苗木「超高校級のセクハラ裁判」 (138)
大神「…双方、用意はいいか」
霧切「検察側、準備完了してるわ」
苗木「えっと…、弁護側も大丈夫だよ」
大神「では、これより学級裁判を執り行う…。検察側、今回の議題を発表してもらおう」
霧切「了解したわ。――今回の議題は被告人:日向創の『同級生へのセクシャルハラスメント行為』について、ね」
日向「ゴメンな七海…。俺みたいな糞野郎は死んでしまえばいいんだ…」
七海「私は気にしてないのになぁ…」
苗木(大丈夫かなぁこの調子で…)
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苗木(僕達の通う、ここ希望ヶ峰学園では…生徒たちの自主性を育むため、様々なカリキュラムが存在している)
苗木(今回行う学級裁判もその一つだ。生徒間の問題を、生徒たち自身の手で解決させる)
苗木(…といっても、そう大げさなことじゃない。裁判の形をとっているけど、あくまで目的は『良好な人間関係の維持』だ)
苗木(学級裁判はある一定人数以上の要望があれば開ける)
苗木(例えば、二人の生徒が喧嘩をしたとする。双方、互いに譲らない場合は、クラスメートに協力を仰ぎ、学級裁判を開く事ができる)
苗木(学級裁判ではその双方の側に立つ代理人が当人の代わりに話し合いを行い、議論で最終的な判断を下す)
苗木(要するに、どちらも納得するような『落とし所』を見つけ、その後の学園生活をわだかまりなく進めてもらう、というのが狙いだ)
苗木(そして…今回のように被害者と加害者がはっきりしてる場合は、裁判官役、検察官役、弁護人役…という風に役を分担する事がある)
苗木(勿論、本職の人たちと同じ事をするわけじゃない。あくまで議論を進める上での立ち位置だ)
苗木(今回みたいなケースだと…僕の役割は、少しでも被告人への罰を軽くしてもらう…ってことになるのかな…?)
~数日前~
苗木「学級裁判?先輩たちの?」
霧切「ええ。議論に公平性を持たせるために、一学年下の私達に開いて欲しいそうよ」
桑田「久しぶりだなー、学級裁判。最後にやったのは葉隠が変な道具を後輩に売りつけようとした時だっけ?」
苗木「はは…あの時は葉隠くん側の弁護人引き受けてくれる人がなかなか見つからなくて苦労したね」
十神「それで結局、お前が引き受けたんだったな。全くお節介なやつだ」
苗木「とは言っても弁護しようがなくて、葉隠くんが一方的に悪いってことで決着になったけどね…」
山田「実際その通りなのでどうしようもない気がしますが。まぁ葉隠康比呂殿には良い教訓になったでしょう」
葉隠「あの時のことはまだ納得行かねーべ!普段10万で売ってるお守りを半額で売ってやろうとしただけの」
霧切「葉隠くん少し黙って。…まぁ、今回も似たようなパターンで、被害者加害者が明確なのよ」
霧切「それで私は被害者側の代理人…つまり検察役を任されたの」
舞園「超高校級の探偵である霧切にはぴったりかもしれませんね。じゃあ、弁護人側はどうするんですか?」
霧切「そこなんだけど…一応先輩の裁判を代行する以上、あまり恥ずかしい姿を見せられないと思うの」
霧切「そこで、以前の弁護人としての経験を踏まえて…苗木君にお願いしたいの。いいかしら?」
苗木「前回のあれを経験と言っていいのかわからないけど…僕で良ければ引き受けるよ」
霧切「ありがとう。苗木君ならそう言ってくれると思っていたわ」
舞園「あー!また霧切さん苗木君を独り占めして。ずるいですよ」
苗木「ははは…独り占めって」
石丸「それで、今回の議題は何なのだね?わざわざ後輩に頼むくらいだ。よほど複雑な事情があるように思うが…」
霧切「それは…まぁ、いずれわかることだし、言い淀んでも仕方ないわね」
霧切「今回の議題…それはズバリ、セクシャルハラスメントについて。…つまりセクハラよ」
苗木「…セクハラ?」
今日は以上です。
いきなりオリジナル設定ですがご容赦ください
~~~~
苗木(議題が議題だけに、詳細は僕を含めた一部の人にしか伝わっていない)
苗木(ちなみに、今回の裁判官役は大神さんだ。78期生の中で一番公平そうな人物として選ばれた)
大神「では議論を始める。…が、その前に今回の議論のルールを確認しておく」
大神「議論は我ら78期生が中心となって進める」
大神「だが77期生からの要望があり…一部の生徒には、陪審員として参加してもらうことになった」
苗木(そう、おそらくこれが、先輩たちが僕らに裁判の開催を依頼した理由…)
小泉「陪審員の小泉よ。よろしくね」
西園寺「同じく陪審員の西園寺でーす。小泉おねぇと一緒で嬉しいなぁ。ま、一人いらないのもいるけど」
罪木「罪木ですぅ…うまく出来るかどうかわからないけど、が、頑張りますね」
大神「以上、計3名。陪審員には、検察側と協力して被告への罰則を決めてもらう事になる」
小泉「日向…覚悟しなさい。千秋ちゃんにした卑劣な行為の報いは、しっかりと受けてもらうんだから」
西園寺「サイテーの性犯罪者の日向おにぃなんて去勢でいいんじゃないの~?」
罪木「そ、それは困りますよぉ…子供が作れなくなっちゃいますぅ…」
西園寺「ああ?テメェに関係あるのかよゲロブタ!」
罪木「ひいぃ!ご、ごめんなさぁい!」
大神「…陪審員は発言内容に気をつけるように」
小泉「駄目よ、日寄子ちゃん。あくまでも憎むべき相手は日向なんだから」
大神「いや、陪審員が私情を持ち込むのも困るのだが…」
苗木(後輩に裁判を開いてもらうことで、ある程度の公平性は確保される)
苗木(しかしそれは建前上の話…実際には先輩たち自ら陪審員として参加し、自分たちで直接裁きを下すつもりだ)
苗木(さすがの大神さんも先輩相手だとやりにくそうだし…話がこじれないといいけど)
大神「では早速議論に入るとしよう。まずは被告人に、今回裁判を開く原因となった出来事について話してもらう…」
日向「…その前に、一つだけ頼みがある」
日向「俺がやったことは最低の行為だ。罪は全部認める。どんな罰も受けるつもりだ」
日向「ただ…ここで俺のやったことを話してしまうと…被害者である七海にも恥ずかしい思いをさせてしまうかもしれない。そこを配慮して欲しいんだ…」
大神「…わかった。急な話にはなるが、傍聴人の男子には退場してもらおう。協力をお願いする」
<なんだよ久しぶりの学級裁判だったのにもう終わりかよ
<仕方があるまい。素直に退出しようではないか
<日向の野郎ナニしやがったんだ!後で聞き出してやるからな!
<五月蝿いぞ。吠えるな雑種
<君、可愛いね。ビビンと来たよ!どう、この後僕とお茶でも
<あの…僕、男なんだけど…
<ははは、そんなの一目見た時から気づいてたよ!
