咲「天照大神討伐?」【神代小蒔編】 (114)

硬派な能力系麻雀(矛盾)の妄想を出力していくスレ
お付き合いいただければ幸いです。


なお同名スレの続編です。
書きたいところは闘牌部分なので前作を知らない方もお気軽にお立ち寄りいただければ。

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~前回のあらすじ~


咲「お姉ちゃんとまた暮らすんだ!」

その決意を胸に、天照大神の名を冠す四名の暴走を止めることにした咲。
そのうちの天江衣に勝利するが、彼女の魔性を引き継いでしまう。
それは咲をも狂わせるのか、または栄転の糧となるか。

天江衣を倒してから数日―ある日の放課後



ガララ

久「おはよう」


咲「おはようございます」

和「お疲れ様です」

久「来てるのは今のところ2人だけ?」

和「はい。優希や須賀君は少し用事を済ませてから来るそうです」

久「まこからも今日は来れないって連絡があったわね。
…丁度いいかも。咲」

咲「はい?」

久「これ、貴方宛てに届いてたわよ」

咲「手紙?…鹿児島から、石戸霞さん?」

和「お知合いですか?」

咲「ううん。知らないなあ」

久「その人、永水女子高校の人よ」

咲「!! 永水といえば…」

久「神代小蒔。多分、それに関係することよ」

和「向こうから接触があるなんて…」

久「それだけ天江さんを負かしたっていうのは衝撃的なことなんでしょう」

咲「…開けますね」

咲「…要約すると、神代小蒔さんの分家の一人が石戸霞さん。
神代さんの中で神様が暴れているのに気付いていたとかなんとかで、
それを私に鎮めてもらいたいんだって」

和「神様?」

咲「起きているうちは普通の状態らしい。
分家の人達は麻雀中に寝た時初めて異変に気付いたけど、勝てずに狂わされた。
そんな折に私のことを聞いて、巫女としての自我が残っている石戸さんがSOSの手紙を送ったってことらしい」

和「麻雀中に寝る??SOA??」

久「和向きの話題じゃないってことは分かったわ」

咲「私も寝るってところがイマイチ分からないです」

久「うーん、私もそれは知らないわね。
もしかしたら、神代さんのスタイルのことを言っているのかも。
確かウィークリートゥデイのバックナンバーにもそんな特集が…」パラパラ

咲「これですか。防御が得意だったり、攻撃偏重だったり。
神代小蒔には様々な打ち筋が存在するっていう」

久「あと強い時とそうでもない時の差が割とくっきりしてる打ち手よね。
この調子の波を『寝る』とか『起きる』とかって比喩してるっていう線かも」

咲「なるほど…あり得ますね」


ガララッ

優希「おっまたー!だじぇーい!」

京太郎「遅れましたー」

咲「あ、おはよう京ちゃん、優希ちゃん」

久「じゃ、今日はとりあえずここまでね。
手紙の内容的にはちょっと逼迫してそうだし、明日にでもきちんと話し合いましょうか」

咲「はい!」

―その夜


咲「ふぅ」ドサッ

咲(散々牌符や動画を調べたよ…流石に疲れたな)ゴロン

咲(もっと機械に強ければ楽なんだろうけど、今更だしなぁ。
みんなに教えて貰ってやっと検索とネット麻雀のやり方を覚えたくらいだし…)


咲「…」

咲(部長は『寝る』っていうのを調子の波だって言ってた…
だけど、やっぱり違う気がする。幾ら切羽詰ってたとしても、
そんな内輪でしか使わない表現を手紙に書いたりするかな…
ましてや私に依頼の形で出すんだから、分かりにくい表現は避けるはず)

咲(可能性は否定できないけど、違和感はある。
もしかしたら、単に調子の波の一言で片づけられない事象が起きるのかも。
動画でも、変化のタイミングってそれなりに分かりやすかったし)

咲(目覚める能力はおおよそ状況に沿ったものが出てくる。
ダントツの時に攻撃偏重スタイルだったり、1回だけ3位の時も弱いままだった牌符も見つけたけど)

咲(目覚める能力の半分くらいには競り勝てる…でも半分には負ける。
あと1つ、ほぼ確実に勝てないだろうなっていうオールマイティーな打ち筋もある。
対局すれば、大体は私に勝てる能力が目覚めるだろうな…)

咲(戦略としては、普通の状態の時に稼ぐしかないだろうけど。
勝ち筋と呼ぶにしては甘すぎるような…どうしようかな)ウーン

―翌朝


咲(結局考えてるうちに寝ちゃったよ)

和「おはようございます」

咲「おはよ、和ちゃん」フーム

和「…神代さんの件ですか?」

咲「うん。考えても勝てそうなビジョンが浮かばなくて」

和「…」

和(オカルトを認めきれていない私では、きっと相談相手にもなれないのでしょう。
そもそもオカルト側ってデタラメの結果至上主義にしか見えないですが)

咲「うーん…」ドウシヨウカナ

和(…でも。友人の力になるのに、思想は関係無い筈です。
何とかして、咲さんを助けたい気持ちに偽りはありません!)

和「咲さん」

咲「うん?」

和「私は人に対応する…という打ち方は出来ませんが、理解がない訳ではありません。
私にもきっと力になれることがあるかと思います。
咲さんの悩み、手伝わせていただけませんか?」

咲「…和ちゃん」

咲「ありがとう和ちゃん。じゃあ今のところ出来てる対策を教えるね」

和「はい」

咲「基本は相手が和了ってこないタイミングで和了るってことかな」

和(それは普通のことなのでは…)

咲「覚醒時はかなり和了を稼がれる上に、私はあまり和了れないと思うんだよね。
手役派や鳴き派の差はあれど、速攻で和了り続けられたり、私の和了番に当たり牌を回されて流されると私は何も出来なくなる。上位能力が開花してる時はドラの占有率も高いし、私の槓ドラが利用される展開も厳しいかな。寧ろ相手が槓ドラを増やしてロン牌を絞り込んでくる戦法をとってくるかも」

和(どうしましょう。全く意味が解りません)

咲「守備的な能力は妨害と回し打ちっぽい。妨害だと多分感覚で亜空間殺法するんだよね。感覚派だと私の体温とか視線移動とかを無意識化に多角的に…和ちゃん?」

和「は、はい」

咲「着いていけそう?」

和「え、えーと…とりあえず確認をしてもいいでしょうか」

咲「うん」

和「前半は当然のことで、後半は風呂敷を広げ過ぎているだけなのでは」



咲「…うん。そうだね」



和(あ、何か地雷を踏んだような)

咲「今日はどこでお昼食べよっか?」

和「うわわごめんなさい!見限らないでください!!」

咲「ううん、そんなことないよ。優希ちゃんまだかな?」

和「話を麻雀に戻してくださいっ!!」



咲「例えば私が3連続和了が確約されてて、次に相手が4連続和了を確約されてる。
その状態で私が勝つには、どうしたらいいでしょう?みたいな」

和「はあ、確約」

咲「…」

和「え、えーっとですね…まず咲さんの和了りはなるべく直撃狙いにして、相手が和了る時は絶対に振り込まない。とか」

咲「うーん、まあそうなんだけど」

和「…流石に思いついてますよね」

咲「うん。ごめんね?」

和「いえ…あとは相手より高い点で和了ることを目指す、とか」

咲「相手の方が手数も打点も上なのはほぼ確定なんだよね」

和(ええ…いや、もう何も言いません)

和「相手の和了回数を削る努力をしてみるとか」

咲「妨害鳴きについては向こうの庭だし、速攻も破られるどころか放銃リスクが高くなるだけっぽい」

和「相手の打点を下げさせるとか。鳴かせて面前を崩させるようにしてみるなど」

咲「手役の名手が出てきそう」

和(なんですかそれ)

和「いっその事ドラでも独り占めして渡さなければいいのでは」

咲「あはは。発想が柔らかくなってきてるね和ちゃん。
良い案だけど、出来たら苦労しないよー」

和「ですよね…」

和「ああそういえば、私が奈良に居た頃の友人に『ドラを独占する』って人がいましたね」

咲「え」

和「幼心に不思議でしたが、今思えば恐らく手品の類だったのでしょう。
10半荘打っても一度もドラが来ないなんてそんなオカルト…」

咲「ね、その人なんて名前?」

和「へ?えと、『松実玄』さんですが…咲さん?」

咲 バッ

和(携帯を取り出して…?)

咲 マツミクロ、マツミクロ

和(検索をかけようとしてますね…)

咲 アレ、ココドコ!?

