あずさ「呼びましたか~?」

P「うおっ!」

律子「一体どこに行ってたんですか!?」

あずさ「うふふ~♪」

律子「なんか薄っすら顔が赤い様な・・」

P「まさか飲んだんですか!?」

あずさ「あらあら~♪」

律子「いつの間に・・」


──




律子「あずささんは部屋でぐっすり寝てますよ」

P「まぁ、夕飯まで寝てて貰おうか」

律子「そうですね」

P「それじゃあ俺は少し実家に顔でも出してくるかなぁ」

律子「あ、あのっ!その・・私も行ってもいいですか?」

P「いいけど・・何もないぞ?」


律子「え、えっと・・あずささんも寝ちゃってて暇なので!」

P「それもそうか」

律子「そ、そうです!」

P「それじゃあ行くか!」

律子「はい!」

律子(ついにプロデューサー殿のご両親に挨拶を・・)

律子(き、緊張してきたわ・・)

P「何をそんなに緊張してるんだよ・・」






???「これはこれは誰かと思えば三流プロダクションのおとぼけプロデューサーではないか」




P「こ、この嫌味ったらしい声は!?」



黒井「ウィ」



P&律子「く、黒井社長!?」


黒井「こんな所で会うなんて奇遇ではないか」

P「ど、どうしてここに!?」

黒井「なに、私みたいなセレブはキミみたいに足を棒にして働いてるわけでは無いのだよ」

黒井「ここは有名な温泉街だからな。観光だよキミ」


黒井「まぁ、少し趣味の人間観察をしてはいるがね!はーはははっ!」

P「ああ!スカウトですか!」

黒井「人間観察だ!これだから三流プロデューサーは・・」


P「それじゃあ律子行こうか」

律子「はい!」

黒井「ほぉ?プロデューサーが温泉街でアイドルとデートとはいい身分だね」

律子「デ、デートだなんて・・そんなぁ・・」

P「明日から撮影だから前乗りしただけですよ」

黒井「そうか」

P「さっき黒井社長が足を棒に云々言ってたんじゃないですか・・ってなんで蹴るんだ律子!」

律子「別に!」


P「では失礼します!」

黒井「フンッ」

P「お?あそこに止まってるのはRX-7か」

黒井「む?わかるのかね?」

P「もちろんですよ!憧れの車の一台ですからね!」


P「ここでは伝説になってますからね!」

黒井「む?貴様はこの辺の事に詳しいのかね?」

P「まぁ、一応地元なんで・・」

黒井「峠を走っていたのか?」

P「前に少しだけ・・」





黒井「そういえば表に止まっていたのは貴様のか?」

P「多分そうだと思いますけど・・」

黒井(見るからにかなりチューンはしていたが・・)

『そういえば最近まで結構速い奴いたんだけどなぁ』

黒井(まさかコイツが・・)


P「あのー?そろそろいいですか?」

黒井「う、うむ!」

P「それじゃあ今度こそ失礼しますね」

P「ごめん律子!お待たせ!」

律子「別に気にしてませんよ」ムスッ






P「だから悪かったって!」

律子「もう別に気にしてませんてば!」

P「本当か?」



グゥオオオオンッ



黒井「!?」

黒井「この一瞬でもわかる只者では無いというあのオーラ・・」

黒井「やはりアイツが言っていたのは、この三流プロデューサーの事だったのか!」

黒井「これは中々に面白い事になってきたぞ!」


──



Pの実家



P「ただいまー」

P母「アンタ帰ってくるなら連絡の一つも入れなさいよ!」

P「ごめんごめん!」

P母「そちらは?」

律子「は、初めまして!765プロでプロデューサーをやっています、秋月律子と申します!」


P母「堅苦しい挨拶はいいわよ!疲れたでしょう?お茶でも飲んでいきなさいな」

律子「お、お邪魔します」

P母「P!アンタはお茶請け買ってきなさい!」

P「え?」

律子(パワフルなお母様ね・・)

P「帰ってくるの失敗だったかなぁ・・」


P母「こんな別嬪さんを連れ来るなんて、あの子も中々やるわねぇ」

P母「ところであの子とはどこまで進んでるの?まさかもう婚約してたり!?」

律子「いえ・・そういう訳じゃないんですけど・・」

P母「きゃー!この年で孫の顔見れるなんてね!どうしましょう!」

律子(き、聞いてない・・でも嫌われてはいないのかしら?)




