ネリー「おや?もうこんな時間……内職の刺身の上に乗せるタンポポの作成もこの辺で切り上げて、夜は電気代がもったいないからさっさと寝よーと」
ぱちん……
ネリー「ふぅ……おやす――」
♪~
『どこでも静かに消えれば♪~存在未満の幻~♫』
ネリー「うぎゃ!?うるさいよ!」
『想いをぶつけるゥ~♪フゥゥゥゥ↑』
ネリー「この声はダヴァン……ちょっと!静かにしてよ!!」ドンドン!!
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ダヴァン「オゥーソーリー、気付きませんデシタ」
ネリー「何歌ってんのさ!?」
ダヴァン「ご存知ないのデスカ?この歌は、長野予選決勝副将戦からチャンスを掴み、一躍咲界人気トップ(※ダヴァン調べ)の座に駆け上がった超ステルスシンデレラ、東横桃子ちゃんのデビュー曲『ステルスモモモード』デスヨ!」
ネリー「そんなこと聞いてないよ!?」
ダヴァン「ナンデスッテ!?あの長野一イヤ、銀河一可愛いモモちゃんを知らないなんて……」がーん!
ネリー「『私の年収低過ぎィ』みたいな顔しないでよ!鶴賀の副将くらい知ってるよ、ただアイドルみたいなことをやってるだなんて、それもダヴァンがそんなに東横にご熱心なのか判んないんだよ!」
ダヴァン「フフ……よくぞ聞いてくれました。実はデスネ、ナントこの私、この前の長野ローカルの試合を見た時に一目惚れしたのデス。気になって調べてみればどうやら長野のローカルアイドルとしてデビューしているではありませんか、早速あまぞーんでCDを取り寄せたんデスヨ」
ネリー「はぁ……別にそんなことどうでもいいけど、うるさいから静かにしてよ……ネリー寝られないよ」
ダヴァン「オゥ……ソーリー……それは大変失礼ヲバ。それではお詫びに……」がさこそ……
ネリー「何かくれるの?」キラーン!
ダヴァン「この『モモちゃんボイスCD~せんぱい、おやすみっす編~』をプレゼントシマス。限定版で滅多に手に入らない代物なんデスヨ?」
ネリー「いらないよ!」ずこー
ダヴァン「あ、ご心配なく。チャント保存用、実用品、布教用、音MAD制作用と取っておいてマスノデ」
ネリー「そんなこと言ってないよ!兎に角、これからは静かにしてよ!」
ダヴァン「わかりましたよ。それではオヤスミナサイ」
ネリー「はぁ…本当に判ったの?おやすみ…」
ばたん!
ネリー「ふぅ…やっと寝られるよ」
ネリー「すぅすぅ……」Zzz…
『私はすべてを見渡す~音もj声も届かない~♪LALAAAAー♫』
ネリー「ぎゃ!?うるさいよ!!」ドンドン!
明華「LALA~♪折角人が気持よく歌っているのに」
ネリー「今何時だと思ってるのさ!」うがー!
ダヴァン「オヤ?何やらモモちゃんの歌が聞こえると思えば、明華デシタカ」
明華「はい。メグが歌ってるのを聞いて、私も歌いたくなりました。良い歌ですね~LALA~♪」
ダヴァン「嬉しい事言ってくれるじゃないの。モモちゃんの歌の良さが判ってもらえて何よりデス」
明華「たぶん何もいらなかった~でも~今はがんばるっす~♪」
ダヴァン「ただついてくだけじゃなくて~想いをぶつける~♫」
明華・ダヴァン「マジに消えます~ステルスモモで空気よりも軽い~♪」
ネリー「お前らを消してやろうか!」うがー!!
こうして、ネリーの受難の日々は続いたのであった……
智葉「なるほど、メグがアイドルなんかにうつつを抜かすとは……」
ネリー「毎日毎日うるさくて仕方が無いよ。なんとかしてよサトハ」
智葉「うむ。隣住民への迷惑行為、管理人としては見過ごせないな」
ネリー「でしょーサトハお願い」
智葉「ふむ。しかし、ものには何でも道理というものがあってだな……」
ネリー「はいはい、渡せばいいんでしょ、渡せば……」
ネリー「これ、有珠山の副将が試合後の廊下で同じチームの大将から頭を撫でて貰ってうっとりしている場面の写真だよ」
智葉「ふーむ…これは、なるほどなるほど……」gff…
智葉「よし、管理人として、メグにはガツンと言ってやらねばな」
ネリー「頼んだよ?あとニヤけてると折角の威厳が台無しだよ?」
智葉「ふふん、任せろ。辻垣内の名をかけて、ネリーの悩みを解決してやろう」
ダヴァン「私の能力無駄かも~どうせ奇跡……」
コンコン!
