黒井「ウィ」律子「ていっ!」 (51)
都内某所
黒井「ふむ、暖かくなってきて風が心地いいな」
黒井「家も早めに出たし、セレブにテラスでコーヒーでも飲むとしよう」
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黒井「おや?そこにいるのは忌々しい765プロの二流プロデューサーではないか」
律子「黒井社長!?」
黒井「ウィ。ここで何をしている?」
律子「出社前にモーニングでもと思ったんですよ」
黒井「ほう」
黒井「ここのモーニングは絶品だぞ」
律子「本当ですね」
律子「あ!あと、この間は差し入れありがとうございました」
黒井「ノンノン!食事も満足に取れない三流に勝っても嬉しくないだけだ!」
律子「あれ以来、なんとか食事を取るようにしてますよ」
黒井「うむ、しかも貴様もまだ若いからな。しっかり取りたまえ」
黒井「ところで貴様が今読んでいたのはトワイライトではないか?」
律子「ご存じなんですか?」
黒井「ウィ。セレブの嗜みだ」
律子「一応恋愛小説なんですが…」
律子「あっ!何かほかにお勧めの本はありますか?」
黒井「うーむ、そうだな」
黒井(ここで教えて三流事務所への妨害工作に役立てるのも悪くないな)
黒井「"魔女の目覚め"は中々面白かった記憶があるな」
律子「そうなんですか!今度探してみます!」
黒井「私はもう読み終わったからな。今度貴様にやろう」
律子「え?そんな悪いですよ!」
黒井「セレブには造作もない事だ」
黒井「む?そろそろ時間だ。失礼するよ」
律子「あっ!私もそろそろ行かないと!」
黒井「アデュー!」
律子「店員さん。お会計をお願いします」
店員「先程もう頂戴しておりますが」
律子「え?」
───
──
─
都内某所
律子「うーん、やっぱり一人で入るのは気が引けるわね…」
黒井「店の前で何をしている?秋月律子」
律子「黒井社長!あ!この間はご馳走様でした!」
黒井「ウィ。気にするな」
律子「社長にここのディナー券を貰ったんですけど」
律子「こういうお洒落なお店だから女一人で入るのもどうかと思いまして…」
黒井「他のアイドルを誘えばよかったではないか」
律子「みんな上手い事タイミングが合わなくて…」
黒井「三流プロデューサーもかね?」
律子「はい」
黒井「だからアイツは三流なのだよ」
律子「え?」
黒井「いや、私も丁度この店に入る予定だったんだが一緒にどうかね?」
律子「いいんですか?」
黒井「ウィ」
店内
律子「少し緊張しますね」
黒井「ブラッスリーだから緊張する必要もないぞ」
律子「そうなんですか?」
黒井「食事のできるカフェみたいなものだからな」
黒井「ドレスコードなども特にない大衆食堂と一緒だ」
律子「なるほど」
律子「てっきりドラマとかで見る店なのかと」
黒井「まぁ、そういう店に行くときの練習と思えばいい」
黒井「今後そういう付き合いも必要になってくるだろう」
律子「そうですね!」
黒井「とはいえ味は負けてないから楽しみにするがいい!」
律子「はい!」
黒井「そういえばテーブルマナーとかはわかるのかね?」
律子「親戚の結婚式くらいでしか…」
黒井「まぁ、そういうのは伊織ちゃんに聞くのが一番良いかもな」
律子「伊織ですか?」
黒井「ウィ。前にフランスで食事する機会があってな」
律子「フランスですか!?」
黒井「若いがしっかりした作法だったぞ」
黒井「まぁ、今日は気軽にアラカルトにするとしよう」
黒井「好きなものを頼むがよい」
律子「うーん、迷いますねぇ…」
黒井「こういう店はギャルソンにお勧めを聞くのもいいだろう」
律子「なるほど」
黒井「アラカルトといってもコースの様に前菜、主菜、デザートと分けるのもいいぞ」
律子「勉強になりますね」
黒井「私はとりあえずオニオングラタンスープを貰おう」
律子「それじゃあ私も!」
律子「あとはニース風サラダと鱈のヴァプールと……」
───
─
律子「ごちそうさまでした!」
黒井「ウィ。い、意外と食べるのだな…」
律子「そうですか?貴音ほどじゃないと思いますけど」
黒井「貴音ちゃんは参考にならんよ…」
黒井「ではこれで失礼するよ」
律子「はい!」
黒井「タクシーを呼んであるので乗って行きたまえ」
律子「え?悪いですよ!」
黒井「まだ未成年であろう。遠慮するんではない」
律子「それではお言葉に甘えて…ありがとうございます」
黒井「ウィ。ではさらばだ」
───
──
─
都内某所 ○Kストア
黒井「この時期はやはり鮎魚女が美味そうだな」
黒井「あとは……おや?」
律子「あ!黒井社長!」
黒井「律子ちゃんではないか!奇遇だな!」
黒井「どうしたのだね?」
律子「それが母が風邪をひいちゃって」
黒井「それはいかんな!」
律子「一応替わりに晩御飯をと思ったんですけど」
黒井「ふむ」
律子「あまり料理が得意ではないので…」
黒井「なるほどな」
律子「一応レシピとか見れば作ることは出来るんですけどね」
黒井「そうだ!これを持っていきなさい」
律子「なんですか?」
黒井「レシピだよ。確か中華粥も載っていたからな!お母さんに作ってあげるといいだろう!」
律子「あ!中華は割と得意なんですよ!」
黒井「ではお大事にと伝えといてくれたまえ」
律子「何から何まですみません!」
黒井「ウィ。ではまた逢おう!アデュー!」
律子「お気をつけて!」
─────
───
─
765プロ
P「おはようございます!!」
???「おはようございます!プロデューサーさん!」
小鳥「コーヒーいかがですか?」
P「来て早々すみません!頂きます!」
小鳥「ふふっ、気にしないで下さい」
P「よし!今日も頑張るぞ!」
律子「おはようございます!」
P「おはよう律子!」
小鳥「おはようございます!コーヒー飲みますか?」
律子「じゃあ頂きます!」
小鳥「ちょっと待ってて下さいね~」
コンコン
黒井「失礼するよ」
P「く、黒井社長!」
黒井「相変わらずのろまそうな顔をしているねぇ! 三 流 プロデューサーくん」
P「そこまで強調しなくても…」
律子「今日はどうなさったんですか?」
黒井「おお!律子ちゃん!この間言っていた本を持ってきたよ」
律子「例の本ですね!」
黒井「遅くなってすまなかったね」
律子「いえいえ!ありがとうございます!」
小鳥「あら?黒井社長?」
黒井「おお、音無君か!」
小鳥「あっ!コーヒーでもいかがですか?」
黒井「せっかくだがこの後TV局への観光があってね」
黒井「む!丁度良かった!これを取っておきたまえ!」
小鳥「ありがとうございます!チョコレート…って」
小鳥「ジャン=ポール・エヴァンじゃないですか!ありがとうございます!」
黒井「ウィ」
黒井「ではこれで失礼するよ」
黒井「あぁ、チョコは高木には食わせるなよ?」
黒井「あと律子ちゃん、今度の単独ライブ楽しみにしているよ」
律子「なぜそれを!?」
黒井「そこの三流もこの一流のチョコを食べて律子ちゃんの様になりたまえ!」
黒井「アデュー!」
P「」
小鳥「お気をつけて~!」
律子「ありがとうございました!」
P「さて仕事しよう…なんだこれ!美味い!」
おわり
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