大和「私を愛して下さい」 (92)
提督「よし、これで午前の業務は終了だ」
提督「昼食をとってからまた戻ってきてくれ」
大和「はい」
大和「あの、提督?」
提督「なんだ?」
大和「その、一緒にお昼でも・・・」
提督「俺は個別にとる、別にお前と食べなくても良いだろ」
大和「・・・・・・」
提督「仕事上で行動を共にするが、そこまでは君達と関与したくはない」
提督「仕事に関係のない言動はするな」
提督「良いな?」
大和「はい、申し訳ございませんでした・・・」
提督「ふん、下がって良いぞ」
大和「失礼します・・・」
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大和「(つい最近になって、提督が突然姿を消しました)」
大和「(原因もわからず、忽然と姿を消したので)」
大和「(私は泣くことと、疑問に思うことしかできませんでした)」
大和「(提督はとても優しい方でした)」
大和「(私達艦娘に対して、兵器としてではなく、自分と同じ人間として接してくれました)」
大和「(戦争は怖いですが、私は毎日が幸せでした)」
大和「(それが何故今になって・・・)」
大和「(提督、どうしていなくなったのですか? 私が悪いのでしょうか?)」
大和「(提督・・・どうして・・・お願いです・・・戻ってきて下さい・・・)」
大和「(先程私と話していた方は後任者)」
大和「(提督が失踪してから新しくこの鎮守府に配属になった方です)」
大和「(こう言ってはなんですが、とても冷たい目をしている方です)」
大和「(私達に無理をさせたり、暴行をすることはありませんが)」
大和「(必要以上に私達と関わることを避けています)」
大和「(毎日必要最低限の会話をして、機械的な業務をこなして・・・)」
大和「(それに、私を物として接しているようにも思います)」
大和「(この対応の方が、私達艦娘に対するものとしては正しいのかもしれませんが)」
大和「(やはり、正直寂しいです・・・)」
大和「(提督・・・)」
※これより、現在の提督に関しては『後任者』という名前になります
提督「今日は清掃の日だな」
提督「この鎮守府では、廊下や食堂、大浴場など」
提督「みんなが利用する場所のみ清掃員が掃除をする」
提督「執務室や艦娘の部屋は自分達で片づけを行う」
提督「大和、君は執務室と自分の部屋の掃除をしなさい」
提督「俺は自分の部屋を掃除する、くれぐれも近づかないように」
大和「わかりました」
提督「・・・・・・」
大和「・・・・・・」
↑ミスです
後任者「今日は清掃の日だな」
後任者「この鎮守府では、廊下や食堂、大浴場など」
後任者「みんなが利用する場所のみ清掃員が掃除をする」
後任者「執務室や艦娘の部屋は自分達で片づけを行う」
後任者「大和、君は執務室と自分の部屋の掃除をしなさい」
後任者「俺は自分の部屋を掃除する、くれぐれも近づかないように」
大和「わかりました」
後任者「・・・・・・」
大和「・・・・・・」
大和「」フキフキ
大和「(毎日こんな感じで生活しています)」
大和「(提督は異常に自分の部屋に入られるのを嫌がっています)」
大和「(プライベートなことですから、きっと何か見られたくないものでもあるのでしょう)」
大和「(しかし、私は怪しくて仕方がないのです)」
大和「(提督の原因不明の失踪、早過ぎる新しい提督の着任、そして提督の部屋・・・)」
大和「(提督が置いていた私物は、全て新しい提督に処分されました)」
大和「(戦争をほっぽり出して逃げるような腰抜けの物なんて、いらないと・・・)」
大和「(世間から見れば、正論なのでしょう)」
大和「(ただ、私、そしてみんなは知っています)」
大和「(前の、あの優しい提督は決してそんな人ではなかったと)」
大和「(提督が行方不明になったのも、何か裏があるのではないか)」
大和「(新しい提督が着任するまで、とんとん拍子に事が運んだこと)」
大和「(まるで無駄がなく、さも想定内のことだったように・・・)」
