二宮飛鳥「P、またこんなに散らかして」 (20)
飛鳥「久しぶりにキミの家を訪ねてみたらこれだ」
P「すまんな。最近仕事が忙しくてプライベートがおろそかに」
飛鳥「それにしたって、身の回りを清潔に保つくらいはできるだろう。毎晩きれいな部屋に出迎えてもらった方が心も穏やかになる。理解(わか)るだろう?」
P「いや、そういうきれいにしなければならないという固定観念をだな」
飛鳥「固定観念に縛られるのはボクも好きじゃないけど、キミのそれは芯を持たないただの言い訳だ」
P「おっしゃる通りです」
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飛鳥「……とはいえ、キミの事情も理解(わか)らなくはない」ガサガサ
飛鳥「担当アイドルを何人も抱えて、ひとりひとり面倒を見るというのは重労働だろう」バサバサ
飛鳥「まだ20代前半とはいえ、身体にかかる負担も大きいに違いない」パタパタ
P「まあ、仕事だからな。みんなをプロデュースすることには充実感あるし」
飛鳥「ただ、日頃の心がけひとつで色々変わるものだよ。出した物は使い終わったらすぐに元の位置に戻す」ウイーンウイーン
飛鳥「それだけで、掃除にかかる労力というのは段違いだ」キュッキュッ
飛鳥「よし、きれいになった」
P「うお、しゃべっているうちに部屋が見違えるくらいピカピカに!」
飛鳥「できればクイッ○ルワイパーもかけたいところだけどね。今度買っておいてくれないかい」
P「最近一気に暑くなったよなあ。まだ5月なのに」
飛鳥「その少し前まで寒い日と暖かい日が交互に続いていたからね……春を飛ばして急に夏が来たような気分だ」トントントン
P「営業とかで外を走り回ってると大変だよ。日によって気温が全然違うんだから」
飛鳥「それは確かに大変そうだ」バーッ
P「これも温暖化の影響なのかねえ」
飛鳥「どうだろうね。ボクらもちゃんと知っておくべき事柄なんだろうけど……気温が上がって、冬に雪を見られる日が少なくなるのは困るかな」コトコト
P「雪かあ。好きなんだな」
飛鳥「雨もいいけどね。すべてを洗い流してくれるから。でも雪もいい」ズズッ
飛鳥「普段空から落ちてくる水滴が冷えて結晶になるだけで、時には幻想的なものさえ感じられる。人間の感受性の高さには驚くべきところがあるね」ザクザク
P「言われてみればそうだなあ」
飛鳥「温暖化によって日本の四季が形を変えてしまうのなら、それは寂しいことさ」
P「うむ」
P「ところで、今日の晩御飯は?」
飛鳥「今できたところだよ。肉じゃがだ」
P「わーい」
飛鳥「サラダもつけておいた。どうもキミは野菜をあまり摂らないようだから」
P「自分から食べようって気になかなかならないんだよ。大嫌いってわけじゃないんだけどさ」
飛鳥「Pが健康に支障をきたしでもしたらボクらも悲しむ。栄養には最低限気を遣ってくれ」
P「はい」
P「ごちそうさま。やっぱり飛鳥の作る料理はうまいな。味噌汁なんておふくろの味だ」
飛鳥「そう言ってもらえるとうれしいよ。さて、では片づけを」
P「あ、洗い物くらいは俺がやるよ。さすがになんでもかんでもやってもらうのは気が引けるし」
飛鳥「そうかい?」
P「飛鳥はテレビでも見てゆっくりしててくれ」
P「少しくらいは家事ができることを見せてやらないとな」
P「いつも以上に念入りに磨いていこう」キュッキュッ
P「………」ゴシゴシ
P「………」ジャー
P「よし、こんなもんだろう。食器がピカピカだ」
P「飛鳥ー。終わったぞ……あれ、いない」
飛鳥「呼んだかい」ガチャ
P「あ、いた。どこ行ってたんだ」
飛鳥「あぁ。暇だったからお風呂掃除をしていた」
P「風呂? それなら昨日掃除したばかりだけど」
飛鳥「浴槽はきれいにしてあったけど、細かいところに汚れが残っていたよ。一応目についたところはすべて磨いておいたから安心してくれ」