<えっ
パタンッ
大神「…被告人と弁護人以外の男子は全員退室が完了した。では被告人、改めて話をしてもらおう」
日向「…ああ」
苗木(――ついに始まってしまうか)
日向「あれは今から10日ほど前のことだ。俺はある理由で七海の部屋を訪ねた。その時…」
日向「眠っている七海の胸を思わず触ってしまったんだ」
苗木(正直もうどうしようもない気がするんだよなぁ)
以上です。
>>4で舞園さんが霧切さんを呼び捨てにしてますが
さんのつけ忘れです
脳内補完お願いします
朝日奈「セク…ハラ?…セクハラってなんだっけ」
セレス「広義には相手の意思に反して不快な状態に追いこむ性的な行い…とありますので間違ってはいませんね。少し直接的すぎる気がしますが」
辺古山「いくら七海と日向の間柄とは言え…やり過ぎではないか?」
澪田「うわぁ…さすがの唯吹もドン引きっすよハジメちゃん…」
ヒソヒソ ザワザワ
大神「…傍聴人は静粛に。被告人、もっと詳細に説明するように」
日向「あぁ…あの時、俺は報告会を終えたばかりでヘトヘトだった」
霧切「補足説明を行うわ。被告人は予備学科からの編入生で、数ヶ月ごとに学園に成果報告をする義務があるの」
霧切「具体的にはレポートの提出と発表…一般的な大学の卒論並の質と量が要求されるという話よ」
苗木(うわぁ…編入組は大変なんだなぁ)
日向「発表を終えた俺は、世話になったクラスメートの皆に礼を言いに、一人一人の部屋を訪ねて回ったんだ」
日向「レポートの主な内容は、超高校級の生徒たちの才能についての考察と活動内容について。皆の協力がなければとてもまとめられなかっただろうな」
大神「そこで被告人は被害者の部屋を訪ねた、と。その時の状況の説明を」
日向「…あぁ」
~~~~
日向「七海、いるか?少し話をしにきたんだ」コンコン
日向「外出中?…いや、寝てるのか?しょうがない、後でまた訪ねてみるか」
「……ふわぁ。日向くん…?一緒にゲームしようよ…」
日向「ん、七海の声が。起きてたのか」ガチャ
日向「…って、やっぱり寝てるじゃないか。さっきのは寝言か」
七海「…んぐぅ…」スヤスヤ
日向「どんな寝言だよ…。布団にも入らないで座ったまんま。風邪引いちゃう…ぞ…?」
その時の俺はどうかしていたことは間違いない
無防備にはだけた七海の服の胸元
そこから顔を出す谷間
寝息を立てるたび上下に揺れる豊満な胸
目に入った瞬間俺の意識は飛んだ
頭が真っ白になった
そして気づいたら
俺の腕は七海の胸に伸びていた
必死に抵抗したんだ
それはダメだって
――いや、すまん。それは嘘だ
実際には俺は抗えなかった
何もできなかった
自分の意志とは関係なくまっすぐ向かっていく腕を
ただ呆然と見送っていたんだ
そして…
ムニュッ
日向「…はっ!?お、俺は一体何を…!?」
七海「…んん…」
日向「!?お、俺は…うわあああああああああ!」
俺は逃げるように七海の部屋を飛び出した
怖かったんだ。自分のやったことが
七海との関係が壊れてしまうことが
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???「…ハハハッ!まさか発表会の片付けを手伝わされて」REC
???「たまたまビデオカメラを持っている時にこんな場面に出くわすなんて!」REC
???「ああ…なんて絶望的な状況だろうね…わかるよ、日向くん」REC
???「でも、この程度の絶望じゃ…輝ける希望も手に入らないだろうね」REC
???「僕は信じてるよ…キミがこれ以上の更なる絶望的な状況に陥っても」REC
???「それを跳ね返して、より大きな希望につなげてくれると!」REC
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苗木「…うわぁ」
霧切「…サイテーね」ボソッ
大神「…ふむ。話を聞く限りでは、被告人以外に起きたことを知る人物がいない気がするのだが。自体はどのように発覚したのだ」
小泉「それについてはアタシから説明するわ。…アタシの部屋に直接送られてきたのよ。日向の凶行の瞬間を録画した映像がね」
小泉「差出人は不明。状況も不明だったけど…映像には間違いなく千秋ちゃんの胸を触る日向が写っていた」
小泉「その時たまたま一緒に部屋にいたのが、今日一緒に陪審員をしてるこの二人って訳」
小泉「最初は千秋ちゃんの名誉のために、アタシ達で個人的に制裁を加えようかと思ったんだけど…」
日向「…」ビクッ
七海「いつの間にか日向くんが私にセクハラした、って話がクラスのみんなに広がっちゃってたんだよねぇ」
霧切「まず間違いなく撮影者の仕業でしょうね。何が目的だったのかしら…」
大神「成程。裁判に至った経緯はともかく、そのビデオのお陰で被害者すらも知り得ぬ犯行の詳細を把握できたというわけか」
七海「…私は知ってたよ?」
日向「え」
今日は以上です
小泉「千秋ちゃん、知ってたって…どういうこと?」
七海「うーんとね…日向くんが部屋に入ってきた時…実はまだ起きてたんだ」
日向「」
七海「だけど眠くてしょうがなくて…日向くんなら寝ながら応対しても許してくれるかなぁって思って、そのまま寝ようとしたんだよね」
苗木(…この人も大概天然な人だなぁ)
霧切「…じゃあ、被告人が事に及んだ瞬間にも、あなたの意識はあったのね?」
七海「うん。…いきなり日向くんに胸触られた時は、ちょっとびっくりしちゃった」
日向「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
苗木「ちょ!落ち着いてください!」
大神「被告人は静かに。退出は認められん、おとなしく席についていてくれ」
七海「けどね、日向くん様子は変だったけど全然乱暴じゃなくて…むしろ優しく触ってきてた」
七海「胸から伝わってくる日向くんの体温を感じて…それで私逆に安心しちゃって、寝ちゃったんだ」
霧切「ええ…」
苗木(霧切さんもさすがに困惑してるな…)
日向「…殺してくれもういっそ殺してくれ」ブツブツ
苗木(こっちはこっちでダメージ受けてるし…)
霧切「――だけど今の証言はかなり重要よ。それを聞けただけでも十分」
大神「ほう…。ということは」
霧切「ええ…。被告人への罰則内容を提示するわ。おそらく陪審員も納得してくれるはずよ」
苗木(ええっ!?もう!?)