大和「(そして現在の提督の私室・・・絶対に何かあるように思えます)」
大和「(あそこには何かがある・・・そんな気がしてなりません)」
大和「・・・・・・」
大和「・・・道具を片付けてきますか」
『提督私室前』
大和「・・・・・・」
大和「(ここに・・・何かが・・・)」
扉『』ガチャ
大和「あ」
後任者「・・・・・・」
後任者「俺の部屋の前で何をしている?」
大和「いえ、あの・・・」
後任者「俺の部屋の前で何をしていると言ったんだ!!」クワッ
大和「ひっ!?」ビク
後任者「掃除が終わったらとっとと業務に戻れ!」
後任者「ここは俺が掃除をすると言っていただろ!」
後任者「お前は俺の言う通りにもできないのか! 能無し秘書艦め!」
後任者「余計なことをするな!!」
大和「す、すいませんでした!」
後任者「チッ・・・」
大和「うぅ・・・」ポロポロ
後任者「」カキカキ
大和「」カキカキ
大和「・・・・・・」
大和「(あの剣幕・・・あれは絶対に何か隠しています)」
大和「(でも、一体何を・・・?)」
大和「」カキカキ
後任者「」トン
大和「・・・・・・」
大和「(どうにかして、あの部屋に入ることができないでしょうか?)」
大和「(・・・・・・)」
後任者「(・・・・・・)」
『翌日』
後任者「今日は用があって外出する」
後任者「必要なことはメモに残している」
後任者「頼んだぞ、大和」
大和「はい、わかりました」
後任者「」
大和「(これはチャンスかもしれません・・・!)」
大和「(慎重に行かなくては・・・!)」
『提督私室前』
大和「暗証番号は・・・」ピッピッ
扉『』カチ
大和「よし・・・」
大和「(この前の掃除のときに、こっそり見ておいて良かったです)」
大和「」ガチャ
大和「・・・・・・」
大和「(特に変わったところはないようですが・・・)」
大和「(それにしても、必要最低限の物しか置いていない部屋ですね)」
大和「(寂しい感じがします・・・)」
大和「」スタスタ
パツン
大和「?」
大和「今、何かが切れたような音がしたような・・・?」
大和「・・・・・・」
大和「気のせいですね」
後任者「」スタスタ
ピー ピー ピー
後任者「!」バッ
後任者「・・・・・・」
後任者「誰か・・・入ったな・・・?」
大和「この大きな棚は・・・?」ガチャ
大和「」スッ
大和「?」ペラ
大和「何かの・・・書類・・・?」
大和「(おかしい・・・なんでこんなところに・・・)」
大和「!?」
資料『艦娘のクローン計画報告書』
大和「こ、これは!?」
後任者「・・・・・・」
大和「!?」バッ
後任者「」バチバチ
大和「うぐっ!?」ゴト
大和「」
後任者「・・・・・・」
後任者「知らなければ良かったものを・・・」
後任者「勘の良い娘は大嫌いだよ」
後任者「バカな奴め・・・」
大和ちゃんのハイライト吸ってきます
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
大和「(・・・・・・)」
大和「(・・・・・・・・・)」
大和「う・・・うぅ・・・」
大和「(私・・・一体・・・?)」
???「気がつきましたか?」
大和「!?」
大和「だ、誰ですか!?」ジャラ
大和「!? (か、体が・・・!)」
???「一応貴女は艦娘ですからね」
???「失礼ながら、艤装を外して体を拘束させていただきました」
大和「貴方は誰なんですか!」
???「名乗る者でもございません、私はこのホシオカ研究所の研究員です」
大和「研究所・・・?」
後任者「やれやれ、とんだお荷物を持ってくるハメになってしまったな」
大和「提督・・・!」
後任者「お前が悪いんだぞ? 俺があれほど近づくなと言っておいたのに」
大和「提督! これは一体どういうことですか!」
後任者「・・・・・・」
後任者「まぁ、お前はもう一生ここから出られないしな」
後任者「最期に真実を話しておこうか・・・」
後任者「おい、こいつを少し連れて行く」
後任者「ナイトスティックを」
研究員「はい、どうぞ」スッ
後任者「来い!」グイッ
大和「きゃっ!」