和(機械を使っていても迷子になる咲さん…)カワイイ

和「…玄さんは大きな大会には出てなかったと記憶しています」

咲「ええっ」ガーン

和「当時のブログなんかはまだありますし、後で部室で調べてみましょうか」

咲「うん!ありがとう和ちゃん」ニコ

和(よしゃ!メゲずに頑張った甲斐がありましたっ)

―放課後


咲「…やっぱり牌符は出てこないね」

和「そうですね…」

咲「…ドラは毎回その人のところに行ってたんだよね?」

和「はい。毎回、全てです」

咲「ふむむ。ねえ、和ちゃん。その人と会うことってできないかな?」

和「玄さんとですか?一応前に聞いた連絡先は知ってますよ。
長いことお話はしていないですが…」

咲「お願い!ちょっと連絡してみてくれないかな」

和「…ちょっと気まずいですが、他ならぬ咲さんの頼みとあらば。
それが神代さん対策になるんですよね?」

咲「うん」

和「分かりました。今夜にでも連絡してみます。
部長達との話し合いで日時が決まったら教えてください」

咲「うん!ありがと、和ちゃんっ」ニコッ

和(…私も大概チョロイですね///)

ガララ

久「おまたー」

まこ「お疲れさん」


咲「おはようございます」

和「お疲れ様です」

咲「あ、染谷先輩に事情って…」

久「ええ。話してあるわよ」

まこ「すまんのう。承諾も得ずに」

咲「いえ、気にしないでください。話は早い方が良いですし」

久「でしょ?そーいう訳で早速本題。
貴方の鹿児島までの旅費なんだけど、部費で出しちゃえそうなの」

咲「ええっ!?」

和「そういうのって会計報告で引っかかっちゃうんじゃ…」

まこ「この手品の種は、二重帳簿ってやつじゃて」ククク

久「あら、人聞きの悪いこと言わないでよ。
きちんと偉い人たちには説明した上で、承諾は貰ったわ。
天照大神は今や社会問題だし、解決できるっていうなら学校側としては応援したいって。
ただ失敗したとき責任を負うのは学校側だから、そのままの名目ではお金は出せないってことよ」

咲「なるほど」

久「まあ早い話が私の会長権限でチョイチョイっとやっちゃうって訳」

和「なんとも言及し難い…」

咲「そのことで一つお願いしたいことがあるんですが、良いですか?」

久「何かしら?」

咲「一度、奈良に寄ってから行きたいです」

久「ん?どうして?」

咲「和ちゃんの知り合いがそこに居るんです。
その人が神代さんを倒すために必要かもしれなくて」

和「まだ話を付けてはいないんですけど」

久「なるほどね…分かったわ。やってみましょう」

咲「ありがとうございます!」

久「…ただそれだと咲一人分が限界かも」

まこ「一人で迷わんかのう」

和「私がついていきますよ?」

久「どうでしょうね。麻雀部員が複数で数日欠席ってなると、疑われると思う。
費用も結構なもんだし、これ以上リスクを高めると学校が容認してくれないと思うわ」

和「そうですか…」シュン

久「…咲。貴方一人では神代さんに勝つことは難しい?」

咲「そうですね。ほぼ無理だと思います」

久(即答…)

久「もし奈良まで行って、その人の協力を得られなかったらどうするつもり?」

咲「引き返そうかと思ってました。
けど部長の話を聞く限り、何もないままでは帰れそうもないので、打つには打ちます」

久「…そう」

久(…普段は抜けてる咲でも、こと麻雀にかけては思慮深くなるのはおかしくないけど…
あんなに淡白に勝てないって言い放ったり、挑むことすら辞さないつもりでいるなんて。
…天江さんの一件から性格が少し変わりつつあるのかしら。ちょっと心配)

久「…戻ってきても良いのよ。協力を得られたとしても、怖くなったら帰ってきなさい。
咲がそれ程言う相手と、無理に手合せすることもないわ」

まこ「ほうじゃほうじゃ。負ければもう2度と麻雀が打てなくなるかもしれん。
そんなこと、誰も無理強いはせんよ」

和「そうです。咲さんの身が第一ですよ」

咲「…ありがとうございます!」

―その夜



プルルルルル ガチャ


和「もしもし」

玄『もしもし…凄いご無沙汰だね』

和「お久しぶりです。突然の電話で申し訳ありません」

玄『ううん。びっくりしたけど…声が聴けて嬉しいよ。
インターミドル優勝おめでとう。こんな機会になってごめんね』

和「いえありがとうございます。私も嬉しいですよ。
玄さんはお変わりないですか?」

玄『うん。こっちではまた麻雀部を作ったんだ。
インターミドルの和ちゃんを見て、穏乃ちゃん憧ちゃん達とね』

和「あの頃は楽しかったですね」

玄『ね。穏乃ちゃんも元気なところとか全然変わってないよ。高校上がってから周りのことも気にかけてくれるようになったし。
憧ちゃんなんかは見た目は随分オトナっぽくなっちゃった。雰囲気は殆ど一緒だけどねー」

和「そうなんですか」フフフ


玄『って私が話過ぎちゃダメだね!何か用があるから掛けてきてくれたんでしょ?』

和「ええ。麻雀のことなんですが…」

玄『ふーむ。なるほどなるほど。
分かったよ。一つ客間を用意しておくね!』

和「ありがとうございます!咲さんも喜ぶと思います」

玄『こちらもお役に立てるなら嬉しいよ。
あっ、でも旅館の手伝いに抜けることもあるって伝えといて。
繁忙期じゃないから大丈夫だと思うけど』

和「分かりました。詳しいことはまた連絡します」

玄『うん、待ってるね。それじゃ、おやすみ和ちゃん』

和「おやすみなさい」

―そして出発の日


咲「うぅ…」ガタガタ

京太郎「大丈夫かよ」

まこ「やはり難しいかのぅ」

和「自分を信じてください咲さん。
あんなにシミュレーションしたじゃないですか」

咲「今まで自分を信じた結果迷ってきたから…」ガタガタ

優希「咲ちゃんぶっかませーぃ!」

久(みんな麻雀よりも道順の心配か)ハァ

京太郎「ほら地図作ってやったから。ちゃんと道を数えながら行くんだぞ」

まこ「これ連絡先じゃ。電話が繋がらんとこ行ってもうたら確認しんさい」

優希「タコスとおしぼりだじぇ。乗り物酔いには気を付けるじょ」

咲「うう、ありがとうありがとう」

和(殆ど子ども扱い…)


久「ほら咲!シャンとしなさい!」パンッ

咲「はひっ!」

久「そんな顔じゃ、松実さん鹿児島に送り出してくれないわよ?」

咲「ううう、分かりました。頑張りますっ」

久「うむ。それでよし!」

まこ「きばってな」

京太郎「しっかりやって来いよ」

優希「お土産よろしくだじぇ」

和「気を付けてくださいね。玄さんによろしくお伝えください」

咲「ありがとうございます。ではいってきます!」

―そして奈良の某駅改札。移動過程はキングクリムゾン


咲(無事着けたぁ…)ゲッソリ



玄「もしかして宮永咲さんですか?」

咲「あ、は、はい!」

玄「わあ、無事会えて良かったです。
私は松実玄というものです。どうぞよろしくお願いします」ペコ

咲「宮永咲です。唐突な話で申し訳ありませんでした」ペッコリン

玄「いえいえ構いませんよ~。
阿知賀まで遠路はるばるお疲れ様でした。
迷ったりしませんでした?」

咲「かなり迷ったんですけど、何故か記憶がないです」ヘヘ

玄「ふふふ、うっかり者ですね宮永さんは?
ではこんなところで立ち話も何なので、早速私の家まで案内しますね!」

咲「はい、お願いします!
…それとタメ口でも良いですよ?私の方が下級生ですし…」

玄「そうですか?じゃあその心遣いに甘えるね。
でも、咲ちゃんも遠慮しないでね?」

咲「えへへ、ありがとうございます」

―松実館


咲(なんか凄い恰好した人がいる…)

宥「玄ちゃんお帰りなさい。それで隣の方が…」

玄「うん。咲ちゃんだよ」

咲「宮永咲です。お世話になります」ペッコリン

宥「私は宥です。よろしくね」フルフル

咲「えと、宥さんは…」

玄「私のおねーちゃん。凄い厚着でびっくりしたでしょ?
寒がりだから、今でもコタツとストーブつけてるんだ」

咲「え、もう夏前ですよ!?」

宥「あぅ、ごめんね…?」

咲「あ、いや、責めたわけじゃなくて…」

玄「ふふふ」

宥「麻雀の相談の為にこっちまで来るなんて、勉強家だね~」

玄「神代さんを倒すためらしいよ。あのおもちの人。
でも、私なんかじゃ力不足じゃないかな?」

咲「分かりませんよ。
でも和ちゃんから聞いて、きっと玄さんなら私の求めてるものがあると思いまして」

宥「そうなんだ。あったかいね~」

咲「…それで早速なんですが、玄さん。麻雀を打ちませんか?」

玄「うん、いいよ。四麻?」

咲「面子が足りないですよね。三麻でもドラは来ますか?」

玄「うん。四麻と変わらないよ」

咲「なら三麻でも大丈夫です。宥姉さんにもお願いしたいです」

宥(急な宥姉呼び…あったか~い)