P「出来立ての温泉饅頭買ってきたぞー」

P母「ちっ、いい所だったのに」

P「舌打ち!?」

P母「ところでいつ孫の顔は見れるの?ご近所に自慢しなきゃ!」

P「ま、孫!?なんでそんな話になってんの!?」

P母「なに言ってんのよ?こんな別嬪なお嫁さん連れてきといて」

律子「お、お義母さまったら・・そんな・・」

P「どうなってんだよ・・」


───




P「それじゃあそろそろ旅館に戻るか」

律子「は、はい!」

P母「お父さんに会っていかないの?」

P「旅館で食事でるからさ。それにあずささんも起きてるかもしれないし」

P母「アンタまさか二股してるんじゃないでしょうね!」

P「ドラマの観すぎだろ!?うちのアイドルだよ!さっき説明しただろ!」




P「それじゃあ親父によろしく」

P母「はいはい」

P「んじゃ車取ってくるから」



P母「律子ちゃん律子ちゃん」

律子「はい?」

P母「あの子父親に似てかなり鈍感だから頑張ってね!」

律子「え?」

P母「なんか律子ちゃんを見てると若い頃の私を見ている様でねぇ」

P母「だから頑張りなさいよ!私は律子ちゃんの味方だからね!」

律子「あ、ありがとうございます!頑張ります!」


P「お待たせ!」

律子「そ、それでは失礼します!」ペコリ

P母「それと早く孫の顔を見せてね」ボソッ

律子「ひゃ、ひゃい!」

P「?」

P「じゃあ行くぞー」



ブロロロッ



P母「全く!やかましい車ね!」

P母「それにしても律子ちゃんの子供なら可愛い子になるわねぇ・・」

P母「うふふ♪」


ブロロ



P「お袋が色々言ったみたいだけどすまんな」

律子「い、いえ!元気なお母様でしたね!」

P「まぁ、それだけが取り柄だからな」

律子(というか若くて綺麗な人だったなぁ・・勢いも凄かったけど・・)

律子(でも少しは気に入って貰えたかな?)

律子(・・よーし!頑張っていくわよ!)




───




旅館



P「いやー!美味かったな!」

律子「本当ですね!」

あずさ「ついつい食べ過ぎちゃいました~」

P「明日の撮影は大丈夫ですか?」

律子「・・」ゲシッ

P「痛い!」

あずさ「デリカシーが無さすぎますよ~?」


女将「えっとP様ですか?」

P「そうですけど」

女将「こちらP様宛に届いております」

P「お、俺にですか?」

女将「はい」

P「しかも花束って・・」


女将「それでは失礼しますね」

P「ありがとうございました」

P「一体なんなんだろう・・」

あずさ「あら?カードが入ってますよ?」

P「本当だ・・なになに?」

P「〝今夜22時に秋名山の山頂で待つ"・・ってなんだコレ?」

律子「!?」

P「うーん、悪戯かなぁ」


あずさ「行かないんですか?」

P「行きませんよ!明日は大事な撮影もありますしね」

あずさ「一体なんだったんでしょうね~」

律子「・・しょう」

P「え?」

律子「行きましょう!」

P「律子!?」


律子(プロデューサーの地元で花束なんて・・昔の恋人か何かに違いないわ!)

律子(多分どこかで帰省したという情報を聞きつけて・・)

律子(そして・・告白する気だわ!でないと花束なんておかしいもの!)

律子(行かない方が確実だろうけど・・受けてたとうじゃない!)

律子(い、一応お義母様にも気に入って貰えたみたいだし・・負けないわよ!)