後任者「お前には予め力が出なくなる薬を投与した」
後任者「無駄な抵抗をしてみろ、この電気棒でたっぷり痛ぶってやる」ニヤ
大和「くっ・・・!」
後任者「あ、そんな顔しても良いんだ」
後任者「ふんっ!」バチバチ
大和「あぁぁぁぁぁっ!?」
大和「ぐぅ・・・!」ガク
後任者「はっ! 良い様だ! ほら立て!」グイッ
大和「うぅ・・・」ヨロヨロ
大和「一体貴方は何者なんですか?」
後任者「俺はこの研究所に金を出してあげている者さ」
後任者「ある計画を実行するためにな」
大和「クローン・・・」
後任者「あぁ、そうだ」
後任者「順番に部屋を見せてやるから、その都度説明してやる」
大和「(この男は一体・・・? 提督がいなくなったのも、もしかして・・・)」
大和「(くっ・・・! 提督はどこにいるんでしょうか・・・?)」
『第1実験室』
大和「ここは・・・」
大和「!?」
後任者「はっはっは! 驚いただろう?」
後任者「これがお前が断片的に見た資料のことだよ!」
大和「そ、そんな・・・!」
カプセル『』コポコポ
後任者「今までは資材を大量に使った建造でしか艦娘は作れなかったが」
後任者「遂にクローン技術を手に入れたんだ!」
研究員「ここからは私に説明させて下さい」
後任者「お前! いつの間に!」
研究員「まぁまぁ、落ち着いて下さい」
研究員「この通り、我々は艦娘のコピー化に成功しました」
研究員「髪の毛1本で複製が可能なのです」
研究員「すごいでしょう?」ニヤ
大和「(き、気持ちの悪い・・・)」
研究員「まぁ、髪の毛でなくても、体のどこの一部でも良いのです」
研究員「なんでも良いのです、体液、皮膚、爪、排泄物、もちろん臓器の一部でも」
研究員「色々研究してわかったことなのですが、艦娘は我々人間と非常に似た組織構造をしていましてね」
研究員「人間をコピー化することも可能ですが、我々の目的はそれではありません」
大和「一体何をしようとしているんですか?」
研究員「良い質問ですねぇ」ニヤ
研究員「貴女達艦娘は知る由もなかったでしょうがねぇ」
研究員「政府は裏でとんでもないことを考えていたのです」
大和「・・・?」
研究員「軍の目的は、当ホシオカ研究所で行われているクローン技術の応用にあります」
研究員「ウイルスをクローンの個体に投与し、無数の兵士を獲得しようと考えています」
研究員「ウイルスは一度感染すると組織を変え、五感を通常の数倍にする特徴を持っています」
研究員「それをクローンに投与すれば、永続的に兵士を獲得できることになります」
研究員「そしてこれがそのウイルスです」スッ
大和「な、なんてことを・・・!」
研究員「G-抗リボ核酸、分類はレトロウイルスに当たります」
研究員「特徴として、感染した個体のDNAにウイルスの情報をコピーし、遺伝子情報を変更していきます」
研究員「このウイルスに感染した個体は、新陳代謝が異常に高まり、急速に組織構造が変わっていきます」
研究員「最終的にウイルスは感染した個体の体を、別の特殊な体へ変貌させる力を持っています」
研究員「ただし、感染した個体は急激な細胞変化に耐えきれず、ほとんどの場合変貌する前に死亡してしまいます」
研究員「そのおかげでここのところは失敗続きですがね」
後任者「うるさい! 最後は余計だ!」
研究員「これは失礼しました」
大和「なんてことを考えているんですか! 貴方達のしていることは間違っています!」
研究員「ほぉ?」
大和「確かに私達艦娘は兵器かもしれません・・・でも!」
大和「私達は平和のために戦っているんです! 深海棲艦という敵を倒すために!」
大和「なのに、どうして人と人が争わなくてはならないんですか!」
大和「私はこんな仕打ちをされるために生まれてきたのですか? 酷いです!」
大和「あんまりです・・・! 狂ってる・・・狂ってる・・・!」
研究員「言いたいことはそれだけですか?」
大和「!?」
研究員「研究に犠牲は付き物です、それもクローンが可能な兵器なんですから」
研究員「壊せばまた新しい個体を作れば良い、何の感情も持ちませんねぇ」
