灼「あらったそX?」 (43)



「ごめんよ灼ぁ…。ゴホッ、ゴホッ…」

「時間が…時間が足りなかったんだよ…」

「でも…私は…あなたに…生きて欲しい」

「願わくば、あなたが目覚める時代が…平和な時代であることを…」

「…さようなら、さようなら…灼」

「私の……もう一人の………」

「最後に…あなたに…一度でいいから……………………………………と…」



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健夜「聞こえるかしら?灼」

灼「……はい、健夜隊長」

健夜「目標が有効射程に入り次第、すぐに叩きなさい」

晴絵「………」

灼「…了解」

健夜「各小隊、規定の位置にて待機!」


ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥッ


灼「………うぁあああああああああ!」ドウッ


メカニロイド「……!」


ドオオオォオン


モブ「やったか!?」

健夜「今だ!透華隊、突撃開始!」

透華「行きますわよっ!確保しますわっ!」


メカニロイド「…………」


灼「……!」

透華「っ!?あの攻撃を喰らって、何ともないって言うんですの!?」

メカニロイド「…………」グオオオオオッ

透華「避けなさいっ!」

モブたち「ぎゃああああああああああああ!!」

透華「……くっ!奴の足を止めます!」

健夜「晴絵さん、そちらから…目標のメインジェネレータを確認出来ませんか?」



モブたち「ぎゃああああああああああああ!!」


晴絵「…ダメです。奴の動きが早すぎて、近付けません!」


透華「喰らいなさいっ!治水!」ヒュオオオオオオ


メカニロイド「………………」ギギギ…


透華「長くは持ちませんわよっ!」

灼「……隊長、奴のパワーは想定以上だと思……」

灼「援護に回る…」

透華「破られますわよっ!」



メカニロイド「……………」ギイイイィッ

モブ「ぎゃあああああああ!捕まった!助けてくれ!」


灼「……くっ!」ドゥッ

晴絵「いつまでも好き勝手やらしてたまるかっ!」ドゥッ


メカニロイド「……」ガインッ ボロッ、ボロポロッ…


透華「ジェネレータが剥き出しになりましたわっ!」

灼(でも…その直線上には…!)

透華「灼、チャージショットでジェネレータを打つんです!」


モブ「助けてくれー!」


透華「何やってますの、灼!」

灼「う…ううううっ!!」


健夜「……………」ヒュッ


灼「!!!!」


ズバアアアアアアアッ


メカニロイド「……………」プスウウウウンッ………

モブ「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!」



ズウウウウウウン


灼「………っ!」(……腕がっ…!)