西園寺「え、マジで?」
罪木「ふええ…早いですねぇ…」
小泉「ふーん…流石は超高校級の探偵。状況判断が早いわね」
大神「では、霧切。聞かせてもらおう。罰則の内容を…」
霧切「ええ…」
苗木(まずい…!僕はまだ全然準備出来てないのに、このままじゃ…)
霧切「被告人は、被害者に一日付き合って、何でも言うことを聞いてあげること。勿論、物理的技術的に不可能なことは除いて、可能な限りね」
苗木「あれ?そんなのでいいんだ」
罪木「!?」
西園寺「!」
小泉「…!」
霧切「ふふ。あのね、苗木君。忘れては駄目よ。学級裁判の目的はあくまで『良好な人間関係の維持』なんだから」
大神「ふむ。随分ゆるい罰則内容だと思うが。根拠を聞かせてもらおうか」
霧切「まず、被告人が深く反省しているということ。これは一目瞭然ね」
霧切「そして…。一番大きいのは被害者と被告人の間に遺恨が全く残っていないこと」
霧切「先程の七海さんの証言が重要といったのはそういう意味よ」
霧切「被害者の七海さんが被告人から受けた行為で不快感を覚えていないというのなら、そもそもセクハラが成立するかも怪しいところね」
苗木(なるほど…。と言うかこれって本来僕が言わないといけなかったことなんじゃ)
霧切「ただ、被告人が七海さんの許可を得ずに胸を触ったのも事実」
霧切「全くのお咎め無しって言うのも逆にしこりが残りそうだし…罰則としては妥当な内容じゃないかしら?」
大神「成程な。少し意外ではあったが、十分納得できる話だ」
霧切「弁護人、意義はないかしら?」
苗木「あ、うん僕もそれで問題ないと思う」
日向「俺もだ。少し軽い気もするが…それで判決が出されるなら素直に従う」
霧切「七海さんはどう?」
七海「うん、私もそれで問題ないよ。…えへへ。日向くんと1日一緒かぁ」
霧切「雑用をさせるでもよし、一緒にどこかに出かけるもよし。この際だからいっぱいワガママを言ってもいいんじゃないかしら?」
七海「うーん。…そうだなぁ。やっぱり、一日中二人でゲームしたいな」
七海「徹夜で桃鉄やってもいいし…ギャルゲーなんかも、男の子と一緒にプレイしたら早くクリアできるかもしれないね」
日向「ははは…。七海らしいな」
セレス「…成程。霧切さんも苗木君に負けず劣らずお節介な人ですわね」
朝日奈「え?どういうこと?」
舞園「合法的にそういうことができる関係になっちゃえよ、ってことですね!きゃっ」
セレス「…楽しそうですね舞園さん。ですが納得していない人たちもいるようです」
小泉「…千秋ちゃんに手を出した張本人である日向を、千秋ちゃんと二人きりにするのはまずいんじゃないの?」
霧切「それについても考えてあるわ。『被害者が望むのなら』、監視人を付けましょう。被告人を監視下に置いた上で、罰則を実行してもらうことになるわね」
七海「ぶー。そんなの別にいらないよ」
霧切「…だそうよ?被害者である七海さんが納得してるなら、それが一番じゃない?学級裁判は、被告人への懲罰が主目的ではないんだから」
小泉「…」
苗木「ナイスな提案だよ、霧切さん。僕、ちょっと驚いちゃった」
霧切「ふふ。当然よ。ただ法律通りの罰を与えるなら、学級裁判の意味が無いもの」
苗木「あはは…けど、あのクールな霧切さんがそんな柔軟な提案を出すなんて、意外でさ」
霧切「あら、ひどいじゃない。まぁ、確かに昔の私だったらありえなかったかもしれないわね」
霧切「…変えてくれたのは、あなたよ、苗木君」
舞園「あー!また霧切さん苗木君といい雰囲気になってますよ。ズルいです!」
セレス「ふふっ。ですが、いい感じに場も和んできました。そろそろ閉廷も近いのではないでしょうか」
大神「うむ。…結論は出たようだな」
大神「では――被告人、日向創に…」
罪木「ま、待ってくださぁい!!」
今日は以上です
霧切「!?」
小泉「み、蜜柑ちゃん!?」
大神「むぅ…。何か、意見があるのか」
罪木「そのぉ…今のお話を聞いた感じだと…今回の件は問題として取り上げるほど大げさなことじゃないってことですよね…?」
大神「そういうことになるな。学級裁判を開くまでになってしまったのは、ビデオ撮影者の介入によってであろう」
罪木「だったら…今回の日向さんへの罰則は重すぎないですかね…?」
苗木「…重い?どっちかって言うと軽すぎるくらいだと思うけど…」
罪木「そ、それは法律を基準に考えた場合ですよぉ!霧切さんも言っていたじゃないですか…学級裁判では人間関係が良好にまとまるならそれでいいんです」
罪木「七海さんが日向さんに胸を触られたことを問題にしていないのなら…日向さんの行動を丸一日制限する罰則は重すぎますよぉ!よ、ようは懲役と同じようなものじゃないですかぁ!」
日向「懲役って…流石に大げさじゃないか…?」
七海「むー。私は日向くんにひどいことはしないもん」
大神「うーむ…主張自体はわからなくもないが…。代替案はあるのだろうか」
罪木「どうせなら、すぐに終わるようなことがいいんじゃないですかね…?七海さんにビンタされるとか、ウミガメのモノマネをするとかぁ…」
日向「やめてくれ罪木…。そっちのほうが大分キツい」
霧切「…苗木君。あなたは、弁護人としてどう思う?」
苗木「うーん。…罪木さんの意見も、先入観に縛られてると思うんだよね」
苗木「行動を制限するから懲役に相当、っていうのは飛躍し過ぎかな。大事なのは、その罰則がどう後の関係に影響を与えるかだと思う」
苗木「見た感じだと、七海さんも日向さんも、二人で一緒に過ごせば、今回の件はわだかまりなく水に流せそうだし」
苗木「わざわざ実際の刑罰に当てはめて考える必要はないんじゃないかな」
霧切「…ふふっ。苗木君もちゃんと考えてるのね。安心したわ」
罪木「…うぅ」
小泉「……78期生に裁判の進行を任せたのは正解だったわね。私達じゃどうしても感情的になっちゃうかもしれないし」
罪木「それじゃあ…」
小泉「蜜柑ちゃん。私も彼の意見に賛成よ。日向がそれで納得している以上、罰則がこれ以上軽くなることはないでしょうね」
罪木「で、ですよねぇ…ふゆぅ…」
大神「今度こそ結論が出たようだな。では…」
小泉「――軽くなることは、ね」
大神「…どういう意味だ」
西園寺「おねぇ…?まさか…」
小泉「ゴメンね日寄子ちゃん…できれば胸に秘めておきたかったけど、やっぱり確かめておきたいの」
小泉「陪審員として参加したのも、本当はそっちが目的だったかもしれないわね」
大神「…説明を要求する」
小泉「ええ。――被告人、日向創には…前科がある!…かもしれないのよ」
日向「!?」
苗木「!?」
霧切「前科…ですって…?」
以上です。
>>33
意義→異議です
七海「日向くん…まさか他の人にもおんなじこと、してたの?」ジーッ
日向「ち、違う!身に覚えが無いぞ…」
小泉「別に胸を触られたわけじゃないわよ。…修学旅行、って言えばピンとくるかしら?」
日向「…!」
七海「……日向くん?」ジーッ
日向「いや、ちがっ…!と、というか小泉!あれは事故ってことで納得してくれたんじゃ…」
小泉「……納得してたわよ!――だからこそ…ショックだったんじゃない。今回の件で、もしかしたらアレもわざとだったんじゃないかって…」
日向「それは違うぞ!断じて!」
大神「静粛に…。その修学旅行のことを、話してもらえるか?」
小泉「ええ。今までクラスの皆には言ってなかったんだけどね……」
小泉「単純な話よ。…私と日寄子ちゃんの入浴中に、日向が突入してきたのよ」
霧切「!?」
苗木「…!?」ビクッ
舞園「…なんだかとんでもない方向に話進んでませんか?収集つくんですかね」
