後輩「先輩、アメ食べます?アメ」先輩「んー……」 (72)

先輩「何味?」

後輩「ハッカです」

先輩「……他は?」

後輩「ハッカだけです」

先輩「……ぷはー」

後輩「あーっ、露骨に嫌な顔しましたねっ」

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先輩「だって、ハッカってさ」

後輩「はい」

先輩「なんかこう、最後まで残ってるイメージじゃない?」

後輩「……」

後輩「……先輩は今、完全に敵に回しましたよ」

先輩「後輩を?」

後輩「いいえ、うちのおばあちゃんです」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……怖いの?後輩のおばあちゃん」

後輩「すっごく優しいです、アメくれますし」

先輩「……ならいいや」

後輩「むー、そうやってまた煙に撒こうとして」

後輩「先輩はハッカよりも、そいつの方が好きって言うんですか?」

先輩「そりゃその二択ならね……」

先輩「後輩も試してみる?案外気に入ったりして」

後輩「えっ」

先輩「……」

後輩「え、ええっと……」

先輩「ほい」

後輩「へ?あ、ダ、ダメです先輩……」

後輩「あんぐっ」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ぷっ、あははっ」

後輩「これは……シガ、レット……?」

先輩「お菓子にはお菓子で対抗するのが一番だと思いまして」

後輩「……先輩、いぢわるです」

先輩「あはは、悪い悪い」

後輩「こうなったら、先輩にも……」

先輩「っと、もうすぐ昼休みも終わるな」

先輩「それじゃ、後輩はサボるなよー」

後輩「あっ、先輩……また逃げられた」

後輩「私も急がなくちゃ……」

後輩「……もぐもぐ」

不定期に、なるだけ早めに更新していこうと思います
そんな長くないですのでよろしければお付き合いを

先輩「……ふー」

ガタンッ

先輩「……っ!」

後輩「先輩、やっぱりここにいましたね」

先輩「……なんだ、後輩か」

後輩「焦って隠すぐらいなら吸わなきゃいいじゃないですか、そんなもの」

後輩「お口が寂しいなら、ここに適役もいますし」

先輩「適役?」

後輩「どやっ」

先輩「……ぷふーっ」

後輩「げほっ、げほっ……もー、なんてことするんですかっ」

先輩「なんでハッカしかないの?」

後輩「?」

先輩「アメの味だよ」

後輩「そりゃ、おばあちゃんのお気に入りですから」

先輩「いや、そうじゃなくて……」

後輩「??」

先輩(おばあちゃん子、ってやつかねぇ)

後輩「どうしたんですか?先輩」

先輩「んー」

先輩「一個、貰ってもいいかなって」

後輩「ほんとですか!」

先輩「ただ、条件が一つ」

先輩「……こんな風にして、口移しで欲しい」

後輩「あぁ、なんだそんなこと……へ?」

先輩「……」

後輩「……」

後輩「冗談、ですよね?」

先輩「そんなに冗談が得意に見えるかな」

後輩「え、えと……」

先輩「ぷはー……」

後輩「……」

先輩(ちょっとした冗談のつもりだったんだが)

後輩「……むむむ」

先輩(耳まで真っ赤にされちゃうと)

先輩「私が手伝ってやるから、ほら」

後輩「あ、ちょっと……はぐっ」

先輩「……少しぞくぞくするな」

後輩「ひゃい?」

先輩「なんでもない、こっちの話だ」

後輩(先輩の顔が、こんなに近くに……)

先輩「……」

後輩「……」

先輩「どうした、来ないのか?せっかく欲しいって言ったのに」

後輩(先輩の、吐息……っ!)

後輩「……んぐっ」

先輩「……あ」

後輩「あ……」

先輩「平気か?詰まったりしてないか?」

後輩(先輩がさらに近く……っ)

後輩「だ、だいじょうぶですっ!」

先輩「あ、おいっ……行っちゃった」

先輩「……ちと、からかい過ぎたかね」

先輩「ふー……」

続く

この雰囲気陸上の先輩後輩書いてた人?