がちゃ
智葉「メグは居るか?」
ダヴァン「オヤ、サトハどうしましたか?」
智葉「今日はお前の歌で迷惑を受けてるとネリーから言われてな」
ネリー「そうだよ!うるさいよ!」
ダヴァン「オゥ、それはそれは……」
がらがら……
ハオ「皆さんお揃いで」
ネリー「ハオ、良いところに来たよ。ハオはダヴァンの部屋のすぐ真下にあるからダヴァンの迷惑さは知ってるでしょ?」
ハオ「え?私は別に何も迷惑は……」
ネリー「なんで?ダヴァンの真上の部屋なのに?」
智葉「実はな、隣室同士の壁は薄いが、一階と二階を隔てる天井は厚いんだ。だから、騒音は二階のハオの部屋まで届かない」
ネリー「え?そうだったの?」
智葉「何なら、ネリーの部屋も二階に移してやろうか?」
ネリー「そ、それなら……」
智葉「ただ、二階に移ることで月々の家賃は千円程高くなるがな……」
ネリー「遠慮しときます」
ハオ「たった千円で諦めるんだ!?」
智葉「それにしても一体、何でまた明華でもないのにそんなに毎日毎日歌い続けるんだ?」
ダヴァン「それは……」
ハオ「ネリーの話が本当なら、見逃せませんね」
ネリー「そうだよ!」ぷんすこ=3
ダヴァン「実は、近々東横桃子のファン同士の集まりがありまして」
智葉「アイドルのファン懇談会か……」
ダヴァン「その日にはナント、モモちゃん自身がゲスト参戦してくれることになったんデスヨ」
ネリー「ドルオタの事情なんて、どうでもいいよ……」
ダヴァン「そこで、ワタシはどうしてもモモちゃんに歌と踊りを披露して喜んで貰いたいのデス」
智葉「モモちゃんへのサプライズプレゼントにか……」
ダヴァン「モモちゃんはワタシの癒し、ワタシの太陽、そんなモモちゃんがわざわざ長野からこっちの東京まで遊びに来てくださるのデス。何としても歌と踊りを成功させたいのデス!」
ネリー「知らないよ!そんなら何処か違うところで練習すればいいでしょ!?毎日毎日歌って暴れて、しかも明華までつられて歌うからうるさくて仕方ないよ!」
ダヴァン「そうデスネ……ご迷惑をかけました、ワタシは暫くは歌を歌っても迷惑にならない処へ引っ越しマス……」
智葉「その意気や良し!」
ハオ「感動しました!」
ネリー「は?」
智葉「メグ。私はお前がそんなに真剣だとは知らなかったぞ。お前がそうまで言うなら、特別にここで歌や踊りの練習をすることを許可しよう!」
ダヴァン「本当デスカ!?」ぱぁ…
ネリー「ちょ、ちょっと!?何言ってんのさ!!ネリーの悩みを解決してくれるんじゃなかったの?」
智葉「私は何時でも真剣な方の味方だ!」どん!
ネリー「ネリーの味方してよ!?」がーん!?
智葉「しかしなぁ、メグのこんな真剣な意気込みを見れば、誰だって応援してあげたくなるだろ?」
ネリー「ネリーだって割と真剣だよ!毎日毎日眠れないんだよ!!」うがー!
智葉「それで、その集まりは何時あるんだ?」
ダヴァン「今度の日曜日に東横線駅前の喫茶店でアリマス」
智葉「そうか、頑張れよメグ。応援しているからな、もし誰かが文句を言って来たなら私が全力でお前の味方をしてやるからな」
ハオ「私も味方ですよ?」
ダヴァン「サトハ……ハオ……」じんっ…
ネリー「今日は月曜日だから……うわぁ、一週間まるまる……」
ダヴァン「サンキューサトハ、ハオ」
智葉「いいってことよ」ビシッ!
ネリーの苦悩の日々は、益々続く……
そして、当日の朝
ダヴァン「あわわ……き、き、緊張しマス」
智葉「大丈夫だ!ビシッと決めてこい!」
ハオ「スマイルですよ。メグ」
ダヴァン「スマイル……」
明華「そうです。『わらってよりとも』の精神です」
智葉「そうだ!わらってよりともだ!」
ダヴァン「わらってよりとも……そうデスネ!ワハハハ!」
ハオ(ここはだじゃれの国……)
ネリー「ふぁ~あ……何でもいいよ、これで今日からぐっすり眠れる……」Zzz……
明華「ところでその集まり、私たちが着いて行ってもいいですかね?」
ダヴァン「ロンオブ餅!当日参加大歓迎デース」
智葉「そこまでメグが熱中する東横という人物も気になるからな。私も参加しよう」
ハオ「喫茶店でやるのなら、食事ついでにもなりますからね」
ネリー「ネリーは家で寝てるよ……」
智葉「よし、全員参加みたいだな!」
ネリー「えぇー!?ネリーは家でお留守番……」
ダヴァン「それではレツゴー五匹デース!!」
そんなこんなで喫茶店へ……
久「皆さん、今日は東横桃子ファンの会『みーんな幸せにするっす』にお集り戴き誠にありがとうございます」
智葉「違う漫画の台詞がまじってるな……」
ハオ「『てひひ』とは笑わない」
久「三年の夏、部活動での大切な仲間との出会いや清澄全国進出、合宿での他校三年生との交流、と色々あったけど、私にとって最大最高の出来事は何と云ってもモモちゃんに出会えたことだわ……」
透華「東横桃子こそ私のライバルにふさわしい方ですわ!」
純代「ウッスウッス!東横さんの笑顔を思い浮かべれば、風越部屋での辛い練習も乗り越えられるッス!」
泉「東横桃子に逢うまで、身の程知らずにも私が一年で最も可愛い美少女だと勘違いしてました……。誠、東横桃子さんと私とでは月とスッポン、いや、石屑とガメラです……」
照「モモちゃん可愛い、おもちもでっかいし名前も美味しそうだし、ぜひとも妹にしたい。いや、義妹にしてゆくゆくは……」
豊音「モモちゃんちょー可愛いよーサイン貰いたいよー」
玄「あのおもちいいよね~形といい大きさといい最高だよ~」ぽわわ~ん
久・透華・純代・泉・豊音・玄・ダヴァン「「モモちゃんの可愛さを絶対許すな~♪」」
ネリー「何でハモるの!?」
今日はここまで
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