結衣「ヒッキーが好きなの」雪乃「……」 (17)
結衣「私はヒッキーに告白するよ。ゆきのんはどうするの?」
雪乃「私は……私は由比ヶ浜さんを応援するわ……」
雪乃「あなたがずっと比企谷くんを好きだったってこと、気付いてたもの」
結衣「ほんとにそれでいいの?ゆきのんもヒッキーのこと好きなんでしょ?ずっと前から……」
結衣「もう卒業なんだよ?ヒッキーと会えなくなっちゃうよ!気持ち伝えなくていいの?」
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雪乃「由比ヶ浜さん、勘違いしているようだけど、私は彼のことを何とも思っていないわ。だから伝えることなんてないのよ」
雪乃「さっき言ったとおりあなたの応援をするわ。うまくいくと良いわね」
結衣「嘘。ゆきのんがヒッキーのこと好きだなんて見てればわかるよ」
結衣「どうして素直になれないの?ゆきのんが自分の気持ちを押し殺して、それで応援してくれても私嬉しくないよ」
雪乃「私はただ……由比ヶ浜さんに、大切な友達に幸せになってほしいだけよ」
結衣「ゆきのん……」
雪乃「だから、あなたを応援する」
結衣「私もゆきのんに幸せになってほしいよ。応援もしたい。大切な友達だもん」
結衣「大切な友達を差し置いて、私だけ告白なんて、抜け駆けみたいで出来ないよ……」
雪乃「抜け駆けとは違うわ。あなたはこうやって私に相談してくれているもの。だから、私に遠慮なんかしなくていいのよ」
結衣「ダメだよ…そんなのダメ……二人で気持ちを伝えるの……それで、ヒッキーにも答えを出してもらうの」
結衣「ゆきのんが自分に嘘ついて仮にうまくいったとしてもそんなの"本物"じゃないよ…」
結衣「あのときヒッキーの依頼受けるって言ったよね?クリスマスイベントのあと、まだ依頼は終わってないって言ったのは、ヒッキーの『本物が欲しい』って言葉のことだよね?」
結衣「ゆきのんは奉仕部部長でしょ?依頼は…最後まで全うしないと……」
雪乃「やっぱり由比ヶ浜さんってずるいわ……そんなこと言われたら私も彼に告白するしかないじゃない」
結衣「ゆきのん!」
雪乃「でも……どっちかがうまくいったとしたら……私たちは…」
結衣「それでもずっと友達だよ!当たり前じゃん!ヒッキーなんかに私たちの友情は揺るがされないよ」
雪乃「そうね…フフッ」
結衣「明日の卒業式のあと、ヒッキーを部室に呼ぶね。そこでヒッキーに気持ちを伝えよう」
雪乃「わかったわ。ありがとう、由比ヶ浜さん。あなたのおかげで彼に告白する踏ん切りがついたわ」
結衣「ううん。私はただ、ゆきのんに後悔してほしくなかっただけだよ。」
結衣「じゃあ、また明日」
雪乃「ええ、また明日」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
翌日、奉仕部部室
結衣「この部室ともお別れだね。」
八幡「そうだな。最初は嫌々来てたけど、これで最後となると感慨深いものがあるな」
雪乃「あなたたちのおかげでこの2年間はとても楽しかった……お礼を言うわ。ありがとう」
結衣「ゆきのん!私も楽しかったよ!ありがとう!」
八幡「俺も、なんだかんだで楽しかった。学校が楽しいと感じたのは初めてだったな。二人ともありがとさん」
結衣「ヒッキー、私ね、ヒッキーに伝えたいことがあるの」
八幡「……」
結衣「私、ヒッキーのことが好き。大好き!だから私とつきあってください」
八幡「由比ヶ浜……俺…」
雪乃「ちょっと待ちなさい比企谷くん。私からも、その、伝えることがあるの…」
八幡「えっ?」
雪乃「私もあなたが好き。だから付き合ってください」
八幡「雪ノ下……」
結衣「ヒッキーがどっちを選んでも恨みっこなし!って昨日話し合ったから、ちゃんと答えてほしいな…」
八幡「いや俺一色と付き合ってんだけど」
雪乃、結衣「「えっ?」」
八幡「えっ?」
八幡「知らなかったのか?だいたい一年くらい前から付き合ってたし、たまに部活休んでデートとか行ってたし気づいてるもんだと…」
雪乃「受験生だし勉強とかするために帰ってるものだとばかり…」
結衣「わ、私も…」
ガララッ
いろは「せんぱーい!やっぱりここにいたんですね!あ、第2ボタン残ってますね!貰っておきますね」
八幡「あっ、おい……まあお前ぐらいしか貰ってくれる相手いないからいいんだけどよ。てか生徒会室で待ってるんじゃなかったのか」
いろは「すぐ戻るって言ってたのになかなか帰ってこないから迎えに来たんですよー」
八幡「そうか、悪かったな」
八幡「そういうことだから、雪ノ下、由比ヶ浜、じゃあな」
いろは「結衣先輩、雪ノ下先輩、ご卒業おめでとうございます。それでは失礼します」
ガララッ
エーワタシトセンパイガツキアッテルコトフタリトモシラナカッタンデスカー?
イワナクテモワカッルトオモッテタンダヨ
結衣「ど、どうしよっか?」
雪乃「そもそも私が彼のことを好いている、というのが由比ヶ浜さんの思いこみであり勘違いだったのよ。私も昨日雰囲気に乗せられたせいでそんな気になっていたけれど、冷静に考えればあんな男を私が好きになるはずないもの。あんな男に告白してしまったなんて一生の恥だわ。あの男のことだから私のような美少女に告白されたとあってはそれを吹聴してまわるに決まっているわ。こんな恥ずかしいことを周りに知られてしまったらもう……」ブツブツブツブツ
結衣「ゆ、ゆきのん…」
完
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