ちがかったらごめん

>>18
違う人 
でも読んだことはある、いいよねあれ

後輩「はぁ……はぁ……」

後輩(胸が痛い……まだ、ドキドキしてる……)

後輩(……って、走ったから当たり前か)

後輩「……ふぅ」

後輩(先輩が、急にあんなことをするなんて……)

後輩「……からかわれただけ、だよね?」

「おい」

後輩「ひゃわああっ!?」

「ど、どうした?」

後輩「せ、先生……?」

「なんでそんなに汗だくなんだ、お前確か帰宅部だろ?」

後輩「そうですけど……」

「っと、こんな事を話してる場合じゃなかった。お前、すぐに家に帰れ」

後輩「……?」

「今、親御さんから連絡があってな……」

先輩「……」

先輩(いつもなら、この時間ぐらいにドアが開いて)

後輩『先輩、やっぱりここにいたんですね』

先輩「……ふーっ」

後輩『アメ食べます?アメ』

先輩「ちっ、さっきので最後だったか」

後輩『もー、ちゃんと話聞いてくださいよっ』

先輩「……」

先輩(そういえば、後輩と初めて会ったのも、こんな雨の日だったっけ)

先輩(さっきから後輩の事ばっかりだな、ははは)

先輩「……帰るか」

先輩(とか言いつつ、一年の教室の前を通っちゃったりしてる)

先輩(恋する乙女かってんだよ、我ながら情けない)

先輩「……流石にいない、か」

「見た?今の」「うん、三年生だったよね?」「ちょっと怖かったー」
「でも、ちょっとかっこよかったかも」「確かに、背が高くてスラッとしてて……」

先輩「……今度こそ、本当に帰るかね」

先輩「すぅー……はぁー……」

先輩(……今日も来ないのか)

先輩(まさかなんかの病気、とか?だったら、見舞いに……)

先輩「……家、知らねぇや」

先輩「ふー……

先輩「ん」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……昨日もここに、いましたか?」

先輩「おう、そりゃもう」

後輩「すいません、ご心配おかけしてしまって」

先輩「……別に」

後輩「そう、ですか」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「せん、ぱい」

後輩「ん」

後輩「少しだけ、背中借りていいですか?」

先輩「……減るもんじゃないし、いいぞ」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「何があったか、聞いた方がいいか?」

後輩「……聞かれたら、答えられるかもしれません」

先輩「なら、聞かせて」

後輩「……はい」

続く

先輩「この前言ってたばあちゃんが、倒れたのか」

後輩「……一昨日まで、そんな素振りは全然見せてなかったんです」

後輩「だから、私も全然気にしてなくて……」

後輩「そのせいで無理とか、させちゃってたんじゃないかって……」

後輩「……ひぐっ」

先輩「大変だったんだな」

後輩「……ぁぅ」

先輩「悪い、そんな状態なのにこんな所に来させて」

後輩「来させて、だなんてそんな」

先輩「こっちは平気だから、ばあちゃんの所に行ってやんな」

後輩「……はい」

後輩「……先輩」

先輩「お?」

後輩「また、明日」

先輩「おう、また明日」

先輩「……」

先輩(……泣き顔見て引き留めたくなるとは)

先輩(こういうのも、不謹慎ってやつになるのかね)

先輩「……ふー」

先輩「……ちっ、今日も降ってきやがったか」


先輩「……つめてぇ」 後輩「……つめたい」

先輩(今日も雨か、うんざりだぜ全く)

先輩「……ん」

後輩「……」

先輩(……後輩?)

先輩「おい、何してんだよ。びしょ濡れじゃねーか」

後輩「あ、先輩……」

先輩「あ、じゃないだろ。先に待ってるにしても、待ち方ってもんが……」

後輩「……」

先輩「とりあえず、こっち来い」

先輩「ほら、これ着ろ」

後輩「これ、先輩の……」

先輩「いいから、黙って言う事聞け」

後輩「……はい」

先輩(下着までびしょ濡れって……いつからいたんだ、こいつ)

後輩「……」

先輩「……」

先輩「今度は何があったんだ?」

後輩「……」

先輩(何となく想像は付くけど、こっちから言う事じゃない気がする)