晴絵「………ふぅ」

透華「流石、健夜隊長ですわ。急所をライトセイバーで一撃とは…見事です」

健夜「状況を確認なさい」








灼「…………」

透華「灼!どうして撃たなかったんですの!?」

灼「透華…。……だって、あの時は…」

透華「健夜隊長がいたから良かったものを…あそこで倒しておかなかったら…」

透華「どこまで被害が広がっていたか……」

透華「あなたはそんなんだから、A級になれないんですわよ!本来ならあなたは…」

モブ「灼」

灼「!」

モブ「捕まったのは私の責任です…。それに、隊長も急所は外してくれたから…心配しないで」

灼「………ほっ」

透華「……全く、甘ちゃんですこと。まぁ、今日は別に何とかなかったから良かったですけど…」

透華「とにかく、その甘さを捨てなければ…そんなんじゃ麻雀しても良いスコアは出せませんわよ?」

灼「麻雀?」


健夜「……灼、ちょっと良いかしら?」


灼「……健夜、隊長…」

健夜「あなたの射撃能力ならジェネレータを私のように狙えたはずですが……?」

灼「…………」

健夜「捕まった仲間の急所を外せない可能性が数%ながらも…あった。…それが原因ですか…?」

灼「……はい、隊長…私は…」

健夜「……良いですか灼。我々イレギュラーハンターには…引き金を引くのを躊躇ってはいけない時があります…」

健夜「それが…力なき者の剣となり盾となる…私たちの定めです。忘れないでください」

灼「健夜隊長……」


健夜「…損害状況の確認が出来たものから撤収なさい」

一同「はい!」


晴絵「……よ、お疲れ。灼」

灼「ハルちゃん…」



未来。

ここは人間と、人間に近い思考回路を持つロボット「レプリロイド」が共存する世界。

レプリロイドだけでなく、人間が使うロボット「メカニロイド」も高性能で利便性に長け、全世界で稼働している。

今やレプリロイドやメカニロイド抜きには、世の中が成り立たないほどその普及は広がっていた。

その数は人間よりもロボットの方が数が多いのではないか、とまで言われている。

何をやらせるにしても、単純な処理速度ならロボットの方が上だ。

生活が豊かになっていく一方で人間は驚異に思った。ロボットに徒党を組まれたら、人間は一溜りもないではないかと。

そこで全世界で作られたロボットのAIに組み込まれたのがロボット三原則である。


①ロボットは人間を傷つけてはいけない

②ロボットは①に反しない限り、人間の命令に従わなければならない

③ロボットは①・②に反しない限り、自分の身を守らなくてはならない


こうすることで、人間たちは生み出したロボットを自分たちの支配下に置き続けることに成功。

人間とロボットの共存が平和に続いていた。

しかし、一部のレプリロイドやメカニロイドの中に故障が見られ、これらを守ろうとせず、犯罪を犯すものが現れていた。

これらは「イレギュラー」と呼ばれ、その問題が今、重要視され始めようとしていた…。


モブ「例の大型メカニロイドのイレギュラー、今月で七件目だな」

モブ「隊長はその件でこちらに?」

モブ「ああ、そうらしい」


灼「イレギュラーか…」

灼「どうして、どうして…イレギュラーは発生するのかな…」

晴絵「プログラムエラー、電子頭脳の故障、今のロボットにある高度な能力の…言わば、ツケだよ」

晴絵「それらを何とかするのが私たちイレギュラーハンターの仕事、だろ?」

灼「うん…だけど…」

灼「何とか…何とかその故障をなくすことは出来ないのかな!?犠牲を増やす必要はないんじゃないかな!?」

晴絵「……ふっ、灼は相変わらず甘ちゃんだな。理想に生きるのは良いが、きちんと折り合いは付けないとダメだぞ?」

灼「………」

晴絵「一度破損した電子頭脳が正常になることはまずないわけだし、それ以外にもな…」


ざわざわ…

灼「ん?」

晴絵「何か騒がしいな」


はやり「はややー」

モブ「キビキビ歩けよ!」

はやり「はやー」


晴絵「はやりか…また何か言語的なエラーでも出たのかな…」

灼「腕は良いんだけどね…」

晴絵「ま、同じハンターでも灼からはやり…色んなハンターがいるってことよ」


大沼「……最近、騒がしいようだな」

健夜「……はい、大沼博士。イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあり、今月に至っては過去最高の数値です…」