宥「勿論いいよ~」ポワーン

咲「抜きドラも集まるんですか?」

玄「集まるよー」

咲「では北は抜きドラで。大会ルールで始めましょう」


玄(手に制約のない抜きドラあり?赤ドラが少ない三麻っていうだけでも私に有利なのに)


宥(勝つことはそんなに目的じゃないのかな…麻雀の相談って言って来てる訳だし…)

宥「ん…リーチです」


宥「ツモ」

⑥⑥⑦⑦⑧⑧一一九九九中中 ツモ中

宥「裏なし、3000・5000です」


咲視点―玄手牌
■■■■■■■■■■■■■ 抜き北北北

咲(ふむふむ)

咲(…流局した時はきっちりドラ10。表も裏も完全に支配してるね)

咲「それカン」


玄「ツモ!カンドラも乗って親の三倍満です!」ドヤッ

④(⑤)⑥333(5)6799白白 抜き北北北 ツモ9

咲(カンドラももろ乗り…と)



宥「リーチ」

玄(降りたいけど、北を捨てたらドラが来なくなっちゃう…抜くしかないか)ペーヌキ


咲(ベタオリなのに態々すべてを北抜き。
前局までの変な打ち方から考えても、玄さんはドラを捨てられないってことか。
大体分かったし、後は捲りに行こうかな。話はそれから)ゴッ

玄「!?」ゾクッ

宥「さ、寒い…」ガタガタガタ

玄「おっきな手和了ったのに…」ズーン

宥「あ…あったかくない…」ガクガク


咲「…玄さん」

玄「ご、ごめんね。やっぱり私じゃダメだったよね…」

咲「うーんと、まあ打ち方については脇が甘いと思いますけど」

玄「」

咲「ドラの支配については期待通りでした。
もし玄さんさえ良ければ、一緒に来てくれませんか?」

玄「え」

宥「そ、それってもしかして」


咲「永水女子高校。神代小蒔討伐にです」



玄「で、でも。私咲ちゃんに負けたし、きっと足を引っ張るよ」

咲「今のままではそうかもしれません」

玄「あぅ」ガン

咲「でもやり方次第で、神代さんにとっても必ず脅威となります」

玄(むむむ…あのおもちは確かに生で見てみたい……学術的興味として。
いや、永水ってことは、もしかしたらあの石戸霞さんにも会えるかも!?)

咲「お願いします。玄さんが必要なんです」

宥「玄ちゃん…」

玄「…そこまで言っていただけるなら、協力致しましょう!
まさに情けは人の為ならず、この松実玄にお任せあれ!」ムフー

咲「本当ですか!ありがとうございます!」パァ

宥(ま、また何かあったかくないことを考えてる気がする…)フルフル

――そして戦地、永水女子高校。


咲「1回も迷わずに来れるなんて…」

玄「私のおもちセンサーがビンビン来てるからね。えへん」ビンビン

咲「良く解らないけど便利ですね。いいなぁ」



咲「すみません」

用務員「はい。本日はどのような御用件ですか」

咲「神代さんと麻雀を打ちたいんですけど」

用務員「…神代小蒔ですか?」

咲「はい」

用務員「何かのお間違えではないですね?」

咲「確かです」

用務員「…少々お待ちください」



用務員「こちらです。どうぞ」

咲「ありがとうございます」

玄「手馴れてるね…」

咲「天江さんの時もこんな感じだったので…」




ギ イ イ イ ィ ィ ィ ィ …



巴「あ」

初美「ドンピタですねー。霞の言うとおりでしたよー」

春 ポリポリ

霞「うふふ。見えたからね」


小蒔「…」コオオオオオ


咲(あれが神代さん…見る限りじゃ既に覚醒状態)

玄(平均値を下げてる方が1名いらっしゃるけど、皆様中々のものをおもち…!)

霞「宮永咲さん…でよろしいのかしら?」ドドヨン

咲「はい」

玄(やっぱり生の迫力は段違い…!)ゴクリ

霞「手紙、読んでくれたみたいで嬉しいわ。
尤も今となっては私の心境が違うのは察しているとは思うけど。
貴方と麻雀を打ちたいっていうのは変わらないわ。…して、隣の方は?」

玄「松実玄です。咲ちゃんの付き人です!」

霞「なるほどね。完全にアウェイな場では挑めないってこと?」

咲「…はい。玄さんには入ってもらいます。
それに、対等に打たなければ精神に付けられる傷は大したことは無い。
それは望むところじゃないのでは?」


初美(…あの子、結構鋭いですよー)

巴(3vs1にして潰す策を予め見越しているなんて)

春(天江衣ちゃんを倒してきただけはある…)ポリポリ


霞「ふふ…そう。こちらは修行さえできればどちらでも良かったけど。
これ以上会話を交わすのは無粋みたいね」

咲「そうですね。はじめましょう」

初美「じゃあ私は準備に回りますよー」

霞「あら、いいの?はっちゃんも1人で来た時の予定面子だったじゃない」

初美「3人なら四喜和も出しやすいけど、2人だとちょっと危ないですからー。
得点は姫様が稼ぐし、防御が固い霞ちゃんの方が適任ですよー」

巴「姫様が起きた時のフォローも霞さんの方が長けてるからね」

霞「分かったわ。いざとなれば悪神も降ろすかもしれないから、その時は…」

春「…それも準備しておく」

前半戦
起家:宮永咲
南:松実玄
西:神代小蒔
北:石戸霞


東1局0本場

東:咲 南:玄 西:小蒔 北:霞

ドラ 二


1巡目

玄(…あの日は随分咲ちゃんにいじめられ、もとい特訓を受けたなあ…)

一二(五)七①④(⑤)⑥136東白 ツモ二

打 3


小蒔「…」

488③④三五六七八九白発 ツモ5

~回想~


咲「玄さんはもっとドラありきの打ち方を身に付けたほうが良いですね」

玄「ドラありき?」

咲「麻雀の和了系は七対子国士の例外を除けばどんな形ですか?」

玄「四面子、一雀頭だね」

咲「そうです。全部で5つの要素ですね。
玄さんの場合はそのうち4つは3種の赤ドラ、表ドラで構成せざるを得ません」


咲「例えばこういう形の場合、玄さんはいつも何を切ってます?」


ドラ 九

(五)七九九①②⑦(5)67東南白


玄「うーん、字牌を処理するかな」

咲「これ、正解は①②のペンチャン落としです」

玄「え、浮き牌の⑦とかでもないの?」

咲「3種赤で三面子、表ドラで一面子と考えた場合は、①②は不要牌です」

玄「…でも、赤⑤が雀頭になる場合だと使えるよ?」

咲「確かにそうなんですが、その場合は三色も付かない役なし聴牌ってことになります。
打点に格差があるとはいえ、出和了りが効く相手の方が有利ですから」

玄「ふーむ」

咲「私、何度も玄さんのターツ落としを狙い撃ちしましたよね?
私が出来るってことは、神代さんも出来るってことです。他の全国強豪もそうでしょう」

玄「…それって暗に私のレベルが低いってことを…」グスッ

咲「特化してる部分が違うってだけですよ。
相手は玄さんみたいな能力が無いから、そういうスキルを磨いてるってことです。
玄さんもドラ独占について理解を深めれば、対等以上に渡り合えるはず」