セレス「雰囲気が雰囲気だけに、とてもおもしろくなってきたなどとは言えませんね」
ヒソヒソ ザワザワ
七海「……本当なの?日向くん」
日向「――ああ、それは本当の話だ。機会を与えてくれるなら、その時の詳細も説明する」
大神「今回のセクハラ事件の結末につながる重要な話だ。説明を求める」
日向「わかった。あれは夏の話だったな」
日向「俺達はジャバウォック島に修学旅行に行った…だが、修学旅行の翌週には、報告会が控えてたんだ」
日向「編入生である以上、たとえ修学旅行があったとしてもそんな言い訳は通用しない。結局、俺は島でもレポートを書く必要に迫られた」
日向「昼は旅行の合間に、夜時間には自室に篭ってレポートを書く。…そんな感じだったな」
日向「…その事件があった日も、俺はレポートを書いていた。気づいたら、深夜を回っていた」
日向「俺は風呂に入ろうとしたんだが…俺達の止まっていた旅館は共同浴場しかなく、そこはもう閉まっていたんだ」
日向「だが、俺は旅館の従業員に訪ねて、地元の人がよく利用しているという温泉を教えてもらったんだ」
霧切「…なんとなく察しがついたわ」
小泉「私達も温泉の話を聞いていたから、利用者が少なくなる深夜を待って入浴しにいったのよ」
日向「…道は暗くて、俺は半分道に迷ってしまった。そして…」
日向「どこをどう通ったのか、女湯の露天風呂に直接入ってしまったんだ」
大神「うむぅ…」
霧切「……」
苗木「……」ビクビク
七海「…その時、二人は…?」
西園寺「…当然、素っ裸に決まってんじゃん。露天風呂の裏は山になってるんだけど、そこから急に音がするんだもん。最初は熊が出たのかと思ったよ」
小泉「ええ。まさかそれが日向だなんて思いもしなかったわ」
霧切「それ、本当に覗いてたわけじゃないのよね…?」
日向「違う!…今回こんなことがあったあとじゃ信じてもらえないかもしれないが、本当にあれは事故だった」
罪木「その…その後どうなったんですかぁ…?」
日向「――あの日は曇り一つ無い晴天だった。夜になったら空は一面、星が広がっていた。そんな満天の星空の下…」
日向「――全身全霊を込めて土下座したよ」フッ
罪木「…うわぁ」
霧切「それでも、あなた達はその時、日向さんを許したのよね?」
小泉「ええ。…正直頭にきたし、恥ずかしい思いもしたけど…。日向はわざとそんなことする奴じゃないって信じてたし」
小泉「心からの謝罪に、偽りは無いと思ったから」
西園寺「…誰にも言わないで、わたしたちだけの秘密の思い出にしようって。後で笑いながら話せる、いい思い出になるからって…小泉おねぇに言われたからね」
大神「…それを水に流したところで、今回の件が起きた、というわけか」
小泉「ええ、そうよ。…日向を信じたいのに、信じられなくなって。全部ハッキリさせたくなって…!」
小泉「――巻き込んじゃってゴメンね、みんな」
七海「ううん。そういうことなら仕方ないと思うな」
霧切「ここで曖昧なまま終わらせてしまったら、それこそ気まずさが残った関係になってしまう。学級裁判で議論するのは間違っていないわ」
日向「…すまないな」
苗木「…」
霧切「…苗木君、大丈夫?さっきから不安そうな顔をしているけど…」
苗木「あっ!いや、大丈夫!ちょっと話の展開についていくのが精一杯で」
霧切「無理もないわ。ゆっくり頭の中を整理して頂戴」
今日は本当にこれで終わり
頭の中で話はできてるけど文章化するのきつい長い終わらない
大神「話の焦点は、被告人に故意性があったかどうか、だな」
大神「入浴の件も、そして今回の件も――意図的にやったことだとしたら、罪状は跳ね上がるであろう」
小泉「悪魔の証明になるから、意図的であることを私達が証明しないとフェアじゃないわよね。…けど残念ながら、私にはそれを証明できる材料が無い」
霧切「――別の方向から探っていきましょう」
西園寺「別の方向って何?もうかなり時間立っちゃったし、証拠もなにも無いんだよ?」
霧切「修学旅行の件が証明できないのなら、別の事案を持ってくればいい…要するに」
霧切「被告人が常習的にセクハラを行っているというのなら、他にも前科があるかもしれないわ。それを追求するの」
日向「ちょ…常習的って」
苗木「抑えて、日向さん。入浴の件がただの事故なら、何も出てこないはずだよね?」
日向「まぁな…というか、流石に何度もそんなことしてたら、大騒ぎになるだろ」
霧切「傍聴人の誰かでもいいの。被告人から、何かセクハラまがいの行為を受けたことがある人はいないかしら?」
日向「聞いたところで何も出てこないと思うが…」
ソニア「…そういえば、わたくし日向さんから『動くこけし』なるものを貰ったことがあります」
日向「!?」
小泉「ひ、日向!あんたソニアちゃんになんて物渡してるのよ!」
霧切「…どんな神経してるのかしら」
苗木(霧切さんに渡さないでよかった)
日向「ち、違うんだ!最初はあれが動くなんて知らなくて…!日本的な物だから、ソニアが喜ぶだろうと思ってプレゼントしただけだ!」
ソニア「あとでアレがマカンゴに匹敵するものだと知った時には…わたくし恥ずかしくて数時間部屋から出れませんでした」
日向「それは普通じゃないか!というか結局マカンゴってなんなんだよ!」
ソニア「こ、こんなに人がたくさんいるところでそれを言わせる気ですか…!?ひどいです、日向さん…」
ソニア「たった今!わたくしは日向さんからセクハラを受けました!」
日向「!?おい、勘弁してくれ!」
澪田「あ、そういえば…修学旅行中、海辺で、ハジメちゃんが赤音ちゃんの服に手をかけるところを見たっす!」
終里「ん?そんなこともあったな」
日向「だああああ!あれは、水着に着替えるのが面倒って理由で裸で泳ごうとしてた終里を止めただけだ!」
罪木「わ、私も…!日向さんに…何度も、し、下着や…大股開きのあられもない姿を見られて…」
日向「罪木いいいいいいい!それはお前が自分でコケただけだろうがあああああああああああああ!」
苗木「日向さん!落ち着いて!」
大神「これは…収集がつかんな…」
霧切「議論が脱線しかかってる…何とか軌道修正しないと」
腐川「な、なによ全く…。そんな最低のセクハラ野郎は、学園に頼んでさっさと除籍処分にしてもらえばいいじゃない…」
小泉「…」ピクッ
西園寺「…は?」
罪木「何言ってるんですかぁ?」
腐川「え」
以上です
小泉「…日向がそんな『最低のセクハラ野郎』かどうか…それをハッキリさせるために今議論をしてるんじゃない」
小泉「それにもし…日向がそんな奴だったとしても…処分の内容も議論によって決める。それが学級裁判のはずよ」
小泉「軽々しく…除籍なんて口にしないでよ」
腐川「な、何なのよアンタたち…。さっきまでその男を糾弾してたのはそっちでしょうが…!」
西園寺「…日向おにぃが今までどんなに頑張ってきたかも知らないくせに」ボソッ
霧切(――今の発言で確信が持てたわ)
霧切(彼女たちは、本当に被告人をセクハラの常習犯だと証明したいわけじゃない…むしろ逆)
霧切(彼はそんなことをするはずがない、と…そう思いたいのね)
霧切(おそらく彼に対して並々ならぬ感情を抱いているはず…だからこそ彼を信じたい)
霧切(だけど同時に…彼女たちは疑心暗鬼になっている)
霧切(『でも、もしかしたら』…その呪縛に囚われている)
霧切(参ったわね…たとえ悪魔の証明になってしまうとしても)
霧切(『彼がセクハラの常習犯ではない』という証拠をつきつけないと…彼女たちが心から納得することはない)
霧切(思った以上に難しい問題よ。――苗木君、あなたならどう対処するかしら…?)