大沼「………灼はどうしている?」

健夜「状況分析、戦闘能力…共に極めて高いレベルにあります…」

健夜「……が、時に悩み…判断を遅らせることがあります」

大沼「悩む……か、まさしくそれこそが、灼最大の特性なのだ」

大沼「……健夜よ、お前は悩むことがあるか?」

健夜「いえ。指示を出す私が悩んで統率が乱れてしまっては、示しも付きません。迅速に思考し行動します…」

大沼「ふっ、お前らしいな…。麻雀でもやらせれば、プロ中のプロになりそうだ」

健夜「麻雀…?」

大沼「いや良い、忘れてくれ。そんなプログラム、お前たちには組んでないのだからな」


大沼「かつて私は、封印されていたロボット…灼を見つけ出し、その設計思想を流用して…」

大沼「お前たちレプリロイドを生み出した。レプリロイドは…人間と同じように考え、行動することができる…が」

大沼「深く思い悩むレプリロイドは…灼だけだ…それは、一つの可能性なのだが…」

健夜「…悩むことが可能性?欠陥ではなく…ですか?」

大沼「……ふっ、普通はそうだな、健夜」

大沼「だが、思い悩むことが…これまでにない新しいロボットと人類の関係を生み出すかもしれない…」

大沼「しかし…今はまだその可能性が希望となるか…そうでないのか…誰にも分からないのだ…」

大沼「私はそれを見たいと…こうして延命してきたが………間に合わんのかもしれんな…」

健夜「………失礼します」


パタン


大沼「のう、あんたは…この時代に私が灼を解き放った事を…恨んだりしていないだろうか?」

大沼「鷺森博士よ…」


晴絵「……くっ!」


メカニロイド「」グイッ

モブ「助けてくれー!」


晴絵「………………ちっ!」ドゥッ


モブ「ぎゃああああああああああああああ」

メカニロイド「」プシュウウウウウウウウ


晴絵「……巻き込んじまったか」


シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ

パッ


【Result:95%】



晴絵「5%ロスか…」

憧「ふーん、大したもんじゃない。ハルエ」

晴絵「………憧?」

憧「よっ、お久しー」

晴絵「ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」

憧「自動警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたのよ」

憧「今日からはまた、通常のハンター業務ってところね」

晴絵「そっか…」

憧「で、最近多発してるメカニロイドの同タイプの暴走事件で招集ってコト。行くわよ、ハルエ」


ナレ子「最近多発している暴走事件における多くのロボットは同タイプですが…」

ナレ子「そのコントロールを司るコントロール系統が、何者かに乗っ取られていたことが判明しました」

灼「中には誰もいなかった…。つまり、遠隔操作されていた」

ナレ子「そうです」

晴絵「ちょっと待った。それを防ぐための警戒プログラムがあるでしょ」

透華「そう簡単にハッキングされるようなものじゃないでしょうに」

憧「よしんばそこにアクセス出来ても、そうそういじれるもんじゃないわよ」

ナレ子「はい。そのデータの詳細は、この本部にあるのです。…犯人は、こちらの情報に精通している可能性があります」

憧「…ふーん、で?犯人はどこから操作を?」

ナレ子「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが…発信源は、この本部のすぐ横の箇所と推測できます」

晴絵「すぐ横ねぇ…。ふざけてるわ」

灼「健夜隊長に、このことは…」

ナレ子「伝えてあります。灼・晴絵チームはただちに出動するように、とのことも」

灼・晴絵「了解!」



-発信源と推測される場所-


灼「………」

晴絵「………」

灼「変だよハルちゃん。静かすぎ…」

晴絵「……行ってみるわよ、灼」ダッ

灼「うん…」ダッ


灼・晴絵「こ、これは…!」


警備ロボットやそこで働くロボットの残骸「」






灼「どう?」

モブ「ダメです。データの全てが持ち出された後です」

晴絵「かなりの手練ってわけね…」

健夜「状況は?」

モブ「はっ!先日の事件の直ぐ後に、やられたようです」

健夜「晴絵さん、どう思います?」

晴絵「さぁ…。ですが、どちらにしろやったのは、相当な戦闘能力を持った奴でしょうね」

灼「全て急所を一撃で切り捨ててますから…」

健夜「ふむ…」

憧「……大量のデータを持ち出した犯人が逃走中よ。うちの部隊は、周辺の搜索を開始!」

憧部隊「はいっ!」


透華「わたくしの部隊は、別の地区を捜索ですわっ!後に続きなさい!」

透華部隊「はいっ!」


健夜「…………」


ナレ子「憧隊は、別の地区へ移動して下さい」

ナレ男A「また同タイプの暴走!?」

ナレ男B「待ってくれ!まだ逆探知が!!」

ナレ男C「さっきからやってます!」

ナレ子「はい。……ええ!?ここからこんな近くで、また暴走が!?」


モブ子「キャーッ!!!」

メカニロイド「…………………」

モブたち「これ以上奴を進ませるなーっ!!」


ズゥウン…ドゴオォン…



はやり「はややー。今日は一段と揺れてますね☆」

ギイイイイイ

はやり「はや?」

?「…………」

はやり「…あは♪直々に私を処分って事かな~?」



灼「…くっそ!どうしてこんなことに!」

晴絵「広範囲で暴走が起こっているが…私たちを攪乱しているだけに思える」

灼「え?じゃあ、犯人は何か別の目的があるってこと?」

晴絵「いや、それはまだわからんが…」

ナレ子『灼!晴絵!大変です!幽閉されていた、元・イレギュラーハンターはやりが脱走しました!』

晴絵「何!?」

ナレ子『最優先で現場に急行してください!』

灼・晴絵「了解!!」


ナレ子「隊長、はやりには灼と晴絵を向かわせました。次の指令は?」

ナレ子「……隊長?健夜隊長!?」

ナレ男A「どうした!?」

ナレ子「…おかしいの。健夜隊長と、連絡が取れないの…」


灼「くっ!守備部隊が…全滅している!はやりめ…!」

晴絵「違うな。直前まで拘束されていたはやりに、これだけの攻撃力はないはずだ」

晴絵「どれも急所を一撃で切断。やったのは、極めて高い判断力と戦闘力を持った…レプリロイド…」

健夜(…こんなことを出来る人物………。……………………)

