花子「工事の人達が話しているのをきいてしまいました」
花子「……」
花子「仮に学校がなくなったら、トイレがなくなったら」
花子「私は何処へ行くのでしょうか」
花子「考えていても仕方ありませんが」
男「tototoトイレーっと…」
男「あれ? この階は女子トイレだけか」
男「まぁ廃校だから気にする必要ないんだけど」
花子「人が来ましたどうしましょう」
花子「とりあえず静かに三番目の個室に隠れましょう」
男「…寂しくなるな」オシッコダシダシ
男「母校が無くなるってこんな気持ちなんだな」
花子「(この学校出身の人でしょうか?)」
花子「(私以外に悲しい気持ちを持ってくれる人がいるんですね)」
花子「(少し、嬉しい…かな)」
男「あおーげーばぁーとおーとしぃーーわがーしのーおんー!!!」
花子「!?」ビクッガタッ
男「!?」
男「誰だ!」
男「個室が一つだけ閉まってる…」
男「ここ、女子トイレ、だよな…」
花子「」ガタガタブルブル
男「開けるか…」ゴクリ
男「ええいままよ!!」ドアヒラキ!
花子「いやぁっ!」
男「!?」ビクッ
花子「わ、私食べてもおいしくないですよ」
男「い、いや。食べないけど…」
花子「えっ」
男「えっ」
花子「食べないんですか?」
男「うん」
花子「怖がって損しました」
男「はぁ」
男「(ずいぶん古風な子だな。おかっぱ頭なんて生で初めて見た。歳は小学生ぐらいか)」
花子「あの」
男「えっ? あぁ、ごめん何?」
花子「工事の人ですよね。服的に」
男「うん。そうだけど…そういえば君、お父さんとお母さんは? なんでこんな所にいるの?」
花子「そんなにたくさん聞かれると困ります」
男「いや2つだけだけど」
花子「親はいません」
男「ん? 迷子って事かな?」
花子「違います。小さいからって馬鹿にしないで下さい」
男「あ、なんかごめん」
花子「わかればいいんです」フンス
男「とりあえずここ危ないから出よっか」
花子「ふざけないでください呪いますよ」
男「なにそれこわい」
花子「私ここに住んでるんです」
男「えっ…家ないってこと?」
花子「いやだから此処が家ですってば」
男「いやいや、トイレじゃん」
花子「トイレを馬鹿にするんですかそうですか」プイ
男「え…あ、ごめん。つまり君はトイレに住んでると。トイレが家だと」
花子「」ツーン
花子「そういえば」
花子「ここ、取り壊しになるそうですね」
男「あぁ、うん。だから早く逃げないと危ないよ」
花子「はぁ」
男「なにその馬鹿を見るような目」
花子「馬鹿を見るような、じゃなくて馬鹿を見る目です」
花子「そういえば」
花子「私幽霊なんですけど」
男「うん」
花子「何か質問ないんですか?」
男「うーん…」
花子「意外と反応薄いですね。少し傷つきます」
男「だって俺も幽霊だし」
花子「えっ」
男「外見てごらん」
男「クレーン車が赤いカーペットの上で倒れてる」
男「あれが俺の身体だったもの…って聞いてる?」
花子「幽霊コワイ幽霊コワイ」ガクガク
男「……」
男「おい」ポン
花子「いやぁああぁぁあぁあ!!! 呪われるうぅぅううぅ!!」
花子「取り乱してすみません」コホン
男「落ち着くの早いんだな」
花子「フィールド適応能力で精神力が10%アップしてます」
男「どっかで聞いたような」
花子「ところで」
男「ん?」
花子「あなたは成仏しないんですか?」
男「……」
花子「何か未練でも?」
男「あぁ、そうだな」
花子「手伝える事なら協力しますけど」
男「いや、トイレ行きたかっただけなんだけどね」
花子「私の期待を返して下さい」
男「人の未練にwktkとかひどい」
花子「あれ、さっきトイレ済ましてましたよね」
男「いや、物音したから止まった。残尿感がすごい」
花子「私のせいと言いたいんですかそうですか」
男「うん」
花子「正直な方ですね」
男「あっ、出そう」
男「んじゃそろそろ行くわ」
花子「おまえ、消えるのか?」
男「おい」
花子「一回言ってみたかったんです」
男「どこでそんな知識得てくるんだよ」
花子「用具入れの中は私のプライベートスペースになっています」
男「まじで」
花子「嘘です」
花子「それじゃあさよなら」
男「それだけ?」
花子「これ以上何をのぞむんですか」
男「うーん…まぁいいか」
花子「早く逝ってください」
男「んじゃあ、バイバイ」ジョロォォォ
花子「さよなら」
花子「逝きましたか」
花子「私も成仏したいです」
花子「未練…」
花子「これを無くさないと」
花子「氷菓を全部見ないと」
花子「秋ぐらいまで工事が延びればいいんですけど」
花子「ネットサーフィンでもしましょう」
花子「ん?」
花子「氷菓ねたばれ…?」
花子「ねたばれ、ってなんでしょう」
花子「なんかネバネバしてそうです」
花子「どれどれ」タップ
花子「えっ」
花子「」ジョウブツー
おわり
ごめんなさい
勢いで書くほど恐ろしいことはなかった
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