後任者「はっ! まったくもってその通りだ」
後任者「偉そうに自分の意見を言っているんじゃねぇ!」バチバチ
大和「があぁぁぁぁぁっ!?」ガク
研究員「まぁまぁ、手荒に扱ってはいけません」
研究員「一応彼女はオリジナルなのですから」
後任者「チッ・・・」
大和「う・・・うぅ・・・」
研究員「深海棲艦のクローンを作ろうとも考えたのですが」
研究員「あまりにも手間がかかってしまいますからねぇ」
研究員「比較的体の一部を手に入れやすい、艦娘の方が都合が良かったのです」
研究員「それに、前に1体の深海棲艦で実験をしたのですが」
研究員「あれは我々人間、それから艦娘と組織構造が全く異なるものでした」
研究員「現在の我々の力では、クローン化は無理な話でした」
研究員「まぁ、艦娘のクローンで十分なんですがね」
研究員「いずれは今の戦争も終わって、また人類の戦争が始まります」
研究員「日本は敗戦国ですからねぇ、今まで散々連合国側の連中に馬鹿にされていましたから」
研究員「政府も今回の実験が成功すれば、大喜びでしょう」
研究員「そして私は偉大な科学者に・・・! あぁ・・・!」プルプル
後任者「俺も膨大な金が・・・!」プルプル
研究員後任者「あーっはっはっはぁ!!」カクカク
大和「(く、狂っている・・・! 用が済んだら抹殺されるかもしれないと言うのに・・・!)」
大和「(馬鹿な人達・・・)」
大和「(提督が行方不明になったのも、絶対にこの人達と関係がある・・・)」
大和「・・・?」チラ
大和「(あれは・・・?)」
後任者「ん? あれが気になるか?」
大和「・・・・・・」
後任者「あれは見ての通り脳だ、人間のな」
後任者「もともと複数あったが、今はあれだけだな」
後任者「まぁ、もう用は済んだし、そろそろ廃棄しようと思っているが」
後任者「このウイルス実験の方が先だ」
大和「どうして人の脳なんかを・・・」
大和「!?」
大和「(ま、まさか・・・! そんな・・・・・・)」
後任者「」ニヤ
後任者「本当にお前は勘の良い艦娘だな」
後任者「そうだよ、あの脳はな・・・」
後任者「前任者の脳だよ」
大和「あ・・・! あぁ・・・!」ガタガタ
後任者「奴は非常に優秀な提督だった、だが勘も良過ぎてな」
後任者「俺達のしている研究のことを知りやがった」
後任者「だから殺した」
後任者「俺がな?」ニヤ
大和「いやあぁぁぁぁぁっ!!」
後任者「奴は艦娘に関して非常に詳しいからな」
後任者「一応脳だけは保存して、ブレインスキャナーで情報は集めておいた」
後任者「奴のクローンをあの鎮守府に送り込む予定だったが」
後任者「まだ人間用のメモリーチップを開発できていなくてな」
後任者「艦娘用の洗脳チップはあるんだがな」
大和「うぅ・・・」ポロポロ
後任者「だから俺が直接着任したんだ」
後任者「お前達の観察もできるしな?」
大和「提督・・・提督・・・・・・!」ポロポロ
後任者「いくら泣き叫ぼうが奴は戻ってこないんだよ!」
後任者「あいつが悪いんだ! 俺は何も悪くない!」
後任者「はっはっはぁ!」
大和「(許さない・・・許さない・・・!)」
後任者「さてと、お話はそろそろお終いだ」
後任者「お前にはしばらく眠ってもらう」
大和「!?」
後任者「一応お前はオリジナルだからな、もしかしたら今後何かに使えるかもしれない」
後任者「安心しろ、殺しはしない」
後任者「あと、お前がいなくなっては鎮守府が騒ぎになってしまうからな」
後任者「お前のクローンを送っておく」
大和「・・・!」
後任者「お前が眠っている間に髪の毛を取っておいた」
後任者「後のことは俺に任せろ、お前は大人しくおねんねしていな」
大和「人でなし! 深海棲艦なんかよりも、貴方達の方がよっぽど醜いです!」
後任者「黙れぇ! この兵器風情が!」バチバチ
大和「うあぁぁぁぁぁっ!?」ガク
後任者「おい! とっととこいつをカプセルに詰めてけ!」
研究者「わかりました」
研究員「ほら、こっちですよ?」グイッ
大和「嫌ぁ! 離して!」ジタバタ
研究員「ふんっ!」バチバチ