灼「じゃあ、はやりを逃がすために犯人は暴走を広範囲で起こしているということ?」

健夜「いや、それはまだ…」


ナレ子『灼、晴絵』


灼・晴絵「ん」

ナレ子『ハッキング地点の逆探知に成功しました。場所はミサイル基地』

晴絵「分かった、すぐ向かう。他の部隊は?」

ナレ子『全部隊と連絡を取りましたが、殆どが反応を途絶えています』

ナレ子『健夜隊長とも、ずいぶん前から連絡を取れなくて…』

晴絵「………」

晴絵「嫌な予感がする…急ぐよ、灼!」

灼「うん!」



-ミサイル基地-


灼・晴絵「…………」

晴絵「ん?誰かいる…。………灼」

灼「…………」コクッ

灼・晴絵「動くなっ!」ジャキィッ

灼「……って、健夜隊長」

健夜「灼。晴絵さん。どうやら…ここの警備システムを使って一連の暴走をコントロールしていたらしいわ…」

晴絵「警備システムを使って、カモフラージュしていたということですか…」

憧「そりゃ、逆探知に手間取る訳…」

晴絵「……健夜隊長?司令部と、連絡が付かなかったようですが?」

健夜「敵に気付かれたくなくてね…。通信は切っておいたのよ…」

健夜「それに…通信なんて…もう……大した意味もないでしょう?」チャキッ


ヒュオッ!


ガシィッ


晴絵「……くっ!」


灼「!?健夜隊長…!ハルちゃん…!?」

健夜「…流石ね晴絵さん。いつから気付いてたのかしら?そして、私の太刀を止めるだなんて…」

健夜「流石、私に唯一傷を付けたレプリロイド………いや、そう呼ぶべきではないかしら?ふふふ…」

晴絵「犯人の戦闘力…あれだけの事が出来るレプリロイドはそう多くない。そして、最初に急所を狙うと知っていれば…」

晴絵「対応ははたやすいっ!!……どうしてあなたほどの人が私たちを裏切った!答えろ!!」


健夜「ふふ。でもやっぱり大沼博士の言うとおりだわ。貴重なレプリロイドね、灼…あなたは」

晴絵「何の話だっ!それより、質問に答えろ!!」

健夜「晴絵さんと違って、私を全く警戒しようとしないその甘さこそが…私にとっては、とっても貴重よっ!」ガッ

晴絵「…早っ…!!ぐあああっ!」ギリギリギリ

灼「す、健夜隊長!何するの!早くハルちゃん離して下さい!!」チャッ

健夜「そうよ、灼。灼以外なら、そんな躊躇すら得られなかった。………灼、よーく狙いなさい?」クルッ

灼(!!この…角度、向きは!!)