P「かっこつけて洗い物してる間に、さらに家事でお世話になってしまったか」
飛鳥「?」
P「なんでもないよ」
飛鳥「そうか。なら洗い物も終わったようだし、お風呂にしようか」
P「先に入っていいぞ。掃除に料理で汗かかせちゃったしな」
飛鳥「Pこそ、仕事で疲れているだろう。それに家主はキミだ」
P「いや、しかしだな」
飛鳥「このままだと譲り合いの平行線だね。……ならいっそのこと、一緒に入ろうか」
P「え」
飛鳥「少し狭いけど、これはこれで新鮮な感覚だ」
P「(さすがに水着着用か……しかし、体が密着していていやでも興奮してしまう!)」
P「というか、スク水は逆にそそる」
飛鳥「性癖が口から漏れているよ」ジトー
P「しまった」
飛鳥「スクール水着に反応する男性が多いのはなぜだろうね。考察の余地はあるのかもしれない……けど、考える気にはなれないな」
P「(至近距離で見る火照った顔、みずみずしい身体、濡れた髪……色気を感じずにはいられないな)」
飛鳥「かゆいところはございませんか?」
P「頭のてっぺんくらい、軽くかいてくれないか」
飛鳥「ここ?」
P「そうそう、そこそこ」
P「誰かに頭を洗ってもらうっていうのは気持ちいいなあ」
飛鳥「くすぐったくないかい」ワシャワシャ
P「それがまたいいんだよ。終わったら今度は俺が飛鳥の髪を洗ってやろう」
飛鳥「申し訳ないけど、髪の洗い方にはこだわりがあるんだ」
P「それは残念」
飛鳥「かわりと言ってはなんだけど、背中を流してくれるならうれしいかな」
P「よし、任せておけ」ワキワキ
飛鳥「手つきが不穏だね」
P「風呂上がりはゆっくりするに限るなー」ゴロゴロ
P「(背中洗う時に水着を脱いだから、最終的に飛鳥の裸も拝むことができた。幸せ)」
飛鳥「同感だね。身体も心も癒される」ゴロゴロ
P「飛鳥が掃除してくれたおかげでゴロゴロするスペースもできたし」
飛鳥「普段からきれいにしておけば、いつでもこれができるさ」
P「だな……うん、掃除はこまめにしよう」
飛鳥「よし、左耳は終わり。反対側を向いてくれ」
P「わかった。それにしても、相変わらず耳かき上手だな」
P「(ふとももの感触も最高だし)」
飛鳥「コツをつかめば簡単さ。慣れだからね」
P「飛鳥って、言動はアレなのにめちゃくちゃ家庭的だよな」
飛鳥「必要なことをしているだけだよ、ボクは。物思いにふけっているだけでは生きていけないからね」
P「しっかりしてるなあ」
P「ところで、ひとつ聞きそびれていたことがあるんだが」
飛鳥「なんだい」
P「今日、突然俺の家に来た理由」
飛鳥「……今さらそれを聞くのか。もうボクが来てから5時間以上経っているのに」
P「流れるように家事を始めたから、すっかり疑問に思うのを忘れていた」
飛鳥「じゃあ率直に答えるけど」
飛鳥「最近キミとの時間を持てていなかったから、恋しくなった」
P「あー……確かに、最近は他の子の仕事を見る機会が多かったか」
飛鳥「理解はしているんだけどね。ある程度アイドル活動に慣れているボクよりも、デビューしたての子達を気にかける時間が増えるのは当然だ」
飛鳥「ただ……隣にキミがいないと、ふと寂しく思う時がある。我ながら女々しいね」
P「……いや、俺も飛鳥と会いたいと思っていた。なんだかんだ、一緒にいると一番落ち着く子だから」
飛鳥「P……」
飛鳥「キミは、ボクのセカイに新たな彩りを数多く与えてくれた。だからこそ、ボクはキミに惹かれた」
飛鳥「ボクはアイドルという名の偶像だ。恋愛をすることは許されない」
飛鳥「でも。今この時だけは、ボクは……」
P「ああ」
飛鳥「熱い鼓動に、身を任せてもいいと思うんだ」
このあとめちゃっくすした
おわり
飛鳥のめんどくさいけど好意は素直に伝えるところが好きです
お付き合いいただきありがとうございました
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