玄「そっか…」パァ

咲「じゃあ次は鳴きについてです」

玄「な、鳴き?それはちょっと…」

咲「急所だけ鳴いて、手が崩れるドラを引いたらベタオリが基本です」

玄「う、うーん、抵抗はあるけど…確かにそうだね。
でも、そんなこと赤土さんは一言も教えてくれなかったよ…」

咲「阿知賀のレジェンドですか」シラベマシタヨ

玄「うん…」

咲「そのレベルの人なら、思いついてないってことはまず無いでしょうね」

玄「じゃあなんで…っ!」

咲「さあ、無理だと思ったんじゃないですか?」

玄「」ガーン

咲「あるいは、ドラを捨てる確率が少しでも高くなるようなことを教えたくなかったとか」

玄「え…?」

咲「玄さん、ドラに関しては何か戦略以上の思いがあるんじゃないですか?」

玄「!!」


~~~


6巡目

玄(そう…ドラは、おかーさんとの思い出の牌…
それを赤土さんは分かっててくれて、そのことを咲ちゃんは教えてくれた)

二二三(五)七②④(⑤)(⑤)⑥67白 ツモ(5)

玄(私、頑張るよっ!)

打 ②


小蒔「チー」

455四五六七八九白白  チー②・③④

打 4



玄(よし、いい感じ!)

二二三(五)七④(⑤)(⑤)⑥(5)67白 ツモ⑦

打 白


小蒔「ロン」

玄「うひゃっ」ビクッ

55四五六七八九白白  チー②・③④

小蒔「1000」

玄「はい…」チャラ


咲(好牌先打で最初は躱したけど、即座に役牌バックに構えて私の親を落としてきた…
ドラを集めるのはまだ気づいてないだろうけど、対応が段違いに早いな)


咲:25000
玄:24000(-1000)
小蒔:26000(+1000)
霞:25000

東2局0本場

小蒔「ロン。1000」

一二三①②③1399  ポン七・七七

玄「は…はい…」(早い…)

咲(玄さんの打ち方がもう完全に対応された…!)


咲:25000
玄:23000(-1000)
小蒔:27000(+1000)
霞:25000

東3局0本場

東:小蒔 南:霞 西:咲 北:玄

ドラ ⑤


小蒔「ツモ」

一一①①⑨⑨99中中南南白 ツモ白

小蒔「4000オール」


咲(うーん、3連続和了…まあマシな方か。
ドラありだったら既に30000点とか開きかねないからね。
やっぱり玄さん様様だな…)


咲:21000(-4000)
玄:19000(-4000)
小蒔:39000(+12000)
霞:21000(-4000)

東3局1本場

東:小蒔 南:霞 西:咲 北:玄

ドラ 西


咲 チャッ

三三五七八222246⑨⑨ ツモ5

咲「カン」


三三五七八456⑨⑨ ツモ⑨  暗槓■22■

咲「リーチ」




咲「もいっこカン」


咲「ツモ!嶺上開花」

三三七八456 ツモ九  暗槓■⑨⑨■ 暗槓■22■

立直・面前清自摸和・嶺上開花



表ドラ 西⑥7
裏ドラ 1北二


小蒔「…」

霞(ふんふむ…)


咲:29300(+8300)
玄:16900(-2100)
小蒔:34900(-4100)
霞:18900(-2100)

東4局0本場

東:霞 南:咲 西:玄 北:小蒔

ドラ ⑦


9巡目

玄「!」

3(5)5三四(五)③③④(⑤)(⑤)⑦⑦ ツモ⑦

玄(聴牌できた!タンヤオ一盃口ドラ7、16000の手…)ドキドキ

打 3


霞(あらあら…随分嬉しそうにして…)クス

②④五六七八34456発発 ツモ7

霞(私の手は今までドラが一つも来ていない。
そして小蒔ちゃんが3回、宮永さんが1回手を開いたけど、誰の手にもドラはなかった。
この松実さんが集めでもしているのかしらね)

打 3


咲 タン

小蒔「ポン」カシャッ

玄「う…」(ツモが飛ばされた…)


霞(小蒔ちゃんのポン…妨害かしら)

ツモ ④

霞(…ってことはこれが当たり牌のようね。
じゃあこれは使い切ることにしましょう)タン




―流局


玄「テンパイ」(和了れなかった…)パラッ

(5)5三四(五)③④(⑤)(⑤)⑦⑦⑦⑦


霞(ドラ8…やっぱり)ノーテン

咲(うーん、もうちょっと隠しておきたかったけど。無理か)ノーテン

小蒔「…」ノーテン


咲:28300(-1000)
玄:19900(+3000)
小蒔:33900(-1000)
霞:17900(-1000)

南1局1本場

東:咲 南:玄 西:小蒔 北:霞

ドラ 三


8巡目

霞 タン

咲「ポン」カシャッ

234③③④⑤⑥南南  ポン4・44

咲(次のツモは1索…4索を加槓して、南をツモ和了る…!)


小蒔「…」ピシッ タン

玄(神代さんはツモ切り…)

10巡目

咲(よしきた)

234③③④⑤⑥南南 ツモ1  ポン4・44

咲「カン!」


ド ド ド ド ド ド ド ドッ


咲「…え?」ゾッ


小蒔「ロン」ズドッ

七八九⑤⑤12356789

平和・一気通貫・槍槓


小蒔「8000」

咲「…!!」


咲:20300(-8000)
玄:19900
小蒔:41900(+8000)
霞:17900


玄「うわ…」(今の手、霞さんが前巡に神代さんの当たり牌を打ってたのに…)

霞 クスクス


咲(前々局、神代さんの親を蹴った時の槓…あれだけで見透かされたってことか。
しかし…こういうコスいことは私が先に仕掛けるもんだとばっかり思ってたよ。
油断してた訳じゃないけど、見積もりが甘かったか)



小蒔「…ふぁ」ピク

咲「!」

霞「あら」

玄「?」

小蒔「あ…ごめんなさい。私、少し寝てました」

咲「…寝てた?」

玄「え?目開いてましたよ?」


小蒔「私、疲れてるとたまに寝ちゃうんです。
でも失礼の無いよう、ここからは一生懸命に打たせていただきますっ!」パアアアア

霞(宮永さんに一閃を与えて、お勤め完了ってとこかしら…)


咲(…瘴気を感じなくなった。今の一瞬で雲散した…?
…つまりこれまでが『寝てた』ってことで、これからが『普通の状態』?)

咲(…ふーん)ニヤリ

玄(むむ、咲ちゃん。ここで何か仕掛ける気だね)

南2局0本場

東:玄 南:小蒔 西:霞 北:咲

ドラ 2


1巡目

玄(中張牌のドラだけど、ちょっと愚形が多い…)

三(五)五六2(5)7③(⑤)(⑤)⑦南発中

打 三


小蒔(頑張りますよっ)フンス

一二四④④⑥⑦33489南 ツモ②

打 南


霞(小蒔ちゃんが起きちゃった以上、私も少しは前に出ないと…)

一四五六七③⑥⑥⑧⑨西西南 ツモ三

打 南


咲(神代さんが『起きた』この局、決定打を決める。
つまり行くのは私じゃない)

三四八九④⑥1566東北白 ツモ中

打 北

6巡目

玄手牌

(五)六七22(5)7③(⑤)(⑤)⑦南中 ツモ4

打 7


小蒔(う~ん、これは要らないですね)

二二四②③④④⑤⑥⑦334 ツモ九

打 九


咲「ポン」

巴(…ポン?)

春(役牌バックとはいえ微妙な鳴き…)ポリポリ


咲手牌
二三四八④⑥566中中  ポン九・九・九

打 ④


巴(えっ)

初美(八萬でも5索でもないんですかー!?)

玄(…こ、これって鳴けってことだよね…)

(五)六七224(5)③(⑤)(⑤)⑦南中


玄(鳴くのは怖いけど…鳴かずに後で怒られるのも怖い!)

玄「チー!」

(五)六七224(5)(⑤)⑦南中  チー④・③(⑤)


玄(安全牌の南を残して…と)

打 中


咲「ポン」

二三四八⑥566中中  ポン中中・中 ポン九・九・九

打 ⑥


玄(! こっちも来た!)

玄「チーです!」

(五)六七224(5)南  チー⑥・(⑤)⑦ チー④・③(⑤)

打 南

玄捨て牌
三発白五87


小蒔(筒子を2つ鳴いて、捨て牌に筒子がない。
これはもしかしてホンイツかもしれません!筒子は捨てないようにしましょう)

二二四②③④④⑤⑥⑦334 ツモ④

小蒔(難しそうな牌姿になりましたが、私知ってます!
ドラ受けのある索子を両面固定して、タンピン三色狙いが一番広いです)フフン


初美(ああ…姫様ー!)

巴(それは通常の時だけです!!)

春(松実玄さんがドラを独占することを、寝てた姫様は知らない…!)


打 3




玄「それ、ロンです!」パラッ

(五)六七224(5)  チー⑥・(⑤)⑦ チー④・③(⑤)

玄「ドラ6で18000!」カッ

小蒔「わぁ」

咲(決まった!)


咲:20300
玄:37900(+18000)
小蒔:23900(-18000)
霞:17900

霞(やられたわ…)

三四五六七②③⑥⑦⑧西西発


初美「姫様がツモ切った九萬の次の牌は、④でしたからー…」

巴「宮永さんが姫様からポンしなければ、霞さんが三面張で聴牌してたってことだね」

春「足止めリーチには十分…」ポリポリ

初美「と言っても、今のアシストは手牌が透けてでもいないと成し得ない感じですよー」

巴「う、うーん…そういうことはあんまり考えたくないね…」

南2局1本場

東:玄 南:小蒔 西:霞 北:咲

ドラ 九


玄(やった!良い配牌!)

466(⑤)⑤⑥⑧二四六九九九西

玄(索子と萬子のカンチャンには赤ドラが入るから、早いうちに聴牌できる!
役はないけど、十分だよっ!)

打 6


霞(…不味いわ。松実さんはただのストッパーじゃなかったのね…
このまま彼女達に好きにさせてたら、今の小蒔ちゃんじゃ幾ら失点するか分からない)

四七八③④⑥⑦⑦499北南 ツモ五

霞(神様ローテーション的に次は最高位の女神を降ろしてこれると思うけど…
もう一度松実さんに和了られたら、流石に簡単には捲れないでしょう)

打 八

2巡目

玄(…引けるっ!)

46(⑤)⑤⑥⑧二四六九九九西 ツモ(五)


5巡目

玄(よしっ!)

46(⑤)⑤⑥⑧四(五)六九九九西 ツモ(⑤)



霞(…松実さんが速そう。
普段ならそろそろオリの準備に入るけど)

四五③③④⑥⑦⑦4599東 ツモ三

霞(今は、そんなことを言ってる場合じゃない…)

打 東


7巡目

玄(来た!三面張!④-⑦⑥筒待ち!)

46(⑤) (⑤)⑤⑥四(五)六九九九西 ツモ(5)

玄(高目の④なら出和了も出来る親倍満!
やっぱりおもちに囲まれてると調子が良いのです!
咲ちゃんはおもちで無いですけどね!)フフフ

打 西

霞(安牌の西を手出し…流石に聴牌かしら。
九萬がドラだから役なしの公算が高いけど、三色や平和の可能性は残る…)

三四五③③④⑥⑦⑦4599 ツモ⑧

霞 チラッ

小蒔 ミッツズツ…アワワ

霞(攻めるのは苦手分野なんだけど…小蒔ちゃんがあの調子じゃあね…)

打 ⑦


玄(むっ…そっちは和了れない方…)


咲(…石戸さん、今までなら降りてる局面なのに。
流石に任せっきりな訳ないか)


8巡目

霞手牌
三四五③③④⑥⑦⑧4599 ツモ3

打 ③


玄(うぅ~強い牌ばっかり切ってくるよ。
なんかヤな予感がする…)



10巡目

霞「あら、薄い方かしら?やってみるものね」


霞「ツモ」

三四五③④⑥⑦⑧34599 ツモ⑤

霞「1300・2600に1本ずつお願いしますね」


咲:18900(-1400)
玄:35200(-2700)
小蒔:22500(-1400)
霞:23400(+5500)

南3局0本場

東:小蒔 南:霞 西:咲 北:玄

ドラ 中


霞「ツモ」

三四五六六六七678発発発 ツモ二

霞「500・1000です」


玄「はい」(降りる気配が一切ない…)チャラ

咲(その四面張をダマ…お急ぎかな)チャラ

小蒔「は、はいっ」チャラ

霞(ふぅ。残すはあと1局…)



春「不気味…」ポリポリ

巴「あまりに宮永さんが大人しすぎるね…」

初美「邪魔も出来たはずなのに、霞に好きに和了らせてるっていうのも妙ですよー…」



咲:18400(-500)
玄:34700(-500)
小蒔:21500(-1000)
霞:25400(+2000)

南4局0本場

東:霞 南:咲 西:玄 北:小蒔

ドラ ①


5巡目

霞(ふむ、どうしましょうか。
流すだけっていうことなら私の連荘は必要ないけれど)

一二七八5799⑦⑧⑨東東 ツモ東

霞(この手なら行ってみても良いかしら…)

打 二


咲「チー」

一一一五七九九457⑧  チー二・三四

打 7



7巡目

霞手牌
一七八5799⑦⑧⑨東東東 ツモ5

打 一


咲「カン」

霞(あら、染め手…?)

咲手牌
五七九九九45 ツモ六  明槓一・一一一 チー二・三四

打 5

霞(…嶺上開花じゃない。ということは今のは、有効牌を引き入れるためのカン…!)

8巡目

咲手牌
五六七九九九4 ツモ九  明槓一・一一一 チー二・三四


9巡目

咲手牌
五六七九九九九 ツモ四  明槓一・一一一 チー二・三四

咲「カン」


咲「ツモ」

四五六七 ツモ四  暗槓■九九■ 明槓一・一一一 チー二・三四

清一色・嶺上開花

咲「3000・6000です」ゴッ


玄「!」(咲ちゃん!)パァ

小蒔「あぅ」

巴「うわ……」

霞(こ、これって…)


咲:30400(+12000)
玄:31700(-3000)
小蒔:18500(-3000)
霞:19400(-6000)

春「ワンツーフィニッシュ…」

初美「綺麗に決められましたよー…」

巴「上位2位を松実さん宮永さんに抑えられた…」


霞(今の清一色は防げた…
7巡目、副露があった時点でベタオリすれば良かったのね…)

霞「…でも華の女子高生、そんな枯れた麻雀はとても出来ないわ」オヨヨ

巴「確かに今のを躱せたら老練過ぎというか…捨て牌からは染め手な感じしなかったし」


初美(華の女子高生というにはみょーに熟れてますー。
命に関わるので口には出しませんけどー)


春(…とか考えてそう)ポリポリ

巴(なんとなく分かる)

霞「あらあらまあまあ」ゴゴゴゴゴゴ…

巴(多分霞さんも気づいてるな…)

春(以心伝心。良い意味で)ポリポリ



~前半戦終了~


霞(…なんておふざけしているけど、不味い事態に変わりはないわね。
小蒔ちゃんがもう一度『寝る』までにはもう少し時間がかかる。
…小蒔ちゃんにも足枷になっちゃうからいつもは止しとくのだけど、
今回はそうもいかなさそうね)


霞(やりましょうか…)フッ…



――霧島神境の姫に依る悪鬼災厄の共々を一身に引き受け給う生き天倪――


霞(顕現せよ―その不遜な御身を―――)フワッ



  ズ  ゴ  ッ!





霞 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


玄(!! な、何!?…この感じ…)

咲(石戸のお姉さん、雰囲気が急に別人…)

巴(遂にやりますか…)

春(悪神の類を身に宿した…)

初美(かなり強力な支配を発揮する神様ですねー。
これなら姫様に繋ぐまでに十分稼げますよー!)

後半戦
起家:神代小蒔
南:松実玄
西:石戸霞
北:宮永咲

東1局0本場

東:小蒔 南:玄 西:霞 北:咲

ドラ 6


小蒔(絶一門…霞ちゃんの影響ですね)

②②③④⑥⑨1338発発東西

打 西


玄(またまた良いドラ。神代さんが親だし、この局も積極的に…!)

③③④④⑦⑧(五)669南発中 ツモ(⑤)

打 ⑦


霞「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

一二二六六八九九東東東白南 ツモ白

打 南


咲(石戸さんが何かをやっているのは確実…でも何を仕掛けてきてるんだろう)

235①①①③⑤⑧⑨北北西 ツモ⑧

打 西

6巡目

咲(うーん。なんだか既視感がある局面…)

123①①①③⑤⑦⑧⑨北北 ツモ北

咲(…どこで見たんだっけ。この感じ…)




~回想~

宥「ツモ。清一対々三暗刻、4000・8000です」パラッ

三三三五五八八九九九 ツモ八  ポン四・四四


玄「うわわー、やられた!」

常連「やっぱり強いね、宥ちゃん」

咲「玄さんがドラを抑えててもこの破壊力ですからね」

宥「私寒がりだから…あったかい色の牌がいっぱいだと嬉しいんだぁ」ポワ~

咲「こっちに全然萬子流れてこなかったですよ。
おかげで私も清一になっちゃいました」ヘヘヘ

玄「…咲ちゃんこれ九蓮宝燈なんだけど…」

咲手牌
①①①②③⑤⑥⑦⑧⑧⑨⑨⑨