大和「があぁぁぁぁぁっ!?」ゴト
大和「う・・・・・・」
大和「」
研究員「まったく、抵抗するからですよ?」
研究員「あとはゆっくり休んで下さい」
研究員「眠っている期間は・・・」
研究員「永久かもしれませんが」
大和「(提督・・・ゴメンなさい・・・)」
大和「(守れなかった・・・ゴメンなさい・・・)」
大和「(提督・・・提督・・・・・・)」
大和「(・・・・・・)」
後任者「大和はカプセルに?」
研究員「はい」
後任者「まったく、手間のかかる奴だ」
後任者「では、俺はそろそろ鎮守府に戻る」
後任者「実験の成果は随時報告しろ」
研究員「はい」
後任者「あと、大和のクローンは?」
研究員「明日の朝までにはなんとかできそうです」
後任者「チッ・・・もっと早くできんのか?」
研究員「申し訳ございません」
後任者「それまでなんとか誤魔化してみるか」
後任者「また1ヶ月後にここに来る、それまで任せたぞ」
研究員「任せて下さい」
後任者「」コツコツ
研究員「・・・・・・」
『数日後』
研究員「・・・・・・」
クローン艦娘「ぐがぁぁぁぁっ!?」ゴポゴポ
研究員「・・・・・・」
研究員2「・・・また失敗ですね」
研究員「そうですねぇ」
研究員3「もうメモリーチップの残量も少なくなってきました」
研究員「今度からそちらは省きましょう」
研究員3「し、しかしそれは・・・!」
研究員「なるべく無駄がないようにするのです」
研究員「政府からも圧力がかかっています」
研究員「事を急がなくては・・・」
研究員2「・・・・・・」
研究員3「・・・・・・」
『さらに数日後』
研究員「また失敗ですか・・・!」
研究員2「こ、このままでは・・・!」
研究員3「どうすれば良いのでしょうか?」
研究員「とにかく、こうなってしまっては結果を残すしかありません!」
研究員「当初の計画では、クローン艦娘の軍団を作るものでしたが」
研究員「今は1つの個体でも良いから実験を成功させるのです!」
研究員「やはり、オリジナルでしか意味がないのでしょうかねぇ・・・」
研究員「・・・・・・」
研究員「・・・・・・・・・」
大和『(・・・・・・)』コポ
研究員「投与は完了しましたか?」
研究員2「はい」
研究員「これで上手くいくと良いのですが・・・」
研究員3「・・・・・・」
大和『(・・・・・・)』ゴポゴポ
後任者「注意しろ、奴が変化し始めた」
後任者「それにしても奴は、他の実験体より感染速度が遅いな」
研究員「はい、他の実験体では感染すると即座に変化が始まり、死に至っていましたが」
研究員「この実験体の場合では変化が穏やかで、理想的な感染経過を残しています」
後任者「まさか、今度こそ・・・?」
研究員「今の段階ではなんとも言えませんが、このまま行けば恐らく・・・」
後任者「ふん! そう言って何度も失敗してきたんだ、どうせ奴も失敗作だ」
研究員「まぁまぁ、しばらく様子を見ましょう」
研究員「(今度こそ上手くいく気がします・・・!)」
後任者「よし、ではまた来る」
研究員「はい、お気をつけて」
研究員「・・・・・・」
『1ヶ月後 執務室』
後任者「なに!? 完全体になっただと!?」
研究員『はい! そうなんです! そうなんですよ!』
研究員『ちゃんと生きています! さらに身体的に変化が!』
後任者「わかった、今すぐそちらに向かう!」ガチャン
後任者「急用ができた、お前はここを頼むぞ?」
大和クローン「はい、わかりました」
後任者「」ダッ
『ホシオカ研究所 第1実験室』
後任者「おぉ・・・!」
研究員「すごいでしょう! 遂に完成したのです!」
後任者「すごい・・・これが・・・SR-8・・・!」
大和『(・・・・・・)』ブクブク
研究員「早速水を抜いてみましょう!」
後任者「あぁ!」
カプセル『』ジャー
研究員「(そういえばメモリーチップを挿入していませんでしたねぇ)」
研究員「(まぁ、後からで良いでしょう)」
研究員「(あぁ・・・! やっと、やっと私は・・・!)」
大和「」ギロ
研究員「!?」
後任者「ん!?」
大和「」ガン! ガン! ガン!