苗木(落ち着け…僕が動揺してる場合じゃない)
苗木(このままいけばおそらく証拠不十分でセクハラの常習性は否定されるだろう)
苗木(だけど…日向さんとクラスメートの間にもやもやしたものが残ってしまうかもしれない)
苗木(それじゃ意味が無い。学級裁判を行う以上、優先すべきは被告人への罰則の大小よりも人間関係の修復だ)
苗木(考えるんだ…きっと何か方法があるはず。この絶望的な状況を覆す何かが)
苗木(絶望なんかに屈しない!希望は前に進むんだ!)
バタン!
江ノ島「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!私様、華麗に参上!」
苗木「ひっ」
少ないですが以上です
帰省中のため更新頻度落ちます
ザワザワ ヒソヒソ
霧切「江ノ島さん!?今日は雑誌のモデルの仕事が入って参加できないのではなかったの?」
江ノ島「残姉に替え玉を頼みました。まぁあの残姉に私様の代わりが務まるとは思いませんが…時間稼ぎにはなるでしょう」メガネクイ
霧切「…初対面の相手ならまだしも、普通に考えたら無理だと思うわ」
江ノ島「細けぇことはいいんだよ!それより何々!?おもしろそーなことやってんじゃん」
小泉「あのねぇ…面白そうなことって…」
大神「今は大切な議論の最中だ。邪魔をしてもらっては困る」
江ノ島「大体の話の流れは把握しています。途中から扉の外で話しを聞いていたので」メガネクイ
霧切「ちなみに、どのタイミングから?」
江ノ島「うーんと…そこの元予備学科が『俺みたいな糞野郎は死んでしまえばいい』とか言い出した辺り?」
霧切「ほぼ最初からじゃない…」
日向「な、何なんだこいつは…」
苗木「…」ビクビク
江ノ島「んー?そこで小動物みたいに震えているアンテナは…苗木じゃーん!おひさー!」
苗木「や、やぁ…江ノ島さん。どうも…」
江ノ島「いつぞやの夜以来だねー!どう?あれから私様をオカズに」
苗木「そ、それより!江ノ島さんはどうしてこのタイミングで乱入してきたの!?」
江ノ島「そりゃあ、議論がカオスで面白そ…収集がつかないことになりそうだったから、私様が助言を与えてやろうと」
霧切「助言、ですって?」
小泉「あなたが何を考えてるのか知らないけど…アタシ達はこれでも真剣に話し合ってるの」
小泉「それを面白半分で茶化されたら…正直不快だわ」
江ノ島「まーまー。そう先走るなよ。ちゃんと私様の実体験も踏まえて話してやるから」
西園寺「何よ実体験って。自分もセクハラされたことがあるとか言うつもり!?」
江ノ島「ええ。その通りです」メガネクイ
西園寺「マジで!?」
霧切「江ノ島さんなら…ありえない話ではないわね。仕事中にそういう被害を受けていてもおかしくわないわ」
江ノ島「んまーぶっちゃけ仕事とは関係ないんだけどね。頼んでもいないのに残姉という番犬が付いてくるから」
江ノ島「セクハラというのも少し違うんですが…実はあなたたちと同じで、同級生に入浴姿を見られたことがあるのです…絶望的です…」
小泉「えっ…本当に?」
霧切(同級生…?桑田くんか葉隠くん辺りかしら)
江ノ島「ねぇねぇ。誰だと思う?」
朝日奈「同級生?誰だろ…スケベそうなのっていうと、山田とか桑田とか葉隠とか?」
セレス「おそらく山田君ではないでしょうね。二次元にしか興味なさそうですし」
腐川「白夜様も違うわね…あんな下品な女に興味を示すはずがないもの」
舞園「普通に考えたら桑田くんでしょう。スタイルがいい女性には目がないみたいですし」
ヒソヒソ ザワザワ
江ノ島「そう!何を隠そうその御方こそ!そこに御座す苗木誠殿にあらせられるぞ!」
霧切「!?」
苗木「」
以上です
朝日奈「え、ええ!な、苗木が…セクハラ犯!?」
セレス「意外な話ですが…。苗木君にも何か言い分があるようですわ」
舞園「…」
腐川「ちょ、ちょっとアンタ…表情が消えてるわよ…」
霧切「……苗木君。説明してもらえる?」
苗木「ま、待って!あれは事故で…!」
霧切「ええ、待つわ。だから落ち着いて、ゆっくり詳細に説明して頂戴」
苗木「き、霧切さん…ちょっと怒ってる…?」
霧切「…そうね。以前の私ならこの程度のことでいちいち感情を表に出してなかったでしょうけど」
霧切「…変えてくれたのは、あなたよ、苗木君」
苗木「ひっ…」
苗木(一見無表情だけど…確かな怒りを感じる)
江ノ島「私様が説明してあげましょう。一体何が起こったのかを」
日向「…良いのか?アレ。勝手に進めようとしてるけど…」
大神「うむ…まぁ、仕方あるまい。このままでは議論が進まぬ」
江ノ島「あれは私が学園内の大浴場を独占して使っていた時の話…」
罪木「あ、あれ…?そんなことできましたっけ…?」
江ノ島「誰も居ない時を見計らって入ったってことだよ。言わせんな恥ずかしい」
小泉「寮の各部屋にはシャワールームが備え付けだし、大浴場の利用者は少ないものね」
江ノ島「勿論大浴場は男女で分かれてるんだけどさ、あそこって時間帯によって男湯女湯入れ替わるじゃん?」
江ノ島「私様が入ったとき、男湯と女湯間違えてたみたいでさ―。体洗ってる最中に苗木が入ってきたんだよねー」
霧切「…なんだ。それならほとんどあなたに非があるじゃない。今回の件とは全く違うと思うけど」
霧切「何故その時苗木君がたまたま大浴場を使ったのか、っていうのは置いておいてね」ジロッ
苗木「そ、その時たまたまシャワーが壊れてて…お湯が出なかったんだ」
江ノ島「おっと!まだ続きがあるんだぜ!それで苗木が私様のパーフェクトなボディを見て興奮しちゃってさ」
江ノ島「私様めがけて吹っ飛んできたんだよね」
霧切「…」
苗木「ちょっと!誤解されるようなこと言わないでよ!あれは慌てて風呂場から出ようとしただけで」
苗木「吹き飛んだのは、江ノ島さんが投げた石鹸に足を滑らせたからじゃないか!」
江ノ島「あれ?そうだっけ。まぁいいや」
苗木「良くないよ!」
霧切「苗木君静かに」
苗木「はい」
江ノ島「その後が傑作でさ。苗木ったら私様の股間に頭から突っ込んできたわけよ」
江ノ島「さすがの私様も、声を上げちゃったよ。『きゃー!』って」
「「……」」シーン
苗木「…」
霧切「…今のは、否定しないのね。苗木君」