~~~

咲(ああ、うん。まあ似てるような似てないような牌姿ではあるかな…
宥姉が集めてて、萬子が1個も来てないのも同じだし…)

123①①①③⑦⑧⑨北北北

咲(…萬子を集める…?)



7巡目

玄(これはツモ切り…っと)

打 2


小蒔捨て牌
西東⑨中18



玄捨て牌
⑦⑧発9南④



霞捨て牌
南中九八西一


咲捨て牌
西57⑧9⑤


咲(…んー?私はともかく、神代さんと玄さんの捨て牌にも萬子がないな)

咲(それで対照的に、石戸さんの捨て牌には萬子がチラホラ…)


咲(…ははーん、これかな。とりあえず試してみようか)

同巡

霞(さて、あと1牌…
まあ今の私の場合はそこまで焦ることもないわね)

二二四六六七八九東東東白白 ツモ北

打 北


咲「ポン」

霞(! …ズラされた)

123①①①③⑦⑧⑨北  ポン北・北北

打 ③


巴「うわ…わざわざ空テン単騎って…」

春(気持ち悪い鳴き…)

初美(明らかにヤバ気な…
こ、これまさかもう気付かれてるとか無いですよねー!?)

次巡

咲(やっぱり。石戸さんのツモ筋は萬子…)

123①①①⑦⑧⑨北 ツモ二  ポン北・北北

咲「カン」

123①①①⑦⑧⑨二 ツモ①  加槓北・北北北

咲「もいっこカン」

123⑦⑧⑨二 ツモ四  暗槓■①①■ 加槓北・北北北

咲(偶然で済ますにはあまりに虫が良過ぎる話…)

打 二



霞「ポン!」

霞(これでツモ筋が元に戻った。
一瞬ヒヤッとしたけど、後はツモ和了るだけ…)

四六六七八九東東東白白  ポン二二・二

打 四


咲「ロン」

霞「えっ」


123⑦⑧⑨四  暗槓■①①■ 加槓北・北北北

咲「1翻70符 2300です」

霞(嘘でしょう!?
…まさか発動してから1局も回らず、たった8巡で破られるなんて…!!)