後輩「……」

先輩「……」

後輩「あったかいです、先輩の背中」

先輩「そりゃ、お前の体がそんだけ冷たいだけだろ」

後輩「……おばあちゃんは、もっと冷たかったです」

先輩「……そうか」

後輩「……」

先輩「悪い、今回のは聞かない方がよかったか」

後輩「……いえ、私が勝手に話しただけですから」

後輩「すいません、湿っぽくて」

先輩「雨だから気にならん」

後輩「……よかった」

先輩「雨、止まねぇな」

後輩「……止みませんね」

先輩「寒くないか?」

後輩「寒くな……くしゅんっ」

先輩「嘘付こうとすんな、バカ」

後輩「いちっ……すびばぜん」

先輩「そのままじゃ帰る前に風邪引くだろ」

後輩「でも、着替えなんて……」

先輩「近くなんだ、うち」

後輩「うちって、先輩の家ですか?」

先輩「うむ」

後輩「……」

先輩「後輩さえよければ」

後輩「……くしっ」

先輩「と思ったが、問答無用だ。急ぐぞ」

後輩「あ、待ってくださいよっ」

続く

後輩「……お邪魔します」

先輩「とりあえず、シャワー浴びてこいよ」

後輩「ご家族にご挨拶とかは……」

先輩「いいよ、どうせ誰も帰ってこないんだから」

後輩「……?」

先輩「ほら、早く行って来いって」

後輩「は、はい……」

後輩(……)

後輩(このシャンプー、いい香りがする)

後輩(後でどこに売ってるか、聞いてみようかな)

後輩(……先輩の心配そうな顔、こんな形で見ることになるなんて)

後輩(……ぐす)

先輩「おーい」

後輩「……せ、先輩?」

先輩「なんて声出してんだよ、覗いたりしないから安心しろっての」

後輩(そういう訳じゃ……)

先輩「着替え、ここに置いておくからな」

後輩「はい、ありがとうございます」

先輩(……この向こうに、後輩が)

先輩(って、何考えてるんだ。バカか)

後輩「……ふぅ」

後輩(これが先輩の服……)

後輩「……くん、くん」

後輩(って、何してるんだろう私)

後輩「んしょ……」

後輩(……丈、ぶかぶか……胸が少しキツい、かも)

後輩「……」

後輩「すん、すん」

先輩「……泣いてんのか?」

後輩「ひゃああっ!?」

先輩「戻ってくるのが遅かったから、心配になってな」

先輩「ま、その様子なら心配はなさそうだな」

後輩「ご心配おかけしました、もう大丈夫です」

先輩「無理して笑ってないか?」

後輩「……まだ、少しだけ」

後輩「でも、いつまでも泣いてたら……おばあちゃんも安心できないと思うので」

先輩「……そっか」

後輩「だから、先輩も心配しないでください」

先輩「そういう事なら、もう心配してやらない」

後輩「あははっ」

先輩「……ふっ」

先輩(……しかし)

後輩「先輩、あのシャンプーどこに売ってるんですか?」

先輩(制服の時は気付かなかったな、着痩せするタイプなのか)

後輩「先輩?」

先輩「ん、あぁ?なんだったっけか」

後輩「お風呂場のシャンプーが……」

先輩「あぁ、あれは……」

先輩(うちのシャンプー、こんないい香りだったっけか)

先輩(……むむむ)

続く

後輩「そういえば、先輩」

先輩「ん」

後輩「おうちでは、吸われないんですか?」

先輩「見つかるとちょっと面倒だからな」

後輩「……そう、ですか」

先輩「なんでちょっと残念そうなんだ」

後輩「へ?」

後輩「残念そうな顔してました?私」

先輩「見間違いじゃなければ」

後輩「きっと見間違いです」

先輩「かねぇ」

先輩「遠慮しなくていいなら、失礼して……」

先輩「……ふー」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「……なぁ」

後輩「はい?」

先輩「そんな風にまじまじと見られると、非常に吸いにくいのだが」

後輩「す、すいません」

先輩「今さら珍しいもんでもないだろうに、変な奴」

後輩(……ほんと、なんでだろう)

後輩(いつもより、ドキドキしてる)

後輩「……あ」

先輩「?」

後輩「もうこんな時間……お父さんとお母さんが、心配してるかもしれません」

先輩(いつの間にか大分時間が経ってたな」

後輩「雨も止んでるみたいです」

先輩(引き留める理由も無くなった、か)

先輩「また降りだすと面倒だ、早く帰ったほうがいい」

後輩「……そう、しますね」

先輩「家がどの辺りか知らないが、傘持ってけ」

後輩「ありがとうございます、先輩」

先輩「……」

先輩「……じゃ、また」

後輩「はい、また」

先輩(弱みにつけこむようで、気が進まなかったのか)

先輩(不謹慎気味とはいえ、千載一遇のチャンスだった気がしなくもない)