───




秋名山 ──21時45分──



P「なんか凄い人が沢山いるなぁ」

律子「本当ですね」

P「それにしてもなんで律子もついてくるんだ?」

律子「き、気にしないで下さい!」

律子(どんな相手か気になるじゃない・・)




秋名山 山頂



P「さて、着いたのはいいけど・・」



???「時間前に来たのは褒めてやろう」




P「この声は!」

律子「く、黒井社長!?」

黒井「ウィ」

P「まさかさっきの花束は!?」

黒井「セレブだっただろう?」

P「意味がわかりませんよ!」




P「それで、わざわざ呼び出しておいて何の用なんですか?」

黒井「つい最近まで貴様がこの山で走っていたというのは調べがついているのだ」

P「まぁ、走ってはいましたけど・・」

黒井「そこでだ!私と下りで勝負して貰おう!」

P「ええ!?」




P「い、嫌ですよ!」

黒井「逃げるのかね?」

P「そういう訳じゃないですけど・・なぁ、律子!?」

律子「・・どうでもいいですよ。勝負してあげたらいいんじゃないですか?」

P「律子!?」

黒井「その娘は中々わかっているではないか!」



律子(はぁ・・無駄な心配して損したわ・・)


P「とにかく理由もないですし」

黒井「貴様がそこそこ出来るのはわかっているのだ!」

黒井「それにこれだけギャラリーがいるのに何も無しで帰るわけにもいくまい」

P「ぐっ・・ていうかどっから来たんだこの人達・・」

黒井「どこかで噂を聞きつけたのだろう」

P「噂を広めたのはあなたじゃないんですか!?」


黒井「とにかく貴様にはバトルするという選択肢しかないのだよ」

P「はぁ・・わかりましたよ」

黒井「最初から素直にそう言いたまえ!」

黒井「では22時ジャストに開始だ!」



P「はぁ・・まさかこんな目に合うとは・・」

律子「頑張ってくださいね」

P「律子!っていうか何で嬉しそうなんだ?」

律子「そんな事ありませんよ!」

律子(最初は呆れたけど、これはこれでいい結果だったのかもしれないわね・・)

P「とりあえず終わったらすぐに迎えにくるからな」

律子「はい!」




「ではカウント行きます!」

「5、4、3、2、1」

「GO───!!」


「うおおおっ!立ち上がりは互角だ!」

「いや!FCが後追いだぞ!」

「先行は・・」



「ハチロクだ──!!」




ギャオオォオオオ



P(こっちが先行取れたって事は様子見されてるのかな・・)

P(まぁ、やるからには・・)

P(絶対に勝つ!!)




ギャアアゥアアアア



「すっげー!なんちゅードリフトだっ!!」

「ガードレールから5cmも離れてないぞ!?」

「こんなの初めて見たぞ!!」

「どっちもドライバーも化け物だー!!」


黒井(驚いたな。想像以上の動きだ)

黒井(シミュレーションを少し変更する必要がある)

黒井(だが、それだけのことだ。結果は変わらない。私の最速理論に揺るぎはない!)


P(コーナーで一気に引き離せると思ったけど・・)

P(この人・・相当早い!!)



グゥオオオォオオン



P(いくら全開で逃げても、ぴったり食いついてくる・・)

P(どんなにすっ飛ばしても、突き放せない・・)

P「くそっ!」




ドゴォオオオオオオッ



黒井(凄い・・鳥肌ものだ・・理想的なラインを走っている)

黒井(こうしてラインとリズムをコピーしているからこそ、ついていくことが出来るが・・)

黒井(単独で走ってこれを再現するのは、至難の業だ)

黒井「こんな勝負が出来るのは何年振りであろうな!」






ブォオオン



「来るぞ!!」

「ハチロクか!RX-7か!」



ドギャアアアアアア



「どっしぇー!ド迫力ぅ!」

「すっげぇ~!」


P(次の5連続ヘアピンカーブ・・ここで差をつける!)



ギャアアアァアアア



黒井「バカめ!オーバースピードだ!!」


「うわぁぁ!!」



P「くそっ!曲がれっ!」



黒井(強引に曲がったか・・しかし!!)