苗木「一切言い訳のしようもありません」
霧切「一応、聞いておくけど。…わざとじゃないわよね」
苗木「それだけは!決して!」
霧切「罪人は皆そう言うのよ」
江ノ島「その後の苗木の必死の謝罪もまた面白かったんだよねー。なんせ全裸で土下座しはじめるんだもの」
江ノ島「その光景が面白かったので、その場ではひとまず置いておくことにしました」
小泉「…それで?今の話のどこが助言になるわけ?」
小泉「はっきり言ってふざけてるようにしか聞こえなかったんだけど。まじめに議論する気がないなら…」
江ノ島「だーかーらー!焦るなって!そんなんじゃ惚れた男も落とせねぇぞ!」
小泉「なっ…!ば、バカにしないで!」
江ノ島「私様がこのことを大事にしなかったのは、苗木がわざとそんなことする奴じゃないってわかってたからだ」
江ノ島「何故かって?そりゃあ一緒に学園生活を送ってきたからだよ。楽しい時も辛い時も、一緒に過ごした同級生だからだよ」
江ノ島「一時期退屈すぎて学園にクーデターでも起こそうとした時に、あろうことかこの私様に逆らってまで止めようとしてきたのも苗木だったしね」
大神「…気のせいか、今かなり大きな情報を流した気がするが…」
日向(その苗木を今追い詰めてるのはお前自身なんだが…それはいいのか?)
江ノ島「要するに!お前ら自分自身にもう一回問いただしてみろよ、ってことだよ。今までその元予備学科と過ごした日々を振り返ってみろよ」
小泉「…!」
江ノ島「私達が議論して検証するよりも、お前らのほうがよっぽどそいつのことわかってんだろ?」ズカズカ
西園寺「ちょ、なんでこっち近づいてくるのさ!」
江ノ島「…惚れてるんだろ?」ボソッ
小泉・西園寺・罪木「!?」
江ノ島「特に顔がイケてるわけでもないあいつに惚れたってことは、何かお前らを惹きつける人間的な魅力があったってことだろ」
江ノ島「だったら信じてあげてもいいんじゃないのー?うぷぷぷぷぷ」
小泉・西園寺・罪木「…」
日向「急に小声になって何話してるんだ…?あ、おい、苗木。大丈夫か?魂抜けかけてるぞ」
苗木「だ、大丈夫です…」
苗木(うう…僕が助けてあげないといけない人に、逆に心配されるなんて…)
以上です
私様のキャラが本編とは大きく異なってますがご了承ください。
小泉「…そうね。アタシがどうかしてた」
小泉「ひょっとしたら千秋ちゃんに、嫉妬しちゃってたのかもね」ボソッ
小泉「日向はそんな奴じゃない。だからこそアタシは……」
小泉「…ゴメンね、日寄子ちゃん。ただ秘密の思い出を暴露するだけになっちゃったわね」
西園寺「…ううん、いいよ。私もそう思うもん。確かに日向おにぃはバカで間抜けでマゾだけど…わざと私達が悲しむような事するような人じゃないもんね」
罪木「お、お二人が納得したなら…それが一番だと思いますぅ…。えへへ…」
霧切「意外ね、江ノ島さん。あなたがまともに助言を行うなんて」
江ノ島「全く信用が無いのですね…絶望的です…」
霧切「あなたの普段の言動を知っている人ならだれでもそう思うわよ…。てっきり裁判をめちゃくちゃにしに来たのかと思ったわ」
江ノ島「んー。まぁ私様も最初はそう思ってたんだけど、もう十分めちゃくちゃになってたし」
江ノ島「それに、所詮は普段関わりのない連中じゃん?それをひっかき回しても面白みが少ないかと思ってね」
江ノ島「私様は目先の享楽に釣られないのです。既に次のエンターテイメントを見据えていますので」
霧切「次…?」
大神「…本当に今度こそ、結論が出たというわけか」
小泉「ええ。検察官の提示した罰則に、全面的に同意するわ」
日向「あれ…?。決着は着いたのか?」
小泉「そういうこと。――ごめんなさい、日向。アタシたち、あなたのことを疑っちゃった」
日向「な…謝らないでくれ!修学旅行のことをひっくるめても、全部俺の身から出た錆じゃないか。お前たちが謝る理由は無いはずだぞ」
小泉「…ふふっ。相変わらずね。しっかり、千秋ちゃんに奉仕するのよ?」
大神「かなり遠回りになってしまったが…被告人に罰則を言い渡す」
大神「被告人、日向創に…」
苗木「…大神さん、ちょっと待ってもらえるかな」
ザワザワ ヒソヒソ
大神「むぅ…。苗木よ、今更罰則内容に不満があるとでも言うつもりか?」
日向「お、おい…苗木。もう十分だろ…?」
霧切「この期に及んで何事かしら?苗木君。今更何か弁明したところで、あなたが江ノ島さんに対して行ったことが消えるわけじゃ」
苗木「そ、そうじゃなくて!一連の議論の中で…陪審員の小泉さんたちの意見を聞いて疑問に思ったことがあるんだ」
小泉「え、アタシ?何か変な発言したかしら…?」
苗木「小泉さんの発言自体に疑問があったわけじゃないよ。疑問に思ったのは…日向さんの行動だ」
日向「え?まさかまたさっきの議論を掘り返す気じゃ…」
苗木「それも違う。陪審員たちの発言を聞いた限り、日向さんは誠実な人だという印象を受けた」
苗木「人を傷つけるようなことはせず、仮に傷つけてしまったとしても誠心誠意謝罪できる人物。同級生からの信頼もかなり大きいみたいだ」
苗木「ボク自身、日向さんと話していて同じことを感じたよ」
大神「それが、一体…?」
苗木「そんな人が、いくら仲が良いからって、眠っている七海さんの胸を触ったりするかな?」
苗木「今回、七海さんは気にしてないみたいだけど…ヘタしたら心に傷を残す危険性だってあった筈だ」
苗木「コレはおかしいよ!日向さんが、そのことに気づいかないはずが無いんだ!」
霧切「…」
日向「と、言ってもなぁ…。現に俺は触ってしまったわけだし…」
苗木「日向さん、もう一度思い出して欲しいんだ。事件の起きた日に、何があったのかを」
以上です。
もうすぐ終わります
大神「弁護人はこう主張してるが…」
霧切「構わないわ。続けてもらいましょう。ここまで来たら、疑問は最後まで突き詰めるべきよ」
七海「なんだか、推理ゲームみたいだね。面白くなってきたかも」
大神「では、被告人。もう一度事件当日の状況を話してくれ」
日向「わかった。だけど特に変わったことはなかったはずなんだがなぁ」
日向「あの日…報告会は朝10時から開始して、終わったのは夕方の4時位だったな」
日向「発表の内容はビデオカメラに記録されている。不審な点は無いはずだ」