咲(…もし捨て牌が神代さんと石戸さんだけだったら、違和感はあっても気付けなかったと思う。
でも今回は玄さんが居た。玄さんの先打による異様な捨て牌のおかげで、早い段階で絶一門を看破出来たよ)



玄(2つもカンされて、私にツモが回ってきたらどうしようかと思った)ドキドキ

小蒔:25000
玄:25000
霞:22700(-2300)
咲:27300(+2300)



初美「流石に対応早過ぎですよー!」

巴「じ、尋常じゃない洞察と胆力…」

春「…幾重もの魑魅魍魎をもってしてもあしらわれた」ポリポリ

初美「どっちが化け物か分かりませんよー…」

東2局0本場

東:玄 南:霞 西:咲 北:小蒔


小蒔 タン

咲「ロン!12000」

小蒔「はい…」チャラ


初美(前半のオーラスからやりたい放題ですよー…)

巴(姫様…)




小蒔「…」ウトウト


小蒔:13000(-12000)
玄:25000
霞:22700
咲:39300(+12000)

東3局0本場

東:霞 南:咲 西:小蒔 北:玄

ドラ 8


咲(…む)


小蒔 スゥ

春(あ…)

初美(これは…!)

小蒔 スヤ…



小蒔「…」オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ



玄「!」(ま、また変な感じがするよ…!)

咲(…再覚醒かな)

霞(小蒔ちゃんが寝た…)

巴(遂に降臨した…最高神位…!)

11巡目

小蒔「ツモ」

一二三四四四七八九1355 ツモ2

小蒔「300・500」


玄「むぅ…」(当たり牌を止められてる…)

二二(五)六(⑤)(⑤)(5)67888


咲(…もしかすると、一番タチの悪いのが開花しちゃったかも)

11133456九九東東東


小蒔:14100(+1100)
玄:24700(-300)
霞:22200(-500)
咲:39000(-300)

東4局0本場

東:咲 南:小蒔 西:玄 北:霞

ドラ 八


10巡目

霞(残すはこの東ラスと南場のみ…何とか逆転して小蒔ちゃん)

打 中


咲(静かすぎる…なんか変な感じ…)

打 8


小蒔「チー」カシャッ



玄(萬子のドラに全然くっつかないよ…さっきからずっとこんな風だ)

(5)55③④(⑤)(⑤)⑥(五)八八八八 ツモ中

玄(神代さんはチーテンかな…
中はさっき切れてるし、もしこれで当たりなら鳴かないで面前聴牌を狙うよね…)

打 中


小蒔「ロン」


西西西白白白発発発中  チー8・67

小蒔「16000」


玄「うえぇぇぇぇ!!?」(何その手ーー!!?)

咲(…やっぱりこれ、私が最も危険視してた打ち筋が目覚めてる…)


小蒔:30100(+16000)
玄:8700(-16000)
霞:22200
咲:39000

南1局0本場

東:小蒔 南:玄 西:霞 北:咲

ドラ ①


小蒔「リーチ」


小蒔「ツモ。4000オール」

③④⑤⑥⑦⑧⑧⑧444南南 ツモ南

立直・一発・面前清自摸和・南


小蒔:42100(+12000)
玄:4700(-4000)
霞:18200(-4000)
咲:35000(-4000)

南1局1本場

東:小蒔 南:玄 西:霞 北:咲

ドラ 北


6巡目

咲(これ以上の和了は止めたいけど…どうかな。無意味な気もするけれど)


玄 タン

咲「カン」カシャッ



霞(私のツモが小蒔ちゃんに…)

次巡

小蒔「…」

二三三四四五④⑤⑥⑦⑦⑦⑧ ツモ8


咲(絶一門の影響で、神代さんは索子が使えない筈)

⑥⑦⑧五六六七七八8  明槓②②・②・②



小蒔手牌
二三三四四五④⑤⑥⑦⑦⑦⑧ ツモ8

打 ⑦

咲(やっぱり駄目か…)



9巡目

小蒔「ツモ」

二三三四四五④⑤⑥⑦⑦78 ツモ6

小蒔「1300は1400オール」


玄(うぅ、大事な点棒…いっぱい取られちゃってる…)


小蒔:46300(+4200)
玄:3300(-1400)
霞:16800(-1400)
咲:33600(-1400)

南1局2本場

東:小蒔 南:玄 西:霞 北:咲

ドラ 四


7巡目

小蒔捨て牌
南東74西五



咲(…なるべくニオイを消してあるみたいだけど。
私も同じような切り方をして来たから分かる。神代さんはチャンタ系…)

557888一二二九九北北 ツモ6

咲(積み棒が2本だから、2900の直撃でも残り3300点の玄さんは飛ぶ。
前半の私と神代さんの点差は11900点だから、このまま終了すれば私の負け…)


咲(仕方ない…まさか私が取引の場に出されるなんて)

打 九


小蒔「ロン」

11223399一二三七八

小蒔「12600」

咲「…はい」チャラ


霞(よし)

初美(流石姫様、やりましたよー!)

巴(これは決定打になり得る!)


小蒔:58900(+12600)
玄:3300
霞:16800
咲:21000(-12600)

玄(咲ちゃんが…こんな大きな振り込みなんて…)

玄「…」ハッ

玄 カチャッ

玄「……!」



四四四六六(⑤)(⑤)234(5)56 ツモ(五)

玄(…やっぱり私の次のツモは赤五萬…
それをツモったら切る牌は、六萬…)

小蒔手牌
11223399一二三七八

玄(平和一盃口の当たり牌…3500点で私は飛んでた。
それが分かってたから咲ちゃんは…!!)

南1局3本場

東:小蒔 南:玄 西:霞 北:咲

ドラ 5


小蒔「3本場」カチッ


玄(うぅ…さっき私が六萬を先打していれば、咲ちゃんが差し込むこともなかったのに…
神代さんの親を流せていたかもしれないのに…!)


4巡目

玄(情けないな…私、咲ちゃんに助けられてばっかりで…
本当は助けを求められているのに、足を引っ張ってばかりいる…)

(⑤)⑥⑥⑦二三四六八55東発 ツモ六

打 二



5巡目

小蒔(…?)

三四①③④⑤⑥⑦⑧⑨北北北 ツモ②

玄(うう…って、あ、あれ?)

(⑤)⑥⑥⑦三四六六八55東発 ツモ(五)

玄(前巡…なんで私、二萬なんか切ったんだろう。
全く疑問に思わなかった…赤ドラをすぐツモって来れる気はしてたけど…)

玄 …ムム?



初美「…なーんか厄介な気がしますよー」

巴「まさか…」ハッ

春 ポリポリ

初美「今のツモ…今までのと質が違いますー」

巴「…姫様の聴牌を躱したのも、偶然じゃない…?」



玄 タン ピクッ

玄(まただ…何なんだろう。次のツモも赤ドラな気がする)


9巡目

④(⑤)⑥⑥⑦三四(五)六六55東 ツモ(⑤)

玄(こ…これはもしかして、予知能力!?
っていっても、他のツモの時はそんなことないし…)

玄(それに、普通の表ドラの時は直前に予感なんてしなかった。
赤ドラとその他のドラ…何が違うのかな…)

~~~


「ロンです。タンヤオ三色赤3、18000」

「うぇ、スジ引っ掛け!?萬子染めじゃないんですかー!」

「こーら。振り込んでからとやかく言うのはナンセンス」

「ふふん。私が居ない時の赤ドラはおねーちゃんに任せてあるのです」

「何か玄が偉そ…」

「でも確かに、宥さんもよく赤ドラ持ってる気がするなぁ」

「赤ドラもあったかい色だから…」ポワーン

「そっかー。ってことは、赤5は姉妹の牌ってことか」

「へえ…なんかいいね。そういうの」

「打点も上がるし、ちょっと羨まし…」

「うん。これは玄ちゃんの牌で…」

「これは、おねーちゃんの牌でもあるんだ!」


~~~

玄(…次巡、赤5索をツモれる確信がある。
でも今回は確認のためにダマでいく。
絶一門の色だけど、私のドラ独占は破られない!)

打 東


咲(…差し込みは余計なお世話かな)



次巡

玄「ツモ!!」ドッ!

④(⑤)(⑤)⑥⑥⑦三四(五)六六55 ツモ(5)

玄「タンヤオツモオモ3赤4、
4000・8000の3本場は4300・8300!」


霞(和了られた…!
私の支配と小蒔ちゃん、2人掛かりの力に対抗できるだけのものがあるということなの!?)

