陽炎「私の彼女と幼馴染が修羅場過ぎる」 (26)
前書いたやつ
曙「素直になれない」 - SSまとめ速報
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「あっ、あんたのことが好きなのよ!このクソ陽炎!」//
あたしはへそ曲がりだから、こんなに短い言葉を言うのにとても時間がかかってしまった。
陽炎が呉からあたしたちのいる横須賀鎮守府に転属してきてもう二年になる。
本当を言えば、あたしは出会った時から陽炎にひかれていたのだ。
ファーストコンタクトはお世辞にもよかったとは言えないけどね。
そのころあたしは横須賀の問題児で、みんなから腫物みたいに扱われてた(まあ、原因はほとんどあたしなんだけど…)。
誰に対してもひねくれた態度で、憎まれ口をたたいて、ほとんどの娘たちはあたしと仲良くするのをあきらめてたんじゃないかな?
もちろんあたしは、初対面の陽炎にもおんなじ態度で突っかかっていった。陽炎は面食らってたし、内心あたしにむかついてもいたはず。
その時はまさか陽炎とチームを組まされるなんて思ってなかった。
あたし以外にもたくさん問題児を抱えた第14駆逐隊で、陽炎はまさかの嚮導艦に任命されて頭を抱えてたはず。
周りからは寄せ集め何て言われて、むかついたけど、あたしは正直あきらめかけていた。
でも陽炎はあきらめなかった。みんなをまとめて、引っ張って…
あたしが何度反発しても、陽炎はあたしを見捨てなかった。仲間だって認めてくれて、時には命がけで助けてくれた。
いつしか14駆逐隊の仲間とは絆が芽生えていた。不思議なもので、そうなってからあたしはやっと、自分が荒れていた理由がわかった。
あたしはきっと寂しかったのだ。悲しいときに泣いてくれて、楽しいときに笑ってくれる仲間が欲しかった。
そんな気持ちに気付いてほしくて、でも不器用なあたしはふてぶてしい態度でいることしか知らなかった。
そんなあたしに陽炎が居場所をくれた。艦娘としての誇りを取り戻させてくれた。
ある時、陽炎にお礼を言った。もちろん素直じゃないあたしは、素直じゃない言い方しかできなかったんだけど…
そしたら陽炎は、私のほうこそ、こんなに可愛い曙と仲良くなれて私もうれしいって…馬鹿じゃないの//
でもその時の陽炎の笑顔を見て、あたし気づいちゃったのよね。
ああ、あたしはこの人のことが好きなんだって。
それからが大変だったわ。あたしは陽炎に自分の気持ちを伝えたかったけど、怖かった。
陽炎の存在はあたしの中であまりに大きくなりすぎてて、拒絶されたらどうなっちゃうんだろうって思った。
あたしは覚悟を決めたの。その裏には、潮だったり鵬翔さんや愛宕さんの助けもあったんだけど…
それで話は冒頭のセリフに戻るわけ。不器用なあたしの、精一杯の告白。
陽炎は受け入れてくれた。そして泣いてるあたしにキスしてくれたの。
え?その時のキスの味って…い、言うわけないでしょこのクソ提督!//
とにかく、あたしと陽炎の恋は始まったの。
陽炎と二人でなら、毎日はきっと見たことないくらい素敵な色で彩られていくんだろうって思ってた。それなのに…
曙「で、どーしてあんたがここにいんのよ!」
不知火「どうしてもこうしても、不知火は陽炎の相棒です。不知火の居場所は陽炎の隣以外ありえません」
曙「ふ・ざ・け・な・い・で!せっかく陽炎と同じ寝室にしてもらったのよ!あたしが何回提督にお願いしたと思ってんのよ!」
不知火「そういわれましても、不知火は愛宕さんからこの部屋に入居するよう言われました」
曙「はぁ!?」
不知火「そのほうが面白そうだから、と」
曙「あのクソ秘書艦~」ワナワナ
陽炎「あははは。あんたたち本当仲悪いわね。でももう同じ艦隊に所属することになったんだから、仲良くしなきゃだめよ?」
曙「あ、あんたねぇ!あんたはそれでいいわけ!?コイビ//…あたしとの二人の時間がこいつに邪魔されんのよ!?」
陽炎「うーん。でも、不知火は家族みたいなものだから」アハハ
曙「こ、このクソ陽炎!浮気者!もう知らない!」プン
木造のドアが、悲鳴のような音を立ててしまった。
行っちゃったわねぇ…と陽炎がため息をつく。
「…陽炎はあれでいいのですか?」
「なれちゃったわよ。いつものことだから」
何時ものことならなおさらではないかと不知火は思う。陽炎は14駆逐隊の嚮導艦である。