ガシャーン!!
研究員「ひっ!?」
後任者「なっ!?」
大和「ハァ・・・ハァ・・・」
大和「」ジャキン
研究員「ぎ、艤装が!?」
後任者「外しておいたはずだぞ! どこからあれを!?」
大和「」ガシ
研究員「うぐぅっ!?」
研究員「は、離しなさい・・・!」
大和「」ゴキ ジャリジャリ ブチ
ドッ! ゴロゴロゴロ・・・・・・ ビチャ
研究員の頭「」
後任者「ひっ!?」
大和「」ブンッ
研究員「」ドサ
後任者「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」ダッ
大和「ユルサナイ・・・コロス・・・コロス・・・・・・」ザンザン
大和「」ズガァァーーン
研究員2「あぁぁぁぁぁっ!?」グシャ
大和「」ズガァァーーン
大和「ミンナ・・・シネ・・・」ズガァァーーン
研究員3「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」ガシャーン
大和「ゼッタイニ・・・ユルサナイ・・・」
大和「シネ・・・シネ・・・シネェ・・・!」ズガァァーーン
システム『緊急事態発生、メインシステムが破壊されました』
システム『職員は、直ちに避難を開始して下さい』
システム『避難ルートn』バチバチ
ドガァァーーーーーーン!!!
後任者「うぐぅっ!」グラ
システム『システムエラー発生、全区画のシャッターを閉鎖します』
シャッター『』ガシャン
後任者「あぁ! 避難経路が・・・!」
システム『プログラムの変更が確認されました』
システム『非常用電源に変更するには、手動でコネクターを操作して下さい』
システム『手動コードh』バチバチ
後任者「このポンコツシステムめ! イカレやがったか!」
大和「」スタスタ
後任者「ひぃっ!? 来たぁ!」ダッ
大和「ニガサナイ・・・」ズガァァーーン
『武器庫』
後任者「」ドクンドクン
大和『』スタスタ
大和『』キョロキョロ
大和『』スタスタ
後任者「はぁ・・・はぁ・・・!」
後任者「隠れていても時間の問題だ・・・!」
後任者「何か使えるものは・・・」
後任者「!」
後任者「新型のライフル・・・こいつで・・・!」チャキ
大和「ミツケタ」ニヤ
後任者「うわぁぁぁぁっ!?」ダッ
大和「マッテクダサイ・・・イマコロシマスカラ・・・」スタスタ
大和「ホラ、コッチニキテクダサイ・・・」スタスタ
晩ご飯の時間です
『第1実験室』
後任者「クソッ! またここに戻ってきてしまった・・・!」
後任者「み、みんな死んでいた・・・廊下に・・・部屋に・・・!」
後任者「いくつもの死体が・・・! 死にたくない・・・!」
後任者「殺られる前に殺るしか・・・」
大和「」スタスタ
後任者「・・・!」
後任者「(来た・・・! 隙をついて・・・!)」
大和「ドコ・・・ドコニイルンデスカ?」
大和「カクレテモムダデスヨ・・・ミンナコロス・・・」
大和「シネ・・・シネ・・・」
大和「」ピタ
大和「?」
脳『』コポコポ
大和「コレハ・・・ノウ・・・?」
大和「ノウ・・・ノウ・・・・・・」
大和「ノウ・・・テイトク・・・・・・」
大和「テイトク・・・・・・?」
大和「ウ・・・テイトク・・・提督・・・?」
大和「提・・・督・・・・・・?」
後任者「今だ!」ダァァーーン
大和「!?」
脳『』ガシャーン
後任者「しまった! はずした・・・!」
大和「」シュバ
後任者「ひっ!?」
バキ ゴキゴキ グチャ ブチ ビチャビチャ
後任者「」ドクドク
大和「・・・・・・」
大和「あぁ・・・提督・・・」スッ
脳『』
大和「あいつの所為で・・・こんなにボロボロに・・・」
大和「」ギュ
大和「提督・・・愛しています・・・ずっと一緒です・・・」
大和「・・・・・・」
大和「まだ一部は残っている・・・」
大和「・・・・・・」
大和「・・・・・・・・・」
『資料室』
大和「」ガサガサ
大和「これも違う・・・」バサ
大和「これも・・これも・・・」バサバサ