苗木「午前10時から午後4時まで…日向さん一人で発表を行っていたのだとすれば、かなりのハードスケジュールだね」
日向「ああ、なんせクラスメート一人一人の才能についての考察が必要だからな…作成した資料も発表の内容も膨大な量だった」
日向「発表を無事切り抜けたあと…俺はその足でクラスの皆の部屋に礼を言いに行ったんだ」
霧切「部屋を訪ねた順番は覚えている?」
日向「ええっと、まずは男子の部屋を訪ねて回ったんだ。順番はよく覚えていないが…女子の中では最初に訪ねに行ったのは七海の部屋だったはずだ」
小泉「私達の部屋に来たのは、報告会の次の日だったわよね?事件が起きたあと、一回中断したってことかしら?」
日向「その通りだ。あんなことをして、気が動転してしまったからな」
霧切「男子は全員部屋にいたの?」
日向「いや…一人、狛枝だけは報告会の片付けに駆り出されていなかった。それ以外の男子は全員いたな」
霧切「男子の部屋では何かしたの?お礼を行ってすぐに退散したのかしら?」
苗木(さっきから霧切さんに質問取られちゃってるなぁ…超高校級の探偵の本領発揮、ってところかな)
日向「…相手によるな。俺もヘトヘトだったし、基本的にはすぐに退散したな」
日向「だけどそんな状態の俺を見て、心配してくれる奴もいた」
日向「弐大は疲労回復用のマッサージをしてくれたし…花村なんかはわざわざ体力のつく料理を振る舞ってくれたからな」
小泉「…日向、それ、詳しく話してくれる?」
日向「え?それって…弐大と花村のことか?」
小泉「花村の方だけでいいわ。具体的に話して」
日向「うーん具体的にと言ってもな…。俺が疲れているのを見て『料理を作ってあげる』って言ってくれて」
日向「ちょうど腹が減ってたこともあって、素直に好意に甘えることにしたんだ。流石に美味かったぞ」
小泉「…ちなみに、どんな料理を作ってもらったの?」
日向「確か…花村曰く『精のつく料理』だとか」
西園寺「それじゃん」
罪木「あ、それですねぇ」
小泉「至急花村を証人として呼んでちょうだい」
~~~~
花村「ははは。女性だらけの淫靡な空間に呼んでもらえるなんて…光栄だね」
大神「…証人は余計なことは話さぬように」
花村「君が裁判官かい?――素晴らしい肉体美だね!男性的な力強さと、女性的な繊細さ。それらを同時に極限まで昇華させている」
花村「僕、興奮してきちゃったよ!どう?僕と一夜限りのアバンチュールを」
大神「わ、我には心に決めた相手が…」
小泉「花村、口説かない。ごめんなさいね、こういう奴なのよ…」
霧切「…」
苗木(…77期生って、変わった人が多いよなぁ。僕らもあんまり人のこと言えないけど)
花村「オーケーオーケー。それで、僕は何を証言すればいいんだい?他ならぬ日向くんのためだもの、何でも答えちゃうよ」
大神「…オホン。事件当日、証人は被告人日向創に対して手料理を振る舞った。間違いないな?」
花村「うん、間違いないよ。日向くんが干からびかけてたからね。僕の料理で色んな所を元気にしてもらおうと思って」
大神「それは、どのような料理だ」
花村「そりゃあ、とことん精をつけてもらうための料理さ!もちろん、ただのゲテモノにならないよう味付けのバランスには細心の注意を払ったよ」
大神「うむ…やはりか」
西園寺「これ、もう決まりじゃない?」
罪木「ど、どうでしょうか…?」
小泉「限りなくクロに近いグレー、って感じね」
霧切「でも…こう言っては悪いけど、所詮は精力剤のようなものでしょ?」
霧切「その…確かに肉体の一部を元気にする効果はあるかもしれないけど。今回の事件のように、人の意思に介入するほどの効果は無いんじゃないかしら?」
花村「ふふふ…超高校級の料理人の才能を甘く見ないでほしいな。僕が本気を出して作った精力剤なら、それはもはや媚薬も同然だよ!理性も吹き飛ばしてしまうほどのね!」
罪木「ギルティ」
西園寺「ギルティ」
小泉「決まりね」
以上です
>>98
苗木「気づいかない」→「気付かない」 です
~~~~
苗木(その後、花村さんには事件の詳細が説明された)
苗木(自分の料理が原因となったことを知ると、流石に顔が青ざめていた)
苗木(悪意がなかったとはいえ、一歩間違えればセクハラでは済まなかった問題だ。花村さんにはその場で罰則が提示された)
苗木(罰則の内容は『一週間厨房への出入り禁止』。そこまで重くないとは思うけど、花村さんは言語が崩壊するくらい動揺していた)
苗木(それでも、本人も自分の責任と納得はしているらしく、罰則を受け入れた。これに関しては学級裁判の必要もないだろうね)
罪木「ふうう…花村さん、保健室まで送ってきましたぁ…。鎮静剤を与えたので、しばらくは安静にしてくれると思います…」
大神「ふむ、お疲れ様だ。しかし…罰則を言い渡しただけであそこまで取り乱すとは意外だったな」
罪木「罰則内容もそうですけど…やっぱり自分の料理のせいでみんなに迷惑をかけた、っていうのが辛かったんだと思いますぅ」
大神「本人には悪意がなく、むしろ善意のつもりで行ったことが逆に人を傷つけることになった…とあれば無理もないか」
霧切「日向さんの精神が強靭で良かったわね。それこそ学級裁判じゃどうにもならない事態になっていてもおかしくなかったわ」
西園寺「…ねぇ、あいつ本当に悪意なかったの?日向おにぃの体気遣うなら普通にスタミナが付く料理でも作っておけばよかったじゃん。あわよくばおにぃと…とか考えてたんじゃないの?」
大神「…?花村輝々と日向創は男同士ではないか…?」
罪木「…」
西園寺「…」
小泉「…」
大神「何故、黙るのだ…!?」
苗木「そ、それはともかく…今度こそこの裁判も終わりだね」
霧切「そうね。大神さん、被告人への罰則はどうする?私の立場ではもう、被告人への罰則を提示できないわ」
大神「そうだな…全貌が明らかになった以上、被告人に罰則を与えるという状況ではない」
大神「しかし…だ。これは裁判官としての意見ではなく我自身の考えだが…。今回の裁判で被告人が迷惑をかけたもの、世話になったもの、大勢いるだろう」
大神「それらの人に報いても、バチは当たらんだろう。自分の判断で、恩返しなり奉仕なりを行えば良い」