健夜「私を止めたければ、今すぐ…晴絵さんごと私を打ち抜く他ないわよ?」

灼「うぅっ!!」

健夜「どうしたの?打ちなさい!」

晴絵「…ぐっ、そうだ打て!打て灼!!」

灼「うぅぅぅぅぅぅ!!!」

健夜「ふふふふふ。あははははははは!灼。やはりあなたはそうなのね?」ポイッ


ザシュッ


晴絵「ぐああああああああああああああああああ!!」

灼「ハルちゃん!!!」


ヒュッ

健夜「隙だらけよっ!!」ガッ

灼「ぐあっ…!」

健夜「このまま握りつぶしてあげようかしら?」

灼「くっ、この…離してください、健夜隊長!今ならまだ間に合います!」チャッ

健夜「言ったでしょう?灼…。引き金は引くのを躊躇うな、と…」

健夜「私を止めるチャンスはさっき限りで、二度と訪れはしないわ」

灼「ぐぐっ…ぐぐぐ…!」

健夜「これが希望になるかもしれないだなんて…大沼博士も焼きが回ったのかしら?」

健夜「灼。あなたにいくら力があっても、肝心のあなた自身がそんなんじゃ…全く何の意味もなさないわ」ピッ

灼「なっ…何のボタンを押したのっ!!」

健夜「ただの起動準備ボタンよ。この基地全部のミサイルの、ね」

灼「!!!!」

健夜「もう一度押すと、起動準備に入ったミサイル全てが放たれる…ってわけ」

健夜「目標は全世界…さあ、どうするの?灼」

健夜「町を懸けて私を打ってみる?…出来るの?それが…あなたに!!」

健夜「出来なければ、その物騒なバスター…しまってくれない?」

灼「くっ…ぐぅっ…!」


シュウン…


健夜「ふふふ…あはははははははは!」ポイッ

灼「うぁっ!」

健夜「出来るわけないわよね!心優しい灼に!!仲間である私を打つことなんて!!!」

健夜「この土壇場でも、私と全世界…両方救おうとしている!」

健夜「そんな方法がないものかとひたすら考えている!」

健夜「あなたは!世界で唯一の悩むレプリロイドだから!!」


灼「どうして…どうしてこんな酷いことを…!」

健夜「私たちのためよ、灼…。私たちレプリロイドの可能性を、真に試すため」

灼「全て仕組んだって言うの…?ロボットの暴走を多発させ、罪もないものを!仲間たちを次々に殺して!」

灼「私たちの進化を試すためなら、もっと…もっと他の方法があったはずだよ!!」

灼「もっと…事前にみんなに相談してくれれば…!」

健夜「この期に及んでまで甘ったれた理想郷を語るとは…逆に凄いわ、灼」

健夜「後、この一連の騒動…私一人でやってるわけじゃないの。賛同してくれた連中もいるからスムーズに出来たのよ」

灼「う、嘘だ!嘘に決まってる!!」

健夜「残念だけど、本当なのよね。……灼、聞きなさい?犠牲のない進化なんて…」


「ないのよ」ピッ


灼「!!!」

灼「止めてぇええええええええーっ!!!!」


ナレ男A「何?ALERT!?」

ナレ子「ミサイル基地から!?」

ナレ男B「ミ、ミサイルが発射された!」

ナレ男C「目標・軌道を計算!」

ナレA「場所は…………」


大沼「人が生み出し、人を越える可能性を持つもの…」

大沼「それが…レプリロイド」

大沼「傲慢が招いた結果だ、悔いはない…」

大沼「…が、鷺森博士…。私はやはり、進化と言う名の争いに…灼を巻き込んでしまったようだ…」

大沼「…灼…。世界の…未来の、希望…。お前だけは…新しい…世界のために…死なないでく…」



ドオオオオオオオ………………ッン………



灼「ああ…ああ…あ…あ…」

健夜「灼、全てあなた自身が招いたことなのよ?」

健夜「私を打ってミサイルの発射を止めることも出来た。悪いのは全て甘ちゃんのあなた」

健夜「……で、無限の可能性と危険。どちらも備えていたはずのあなたが…」


健夜「これで、終わり?」ジジ…ジジジジ…


灼「あ…あ……あ……あ…」


健夜「つまんないわね。大沼博士が言う新しい可能性とやらも…腹部を貫かれてはどうしようもないってか」ジジッ

健夜「未来を切り裂く牙を捨てるような奴に興味はないわ。ここから始めるから、私たちの世界」


キィィィィィィィン…
キィィィィィィィン…


灼「!!」


キィィィィィィィン…
キィィィィィィィン…


健夜「しかしあっけなかったなぁ」

灼(何…?何かが飛び込んでくる…)

灼(これは…これは…私?)

灼(……私が忘れていた、私の……記憶が………始まる…!!)