大和「」ガサガサ
大和「!」
大和「・・・・・・」
大和「あった・・・」ニヤ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
大和「・・・・・・」
提督『(・・・・・・)』コポコポ
大和「ふふ・・・あはは・・・!」
大和「あははははははははは!!」
大和「提督、一緒に帰りましょう?」
大和「これでまた一緒ですね! えへへへへへ!」
『鎮守府』
大和クローン「提督からの連絡が途絶えてから1週間・・・」
大和クローン「何かあったのでしょうか・・・?」
大和「こんにちは」
大和クローン「!?」
大和「」バキ
大和クローン「」ゴト
大和「ふふ、偽物さん、今までお疲れ様です」
大和「」ズルズル
大和クローン「」
大和「さて、海に捨ててきますか」
大和「(提督のクローンを連れ出して、私達は研究所を脱出しました)」
大和「(資料室からクローン技術に関する資料を持っていき)」
大和「(研究所は爆破させました)」
大和「(複製されたクローン艦娘達には申し訳ないですが、死んでいただきました)」
大和「(政府も必死に隠蔽工作をしようとしていました)」
大和「(世間にあんな計画が知られてしまったら、それは大変ですからね)」
大和「(私は政府がどうなろうとどうでも良いんです、だから放っておくことにします)」
大和「(私と提督の邪魔をしない限り)」
大和「(結局研究所の爆発は、不幸な事故として処理されました)」
大和「(クローン技術やあの計画に関するものは、全て消えました)」
大和「(私の偽物も始末し、本物・・・オリジナルの私が入れ替わりました)」
大和「(やっと鎮守府に帰ってこられて、とても嬉しいです)」
大和「(私と・・・提督の・・・鎮守府・・・)」
大和「(ふふ・・・ふふふふふふふ・・・)」
大和「(提督に関しては、上手く話を合わせました)」
大和「(クローンであるということはもちろん、あの研究所で生まれたこと)」
大和「(そしてオリジナルは既に死亡してしまったことは、みんなには黙っていました)」
大和「(私だけの秘密・・・提督の・・・秘密・・・・)」
大和「(へへへへへへへへへ・・・・・・)」
大和「(奇跡の生還を果たした提督)」
大和「(後任者に関しては、もともとあんな性格でしたから)」
大和「(提督が戻ってきたことでみんなは大喜び、多少疑問に思う娘もいたとは思いますが)」
大和「(全く気にかけない娘の方が圧倒的に多かったはずです)」
大和「(そうなって当たり前です、提督を殺した愚かな人間・・・)」
大和「(私がしっかり殺しましたからね? 提督)」
大和「(私が連れてきた提督は、クローンではありますが)」
大和「(オリジナルと同じ組織構造を持つ、完璧な提督そのものなのです)」
大和「(私は気にしませんよ? 提督は提督です)」
大和「(愛しています・・・提督・・・)」
大和「(一緒に幸せになりましょう・・・?)」
大和「(うふ・・・えへへへへへへへ・・・・・・)」
大和「(しかし、提督が戻ってきてくれたのは良かったのですが)」
大和「(1つだけ問題がありました)」
提督『俺は・・・誰だ・・・?』
大和『え・・・?』
大和「(そう、記憶が消えていたのです)」
大和「(クローン技術と言えども、記憶のコピーまではできなかったのです)」
大和「(でも、これは特に気になりませんでした)」
大和「(だって、私色に染めてしまえば良いじゃないですか)」
大和「(事実、私は提督の秘書艦でもあり、ケッコンカッコカリもしていましたから)」
大和「(ありのままのことを伝え、提督も徐々に私との生活に慣れて)」
大和「(やっと・・・やっとあの日常が戻ってきました)」
大和「(かつて提督と一緒に過ごした・・・あの幸せの日々が・・・)」
提督『大和、これすごく美味しいよ!』
大和『ありがとうございます!』ニコ