「うおおっ!FCがハチロクを抜いたぞ!」


最終コーナー付近



「どっちが勝つのかなぁ?」

「これはボクの父さんに聞いた話なんだけど・・」

「お父さんってプロドライバーの?」

「うん。それで10年以上前にも同じ車種でのバトルがあったみたいなんだ」

「その時はハチロクって車の方が勝ったみたいだよ!」

「ほぇ~」




──



P(なんとか曲がれたのはいいけど・・抜かれちゃったなぁ)

P(なんとか差は広がらないで、ついていけてるけど・・)

P(決めるとしたら最後のコーナーかっ!)


黒井(最後の勝負は次の最終コーナーといった所か・・)

黒井(軽量コンパクトなロータリーエンジンがもたらす最大の恩恵は・・)

黒井(パワーなんかじゃなく・・理想的な前後重量配分によって実現する、運動性能こそ生命線!)

黒井(ハイパワーの大排気量車をコーナーでブチ抜くことが、ロータリー使いのカタルシスなら・・)

黒井(私はロータリーエンジンの血統に脈々と流れ続けている、マイナーさゆえの孤高のスピリッツが好きなのだ!)

黒井(プライドにかけても、コーナー勝負でロータリーがハチロクに負けるわけにはいかないな)



黒井「そして王者は常に孤高でなくてはならないのだ!」








キィイヤァアアア



「来るみたいだぞ!」

「このスキール音!2台がもつれ込んでるみたいだ!」

「どっちだ!?」

「頭を取ってる方が勝ちだ!」


「FCだ!先頭は黒いFCだ!」

「いや!ハチロクもくらいついてるぞ!」

「さぁ!どうなる!?」


P(このままじゃ追いつけない・・一気に差を縮めなきゃ・・)



P(あれやるか・・あの人に教えて貰った技を!!)


「最終コーナーに入るぞ!!」

「すげぇスピードだぁ!!」



キンコン キンコン

P「しゃぁ!行っけぇ───!!」






黒井「なんだ!一体何が起こったというのだ!?」



───
──



「す、凄かったね・・」

「へへっ!やーりぃ!ここまで見に来た甲斐があったよ!」

「最後ってどうやって抜いたのかなぁ?」

「たぶんだけど、あそこの溝を使ったんじゃないかな?」

「溝?」

「うん!イン側のタイヤを溝に引っ掛けるようにして、普通より速い速度でコーナーを曲がったんだと思うよ!」

「す、凄いですぅ!」

「それじゃあ戻ろうか!いやぁ、この休みは本当に充実したなぁ!」


山頂



P「お待たせ律子」

律子「勝ったんですか?」

P「まぁ、なんとかな」

律子「さすがはプロデューサー殿ですね!」

P「運が良かっただけさ」


P「明日の仕事に差し支えそうだし、そろそろ戻ろうか」

律子「その前に・・前の夜景の場所に連れて行って貰えますか?」

P「少しならいいけど・・なんかあるのか?」

律子「・・着いたときにお話ししますよ」

P「それじゃあ行くか」

律子「はい」






─────
───




P「お疲れ様です!凄い良かったですよ!」

あずさ「ありがとうございます~」どたぷ~ん

P「あ、あずささん!ふ、服を着てください!」

P「タオルからこぼれてますって!」

あずさ「あらあら~」


律子「なに鼻の下を伸ばしてるんですか?」

P「律子!?って律子も早く服を着ろ!」

P「その!律子もタオルから十分すぎるほどこぼれ落ちてる!」

律子「ど、どこを見てるんですか!変態!」

P「そんなこと言ったって!」



律子「ったく・・」はらり

P「あっ・・」

律子「あっ・・」

P「み、見てないぞ!」

律子「なんちゃって!ちゃーんと水着を着てますよーだ!」

あずさ「わたしもですよ~?」

P「い、いや・・どちらにしろ刺激が強くてですね・・その・・」

律子「・・やっぱり変態ですね」


P「そ、それでは先に行ってます!」

P「では!!」

律子「は、速い!」


律子(昨日は結局伝える事は出来なかった・・)

律子(そしてどんどん貴方は先に行ってしまうけど、必ず追いついてみせます!)

律子(でも車とは違って貴方と一緒に並んでいきたいな・・)



律子「ねぇ、ダーリン♪」



おわり


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