先輩「……ふーぁ」

先輩(後輩と出会ってから、らしくねぇ気がする)

先輩(そして……そのらしくなさが不快じゃないのが、また癪だ)

先輩「……また、か」


後輩「ただいまー」

後輩「ちょっと雨に濡れちゃって、先輩の家でご厄介になってたの」

後輩「心配かけてごめんなさい」

後輩「……うん、もう大丈夫」

後輩「御線香、あげてくるね」

続く

面白くないようなので次か次の更新くらいで終わらせたいと思います
では

先輩「……ふー」

先輩(今日は晴れたな……ん)

先輩「よう、風邪をひかなかったみたいで安心したよ」

後輩「先輩のおかげです」

先輩「じゃ、お返しを貰おうかな」

後輩「へ?」

先輩「ぎぶあんどていく、おーけい?」

後輩「む、無償の愛って素晴らしいと思いませんか?」

先輩「あいにく、神様はあまり信じてなくてね」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「そうだ、あれ。アメないの?アメ」

後輩「あるにはある、んですが」

先輩「なんだ、歯切れが悪いな」

先輩(いつもなら、自分から勝手に薦めてくるくせに)

後輩「その……これ、最後の一個なんです」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……で?」

後輩「……え」

先輩「最後の一個だから、食べないのか」

後輩「……」

先輩「勿体ない気がするけどなぁ。食べてもらうためにくれたんだろ?それ」

後輩「……せ、先輩にはあげませんっ」

先輩「ありゃ、残念」

後輩「もぐもぐ……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ちらっ」

先輩「……」

後輩「……ひぇんはい」

先輩「ん」

後輩「ひゃめ……ほひぃ、れふか?」

先輩「何言ってんだかさっぱりだ」

後輩「……」

先輩「なんだよ、その目」

後輩(アメを舐めたままだと、うまく喋れない……)

後輩(でも、このアメは……)

先輩「何が言いたいか、わかんねぇけど」

後輩「……っ!?」

先輩「こっちはアメが欲しいだけ、なんだよ」

後輩「……ん、んぐー」

先輩「……ちゅ……じゅる」

後輩「……ぷはっ」

先輩「……もぐもぐ」

後輩「……おいしい、ですか?」

先輩「んー」

先輩「以前は散々言ったが……思ってたよりは悪くないかも」

後輩「ほら、やっぱり食わず嫌いはよくないですよ!」

先輩「でも、悪くないってだけでなぁ」

後輩「……むー」

後輩「そんな言うなら、返してくださいっ!」

先輩「あっ、こらっ」

先輩「……んむ」

後輩「ちゅぱ……ん……」

後輩(と、取り返してやりました……もぐもぐ)

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……じー」

後輩(……冷静になってみると、とんでもない事をしてしまった気がする)

先輩「なんだか取られると、取り返したくなるな」

後輩「……!」

先輩「……ふふふ」

後輩「ひぃーっ、許してください先輩っ」

先輩「許すも何も……悪いことしてないよ、お前は」

後輩「んぐーっ!」

後輩「……はぁ……はぁ……」

先輩「……ぺろぺろ」

後輩「先輩、その」

先輩「んー?」

後輩「……」

先輩「あ、あめ」

後輩「もうないですって」

先輩「違う、上だ上」

後輩「あ……」

先輩「すっかり天気が良くなったとおもって、油断してたぜ」

後輩「先輩、もしかして傘を?」

先輩「うむ」

後輩「……持ってきてます、私」

先輩「あ、昨日貸した奴?」

後輩「はい、丁度良かったですね」

先輩「そんじゃ、強くならないうちに帰るか」

後輩「そうしましょう」


先輩「んで」

後輩「はい?」

先輩「さっき何言おうとしてたんだ?」

後輩「……いえ、何でもないです、なんでも」

先輩「ふーん……」

先輩「てっきり、愛の告白かと」

後輩「!?」

先輩「なーんてな、ほら行くぞ」

後輩「……はい、先輩」

後輩(分かってて転がしてるんですか?先輩)

後輩(……でも、それでもいいです)

後輩(大好きです、先輩)


先輩(分かってて転がすフリでもしないと)

先輩(余裕が無い事バレたら、恥ずかしすぎる)

先輩(可愛い奴め、後輩)

終わります

最後まで読んでくれた人、ありがとうございました
次回はこんな面白くない作品にならないように頑張ります

では

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