咲「はい」クス

小蒔「…」チャラ



春「姫様のラス親が流された…」


小蒔:50600(-8300)
玄:20200(+16900)
霞:12500(-4300)
咲:16700(-4300)

南2局0本場

東:玄 南:霞 西:咲 北:小蒔

ドラ ⑧


玄「!」(配牌イーシャンテン…)

2246789(⑤)⑦⑧⑨東東北

玄(私にとって、本来これは良い配牌じゃない。
赤⑤筒のくっつきと、絶一門の赤五萬単騎まで回すとしたら大幅なロスがある)

玄(でも…今、私にこの配牌が来た意味…
…麻雀の神様から、試されてるってことかな)

打 2

2巡目

玄手牌
246789(⑤)⑦⑧⑨東東北 ツモ(5)

打 2



咲 タン

玄「ポン!」

初美(えっ!?)

巴(ドラの絡まない鳴き…!?)



玄(…本当は鳴くのは怖い。
約束と思い出の牌を、手放してしまいそうで)


玄(でも、そんなことは関係ない…)

玄(そこに居るのが分かる。いつでも、私を待ってくれている…)




だって、この牌は。おかーさんと、おねーちゃんの牌―――




玄(…咲ちゃん…)


~~~


「玄さんはもっとドラありきの打ち方を身に付けたほうが良いですね」

「そこで筒子を切れないのは温いです」

「二人は仲が良いですね」クスクス

「お願いします。玄さんが必要なんです」

「玄さん、ドラに関しては何か戦略以上の思いがあるんじゃないですか?」

「私も、お姉ちゃんと仲直りしたいなぁ…」

「玄さんも魅力的な打ち手に決まってますよ」


「玄さん」


―――――


~~~


玄「…ありがとう。嬉しかったんだ、私」




3巡目――

玄「ツモ!!」カッ

4(5)6789(⑤)⑦⑧⑨ ツモ(⑤)  ポン東・東・東

玄「東ドラ4、4000オール!」


霞(2連続和了…!!)

春(ドラが集まる前に和了り切った…)ポロ

巴(松実さんにしては軽い手だけど、マズイ流れに変わりはない…!!)



小蒔:46600(-4000)
玄:32200(+12000)
霞:8500(-4000)
咲:12700(-4000)

南2局1本場

東:玄 南:霞 西:咲 北:小蒔

ドラ ⑤


咲(さて…)フゥ

咲(玄さんが前に出てきたのは、相手方にとってかなりのプレッシャーな筈。
玄さんの力は前局、前々局に一人で和了り切ってることで見せつけられてる。
…尤も、本人は一人のつもりじゃ無さそうだけど)

咲(勝ち切るにはどうするか…
2対2、拮抗の図式ならば、相手を機能不全にしてしまえばいい。
自らに利する行動と思わせてその実、こちらにも利益が出るようにする)




8巡目

小蒔「…」カチャッ

①①①⑦⑨⑨⑨七八九九発発 ツモ九

小蒔「リーチ」

打 ⑦

霞(小蒔ちゃんがリーチ…
私が差し込みつつ飛べば一番良いんだけど、絶一門だからそれも難しいわね…
まあ字牌で待ってるならツモ切っていけばいずれ当たる…)

123456789北北西西


咲「それカンです」カシャッ

①②六六六中中白白発 ツモ・南  明槓⑦⑦⑦・⑦

打 南

新ドラ ④

咲 ゴッ


巴(大明槓してツモ切り…自分の手を進めることが目的じゃない)ゾクッ

初美(それなのに、今までで一番のプレッシャーですよー…)ゾゾゾ



小蒔「…」タン



玄(やった!カンのお陰で索子を引けたよ)

④④④(⑤)⑤⑤⑥⑥一四(五)五(5) ツモ6

玄(これから索子を引けるし、聴牌は近そう。
イーシャンテンだけど、ここは押しの一手!)

打 一


霞(…マズイ…宮永さんのカンで、松実さんは赤5索の面子を組み立ててくる…
それどころか、小蒔ちゃんのリーチに裏ドラを乗せず、松実さんにはカンドラが乗った)

霞(親の三倍満ツモ…そんなことが起きたら、この対局の勝利者は…松実玄!
与太やお伽の話じゃない、それが現実的なレベルで起こってしまうかもしれない…!)



霞「…!!」

123456789北北西西 ツモ西


春「」ポロポロ

巴(あ…和了牌…!?)

初美(う…ここで姫様のリーチを潰すのは悪手ですよー!)

霞(……なんてことなの。まさか和了牌が来るなんて…)

霞(普通の状況なら、ここで和了るなんてあり得ない。
あくまで小蒔ちゃんに任せるべき…)

霞(…でも今は違う。松実さんによって私が飛ばされたら、私たちの敗北…
次のツモ番の宮永さんの動向も分からない…何事もなければ小蒔ちゃんのツモ番に行けるけど…)

霞(でもそれで和了れなければ、松実さんのツモになって…私のツモがまた来て…
絶一門のツモはもう私に無いから、和了るなら今しかなくて…)

霞(そもそも小蒔ちゃんのツモ筋は宮永さんが喰い取っているし、それがどう利用するのか…
私が飛んだら小蒔ちゃんが…狂気のクロチャーが…岩戸に引きこもり…)


霞(う、ううううううううう~…)ムイーン




霞「…つ、ツモ…」

123456789北北西西 ツモ西

面前清自摸和・混一色・一気通貫

霞「3100・6100です…」



初美「むむー…」

春「でも…これは責めにくい…」

巴「ま、まあまだ姫様がトップだし。
追走してきてた松実さんの親を落とせたし、悪手も悪手って訳じゃないよ」

初美「確かにですねー…今の姫様なら振り切るくらいは容易でしょうしー」


小蒔:42500(-4100)
玄:26100(-6100)
霞:21800(+13300)
咲:9600(-3100)

南3局0本場

東:霞 南:咲 西:小蒔 北:玄

ドラ 六


5巡目

咲「カン」

①①①①⑥1789南 ツモ1  暗槓■発発■

咲「もいっこ…カン!」

⑥11789南 ツモ南  暗槓■①①■ 暗槓■発発■

打 ⑥

霞(連槓…!!)




ドラ 六2白


玄(な…なななな、何してんの咲ちゃぁーん!!)

(五)六六六(⑤)(⑤)⑧⑧22白白白 ツモ2

巴(ドラ12て…)

初美(まだまだ来ますよー)

玄(こ、これしか切る牌がない…)

打 ⑧


小蒔「ロン。5200」

②③③④④⑤⑤⑥⑥⑦⑦南南

玄「」



小蒔(…?)

小蒔:47700(+5200)
玄:20900(-5200)
霞:21800
咲:9600



初美「しかし変な手順でしたねー」

巴「安目だけど、結局姫様の和了になっちゃったしね」

春「当たり牌を押し出しただけ…」ポリポリ

初美「さて、次がオーラスですよー」

南4局0本場

東:咲 南:小蒔 西:玄 北:霞

ドラ 一


3巡目

咲 タン クルッ

咲「リーチ」

東八【五】


春(え…)

霞(親リー…!)

玄(3巡目―…!!)

初美(むむ、やはりそう簡単には流させてくれないですよー)


小蒔「…」ピシッ

打 六


玄(神代さん、一発目に無筋を切ってきた…)

一一四(五)六379(⑤)東東南白 ツモ三

玄(差し込もうとして神代さんに当たったりなんかしたら目も当てられない…
私は大人しくしておいた方が良いよね…)

打 六


小蒔「ポン」

玄(えっ…!?)

霞(今捨てた牌と同じ牌を鳴き返した…)

玄(わざわざそんなことをするなんて…
も…もしかして私、失敗したんじゃ…)タン


霞(ってことは…)カチャ

①③③④⑤⑥⑥⑦⑧⑧⑨発中 ツモ8

霞(これは切れないわよね…)

打 ③



咲 ゴッ

咲「ツモ!」

四四33445566778 ツモ2

咲「2600オール」


玄「!」


霞(姫様のポンが無ければ一発と二盃口が着いて親倍…
逆転されてるところだった…!)