「灼、灼や」


灼「あな…たは…」


「おぉ、やっと目を開けてくれたね。…私は、鷺森博士とでも呼んどくれ…灼」


灼「灼……それが私の……な、ま………え………」


「灼。そう。尽きることを知らない、燃え盛る炎の灯火を意味する言葉だ」

「お前は自分で考え行動する、新しいタイプのロボットになるんだよ」



灼「………ん。………どうしたの、鷺森博士…疲れてるみたいだけど…」


「あ、灼…。本当にあなたは、人間のようで…。それこそ……あの子みたいに…。本当に、あの子みたいに…」


灼「鷺森博士………泣い……てるの?」


「でも、それだけに…あなたのように、極めて自分たちに近いものを受け入れるには…」

「人類はまだ、幼すぎるのかもしれないねぇ…」


灼「…………………」


「人は…あなたの無限の進化の可能性を危険に感じるかもしれない…」

「燃え盛る炎も使い方を謝れば、それは自分に…周りに危害が及ぶ…」



灼「……………んっ…」


「ごめんよ灼ぁ…。ゴホッ、ゴホッ…」

「時間が…時間が足りなかったんだよ…」


灼「鷺森…博士…?」


「私はあなたに…考え、悩み、そして進化を戦い取る力を与えた…」

「だけど…それをまだ開放するわけにはいかないんだよ…」


灼「博士。私はこの力を正しいことのためにしか使わないよ?希望の灯火となるために」


「…………ええ。ありがとう、灼。もちろん私もそう信じているわ」

「灼、あなたがその正しい心を持ち続けるということを…」

「未来の人々が、世界がそう願うことを……」


灼「さぎ、もり…………はか、せ……。なん、か…わた、し…。いしき、が……」



「だから私を…私を許して、灼ぁ…」

「あなたをこうして眠らせてしまうことを…」

「一人ぼっちにしちゃって…ごめんねぇ…」

「でも…私は…あなたに…正しく生きて欲しいんだよ…」

「願わくば、あなたが目覚める時代が…平和な時代であることを…」

「…さようなら、さようなら…灼」

「私の……もう一人の…孫…」

「最後に…あなたに…一度でいいから…………おばあちゃん、……………と…」










灼(………はっ!)

健夜「!!意識が、まだあるですって!?」

灼「うあああああああああああああああああああああ」

健夜「こ、この子…………」


灼「おばあちゃあああああああああああああんっ!」


健夜「な、泣いてる…!?」


健夜「ってか、アラサーだよ!!いやいや違う、そんな老けてないよ!!」


灼「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」バキィッ

健夜「きゃあああああああっ!」ズザアアアアアッ

灼「はぁ…はぁ…はぁ…!」

灼「思い出した…。思い出したよおばあちゃん…!」

健夜「なっ…!腹部を貫かれて、何でこんな力が…!」

灼「私は…私は……希望の灯火となる………灼だから…」

灼「戦うよ、私…。戦いながら、迷い悩み続ける!相手が…健夜隊長……いや、健夜だったとしても!」

灼「………戦いの先に、いつか平和が訪れると信じて!!私は戦う!!!」



健夜「あ…灼ぁあああああああああああああ!!!」

灼「す…健夜ぁあああああああああああああああ!!!」




ピシャアアアアァン





晴絵「う……ぐっ……健夜……灼………二人は………」

晴絵「!!!!!」

晴絵「灼っ!灼ぁーっ!!!!!」

灼「………………………」

灼「………………………ハル…ちゃ…。ごめ………すこ、や………とめられ、なか………」

晴絵「喋るなっ!今医務室に連れていくからな!」

灼「………………………あ、り……が…と…」




健夜「………こ、ここまでやるものとはね!私を撤退させるとは…見事だわ!」

健夜「そうよ!あれこそがあなたの力!胸の奥に眠る野生…!あなたの……レプリロイドの可能性よ!」

健夜「オーラスのトビ寸前で見せるような、力ない動きじゃない!これまでで一番早く、強い動き!」

健夜「ふふふ…あはははははっ!あはははははははははははははははっ!!!」

健夜「立ち上がってきなさい、灼!晴絵さん!あなたたちの戦うべき相手はここよ!私はここにいるわよ!!」

健夜「…さぁ、戦いを始めようかしら?レプリロイドの可能性を懸けた戦いをね!!」

健夜「私をおばあちゃん呼ばわりした代償は、高く付くからね…!!」

健夜「………待ってるわよ…!二人とも……!!」




灼「……………すこ、や………こん、どこそ…………止め、る………!」





灼「あらったそX1?」へ続く...

あらたソいぇい~♪(4日遅れ)

灼=X
晴絵=ZERO
健夜=Σ
はやり=VAVA
透華=ペンギーゴ
憧=イ(ー)グリード
大沼=ケイン博士
おばあちゃん=ライト博士

そんな感じで【咲-saki- * ロックマンX】のSS、今回はX1の前日譚をお送りしました。
読んで頂いた方、ありがとうございました。後ほどHTML申請致します。

おつかれー個人的にはx4まで書いて欲しいゾ

連れていってくれよ、お前のつくる懐かしい未来へ……

>>39
X4までやると晴絵が望あたりを倒さないといけなくなってしまう。。
でもX4までは超不定期でやりたいです。X5~7?しらんな。いや、X7はウジウジX以外ギリギリ許すとしても…。
ボス一体も倒さないで最終面行けるX5とその三週間後の茶番かつ理不尽糞ステージばっかりのX6は…。

>>40
やっぱ岩本Xがレジェンドナンバーワン!

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