チームをまとめる立場の陽炎に対して曙があの態度では、部隊の規律にひびが入り、ひいては作戦進行に滞りが出るのではないか。
それ以前に、自分の大事な人に対しての曙の不遜な態度が不知火には癪だった。
「曙の艦娘としての能力は不知火も知っています。ですが、やはり陽炎のパートナーにはもう少し冷静な人物が適しているのでは?」
自分のような、という言葉を不知火は飲み込んだ。
「曙はあれで作戦中は頼りになるわよ?判断力だってあるし、私の代わりに嚮導やってもいいくらい」
「…まあ、今日からは不知火も14駆逐隊の一員ですし、自分に目で見極めさせてもらいます」
もちろん、陽炎の彼女としてふさわしいかどうかもですよ…
もし、そうでない場合には…
お手柔らかにねーと笑う陽炎の横で、不知火は密かに宣戦布告した。
曙「クソ陽炎…不知火が横須賀にくるって聞いた日から不知火不知火って馬鹿みたい」
鵬翔「あらあらまた喧嘩したの?あ、ジュースのおかわりいるかしら?」
曙「大丈夫です。…陽炎と二人の部屋になれるって期待してたあたしが馬鹿みたい。今日だって不知火につきっきりだったし…」
鵬翔「不知火ちゃんは横須賀に来たばっかりだし仕方ないわよ。陽炎ちゃんだって、いつもかまってくれないわけじゃないんでしょ?」
曙「いつもあたしと喧嘩すると、き、キスしてきて//曙は可愛いねって//でもなんだかそれでごまかされてる気が…」
鵬翔「き、キスしてくるなんて愛されてる証拠じゃない」
鵬翔(陽炎ちゃん…本当天然ジゴロは恐ろしいわ…)
曙「…でも怖いんです」
鵬翔「え?」
曙「あいつ…不知火はずっと陽炎と一緒だったわけで、いってみれば幼馴染なわけじゃないですか。あたし、今日も陽炎にクソっていっちゃたし、可愛くないこって思われて、陽炎に見捨てられないかって…」
鵬翔「曙ちゃん…だ、大丈夫よ!曙ちゃんだって、陽炎ちゃんと過ごしてきた時間があるじゃない。それに陽炎ちゃんはそんなこじゃないって、曙ちゃんが一番よく知ってるでしょ?」
曙「鵬翔さん…そ、そうですy\パンパカパーン/…って愛宕さん!?」
愛宕「うふふ~。話は聞かせてもらったわ!だめよ~曙ちゃん慢心しては。大丈夫!お姉ちゃんに任せて!私が曙ちゃんと、不知火ちゃんに対する陽炎ちゃんの愛情をチェックしてあげる!」
愛宕「題して…曙vs不知火~陽炎の本妻はどっちだ!~対決!」
曙「え、ちょ、ちょっと愛宕さん!」
愛宕「心配しなくても大丈夫よ~提督の許可はとってあるし、ほかの艦娘たちの協力も取り付けてあるから!ていうことで明日さっそくやっちゃうわよ!」
曙「は、はぁ…」
愛宕「じゃあそういうことで…「愛宕さん」…な、何かしら鵬翔さん?」
鵬翔「この子たちを泣かせたら、承知しませんからね」ニコニコ
愛宕「ぱ、ぱんぱかぱーん…」
曙「はあ、どうしてこんなことになっちゃうのかしら?」
曙はとぼとぼと歩いている。思いがけない成り行きに困惑していたし、喧嘩したばかりで部屋へ戻るのが憂鬱だった。
曙「…譲れないわよね」
鵬翔さんだって言っていたじゃないか。曙だって、陽炎と濃密な時間を過ごしてきたのだ。それになにより…
曙「…陽炎のことが世界で一番好きなのは、あたしなんだから!」
不知火「すごい気合ですね」
曙「げっ!?不知火!?」
気が付くと、もう部屋のすぐ近くまで帰ってきていた。扉に背をもたれて不知火が立っている。
不知火「愛宕さんから事情は聴きました。悪いですが、私もその、陽炎を…アイシテイマス…ので。負けるわけには行けません」
曙「やってやろうじゃない」
不知火「望むところです」
日を待たずに二人の間に火花が飛び散り始めたとき、扉が開いて陽炎が顔を出した。
陽炎「あ、あんたたち帰ってたのね。なんか愛宕さんがした大事な用事があるから早く寝ろって」
勝負はいったんお預けとなった。
曙・不知火((ね、ねむれない…)ません…)
曙と不知火は二人で一つのベッドに寝ている。間に陽炎を挟んで。
仲直りのしるし!として陽炎が提案してきたのだ。
陽炎の体温を感じて、曙と不知火は眠るどころではない。そしてその体温の愛おしさに、両者は思う。
((絶対に負けられない!)ません!)
今日はここまでです。次はちょい後になるかもです。
ss書きの方いたらかげぼのかかげぬいss書いてくれよな~頼むよ~
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