大和「(偽りなんかではありません、私と提督は愛し合っています・・・)」
大和「(うふふふふふふふふ・・・・・・)」
大和「・・・・・・」
大和「ただ・・・・・・」
『数ヶ月後』
夕張「提督がクローンだったって・・・本当なんですか?」
大和「・・・・・・」
夕張「この資料は一体何なんですか!?」バサ
資料『』
大和「・・・・・・」
夕張「何故・・・何故今まで隠してきたんですか!」
大和「私は提督を愛しています、貴女には関係のない話です」
夕張「私だって提督を愛しています! それはみんなも同じでしょう!」
夕張「それに、もしこのことが本当なら」
夕張「大和さんが愛しているのは以前の提督ではありません!」
夕張「提督は死んだんです! 今の提督は、以前の提督から細胞を受け継いだだけの別な提督です!」
大和「うるさい! 提督は提督です! 完璧な提督なんです!」
夕張「いいえ! かつて私達と一緒に過ごした提督は死んだんです!」
夕張「今いる提督とは別人です!」
大和「黙りなさい! 提督は完璧なクローンです! 別人なんかじゃない!」
大和「提督そのものです!」
夕張「大和さんがどう思おうと、私は違うと言っているんです!」
大和「うるさい艦娘め、貴女なんかに私がどれだけ提督を愛しているかわからないでしょう!」
大和「提督が死んだと知ったとき、どれだけ悲しい思いをしたか!」
大和「どれだけ辛い思いをしたか! わかるのですか貴女に!!」
夕張「それでも今の提督は別人です!」
大和「違う違う違う!!」
大和「今の提督は正真正銘、私の提督です!」
大和「あぁぁぁぁぁぁっ!!」ブン
バキィッ!!!! ゴト
夕張「」ドクドク
大和「はぁ・・・はぁ・・・」
大和「は・・・はは・・・はははははははは!」
大和「そ、そうです、私は普通の艦娘なんかと違う、特別な艦娘・・・」
大和「資料が見つかってしまったとき、最初からこうすれば良かったんです・・・」
大和「じゃ、邪魔をする者はみんな殺す・・・」
大和「ソウ・・・コロス・・・コロセバイイ・・・」
大和「ははははは! こ、今回は少しミスをしてしまいましたね」
大和「でも、次からは気をつけましょうか」
大和「さて、夕張さん」
大和「不幸にも、貴女はこれから解体されます」
大和「でも安心して下さい」
大和「」スッ
夕張「」
大和「」プツッ
大和「髪の毛1本で、貴女はまた生まれるのですから」ニヤニヤ
大和「後で貴女も作っておきましょう、誰にも気づかれずに」
大和「・・・・・・」
大和「何のために私が資料を持ち帰ったと思います?」
大和「もしこれから提督に何かが起きたとしても、予め同じ提督の個体を作っておき」
大和「ずっと一緒にいるためですよ」
大和「提督は私のものです・・・誰にも渡さない・・・」
大和「あぁ・・・これから毎日が楽しみです・・・」
大和「提督、愛していますからね? 夕張さんと無駄な話をして、貴重な提督との時間を潰してしまいました」
大和「ゴメンなさい、すぐに戻りますから」
大和「えへ・・・えへへへ・・・・・・」
大和「へへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ・・・・・・」
『鎮守府地下 クローン体保管庫』
提督1『(・・・・・・)』
提督2『(・・・・・・)』
提督3『(・・・・・・)』
提督4『(・・・・・・)』
提督5『(・・・・・・)』
――― Happy End:幸せのカタチ 終わり ―――
badend編もはよはよ
※76
申し訳ございません、実は Bad End も用意していたのですが、第2部に入ってしまいそうなので、
この大和の美しい提督愛で終わりにさせて下さい
あ、表記間違えました、>>76さんで
ひぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?
このSSまとめへのコメント
展開が容易に想像できてつまらない
なかなか面白かった