初美「ま、まさか一撃で終わるところだったなんてー…」

春「危ないところ…」ポリポリ

巴「さっきの姫様の和了り方と似てるね」

春「でも今回は姫様のファインプレー…
前局は宮永さんのミスじゃ…」

初美「…!? まさか…」

巴「あ…さっきのも、も、もしかして…!!」



玄(咲ちゃんがいきなり大きな手を和了るってことは、今まで無かった。
何か思惑通りに行ってる局面、観察が済んだ後に勝負手をいつも引いてきた…
安目を引かされたけどこの牌姿、何かがうまくいってる時のパターンなのかな…)



小蒔:45100(-2600)
玄:18300(-2600)
霞:19200(-2600)
咲:17400(+7800)

南4局1本場

東:咲 南:小蒔 西:玄 北:霞

ドラ 9


1巡目

咲「…」

①⑤⑤⑧⑨⑨一四七七八東東白

打 一


小蒔「…」

③④⑨一三四五九九九南白発 ツモ七

打 ⑨

5巡目

咲(んー…場違いな安い手だな…)

①③⑤⑤⑨⑨⑨七七八東東東 ツモ六

咲(神代さんがこの状態のままなら、妥協するしかないけどね…)

打 七



小蒔「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

一一一二三四五七九九九南③ ツモ六

打 ③



玄(出しゃばらず、神代さんの安牌だけを切っていく…)

二三(五)五④⑥(5)999南発中 ツモ(⑤)

打 発



霞(宮永さんは小蒔ちゃんばっかり注意してるみたいだけど。
今まであしらってくれた分、私自らの手で清算しても良いんだから…!)

1113346668中中北 ツモ8

打北

6巡目

小蒔「…」ゴッ


小蒔「…!」

一一一二三四五六七九九九南 ツモ三

小蒔「…」

小蒔「」


小蒔 フッ


小蒔「あ、あら…?す、すみません。また少し…」

霞(え…!?)

春(姫様…!)

巴(こ、このタイミングで)

初美(まさかのお目覚めですかー!?)


小蒔「わ、綺麗な手が…あ、いや、なんでもありません!
き、切りますねっ!」

打 南


巴(…高目で九蓮宝燈の四面張。だけど…)

初美(…最高位でここまで手を作っておきながら、確定九蓮じゃないのは違和感ですよー)



玄(こ、この感じは…!咲ちゃん!)チラッ

咲「…」


7巡目

小蒔「うっ」(②-⑤筒待ちなら和了ってました…)

一一一二三三四五六七九九九 ツモ②

巴(掴まされましたか…)

初美(仕方ありませんねー…)

打 ②



咲 スルー


春(えっ)ポロロロ

初美(直撃をスルーですかー!?)

巴(…ということは、決めに来るつもり…!!)


8巡目

咲(…自分のことくらい信頼出来ないようじゃ、勝ち切るなんて無理ってこと)

①③⑤⑤⑨⑨⑨六七八東東東 ツモ東

咲「カン」

暗槓■東東■


初美(ま…まさか…そんなー…)

霞「……!!!!」



咲(勿論、味方の事もね)



咲「ツモ。嶺上開花」ゴッ

①③⑤⑤⑨⑨⑨六七八 ツモ②  暗槓■東東■

咲「3翻70符。
テンパネで親満の1本場は4100オール!」オ オ オ オ オ オ オ


巴(こ、これって…つまり…!!)



小蒔:41000(-4100)
玄:14200(-4100)
霞:15100(-4100)
咲:29700(+12300)


前半戦終了時
小蒔:18500
玄:31700
霞:19400
咲:30400



咲「和了り止めします」

巴(逆転……!!)


―――終局―――



小蒔「」ボワアアアアアア ア ア ア ア ア ア …


霞(魔性が…)

春(晴れていく…!)


小蒔「対局ありがとうございました」ペコリ


初美「わー!姫様の中に眠ってた神様が消えましたよー!!」

巴「良かった…一度出てしまえば、神様も依代としての魔性に狂わされることもなくなる…」


春「…でも、2回とも2着で勝たれるなんて意外だった…」ポリポリ

巴「ああ、確かに…どっちも5000点分くらいしかプラスじゃないしね…」

初美「天照大神戦は単純な総得点勝負なのでウマオカはありませんけどー、
25000点持ち30000点返しの場合でしたら、宮永さんは2連続プラマイゼロってことになりますねー」

霞「…あら」

春「…600点差での決着…」

巴「リー棒1本分の差だね…」

霞「…」ズーン

初美「ま、まあ霞も大変な局面でしたしー。
正気であれば姫様を信じきれないなんてことは無かった筈ですよー」

巴「やはり侮るなかれ…か」

玄「咲ちゃーん!」ダキッ

咲「わ」ヨロッ

玄「勝てたね!おめでとう!凄かったよ咲ちゃん!」

咲「ありがとうございます。玄さんのおかげですよ」

玄「ううん、そんなことないよ。咲ちゃんが強かったから勝ったんだよ。
私なんか、失敗してばっかりで…」

咲「…まあ確かに玄さんは一人じゃ何も出来ないかもしれませんね」

玄「う」ガン

咲「けれど玄さんの強さの本質は、誰かを支えるってところです。
ドラ爆の為に見えにくくなってますけどね」

玄「…えへへへ」

咲「?」

玄「やっぱり咲ちゃんに褒められるの、嬉しい」

咲「…玄さんの方が年上なのに。おかしな先輩ですね」クスクス

玄「ふふふ、ごめんね?」

霞「あの…申し訳ありませんでした」

初美「今までの無礼な振る舞い、どうかお許しくださいですよー」ペコリ

巴「わざわざ鹿児島まで出向いて下さってありがとうございました」

小蒔「わ、私がご迷惑を掛けたようで…
そして私の魔性を祓ってくださり、ありがとうござ…!?」



咲「」―――――――――――――――



春「!?」

霞(こ、これ―――!!)ゾゾゾゾ


咲「? どうしました」

小蒔「あ、いえ。是非お礼を申し上げたくて…」

咲「ああ、別に構わないですよ。
私も自分の為に麻雀をしているだけですし…」


初美(い、今、姫様以上の瘴気を感じましたよー)



巴「…交通費はこちらで負担します。
本日はどうもありがとうございました。門前までお送りしますよ」

咲「ありがとうございます!
また今度は普通に遊びに来ますね」

小蒔「はい!お待ちしております」

霞「…お帰りになったのかしら」

巴「はい。お見送りしてきましたよ」

初美「…宮永さんの魔性は祓わなくても良かったんですかー?」

春「…」フルフル

巴「あれは長らく体に留めておいて良いものではないけど…
今の私たちじゃ、到底祓い切れない程の容量です」

小蒔「…もとは私のものです。
それなのに、宮永さんに全て背負わせてしまうなんて…」

霞「…これからどうなるかは分からないけど、責任を取る用意はしておいた方が良いわね」

巴「はい。来るべき時に備えて、私たちも修行を積んでおかねばなりません」

春「…期日は近い…」

―そして松実館。

咲「お世話になりました」ペッコリン

宥「また麻雀しようね」

咲「はい。是非」


玄「…」


宥「…玄ちゃん?」

咲「どうかしました?」

玄「…なんだか咲ちゃんが、どこか遠いところに行っちゃう気がして…」

咲「…まあ一度長野には帰りますが」

玄「ううん…違うの…二度と会えないところまで行っちゃいそうな…
何か、そんな気がするんだ…」

咲「…」

玄「…また会えるよね、私たち!?
ちゃんと帰ってくるよね!!?」

咲「…さあ。分かりませんけど」

玄「うう…」

咲「でも今の私がどこか違うもののような感覚に自覚はあります。
こんなものに縛られたくはありません。必ず戻ってくるつもりですよ」

玄「咲ちゃんっ…」ギュッ

咲「…まったく、困った先輩ですね」ナデナデ




宥「…行っちゃったね」

玄「…」グス

宥「…玄ちゃん。麻雀は楽しかった?」

玄「…うん…」

宥「咲ちゃんは強かった?」

玄「うん。とっても…」

宥「なら大丈夫だよ。
玄ちゃんが信頼した相手だもん。必ずまた会えるよ」ポンポン

玄「うう…おねーちゃ…」グスッ



―その頃、長野―


プルルルルル ガチャッ

藤田「はぁ…もしもし。久か」

藤田「いや、そりゃ浮かない声も出るだろうよ。
大体この手の電話は面倒事と相場が決まってる。特にお前だとな」

藤田「あー分かったよ。すまないすまない。
で、用件はなんなの?」


藤田「…天照大神を倒すことの影響?」



カン!

話が自分でも思わぬところへ転がって行ってしまってる感じがするんですが、収集付けられるんでしょうか

姫様は第六感と豪運的な打ち手ということで、そのまま戦わせてもあまりにメリハリが無いのでギミックとしてのクロチャー霞さん参戦でした。
玄ちゃんについてちょっとご都合的な能力を開花させてしまいまして、お嫌いな方がいましたら申し訳ありません。


支配という1点においては玄ちゃんが作中最強じゃないかと思います。枚数的には10枚前後しか効果がありませんけど…


以上で終了です。お付き合いいただき、ありがとうございました

おつおつ
後は淡と照か

感想レスありがとうございます。非常に嬉しいです。


>>106
淡と照は地理的にも1つのスレで展開する構想が今のところあります。

照のギギギの詳細が出てから書きたくはありますが…
結構気長に待たなくてはなりそうなので、何か代用案を採用する形で執筆始めそうです。
淡の支配が一辺倒過ぎてただの噛ませ犬化してるので、何かしらのテコ入れもありそうですし…

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