日向「ああ、わかった。本当に世話になったな」
大神「それでは、今度こそ本当に学級裁判を終える。皆、長時間お疲れ様だ」
~~~~
日向「苗木、ありがとう。お前のおかげで身の潔白が証明できたよ」
苗木「ははは…お役に立ててなにより」
日向「花村も悪いやつじゃないんだ。…時々俺を見る目つきが怖いけどな」
七海「あ、日向くーん。おめでとー」
日向「…なんか被害者であるはずの七海から祝福されるってのも、変な気分だな」
七海「私はもともと気にしてなかったからね。けど、日向くんと一日ゲームできなくなっちゃったのは残念かも」
日向「ゲームくらい、いつでも付き合ってやるさ。七海に迷惑かけたのは事実だしな」
七海「本当?えへへ、やったぁ。約束だよ?」
西園寺「コラァ!日向おにぃ!七海おねぇにばっかり構ってないでよ!」
小泉「日向、その…おめでと」
罪木「えへへへ…良かったですねぇ、日向さん…」
日向「西園寺、小泉、罪木…お前たちにも迷惑かけたな。最後まで付き合ってくれてありがとうな」
西園寺「全くだよ。3人だけの秘密の思い出もみんなにバレちゃうしさ」
日向「あはは…そう言うな。秘密の思い出はまた作れるさ」
西園寺「…本当?じゃあ、私の方もそれ、約束だよ?絶対守ってよね!」
小泉「今度は覗かないでちょうだいね?」
日向「善処します…」
罪木「あのぅ…日向さん。小泉さんにいっぱい、優しくしてあげてくださいね。今回の件で一番動揺してましたから」
小泉「ちょっと!?蜜柑ちゃん!?」
西園寺「そうだよ!裁判では強がってたけどさ、例のビデオが届いた時本当は『このことは私達だけの秘密にできない…?』とか言ってたんだよ?今にも泣き出しそうな顔で」
小泉「うぅ…」
日向「そうだったのか…ごめんな、小泉。心配かけて」
小泉「…もういいわよ。その代わり!今度ちょっと付き合ってよ。…写真撮影に」
日向「ああ、勿論だ」
罪木「あの…私もその…注射を打つ練習に付き合ってもらってもいいですかぁ…?」
日向「あ、ああ…勿論だ…」
苗木(すっかり蚊帳の外になってしまった)
苗木(しかし…もしも今回事件が発覚していなかったらと考えると)
苗木(日向さんはずっと七海さんへの罪悪感を抱えたまま、学園生活を送ることになっていただろう)
苗木(結果的に、学級裁判を行ったことで彼らの人間関係は良好なまま…いや、むしろ更に深い結び付きになったのかもしれない)
苗木(そう考えると…ビデオ撮影者の行動はファインプレーだったのかな?)
霧切「お疲れ様、苗木君。大活躍だったわね」
苗木「あ、霧切さん、お疲れ様。活躍と言っても、僕は疑問を投げかけただけなんだけどね」
霧切「十分よ。あなたのその行動のお陰で日向さんは救われたのよ。誇っていいと思うわ」
苗木「ありがとう、霧切さん。なんだか、霧切さんに褒めてもらえると嬉しいね」
霧切「ふふふ。でも、浮かれては駄目よ、苗木君。私達にはまだ仕事が残っているんだから」
苗木「え?仕事?」
霧切「ええ、そうよ。とても大事な、ね」
苗木(学級裁判は終わったのに、いったい何が残ってるんだろう…?)
今日はここまで
本当は今日終わらせるつもりだったけど
長くなったので明日に持ち越します
~数日後~
ソニア「ええーい!静まれーい!我こそは裁判官、ソニア・ネヴァーマインドなるぞ!ひかえよろー!」
小泉「はしゃぎ過ぎよソニアちゃん。検察側、準備出来てるわ」
日向「弁護側も準備完了だ」
ソニア「本日の議題は…『被告人:苗木誠の同級生に対するセクシャルハラスメント行為』についてですね!張り切って議論しちゃってください!」
苗木「…」
日向「苗木、今度は俺がお前を助ける番だ。安心しろ、今回は相手の過失が大きい。大した罰則にはならないさ」
小泉「依頼された以上は、きっちり仕事をこなすわ。…被害者があまり深刻そうじゃないのが気になるけど」
江ノ島「ひっどーい!アタシ、乙女の純情を弄ばれてすっごく傷ついたのにー」
小泉「…今回の裁判も、陪審員が付いてるの。正直必要ないと思うんだけど…被害者の希望だからしょうがないわね」
江ノ島「そうとも。私様が選りすぐった、よく切れるナイフ達を紹介するぜ!」
霧切「陪審員の霧切よ。よろしく」
舞園「陪審員の舞園です。ふふっ、私、前から学級裁判に参加してみたいと思ってたんですよね。うれしいです」
セレス「陪審員のセレスティア・ルーデンベルクですわ。面白くなりそうなので参加してみました」ニッコリ
日向「なんというか…緊張感がないな…」
小泉「私達もこの前陪審員として参加しちゃった手前、強く言えなかったのよね…」
苗木「え、江ノ島さん…。お風呂でのことは許してくれたんじゃ…?」
江ノ島「なーに勘違いしてるんだ?苗木。私様は『置いておく』と言っただけで、『許す』なんて一言も言ってないんだぜ!」
苗木「そ、そんなぁ…」
江ノ島「覚悟しておけよ~?苗木」
江ノ島「松田君にすら見せたことの無かった、私様の裸体を拝んだ罪…しっかりと償ってもらうからね!うぷぷぷぷぷ」
狛枝「彼女が学級裁判を開いたのは、本気で彼に罰則を与えるためじゃない」
狛枝「なにせお風呂の場所を間違えていたのは彼女自身だからね。彼に大した罰則は与えられないだろう」
狛枝「本当の目的は、学級裁判を通じてその時のより詳細な状況をクラスメートに暴露することさ」
狛枝「女子からは軽蔑の目で見られ、男子からは羨望と嫉妬と殺意の目で見られるだろう」
狛枝「そんな絶望的な状況に彼を追い込むことが、彼女のささやかなイタズラってわけだね」
狛枝「でもね…僕は信じてるよ、苗木君」
狛枝「君ならそんな絶望的な状況の中でもなお…希望という名の光を放ち続けてくれると!」
狛枝「…直接学級裁判を見に行けないのは残念だけどね。はははは…」
西園寺「なーにブツブツ言ってんだよこの変態盗撮野郎」
罪木「次はもう少し太い針を刺しますねぇ…中身はビタミン剤なので安心してくださぁい…」
狛枝「こ、これも…希望を得るための試練なんだね…オウフ」
終里
以上です。
今までお付き合いいただきありがとうございました。
html依頼出してきます。
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